JPH10183810A

JPH10183810A - 吸音パネル

Info

Publication number: JPH10183810A
Application number: JP8354973A
Authority: JP
Inventors: Mikio Kono; 幹男河野; Takashi Ikebe; 喬池辺
Original assignee: DAICEL SAKAI JITSUGYO KK
Current assignee: DAICEL SAKAI JITSUGYO KK
Priority date: 1996-12-19
Filing date: 1996-12-19
Publication date: 1998-07-14

Abstract

(57)【要約】【課題】経済的で軽量な吸音体に係り、詳しくは、
吸音効率並びに断熱性、撥水性、美装性に優れ、天井・
壁材等の建材として施工されるのみならず、吸音パーテ
イションとして騒音発生源の一部または全部を囲むこと
ができる吸音パネルを提供する。【解決手段】吸音層、空気層、背面板が、順次、積層
されてなる吸音パネル。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、経済的で軽量な吸
音体に係り、詳しくは、吸音効率並びに断熱性、撥水
性、美装性に優れ、天井・壁材等の建材として施工され
るのみならず、吸音パーテイションとして騒音発生源の
一部または全部を囲むことができる吸音パネルに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から吸音体として、ガラスウール、
ロックウール、フエルトなど無機または有機化合物の繊
維状物質を積層したものが採用されてきた。また、特開
昭６３−１１６１９７号公報に記載されているように、
背面板と該背面板の表面に複数個の管状吸音室を有する
吸音積層体と更に該吸音積層体の表面に多孔質金属板と
を積層して構成された多孔質構造体が存在する。この多
孔質金属板はアルミニウム系エクスバンドメタルと金属
繊維層との積層体で構成されるものであり、この多孔質
金属板を通過して吸音積層体内に入った騒音は、吸音積
層体の管状吸音室内で効果的に熱に変換されて減衰吸音
されることになる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、耐食
性、加工性、量産性に優れ、軽量であって吸音性能の安
定した吸音幅の広い吸音体を提供することにある。従
来、工場などの騒音対策は、周辺住民などの苦情に対応
するもので騒音を外に出さない、いわゆる遮音方式であ
った。しかし、この方式は工場内で作業する労働者の環
境は逆に悪化することになる。一方、吸音方式は振動エ
ネルギーを吸収することにより防音するもので外部に騒
音を出さないばかりでなく、工場内での作業者にも振動
エネルギーの反動による増幅はないので、より優れた防
音方式といえる。また、騒音源であるモーターブロワー
などを遮音する場合、防音効果を上げるためには完全に
密閉する必要がある。しかし、機械の制約上、空気取入
口あるいは排気口を設置する必要があったり、注油、点
検などのための開口部が避けられず、これが、防音効果
を著しく妨げている。本発明による吸音ボックスでは、
表２の評価結果に示すように、上蓋を開放した状態（上
蓋なし）でも充分吸音効果を示していることが特徴であ
る。なお、参考のために示した密封状態（上蓋をセット
した状態）では同時に測定した暗騒音（対照例）とほぼ
等しい値を示していることから吸音効果の高さを示して
いる。また、これらの評価結果は従来技術による防音ボ
ックスのように詳細な設計図面に基づく施工を必要とせ
ず、規格寸法の吸音パネルを組み合わせることにより簡
単に吸音ボックスを実現することができる。現場での組
立、施工に当たっては、オフィスなどのパネルによる間
仕切などに広く使用されている支柱、チャンネル、金物
などを流用することが安価で便利である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、吸音層、空気
層、背面板が、順次、積層されてなる吸音パネルまたは
保護層が表面層として吸音層上に設けられてなる吸音パ
ネル、とりわけ、吸音層としてアセテート繊維の圧縮成
形体を、空気層として押出発泡ポリスチレン板を用いる
ことを特徴とする吸音パネル、特にアセテート繊維の圧
縮成形体が、三次元分布短繊維集合体を積層し、圧縮成
形したものである吸音パネルを提示するものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の吸音パネルを構成する保
護層は、機械的強度の乏しい吸音材を保護するためのも
ので、騒音発生源からの振動エネルギーを、反射するこ
となく効率的に吸音材へ導入するものであれば何でもよ
く、一般的に天然または合成繊維による織布または不織
布が使用される。また必要に応じガラス繊維、ロックウ
ールなどの不燃材、防炎または難燃処理されたポリエス
テル、ポリ塩化ビニールなどの織布または不織布を使用
することができる。ただし、経済性等の観点から、用途
によっては保護層を省略することもできる。

