JPH1018081A - 産業用ロール - Google Patents

産業用ロール

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JPH1018081A
JPH1018081A JP17831696A JP17831696A JPH1018081A JP H1018081 A JPH1018081 A JP H1018081A JP 17831696 A JP17831696 A JP 17831696A JP 17831696 A JP17831696 A JP 17831696A JP H1018081 A JPH1018081 A JP H1018081A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属の熱間圧延ロール、ハースロール、プラス
チックフィルムやガラスの成形用ロール等の産業用ロー
ルであって、耐熱性、耐摩耗性、耐焼付性、耐クラック
性、耐食性、非接着性等数々の特性を持ち、使用寿命の
長い産業用ロールを提供する。 【解決手段】表面にニッケル、タングステンおよび硼素
からなる電気めつき合金皮膜を有することを特徴とする
ロール。上記の電気めっき合金皮膜は、3〜50重量%の
タングステンと0.01〜5重量%の硼素を含み、残部がニ
ッケルからなる合金皮膜であることが望ましい。一層望
ましいのは下記の組成である。 タングステン: 10 〜 50 重量% (さらに望ましくは、
25〜45重量%) 硼 素 :0.01〜 3 重量% (さらに望ましくは、0.
05〜1 重量%) ニッケル :残部

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、産業用のロー
ル、特に耐熱性、耐摩耗性をはじめとして耐食性、非接
着性、離型性等の物理的または化学的諸機能の少なくと
も一つを必要とするロール、例えば、金属の熱間圧延用
ロール、焼鈍装置用ハースロール、ガラス成形用ロー
ル、プラスチック成形用ロール、フィルムあるいは製紙
用キャスティングロール、フィルム熱処理用ロール、紡
織加工用ロール、各種物質の塗布用ロール等として用い
るのに好適な、広い意味での産業用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】産業用ロールの種類は多岐にわたるが、
その中には過酷な熱負荷や摩耗等に耐えることを必要と
するものが多い。例えば、鋼板等の金属製品の製造工程
における熱間圧延に使用されるロールは、1000℃を超え
る高熱の被圧延材に接触し、しかも、加熱と冷却が繰り
返されるという過酷な条件で使用される。また、近年、
広く普及している薄鋼板の連続焼鈍装置や溶融亜鉛めっ
きの前の焼鈍炉等で使用されるハースロールは、数100
℃の高温雰囲気中で使用されるものであり、その表面は
絶えず高速で通過する鋼板に接触する。
【0003】上記の熱間圧延は、高温に加熱された被圧
延材を高速回転するロールの間に繰り返し通すことによ
り、徐々に形状を整えていく工程である。ロールと被圧
延材とは高い圧力での接触と解放を繰り返えすので摩耗
が発生する。ロールが被圧延材に接触した時は、ロール
表面は瞬時に高温にさらされ、ロール表面は局部的に急
激に膨張する。他方、被圧延材から解放された時は、水
による冷却が行われ、ロール表面は急冷されて収縮す
る。これらの作用によりロールにはヒートクラックと呼
ばれる亀裂を生じる。また冷却水には様々な物質が含ま
れ、それらと上記のような温度条件とが相まって、ロー
ル表面には腐食も発生する。
【0004】鋼板の焼鈍炉等のハースロールには、冷間
圧延によって美麗に仕上げられた薄鋼板が高温で接触す
る。この鋼板はロール間の張力により引っ張られている
ため、ロールと鋼板との間で滑りが発生する。従って、
ロールには摩耗が生じ、さらに焼付等による肌荒れが発
生する。ロール表面に僅かでも肌荒れ等の欠陥があれ
ば、鋼板表面を傷つけて、その製品価値を損なう。
【0005】上記の例から推測できるように、産業用ロ
ールに求められる主な特性は、強度、耐熱性および耐摩
耗性であるが、これらに加えてさらにヒートクラックや
焼付等の欠陥の発生がない優れた表面特性が求められ
る。
【0006】ロール材質の面からは、例えば熱間圧延ロ
ールの材質として、アダマイト鋳鉄、高クロム鋳鉄、高
