JPH10193097A - 鋳鋼製品用ガス切断マニプレータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳鋼素材にある押湯、湯口等を切断したりバ
リ取りを行うという鋳仕上げの工程の作業は、良く知ら
れているように高熱、高騒音という悪環境で行われるた
め、少しでも作業者の肉体的、精神的負担を軽減すべ
く、吹管の駆動は駆動装置により行うが、この駆動装置
の操作は手動により行うようにした鋳鋼製品用ガス切断
マニプレータを提供する。 【解決手段】 鋳鋼製品用ガス切断マニプレータ１は、
Ｘ，Ｙ，Ｚ方向に移動自在に切断トーチ１５を支持する
マニプレータ本体１０と、該マニプレータ本体に電気的
に連絡した操作盤３０とを含む。この切断トーチを手動
操作するため、操作盤３０には、該切断トーチをＸ，
Ｙ，Ｚ方向の合成運動として移動させるジョイステック
３３，３５が設けられており、該ジョイステックの手動
操作により鋳鋼素材を目視しながら所望の切断速度で遠
隔的に切断する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、形状が複雑な押
湯、湯口等を有する鋳鋼製品に使用するのに適する遠隔
操作型の鋳鋼製品用ガス切断マニプレータに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】鋳鋼製品としては様々なものが知られて
おり、その製造工程にも、ガス切断マニプレータのよう
な産業用自動ロボットの導入が積極的に進められてい
る。しかしながら、ほぼ１００％が客先の個別仕様に基
づいて受注生産されるような鋳鋼製品に自動ロボットを
適用してみても、その自動ロボットの作業は全て単品作
業となってしまい、自動化のメリットが実質的に得られ
ない。例えば、比較的に複雑もしくは不規則な形状を有
する弁の鋳鋼素材に自動化したガス切断マニプレータを
適用して、その押湯、湯口等を切断する場合、特殊な弁
は、ほぼ１００％が客先の個別仕様に基づいて受注生産
されるため、各鋳鋼素材について、位置決め、作動の段
取り等の動作指令をプログラムするか、或いは鋳鋼素材
が変わるたびにプログラムの変更を行う繁雑な作業が必
要があり、自動化によるメリットが実際には得られな
い。そのため、人力による押湯、湯口等の切断がこれま
で行われてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳鋼素
材にある押湯、湯口等を切断したりバリ取りを行うとい
う鋳仕上げの工程の作業は、良く知られているように高
熱、高騒音という悪環境で行われるため、少しでも作業
者の肉体的、精神的負担を軽減すべく、１００％受注生
産の場合の上述したデメリットが実質的に生じることな
く、押湯、湯口等の切断やバリ取りが可能な鋳鋼製品用
ガス切断マニプレータの出現が望まれていた。従って、
本発明の目的は、上述の要望を満たすことができる鋳鋼
製品用ガス切断マニプレータを提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的から、本発明
は、Ｘ，Ｙ，Ｚ方向に移動自在に切断トーチを支持する
マニプレータ本体と、該マニプレータ本体に電気的に連
絡して、前記切断トーチをＸ，Ｙ，Ｚ方向の合成運動と
して移動させるジョイステックを含み、該ジョイステッ
クの手動操作により鋳鋼素材を所望の切断速度で遠隔的
に切断しうるようにした操作手段とを備えた遠隔操作型
の鋳鋼製品用ガス切断マニプレータを提供する。マニプ
レータ本体は電気的に作動されるが、かかる作動のため
の操作は、切断トーチ自体を目視により観察しながらジ
ョイステックの手動操作により遠隔的に行われる。その
ため、切断対象の鋳鋼素材が少量多品種のものでも、悪
環境下にも拘わらず好適に切断作業が行われる。

【０００５】

【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態即ち実施形態について説明するが、
図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
図１は、本発明による遠隔操作型の鋳鋼製品用ガス切断
マニプレータ１を概念的に示す側面図であり、該マニプ
レータは、マニプレータ本体１０と、制御盤２０と、操
作盤（操作手段）３０と、ガス調整弁装置４０とから主
としてなる。

【０００６】マニプレータ本体１０は、床上に載置もし
くは固着される直立スタンド１１と、該直立スタンド１
１の軸心回りに回転自在に支持されたブロック１２と、
該ブロック１２から水平に伸縮自在に延びる水平軸アセ
ンブリ１３とを有する。また、この水平軸アセンブリ１
３の先端部には、垂直方向に移動自在に、かつ後述する
軸の回りに所定の角度（実施形態では１８０°）範囲内
で回動自在に垂直軸アセンブリ１４が搭載される。垂直
軸アセンブリ１４は、その下端に、垂直面において軸１
６の回りに手動により首振り可能の切断トーチ１５を有
する。切断トーチ１５は切断すべきものの肉厚に応じて
（例えば肉厚０〜３００ｍｍまでと、肉厚３００ｍｍ〜
６００ｍｍまで）、適切な切断容量のものと交換しう
る。勿論、肉厚６００ｍｍ以上のものでも切断可能な切
断トーチを選択しうる。