【０００６】次に、本発明の吸音パネルを構成する吸音
層は、振動波との接触面積をできるだけ大きくし振動エ
ネルギーを吸収するとともに、そこで伝播された振動波
を微細な気孔に封じ込めることにより熱エネルギーに変
換させるものである。吸音層用素材としは、アセテー
ト、ナイロン、ポリエステル、アクリル、レーヨン、ポ
リ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、
フッソ系等の化学繊維ないし合成繊維、ガラス繊維、ロ
ックウールの単体またはこれらの混合繊維よりなる繊維
集合体が挙げられる。これらの中ではアセテート繊維集
合体が図５に示すように慣用の他種材料に比して、吸音
性に優れ、その上に環境問題対応性に優れている。かゝ
るアセテート繊維集合体の構成および製法は、特開昭５
２−１３２１２２号公報に提示されたものが特に好適で
ある。

【０００７】なお、上記の図５における各試料の明細は
表１に示した。

【表１】

【０００８】本発明における吸音層用材料は上記アセテ
ート繊維集合体を多数積層し、偏平に圧縮成形すること
により得られる。なお、本発明の吸音パネルでは、振動
波との接触をできるだけ効率よくするために、上記のア
セテート繊維圧縮成形偏平体の嵩密度を１５０〜２００
ｋｇ／ｍ³、厚み５〜１０ｍｍとした。

【０００９】また、本発明の吸音パネルを構成する空気
層は、振動エネルギーの伝播を受けた空気が、封じ込め
られやすいように厚さ方向に連通した気孔を有すること
が重要である。該空気層用材料としては、各種合成樹脂
の発泡体、アルミなどの多孔質金属板、セラミックある
いは樹脂粒子を固めた多孔質構造体、樹脂、金属、陶磁
器、木、紙製のハニカムあるいはチューブ状集合体が挙
げられる。これらの中では、軽量性、機械的物性および
生産性の観点よりポリスチレン押出発泡板が好適であ
る。とりわけ、ダイセルフォーム（ダイセル化学工業株
式会社製ポリスチレン押出発泡板嵩密度１５０〜２００
ｋｇ／ｍ³、厚み１５〜５０ｍｍ）は、吸音層用材料と
して、充分な気孔を有すると共に適度の強度（剛性）を
有し、難燃性で軽量且経済的であることから本発明にお
ける空気層として最適である。

【００１０】さらに、本発明における背面板は通気性が
なく、剛性の高いものであればいずれも使用することが
可能であるが、用途に応じて、外観、経済性、軽量性等
をも勘案して、カラートタン、メッキ鋼板、ポリ塩化ビ
ニール板、合板、石膏ボード等その他各種の上市品の中
から選択することができる。

【００１１】上述の構成により本発明の吸音パネルは、
吸音層と空気層を明確に分離するとともに背面板によ
り、空気層からの振動波を完全に遮断し、かつ、背面板
自体を化粧シートにすることができるので吸音ボックス
や移動可能な吸音パーテイションとしても利用できる。

【００１２】

【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明の技術範囲は、これらに限定されない。実施例１図１に示したごとく、吸音層（１）にキルホン（アセテ
ート繊維圧縮集合体株式会社澤田棉行製、嵩密度１８０
ｋｇ／ｍ³、厚み７ｍｍ）を、空気層（２）にダイセル
フォーム（ダイセル化学工業株式会社製押出発泡ポリス
チレン、嵩密度１５０〜２００ｋｇ／ｍ³、厚み１５〜
５０ｍｍ）を、また背面板（３）に市販硬質塩ビシート
２ｍｍ厚を採用し、それぞれをエチレン酢ビ系エマルジ
ョン、ビニゾール４３０（大同化成株式会社製）で、貼
合わせ、吸音パネルＰ₁を製作した。

【００１３】実施例２吸音層キルホンの機械的強度、防炎性を高め、室内装飾
用壁材として使用できるように実施例１で製作した吸音
パネルのキルホンの上に、保護層（４）として下記のク
ロスを実施例１と同様にして貼合せて、吸音パネルＰ₂
を製作した。使用クロスの明細：病院、公共集会所等で
多用されているカーテン基布で防炎処理されたポリエス
テルクロス（株式会社サンゲツ製サンゲツカーテン
ＣＫ−６７４）

【００１４】実施例３実施例１の吸音パネルの構成において、背面板として用
いる硬質塩ビシートを市販カラートタン０．３ｍｍ厚
（住友金属工業株式会社製）に代えてその他はすべて実
施例１と同様にして吸音パネルＰ₃を製作した。

【００１５】実施例４実施例１の吸音パネルの構成において、空気層として用
いるダイセルフォームを、市販寝具、マットレス（発泡
ポリウレタン）を２５ｍｍ厚に調整したものに代替し、
吸音パネルＰ₄を製作した。