合金グレン鋳鉄、ダクタイル鋳鉄および高合金チルド鋳
鉄等が用いられており、さらにこれらの材質の改良に関
する発明も多数提案されている。
【0007】一方、表面処理の面からも、耐摩耗性、耐
焼付性、耐食性等の向上を狙って、クロム、ニッケル或
いはこれらの合金をロール表面にめっきする発明がなさ
れている(例えば、特開昭61−165212号公報、特開平2
−211902号公報、特開平1−210105号公報、参照) 。ま
た、特開昭60−196209号公報には、熱間圧延ロールの表
面にニッケルめっき層、ニッケルーりん合金めっき層、
およびクロムめっき層からなる三層のめっきを施す発明
が開示されている。
【0008】クロムめっきは高硬度であり、耐摩耗性に
優れていることから、高硬度が要求される部位、或いは
耐摩耗性が要求される部位に広く用いられている。しか
し、クロムめっきには無数のマイクロクラックが存在す
るため耐食性に問題がある。
【0009】また、クロムめっきは常温では高硬度であ
るが、高温ではその硬度が著しく低下するので、高温耐
摩耗性は期待し難い。さらに、めっき作業に際しては有
害な六価クロムを用いるため、作業者の安全対策および
公害防止に細心の注意と多額の経費を必要とする。
【0010】一方、ニツケルめっきには、クラック等の
皮膜欠陥は少ないが硬度が低く、耐摩耗性に劣る等、熱
間圧延ロール等の表面皮膜としては好ましいものではな
い。
【0011】前記の三層めっきは、これらの欠点を改良
するために開発されたものであり、それぞれ熱膨張係数
の異なる三層のめっき皮膜を施し、中間のニッケルーり
ん合金めっき皮膜により耐摩耗性等の効果を得ようとす
るものである。ニッケルーりん合金めっきは、或る温度
まではその硬度を増すことが知られているが、その温度
を超えると急激に硬度が低下し、それに伴い耐摩耗性も
低下する。また、このような多層めっきを施すのは、め
っき工程が増えて複雑であり、ロールの生産効率が悪い
という問題がある。
【0012】ガラス工業の分野でも、ガラス製品の成形
や熱処理用としてロールが多用されている。また、プラ
スチック工業の分野では、樹脂製品、特にフィルムやシ
ートの成形用、熱処理用、張り合わせ用等としてロール
が使用される。その外、製紙業界、繊維業界、塗装業界
等においても種々の目的でロールを使用することが多
い。従って、産業用ロールとしては、前記の耐摩耗性、
耐熱性、耐食性の外に、ガラスやプラスチックに付着し
にくい非接着性、離型性、等も必要とされる。
【0013】なお、プラスチック・フィルムを処理する
ドラムに関して、ニッケル−クロムの二層めっきを施す
提案(特開昭61−195994号公報) や、ドラムを構成する
ヒートパイプを金属めっき (銅、ニッケル等のめっき)
するという提案 (特開昭56−123827号公報) がある。し
かし、これらのめっき処理もドラムに前述のような様々
な特性を付与するという目的のものではない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】産業用ロールに要求さ
れる特性は、上記のように多様である。しかも、一旦、
摩耗、クラック、焼付等を生じたロールは、交換して補
修しなければならず、その交換に要する手間と作業の中
断は生産効率の大きな低下を招く。言い換えれば、上記
のような欠陥を生じ難い、寿命の長いロールは、生産効
率の向上と製品品質の向上に寄与し、製品の製造コスト
の低減に役立つ。
【0015】本発明の目的は、耐熱性とともに耐摩耗
性、耐クラック性、耐焼付性、耐食性および耐接着性に
優れ、使用寿命の長い産業用ロールを提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、『表面にニッ
ケル、タングステンおよび硼素からなる三元合金 (ただ
し不可避的不純物は許容される) の電気めつき皮膜を有
することを特徴とする産業用ロール』を要旨とする。
【0017】上記の電気めっき合金皮膜は、3〜50重量
%のタングステンと0.01〜5重量%の硼素を含み、残部
がニッケルおよび不可避不純物からなる合金皮膜である
ことが望ましい。一層望ましいのは下記の組成である。
【0018】タングステン: 10 〜 50 重量% (さらに
望ましくは、25〜45重量%) 硼 素 :0.01〜 3 重量% (さらに望ましくは、0.
