JPH1017569A - 置換チアゾール誘導体を有効成分とする医薬及び新規化合物 - Google Patents

置換チアゾール誘導体を有効成分とする医薬及び新規化合物

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JPH1017569A
JPH1017569A JP8176503A JP17650396A JPH1017569A JP H1017569 A JPH1017569 A JP H1017569A JP 8176503 A JP8176503 A JP 8176503A JP 17650396 A JP17650396 A JP 17650396A JP H1017569 A JPH1017569 A JP H1017569A
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lower alkyl
compound
hydrogen atom
amino
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JP8176503A
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Kiyoshi Iwaoka
清 岩岡
Naoki Imanishi
直樹 今西
Hiroyuki Ito
洋行 伊東
Keiji Miyata
桂司 宮田
Mitsuaki Ota
光昭 太田
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(I)で示される置換チアゾール
誘導体を有効成分とする医薬,及び新規化合物 【化1】 (式中の記号は下記の意味を示す。 R1及びR2:同一又は異なって,水素原子,ハロゲン原
子,ヒドロキシ基,低級アルキル基,低級アルコキシ
基,アミノ基,ニトロ基,低級アルキルアミノ基,メル
カプト基又は低級アルキルチオ基 R3及びR4:1)同一又は異なって,水素原子,アミノ
低級アルキル基,低級アルキルアミノ低級アルキル基又
はアラルキルアミノ低級アルキル基 但し,R3とR4のいずれか一方が水素原子である場合,
他方は必ず水素原子以外の意味を示す。 2)R3とR4が隣接するチアゾール環と一体となって形
成する,低級アルキル基,アミノ基,低級アルキルアミ
ノ基若しくはアラルキルアミノ基で置換されていてもよ
い,5乃至8員の飽和炭素環基又は窒素原子を1乃至2
個含有する5乃至8員の飽和ヘテロ環基) 【効果】 5−HT3 受容体の選択的作動活性を有し,
消化管運動障害等に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,5−HT3受容体
に対する選択的な作動活性を有する,2−フェニル置換
チアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩を有
効成分として含有する医薬,及び新規な2−フェニル置
換縮合チアゾール誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明医薬の有効成分として含有される
化合物及び本発明化合物は,腸管神経系あるいは中枢神
経系の一次求心性神経に位置するニューロン性セロトニ
ン(5−HT)受容体の有効かつ選択的な作動薬として
作用する。この型の受容体は現在5−HT3 受容体と考
えられている。本発明化合物は遠心性神経終末よりアセ
チルコリンを遊離させることによりその作用を発現す
る。消化管におけるアセチルコリン受容体の刺激は消化
管運動を亢進させ,消化管機能低下を改善することが知
られている〔Goodman and Gilman's The Pharmacologic
al Basis of Therapeautics 8th edition,pl25,(1990),
Pergamon Press〕。更に,中枢神経系において5−HT
3受容体はシナプス前部に存在し,その神経活動を抑制
することが知られている〔J.Neurosci.,11,1881(199
1)〕。従って,5−HT3 受容体作動薬は,特に消化器
系の障害に対して有用であると考えられる。
【0003】5−HT3受容体に対する選択的な作動活
