JPH10177015A - 陰イオンの分析法並びに陰イオン分析セット - Google Patents

陰イオンの分析法並びに陰イオン分析セット

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JPH10177015A
JPH10177015A JP8319322A JP31932296A JPH10177015A JP H10177015 A JPH10177015 A JP H10177015A JP 8319322 A JP8319322 A JP 8319322A JP 31932296 A JP31932296 A JP 31932296A JP H10177015 A JPH10177015 A JP H10177015A
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ion
anion
anions
eluent
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JP8319322A
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Toshio Tokuda
田 俊 夫 徳
Susumu Ishiguro
黒 進 石
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】緩衝範囲にあるpH7〜11の溶離緩衝液
を、イオン交換容量が0.5meq/g以上の弱塩基性
イオン交換体を充填したカラムに送液しながら、陰イオ
ンを含む試料を該カラム内に注入し、カラムより分離溶
出される陰イオンを伝導度検出器により検出することを
特徴とする陰イオンの分析法。上記弱塩基性イオン交換
体を充填したカラムと、上記溶離緩衝液と、伝導度検出
器とからなる陰イオン分析セット。 【効果】この分析法並びにこのセットは、再現性に優
れ、しかもカラムに注入された試料により試料中の不純
物汚染の影響を分離カラムは受けにくく耐久性(持続
性)に優れており、同じカラムにて長期継続的に分析可
能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明はイオンクロマトグラフィー
による陰イオンの分析法に関し、さらに詳しくは再現性
等に優れた陰イオンの分析法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】イオンクロマトグラフィーによる
陰イオンの分析法としては、ノンサプレッサー法、サプ
レッサー法が挙げられる。このうちノンサプレッサー法
では、分離カラムとして強塩基性で低交換容量の陰イオ
ン交換体を充填したものを用意し、この分離カラム内に
捕捉(吸着)された試料イオン類を、溶出力が大きく、
当量伝導度の小さい有機酸の希釈水溶液を溶離液として
該カラム内に流すことにより順次流出(脱着)させてそ
れぞれのイオンに分離した後、伝導度検出器にて試料中
のイオン(種類・量)を検出する。
【0003】またサプレッサー法では、分離カラムとし
て強塩基性低交換容量の陰イオン交換体を充填したカラ
ムを用意し、このカラム内に捕捉された試料イオン類
を、溶離液としてのホウ酸、または炭酸の希釈アルカリ
性バッファーを流して試料イオン類を順次脱着させてそ
れぞれのイオンに分離した後、一旦サプレッサーに導入
し陽イオンを除去して伝導度を抑制し次いで伝導度検出
器で試料中のイオンを検出する。
【0004】前者のノンサプレッサー法、後者のサプレ
ッサー法の何れにおいても、分離カラムには、通常、イ
オン交換容量が0.01〜0.05meq/gの低交換
容量の強塩基性陰イオン交換体が充填されている。
【0005】しかしながらこのような低交換容量で再現
性の良いイオン交換体を工業的に量産しようとすると、
イオン交換体用樹脂の製造時に厳密に樹脂の合成反応を
制御しなければならないなど技術的に困難を伴う。
【0006】このため、従来では、例えば、交換容量の
異なる複数のイオン交換体を混合してカラムに充填する
ことにより、低交換容量でかつ良好な再現性を示すよう
な工夫がされているが、特性的に満足できるものではな
く、複数のイオン交換体を混合・充填することにより充
填不均一となり分離性能が低下するなどの問題点も生じ
ている。また、このような分離カラムでは、交換容量が
小さいため、試料注入による不純物汚染の影響を受け易
く、分離カラムの耐久性が比較的短いという問題点もあ
る。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、再現性に優
れ、用いられる分離カラムが耐久性(持続性)に優れる