05〜1 重量%) ニッケル :残部 (ただし、不可避的不純物は許容され
る。) 上記のめっきを施すロール本体は、前述の鋳鉄系の材
質、鋳鋼系の材質、工具鋼、耐熱鋼等の材質のいずれで
もよい。これらの材質は、ロールの用途に応じて必要な
強度、耐熱性等を持つものを選べばよい。なお、「ロー
ル」には、中実のロールのみならず、内部に冷却媒体を
通すような中空ロール (いわゆるドラム型ロール) も含
む。上記の電気めっきは、どのような材質、形状のもの
にも施すことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明ロールのめっき層は、タン
グステン−ニッケル系合金に少量の硼素を添加した三元
合金である。タングステンとニッケルの二元合金のめっ
きは、すでに知られている (例えば特開昭61−6291号公
報、参照) 。この二元合金めっきは、良好な耐熱性と耐
摩耗性を備えており、上記公報に記載されているよう
に、ガラス製品成形用金型等には十分に使用できる。し
かし、前述したようなきわめて過酷な条件で使用される
ロールのめっき皮膜としては、高温での硬さ、即ち高温
耐摩耗性が十分でない。また、耐食性にも難点がある。
【0020】本発明は、上記のタングステン−ニッケル
二元合金めっきをさらに改良して、ロール表面のめっき
皮膜として最適な化学組成を選定したものである。本発
明ロールのめっき合金のベースをニッケルとしたのは、
ニッケルの熱膨張係数が基体(ロール本体) を構成する
鉄系材料のそれと大差ないからである。熱膨張係数の差
が大きいと、ロールに熱が加わった際に表層の皮膜が、
基体よりも大きく膨張または収縮し、その膨張差によっ
て皮膜にクラックが生じ、ひいては皮膜剥離に到る。即
ち、ニッケル基合金めっきはロール基体との密着性に優
れ、クロムめっきのようにマイクロクラックを発生する
ことがない。
【0021】めっき皮膜のタングステン含有量は 3〜50
重量%とするのが望ましい。3重量%より少ないと耐熱
性、耐摩耗性が不十分であり、一方、50重量%を超える
と、ベースのニッケルが少なくなりすぎて前記の利点が
失われる。また、タングステンの熱膨張係数はニッケル
および鉄のそれに較べて非常に小さいので、タングステ
ンの含有量が50重量%を超えるとめっき皮膜と基体の熱
膨張係数の差が大きくなりすぎて、前記の問題が生じる
ことがある。タングステン含有量の更に望ましい範囲は
10〜50重量%であり、最も望ましいのは25〜45重量%で
ある。
【0022】本発明ロールのめっき合金は、硼素を含む
ことを大きな特徴とする。この硼素は、めっき皮膜の高
温での硬さを増大させ、高温耐摩耗性を高める。また、
めっき皮膜の耐食性、耐焼付性の向上にも寄与する。こ
れらの効果は、0.01重量%未満では顕著の現れない。他
方、硼素の含有量が 5重量%を超えると、基体との密着
性が悪くなり、ロールが加熱−冷却の繰り返しにさらさ
れたときに皮膜の亀裂や剥離が生じやすくなる。従っ
て、硼素の望ましい含有量は0.01〜5 重量%、さらに望
ましいのは0.01〜3 重量%、最も望ましいのは0.05〜1
重量%である。
【0023】なお、ニッケルめっきに硼素を添加しため
っきに関する発明は、本出願人が特公平4−59064 号公
報で提案している。しかし、そのめっきは、連続鋳造用
の銅または銅合金製鋳型の表面処理用であって、ロール
の表面処理を想定したものではない。後述の実施例 (表
2) にも示すように、硼素−ニッケル二元合金のめっき
は耐摩耗性および耐焼付性に劣り、ロールのめっきとし
ては適当でない。
【0024】本発明ロールのめっきは、電気めっき法に
よって施す。めっき浴としては前記の組成のニッケル−
タングステン−硼素合金めっき皮膜が得られるものであ
りさえすれば、その種類は問わない。一例を挙げれば下
記のような浴組成がある。
【0025】 硫酸ニッケル ・・・・・・ 5〜80 g/L タングステン酸ナトリウム ・・・・ 25〜55 g/L クエン酸 ・・・・・・・・・ 40〜70 g/L 硼 酸 ・・・・・・・・・ 20〜30 g/L ジメチルアミンボラン ・・・・・ 0.01〜 0.3 g/L ニッケル源としては硫酸ニッケル以外に炭酸ニッケル、