【００１６】実施例５実施例１の吸音パネルの構成において、より高い吸音効
果を期待し、空気層に連続気孔を増すために、図３に示
したようにダイセルフォームの厚さ方向にハンダコテに
よる連通孔（Ｈ）を空け、その他はすべて実施例１と同
様にして吸音パネルＰ₅を製作した。なお、連通孔
（Ｈ）は縦横２ｃｍ間隔に引いた直線の交点に直径５ｍ
ｍの加熱したハンダコテを貫通させることにより実現し
た。

【００１７】［吸音性評価方法］このようにして得られ
た吸音パネルを加工して図４のごとく一辺が約５０ｃｍ
の直方体吸音ボックスを製作し吸音率の測定に供した。
測定にあたっては、上蓋を開放した状態、および上蓋が
あり、密封した状態でボックス中央にジスクグラインダ
ー（ＪＧ−１００、回転数１１，０００ｒｐｍ、力山日
本株式会社製）を宙吊で作動させ、吸音ボックス側板か
ら１ｍの距離にあり、ジスクグラインダーと水平位置に
ある高さを測定点とした。騒音の測定には普通騒音計
（ＴＹＰＥ１０１５、ＪＥＩＣ電子測器株式会社製、通
産省型式承認番号第Ｓ−１３号）を使用した。なお、吸
音ボックスを取り除いた状態で、他条件を同一とした騒
音測定を行い、吸音効果評価のための比較例とし、音源
のない状態（暗騒音）での測定値を対照例とした。

【００１８】供試料の構成と評価結果をまとめて表２に
示した。

【表２】表２より明らかなように、実施例１〜５の吸音パネル
は、比較例１に比べ、特に密封状態での吸音性が高く、
音源を設けた場合でも、音源を設けない暗騒音時と殆ど
変わらない値を示すことが分かる。

【００１９】実施例６実用上の効果を評価するために縦９０ｃｍ、横１３５ｃ
ｍ、高さ１３５ｃｍの吸音ボックスを作製し、振動ふる
い機の吸音効果を評価した。図６に吸音ボックスによる
吸音効果の測定方法を示す。ボックスに使用した吸音パ
ネルは実施例１記載の構成で保護層（４）としてガラス
クロス（日東紡績株式会社製ＷＬ１８０ライトグレ
ー）を使用した。パネルの周辺は建築の間仕切金物とし
て多用されている、いわゆるＣチャンネル（内寸３８ｍ
ｍ、外寸４０ｍｍ）で保護され、これを同じく内寸４０
ｍｍ、外寸４１ｍｍのＪ型チャンネルにはめ込み、これ
を間仕切用支柱とねじ止めする方法によりプレハブ化す
ることができた。この方法では、上述寸法の吸音ボック
スが３０分で組立あるいは解体することができる。振動
ふるい機は株式会社興和工業所製ＫＦ−１２００−２
Ｄ型を使用し、音源の側面から１ｍ、底面から高さ６５
ｃｍにあたる位置で周波数別に騒音の測定を行った。そ
の結果を図７に示す。

【００２０】

【発明の効果】上述したごとく、本発明の吸音パネル
は、吸音層、空気層および背面板を順次に積層したも
の、または、之に保護層を設けた積層構成のパネルであ
り、特に、吸音層用として、アセテート短繊維の三次元
分布集合体の圧縮成形体が、また、空気層として、押出
し成形発泡ポリスチレン板が好適であり、軽量で、機械
的物性、耐食性、生産性等に優れ、かつ、良好な吸音性
が得られた。本発明の吸音パネルは内装建材やパーティ
ション用パネル等として特に好適である。

【００２１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の吸音パネルを例示する斜視図である。

【図２】本発明の吸音パネルの他の実施態様を例示する
斜視図である。

【図３】空気層に連通孔を設けた本発明の吸音パネルを
例示する断面図である。

【図４】吸音効果の測定方法の態様を示す斜視図であ
る。

【図５】各種繊維集合体の吸音特性の比較図である。

【図６】吸音ボックスによる吸音効果の測定方法の態様
を示す斜視図である。

【図７】吸音ボックスによる吸音効果の測定結果を示す
図である。

【符号の説明】

１吸音層２空気層３背面板４保護層５騒音発生源６吸音ボックス７振動ふるい機Ｈ連通孔Ｆ前面測定位置Ｂ背面測定位置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】吸音層、空気層、背面板が、順次、積層
されてなる吸音パネル。
【請求項２】保護層が表面層として吸音層上に設けら
れてなる請求項１記載の吸音パネル。
【請求項３】吸音層としてアセテート繊維の圧縮成形
体を、空気層として押出発泡ポリスチレン板を用いるこ
とを特徴とする請求項１または２に記載の吸音パネル。
【請求項４】アセテート繊維の圧縮成形体が、三次元
分布短繊維集合体を積層し、圧縮成形したものである請
求項３に記載の吸音パネル。