ような陰イオンの分析法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る陰イオンの分析法は、緩衝
範囲にあるpH7〜11の溶離緩衝液を、イオン交換容
量が0.5meq/g以上の弱塩基性イオン交換体を充
填したカラムに送液しながら、陰イオンを含む試料を該
カラム内に注入し、カラムより分離溶出される陰イオン
を伝導度検出器により検出することを特徴としている。
【0009】本発明に係る陰イオン分析セットは、陰イ
オンを含む試料が注入される、イオン交換容量が0.5
meq/g以上の弱塩基性イオン交換体を充填したカラ
ムと、上記カラムより陰イオンを分離溶出させる、緩衝
範囲にあるpH7〜11の溶離緩衝液と、分離溶出した
陰イオンを検出する伝導度検出器と、(さらには、必要
により、この伝導度検出器にて検出された信号をクロマ
トグラムとして表示するインテグレータ、溶離液をカラ
ム内に送液するためのポンプ、試料をカラムに注入する
ための注入装置、カラムを一定温度に保つための恒温槽
と)からなることを特徴としている。
【0010】上記陰イオンの分析法および陰イオンの分
析セットの何れの場合も、弱塩基性イオン交換体中のイ
オン交換基が、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三
級アミノ基の何れか1種または2種以上であることが好
ましい。
【0011】また溶離液が、有機酸、ホウ酸、または炭
酸のうちの何れか1種または2種以上の酸を含むことが
好ましい。また上記弱塩基性イオン交換体のpK値は7
〜10であることが好ましい。
【0012】このような陰イオンの分析法は、再現性に
優れ、しかもカラムに注入された試料により試料中の不
純物汚染の影響を分離カラムは受けにくく耐久性(持続
性)に優れており、同じカラムにて長期継続的に分析可
能である。
【0013】上記陰イオン分析セットによれば、上記の
ように再現性に優れ、しかもカラムに注入された試料に
より試料中の不純物汚染の影響を分離カラムは受けにく
く耐久性(持続性)に優れており、同じカラムにて長期
継続的に分析可能である。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る陰イオンの分
析法並びに陰イオン分析セットについて具体的に説明す
る。
【0015】本発明に係る陰イオンの分析法では、緩衝
範囲にあるpH7〜11の溶離緩衝液(単に溶離液とも
いう)を、イオン交換容量が0.5meq/g以上の弱
塩基性イオン交換体を充填したカラムに送液しながら、
陰イオンを含む試料を該カラム内に注入し、カラムより
分離溶出される陰イオンを伝導度検出器により検出して
いる。換言すれば、本発明では、陰イオンを含む試料
を、上記カラムと接触させ、弱塩基性イオン交換体に陰
イオンを吸着させるとともに、緩衝範囲にあるpH7〜
11の溶離緩衝液(溶離液)を流して、このイオン交換
体に吸着(結合)している陰イオンを順次時間差を開け
て分離溶出させ、溶離した陰イオンを伝導度検出器によ
り検出している。 [試料]陰イオンとしては、特に限定されず、具体的に
は、例えば、F-、Cl、NO2 -、Br-、NO3 -、SO
4 2-、PO4 3-、I-、S23 -、SCN-、芳香族スルフ
ォン酸(トルエンスルフォン酸、キシレンスルフォン酸
等)イオン、アルキルスルフォン酸(オクチルスルフォ
ン酸、デシルスルフォン酸、ドデシルスルフォン酸等)
イオンなどが挙げられる。 [分離カラム]この分離カラムとしては、イオン交換容
量(乾燥状態の樹脂1g当たりの、イオン交換基のミリ
当量)が0.5meq/g以上、好ましくは0.5〜
2.0meq/gの高交換容量の弱塩基性イオン交換体
を充填したものが用いられる。
【0016】<高交換容量の弱塩基性イオン交換体>こ
こで本発明で用いられる高交換容量の弱塩基性イオン交
換体の特性について、滴定曲線を以って、従来用いられ
ていた低交換容量の強塩基性陰イオン交換体と比較しつ
つ詳説する。
【0017】図1は、一定重量の、高交換容量の弱塩基
性陰イオン交換体(付番)および低交換容量の強塩基
性陰イオン交換体(付番)をそれぞれ0.1N塩酸で
滴定したときの塩酸添加量(横軸,単位:meq/gゲ
ル)とpH(縦軸)の関係を示すグラフである。
【0018】図1で示すように、従来の低交換容量の
強塩基性イオン交換体においては、高pHではイオン交
換基が完全に解離しており、滴定前のpHが12以上で
あり、塩酸添加によりイオン交換基が中和されるまでは
殆どpHの低下はなく、完全に中和されると急激にpH
2付近まで低下する(曲線)。
【0019】それに対し、図1で示すように、本発明
で使用される高交換容量の弱塩基性イオン交換体では、
