JPH10188505A - 接触式磁気ヘッドスライダ - Google Patents

接触式磁気ヘッドスライダ

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JPH10188505A
JPH10188505A JP34195396A JP34195396A JPH10188505A JP H10188505 A JPH10188505 A JP H10188505A JP 34195396 A JP34195396 A JP 34195396A JP 34195396 A JP34195396 A JP 34195396A JP H10188505 A JPH10188505 A JP H10188505A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ヘッドスライダの跳躍を防止し、同時に
磁気ディスク媒体および磁気ヘッドスライダが摩耗損傷
することを防止する。 【解決手段】 コンタクトパッド11を設けたスライダ
10と、このスライダ10に押し付け荷重を加えるピボ
ット13を有する接触式磁気ヘッドスライダ18におい
て、ピボット13をコンタクトパッド11の直上部に複
数設ける。さらに、ピボット13がそれぞれ独立したサ
スペンションばね14に配置する。これにより、ピボッ
ト回りの回転モーメントまたはスライダ重心点回りの回
転モーメントの発生によるスライダ10の跳躍を抑止
し、高信頼性で高記録密度の接触式磁気ヘッドスライダ
が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドスライ
ダに関し、特に、磁気ヘッドスライダが磁気ディスク媒
体と密接して相対移動し、記録再生を行う接触式磁気ヘ
ッドスライダに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記憶ファイルの分野におい
て、高記録密度化が着実に向上している。このため、磁
気ディスク装置では、情報の書き込み・読み出しを行う
磁気ヘッドと情報を保持している磁気ディスク媒体との
間隙をより小さくすることが、高密度記録化の重要な要
素の1つとなっている。
【0003】磁気ヘッドと磁気ディスク媒体との間隙を
小さくするために、磁気ヘッドが磁気ディスク媒体面に
接触摺動しながら記録再生を行う、いわゆる、接触式磁
気ディスク装置が開発されている(例えば、「H.Ha
milton:Journal of Magneti
c Societyof Japan,Vol.15,
Supplement No.S2(1991)48
3」、および「特願平5−508808号(特表平5−
814495号公報)」参照)。
【0004】従来、この種の接触式磁気ディスク装置に
用いる磁気ヘッドスライダは、磁気ディスク媒体に押し
つけるために、サスペンションばねに取り付けられた一
つのピボットによって、または、ジンバルばねを用いた
ピボットを使用せず、押し付け荷重を加えている。
【0005】しかし、このような接触式磁気ディスク装
置では、磁気ディスク媒体上の突起に磁気ヘッドスライ
ダが衝突することや、磁気ヘッドスライダと磁気ディス
ク媒体との間に働く摩擦力によって、磁気ヘッドスライ
ダが磁気ディスク媒体から跳躍して、そのスペーシング
が大きくなり、そのために記録再生エラーが発生するこ
とがあり、高記録密度化および高耐久性化を実現する上
で大きな問題となっていた。
【0006】このような磁気ヘッドスライダの摺動走行
性を安定化させるために、接触摺動部の直上部にピボッ
トを配置することが行われていた(例えば、特開平5−
36190号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の接触式
磁気ヘッドスライダでは、磁気ヘッドスライダと磁気デ
ィスク媒体を接近させて摺動させるために加える押し付
け荷重を、ピボットが1つまたはピボットレスで加えて
いた。このため、接触摺動の際に発生する摩擦力が起源
となって、磁気ヘッドスライダのピボットまたは重心を
中心とした回転モーメントが発生し、磁気ヘッドスライ
ダの跳躍量が大きくなり、記録再生ができなくなるとい
う欠点があった。
【0008】本発明の目的は、上述した点に鑑み、磁気
ヘッドスライダの跳躍量および摩耗損傷の低減を十分な
程度に実現し、高記録密度で高信頼性の磁気ディスク装
置を提供することにある。特に、磁気ヘッドスライダに
押し付け荷重を加えるピボットを2つ以上配置した磁気
ヘッドスライダを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】次に、本発明の作用につ
いて説明する。図1は、本発明の接触式磁気ヘッドスラ
イダの一例を示す図である。図1を参照すると、本発明
の接触式磁気ヘッドスライダ18には3つのコンタクト
パッド11が形成してあり、このコンタクトパッド11
は磁気ディスク媒体16が回転移動する磁気ディスク媒
体の進行方向17の側に1つ、そして、進行逆方向側に
2つ配置してある。これら3つのコンタクトパッド11
の直上部中心位置にはそれぞれ押し付け荷重を加えるピ
ポット13を設けたことが特徴である。
【0010】図2は、従来の磁気ヘッドスライダの一例
