JPH10182113A - 無機塩の過酸化水素複合体およびその合成方法 - Google Patents

無機塩の過酸化水素複合体およびその合成方法

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JPH10182113A JP9270354A JP27035497A JPH10182113A JP H10182113 A JPH10182113 A JP H10182113A JP 9270354 A JP9270354 A JP 9270354A JP 27035497 A JP27035497 A JP 27035497A JP H10182113 A JPH10182113 A JP H10182113A
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Xiaolan Chen
クシアオラン・チェン
Paul T Jacobs
ポール・ティー・ジャコブス
Szu-Min Lin
ズ−ミン・リン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は過酸化水素蒸気滅菌装置および方法
に使用する無機塩−過酸化水素複合体を製造するペ−ス
ト法を提供する。 【解決手段】 無機塩−過酸化水素複合体を製造する方
法は、(a)無機塩を十分な水と軟質ペーストを形成す
るのに十分な時間混合する工程と、(b)ペーストを過
酸化水素水溶液と混合して過酸化水素含有ペーストを形
成する工程と、(c)過酸化水素含有ペーストを乾燥す
る工程とを含む。Na427 ・3H22 を製造す
る水和物法は、ピロ燐酸ナトリウムデカ水和物個体を3
0%未満の濃度を有する過酸化水素水溶液と混合する工
程と、混合物を乾燥する工程とを含む。合成物として、
2 HPO4 ・3H22 、KH2 PO4 ・H22
Ca227 ・nH22 、Ca224 ・nH2
2 、Na2 SO4 ・nH22 、K2 SO4 ・nH2
2 、Na2 SiO3 ・nH22 およびNa2 SiO
7 ・nH22 を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は無機過酸化水素複
合体を合成する方法およびその無機過酸化水素複合体に
関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】医療
器具は伝統的に、スチーム(蒸気)により供給されるよ
うな熱、あるいは気体または蒸気状態のホルムアルデヒ
ドまたはエチレンオキシドのような化学薬品を使用して
滅菌されている。これらの方法は各々が欠点を有してい
る。ファイバーオプチック装置、内視鏡、電動工具など
のような医療装置に対して感応しやすい。ホルムアルデ
ヒドおよびエチレンオキシドは共に作業員のヘルスケア
に潜在的に危険となる有毒な気体である。エチレンオキ
シドに伴う問題はその使用が滅菌された製品から気体を
除去するのに長時間のエアレーションを必要とするため
に、特に深刻である。このことは滅菌のサイクル時間を
長くし、望ましくない。さらに、ホルムアルデヒドおよ
びエチレンオキシドは共にシステム中に多量の水分の存
在を必要とする。従って、滅菌する装置は化学薬品を導
入する前に湿らす必要があり、または化学薬品と水分を
同時に導入しなければならない。水分は表1に示される
ようにエチレンオキシドおよびホルムアルデヒドの他
に、気体または蒸気状態の様々な化学薬品と一緒に滅菌
において役割を果たす。
【0003】
【表1】 最適効力のための 化学薬品 相対湿度要求条件 参考文献 エチレンオキシド 25〜50% 1 プロピレンオキシド 25〜50% 1 オゾン 75〜90% 2 ホルムアルデヒド 75%未満 1 グルタルアルデヒド 80〜90% 3 二酸化塩素 60〜80% 4 臭化メチル 40〜70% 1 βープロピオラクトン 75%未満 1 過酢酸 40〜80% 5 1.Bruch, C.W. の「気体滅菌」,Ann. Rev. Microbio
logy 15,245〜262(1961年)。 2.Janssen, D.W. およびSchneider,P.M.の「エチレン
オキシド代替滅菌技術の概説」,Zentralsterilisation
1,16〜32(1993年)。 3.Bovallius, A. および Anas.P.の「気体ーエーロゾ
ル相のグルタルアルデヒドの表面ー汚染除去作用」, Ap
plied and Environmental Microbiology, 129〜13
4(1977年8月)。 4.Knapp, J.Eらの「気体滅菌としての二酸化塩素」,M
edical Device & Diagnostic Industry,48〜51(1
986年9月)。 5.Portner, D.M. および Hoffman,R.K. の「過酢酸蒸
気の殺胞子作用」,Applied Microbiology 16,17
82〜1785(1968年)。
【0004】過酸化水素蒸気を使用する滅菌は、他の化
学的滅菌法(例えば米国特許第4,169,123 号および第4,
169,124 号参照)と比べて幾つかの利点を有することが
わかっており、また過酸化水素とプラズマの組合わせ
は、米国特許第4,643,876 号に開示されているような利
点をさらに与える。これらの開示において、過酸化水素
蒸気は過酸化水素の水溶液から発生し、それにより確実
に水分がシステム中に存在する。これらの開示は表1の
概要と共に、蒸気相の過酸化水素が効果的であるために
は、又はその最大殺胞子活性を示すためには水分が必要
であることを教示している。しかしながら、滅菌のため
過酸化水素蒸気を発生させるのに過酸化水素の水溶液を
使用することは問題を引き起こす。大気圧のような高圧
で、システム中の過剰な水は凝縮を引き起こす。従っ
て、水性過酸化水素蒸気を導入する前に滅菌用閉鎖容器
中の相対湿度を下げる必要がある。
【0005】細長い内腔(lumen)のような拡散が制限さ
れる領域を含む製品の滅菌では、過酸化水素水溶液から
発生させた過酸化水素蒸気に対して特別なチャレンジを
している。 理由:1.水は過酸化水素より蒸気圧が高く、水溶液か
ら過酸化水素より速く気化するため。 2.水は過酸化水素より低い分子量を有し、蒸気状態で
過酸化水素より速く拡散するため。 このため、過酸化水素の水溶液が気化される場合、水が
最初に高濃度で滅菌される製品に到達する。従って、水
蒸気は、小さな隙間および細長い内腔のような拡散が制
限される領域への過酸化水素蒸気の浸透に対してバリヤ
ーになる。水溶液から水を除去し、より濃縮された過酸
化水素を使用することにより溶液が酸化性になるため危
険となる。
【0006】米国特許第4,642,165 号と同第4,744,951
号はこの問題を取り扱っている。前者は過酸化水素溶液
の小インクレメントを加熱表面上に計量して、次のイン
クレメントが加えられる前に各インクレメントが気化さ
れることを開示している。このことは、過酸化水素と水
との蒸気圧および揮発性の違いを排除するのに役立つ
が、蒸気状態で水が過酸化水素より速く拡散するという
事実には触れていない。後者の特許は過酸化水素と水の
比較的希薄な溶液から過酸化水素を濃縮し、そして濃縮
過酸化水素を蒸気形態でチャンバーに供給する方法を開
示している。この方法は多量の水を溶液から気化させ、
そして濃縮過酸化水素蒸気を滅菌チャンバーに導入する
前に生成した水蒸気を除去する工程を含む。濃縮過酸化
水素溶液の好ましい範囲は、50〜80重量%である。
この方法は危険な範囲、すなわち65%以上の過酸化水
素を含有する溶液を用いて作業するという欠点を有し、
また蒸気状態からすべての水を除去するわけではない。
水が溶液中にまだ存在するため、水が最初に気化し、よ
り速く拡散し、そして最初に滅菌される製品に到達す
る。この作用は特に細長い内腔において著しい。
【0007】米国特許第4,943,414 号は少量の揮発性液
体滅菌剤溶液を含有する導管が内腔に取付けられ、そし
て滅菌サイクル時に圧力を下げると滅菌剤が気化し、製
品の内腔に直接流入する方法を開示している。このシス
テムは、水と過酸化水素蒸気が存在する差圧により内腔
を通して引っ張られ、内腔の滅菌速度を増加するという
利点を有するが、滅菌される内腔のそれぞれに導管を取
付ける必要があるという欠点を有する。さらに、水をよ
り速く気化させ、過酸化水素蒸気より先に内腔に入れ
る。
【0008】米国特許第5,008,106 号は、PVPとH2
2 の実質的に無水の複合体が表面の微生物含量を減ら
すのに有用であることを開示している。白色の微粉末形
態の複合体は、抗微生物溶液、ゲル、軟膏、などを生成
するために使用される。それはまた、ガーゼ、綿棒、ス
ポンジなどに塗布することができる。H2 2 は微生物
を含有する表面上に存在する水と接触させて放出するこ
とができる。従って、この方法は水分の存在を非常に必
要とするため滅菌を行なうことができない。
【0009】ある無機過酸化水素複合体は以下の分類に
例を挙げて報告されている:アルカリ金属およびアンモ
ニウムカーボネート、アルカリ金属オキサレート、アル
カリ金属ホスフェート、アルカリ金属ピロホスフェー
ト、フッ化物と水酸化物。旧ソ連特許明細書No.SU
1681860(Nikolskayaら)は、フッ化アンモニウムペルオ
キソ水和物(NH4 F・H2 2 )を使用して表面を必
ずしも滅菌できないが、汚染除去できることを開示して
いる。しかしながら、この無機過酸化水素複合体は70
〜86℃の非常に狭い温度範囲内でのみ汚染が除去され
る。この範囲内でさえ、汚染除去時間は長く、少なくと
も2時間を要した。さらに、フッ化アンモニウムは40
℃以上の温度で分解してアンモニアとフッ化水素酸とな
ることが知られている。その毒性と反応性のため、フッ
化水素酸は殆どの滅菌システムにおいて望ましくない。
またNikolskayaらは、60℃でその過酸化水素の90%
を放出するにも関わらず、NH4 F・H2 2 はこの温
度での表面の汚染除去において効果的でないことを開示
している。従って、過酸化水素以外の要因が上記の汚染
除去に関与すると考えられる。
【0010】過酸化水素は有機化合物と無機化合物の両
方を有する複合体を生成することができる。これらの複
合体の結合は、複合体を生成する化合物の電子に富む官
能基と過酸化物の水素との間の水素結合によるものであ
る。複合体は漂白剤、消毒剤、滅菌剤、有機合成におけ
る酸化試薬およびラジカル重合反応用触媒のような商業
的および工業的用途に使用されている。一般に、これら
のタイプの化合物は水溶液からの複合体の結晶化により
製造されている。例えば、尿素ー過酸化水素複合体は、
Luら(J.Am. Chem. Soc.63(1),1507〜151
3(1941年))により、尿素溶液を過酸化水素溶液
に加え、適当な条件の下で複合体を結晶化することによ
って、液相中で製造された。米国特許第2,986,448 号
は、Na2 CO3 飽和水溶液を50〜90% H2O2 溶
液と共に閉サイクルシステムにおいて0〜5℃で4〜1
2時間処理することによる炭酸ナトリウム−過酸化水素
複合体の製造を開示している。最近、米国特許第3,870,
783 号は、過酸化水素および炭酸ナトリウムの水溶液を
バッチ又は連続結晶化器で反応させることによる炭酸ナ
トリウム−過酸化水素複合体の製造を開示している。結
晶をろ過または遠心分離により単離し、溶液をさらに炭
酸ナトリウム溶液を生成するために使用する。Titovaら
(Zhumal Neorg.30,2222ー2227,1985
年)は、低温で固体の炭酸カリウムと過酸化水素水溶液
を反応させ、続いてエタノールから複合体の結晶化する
ことによる炭酸カリウムペルオキソ水和物(K2 CO3
・3H2 2 )の合成を開示している。これらの方法
は、水溶液から安定で結晶性のさらさらした生成物を生
成する過酸化物複合体についてはうまくゆく。
【0011】米国特許第3,376,110 号および第3,480,55
7 号は、過酸化水素とN−ビニル複素環式重合体化合物
(PVP)の複合体の水溶液からの製造を開示してい
る。得られる複合体は変動し得る量の過酸化水素と多量
の水を含有した。米国特許第5,008,093 号は、PVPお
よびH2 2 のさらさらした、安定で実質的に無水の複
合体がPVP懸濁液およびH2 2 溶液を酢酸エチルの
ような無水の有機溶媒中で反応させることにより得られ
ることを教示している。最近、米国特許第5,077,047 号
は、30〜80重量%の過酸化水素水溶液の微細な液滴
を周囲温度60℃に維持されたPVP流動床に加えるこ
とによりPVP−過酸化水素生成物を生成するための工
業プロセスを開示している。得られる生成物は過酸化水
素濃度が15〜24%である安定で実質的に無水のさら
さらした粉末であることがわかった。
【0012】米国特許第5,030,380 号は、最初に水溶液
中で複合体を生成し、次に反応生成物を真空下で乾燥す
るか、あるいは、生成物の熱分解を回避できる程に低い
温度で噴霧乾燥することによる過酸化水素との固体重合
体電解質複合体の製造を開示している。
【0013】Titovaら(Russ. J. Inorg. Chem.,40:
384−387、1995年)は、Na4 2 7 ・1
0H2 Oを真空乾燥が行なわれる30〜90%のH2
2 溶液に混合することにより、Na4 2 7 ・3H2
2 複合体を生成した。この複合体を観察して120℃
と140℃で2時間、等温にして一部分解した。
【0014】以前のこれらの過酸化水素複合体の製造法
はすべて、過酸化水素溶液を使用する。複合体が過酸化
水素を含有する溶液中で生成されるか、過酸化水素溶液
の液滴が反応物質の流動床に噴霧される。
【0015】蒸気相と気相反応はよく知られている合成
法である。例えば、米国特許第2,812,244 号は脱水素、
熱分解および脱メタンの固体一気体プロセスを開示して
いる。Fujimotoら(J. Catalysis, 133,370〜3
82(1992年)は、メタノールの蒸気相カルボニル
化を開示した。Zellers ら(Anal. Chem.,62,122
2〜1227(1990年))はスチレン蒸気と正方平
面形の有機白金錯体との反応を検討した。しかしなが
ら、これらの従来の蒸気相および気相反応は過酸化水素
複合体を生成するのに使用されなかった。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の一面は、製品の