塩化ニッケル、その他の溶解性ニッケル塩も上記のニッ
ケル濃度を満たす範囲で使用できる。また硼素源として
のジメチルアミンボランの代わりに、トリメチルアミン
ボラン等の他の有機硼素化合物の使用も可能である。
【0026】めっきの条件としては、電流密度: 8〜10
A/dm2、めっき浴温度:45〜60℃、pH:8〜9の範囲
でよく、めっき厚はロールの用いられる諸条件に合わせ
て、およそ10〜500 μm の範囲で選定すればよい。
【0027】
【実施例】 〔実施例1〕JIS SUJ 1(高炭素クロム軸受鋼) の150(L)
×80(W)× 5(T) (mm)サイズの基体に、表1に示すタン
グステン (W) 44重量%−硼素(B)0.3重量%−ニッケ
ル (Ni) 残部で、膜厚 30 μm のめっきを施した。用い
ためっき浴組成は下記のとおりであり、浴温は 50 ℃、
pHは 8.8に調整した。
【0028】 硫酸ニッケル ・・・・・・ 20 g /L タングステン酸ナトリウム・・・ 40 g /L ジメチルアミンボラン ・・・・ 0.1 g /L 硼 酸 ・・・・・・・・25 g/L クエン酸 ・・・・・・・・ 50 g /L 電流密度は、7A/dm2 、通電時間は 1.5時間とした。
【0029】めっきした基体を、表1に示す各温度に1
時間加熱する熱処理を施し、冷却後のめっき皮膜の硬さ
を測定した。その結果を表1に併記する。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示すとおり、熱処理によりめっき皮
膜の硬さが顕著に増加している。
【0032】次に、めっきした基体の熱間摩耗試験を行
った。試験方法は、めっきした基体を摺動装置に固定
し、上部からそれを 500℃に加熱し、加熱めっき面に鋼
球をのせ、荷重 3 kg に設定し、摺動装置を 30 分作動
させる、という方法である。その結果、めっき表面に摩
耗や焼付等の損傷は認められなかった。
【0033】さらに、めっきした基体を 7kHz の高周波
加熱で 600℃に加熱したのち水冷して室温まで冷却する
加熱−冷却サイクルを 1000 サイクル繰り返す試験を行
った。その結果、めっき皮膜にはクラックの発生がな
く、また、めっき皮膜の基体からの剥離もまったく見ら
れなかった。
【0034】〔実施例2〕表2に示す各種のめっきにつ
いて、実施例1と同じ方法で熱間耐摩耗性と耐焼付性を
調べた。本発明例は、実施例1のものと同じ(皮膜の厚
さは 30 μm)である。比較例はすべて同じ基体に膜厚 3
0 μm のめっきを施したものである。
【0035】比較例1は、特開昭61−6291号公報に提案
されているニッケルータングステン合金めっき、比較例
2は、特開昭60−196209号公報に提案されている3層め
っき、比較例3は、特公平4−59064 号公報に示された
ニッケル−硼素合金めっき、にそれぞれ相当し、比較例
4は一般的な硬質クロムめっきである。試験結果を表2
に併記する。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示すとおり、比較例2〜4の摩耗深
さはめっき皮膜厚さ(30μm ) を超えている。これは、
基体まで摩耗を受けたことを意味する。比較例1のタン
グステン−ニッケル合金めっきは、耐摩耗性も耐焼付性
も良好であるが、本発明例には及ばない。本発明のめっ
きは、優れた耐摩耗性と耐焼付性を示すことが明らかで
ある。
【0038】〔実施例3〕表3に示す4種のめっきにつ
いて、熱処理後の硬さ、高温硬さ、および耐食性を調べ
た。本発明例は実施例1のものと同じめっき、比較例5
および比較例7は、実施例2(表2)の比較例1および
比較例4と同じである。ただし、いずれもめっき皮膜厚
は 50 μm とした。比較例6は、実施例2(表2)の比
較例2の第2層のりん−ニッケル合金めっきである。
【0039】熱処理後の硬さは、実施例1と同様に表示
の各温度に1時間加熱して冷却した後の硬度である。ま
た、高温硬さは、表示の各温度に加熱した状態で測定し
たものである。
【0040】腐食試験は、めっき皮膜に常温下で 0.1N
の硝酸を刷毛塗りし、1時間後及び24時間後の塗布部分