【０００７】図２は、上述したマニプレータ本体の拡大
詳細図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図を示してい
る。上述した諸部材１１〜１６を回動もしくは移動自在
に互いに結合するための構造については、周知のもので
よいため、更なる説明は省略するが、垂直軸アセンブリ
１４を前述したように回動自在に支持する軸は図２に符
号１７で概略的に示されている。また、諸部材１１〜１
５を回動もしくは移動させるための駆動手段についても
説明を省略することとする。

【０００８】再び図１に戻って、本発明のガス切断マニ
プレータ１の操作盤３０は、制御盤２０に電気的に接続
されると共に、ガス調整弁装置４０に接続され、それら
を介してマニプレータ本体１０を制御する。即ち、図３
において、操作盤３０は、切断トーチ１５による鋳鋼素
材（図示せず）の切断速度の切り替えスイッチ３１と、
非常停止スイッチ３２と、操作盤メインスイッチ３４と
を有する。切り替えスイッチ３１は、図から分かるよう
に操作盤のタッチパネルより切断品の肉厚に応じて適当
な切断速度が自由に変更できる４ノッチの位置に加え
て、「固定速度」の位置を有し、４ノッチではその位置
に応じて任意の速度（例えば、１〜２０００ｍｍ／分）
に設定しうる。また、「固定速度」の位置は、切断開始
又は切断終了後に切断トーチ１５を移動するために使用
するもので、最速の２０００ｍｍ／分となっている。

【０００９】符号３３及び３５は、切断トーチ１５の座
標決定のためにレバーで操作される２軸変位制御を行う
周知のジョイステックで、後述するように、ジョイステ
ック３３は垂直なＺ方向の操作を行い、ジョイステック
３５は図１において水平面におけるＸ，Ｙ方向の操作を
合成して行う。更に詳しく述べれば、ジョイステック３
５を図３の（ａ）において上側に押せば、水平軸アセン
ブリ１３が図１において左右方向の右側に伸び、下側に
押せば水平軸アセンブリ１３が左側に縮み、また、ジョ
イステック３５を図３の（ａ）において右側に倒せば直
立スタンド１１が図１において上から見て時計方向に回
転し（最大で９０°）、左側に倒せば直立スタンド１１
が反時計方向に回転する（最大で９０°）。そして、ジ
ョイステック３５を図３の（ａ）において隣接する白抜
き矢印の中間方向に倒せば、水平軸アセンブリ１３及び
直立スタンド１１が同時に作動し、切断トーチ１５を水
平面において所望の位置及び方向に位置決めすることが
できる。

【００１０】一方、ジョイステック３３は垂直軸アセン
ブリ１４と連動するもので、図３の（ａ）において「上
昇」方向にジョイステック３３を倒せば垂直軸アセンブ
リ１４が上側に移動し、「下降」方向に倒せば垂直軸ア
センブリ１４が下側に移動する。このようにして、ジョ
イステック３３の操作により切断トーチ１５を上下方向
の所望位置に移動することができる。従って、ジョイス
テック３３及び３５を同時にすることにより、Ｘ，Ｙ，
Ｚ方向の合成運動が可能となり、切断トーチ１５を任意
の位置に移動させることができる。

【００１１】また、操作盤メインスイッチ３４は、切り
替えスイッチ３１の切断速度選択機能をオン・オフする
ためのもので、図３の（ａ）において「切」の位置にあ
るときは、切り替えスイッチ３１の切断速度選択がオフ
となり、「移動」の位置に回せば、切り替えスイッチ３
１の切断速度選択が可能となって、ジョイステック３
３，３５の前述した操作により切断トーチ１５を作動す
ることができる。操作盤３０は更に、垂直軸アセンブリ
１４延いては切断トーチ１５のＸＹ平面における角度を
調整するための首振りスイッチ３６，３７を有する。首
振りスイッチ３６は図２の（ａ）において左方向への回
動を生じさせ、首振りスイッチ３７は右方向への回動を
生じさせる。従って、切断トーチ１５は、首振りスイッ
チ３６，３７の操作により水平面において首を振ること
ができ、また、軸１６の手動操作により垂直面において
も上下に首を振ることができる。３８，３９は切断酸素
供給電磁弁（図示せず）のオン・スイッチ及びオフ・ス
イッチであり、これらはガス調整弁装置４０に連絡して
いる。