無機塩−過酸化水素複合体を製造するペースト法に関す
る。この方法は、(a)前記塩を十分な水と軟質ペース
トを形成するのに十分な時間混合する工程と、(b)前
記ペーストを過酸化水素水溶液と混合して過酸化水素含
有ペーストを形成する工程と、(c)前記過酸化水素含
有ペーストを乾燥させる工程を含む。この塩は燐酸塩あ
るいは縮合燐酸塩を含む様々な無機塩でよい。この塩の
望ましい陽イオン(カチオン)にはナトリウム、カリウ
ム、カルシウム、あるいはマグネシウムが含まれる。従
って、好ましい塩は、特に、得られる複合体がNa4
2 7 ・3H2 2 のような2個以上のH2 2 分子を
有するNa4 2 7 である。好ましい他の複合体は、
3 PO4 ・3H2 2 のような2個以上のH2 2
子で特に合成された場合のK3 PO4 の複合体である。
好ましい他の無機塩には、特に陽イオンがナトリウムで
ある珪酸塩(シリケート)がある。従って、好ましい複
合体は、1個以上のH2 2 分子で特に合成された場合
のNa2 SiO3 の複合体である。使用する過酸化水素
水溶液は約12%と約80%の間の濃度を有するのが望
ましい。乾燥工程は真空乾燥および/又はオーブン乾燥
とすることができる。
【0017】本発明の別の面は、Na4 2 7 ・3H
2 2 を製造する水和物法に関する。この方法はピロ燐
酸ナトリウムデカ水和物固体を30%未満の濃度を有す
る過酸化水素水溶液と混合する工程と、上記混合物を乾
燥させる工程を含む。過酸化水素の濃度は約12%が望
ましい。
【0018】本発明は、以下のK2 HPO4 ・nH2
2 (n=3が望ましい)、KH2 PO4 ・nH2
2 (n=1が望ましい)、Ca2 2 7 ・nH
2 2 、Mg22 7 ・nH2 2 、Na2 SO4
nH2 2 、K2 SO4 ・nH2 2 、Na2 SiO3
・nH2 2 、あるいはNa2 Si3 7 ・nH2 2
を含む多くの合成物にも関する。
【発明の実施の形態】この出願は、1995年10月2
7日に出願された本出願人の同時係属出願、第08/549,4
25号の開示を含み、そこでその開示を参考として含め
る。
【0019】従来から使用されている過酸化水素滅菌器
はその滅菌剤源として過酸化水素の水溶液を使用してい
る。これらの滅菌器は、本システム中に水が存在するこ
とにより生じる欠点がある。大気圧のような高圧では、
本システム中の過剰な水は凝縮を起こすことがある。こ
のことにより水性過酸化水素蒸気を導入する前に、滅菌
される囲いの中の大気の相対湿度を許容レベルまで低下
させるために行なう余分な工程が必要になる。これらの
滅菌器はまた、水が過酸化水素より高い蒸気圧を有し、
水溶液からより速く気化するという事実と、水が過酸化
水素より低い分子量を有し速く拡散するという事実によ
り生じる欠点がある。医療装置などが滅菌器に封入され
る場合、過酸化水素源(ソース)から装置に到達する初
期の滅菌剤はその源の濃度と比べて希薄になっている。
希薄な滅菌剤は特に滅菌される装置が内視鏡のような、
狭い内腔を有する製品である場合、その後に到達する滅
菌剤に対してバリヤーになる。これらの欠点を克服する
ために過酸化水素の濃縮溶液をその源として使用するこ
とは、このような溶液が危険であるために不十分であ
る。
【0020】本発明では、従来の過酸化水素滅菌器の欠
点は、実質的に非水の過酸化水素蒸気を放出する実質的
に非水(すなわち、実質的に無水)の過酸化水素源を使
用することによって克服される。好ましい態様では、実
質的に非水の過酸化水素蒸気は実質的に非水の過酸化水
素複合体から直接発生する。しかしながら、実質的に非
水の過酸化水素蒸気はまた、水を除去するために気化中
に、例えば真空下で処理される水性複合体から発生させ
ることもできる。従って、水性過酸化水素複合体を使用
する場合、本発明の方法を実施しながら、水性複合体を
実質的に非水の過酸化水素複合体に変えることができ
る。非水の過酸化水素複合体は、実質的に、約20%以
下、より好ましくは約10%以下、さらに好ましくは約
5%以下、そして最も好ましくは約2%以下の水を含有
することが望ましい。
【0021】上記本発明で使用される実質的に非水の過
酸化水素複合体に含まれる水の好ましい百分率から明ら
かなように、最も好ましい過酸化水素複合体とそれから
発生する過酸化物蒸気は実質的に無水である。それにも
関わらず、これらの数値からも明らかなように、本シス
テム中には水が少し存在することがある。この水のなか
には過酸化水素の分解を誘導して水と酸素を副生成物と
して生成するものがあり、またこの水とその複合体の水
素結合が生じる場合もある。
【0022】種々の相対湿度に維持したチャンバーを用
いて、水の効果を一連の試験で測定した。試験条件は下
記の実施例1に記載した通りであり、胞子を、3mm/
50cmのステンレス鋼(SS)内腔中、ステンレス鋼
ブレードで支持した。表2に示すように、試験条件下で
5%の相対湿度は効力に全く影響を及ぼさないが、10
%の相対湿度は滅菌速度を低下させる。この例は、非水
の過酸化物複合体から発生した過酸化水素を有するシス
テム中で少量の水分が許容され、またシステム中に水が
存在しても暴露時間を増加することによって克服できる
ことを示している。
【0023】
【表2】 効力における相対湿度の効果 3mm×5cmステンレス鋼内鋼中のステンレス鋼ブレード 拡散時間 滅菌結果(陽性/サンプル) 1%の相対湿度 5%の相対湿度 10%の相対湿度 5 0/3 0/3 3/3 10 0/3 0/3 2/3 15 0/3 0/3 0/3 30 0/3 0/3 0/3
【0024】過酸化水素源の組成における主要な基準
は、温度と圧力の関数としての、その組成の安定度と過
酸化水素蒸発速度の関係である。滅菌法のパラメータ
ー、例えば圧力、温度などに応じて、高めまたは低めの
過酸化物蒸発速度が好ましく、また過酸化物源の加熱が
必要または不必要である。過酸化物複合体の加熱の必要
性は複合体の蒸気圧に依存する。過酸化物複合体のなか
には、複合体を加熱しないで著しい量の過酸化水素蒸気
を放出できる程に十分に高い蒸気圧を有するものがあ
る。複合体を加熱すると、通常、過酸化水素の蒸気圧が
増加し、複合体からの過酸化物の放出が促進する。
【0025】所望の高い蒸発速度を与えるために、この
源は大きい表面積を有することが好ましい。従って、そ
の源は微粉末、または大きい表面積を有する材料上の被
覆(コーティング)であってもよい。勿論、材料の安全
性、入手可能性およびコストもまた重要な基準である。
尿素、ポリビニルピロリドン、ナイロン−6、無水グリ
シンおよび1,3−ジメチル尿素との過酸化水素複合体
からの過酸化水素の放出を評価した。尿素、ポリビニル
ピロリドン、ナイロン−6、無水グリシンと過酸化水素
の複合体は固体である。1,3ージメチル尿素−過酸化
水素複合体は液体である。無水グリシンー過酸化水素複
合体は評価された他の複合体よりも減圧下で不安定な複
合体であり、また真空条件下でさらに加熱する必要もな
く殆どの過酸化水素を複合体から放出することができ
る。
【0026】尿素−過酸化水素複合体は、Fluka Chemic
al社から錠剤で、またAldrich Chemical社から粉末で入
手することができる。この複合体は尿素過酸化物、過酸
化水素−尿素複合体、ペルオキシド尿素、ペルオキシド
尿素アダクト、尿素過酸化物アダクト、ペルカルバミド
(percabamide)、カルバミド過水和物(carbomide perhy
drate)およびカルバミド過酸化物(carbomide peroxide)
としても知られている。本明細書で使用される用語「尿
素過酸化物」は上記の用語のすべてを含んでいる。
【0027】ポリビニルピロリドン−過酸化水素複合体
(PVPーH2 2 )は国際出願公報No.WO92/
17158に開示されている方法で製造することができ
る。あるいは、PVP、ナイロンー6、1,3−ジメチ
ル尿素および無水グリシンとの、並びに他の有機および
無機化合物との複合体は、下記に詳細に開示される方法
により製造することができる。
【0028】その源(ソース)からの無水過酸化物蒸気
の適当な蒸発速度は、高温および/又は減圧で容易に達
成することができる。従って、過酸化物源のヒーターお
よび/又は滅菌チャンバーを排気するための真空ポンプ
は、滅菌器の一部であることが望ましい。好ましくは、
その源は気体透過材料、例えばTYVEK(商標)ポリ
エチレン不織布、SPUNGUARD(商標)のような
ポリプロピレン不織布、または過酸化物蒸気を通過させ
るが過酸化物複合体を通過させない同様の材料の層でカ
バーされる。有孔アルミニウムまたは他の適当な有孔材
料もまたカバーとして使用することができるだろう。
【0029】図3は、種々の温度条件下で過酸化水素複
合体からの過酸化水素の放出を測定するために使用でき
る装置80を示す。この装置では、アルミニウムパン9
0はメディカルグレードのTYVEK(商標)の層のよ
うな気体透過性層92でカバーされる。パン90はパイ
レックスパン96の中にある加熱パッド94の上部に配
置される。熱電対温度計98は、パン90の外側、その
底から約1cmに配置される。好ましい実施態様では、
アルミニウムパン90は、蓚酸カリウム過酸化水素複合
体が大気圧で多量に放出できるように大気に開放され
る。
【0030】過酸化物源を保持するための好ましい容器
99を図4に示す。容器99は、場合により固体状過酸
化物複合体を加熱するために使用されるヒーターを取付
けた金属プレート100、例えばアルミニウムプレート
を含む。温度計のような温度モニター101をプレート
100の上に置いて温度をモニターすることができる。
過酸化物複合体をプレート100の上に直接配置する。
別な方法として、すべての過酸化物複合体を均一に加熱
するために、その過酸化物複合体をプレート100の上
部にある1個以上のアルミニウムスクリーン102,1
04の間に置くことができる。より多量の過酸化物複合
体を使用している場合、アルミニウムスクリーン10
2,104は広い表面積となり、複合体を均一に加熱す
る。次に、過酸化物複合体やスクリーン102,104
を、メディカルグレードのTYVEK(商標)またはS
PUNGUARD(商標)の層のような気体透過性層1
06でカバーして、それにより複合体から放出された過
酸化水素は、カバー106を通過し、その後、残りのチ
ャンバー内に拡散する。場合によっては有孔アルミニウ
ムプレート108をTYVEK(商標)あるいはSPU
NGUARD(商標)層106の上部に配置し、それに
より複合体と熱プレート100の接触を維持し、過酸化
物複合体の均一な加熱を確実にする圧力を与える。
【0031】上記説明した装置は複合体を均一に加熱
し、その結果、過酸化物複合体から放出された過酸化水
素蒸気の量が増加する。
【0032】図1は本発明の過酸化水素蒸気滅菌装置の
略図である。チャンバー10は滅菌される製品12を保
持し、その製品は好都合には棚14の上に置かれる。ド
ア16によりチャンバー10の内部にアクセスすること
ができる。非水の過酸化水素源18を温度コントローラ
ー22により制御される任意のヒーター20上に示す。
過酸化物濃度は任意のモニター24によりモニターする
ことができる。所望ならば、チャンバー10はポンプ2
6を使用して排気することができるが、滅菌は大気圧で
も行なうことができる。
【0033】滅菌される製品を保持する容器は排気され
る従来の滅菌チャンバーでも、また大気圧の容器(また
は部屋)でもよい。
【0034】製品を滅菌するのに必要な時間は、製品の
性質、数および包装、並びにチャンバー中のそれらの位
置に依存する。あるいは、その時間は滅菌されるチャン
バーそのもの(あるいは部屋全体)に依存する。何れに
せよ、最適な滅菌時間は経験的に決定することができ
る。
【0035】滅菌技術でよく知られているが、圧力パル
スを使用して滅菌剤気体の浸透と抗微生物活性を高める
ことにより非水の過酸化水素滅菌法に応用することもで
きる。この明細書で説明した方法と装置に関連する用途
に適応できる圧力パルスの具体的方法の1つが米国特許
第5,527,508 号に記載されている。その開示をここでは
参考として含める。以下さらに詳しく説明するように、
プラズマを使用しても活性をさらに高めたり、あるいは
残留物を除去することができる。
【0036】滅菌工程の最後に、装置と接触する空気を
交換することにより、過酸化物に対して親和性を有する
装置から過剰な過酸化水素を除去することができる。こ
れは温風を装置に長時間流すことにより、またはチャン
バーを排気することにより行なうことができる。
【0037】過酸化水素蒸気にさらして先に滅菌した製
品を、さらにプラズマにさらして製品に残留する残りの
過酸化水素を除去することができる。過酸化水素がプラ
ズマ処理中、非毒性の生成物に分解されるため、追加の
工程を全く必要とせずに滅菌製品を使用することができ
る。
【0038】過酸化物蒸気を放出した後に蒸気の再吸収
を避けるため、あるいは、プラズマを使用する時に過酸
化物源をプラズマにさらすのを避けるために、滅菌器か
ら過酸化物源を隔離することが望ましい。この隔離は、
使用される複合体が真空下で不安定な場合に有利でもあ
る。隔離は当該技術分野でよく知られている弁(バル
ブ)や他の隔離装置を使用して行なうことができる。
【0039】図2は本発明の過酸化水素プラズマ滅菌シ
ステムの略図を示す。滅菌はプラズマの使用の有無に関
係なく行なうことができる。過酸化物蒸気の殺胞子活性
を高めるか、また滅菌製品に残留する残りの過酸化水素
を除去するために、プラズマを使用することができる。
【0040】滅菌は、滅菌される製品を入れることがで
きるドアまたは開口32を含むチャンバー30で行なわ
れる。チャンバー30は、チャンバーを排気することが
できる真空ポンプ36までの出口34を含む。出口34
はチャンバーを真空ポンプ36から分離する弁38を有
する。チャンバー34はまた、過酸化水素複合体を含有
する囲い(閉鎖容器)42に取付けられた入口40も有
する。入口40は囲い42をチャンバーから隔離する弁
44を有する。この滅菌システムはまた、囲い42と真
空ポンプ36を接続する入口41を備え、入口41には
弁43が付いている。このシステムは囲い42とチャン
バー30の同時排気、あるいは囲い42またはチャンバ
ー30の単独排気を可能にする。排気は弁38,44お
よび43の開閉によって制御される。当業者には明らか
なように、各チャンバーにつき1個ずつ、すなわち2個
のポンプをこのシステムで使用することができる。