の腐食状況を観察する方法で行った。
【0041】以上の試験結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3から明らかなように、本発明例は熱処
理を高温で行う程、硬さが増す。また、高温での硬さの
低下は、比較例に比べて小さい。即ち、高温での耐摩耗
性に優れている。腐食に関しても、本発明例には何ら問
題はない。これは、本発明例のめっきには硼素が含有さ
れているからである。なお、表3の関係は、電流−電位
曲線でも同じであつた。
【0044】〔実施例4〕表2に示した本発明例、比較
例1および比較例4のめっき皮膜(ただし、皮膜の厚さ
は、実施例3と同じく50μm )について樹脂の接着性を
調べた。評価方法は下記のとおりである。
【0045】合わせガラス用接着剤として市販されてい
る武田薬品工業株式会社製のデュミラン(商品名)をめ
っき皮膜上に塗布し、真空中で110 ℃に30分加熱して冷
却した。この塗布面(20mm角)にカッターナイフで縦、
横に2mm間隔の切れ目を入れたのち市販の粘着テープを
貼り、このテープを剥がしてそれに付着した2mm角のデ
ュミランの数、即ち、剥離したデュミランの数を測定し
た。この数が多い程、めっき皮膜に対する樹脂の接着性
が小さく、非接着性に優れることになる。5回の試験の
平均値は下記のとおりである。
【0046】 本発明例・・・・・98個 比較例1・・・・・60個 比較例4・・・・・56個 上記のとおり、接着性の大きい樹脂(デュミラン)に対
して、本発明例のめっき皮膜は、比較例1および4のい
ずれよりも非接着性に優れている。
【0047】さらに、同じく本発明例、比較例1および
比較例4の組成のめっき皮膜について、下記の要領でガ
ラスの接着性を調べた。
【0048】径50mm、長さ600 mmの型板ガラス製造用ロ
ールと平滑ロールに長さの1/3、即ち、200 mmづつ、
上記3種類のめっきをそれぞれ 30 μm 厚に施した。こ
れらのロールに溶融ガラス (温度:約1100℃) を通し、
各めっき皮膜上に残ったガラス量を目視で観察した。ガ
ラス残留量は、本発明例が最も少なく、次いで比較例
1、比較例4の順に増加していた。なお、試験後の本発
明ロールの表面形状は、比較例のいずれよりも試験前の
形状に近いものであった。
【0049】
【発明の効果】本発明のロールは、その表面にタングス
テン−硼素−ニッケルの三元合金めっき皮膜を有するこ
とによって、きわめて優れた耐熱性、耐摩耗性、耐焼付
性、耐食性、非接着性等数々の特性をもつ。加熱冷却の
繰り返しによるヒートクラックも発生し難く、長時間の
過酷な条件での使用に耐える。このロールは、金属の熱
間圧延ロールやハースロールとして好適であるばかりで
なく、プラスチック工業、ガラス工業等、あらゆる分野
の産業用ロールとして使用できる。また、ロール自体の
材質を高価なものにせずとも簡易な電気めっきによって
優れた特性を付与できるのでロールの原単位を下げると
いう経済的な利点も大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にニッケル、タングステンおよび硼素
    からなる三元合金の電気めつき皮膜を有することを特徴
    とする産業用ロール。
  2. 【請求項2】電気めっき皮膜が3〜50重量%のタングス
    テンと0.01〜5重量%の硼素を含み、残部がニッケルと
    不可避不純物からなる合金皮膜である請求項1の産業用
    ロール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002075057A (ja) * 2000-08-30 2002-03-15 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 被覆銅粉
JP2003061360A (ja) * 2001-08-16 2003-02-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 整流回路

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