高pHではイオン交換基は、一部しか解離せず1規定塩
酸滴定前にはpH9〜11を示す。このイオン交換体に
上記塩酸を添加するとpHが低下するが、pHの低下に
従い未解離のイオン交換基が解離するため、上記の低
交換容量の強塩基性陰イオン交換体のように急激にpH
が低下することはなく、徐々に低下し、実質上すべての
イオン交換基が解離し中和された点から急激にpH低下
する(曲線)。
【0020】従ってイオン交換体のイオン交換容量は図
1の(a)点が強塩基性陰イオン交換体のイオン交換容
量に対応し、(b)点が弱塩基性陰イオン交換体のイオ
ン交換容量に対応する。
【0021】弱塩基性イオン交換体では、全イオン交換
基(b点)の半分が解離しているpH(図のc=b/
2)は解離指数(pK)に等しいが、このpHより高い
pHでは指数関数的にイオン交換基解離が減少してイオ
ン交換基の量は減少する。この(c)点すなわち(b/
2)点に対応するpHよりHCl添加量0(ゼロ)に対
応するpH域が、実質上イオンクロマトグラフィーに利
用できるイオン交換容量となる。
【0022】本発明で用いられる高交換容量の弱塩基性
陰イオン交換体の基材としては、ポリスチレン系、ポリ
アクリレート系、ポリビニルアルコール系、などのポリ
マー樹脂;酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコ
ニウムなどの無機材質が用いられる。このような基材の
寸法(粒径)には、特に制限はなく、従来より公知のも
のが用いられる。
【0023】これらの基材に弱塩基性イオン交換基が導
入されるが、このような弱塩基性イオン交換基として
は、従来より公知のものが特に限定されず使用可能であ
り、例えば、第一級アミノ基:−NH2、第二級アミノ
基:−NHR、第三級アミノ基:−NRR’が挙げられ
る。ただし、式中、R、R’は互いに同一であってもよ
く異なっていてもよい置換基を示し、炭素数1〜5程度
のアルキル基などが挙げられる。第三級アミノ基として
は、例えば−NR12(R1=CH3、R2=C25)が
挙げられる。また、2種以上のアミノ基が結合したもの
であってもよく、例えば、第一級アミノ基と第二級アミ
ノ基が結合した:−NH−(CH22NH2であっても
よい。
【0024】これらイオン交換基の導入量が、従来の強
塩基性イオン交換基の0.01〜0.05meq/gの
一桁以上(10倍以上)の量、好ましくは0.5meq
/g以上、さらに好ましくは0.5〜2.0meq/g
である。弱塩基性陰イオン交換体のイオン交換容量がこ
のような範囲であれば、溶離液のpHの選択により再現
性に優れた陰イオン分析データが得られ、しかも実質上
この陰イオン交換容量はイオンクロマトグラフィー分析
に適している。 [溶離緩衝液]溶離緩衝液(溶離液)としては、サプレ
ッサー法、ノンサプレッサー法の何れであるかなどによ
り異なり一概に決定されないが、通常、サプレッサー法
では、ホウ酸または炭酸の緩衝液が用いられ、ノンサプ
レサー法では有機酸が用いられる。
【0025】詳説すれば本発明で用いられる溶離液のp
Hは、サプレッサー法、ノンサプレッサー法何れの場合
においても、用いられる分離カラムのイオン交換基のp
K値(同じ値のpHにおいて解離イオン交換基と非解離
イオン交換基の量が一致する)により選択することが望
ましい。
【0026】溶離液のpHとしては、一般的には、イオ
ン交換基のpK値〜pK値+1の範囲で溶離液のpHを
選択すれば良好な分離能が得られる。弱塩基性イオン交
換樹脂のpK値はイオン交換基の種類により異なり一概
に決定されないが、通常7〜10の範囲にあるので、溶
離液としてはpH7〜11の間で選択される。
【0027】しかも本発明では、選択される溶離液のp
Hは、上記のようにその溶離液の緩衝領域内に含まれて
いることが重要である。このような緩衝領域内のpHの
溶離液を選択すれば、選択されるpH付近において、イ
オン交換基の解離割合が急激に変化することはなく、p
Hの僅かの変動で保持時間(リテンション タイム)の
大幅な変化をもたらこともなく、安定した測定が可能と
なる。
【0028】このような要件を備えたノンサプレッサー
法の溶離液としては、例えば、pK値が6〜12である
ような有機酸を含む緩衝液が用いられる。通常、有機酸
は、pK値±1の範囲で緩衝性を示すと考えられるの
で、上記のような有機酸を含む緩衝液では、pH7〜1
1において緩衝能があり、当量伝導度が低く、充填剤の
イオン交換基に結合した陰イオンに対する溶出力に優れ
ている。
【0029】このようなpK値の有機酸としては、具体
的には、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸(pK=9.