【0041】囲い42には温度コントローラー46が取
付けられた任意のヒーター49を備えて過酸化水素複合
体の温度を制御する。蒸気状態の過酸化水素複合体濃度
は、任意の過酸化物モニター48でモニターすることが
できる。チャンバーの内部には高周波(RF)電極50
が収容され、その電極50に整合回路網52およびRF
電源54が取付けられている。好都合な電極形態は、サ
ンプルを取り囲み、両端が開いている有孔シリンダーで
ある。本発明の一般操作は次の通りである:
【0042】1.滅菌する製品56をチャンバー30の
中に入れる。 2.チャンバー30は大気圧か、あるいは排気して過酸
化水素の浸透を容易にすることができる。排気は弁38
を開き、真空ポンプ36を作動させることにより行なわ
れる。他には、弁38,44および/又は43を開くこ
とによってチャンバー30と囲い42の両方を排気する
ことができる。 3.弁38および43を閉じて真空ポンプ36をチャン
バー30および囲い42から隔離し、それから弁44を
開く。過酸化水素源から過酸化水素蒸気をチャンバー3
0内に分配するが、この時、過酸化水素源を加熱して過
酸化水素蒸気の放出を容易にする。場合によっては、空
気や不活性気体も加えることができる。
【0043】4.滅菌する製品56を過酸化物蒸気で処
理して滅菌するか、またはチャンバー30内で過酸化物
蒸気で前処理して、滅菌するのに十分な電力でプラズマ
を発生させる。この時、必要ならば、チャンバー30は
プラズマの発生を容易にするため排気することができ
る。予備プラズマ保持期間の時間は使用されるパッケー
ジの種類、滅菌される製品の性質および数、並びにチャ
ンバー中の製品の位置に依存する。最適な時間は経験的
に決定することができる。 5.RF電源54からRF電極50に電力を加えること
により製品56をプラズマにさらす。プラズマを発生さ
せるために使用されるRFエネルギーはパルス状にする
ことができ、または連続的であってよい。製品56は完
全滅菌を行なう期間および/又は残留の過酸化水素を除
去する期間、プラズマ中に留まる。特定の態様におい
て、プラズマは5〜30分間使用される。しかしなが
ら、最適な時間は経験的に決定することができる。
【0044】本明細書全体を通して使用される用語「プ
ラズマ」は、それに伴って生じうる放射線を含む、印加
した電界の結果として生じる電子、イオン、遊離基、解
離および/又は励起原子または分子を含有する気体また
は蒸気を包含することを意図する。印加電界は幅広い範
囲の周波数を包含するが、通常は高周波またはマイクロ
波が使用される。
【0045】本発明で開示される非水の過酸化水素デリ
バリーシステムは、また、前記米国特許第4,643,876 号
に開示された方法により発生させるプラズマで使用する
ことができる。その他、その過酸化水素デリバリーシス
テムは、滅菌される製品がプラズマ源と離れたチャンバ
ー中に位置する米国特許第5,115,166 号または第5,087,
418 号に記載されているプラズマで使用することができ
る。
【0046】上記装置は、真空下で不安定な過酸化物複
合体を使用する場合に特に有利である。少なくとも2つ
の方法を使用して真空工程中の過酸化水素の損失を最小
限にすることができる。第1の方法では、小さいチャン
バーを単独で排気することができる。第2の方法では、
十分に小さなチャンバーを使用すれば、その小さなチャ
ンバーを排気する必要が全くない。
【0047】このような不安定な非水の過酸化物複合体
の1つは無水グリシン−過酸化物である。この化合物は
真空下に置かれると過酸化水素蒸気を放出する。図5は
真空下での無水グリシン−過酸化物複合体からの過酸化
水素蒸気の放出を示すグラフ図である。無水グリシン複
合体から過酸化水素を放出するために使用した手順は次
の通りである:(1)弁43および44を閉じた状態
で、主要なチャンバー30を排気した。(2)弁38お
よび44を閉じ、弁43を開いて、過酸化水素複合体を
含有するチャンバー42を排気した。(3)弁43を閉
じ、弁44を開いて、過酸化水素蒸気をチャンバー30
内に拡散した。
【0048】グラフ図に示したように、過酸化水素蒸気
は、さらに加熱しなくとも減圧すると複合体から放出さ
れる。図5に示したように、過酸化物蒸気の放出は、複
合体を高温に加熱することにより著しく増加する。従っ
て、不安定な過酸化物複合体でも本発明の滅菌法では有
効である。
【0049】本発明は初期の過酸化水素滅菌システムと
比べて少なくとも4つの利点がある。:すなわち、 1.潜在的に危険な濃縮過酸化水素溶液の使用が回避さ
れる。 2.凝縮を防止するため予め滅菌される領域の相対湿度
を下げる必要性がなくなる。 3.水がこのシステムから実質的に除かれ、その結果、
細長い内腔中への拡散について水と過酸化水素の間の競
合は殆どなくなる。 4.滅菌剤気体を細長い内腔中に供給するための特別な
導管を取付ける必要性が無くなることがよくある。 水分が実質的に無いと、過酸化水素蒸気を使用して滅菌
を行なえることは本発明の驚くべき発見の1つである。
先行技術は化学的な気体あるいは蒸気状態の滅菌法で滅
菌を行なうには水の存在が必要であることを教示してい
る。本発明はシステムから水を実質的に除去し、それに
より速く、より効率的で有効な滅菌をもたらし有利であ
る。
【0050】種々の非水の過酸化水素複合体の滅菌効力
(効果)を下記の実施例1〜4に記載するように測定し
た。 実施例1.生物チャレンジとして金属およびTEFLO
N(商標)プラスチック内腔中で枯草菌変異株(niger)
胞子を使用し、実質的に無水の尿素過酸化物複合体から
放出される過酸化水素蒸気を用いて効力データを得た。 A.試験手順 1.装置 4gの粉砕された過酸化水素−尿素アダクト錠剤(Fluk
a Chemical社製)を図3に示したようなアルミニウムパ
ン90に入れた。パン90の上部をメディカルグレード
のTYVEK(商標)92(通気性のスパンボンドポリ
エチレン布)でカバーした。それにより複合体から放出
された過酸化水素はすべてTYVEK(商標)カバーを
通過する必要があり、その後、残りのチャンバー中に拡
散した。アルミニウムパン90をアルミニウム滅菌チャ
ンバー内にあるパイレックス皿96の中の加熱パッド9
4の上に置いた。容量が約173リットルの滅菌チャン
バーはまた、 ・蒸気相の過酸化水素濃度を測定するための過酸化水素
モニター、 ・加熱パッドの温度を制御するための温度コントローラ
ー、 ・過酸化水素液体をチャンバー内に注入することができ
る注入口、 ・その上に内腔装置を含有するプラスチックトレーを試
験するために置いた金属棚、 ・効力試験の間、チャンバー温度を45℃に維持するチ
ャンバー壁の外部にある抵抗加熱ヒーターを含んだ。
【0051】2.生物チャレンジおよび試験 非水の過酸化物デリバリーシステムの効力を評価するた
めに、ステンレス鋼メスのブレード上の1.04×10
6 枯草菌変異株(niger)胞子からなる生物チャレンジを
寸法が3mmの内径×40cmの長さ、3mmの内径×
50cmの長さおよび1mmの内径×50cmの長さの
ステンレス鋼内腔のそれぞれの端から等しく離れたとこ
ろに置いた。これらの内径と長さは医療装置で使用され
る金属内腔において典型的なものである。生物学的試験
片を含有する内腔のそれぞれの中間部分の寸法は、13
mmの内径×7.6cmの長さであった。金属内腔を用
いた生物学的試験では、1試験あたり全部で9個の内腔
を評価した。これらは入手できる3つの異なるセットの
内径と長さのそれぞれからなる3個の内腔を有する。
【0052】寸法が1mmの内径×1mの長さ、1mm
の内径×2mの長さ、1mmの内径×3mの長さおよび
1mmの内径×4mの長さのTEFLON(商標)内腔
の端から等しく離れた所に位置する紙ストリップ(6m
m×4mmのWhatman#1クロマトラフィー用紙)上の
4.1×105 枯草菌変異株(niger)胞子からなる生物
チャレンジを用いて同様の試験を行なった。生物学的試
験片を含有する内腔の中心部分の寸法は、15mmの内
径×7.6cmの長さであった。TEFLON(商標)
内腔を用いた生物学的試験において、1試験あたり全部
で12個の内腔を評価した。これらは入手できる4つの
異なる長さのそれぞれについて3個の内腔からなる。
【0053】生物学的試験サンプルを含有する内腔をプ
ラスチックトレーの中に入れ、それを次に滅菌チャンバ
ーの中の棚の上に置いた。チャンバーのドアを閉じ、真
空ポンプを用いてチャンバーを0.2トルの圧力まで排
気した。次に、過酸化水素−尿素アダクトを含有するア
ルミニウムパンをアルミニウムパン側壁の、パンの底か
ら約1cm離れた所にある熱電対温度計により測定し
て、80〜81℃に5分間加熱した。この時間の間、チ
ャンバー中の過酸化水素濃度を過酸化物モニターにより
測定して6mg/リットルまで増加した。
【0054】生物学的試験サンプルを過酸化水素蒸気に
5、10、15、20および25分間さらした。過酸化
水素蒸気にさらした後、生物学的試験サンプルを277
ユニットのカタラーゼを含有する15mlのトリプチカ
ーゼ大豆ブイヨン(trypticase soy broth)に無菌的に
移して試験サンプル中に残留する残りの過酸化水素を中
和した。全てのサンプルを32℃で7日間、保温し、成
長を観測した。
【0055】50%過酸化水素水溶液を滅菌チャンバー
内に注入し、熱インジェクター(加熱された金属表面)
から気化させる比較試験もまた行なった。注入した過酸
化水素溶液の容量により6mg/lの過酸化水素蒸気相
濃度となった。これらの試験で使用した試験内腔および
生物学的試験サンプルは非水の過酸化水素試験で使用し
たものと同じである。過酸化水素にさらした後の生物学
的試験サンプルの処理もまた同様である。
【0056】B.試験結果 それぞれ表3と表4に示されるステンレス鋼およびTE
FLON(商標)内腔を用いたこれらの試験結果は、金
属と非金属の内腔の両方で非水の過酸化物デリバリーシ
ステムが有利であることを示している。評価した最小の
内径および最長の内腔の非水の過酸化物デリバリーシス
テムを用いて5分間以内に細菌性胞子が全滅した。同時
に、50%過酸化水素水溶液では、25分間の拡散時間
後でも全滅しなかった。
【表3】
【表4】
【0057】実質的な量の水がなくとも迅速な滅菌を行
なうことができることは、過酸化水素以外の様々な滅菌
剤による化学的な気体/蒸気相滅菌時に水分が一般には
存在しているということから考えれば驚くべきことであ
る。過酸化水素蒸気相滅菌システムは過酸化水素の水溶
液を使用するため、これらのシステム中にも同様に水分
が存在している。
【0058】様々な他の過酸化物複合体の滅菌効力を試
験するために、次の実験を行なった。 実施例2,3及び4.実施例1の装置を使用して、ポリ
ビニルピロリドン−過酸化水素複合体(実施例2)、ナ
イロン6−過酸化水素複合体(実施例3)および1,3
−ジメチル尿素−過酸化水素複合体(実施例4)の効力
を試験した。これらの化合物は下記の実施例12及び1
3の記載の方法に従って合成した。試験パラメーターは
次の通りである: 実施例 チャンバー温度 45℃ 45℃ 45℃ 初期圧力 0.2トル 1.0トル 1.0トル 過酸化物(重量%) 17% 10.5% 26.6% 過酸化物濃度 6mg/l 6mg/l 6mg/l 1サイクル当たり使用 される複合体の重量 8g 18g 6g 過酸化物の放出温度 110℃ 110℃ 80℃
【0059】各々の場合、胞子支持材はプラスチック内
腔中の6mm×4mm紙支持体およびステンレス鋼内腔
中のステンレス鋼ブレードである。この効力試験の結果
を下記の表5に示す。
【表5】 表5の結果は、試験した過酸化水素複合体が何れもわず
か5分間の暴露で有効に滅菌する過酸化物蒸気を発生す
ることを示している。
【0060】上記固体の複合体から過酸化水素蒸気を放
出するのに必要な温度は、アルミニウムパンの外側の、
パンの底から約1cm離れた所にある熱電対温度計によ
り測定される温度である。さらに、パンの内底にあるフ
ルオロオプチック(fluoroptic)温度計のような温度計
を使用する試験は、下記の実施例5に記載されるよう
に、パンの底の温度が約30〜35℃高めであることを
示した。そのため、前記実施例ではパンの底の温度は、
熱電対温度計が80℃を示す時、約110〜115℃で
あり、また熱電対温度計が110℃を示す時、約140
〜145℃であった。
【0061】実施例5.固体の過酸化物複合体を含有す
るために使用されるアルミニウムパンの底の温度を測定
するために、フルオロオプチック温度計をアルミニウム
パンの内底にテープで止めた。Omega (商標)熱電対温
度計をアルミニウムパンの外側の、パンの底から約1c
m離れた所に置いた。温度計の読み取りを3回行なっ
た。それぞれ、パンをパンの側面にある温度計により示
される所望の温度まで加熱し、冷却し、次に所望の温度
まで再び加熱した。記録した温度を下記に示す:
【0062】 パンの側面温度 パンの底の温度(℃) 1回目 2回目 3回目 平均 80℃ 110.9 110.6 110.6 110.7 100℃ 131.5 132.6 132.0 132.0
【0063】これらの結果は、アルミニウムパンの底の
温度がパンの側面にある熱電対温度計により示される温
度より約30〜35℃高いことを示している。
【0064】さらに、開放(非内腔)システムで水性お
よび非水の過酸化物源を使用して得られた効力データを
比較する試験を行なった。その実験を下記に詳しく説明
する。
【0065】実施例6.TYVEK(商標)/MYLA
R(商標)エンベロープで包装されたWhatman#1クロ
マトグラフィー用紙の6mm×4mmストリップ上の
6.8×105 枯草菌変異体(niger)胞子からなる生物
チャレンジと共に、実施例1の装置を使用した(TYV
EK(商標)は、ポリエチレン製の気体透過性布であ
る。MYLAR(商標)は非気体透過性ポリエステル材
料である)。包装された生物チャレンジストリップを軟
質のファイバーオプチックス状結腸鏡を含んだポリフェ
ニレンオキシドトレーの前、中間及び後に置いた。拡散
するための入口を上部に1個、底部に2個有するポリフ
ェニレンオキシド容器にトレーを入れた。直径4インチ
の入口を通気性ポリプロピレン包装材料(SPUNGU
ARD(商標)Heavy Duty Sterilization Wrap)でカバ
ーして滅菌後の容器の内容物の無菌性を維持した。容器
を実施例1の装置の中に入れ、チャンバーの圧力を0.