を示す図である。図2を参照すると、従来の磁気ヘッド
スライダでは、コンタクトパッドに摩擦力が働いた場
合、ピボットが1つしかないため、摺動による摩擦力2
1によりピボット回りの回転モーメント20が発生す
る。この回転モーメントによって、図3に示すように、
コンタクトパッドが磁気ディスク媒体16上から離れて
しまう現象が起こる、すなわち跳躍振動30が発生して
しまう。
【0011】そして、このような磁気ディスク媒体進行
方向のコンタクトパッドの跳躍振動がいったん発生する
と、ピポッド回りの回転モーメント20があるために、
図4に示すように、連鎖的に磁気ディスク媒体進行逆方
向のコンタクトパッドの跳躍振動30が発生してしま
う。
【0012】また、図5〜図7に示すような、ピボット
レスサスペンションばね50を用いたピポッドのない磁
気ヘッドスライダでも、重心点回りの回転モーメント5
1が存在するために、ピボットが1つの従来磁気ヘッド
スライダと同様に跳躍振動30が発生してしまう。
【0013】さらに、図8に示すように、ピボットの位
置を磁気ヘッドエレメントが形成させたコンタクトパッ
ドの直上部中心位置に配置した場合でも、図9に示すよ
うに、ピボットが1つのためにピボット回りの回転モー
メント20によって跳躍振動30が発生していまう。
【0014】ここで、図1に示す本発明の接触式磁気ヘ
ッドスライダ18では、ピボット13を複数設けたこと
によって、前記ピボット回りの回転モーメントを分散さ
せて跳躍の発生を抑制するという原理を用いている。ま
た、コンタクトパッド11の直上部中心位置にピボット
13を配置することによって、重心位置とピボット位置
が離れるので、重心回りの回転モーメントによる跳躍振
動の発生を抑制できる。
【0015】さらに、すべてのピボットをコンタクトパ
ッド直上部中心位置から磁気ディスク媒体の進行方向に
1μm以上100μm以下の範囲でオフセットさせるこ
とによって、図10に示すコンタクトパッドに働く摩擦
力ベクトル100と跳躍方向の力ベクトル101との合
成ベクトル102による力を押さえ込むことができ、跳
躍の発生をさらに効率よく抑制することができる。
【0016】次に、コンタクトパッドがスライダ重心よ
りも記録媒体の進行方向の前方に位置した場合、前記コ
ンタクトパッド上部のピボットのみをコンタクトパッド
直上部中心位置から磁気ディスク媒体の進行方向に1μ
m以上100μm以下の範囲でオフセットさせることに
よって、磁気ヘッドスライダ重心回りの回転モーメント
とコンタクトパッドの跳躍方向の力の合成ベクトル力を
押さえ込むことができ、跳躍の発生を効率よく抑制する
ことができる。
【0017】また、図11(d)に示すように、複数の
ピボットがそれぞれ独立したサスペンションばねに配置
されることによって、各ピポッドに加える押し付け荷重
を独立制御できるために、さらに跳躍を抑制することが
できる。
【0018】本発明によると、以上の原理に基づき、磁
気ヘッドスライダの跳躍を防止することができ、磁気デ
ィスク装置に関する高記録密度および高信頼性を実現す
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の接触式磁気ディス
ク装置の具体的な実施の形態について説明する。
【0020】図12は、本発明の接触式磁気ヘッドスラ
イダを用いた接触式磁気ディスク装置の基本構成を示す
断面図である。図12を参照すると、磁気ディスク媒体
16は、基板124上に下地層123,磁性体122,
保護膜121および潤滑剤120を順次成膜して形成し
たものであって、基板124には、直径90mmおよび
厚さ0.3mmのガラスが用いられる。下地層123に
は、スパッタ法によってCrを100nmの膜厚に成膜
して形成される。磁性体122は、スパッタ法によって
CoCrTaPtを30nmの膜厚に成膜して形成され
る。保護膜121は、スパッタ法によってダイヤモンド
ライクカーボンを5nmの膜厚に成膜して形成される。
潤滑剤120は、ディップ法によってパーフルオロポリ
エーテルを5nmの膜厚に成膜して形成される。
【0021】一方、本発明の接触式磁気ヘッドスライダ
18は、支持アーム15に取り付けられ他端部近傍にピ
ボット13を設けたサスペンションばね14と、このサ
スペンションばね14に支持されるジンバルばね12
と、ジンバルばね12に保持するスライダ10とからな
り、このスライダ10には磁気ディスク媒体16に接触
・摺動するためのコンタクトパッド11と磁気ディスク
媒体16に対して記録再生を行うための磁気記録再生素
子19とを備えている。
【0022】サスペンションばね14は、基本的には長
さ10mm,幅1.2mmおよび厚さ0.05mmのス
テンレスが用いられる。また、複数のピボットに対して
異なる押し付け荷重を加えるときには、長さ10mm,
幅0.3mmで厚さを0.01mm〜0.1mmに変化
させたステンレスが用いられる。そして、サスペンショ
ンばねによって、スライダ10を磁気ディスク媒体16
に押し付けるときのトータル荷重は500mgfとし
た。
【0023】支持アーム15は、長さ15mm、幅3m
mおよび厚さ1mmのステンレスが用いられる。ピボッ
ト13は、サスペンションばねを加圧成形して直径0.