23)、m−ヒドロキシ安息香酸(pK=9.93)、
メルカプト琥珀酸(pK=10.94)、ピコリン酸
(pK=11.0)、n−プロピルフォスフォン酸(p
K=8.18)などが挙げられる。
【0030】このような有機酸を含む緩衝液を調製する
には、従来より公知の方法を適宜採用でき、例えば、有
機酸のp−ヒドロキシ安息香酸(pK=9.23)と、
適宜規定度のアルカリである水酸化リチウムとを混合す
れば、p−ヒドロキシ安息香酸と、この酸の塩であるp
−ヒドロキシ安息香酸リチウム塩とを含む上記緩衝液が
得られる。
【0031】本発明では、有機酸のpK値が上記したよ
うな6〜12の範囲にないものであっても、緩衝液中に
含まれる他の陽イオン(対イオン)のpK値が上記と同
様に6〜12であるような溶離液を用いることもでき
る。
【0032】すなわち、溶離液中に含まれる有機酸自身
のpK値が上述したような値(pK6〜12)に該当し
なくとも、溶離液中の陰イオンと対イオンになる陽イオ
ンのpK値が6〜12の範囲にあれば、溶離液としての
緩衝能は得られるので本発明の溶離液として有効に使用
可能である。例えば、アンモニウムイオン(pK=9.
24)、メチルアミン(pK=10.62)、エチルア
ミン(pK=10.63)などを対イオンとすれば、ほ
とんどの有機酸が使用可能となる。
【0033】また、主にサプレッサー法で用いられる溶
離液としては、溶離液中の対(陽)イオンを除去すれば
弱イオン化し、低伝導度化する酸であれば特に限定され
ず用いることができ、このような酸としては、具体的に
は、例えば、ホウ酸(pK=9.0)、炭酸(pK=1
0.33)などの無機酸が挙げられ、その他、有機酸の
うちでも石炭酸(pK=9.99)などが使用可能であ
る。
【0034】また、芳香族スルフォン酸イオンやアルキ
ルスルフォン酸イオンのような疎水性の強い陰イオンに
ついては、上記の溶離液にメタノール、アセトニトリル
のような水溶性の有機溶媒を添加して分離することも有
用な手段となる。
【0035】具体的に、溶離液を調製する方法について
述べる。例えば、後述する実施例2[分離カラム:ポリ
アクリレート系の基材に第一級、第二級アミノ基−NH
−(CH22NH2が結合したイオン交換樹脂,pK
値:8.2]では、イオン交換基のpK値より適当な溶
離液のpHは8.2〜9.2に選択する必要がある。こ
こでサプレッサー法を実施するとして、炭酸緩衝液を用
いることにした。その場合、炭酸ナトリウムと炭酸水素
ナトリウムの混液(炭酸のpK:10.33、ナトリウ
ムのpK:14.77)を用いると、pH8.2〜9.