2トルまで減圧した。次に、2gの過酸化水素−尿素ア
ダクト(Fluka Chemical社製)を含有するアルミニウム
パンをアルミニウムパンの外側の、アルミニウムパンの
底から約1cm離れたところにある熱電対温度計により
測定して80〜81℃に5分間加熱して3mg/lの過
酸化水素蒸気をチャンバー中に供給した。生物学的試験
サンプルを過酸化水素蒸気に5〜10分間さらした。暴
露した後、試験サンプルを実施例1と同様に処理した。
【0066】50%過酸化水素水溶液を滅菌チャンバー
内に注入し、熱インジェクターから気化させる比較試験
も行なった。注入した過酸化水素水溶液の容量は、3m
g/lの蒸気相濃度を与えた。試験位置、生物学的試験
サンプルの組成および暴露後の生物学的試験サンプルの
処理は全て、非水の過酸化水素試験のものと同じであ
る。これらの試験の結果を表6に示す。
【0067】
【表6】 開放システムの水性/非水の効力試験 (非内腔試験) 過酸化物源 拡散時間(分) 滅菌結果(陽性/サンプル) 50%溶液 5 3/3 10 3/3 尿素過酸化物 5 1/3 10 0/3
【0068】この試験の結果は、生物学的サンプルを内
腔の中に入れない“開放”システムでの水性過酸化水素
法と比較して非水の場合の効力の方がより大きいことを
示している。すなわち、驚くべきことに過酸化水素を細
長い内腔中に拡散する必要がない時でさえ、非水のシス
テムは優れた滅菌を与えることを見出した。このことは
過酸化水素の作用機構が水を含むシステムと水を含まな
いシステムとでは異なることを示唆している。
【0069】さらに、減圧されない常圧での非水過酸化
物蒸気の効力を測定する試験を行なった。 実施例7.大気圧において開放システムで尿素過酸化物
複合体から放出された過酸化水素蒸気を用いて効力試験
を行なった。この試験では、ステンレス鋼外科用ブレー
ド上の1.04×106 枯草菌変異体(niger)胞子の生
物チャレンジをTYVEK(商標)/MYLAR(商
標)エンベロープで包装した。包装された生物チャレン
ジブレードをポリフェニレンオキシドトレーの前、中間
及び後に置いた。そのトレーを実施例1の装置の中に入
れ、チャンバーのドアを閉じた。4.0gの尿素過酸化
物(Fluka Chemical社製)を含有するアルミニウムパン
を試験中に、アルミニウムパンの側面の、パンの底から
約1cm離れたところにある熱電対温度計により測定し
て80〜81℃に加熱した。生物学的試験サンプルを過
酸化水素蒸気に5、10、20および30分間さらし
た。暴露した後、試験サンプルを実施例1と同様に処理
した。これらの試験の結果を表7に示す。これらはま
た、大気圧で開放システムでの非水の過酸化物滅菌法の
効力を証明している。
【表7】 大気圧における開放システムでの非水の過酸化物滅菌法の効力 過酸化物源 拡散時間(分) 滅菌結果(陽性/サンプル) 尿素過酸化物 5 3/3 10 1/3 20 0/3 30 0/3
【0070】さらに、様々な温度において過酸化水素−
尿素複合体から放出される過酸化物の概略の量を測定す
る試験を行なった。この試験を実施例8に記載する。 実施例8.商業的に入手できる錠剤(Fluka chemical社
製)を粉砕して得られた尿素過酸化物粉末を、12.7
cm×12.7cmの寸法の図4に示した装置内の2個
のアルミニウムスクリーンの間に置いた。次に、アルミ
ニウムプレートを加熱し、アルミニウムプレートを加熱
し、アルミニウムプレートのコーナー付近にある温度計
を使用して温度をモニターした。表8に、5分間の加熱
後に様々な温度で放出される過酸化物の大体の百分率を
示す。これらのデータは、約100%の過酸化物が14
0℃の温度で複合体から放出されることを示している。
低目の温度では、少量の過酸化物が放出する。
【0071】
【表8】 様々な温度における非水の過酸化物の放出 加熱温度 放出される過酸化物(%) 80℃ 〜25% 100℃ 〜65% 120℃ 〜80% 130℃ 〜90% 140℃ 〜100%
【0072】尿素過酸化物複合体などの、室温および大
気圧で過酸化水素蒸気を放出することができる過酸化物
複合体は、様々な滅菌の用途で使用するのに有効であ
る。これらを上記の本発明の滅菌装置で使用することが
できるだけでなく、本発明の化合物を自己滅菌包装材料
の一部として使用できることや、ガーゼ、スポンジ、綿
などのような支持体上に塗布することもできる。本化合
物は室温あるいは高温での密封包装の滅菌を可能にし、
また特に包装された医療あるいは外科用製品の滅菌にお
いて有用である。
【0073】本発明の化合物の特定の用途を以下の実施
例に記載する。以下の実施例で使用した過酸化物複合体
は、錠剤の形態(Fluka chemical社製)あるいは錠剤を
粉砕して得られた粉末の形態の尿素過酸化物である。
【0074】実施例9 自己滅菌パウチを以下のように組立てた。:すなわち、
その表面に3.8×105 枯草菌変異体(niger)胞子を
有する外科用メスを無菌のペトリ皿(シャーレ)の中に
入れた。その皿を錠剤あるいは粉末形態の尿素過酸化物
1gと共に、大き目のペトリ皿の中に入れた。次に、そ
の大き目のペトリ皿を、TYVEK(商標)/MYLA
R(商標)(気体透過性、表9)、MYLAR(商標)
/MYLAR(商標)( 非気体透過性、表10)ある
いは紙/MYLAR(商標)( 気体透過性、表10)
で作られたパウチ内に挿入した。次に、パウチを密封
(封止)した。
【0075】以下の表9と10に示すように、各パウチ
を様々な時間で様々な温度にさらした。生物学的試験サ
ンプルを滅菌について実施例1に記載したように評価し
た。その結果を表9と10に含める。符号「+」は細菌
の成長を意味する。
【表9】
【0076】表10に、通気性バリヤーを用いた場合
(紙/MYLAR(商標))と用いない場合(MYLA
R(商標)/MYLAR(商標))の自己滅菌パウチの
効力データを示す。パウチを上記のように組み立てた
が、過酸化物蒸気源は粉末形態の尿素過酸化物だけであ
った。
【表10】
【0077】この試験の結果では、通気性バリヤーの有
無に関係なくパウチ内に含まれる本発明の尿素過酸化物
複合体は、室温、大気圧で水分が無いと、僅か2〜3時
間後にパウチの内部の製品を有効に滅菌することを示し
ている。高目の温度では、滅菌が僅か1時間で行なわれ
る。
【0078】密封容器内での本発明の滅菌システムの効
力を測定するために、次の実験を行なった。
【0079】実施例10.自己滅菌容器を以下のように
組み立てた。:すなわち、その表面に3.8×105
草菌変異株(niger)胞子を有する場合(表11)、ある
いは、その表面に9.2×105 枯草菌変異株(niger)
胞子を有する場合(表12)のステンレス鋼支持体を、
表面に20個の穴(3/16インチの大きさ)を有する
小さいポリエチレン(PE)バイアルの内部に置いた。
そのバイアルをより大きいPEバイアルの中に入れ、そ
れを気密性のキャップあるいはSPUNGUARD(商
標)(CRSラップ)の気体透過性層でカバーした。表
面に20個の穴(3/16インチの大きさ)を有する第
2のPEバイアルもより大きいバイアル内に入れた。こ
のバイアルは粉末あるいは錠剤形態の尿素過酸化物1g
を含有した。これをSPUNGUARD(商標)(CR
Sラップ)かTYVEK(商標)パウチで密封した。
【0080】各容器を下記の表11および12に示され
るように様々な時間の間、様々な温度に付した。生物学
的試験サンプルを実施例1に記載のようにして滅菌につ
いて評価した。その結果を表11および表12に示す。
“+”の符号は細菌の成長を意味する。
【表11】
【表12】
【0081】この試験の結果は、通気性バリヤーの有無
に関係なく容器中に含まれる非水の尿素過酸化物複合体
が、室温で僅か3〜4時間後に有効に滅菌を行なうこと
を示している。高目の温度では、滅菌は僅か0.5時間
で行なわれる。
【0082】過酸化物蒸気を放出する非水の過酸化物複
合体は室温、より効果的には高目の温度で製品を滅菌を
する場合に有効であることがわかった。これらの複合体
はパウチ、容器、チャンバー、部屋また密封できる領域
に置くことができ、そこでその複合体は製品を有効に滅
菌する過酸化物蒸気を放出する。これらの複合体を加熱
して蒸気の放出を容易にし、また室温滅菌に必要な時間
より短い時間で滅菌を行なうことができる。従って、本
発明の化合物は滅菌が必要な様々な用途で有効である。
滅菌される製品を含有する密封領域に複合体を入れるこ
とにより、滅菌を簡単に行なうことができる。従来の方
法と対照的に、過酸化水素を活性化するのに水分と接触
させる必要がない。
【0083】非水の過酸化物複合体を使用して低目の圧
力、短い時間で滅菌を行なうことができることを確認す
るために、以下の実験を行なった。
【0084】実施例11.自己滅菌容器を以下のように
組み立てた。:すなわち、表面に9.2×105枯草菌
変異体(niger)胞子を有するステンレス鋼支持体を、表
面に20個の穴(3/16インチの大きさ)を有する小
さいPEバイアルの中に置いた。そのバイアルを大き目
のPEバイアルの中に入れ、それをCSRラップ(SP
UNGUARD(商標))の気体透過性層でカバーし
た。表面に20個の穴(3/16インチの大きさ)を有
する第2のPEバイアルもまた、より大きいバイアル内
に入れた。このバイアルは粉末あるいは錠剤形態の尿素
過酸化物1gを含有した。次に、そのバイアルをCSR
ラップあるいはTYVEK(商標)パウチで密封した。
【0085】大きいバイアルを4.5リットルの滅菌チ
ャンバーか173リットルの滅菌チャンバー内に入れ
た。各容器を表13に示すように100トルの圧力およ
び23℃の温度に2時間さらした。生物学的試験サンプ
ルを実施例1に記載した滅菌を評価した。その結果を表
13に示す。
【表13】
【0086】これらの結果では、通気性バリヤーを持つ
容器内に含まれた非水の尿素過酸化物複合体が100ト
ル、室温で僅か2時間後に有効な滅菌が行えることを示
している。これらの結果は、表12の結果と比べて、本
発明の過酸化物複合体が大気圧で滅菌を行なうのに必要
な時間より短い時間で減圧下の滅菌を与えることを示し
ている。
【0087】従って、本発明の過酸化水素複合体は著し
く短い時間で有効に滅菌することができる。さらに、上
記のように、プラズマを使用して過酸化水素蒸気の活性
を高めることもできる。滅菌される製品を過酸化水素蒸
気にさらした後、プラズマに当て、そして完全滅菌を行
なうのに十分な時間、プラズマ中に留める。
【0088】過酸化水素蒸気にさらして滅菌した製品
を、プラズマに当てて製品に残留する残りの過酸化水素
を除去することができる。残留過酸化水素はプラズマ処
理中に非毒性の生成物に分解されるため、滅菌した製品
は追加工程を行なわずに次の処理に使用される。
【0089】非水の過酸化物複合体は自己滅菌包装の成
分として様々な用途に有効である。さらに、これらの複
合体は、米国特許第4,943,414 号に開示されている方法
のような種々の製品の蒸気滅菌法で使用するのに適して
いる。この特許は、少量の気化性液体の滅菌剤溶液を含
有する導管が内腔に取付けられ、そして滅菌サイクル中
に減圧すると、滅菌剤が気化し、直接、製品の内腔に流
入する方法を開示している。本特許に開示されている方
法を改良して非水の過酸化物化合物を使用することがで
きる。化合物を導管に入れ、それを、滅菌する製品の内
腔に接続する。次に、製品を容器の中に入れ、その容器
を排気する。製品の内腔および製品の外部を非水の化合
物から放出された過酸化水素蒸気と接触させる。場合に
よっては、プラズマを発生させて、滅菌を促進するた
め、あるいは製品から残留過酸化水素を除去するために
使用することができる。
【0090】蒸気システムで非水の過酸化物複合体を使
用することによって、水溶液中の水が過酸化水素蒸気よ
りも早く気化して先に内腔に入るという欠点が克服され
る。従って、より有効な滅菌が達成され、また滅菌を行
なうのに要する時間が短くなる。無水グリシンのような
過酸化水素複合体は、複合体をこれ以上加熱しなくとも
減圧下で著しい量の過酸化水素を放出するため特に有利
である。
【0091】非水の過酸化水素複合体の合成 本発明はさらに、上記したように過酸化水素蒸気滅菌器
の蒸気源として、あるいは自己滅菌包装の成分として有
効な非水の過酸化水素複合体の製造法を提供する。勿
論、過酸化水素複合体は、他の用途、例えば漂白剤、コ
ンタクトレンズ用溶液、触媒および当業者によく知られ
ている他の用途に使用することができる。
【0092】本発明の過酸化水素複合体を製造するため
の一般手順は次の通りである: (1)反応物質をチャンバー内に配置する 過酸化水素と反応する物質は、様々な形態の固体(例え
ば、好ましくは反応速度を増加する大きな表面積を有す
る粉末、結晶、フィルムなど)である。反応体物質(材
料)は、チャンバーの減圧後に溶媒を蒸発させるのに十
分な時間かけることができるならば、水か他の溶媒中に
溶液として存在することもできる。本物質はまた、その
沸点が過酸化水素の沸点(150℃)より高い液体であ
ってもよい。反応速度が高温で高いため、チャンバーは
反応体組成物が導入される前かその後に加熱されること
が望ましい。しかしながら、その温度は反応体が沸騰あ
るいは気化するほど高くてはならない。
【0093】反応体組成物は過酸化物蒸気と接触する容
器内に入れることができる。それが粉末形態あるいはチ
ャンバーが排気されると吹き散るような他の形態である
場合、反応体組成物は過酸化水素の容器内への拡散が可
能な透過性容器内で保存することができる。
【0094】(2)チャンバーを排気する ある実施態様では、チャンバーは確実に全ての過酸化物
を蒸気相にするため、過酸化水素の蒸気圧より低い圧力
(その濃度および温度に依存する)のような大気圧以下