2mm、高さ0.1mmの球形突起を作製した。ジンバ
ルばね12は、長さ2mm、幅1mm、厚さ0.01m
mのステンレスが用いられ、サスペンションばね14に
接着される。スライダ10は、幅1mm,長さ1.2m
mおよび厚さ0.3mmのAl2 O3 −TiCが用いら
れる。
【0024】磁気記録再生素子19は、NiFe合金薄
膜をヨーク材料とした薄膜ヘッドが用いられる。コンタ
クトパッド11は、Al2 O3 −TiC基板上にケミカ
ルベーパーデポジション法によってダイヤモンドライク
カーボンを4μm堆積させた後、アルゴンイオンによる
ミリング加工によって直径30μmに形成したものを用
いた。
【0025】次に、図11(a)に示す磁気ヘッドスラ
イダは、磁気ヘッドスライダ進行方向前方にコンタクト
パッドA112を2つ、後方にコンタクトパッドB11
3を1つ配置した。そして、これらコンタクトパッド
は、それぞれ以下の位置に配置した。コンタクトパッド
Aは、磁気ヘッドスライダ進行方向前方の縁から50μ
m、内周および外周の縁からそれぞれ50μmの位置を
中心として直径30μmとした。
【0026】コンタクトパッドBは、磁気ヘッドスライ
ダ進行方向後方の縁から50μmの内外周の中心位置に
配置した。また、スライダに押し付け荷重を加えるピポ
ッドは、ピボットの中心がコンタクトパッドの中心に位
置するようにそれぞれ配置した。このピボットの位置
は、後述するように変化させた。
【0027】これらの磁気ヘッドスライダを、図12に
示したように、ジンバルばね12に接着し、このジンバ
ルばねはサスペンションばね14に取り付け、サスペン
ションばね14は支持アーム15に取り付けた。そし
て、磁気ヘッドスライダ18は毎分5400回転で回転
する磁気ディスク媒体16に密接して摺動させた。
【0028】なお、上述した基板124,下地層12
3,磁性体122,保護膜121,潤滑剤120,スラ
イダ10,磁気記録再生素子19,サスペンションばね
14,ジンバルばね12,支持アーム15およびコンタ
クトパッド11の材料、形成方法などは、特に限定され
るものではなく、公知の材料および形成方法を特別な制
限なく用いることができる。
【0029】
【実施例】次に、本発明の接触式磁気ヘッドスライダの
具体的な実施例について説明する。
【0030】[実施例1] 図11(a)に示すスライ
ダ用い、コンタクトパッドを、磁気ディスク媒体進行方
向後方の縁から50μmの内外周の中心位置に1つ、磁
気ディスク媒体進行方向前方の縁から50μm、内周お
よび外周の縁からそれぞれ50μmの位置を中心とした
ところに2つ配置した磁気ヘッドスライダを用いた。ピ
ボットは同一のサスペンションばね上に3つ形成し、ピ
ボットの位置は、それぞれのコンタクトパッドの中心位
置に配置した。
【0031】[実施例2] 図11(b)に示すスライ
ダ用い、コンタクトパッドを、磁気ディスク媒体進行方
向前方の縁から50μmの内外周の中心位置に1つ、磁
気ディスク媒体進行方向後方の縁から50μm、内周お
よび外周の縁からそれぞれ50μmの位置を中心とした
ところに2つ配置した磁気ヘッドスライダを用いた。ピ
ボットは同一のサスペンションばね上に3つ形成し、ピ
ボットの位置は、それぞれのコンタクトパッドの中心位
置に配置した。
【0032】[実施例3〜実施例13] 図11(b)
に示すスライダ用い、コンタクトパッドを磁気ディスク
媒体の進行方向111の後方の縁から150μm、内周
および外周の縁からそれぞれ50μmの位置を中心とし
たところに2つ、磁気ディスク媒体の進行方向111の
前方の縁から150μmの内外周の中心位置に1つ配置
した磁気ヘッドスライダを用いた。ピボットは同一のサ
スペンションばね上に3つ形成し、ピボットの位置は、
それぞれのコンタクトパッドの中心位置から磁気ディス
ク媒体の進行方向にオフセットさせ、そのオフセット量
は−50μm〜140μm と変化させた。
【0033】[実施例14〜実施例24] 図11
(b)に示すスライダ用い、コンタクトパッドを、磁気