2にpHを合わせた場合、溶離液は緩衝性を示さず、安
定した測定ができない。そこで、溶離液中の炭酸イオン
の対イオン(陽イオン)としてアンモニウムイオン(p
K=9.24)を選択することにより、溶離液pHを
8.2〜9.2(実施例では8.6)に調整して緩衝性
が得られた。
【0036】また、実施例1(実施例2の場合と同じ分
離カラムを使用)では、ノンサプレッサー法を実施して
いるが、溶離液としてp−ヒドロキシ安息香酸緩衝液を
用いた。
【0037】この場合は、p−ヒドロキシ安息香酸のp
Kが9.23であり、適当な溶離液pH範囲8.2〜
9.2で対イオンに拘らず緩衝性が得られる。そこで、
伝導度の低いリチウムイオン(pK=13.82)を対
イオンとしてpH調整した。 [伝導度検出器]本発明で用いられる陰イオン分析セッ
トは、陰イオンを含む試料が注入される、イオン交換容
量が0.5meq/g以上の弱塩基性イオン交換体を充
填したカラムと、上記カラムより陰イオンを分離溶出さ
せる、緩衝範囲にあるpH7〜11の溶離緩衝液と、順
次時間差を以て分離溶出された各陰イオンを検出する伝
導度検出器とからなっており、さらには、必要により、
上述したようなインテグレータ、溶離液送液用のポン
プ、試料注入装置、恒温槽などが備えられている。
【0038】本発明では、このような陰イオン分析セッ
トを用いて陰イオン分析を行うことが好ましい。このよ
うな陰イオン分析セットを用いて陰イオン分析を行う場
合には、前記陰イオンを含む試料を上記カラム内に注入
するとともに、このカラム内に上記溶離緩衝液(溶離
液)を流し、吸着している複数の陰イオンを順次、時間
差を開けてイオン交換して流出させ、この流出陰イオン
含有溶離液の電気伝導度を、伝導度検出器にて測定し、
試料由来の陰イオンが含まれていない溶離液との電気伝
導度の差を経時的に測定し、得られるクロマトグラムの
ピーク保持時間と面積を測定して、既知のイオンでの測
定データと比較すれば、含まれているイオン種さらには
その量を特定できる。
【0039】なお、既述したように本発明では、上記の
ような特定の弱塩基性イオン交換体を充填したカラムを
用いており、しかも溶離液として上記緩衝液を用いてい
るため、上記の各陰イオンはイオンクロマトグラム上
に、それぞれ異なった保持時間(リテンションタイム)
で明確に分離されて現れ、再現性に優れている。
【0040】伝導度検出器(電気伝導度検出器)として
は、従来より公知のものを用いることができる。なお、
この伝導度検出器にインテグレータを接続し、検出され
た信号(電気伝導度)の経時変化をクロマトグラムとし
て表示(出力)することにより、測定が行われる。
【0041】
【発明の効果】本発明に係る陰イオンの分析法は、再現
性に優れ、しかもカラムに注入された試料により試料中
の不純物汚染の影響を分離カラムは受けにくく耐久性
(持続性)に優れており、長期継続的に陰イオン分析可
能である。
【0042】本発明に係る陰イオン分析セットは、再現
性に優れ、しかもカラムに注入された試料により試料中
の不純物汚染の影響を分離カラムは受けにくく耐久性
(持続性)に優れており、長期継続的に陰イオン分析可
能である。
【0043】
【実施例】以下、本発明に係る陰イオンの分析法につい
てさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
により何等制限されるものではない。
【0044】なお、以下の例では、上記のような陰イオ
ン分析セットを用いた。すなわちこの陰イオン分析セッ
トでは、溶離液槽からポンプを介して、弱塩基性イオン
交換体が充填されている恒温槽付きカラムに溶離液を流
し込み、一方上記溶離液輸送用ポンプとカラムとの間に
設けられた試料注入装置から試料を注入し、該カラムか
ら順次時間差を以て分離溶出してくる種々の陰イオンを
伝導度検出器にて検出し、インテクグレータにて記録
(表示)するようになっている。また、以下の例に示す
ように、場合により、カラムと伝導度検出器との間にサ
プレッサーを設けて陰イオン分析を行った。
【0045】
【実施例1】 <分離カラム>分離カラムとして、粒径10μmのポリ
アクリレート系の基材に第一級、第二級アミノ基−NH