の圧力に排気される。蒸気圧は温度を増加させると増加
し、過酸化物濃度を増加させると減少する。殆ど実験に
おいて、チャンバーを約0.2トルに排気し、その温度
を周囲温度以上にした。
【0095】(3)過酸化水素蒸気を発生させる 過酸化水素蒸気は過酸化水素溶液か、実質的に無水の過
酸化水素複合体から発生させることができる。後者は蒸
気状態の乾燥過酸化水素を与え、それは蒸気と反応する
物質あるいは生成する複合体が吸湿性である場合に有利
である。実質的に無水の複合体から過酸化水素蒸気を発
生させる他の利点は、生成する複合体の過酸化水素百分
率が蒸気をH2 2 の水溶液から発生させる場合より高
いことである。これは恐らく、H2 2 蒸気を発生させ
るために水溶液が使用される場合、複合体の結合部位に
ついて水分子とH2 2 分子が競合するためである。
【0096】過酸化物蒸気は、反応体物質を含むチャン
バーと同じチャンバー内か、あるいは真空弁によりそれ
と分離されたチャンバー内で発生させることができる。
【0097】(4)反応体物質を過酸化水素と反応させ
る 反応に必要な時間は、勿論、反応体と過酸化水素の反応
の速度に依存する。それは過酸化物と反応体物質の結合
の間に減少する圧力をモニターすることにより経験的に
決定することができる。典型的には、反応時間は約5〜
30分間である。気化した過酸化水素の濃度および出発
(開始)物質の重量が最終反応生成物の過酸化物の重量
百分率を決定する。反応体と過酸化水素の重量比が増加
すると、複合体の過酸化水素の重量百分率は減少する。
複合体の過酸化水素濃度を増加するために、反応を多数
回繰り返すことができる。
【0098】(5)再び、チャンバーを排気する 反応の最後に、チャンバーをさらに約2トルに排気して
未反応の過酸化水素を除去する。
【0099】(6)チャンバーをガス抜きし、過酸化水
素複合体を回収する 過酸化水素が反応物質と複合体を生成するメカニズムは
完全にはわかっていない。複合体の生成は、過酸化水素
と反応物質の酸素および/あるいは窒素を含有する電子
に富む官能基との間の水素結合の生成を包含すると考え
られる。これが唯一の結合形態であるかどうかは分から
ない。しかしながら、広範囲の官能基を有する物質が過
酸化水素と複合体を生成することが見出された。
【0100】過酸化水素複合体の初期の製造法と比較し
て蒸気相反応は以下の利点を有する: 1.過酸化水素と反応体物質の比は、蒸気状態で存在す
る過酸化水素の量あるいは蒸気にさらす反応体物質の量
を変えることにより正確に制御することができる。 2.反応生成物から溶媒を除去する必要性が排除され
る。 3.液体あるいは固体、例えば粉末、結晶、フィルムな
どの過酸化物複合体を生成することができる。 4.吸湿性物質の過酸化物複合体を製造することができ
る。 本発明の非水の過酸化物複合体の合成はさらに、次の実
施例で説明する。これらの化合物の多くは、当業者によ
り容易に理解されるように、本明細書により詳しく記載
された実用性を有する他、触媒として利用することがで
きる。これらの実施例は本発明の組成物および製造法の
態様を示すが、本発明の範囲を全く制限するものではな
い。
【0101】実施例12 無水グリシンの過酸化水素複合体を次のように製造し
た。1.0gの無水グリシン(Aldrich Chemical社製)
のサンプルを45℃の温度に保持した173リットルの
チャンバー内のアルミニウムトレーの中に入れた。チャ
ンバーの圧力が減圧された時に無水グリシンがトレーか
ら流出するのが防止されるが、通気性であり過酸化水素
を吸収しないTYVEK(商標)不織布でアルミニウム
トレーの上部をカバーした。チャンバーのドアを閉じ、
それからチャンバーを真空ポンプで排気することにより
チャンバーの圧力を0.2トルまで減圧した。適当な容
量の70%過酸化水素水溶液(FMC社製)をチャンバ
ー内に蒸発させることにより、10mg/lの過酸化水
素濃度とした。過酸化水素蒸気を無水グリシンと20分
間接触させた。反応の最後に、チャンバーの圧力を2ト
ルまで減圧してから大気圧に戻した。反応製生物をチャ
ンバーから取り出し、次のヨウ素滴定反応により過酸化
水素の重量百分率について分析した。 H2 2 +2KI+H2 SO4 → I2 +K2 SO4
+2H2 O I2 +2Na2 2 3 → Na2 4 6 +2Na
【0102】終点における色の変化を強調するために、
澱粉指示薬をヨウ素−チオ硫酸ナトリウム滴定反応で使
用した。過酸化水素の重量百分率を次式により計算し
た。 H2 2 (重量%)=[(Na2 2 3 のml数)×
(Na2 2 3 の規定度)×1.7/(サンプルの重
量(g)) 無水グリシン複合体の過酸化水素の百分率は24.3%
であった。
【0103】実施例13.実施例12の手順に従って、
広範囲の有機および無機複合体の過酸化水素複合体を製
造した。各々の場合では、反応条件は無水グリシンの代
わりに表14に記載の化合物をそれぞれ1.09g使用
することを除けば、実施例12と同じである。
【表14】
【0104】製造した有機複合体は、過酸化水素と水素
結合を生成することができる次の範囲の官能基:アルコ
ール、エーテル、ケトン、酸、アミノ酸、エステル、有
機塩、アミン、アミド、ポリアミド、ポリウレタン、尿
素およびビウレットを含有する。無機複合体は、ナトリ
ウム、カリウムおよびルビジウムカチオンとの炭酸塩、
並びに重炭酸ナトリウムを含有する。さらに、水酸化カ
ルシウムおよびピロ燐酸四ナトリウムの過酸化水素複合
体もまた製造した。出発物質は微細粉末あるいは少し大
きめの結晶性物質であるが、ナイロン6,6は、厚さ
0.12mmのフィルムとして加工され、またポリビニ
ルメチルエーテルは、50重量%の水溶液である。
【0105】試験条件下でこれらの物質を用いて得られ
た過酸化水素複合体は、ポリビニルピロリドン、ヒスタ
ミン、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルメ
チルケトン)、プロピオンアミドおよび1,3ージメチ
ル尿素を除けば固体であった。1,3ージメチル尿素と
プロピオンアミド過酸化水素複合体は、最終生成物を得
るために除去する必要のある溶媒がないため、蒸気相合
成工程では容易に取り扱われる易流動性の液体であっ
た。ヒスタミン、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニル
メチルエーテル)およびポリ(ビニルメチルケトン)複
合体は容易に取り扱えないゴム性の物質であった。
【0106】実施例14および15はさらさらした固体
生成物として過酸化物複合体を得るため、異なる作業条
件下でポリビニルピロリドンを用いた実験を記載する。
【0107】実施例14.ポリビニルピロリドンと蒸気
状態の過酸化水素の濃度との重量比を変えることにより
ポリビニルピロリドン複合体の過酸化水素百分率を変え
て、ポリビニルピロリドンとの過酸化水素複合体を製造
した。これらの試験条件はポリビニルピロリドンの重量
を1.0gから3.0g,5.0gに増加することを除
けば、実施例12と同じである。すべての試験におい
て、過酸化水素濃度を10.0mg/l(チャンバーの
容量)で一定に保った。これらの試験の結果を表15に
示す。
【0108】実施例15 過酸化水素と尿素の複合体から過酸化水素を導入して、
PVPの過酸化水素複合体を製造した。このようにして
導入された過酸化水素は実質的に無水である。この試験
においては、5gのPVPを反応チャンバーの中に入
れ、そして約7gの35%H2 2 −尿素複合体を約1
10℃の温度に約5分間加熱することによりチャンバー
の容量1リットル当たり10mgのH2 2 を反応チャ
ンバー中に導入した。この試験の残りの条件は実施例1
2と同じである。PVP複合体の過酸化水素百分率と複
合体の物理的状態を表15に示す。
【0109】
【表15】 複合体の過酸化水素百分率および生成物の物理的状態における ポリビニルピロリドン対蒸気状態の過酸化水素の比の結果 PVPの重量(g) 複合体のH22(重量比) 生成物の物理的性質 実施例14 1 29.9 軟質のゴム性生成物 3 23.5 硬質のゴム性生成物 5 17.7 さらさらした固体 実施例15 5 19.7 さらさらした固体
【0110】これらの試験の結果は、PVPと蒸気状態
の過酸化水素との比を調節するか、あるいは実質的に無
水の過酸化水素蒸気源を使用することにより、PVP−
過酸化水素複合体を用いてさらさらした固体を得ること
ができることを証明している。
【0111】無機過酸化水素複合体 無機過酸化水素複合体も、有機過酸化水素複合体の場合
で詳しく上述したように、滅菌剤として使用するのに適
している。過酸化物蒸気は大気圧、室温でこれらの無機
複合体から放出することができる。しかしながら、以
下、さらに詳細に説明するように、多量の過酸化水素蒸
気は、大気圧と減圧下で特定の放出温度までの急速加熱
時に無機過酸化物複合体から放出することができる。無
機過酸化物から過酸化水素をうまく放出するため、無機
過酸化物複合体の加熱速度は少なくとも5℃/分である
のが好ましく、少なくとも10℃/分であるのがさらに
好ましく、またさらに少なくとも50℃/分であるのが
好ましく、少なくとも1000℃/分であるのが最も好
適である。
【0112】これらの無機過酸化物複合体の代表的なリ
ストと過酸化水素重量%を表16に示す。好ましい無機
複合体はハロゲン化水素酸を形成して分解しない複合体
である。従って、特に好ましい複合体はハロゲンを含ま
ない。過酸化物蒸気源として過酸化物複合体の混合物を
供給することもできる。そのような混合物は、2つの異
なった過酸化物を物理的に混合する「物理的混合物」
か、複合体の化合物を過酸化物複合体の製造前に混合す
る「化学的混合物」とすることができる。
【0113】複合体中のH2 2 の重量%を測定するた
め使用した滴定手順は、実施例12記載したのと同様で
ある。炭酸ナトリウム−H2 2 複合体をFluka Chemic
al社から購入した。無機過酸化物複合体を合成するため
に使用した蒸気相合成手順は、1〜5gの代わりに10
gの固体無機サンプルと2反応サイクル対1反応サイク
ルを使用した以外は実施例12に開示した手順と同様で
ある。
【0114】実施例16 無機過酸化水素複合体の液相合成の反応手順は、Jones
ら(J. Chem.Soc.,Dalton, 12:2526〜253
2,1980年)によって本質的に説明された。簡単に
言えば、飽和溶液を作るために、無機固体を過酸化水素
の30%水溶液に溶かし、続いてエタノールを滴下し
た。蓚酸カリウムと炭酸ルビジウムの複合体に対し、エ
タノール添加量を徐々に増加すると白い過酸化物沈殿が
形成された。炭酸カリウム、ピロ燐酸カリウムおよびピ
ロ燐酸ナトリウムに対して、結晶性過酸化物複合体生成
を容易にするため飽和溶液を〜10℃で数時間、保温し
た。その複合体を真空ろ過により液体から分離し、少な
くとも3度エタノールで水洗いし、そして真空乾燥し
た。
【0115】
【表16】 評価化合物および複合体に存在する過酸化水素の重量百分率 化学名 化学式 複合体1 中のH2 2 重量% 購入2 蒸気3 液体3 炭酸ナトリウム Na2 CO3 27.35 炭酸カリウム K2 CO3 7.43 22.70 炭酸ルビジウム Rb2CO3 20.31 26.78 蓚酸カリウム K2 2 4 16.13 16.42 ピロ燐酸ナトリウム Na427 11.48 23.49 ピロ燐酸カリウム K4 27 20.90 32.76 オルト燐酸ナトリウム Na3PO4 15.67 オルト燐酸カリウム K3 PO4 16.11
【0116】1.複合体中のH2 2 の重量%を測定す
るため使用した滴定手順は、先の特許出願で述べた手順
と同様である。 2.炭酸ナトリウム−過酸化水素複合体をFluka Chemic
al社から購入した。 3.蒸気相と液相手順を無機過酸化物を合成するために
使用した。示差走査熱量計(DSC)(モデルPDSC
2920,TAとMettler-ToledoモデルDSC27H
P機器)を使用して無機過酸化物複合体のH2 2 放出
や分解特性を測定した。DSCを10℃/分の加熱ラン
プで、30℃と200℃の間の範囲の温度で作動した。
ここで図6を参照する。図では、DSCは、サンプルチ
ャンバー110、加熱プレート112および圧力制御シ
ステムを具備している。圧力制御システムは圧力ゲージ
116に接続された変換器114を有する。圧力ゲージ
116は制御装置118に接続され、その制御装置11
8は制御弁120に接続される。圧力変換器114は、
圧力制御弁120およびポンプ122と流体伝達になっ
ている。
【0117】上記のように合成された蓚酸カリウム−過
酸化水素複合体をDSCの中に入れ、50℃〜170℃
の温度範囲で特定の真空圧にさらした。図7でわかるよ
うに、サンプルパンの蓋に1個の穴を有するこれらのD
SC条件の下では、H2 2の多量放出、すなわち吸熱
プロセスは低圧で生じたが、H2 2 の発熱分解は高圧
で生じた。しかしながら、図12に示したように、パン
に何もカバーしないで(すなわち、開放パン)で同じ実
験を繰り返したら過酸化物の部分放出も大気圧で発生す
る。そのためある過酸化水素複合体の場合、より開放さ
れた装置および/又は減圧により複合体からのH2 2
の放出が容易になる。
【0118】滅菌のために無機過酸化物複合体を使用す
る際、無機過酸化物組成物と接触する前にアルミニウム
プレートの予備加熱によって生じる急速加熱は、複合体
の安定性に対して重要である。無機過酸化物化合物の使
用では、温度が86℃より高いこともまた好ましい。
【0119】上で説明したように、無機過酸化水素複合
体は急速に、すなわち1000℃/分以上急速に加熱す