ディスク媒体の進行方向111の後方の縁から150μ
m、内周および外周の縁からそれぞれ50μmの位置を
中心としたところに2つ、磁気ディスク媒体の進行方向
111の前方の縁から150μmの内外周の中心位置に
1つ配置した磁気ヘッドスライダを用いた。
【0034】ピボットは、同一のサスペンションばね上
に3つ形成し、そのピボットの位置は、磁気ディスク媒
体の進行方向111の後方の2つのコンタクトパッドの
中心位置直上にそれぞれ配置し、スライダ重心よりも磁
気ディスク媒体の進行方向の前方に位置したコンタクト
パッドである磁気ディスク媒体の進行方向前方のコンタ
クトパッド上部のピボットを、コンタクトパッド中心位
置から磁気ディスク媒体の進行方向に1μm以上100
μm以下の範囲でオフセットさせ、そのオフセット量は
−50μm〜140μmと変化させた。
【0035】[実施例25] 図11(c)に示すスラ
イダ用い、コンタクトパッドを、磁気ディスク媒体の進
行方向後方の縁から50μmの内周および外周の縁から
それぞれ50μmの位置に2つ、磁気ディスク媒体の進
行方向前方の縁から50μm、内周および外周の縁から
それぞれ50μmの位置を中心としたところに2つ配置
した磁気ヘッドスライダを用いた。ピボットは同一のサ
スペンションばね上に4つ形成し、ピボットの位置は、
それぞれのコンタクトパッドの中心位置に配置した。
【0036】[実施例26] 図13(a)に示すスラ
イダ用い、コンタクトパッドを、磁気ディスク媒体進行
方向後方の縁から50μmの内外周の中心位置に1つ、
磁気ディスク媒体進行方向前方の縁から50μm、内周
および外周の縁からそれぞれ50μmの位置を中心とし
たところに2つ配置した磁気ヘッドスライダを用いた。
ピボットは同一のサスペンションばね上に3つ形成し、
ピボットの位置は、それぞれのコンタクトパッドの直上
位置からスライダ中心方向に200μmの位置にそれぞ
れ配置した。
【0037】[実施例27〜実施例30] 図11
(d)に示すスライダ用い、コンタクトパッドを、磁気
ディスク媒体の進行方向前方の縁から50μmの内外周
の中心位置に1つ、磁気ディスク媒体の進行方向後方の
縁から50μm、内周および外周の縁からそれぞれ50
μmの位置を中心としたところに2つ配置した磁気ヘッ
ドスライダを用いた。ピボットは、幅0.3mmの3つ
のサスペンションばね(図中、分割サスペンションばね
110)にそれぞれ1つずつ独立に形成した。ピボット
の位置は、それぞれのコンタクトパッドの中心位置に配
置した。そして、サスペンションばねの厚さを変化さ
せ、各ピボットに加える押し付け荷重を50mgf〜4
00mgfと変化させた。
【0038】[比較例] 本発明の実施例と従来技術と
の比較を行うために、本発明の考え方を採用しない従来
の磁気ヘッドスライダの例(比較例)として、図13
(b)に示すスライダ用い、コンタクトパッドを、磁気
ディスク媒体の進行方向111の後方の縁から50μm
の内外周の中心位置に1つ、磁気ディスク媒体の進行方
向111の前方の縁から50μm、内周および外周の縁
からそれぞれ50μmの位置を中心としたところに2つ
配置した磁気ヘッドスライダを用いた。ピボットは、ス
ライダ重心130の位置である磁気ディスク媒体の進行
方向111の中心かつ磁気ディスク媒体内外周の中心位
置に1つ配置した。
【0039】次に、上述した実施例1〜実施例30およ
び比較例に示す磁気ヘッドスライダを、毎分7200回
転の磁気ディスク媒体上に、半径25mmの位置で摺動
させ、磁気ヘッドスライダと磁気ディスク媒体との間隔
をレーザ干渉計で測定し、その最大値を最大跳躍量とし
て求めた。
【0040】これらの摺動試験の試験結果(最大跳躍
量)を表1および表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】 表1および表2の実施例1〜実施例30の試験結果およ
び比較例の試験結果から、以下の〜に示すように考
察できる。
【0043】 第1実施例、第2実施、第25実施例