−(CH22NH2が0.5meq/g化学結合したイ
オン交換樹脂(充填剤ともいう)をポリエーテルエーテ
ルケトン製のカラム(内径4.6mm、長さ150m
m)に充填したものを用いた。 <充填剤として用いた弱塩基性陰イオン交換樹脂のpK
値>このイオン交換樹脂pK値は滴定曲線より8.2と
された。 <陰イオンの分析>上記の分離カラムに、試料としてF
-1mg/リットル、Cl-5mg/リットル、NO2 -
0mg/リットル、Br-10mg/リットル、NO3 -
10mg/リットル、SO4 2-10mg/リットル、P
4 3-30mg/リットルの量で含有するものを注入し
た。
【0046】次いで、溶離液として、2mMのp−ヒド
ロキシ安息香酸:pH8.6(1Nの水酸化リチウムで
調整)を用い陰イオンを順次流出させ、伝導度検出器
(昭和電工(株)製,品番:CD−5)にて陰イオンの
検出を行った。
【0047】陰イオンの検出は、伝導度検出器を分離カ
ラムに直接連結して行った。得られたクロマトグラムを
図2に示す。なお、図2において、横軸は保持時間(単
位:分)を示し、縦軸は、伝導度差(単位:μS/c
m)を示す。また、図2中、各番号は、それぞれ、1:
フッ化物イオン(F-)、2:塩化物イオン(Cl-)、
3:亜硝酸イオン(NO2 -)、4:臭素イオン(B
-)、5:硝酸イオン(NO3 -)、6:硫酸イオン
(SO4 2-)、7:リン酸イオン(PO4 3-)に対応す
る。(以下の実施例も同様。)図2によれば、代表的な
上記陰イオンが安定性良く検出されたことが分かる。
【0048】
【実施例2】 <分離カラム>分離カラムとしては、実施例1と同じも
のを用い、この分離カラムにサプレッサー(米国オルテ
ック社製,型番「ERIS 1000」)を接続し、こ
のサプレッサーの次に伝導度検出器を接続した。 <陰イオンの分析>実施例1と同様の分離カラムに、試
料として、F-1mg/リットル、Cl-5mg/リット
ル、NO2 -10mg/リットル、Br-10mg/リッ
トル、NO3 -10mg/リットル、SO4 2-10mg/
リットル、PO4 3-30mg/リットルを含む標準液を
注入した。
【0049】次いで、このように試料を注入した分離カ
ラムに、溶離液として、5mM炭酸アンモニウム液;p
H8.6を流した。得られた溶出液を、分離カラムに次
いで接続されたサプレッサーに通液して、分離カラムか
らの溶出液より陽イオンを除去し、溶出液の伝導度を抑
制した。
【0050】サプレッサーからの流出液中の陰イオン
を、上記と同様の伝導度検出器にて検出した。得られた
クロマトグラムを図3に示す。
【0051】この図3によれば、このような方法での陰
イオン分析では、安定した測定が可能であったことが分
かる。
【0052】
【実施例3】 <分離カラム>分離カラムとしては、実施例1と同じも
のを用い、この分離カラムに上記と同様のサプレッサー
を接続し、このサプレッサーの次に伝導度検出器を接続
した。 <陰イオンの分析>実施例1と同様の分離カラムに、試
料として、F-1mg/リットル、Cl-5mg/リット
ル、NO2 -10mg/リットル、Br-10mg/リッ
トル、NO3 -10mg/リットル、SO4 2-10mg/
リットル、PO4 3-30mg/リットルを含む標準液を
注入した。
【0053】次いで、このように試料を注入した分離カ
ラムに、溶離液として、16mMテトラホウ酸ナトリウ
ム(Na247)液;pH8.7を流した。得られた
溶出液を、分離カラムに次いで接続されたサプレッサー
に通液して、分離カラムからの溶出液より陽イオンを除
去し、溶出液の伝導度を抑制した。
【0054】サプレッサーからの流出液中の陰イオン
を、伝導度検出器にて検出した。その結果、図3に示す
クロマトグラムと類似のクロマトグラムが得られた。
【0055】
【実施例4】 <分離カラム>分離カラムとして、粒径10μmのポリ
ビニルアルコール基材に第3級アミノ基−NR12(R
1=CH3、R2=C25)を1.0meq/g化学結合
した充填剤をステンレスカラム(内径4.6mm、長さ
150mm)に充填したものを用いた。 <充填剤として用いた弱塩基性陰イオン交換樹脂のpK
値>このイオン交換樹脂のpK値は滴定曲線より9.0