【００１２】制御盤２０は、液晶モニタ２１を含む。図
示しないが、この液晶モニタ２１の画面には、操作盤３
０の切り替えスイッチ３１の操作に連動して、切断速度
が表示される。また、タッチキー数値入力により、５０
０〜２０００ｍｍ／分の範囲で切断速度を変更しうる機
能を有する。更に、この液晶画面には、切断トーチ１５
のＸ方向の位置（水平軸アセンブリのＸ方向ストロー
ク）、垂直軸アセンブリの回動角度、切断時間、異常発
生情報等を表示しうる。また、図示しないが、制御盤２
０は、メインスイッチ、ＬＰＧガス供給電磁弁（図示せ
ず）のオン・オフスイッチ、酸素供給電磁弁のオン・オ
フスイッチ等も含み、液晶モニタ２１で直接数値入力す
ることにより切断速度の変更、回動角度の変更も可能で
ある。

【００１３】以上の構成において、鋳鋼素材（図示せ
ず）の湯口又は押湯の切断を行いたい場合、同鋳鋼素材
を切断トーチ１５の動作範囲内に単に載置する。次に、
操作盤３０のメインスイッチ３４と制御盤２０のメイン
スイッチとをオンにして、ジョイステック３３，３５を
操作しながら、鋳鋼素材の湯口又は押湯に対する切断ト
ーチ１５の先端の位置を観察しつつ、所定位置に設定す
る。そして、切断速度等を選択し液晶モニタ２１で確認
し、切断酸素供給電磁弁のスイッチ３８をオンとし、制
御盤２０のＬＰＧガス供給電磁弁のスイッチをオンとし
て、切断を目視しながら開始する。切断トーチ１５は、
ジョイステック３３，３５の操作によりＸ，Ｙ，Ｚ方向
に合成して移動されるため、複雑もしくは不規則な形状
の湯口又は押湯でも好適に切断する。

【００１４】本発明をその好適な実施形態について説明
したが、本発明はそれに限定されるものではなく、様々
な改変が可能である。例えば、実施形態では操作盤と制
御盤とは別体のものとして表示したが、一体としてもよ
く、また、かかる一体のものにガス調整弁装置も組み込
んでもよい。マニプレータ本体の構造については簡単に
説明したが、Ｘ，Ｙ，Ｚ方向に移動自在に切断トーチを
支持することができれば、種々の形態に改変することが
できる。

【００１５】

【発明の効果】請求項１に記載の構成を有する本発明に
よれば、以下の様々な作用効果を奏することができる。 （１） 作業者により手動操作される操作盤はマニプレ
ータ本体から離間して配設されるため、作業者は高温、
高騒音の環境に直接さらされることがなく、作業環境の
改善になる。 （２） マニプレータ本体は自動制御を要しないため構
造的に簡単となり、その設置のために広いスペースや基
礎工事等を必要としない。 （３） 切断すべき鋳鋼素材は単に床面等の上に載置す
ればよく、高価なポジショナー等の機器を必要としない
ので、少量多品種の鋳鋼素材の切断用途に特に適する。 （４） ジョイステックによりＸ，Ｙ，Ｚ方向に合成し
て切断トーチを移動させることができ、曲線に沿った切
断が簡単な軽いタッチで可能となる。 （５） 切断トーチを作業者が手に持つ必要がないの
で、切断作業を正確、安全かつ簡単に行うことが可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による遠隔操作型の鋳鋼製品用ガス切
断マニプレータを概念的に示す全体側面図である。

【図２】 （ａ）は図１の鋳鋼製品用ガス切断マニプレ
ータにおけるマニプレータ本体の拡大平面図、（ｂ）は
同じく側面図である。

【図３】 （ａ）は図１の鋳鋼製品用ガス切断マニプレ
ータにおける操作盤の主要部の正面図、（ｂ）は同じく
側面図である。

【符号の説明】

１…鋳鋼製品用ガス切断マニプレータ、１０…マニプレ
ータ本体、１６…切断トーチ、２０…制御盤、２１…液
晶モニタ、３０…操作盤（操作手段）、３３，３５…ジ
ョイステック。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｂ２５Ｊ 9/22 Ｂ２５Ｊ 9/22 Ａ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｘ，Ｙ，Ｚ方向に移動自在に切断トーチ
   を支持するマニプレータ本体と、該マニプレータ本体に
   電気的に連絡して、前記切断トーチをＸ，Ｙ，Ｚ方向の
   合成運動として移動させるジョイステックを含み、該ジ
   ョイステックの手動操作により鋳鋼素材を所望の切断速
   度で遠隔的に切断するようにした操作手段とを備えた遠
   隔操作型の鋳鋼製品用ガス切断マニプレータ。