および比較例に関する試験結果を参照すると、ピボット
を複数設けた場合には、ピボットが1つの場合(比較例
の場合)に比べて、最大跳躍量が6分の1以下になって
いる。最大跳躍量が小さいと磁気ディスク装置の記録密
度を向上させることが可能で、かつ、跳躍したときの磁
気ディスク媒体および磁気ヘッドスライダに加わる摺動
エネルギが小さくなるため摩耗損傷が少なくなる。すな
わち、磁気ヘッドスライダに押し付け荷重を加えるピボ
ットを2つ以上設けることにより、高記録密度で高信頼
性の接触式磁気ヘッドスライダを提供できるという効果
を得ることができる。
【0044】 第1実施例、第2実施例および第26
実施例に関する試験結果を参照すると、ピボットを複数
設けた場合でも、ピボット位置かコンタクトパッドの直
上部に位置する場合には跳躍量が3分の1以下になって
いる。すなわち、ピボット位置をコンタクトパッドの直
上部に配置することによって、より効果的に接触式磁気
ヘッドスライダの性能を向上させることができる。
【0045】 第3実施例〜第13実施例を比較する
と、ピボットをコンタクトパッドの中心位置から磁気デ
ィスク媒体の進行方向に1μm以上100μm以下の範
囲でオフセットさせた場合に、最大跳躍量が2分の1以
下になっている。すなわち、すべてのピボットの位置を
コンタクトパッドの中心位置から磁気ディスク媒体の進
行方向に1μm以上100μm以下の範囲でオフセット
させることによって、より効果的に高記録密度で高信頼
性の接触式磁気ヘッドスライダを提供できるという効果
を得ることができる。
【0046】 第14実施例〜第24実施例を比較す
ると、スライダ重心よりも磁気ディスク媒体の進行方向
の前方に位置したコンタクトパッド上部のピボットをコ
ンタクトパッド中心位置から磁気ディスク媒体の進行方
向に1μm以上100μm以下の範囲でオフセットさせ
た場合に、最大跳躍量が2分の1以下になっている。す
なわち、スライダ重心よりも磁気ディスク媒体の進行方
向の前方に位置したコンタクトパッド上部のピボット
を、コンタクトパッド中心位置から磁気ディスク媒体の
進行方向に1μm以上100μm以下の範囲でオフセッ
トさせることによって、より効果的に高記録密度で高信
頼性の接触式磁気ヘッドスライダを提供できるという効
果を得ることができる。
【0047】 第27実施例〜第30実施例および第
2実施例を比較すると、3つのピボットがそれぞれ独立
したサスペンションばねに配置し、押し付け荷重を適切
に加えることによって、3つのピポッドが独立していな
いサスペンションばねに配置した場合に比較して最大跳
躍量が3分の1以下になっている。すなわち、複数のピ
ボットをそれぞれ独立したサスペンションばねに配置す
ることにより、「高記録密度で高信頼性の接触式磁気ヘ
ッドスライダを提供できる」という効果がさらに顕著に
なる。
【0048】以上の〜項に示す考察から、本発明の
接触式磁気ヘッドスライダは、従来の接触式磁気ヘッド
スライダと比較して、少なくとも6分の1以下の最大跳
躍量が達成され、高記録密度および高信頼性を達成でき
ることが分かる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、コ
ンタクトパッドと磁気ディスク媒体との摺動による摩擦
力が起源となって生じる磁気ヘッドスライダの跳躍を、
ピボットを複数設けることにより、さらに、コンタクト
パッドの直上部中心位置にピボットを配置しすること
や、複数のピボットをそれぞれ独立したサスペンション
ばねに配置することにより、跳躍量を大幅に低減し、高
記録密度で高信頼性の接触式磁気ヘッドスライダを提供
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触式磁気ヘッドスライダの基本構成
を示す断面図である。
【図2】従来のピボットが1つの接触式磁気ヘッドスラ
イダの摺動状態を示す断面図である。
【図3】従来のピボットが1つの接触式磁気ヘッドスラ