とされた。
【0056】この分離カラムに上記と同様のサプレッサ
ーを接続し、このサプレッサーの次に伝導度検出器を接
続した。 <陰イオンの分析>この分離カラムに、試料としてF-
1mg/リットル、Cl-5mg/リットル、NO2 -
0mg/リットル、Br-10mg/リットル、NO3 -
10mg/リットル、SO4 2-10mg/リットル、P
4 3-30mg/リットルを含む標準液を注入した。
【0057】次いで、このように試料を注入した分離カ
ラムに、溶離液として、2.5mM炭酸水素ナトリウム
と2.7mM炭酸ナトリウムの混液を流した。得られた
溶出液を、分離カラムに次いで接続されたサプレッサー
に通液して、分離カラムからの溶出液より陽イオンを除
去し、溶出液の伝導度を抑制した。
【0058】サプレッサーからの流出液中の陰イオン
を、伝導度検出器にて検出した。得られたクロマトグラ
ムを図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 低交換容量強塩基性陰イオン交換体と高交換
容量弱塩基性陰イオン交換体の滴定曲線。
【図2】 実施例1で得られる分離クロマトグラム。
【図3】 実施例2で得られる分離クロマトグラム。
【図4】 実施例4で得られる分離クロマトグラム。
【符号の説明】 :低交換容量強塩基性陰イオン交換体の滴定曲線 :高交換容量弱塩基性陰イオン交換体の滴定曲線 a:強塩基性陰イオン交換体の交換容量 b:弱塩基性陰イオン交換体の交換容量 c:弱塩基性陰イオン交換体のpK値に等しいpH 1:フッ化物イオン(F-) 2:塩化物イオン(Cl-) 3:亜硝酸イオン(NO2 -) 4:臭素イオン(Br-) 5:硝酸イオン(NO3 -) 6:硫酸イオン(SO4 2-) 7:リン酸イオン(PO4 3-)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緩衝範囲にあるpH7〜11の溶離緩衝液
    を、イオン交換容量が0.5meq/g以上の弱塩基性
    イオン交換体を充填したカラムに送液しながら、陰イオ
    ンを含む試料を該カラム内に注入し、カラムより分離溶
    出される陰イオンを伝導度検出器により検出することを
    特徴とする陰イオンの分析法。
  2. 【請求項2】前記緩衝溶離液が、有機酸、ホウ酸、また
    は炭酸のうちの何れか1種または2種以上の酸を含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載の分析法。
  3. 【請求項3】前記弱塩基性イオン交換体中のイオン交換
    基が、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ
    基の何れか1種または2種以上であることを特徴とする
    請求項1または2に記載の分析法。
  4. 【請求項4】前記弱塩基性イオン交換体のpK値が7〜
    10であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記
    載の分析法。
  5. 【請求項5】陰イオンを含む試料が注入される、イオン
    交換容量が0.5meq/g以上の弱塩基性イオン交換
    体を充填したカラムと、 上記カラムより陰イオンを分離溶出させる、緩衝範囲に
    あるpH7〜11の溶離緩衝液と、 分離溶出した陰イオンを検出する伝導度検出器とからな
    ることを特徴とする陰イオン分析セット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008122404A (ja) * 2007-12-25 2008-05-29 Japan Science & Technology Agency 高等植物の糖リン酸の網羅的分析法
WO2015129622A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 昭和電工株式会社 液体クロマトグラフィー用充填剤及び液体クロマトグラフィー用カラム

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