ることが好ましい。これは過酸化物を予熱した加熱プレ
ートと接触させることによって達成することができる。
そのような急速加熱を達成するための好ましい態様が図
8と図9に示されている。図8を参照する。この図では
過酸化物蒸気を滅菌チャンバー131内に閉鎖位置で注
入する装置125が示されている。無機過酸化水素複合
体は、過酸化物ディスク132内に組込まれる。ディス
ク132は5層からなる:その5層はCSRラップの3
層、過酸化物複合体粉末およびポリプロピレンで被覆さ
れたアルミニウム箔である。ディスク132は過酸化物
複合体粉末を保持するためその周縁が加熱密封される。
過酸化物ディスク132は、アルミニウム取付け部品1
42でハウジング150に取付けられる有孔アルミニウ
ムプレート130の下に配置される。ディスク132は
Oリング151間の位置にゆるく保持されている。過酸
化物蒸気をチャンバー内に導入する前に、加熱したアル
ミニウムプラテン134は過酸化物ディスク132から
離れており、アルミニウムプレート136に取付けられ
る。ベロー138内のばね(図示せず)はプレート13
6を閉鎖位置で支持する。チャンバー131を排気する
と、ベロー138も排気される。プレート136をOリ
ング148で密封すれば過酸化物放出チャンバー152
と通路158が分離される。この装置は、所定位置に保
持され、ボルト144、146、154および156に
よって滅菌チャンバー131に取付けられる。
【0120】図9を参照する。プラテン134を上げて
過酸化物ディスク132に接触させるため、ベロー13
8の空気抜きを行なう。一旦、圧力を上げると、ベロ−
138は上向きに移動し、それにより加熱したアルミニ
ウムプラテン134を過酸化物ディスク132に進め
る。好ましい態様では、アルミニウムプラテン134は
175℃に予備加熱される、しかしながら、他の温度を
使用することができる。次に、過酸化物蒸気はCSP層
を介して粉末から放出され、有孔アルミニウムプレ−ト
130の孔160を通り、過酸化物放出チャンバ−15
2に入る。加熱されたアルミニウムプラテン134の上
向きの動きによってまた過酸化物放出チャンバ−152
が開けられ、過酸化物蒸気を滅菌チャンバ−と流体伝達
している通路158に入れる。
【0121】ここで図10を参照する。図には直交配置
の複数のガラス棒172を備えた滅菌チャンバ−170
が示されている。チャンバ−170のそれぞれ上下に配
置されたステンレス鋼スカルペルブレ−ド174と17
6には枯草菌ステアロテルモフィラス(searothermophi
lus)が接種されている。滅菌チャンバ−170内には過
酸化水素複合体を加熱するために使用する装置178が
含まれ、滅菌チャンバ−170の右側に示されている。
その過酸化水素複合体は具体的にはピロ燐酸ナトリウム
(Na4 2 7 ・3H2 2)と蓚酸カリウム(K2
2 4 ・H2 2)の過酸化水素複合体であった。装置1
78はチャンバ−170の底部にパイレックスボウル1
80を有する。パイレックス皿182は、パイレックス
ボウル180の上部に配置される。加熱パッド186を
備えたアルミニウムプレ−ト184はパイレックス皿1
82の上部に置かれる。過酸化物複合体はアルミニウム
プレ−ト184上に置かれる。電源コ−ド188は加熱
パッド186に取り付け、熱電対190はアルミニウム
プレ−ト184に取り付ける。スカルペルブレード17
4は、アルミニウムプレート184の上、2インチのと
ころに位置している。
【0122】ある態様では、過酸化水素複合体は、滅菌
される製品を配置する容器と流体伝達される別個のエン
クロ−ジャ−(容器)内に入れる。そのエンクロ−ジャ
−と容器内の圧力は同じでも異なっていてもよい。エン
クロ−ジャ−内の正圧差によってエンクロ−ジャ−内の
過酸化物複合体から放出した過酸化物蒸気が容器内に容
易に移動する。そのような正圧は、その容器が全体の部
屋の場合であるように、容器が大きい場合に特に有効で
あろう。
【0123】別の好ましい態様では、粉末状の過酸化物
を接着剤面に塗布する。好ましい接着剤面には、A10
とA25の接着テ−プ(3M社、ミネアポリス、ミネソ
タ州)などの高温接着テ−プが含まれる。これらの過酸
化物粉末コ−ト接着テ−プを、次に、例えば図3、8お
よび10に示した装置を使用して加熱して過酸化物を放
出させる。
【0124】図11を参照する。過酸化物複合体粉末2
02を有する高温接着テ−プ200をアルミニウム箔層
204に載せる。1枚以上のCSR層206を接着テ−
プ200の上に重ねる。この配置により個々の物質(材
料)のシ−ト形態を取ることができ、またこの物質から
ロ−ルを形成することができる。
【0125】過酸化物放出量と滅菌効率を測定するため
以下の実施例17と18で使用された無機過酸化物複合
体は、ピロ燐酸カリウム(K4 2 7 ・3H2 2
PP)、蓚酸カリウム(K2 2 4 ・1H2 2 :P
O)および炭酸ナトリウム(Na2CO3 ・15H2
2 :SC)であった。
【0126】実施例17 SC,POおよびPPからの過酸化物の放出 H2 2 がSC,POおよびPPから放出した典型的な
理想的な温度をDSCで測定した。これらの各々の複合
体の2gから放出された実際のH2 2 の量を75リッ
トルチャンバ−と図8と図9の装置を使用して様々な温
度で測定した。175℃でPPから放出されたH2 2
の量はSCおよびPOの場合より大きかった。SCは1
75℃で最小のH2O2を放出したが、サンプルの量を増
やした場合に多くの放出が著しく観察された。
【0127】
【表17】 75リットルチャンバ−での過酸化物の放出 SC PO PP2 2 を放出する温度 (DSCによる) 170℃ 150℃ 130℃ 2gのサンプルで 125℃で 0.3 mg/L 0.8 mg/L 1.0 mg/L 150℃で 1.2 mg/L 2.0 mg/L 1.5 mg/L 175℃で 1.8 mg/L 2.5 mg/L 3.4 mg/L 3gのサンプルで 175℃で 2.3 mg/L 4gのサンプルで 175℃で 2.9 mg/L
【0128】実施例18 SC,POおよびPPを使用する効力試験 2×104 枯草菌変異体(niger)胞子をSSブレ−ド上
で接種した。それを接種した3つのブレ−ドを先ず、Sp
unguard ラップの10インチ×21インチ×3.5イン
チのポリフェニレンオキシドトレ−の前方、中間、後方
位置に置いた。次にラップしたトレ−を0.2トルの初
期真空圧力を有する75リットル真空チャンバ−の中に
入れた。SC,SOあるいはPP無機過酸化物粉末を3
層のSpunguard とポリプロピレンフィルムで被覆された
1層のアルミニウム箔間で加熱密封することによって
5.5インチの過酸化物ディスクを作成した。予め17
5℃に加熱したアルミニウムプレ−トとそのディスクを
2分間接触させることによって過酸化物を放出し、10
分間の全暴露に対し8分間の追加拡散を続けた。処理
後、3つのブレ−ドを32℃で7日間TrypticaseS oy
Broth(TSB)に個々に置き、細菌の成長を評価した。
その結果を表18にまとめ た。
【表18】効力試験結果 過酸化物 複合体の 過酸化物 繁殖不可複合体 重量 濃度 (+/全体) PP 2g 3. 4mg/l 0/3 PO 2g 2.5mg/l 0/3 SC 2g 1.8mg/l 1/3 SC 3g 2.3mg/l 0/3 SC 4g 2.9mg/l 0/3
【0129】表18でわかるように、2gSC(1/
3)を除いて胞子の成長が観察されなかった。しかしな
がら、SCの気化量を3gに増やしたら、胞子の成長が
観察されなかった。これらの結果は無機過酸化水素複合
体を使用する滅菌の効力を強く示している。
【0130】無機過酸化物複合体は、有機過酸化物複合
体と共に上記滅菌手順に容易に組み入れることができ
る。例えば、無機複合体はプラズマ滅菌法と共に、ある
いは過酸化物が複合体からゆっくり放出する自己滅菌囲
いと共に使用することができる。同様に、無機複合体は
細長い内腔を有する製品の滅菌においても使用すること
ができ、それにより無機過酸化物複合体を含有する導管
が内腔に接続する。さらに、無機過酸化物複合体から放
出された蒸気の圧力パルスを使用することができる。滅
菌のために無機複合体を使用する他の実施例は、本明細
書に関連する当業者に明らかである。
【0131】燐酸塩と縮合燐酸塩過酸化物複合体の合成 文献に報告されたその合成手順に沿った燐酸塩と縮合燐
酸塩過酸化物複合体の合成の幾つかを表19にまとめ
た。一般にこれらの複合体は燐酸塩に過酸化水素水溶液
を混合(その固体を過酸化物溶液に添加するか、過酸化
物溶液をその固体に添加する)することによって合成す
ることができる。反応により発生した熱が過酸化水素を
分解させることになるため、固体に過酸化物溶液をゆっ
くり混合するか、冷却した過酸化物溶液を使用すること
によって反応温度をコントロ−ルする試みがなされてい
る。過酸化物複合体は、燐酸塩水和物か縮合燐酸塩を過
酸化物溶液中に溶かすことによっても生成される。
【表19】
【0132】スプレ−法 あらかじめ文献に記載した手順と同じ手順を実施して燐
酸塩と縮合燐酸塩複合体を製造する手順の容易性と限界
を判定した。一様に広げた固体塩上に過酸化物溶液をス
プレ−(噴霧)し、その後、真空乾燥かオ−ブン乾燥す
ることによって、通常、複合体を製造した。
【0133】表20には噴霧法で合成された複合体をま
とめてある。Na4 2 7 ・3H2 2 は、先行技術
と同じ30%H2 2 溶液を使用して合成できなかっ
た。K3 PO4 過酸化物複合体はH2 2 溶液を無水K
3 PO4 に室温で直接添加することによって製造するこ
とができない。詳細な合成条件は以下の実施例21ない
し36に示す。
【表20】
【0134】Na4 2 7 ・nH2 2 の液体−スプ
レ−合成 ピロ燐酸ナトリウムと過酸化水素の無水複合体(Na4
2 7 ・nH2 2)は、通常、次に真空乾燥かオ−
ブン乾燥を行なう液相−固体相反応を使用して合成され
た。以下、実施例21〜27に記載したように、ピロ燐
酸ナトリウムと過酸化水素の複合体を液体スプレ−合成
に関連させて、多くのパラメ−タ−を変えた。濃縮過酸
化水素溶液(30〜90%H2 2)をピロ燐酸ナトリウ
ム(98%、Aldrich社製)上に液滴でスプレ−した。そ
の混合物を10℃、25℃あるいは45℃で1〜16時
間、保温して、その後、25℃〜60℃で真空乾燥か、
60℃でオ−ブン乾燥を続けた。H2 2 濃度、H2
2 対Na4 2 7 の開始モル比、固体対液体比、保温
時間と保温温度、乾燥方式、乾燥温度および開始物質
(材料)の量を、以下の実施例に記載したように変化さ
せて製品組成物に対する効果を判定した。
【0135】実施例21ないし23は、25℃、2時間
の反応時間で得られた複合体中のH2O2の最終重量%に
対する乾燥方法(それぞれ30℃で真空乾燥、60℃で
真空乾燥、60℃でオ−ブン乾燥)の効果を示してい
る。
【0136】実施例24は、25℃の真空乾燥での反応
時間の効果を示す。この結果によると、複合体中のピロ
燐酸ナトリウム対過酸化水素の比が1:3を形成するの
に、1時間の反応時間で十分であることを示している。
【0137】実施例25は、過酸化物複合体形成に対す
る反応温度の効果を示す。その結果では少量の開始物質
を使用すると、約1:3の比を有する複合体が45℃以
下の温度でもまだ生成できることを示している。
【0138】実施例26は、得られた過酸化物複合体の
組成物に対する過酸化水素濃度の効果を液体−スプレ−
合成を使用して示す。表26に示したように、30%の
22 をピロ燐酸ナトリウム塩上に噴霧した場合、
4:1のH2 2 対SPの開始モル比でも、得られた複
合体、Na4 2 7 ・1.64H2 2 は2:1より
小さなH2 2 対SP(ピロ燐酸ナトリウム)のモル比
であった(ビス−ペルオキシ水和物)。トリ−ペルオキ
シ水和物(Na4 2 7 ・3H2 2)は、H22
度が45%より大きい、好ましくは50%より大きい場
合に作られるだろう。4:1のH2 2 対SPのモル比
を有するNa4 2 7 ・4H2 2 の組成物は60℃
以下の温度でのみ安定していた。
【0139】実施例27は、多量のNa4 2 7 を使
用した場合に、ピロ燐酸ナトリウムトリ−ペルオキシ水
和物複合体が液体−スプレ−(噴霧)法でうまく製造す
ることができないことを示している。
【0140】実施例21 23℃での真空乾燥 H2 2 (59%)をピロ燐酸ナトリウム(SP)と、
1:0.8、1:0.9および1:1.1の固体対液体
の重量比で混合し、25℃で2時間保温し、30℃で4
時間、あるいは、30℃で4時間に続いて60℃で15
時間、真空下で乾燥した。製品歩留は84%から99%
までの範囲で変動した。その結果を表21にまとめた。
【表21】
【0141】実施例22 60℃で真空乾燥 H2 2 (59%)をピロ燐酸ナトリウムと、1:0.
8、1:0.9および1:1.1の固体対液体の重量比
で混合し、25℃で2時間保温し、60℃で4時間、真
空下で乾燥した。その結果を表22にまとめた。
【0142】実施例23 60℃でオ−ブン乾燥 H2 2 (59%)をピロ燐酸ナトリウムと、1:0.
8、1:0.9および1:1.1の固体対液体の重量比
で混合し、25℃で2時間保温し、60℃で6時間か2
1時間、オ−ブン乾燥した。その結果を表23にまとめ
た。
【表23】
【0143】実施例24 反応時間効果 H2 2 (59%)をピロ燐酸ナトリウムと、1:0.
8の固体対液体の重量比で混合し、25℃で1時間、2
時間、および16時間保温し、25℃で4時間真空下で
乾燥した。その結果を表24にまとめた。
【表24】
【0144】実施例25 反応時間効果 H2 2 (59%)をピロ燐酸ナトリウムと、1:0.