イダの摺動状態を示す断面図であり、跳躍を生じている
様子を示す。
【図4】従来のピボットが1つの接触式磁気ヘッドスラ
イダの摺動状態を示す断面図であり、跳躍を生じている
様子を示す。
【図5】従来のピボットレスの接触式磁気ヘッドスライ
ダの摺動状態を示す断面図である。
【図6】従来のピボットレスの接触式磁気ヘッドスライ
ダの摺動状態を示す断面図であり、跳躍を生じている様
子を示す。
【図7】従来のピボットレスの接触式磁気ヘッドスライ
ダの摺動状態を示す断面図であり、跳躍を生じている様
子を示す。
【図8】従来のピボットが1つの接触式磁気ヘッドスラ
イダの摺動状態を示す断面図である。
【図9】従来のピボットが1つの接触式磁気ヘッドスラ
イダの摺動状態を示す断面図であり、跳躍を生じている
様子を示す。
【図10】本発明の別の接触式磁気ヘッドスライダの摺
動状態を示す断面図である。
【図11】本発明の接触式磁気ヘッドスライダのコンタ
クトパッドとピボット位置関係およびサスペンション構
成を示す図である。
【図12】本発明の接触式磁気ヘッドスライダを用いた
接触式磁気ディスク装置の基本構成を示す断面図であ
る。
【図13】本発明のおよび従来の接触式磁気ヘッドスラ
イダのコンタクトパッドとピボット位置関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 スライダ 11 コンタクトパッド 12 ジンバルばね 13 ピボット 14 サスペンションばね 15 支持アーム 16 磁気ディスク媒体 17,111 磁気ディスク媒体の進行方向 18 磁気ヘッドスライダ 19 磁気記録再生素子 20 ピボット回りの回転モーメント 21 摺動による摩擦力 30 跳躍振動 50 ピボットレスサスペンションばね 51 重心点回りの回転モーメント 100 摩擦力ベクトル 101 跳躍方向の力ベクトル 102 合成ベクトル 110 分割サスペンションばね 112 コンタクトパッドA 113 コンタクトパッドB 120 潤滑剤 121 保護膜 122 磁性体 123 下地層 124 基板 130 スライダ重心

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンタクトパッドを設けた磁気ヘッドス
    ライダと、この磁気ヘッドスライダに押し付け荷重を加
    えるピボットを有する接触式磁気ヘッドスライダにおい
    て、前記ピボットを2つ以上設けることを特徴とする接
    触式磁気ヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 ピボットがコンタクトパッドの直上部に
    位置することを特徴とする請求項1記載の接触式磁気ヘ
    ッドスライダ。
  3. 【請求項3】 すべてのピボットをコンタクトパッドの
    中心位置から磁気ディスク媒体の進行方向に1μm以上
    100μm以下の範囲でオフセットさせることを特徴と
    する請求項1記載の接触式磁気ヘッドスライダ。
  4. 【請求項4】 スライダ重心よりも磁気ディスク媒体の
    進行方向の前方に位置したコンタクトパッド上部のピボ
    ットをコンタクトパッドの中心位置から磁気ディスク媒
    体の進行方向に1μm以上100μm以下の範囲でオフ
    セットさせることを特徴とする請求項1記載の接触式磁
    気ヘッドスライダ。
  5. 【請求項5】 複数のピボットがそれぞれ独立したサス
    ペンションばねに配置されていることを特徴とする請求
    項1,2,3または4記載の接触式磁気ヘッドスライ
    ダ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001016949A1 (fr) * 1999-08-30 2001-03-08 Seiko Instruments Inc. Tete optique

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