性を有する化合物につき,本発明者等は,既に式
【化3】 〔式中,R1は水素原子又は低級アルコキシ基を,R2
3は,R2が水素原子であってR3が式−Y−Het
(式中,Yは単結合又は低級アルキレン基を,Hetは
含窒素複素環基を夫々意味する。)で示される基である
か,又はR2,R3が一体となって (式中,m,nは1又は2,R4は低級アルキル基を夫
々意味する。)を意味し,Xは次に示す式のいずれかで
表される基を意味する; で表されるチアゾール誘導体(WO 92/078
4),式
【化4】 (式中の各記号の意味については,下記公報中の記載を
参照)で表される三環式の縮合チアゾール誘導体(WO
94/06791),式
【化5】 (式中の各記号の意味については,下記公報中の記載を
参照)で表される三環式の縮合チアゾール誘導体(特開
平7−70136号)等を報告している。一方,2−フ
ェニル置換チアゾール構造を有する化合物としては,鎮
咳薬,鎮痛薬等として有用な式
【化6】 (式中,Rはフェニル基又はメトキシフェニル基を,R
1及びR2は水素原子,メチル基又はエチル基を夫々意味
する。)で示される化合物や,その他,式
【化7】 (式中,Xは水素原子又はメトキシ基を意味する。)等
で示される化合物が報告されている〔Gazz.Chim.Ital.,
92,1084(1962)〕。しかしながら,これらの化合物と5
−HT3受容体との関係については全く報告されていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在においてもなお,
5−HT3受容体作動活性を有する医薬品の開発は,医
療上の重要な課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は,鋭意研究
を進めた結果,式
【化8】 (式中の記号は下記の意味を示す。 R1及びR2:同一又は異なって,水素原子,ハロゲン原
子,ヒドロキシ基,低級アルキル基,低級アルコキシ
基,アミノ基,ニトロ基,低級アルキルアミノ基,メル
カプト基又は低級アルキルチオ基 R3及びR4:1)同一又は異なって,水素原子,アミノ
低級アルキル基,低級アルキルアミノ低級アルキル基又
はアラルキルアミノ低級アルキル基 但し,R3とR4のいずれか一方が水素原子である場合,
他方は必ず水素原子以外の意味を示す。 2)R3とR4が隣接するチアゾール環と一体となって形
成する,低級アルキル基,アミノ基,低級アルキルアミ
ノ基若しくはアラルキルアミノ基で置換されていてもよ
い,5乃至8員の飽和炭素環基又は窒素原子を1乃至2
個含有する5乃至8員の飽和ヘテロ環基)で示される化
合物(I)又はその製薬学的に許容される塩が,意外に
も5−HT3受容体作動薬としての優れた性質を有する
ものであることを知見し,この知見に基づき本発明を完
成した。
【0006】また,上記一般式(I)で示される化合物
中,下記一般式(II)
【化9】 (式中の記号は下記の意味を示す。 R1及びR2:同一又は異なって,水素原子,ハロゲン原
子,ヒドロキシ基,低級アルキル基,低級アルコキシ
基,アミノ基,ニトロ基,低級アルキルアミノ基,メル
カプト基又は低級アルキルチオ基 R5及びR6:同一又は異なって,水素原子,低級アルキ
ル基,アラルキル基,アミノ基,低級アルキルアミノ
基,又はアラルキルアミノ基 A環基:5乃至8員の飽和炭素環基又は窒素原子を1乃
至2個含有する5乃至8員の飽和ヘテロ環基 る基である場合には,R1及びR2のいずれか一方は必ず
水素原子以外を意味する。)で示される2−フェニル置
換縮合チアゾール誘導体は新規な化合物であり,本発明
はこれらの新規な化合物を提供することも目的とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
(有効成分及び新規化合物)以下,本発明医薬の有効成
分である化合物(I)及び本発明の新規な化合物(I
I)について詳細に説明する。本発明医薬の有効成分で
ある,前記一般式(I)で示される化合物には,前記文
献〔Gazz.Chim.Ital.,92,1084(1962)〕に記載の公知化
合物が含まれている。また,前記一般式(II)で示さ
れる化合物は,本発明により初めて知見された新規な化
合物である。