8、1:1.1あるいは1:1.3の固体対液体の重量
比で混合し、10℃、25℃あるいは45℃で保温し、
真空下で乾燥した。その結果を表25にまとめた。
【表25】
【0145】実施例26 H2 2 濃度の効果 異なった濃度のH2 2 溶液をピロ燐酸ナトリウム(Ald
rich社製、98%)に液滴で添加した。その混合物を2
5℃で2時間、保温し、次に、25℃で4時間、真空乾
燥し、その後、60℃で15時間オ−ブン乾燥を続け
た。但し、表26の最後の列のサンプルは例外で、25
℃で4時間、真空乾燥をし、それから40℃で9時間、
オ−ブン乾燥を行なった。その結果を表26に示した。
この結果では過酸化物の高めの濃度が約1:3のH2
2 対ピロ燐酸ナトリウム(SP)モル比の過酸化物複合
体を製造するのに必要であることを示している。
【表26】
【0146】実施例27 開始化合物の量の効果 室温の59%H2 2 をピロ燐酸ナトリウム固体上にゆ
っくり噴霧した。しかしながら、その混合物の温度が上
昇した。59%H2 2 を300グラムのSPに添加し
た場合、その混合物の温度は60℃以上にまで上がり、
そのため多量のSPは少量の場合と同様に作用するよう
に見えない。その結果を表27に示した。
【表27】
【0147】過酸化物複合体をさらに液体−スプレ−合
成した例を、以下の実施例28〜34に示す。 実施例28 Na3 PO4 ・nH2 2 の液体−スプレ−合成 30%、59%および70%の過酸化水素濃度の過酸化
水素水溶液を、固体オルト燐酸塩、3塩基(SPT;9
6%、Aldrich 社製)上にスプレ−してペ−ストを作成
した。その混合物を2時間、25℃に保温し、次に、2
5℃で真空乾燥した。その結果を表28にまとめた。
【表28】
【0148】実施例29 Na2 HPO4 ・H2 2 とNa2 HPO4 ・2H2
2 の液相合成 燐酸ナトリウム、2塩基固体(99.95%、Aldrich
社製)を過酸化水素水溶液に溶かし、25℃、1時間保
温し、その後、25℃で真空下で乾燥した。得られた生
成物は約1:2のNa2 HPO4 /H2 2 比のゲルで
あった。さらにそのゲルの乾燥によって約1:1のNa
2 HPO4 /H2 2 比の粉末になった。その結果を表
29にまとめた。
【表29】
【0149】実施例30 Na5 3 10・1-2H2 2 の液体−スプレ−合成 濃縮過酸化溶液をトリポリ燐酸ナトリウム(85%、Al
drich 社製)(STP)上に液滴でスプレ−した。その
混合物を25℃で1時間保温し、25℃で真空乾燥し、
次に65℃でオ−ブン乾燥した。結果を表30に示す。
【表30】
【0150】実施例31 K3 PO4 ・nH2 2 の液体−スプレ−合成 室温の59%H2 2 を燐酸カリウム、3塩基(97
%、Aldrich 社製)に液滴で添加した。スプレ−中の反
応混合物の温度は約80℃になった。そのペ−スト混合
物を真空で4時間乾燥した。得られた結果を表31にま
とめた。この結果は、過酸化物の大部分が高い反応温度
のために分解することを示している。
【表31】
【0151】実施例32 K4 2 7 ・nH2 2 の液体−スプレ−合成 59%あるいは70%の濃度の過酸化水素水溶液をピロ
燐酸カリウム(PP)(97%、Aldrich 社製)上にス
プレ−(噴霧)し、ペ−ストを形成した。ペ−ストの温
度はスプレ−中には約30℃ないし35℃であった。そ
の混合物を25℃で2時間保温し、次に真空下で25℃
で乾燥した。得られた結果は表32にまとめた。
【表32】
【0152】実施例33 K2 HPO4 ・3H2 2 の液体−スプレ−合成 濃縮過酸化水素溶液を燐酸水素カリウム(98%、Aldr
ich 社製)(PHP)上に液滴でスプレ−した。その混
合物を25℃で1時間保温し、25℃で真空乾燥した。
得られた結果を表33に示す。
【表33】
【0153】実施例34 KH2 PO4 ・H2 2 の液体−スプレ−合成 濃縮過酸化水素溶液を燐酸2水素カリウム(98%、Al
drich 社製)(PHP)上に液滴でスプレ−した。その
混合物を25℃で1時間保温し、25℃で真空乾燥し
た。得られた結果を表34に示す。
【表34】
【0154】実施例35 Ca2 2 7 ・3.42H2 2 の液体−スプレ−合
成 59%過酸化水素水溶液を固体ピロ燐酸カルシウム(Al
drich 社製)上にスプレ−した。その混合物を25℃で
1時間保温し、25℃で真空乾燥した。得られた結果を
表35に示す。
【表35】
【0155】実施例36 Mg2 2 7 ・4.60H2 2 の液体−スプレ−合
成 59%過酸化水素水溶液を固体ピロ燐酸マグネシウム
(Aldrich 社製)上にスプレ−した。その混合物を25
℃で1時間保温し、25℃で真空乾燥した。得られた結
果を表36に示す。
【表36】
【0156】数種類の燐酸塩過酸化物複合体を記載した
が、安定した複合体を製造するための一般的な合成法は
知られていない。過酸化水素溶液と燐酸塩あるいは縮合
燐酸塩との間の反応は、発熱反応である。この発熱反応
で生じた熱により過酸化水素が分解されることになる。
この結果、その複合体は不安定であり、すなわち、過酸
化物対燐酸塩あるいは縮合燐酸塩の比が目的の比より小
さくなる。この問題は、多量の複合体を製造する場合に
特に著しい。
【0157】ペ−スト法 過酸化水素溶液と燐酸塩あるいは縮合燐酸塩との反応で
生じた熱をコントロ−ルする目的で、我々は様々な合成
法を開発してきた。水を用いてペ−ストを燐酸塩あるい
は縮合燐酸塩から初めに生成することから、我々はその
合成法の1つを「ペ−スト」法と呼んでいる。無機過酸
化水素複合体のペ−スト−液体合成法は、所定の無機化
合物に水を混合して軟質ペ−ストを作る工程を含む。ペ
−ストを冷やし、過酸化水素水溶液をその無機ペ−スト
に添加する。得られた混合物を乾燥して水を除き、無機
過酸化水素複合体が得られる。
【0158】この合成法の主な利点は、水との無機化合
物の反応が発熱を伴うが、無機過酸化物複合体生成時に
は非常にわずかな熱しか発生せず、そのため合成時に過
酸化水素の分解が避けられることである。これは著しい
量の熱が発生して過酸化水素を分解する先の方法に対す
る著しい改良である。得られた無機過酸化物複合体の結
晶は別の手順により製造された結晶よりも微細で安定し
ており、低濃度のH22 も使用することができる。
【0159】作用についての特定の理論あるいは機構に
規制されずに、我々は水和物がペ−ストの形成時に初め
に形成され、次に、これらの水和物からの水を過酸化物
に代えて無機過酸化物複合体を形成するものと信じてい
る。実施例37と38は、2種類の異なった燐酸塩過酸
化物複合体の具体的な製造方法を提供する。
【0160】実施例37 異なったH2 2 濃度を使ってNa4 2 7 ・2−3
2 2 のペ−スト−液体合成 ピロ燐酸ナトリウム固体(98%、Aldrich 社製)を脱
イオン水に混合し、ゆっくり撹拌して軟質ペ−ストを製
造した。この反応は発熱反応であるため、ペ−ストを冷
却して室温にした。異なったH2 2 濃度のH2 2
溶液をそのペ−ストに混ぜた。温度は上がらなかった。
その混合物を25℃で1時間保温してそれから25℃で
真空乾燥した。その真空乾燥サンプルをさらに60℃で
オ−ブン乾燥して残りのすべての水を除去した。その結
果を表37にまとめた。
【表37】
【0161】表37は過酸化水素複合体の製造のための
ペ−スト法の利点の幾つかを示す。 1.ピロ燐酸ナトリウムトリ過酸化水和物(Na4 2
7 ・3H2 2)を製造するためH2 2 の開始濃度を
50%より大きくには制限されていなかった。12%程
の低いH2 2 溶液を使用した場合に過酸化水素複合体
が製造できるだろう。 2.Na4 2 7 ・3H2 2 は、SP−水ペ−スト
とのH2 2 溶液の混合時に温度が上がらないので、多
量の開始物質(例えば、200gのSP)を使用して良
好に製造できるだろう。 3.異なった組成物を有する過酸化物複合体は、開始混
合物中のH2 2 対SPのモル比を制御することによっ
て簡単に製造することができる。
【0162】実施例38 K3 PO4 ・nH2 2 のペ−スト−液体合成 燐酸カリウム、3塩基(97%、Aldrich 社製)(PP
T)を脱イオン水と混合し、ゆっくり撹拌し、軟質ペ−
ストを製造してそのペ−ストを冷却させ室温にした。H
2 2 水溶液(59%)をそのぺ−ストと混合した。温
度上昇は観測されなかった。その混合物を25℃で2時
間保温し、25℃で真空下で乾燥した。結果を表38に
まとめた。燐酸カリウム過酸化物を、大抵の燐酸塩−過
酸化物複合体合成に使用する液体−スプレ−手順(実施
例31に示したように)では製造できないだろう。過酸
化水素溶液を固体燐酸カリウム上にスプレ−すると、反
応混合物の温度は約80℃になった。この高温により過
酸化水素を分解するようになり、それにより過酸化水素
が燐酸カリウムにわずかに吸収される。本ペ−スト法は
3 PO4 ・3H2 2 複合体を製造するための液体−
スプレ−合成法より明らかに優れている。
【表38】
【0163】実施例39 スプレ−法とペ−スト法を使用して製造されたNa4
2 7 ・3H2 2 の熱安定性 約0.3gの複合体サンプルを、キャップを外したまま
(開放、条件1)かぴったりキャップ(密封、条件2)
した5mlのプラスチックボトルに保管した。開放ボト
ルと密封ボトルを、23℃、50%相対湿度(RH)の
恒温器か60℃のオ−ブンに入れた。次に、その複合体
中のH2 2 含有量を測定した。その結果を表39にま
とめた。
【表39】
【0164】表39で報告した結果を比較すれば、スプ
レ−法で製造した複合体の安定性は、60℃では、ペ−
スト法で製造した複合体より小さかった。しかしなが
ら、23℃、50%相対湿度での安定性は略同等であっ
た。従って、ペ−スト法は、搬送中に一般に起きるよう
な不利な保管状態で予想以上の安定性を示す。
【0165】水和物法 上記説明したように、我々はペ−スト法では最初に燐酸
塩か縮合燐酸塩の水和物が製造されるものと信じてい
る。多くの燐酸塩か縮合燐酸塩化合物の場合、当業者に
よく知られている技術を使用して水和物を容易に製造で
きるか、商業的に入手できる。そこでペースト法の初め
のペースト形成を省略して代わりに製造した水和物に代
える過酸化物複合体のための水和物合成法を試みた。こ
れまでの方法で起きると思われるように、水和物の水分
子を過酸化物に代える。以下の実施例40は具体的な水
和物合成法である。
【0166】実施例40 Na4 2 7 ・3H2 2 の水和物合成 ピロ燐酸ナトリウムデカ水和物固体(99%、Aldrich
社製)に12%、30%あるいは59%過酸化水素水溶
液を混合し、1時間、25℃で保温し、次に、25℃で
真空乾燥した。その結果を表40にまとめた。このよう
にこの複合体は30%以下の過酸化水素溶液で製造する
ことができる。
【表40】
【0167】硫酸塩過酸化物複合体の合成 我々は、この明細書に説明した滅菌法に関連して使用す
るための硫酸塩の過酸化水素複合体の合成も行なった。
実施例41と42では、2種類の具体的な硫酸塩複合体
についての合成細部を説明する。
【0168】実施例41 Na2 SO4 ・1.28H2 2 の液体−スプレ−合成 59%過酸化水素水溶液を固体の硫酸ナトリウム(99
%+、Aldrich 社製)上にスプレ−した。この混合物を
1時間、25℃で保温し、次に25℃で真空乾燥した。
結果を表41にまとめた。
【表41】
【0169】実施例42 K2 SO4 ・0.62H2 2 の液体−スプレ−合成 59%過酸化水素水溶液を固体の硫酸カリウム(99%
+、Aldrich 社製)上にスプレ−した。この混合物を1
時間、25℃で保温し、次に25℃で真空乾燥した。結
果を表42にまとめた。
【表42】
【0170】珪酸塩過酸化物複合体の合成 我々は、この明細書に説明した滅菌法に関連して使用す
るための珪酸塩の過酸化水素複合体の合成も行なった。
実施例43と44では、2種類の具体的な珪酸塩複合体
についての合成細部を説明する。
【0171】実施例43 Na2 SiO3 ・nH2 2 のペ−スト−液体合成 固体メタ珪酸ナトリウム(Na2 SiO3 、Aldrich 社
製)に水を混合して軟質ペ−ストを製造し、そのペ−ス
トを室温に冷却した。過酸化水素水溶液(12%)にそ
のペ−ストを混合した。混合時の温度は30〜35℃で
あった。その混合物を1時間、25℃で保温し、次に、
25℃で真空乾燥した。その結果を表43にまとめた。
【表43】
【0172】実施例44 Na2 Si3 O7 ・0.68H2 2 の水和物合成 59%過酸化水素水溶液を固体トリ珪酸ナトリウム水和
物(Na2 Si3 7・xH2 2 、Aldrich 社製)上
にスプレ−した。その混合物を1時間、25℃で保温
し、次に、25 ℃で真空乾燥した。その結果を表44
にまとめた。
【表44】
【0173】このように我々は広範囲な無機塩の過酸化
水素複合体を製造することができることを示した。我々
はこの明細書で説明した滅菌法に関連するH2 2 の良
好な放出が、少なくとも1つの酸素および/又は窒素原
子を含むような水素結合が可能な多数の陰イオンの塩を
使用して達成できると信じている。例えば有機複合体と
本発明の方法と共に使用できる付随する無機複合体の上
記表14を参照のこと。
【0174】複合体から過酸化物の放出 前の実施例、例えば図7に示したDSCカ−ブ(曲線)
をカバ−したパンの1個の穴について大気圧と減圧の両
方で作成した。蓋の1個の穴だけで、蓚酸カリウム過酸
化物複合体の発熱ピ−クを1気圧でDSCで観測した。
同じ試験を大気圧で繰り返して以下実施例45で示すよ
うに、さらに開放したシステムを使用して多くの過酸化
物が放出できるかどうか測定した。
【0175】実施例45 大気圧でK2 2 4 過酸化物からのH2 2 の放出 蓚酸カリウム過酸化水素複合体(K2 2 4 ・H2
2)を、加熱プレ−ト112上のサンプルパンの密封した
蓋の2個の穴か大気に開放したアルミニウムパンを備え
た図6に示した装置を使用して大気圧で加熱した。DS
C分布グラフを図12に示す。小さな発熱ピ−クが続く
大きな吸熱ピ−クは、パンを開放した場合のH2 2
一部放出を示した。大きな発熱ピ−クが続く小さな吸熱
はある程度の放出、ほとんどが分解であるが、その放出
は、2個の穴の開いた蓋がパンに被せてある場合に発生
した。
【0176】著しい量のH2 2 放出が、2個の穴が開
いた蓋を使用しなくとも開放したパンで発生するだろう
と実施例45の結果から考え、開放パンを使用して大気
圧で、また1個の穴が開いた蓋でカバ−したパンを使用
して減圧下で、複合体から過酸化物の放出についての残
りの試験をDSCで行なった。多数の無機複合体のDS
C分布を図13(A)〜27に示し、DSC研究での過
酸化物複合体の熱的挙動のまとめを表45に示す。
【0177】図13(A)は760トルでのNa4 2
7 ・2H2 2 とNa4 2 7・3H2 2 のDS
C分布である。図からわかるように、1つの吸熱ピ−ク
を観測した。このピ−クはほとんど完全に放出が起きた
ことを示している。
【0178】図13(B)は760トルでのNa4 2
7 ・4H2 2 のDSC分布である。図からわかるよ
うに、2つの吸熱ピ−クを観測した。このピ−クはほと
んど完全に放出が起きたことを示している。
【0179】図14は760トル、7トルおよび0.3
5トルでのNa3 PO4 ・5H2 2 のDSC分布であ
る。その複合体を液体−スプレ−手順を使用して合成し
た。図からわかるように、小さな発熱ピ−クが続く吸熱
ピ−クにより1気圧で一部放出が生じたことがわかっ
た。しかし、真空下では広い吸熱効果によりほとんど完
全に放出が発生したことがわかった。
【0180】図15は760トルでのNa2 HPO4
1H2 2 とのNa2 HPO4 ・2H2 2 のDSC分
布を示す。この双方の複合体はDSCでの吸熱効果を示
し、大気圧でほとんど全体の放出が起きたことがわかっ
た。図16は760トルでのNa5 3 10・H2 2
のDSC分布を示す。幾つかの吸熱ピ−クにより大気圧
下でほとんど全体の放出が起きたことがわかった。図1
7は760トル、7トルおよび1トルでのK3 PO4
3.34H2 2のDSC分布を示す。DSCにおける
大気圧での1つの吸熱ピ−クによりほとんどのH2 2
が大気圧で分解したが、真空下で発熱ピ−ク前に吸熱ピ
−クを観測したため真空下では一部放出が発生したこと
がわかった。
【0181】図18は760トルと7トルでのK4 2
7 7 ・7H2 2 のDSC分布を示す。別に得られ
た重量損失(ロス)デ−タに基づいて、大気圧での14
0℃〜180℃の範囲の発熱ピ−クで吸熱ピ−クがキャ
ンルされることになる。そこでDSCは大気圧で放出の
一部が発生したことを示している。真空下での幾つかの
吸熱ピ−クはこれらの条件下でほとんど全体の放出を示
した。図19は760トルと1トルでのK2 HPO4
3.15H2 2 のDSC分布を示す。発熱ピ−クが続
く幾つかの吸熱ピ−クでは、大気圧で一部の放出が起き
たものの、真空下では発熱ピ−クが観測されないことが
わかり、それによりこれらの条件でほとんど全体の放出
を示した。
【0182】図20は760トルでのKH2 PO4 ・H
2 2 のDSC分布を示す。2つの吸熱ピ−クが観測さ
れ、大気圧でほとんど全体の放出が発生したことがわか
った。図21は760トルと7トルでのNa2 CO3
1.5H2 2 のDSC分布を示す。90〜100℃で
の吸熱ピ−クにより大気状態と真空状態の双方でH2
2 の放出があると思われる。約150℃で大気圧下の発
熱ピ−クによりH2 2 がほとんど分解することがわか
った。しかしながら、この発熱ピ−クは真空状態で小さ
な発熱ピ−クが続く吸熱状態になり、H2 2 がほとん
ど放出したことがわかった。
【0183】図22は760トルでのCa2 2 7
3.42H2 2 のDSC分布を示す。吸熱ピ−クによ
りH2 2 がほとんど完全に放出が発生したことがわか
った。図23は760トルと7トルでのMg2 2 7
・4.60H2 2 のDSC分布を示す。発熱ピ−クが
続く吸熱ピークによって大気圧でH2 2 の一部放出あ
ることがわかったが、真空下で観測した大きな吸熱ピー
クによって真空下ではほとんど全体の放出があることが
わかった。図24は760トルでのNa2 SO4 ・1.
28H 22 のDSC分布を示す。吸熱ピークによって
大気条件下ではほとんど完全に放出が発生することがわ
かった。
【0184】図25は760トルでのK2 SO4 ・0.
62H2 2 のDSC分布を示す。吸熱ピークによって
大気条件下ではほとんど完全に放出が発生することがわ
かった。図26は760トル、1トルおよび0.5トル
でのNa2 SiO3 ・2.15H2 2 のDSC分布を
示す。大気圧と減圧下での発熱ピークによってこれらの
条件下ではほとんどのH2 2 が分解したことがわかっ
た。図27は760トルでのNa2 Si3 7 ・0.6
8H2 2 のDSC分布を示す。発熱ピークによって大
気圧下ではほとんどのH22が分解したことがわかっ
た。以下の表45はDSC研究における過酸化物複合体
の熱挙動をまとめた。
【表45】
【0185】効力試験結果 先に示した実施例、例えば実施例17と18によりは、
無機過酸化物複合体が真空条件下で本明細書かその他に
記載された技術に関連して滅菌を行なうことができるこ
とが示された。これらの無機複合体を大気条件下で滅菌
を行なうことができることを示すために、我々は多くの
化合物の滅菌効力を試験した。実施例46Aは、1気圧
でDSCで1カ所の吸熱ピークのみを示す複合体の滅菌
が1気圧、低温度(≦60℃)で行なわれた結果の例を
示している。実施例46Bは1気圧でDSCで吸熱ピー
クと発熱ピークの両方を示す複合体の滅菌が1気圧、低
温度(≦60℃)で行なわれた結果の例を示している。
実施例46Cは1気圧でDSCで1カ所の発熱ピークの
みを示す複合体の滅菌が1気圧、低温度(≦60℃)で
行なわれた結果の例を示している。実施例47は、1気
圧で滅菌が行なわれ、1気圧でDSCで1カ所の吸熱ピ
ークのみを示す複合体を使用して複合体を加熱した結果
の例を示している。実施例48は、1気圧で滅菌が行な
われ、1気圧で吸熱ピークと発熱ピークの両方を示す複
合体を使用して複合体を加熱した結果の例を示してい
る。以下の説明からわかるように、これらの条件の下で
は、DSCで1カ所の発熱ピークだけを示す複合体の場
合でも、これらの複合体を使用して1気圧で有効な滅菌
が達成できるだろう。上記説明したように、ある場合で
は吸熱ピークが同じ温度範囲内で発生する発熱ピークに
よってDSCで相殺され、それによりDSCでの1つの
発熱ピークだけを示す複合体を使用して有効な滅菌がな
される説明になる。
【0186】実施例46A KH2 PO4 ・H2 2 過酸化物複合体を使用する滅菌 (1気圧、低温度)自己滅菌パウチを次のように組み立
てた。表面に7.7×105 .の枯草菌ステアロテルモ
フィラス(stearothermophilus)胞子を付けたステンレ
ス鋼ブレードを滅菌ペトリ皿(60×15mm)に入れ
た。2グラムのH2 PO4 ・H2 2 複合体粉末(2
0.31重量%のH2 2 を含有)を別のペトリ皿に入
れた。両方のペトリ皿をTYVEK(商標)/MYLA
R(商標)でできた100×250mmパウチに一緒に
挿入した。そのパウチを密封し、室温(約23℃)、4
0℃(恒温器)および60℃(オーブン)に異なった時
間さらした。滅菌試験結果を表46にまとめた。
【表46】
【0187】実施例46B K2 2 4 ・H2 2 過酸化物複合体を使用する滅菌 (1気圧、低温度)自己滅菌パウチを次のように組み立
てた。表面に1.34×106 .枯草菌変異体(niger)
胞子を付けたステンレス鋼ブレードを滅菌ペトリ皿(6
0×15mm)に入れた。2グラムのK2 2 4 ・H
2 2 複合体粉末(14.21重量%のH2 2 を含
有)を別のペトリ皿に入れた。両方のペトリ皿をMYL
AR(商標)/MYLAR(商標)でできた100×2
50mmパウチに一緒に挿入した。そのパウチを密封
し、40℃(恒温器)および60℃(オーブン)に異な
った時間さらした。滅菌試験結果を表47にまとめた。
【表47】
【0188】実施例46C Na2 CO3 ・1.5H2 2 過酸化物複合体を使用す
る滅菌 (1気圧、低温度)自己滅菌パウチを次のように組み立
てた。表面に1.34×106 枯草菌変異体(niger)胞
子を付けたステンレス鋼ブレードを滅菌ペトリ皿(60
×15mm)に入れた。2グラムのNa2 CO3 ・1.
5H2 2 複合体粉末(27.78重量%のH2 2
含有)を別のペトリ皿に入れた。両方のペトリ皿をMY
LAR(商標)/MYLAR(商標)でできた100×
250mmパウチに一緒に挿入した。そのパウチを密封
し、60℃(オーブン中)に異なった時間さらした。滅
菌試験結果を表48にまとめた。
【表48】
【0189】実施例47 Na4 2 7 ・3H2 2 過酸化物複合体を使用する
滅菌 (1気圧で上昇した複合体加熱温度)Na4 2 7
3H2 2 (重量%=27%)を図10で使用した滅菌
装置で使用した。滅菌パラメーターは以下の通りであっ
た。すなわち、チャンバーサイズ=6.25インチ×
6.25インチ×7インチ(4.5リットル)、チャン
バーの温度=175〜180℃。枯草菌ステアロテルモ
フィラス(1.5×106 /スカルペルブレード)を接
種原として使用した。その結果を表49と50にまとめ
た。表49で示したように、上記加熱装置の上方2イン
チに置かれたスカルペルブレードの完全な滅菌を、丁度
0.01gの上記複合体で達成した。対照的にチャンバ
ーの底に置いた接種原では、0.3gの複合体が完全な
滅菌に必要であった。
【表49】
【表50】
【0190】実施例48 K2 2 4 ・H2 2 過酸化物複合体を使用する滅菌 (1気圧で上昇した複合体加熱温度)K2 2 4 ・H
2 2 (重量%=16.3%)を図10に示した滅菌装
置で使用した。滅菌パラメーターは、加熱温度を155
〜160℃とした以外は実施例47に同様であった。こ
の実験では、接種したスカルペルブレードを加熱プレー
トの上方のみに置いた。その試験結果を表51にまとめ
た。
【表51】
【0191】蓚酸カリウム複合体の場合には、30分暴
露で0.01g使用で完全に滅菌された。完全な滅菌は
3つのサイクルすべてで0.03gの複合体で観察され
た。要するにH2 2 は1気圧、室温で複合体から放出
することができる。この放出は高温、減圧で容易に行な
うことができる。
【0192】過酸化水素複合体からの蒸気放出システム 図8と図9に関連して説明した装置は過酸化水素複合体
からの過酸化水素蒸気放出システムで使用することがで
きる。そのような装置はディスクに形成した過酸化物複
合体と共に使用することができる。しかし、粉末形態で
使用すると、蒸気はより徹底的にしかも効率的に放出で
きる。粉末を図7と8に関連して前に説明した同じ機構
を使用してその装置に入れることができる。しかしなが
ら、粉末の別な挿入方法は高温接着テープにその粉末を
初めに塗布することによって達成できる。例えば、3M
社は接着剤A10を使用する高温テープ9469を製造
する。その粉末は、過酸化水素蒸気の放出のためにチャ
ンバー内に導入された接着剤とテープ上に振りかけるこ
とができる。このための別の具体的な接着テープは3M
接着剤A25を塗った3Mテープ9485で作ることが
できる。
【0193】結論 本発明は上記詳細な説明に記載した発明の実施態様だけ
に限定されないことに注意する必要がある。本発明の趣
旨を維持するどの実施態様も発明の範囲内にあると考え
るべきである。しかしながら本発明は添付特許請求の範
囲でのみ限定される。
【0194】この発明の好適な実施態様として以下のも
のがある。 (1)前記塩は、燐酸塩あるいは濃縮燐酸塩である請求
項1に記載の方法。 (2)前記塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウムあ
るいはマグネシウムの燐酸塩あるい濃縮燐酸塩である実
施態様(1)に記載の方法。 (3)前記塩−過酸化水素複合体は、Na4 2 7
複合体である実施態様(2)に記載の方法。 (4)前記Na4 2 7 は、2つ以上のH2 2 分子
と複合されている実施態様(3)に記載の方法。
【0195】(5)前記複合体は、Na4 2 7 ・3
2 2 である実施態様(3)に記載の方法。 (6)前記塩−過酸化水素複合体は、K3 PO4 の複合
体である実施態様(2)に記載の方法。
【0196】(7)前記K3 PO4 は、2つ以上のH2
2 分子と複合される実施態様(6)に記載の方法。 (8)前記複合体は、K3 PO4 ・3H2 2 である実
施態様(7)に記載の方法。 (9)前記塩は、珪酸塩である請求項1に記載の方法。 (10)前記塩は、ナトリウムの珪酸塩である実施態様
(9)に記載の方法。 (11)前記塩−過酸化水素複合体は、Na2 SiO3
の複合体である実施態様(10)に記載の方法。
【0197】(12)前記Na2 SiO3 は、1つ以上
のH2 2 分子と複合されている実施態様(11)に記
載の方法。 (13)前記過酸化水素水溶液は約12%と約80%の
間の濃度を有する請求項1に記載の方法。 (14)前記乾燥工程(ステップ)は真空乾燥を含む請
求項1に記載の方法。 (15)前記乾燥工程はオーブン乾燥を含む請求項1に
記載の方法。 (16)前記過酸化物濃度は約12%である請求項2に
記載の方法。 (17)n=3である請求項3に記載の合成物。 (18)n=1である請求項4に記載の合成物。
【0198】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、医
療器具などの製品を滅菌するために、無機塩−過酸化水
素複合体から放出された過酸化水素蒸気を使用する装置
および方法が利用される。本発明においては、過酸化水
素含有ペーストを作りそれを乾燥する工程のペースト法
で上記複合体を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気滅菌装置の略図である。
【図2】場合によってプラズマを発生させるために使用
する電極を含む本発明の蒸気滅菌装置の略図である。
【図3】過酸化物複合体を加熱するために使用すること
ができる装置の略図である。
【図4】本発明に係る滅菌における過酸化物源を保持す
るための好ましい容器の略図である。
【図5】真空下で不安定な非水グリシン無水過酸物複合
体からの過酸化水素蒸気の放出を示すグラフ図である。
【図6】本発明に係る無機過酸化物複合体の過酸化水素
放出または分解特性を測定するために使用した示差走査
熱量計(DSC)の圧力制御システム略図である。
【図7】複合体をカバーする蓋の1個の小さな穴で蓚酸
カリウム過酸化物複合体からの過酸化水素の放出に関す
る圧力効果を示すグラフ図である。
【図8】過酸化物蒸気の導入前に、本発明に係る過酸化
物蒸気をチャンバーに導入するためのベローの略図であ
る。
【図9】導入の間、過酸化物複合体と接触している熱プ
レートを示す図8のベローの略図である。
【図10】無機過酸化水素複合体の滅菌チャンバーと加
熱装置の略図である。
【図11】蒸気滅菌で使用するための過酸化水素複合体
の拡散パッケージ層の略図である。
【図12】大気圧でK2 2 4 ・H2 2 のDSC
に、開放アルミニウムパンと複合体をカバーする蓋に2
個の穴を開けたパンの効果を示す図である。
【図13】(A)は760トルでのNa4 2 7 ・2
2 2 とNa4 2 7 ・3H2 2 のDSC分布図
であり、(B)は760トルでのNa4 2 7 ・4H
22 のDSC分布図である。
【図14】760トル、7トルおよび0.35トルでの
Na3 PO4 ・5H2 2 のDSC分布図である。
【図15】760トルでのNa2 HPO4 ・1H2 2
とNa2 HPO4 ・2H2 2 のDSC分布図である。
【図16】760トルでのNa5 3 10・H2 2
DSC分布図である。
【図17】760トル、7トルおよび1トルでのK3
4 ・3.34H2 2 のDSC分布図である。
【図18】760トルと7トルでのK4 2 7 ・7H
2 2 のDSC分布図である。
【図19】760トルと1トルでのK2 HPO4 ・3.
15H2 2 のDSC分布図である。
【図20】760トルでのKH2 PO4 ・H2 2 のD
SC分布図である。
【図21】760トルと7トルでのNa2 CO3 ・1.
5H2 2 のDSC分布図である。
【図22】760トルでのCa2 2 7 ・3.42H
2 2 のDSC分布図である。
【図23】760トルと7トルでのMg2 2 7
4.60H2 2 のDSC分布図である。
【図24】760トルでのNa2 SO4 ・1.28H2
2 のDSC分布図である。
【図25】760トルでのKa2 SO4 ・0.62H2
2 のDSC分布図である。
【図26】760トル、1トルおよび0.5トルでのN
2 SiO3 ・2.15H2 2のDSC分布図であ
る。
【図27】760トルでのNa2 SiO3 ・2.15H
2 2 のDSC分布図である。
【化1】
【表22】
フロントページの続き (72)発明者 ポール・ティー・ジャコブス アメリカ合衆国、92679 カリフォルニア 州、トラブコ・キャニオン、レイナー 8 (72)発明者 ズ−ミン・リン アメリカ合衆国、92653 カリフォルニア 州、ラグーナ・ヒルズ、レイン・ツリー・ ロード 25632

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機塩−過酸化水素複合体を製造するペ
    ースト法であって、 (a)前記塩を十分な水と軟質ペーストを形成するのに
    十分な時間混合する工程と、 (b)前記ペーストを過酸化水素水溶液と混合して過酸
    化水素含有ペーストを形成する工程と、 (c)前記過酸化水素含有ペーストを乾燥させる工程を
    含む無機塩−過酸化水素複合体を製造するペースト法。
  2. 【請求項2】 ピロ燐酸ナトリウムデカ水和物固体を3
    0%未満の濃度を有する過酸化水素水溶液と混合する工
    程と、 前記混合物を乾燥させる工程を含むNa4 2 7 ・3
    2 2 を製造する水和物法。
  3. 【請求項3】 K2 HPO4 ・nH2 2 をから成る合
    成物。
  4. 【請求項4】 KH2 PO4 ・nH2 2 から成る合成
    物。
  5. 【請求項5】 Ca2 2 7 ・nH2 2 から成る合
    成物。
  6. 【請求項6】 Mg2 2 7 ・nH2 2 から成る合
    成物。
  7. 【請求項7】 Na2 SO4 ・nH2 2 から成る合成
    物。
  8. 【請求項8】 K2 SO4 ・nH2 2 から成る合成
    物。
  9. 【請求項9】 Na2 SiO3 ・nH2 2 から成る合
    成物。
  10. 【請求項10】 Na2 Si3 7 ・nH2 2 から成
    る合成物。
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