【0008】本明細書の一般式の定義において「低級」
なる用語は,特に断らない限り炭素数が1乃至6の直鎖
又は分枝の炭素鎖を意味する。「低級アルキル基」と
は,具体的にはメチル基,エチル基,プロピル基,イソ
プロピル基,ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル
基,tert−ブチル基,ペンチル(アミル)基, イ
ソペンチル基,ネオペンチル基,tert−ペンチル
基,1−メチルブチル基,2−メチルブチル基,1,2
−ジメチルプロピル基,ヘキシル基,イソヘキシル基,
1−メチルペンチル基,2−メチルペンチル基,3−メ
チルペンチル基,1,1−ジメチルブチル基,1,2−
ジメチルブチル基,2,2−ジメチルブチル基,1,3
−ジメチルブチル基,2,3−ジメチルブチル基,3,
3−ジメチルブチル基,1−エチルブチル基,2−エチ
ルブチル基,1,1,2−トリメチルプロピル基,1,
2,2−トリメチルプロピル基,1−エチル−1−メチ
ルプロピル基,1−エチル−2−メチルプロピル基等炭
素数1乃至6のアルキル基が挙げられる。これらの基の
うち,特に好ましいのは,メチル基,エチル基,プロピ
ル基,イソプロピル基等炭素数1乃至3のアルキル基で
ある。
【0009】「ハロゲン原子」とは,具体的には塩素原
子,フッ素原子,臭素原子又はヨウ素原子である。「低
級アルコキシ基」は,アルキル部分に前記低級アルキル
基を有する低級アルコキシ基であり,例えば,メトキシ
基,エトキシ基,プロポキシ基,イソプロポキシ基,ブ
トキシ基,イソブトキシ基,sec−ブトキシ基,te
rt−ブトキシ基,ペンチルオキシ(アミルオキシ)
基,イソペンチルオキシ基,tert−ペンチルオキシ
基,ネオペンチルオキシ基,2−メチルブトキシ基,
1,2−ジメチルプロポキシ基,1−エチルプロポキシ
基,ヘキシルオキシ基等であり,中でもメトキシ基,エ
トキシ基又はイソプロポキシ基が好ましい。
【0010】「低級アルキルアミノ基」とは,モノ低級
アルキルアミノ基若しくはジ低級アルキルアミノ基を意
味し,アミノ基の一つ又は二つの水素原子が,前記「低
級アルキル基」で置換された基である。例えば,前記の
低級アルキル基でモノ若しくはジ置換されたアミノ基と
しては,具体的にはメチルアミノ基,エチルアミノ基,
プロピルアミノ基,イソプロピルアミノ基,ブチルアミ
ノ基,イソブチルアミノ基,ペンチルアミノ基,イソペ
ンチルアミノ基,ヘキシルアミノ基,イソヘキシルアミ
ノ基等炭素数が1〜6個の直鎖又は分岐状のアルキル基
で置換されたモノ低級アルキルアミノ基,ジメチルアミ
ノ基,ジエチルアミノ基,ジプロピルアミノ基,ジイソ
プロピルアミノ基,ジブチルアミノ基,ジペンチルアミ
ノ基,ジヘキシルアミノ基等炭素数が1〜6個の直鎖又
は分岐状のアルキル基でジ置換された対称型のジ低級ア
ルキルアミノ基,エチルメチルアミノ基,メチルプロピ
ルアミノ基,エチルプロピルアミノ基,ブチルメチルア
ミノ基,ブチルエチルアミノ基,ブチルプロピルアミノ
基等炭素数が1〜6個の直鎖又は分岐状のアルキル基の
うち相異なるアルキル基でジ置換された非対称型のジ低
級アルキルアミノ基を挙げることができ,中でもメチル
アミノ基,エチルアミノ基,ジメチルアミノ基,ジエチ
ルアミノ基が特に好ましい。
【0011】「低級アルキルチオ基」とは,前記「低級
アルコキシ基」の酸素原子が,硫黄原子となったもの
で,具体的には,メチルチオ基,エチルチオ基,プロピ
ルチオ基,イソプロピルチオ基,ブチルチオ基,sec
−ブチルチオ基,tert−ブチルチオ基,ペンチルチ
オ基,ネオペンチルチオ基,2−メチルブチルチオ基,
1,2−ジメチルプロピルチオ基,1−エチルプロピル
チオ基,ヘキシルチオ基等が挙げられ,メチルチオ基が
好ましい。
【0012】「アラルキル基」とは,上記「低級アルキ
ル基」の任意の水素原子がアリール基で置換した基を意
味し,例えばアリール基としてフェニル基で例示すれ
ば,具体的にはベンジル基,フェネチル基,1−フェニ
ルエチル基,3−フェニルプロピル基,2−フェニルプ
ロピル基,1−フェニルプロピル基,1−メチル−2−
フェニルエチル基,4−フェニルブチル基,3−フェニ
ルブチル基,2−フェニルブチル基,1−フェニルブチ
ル基,2−メチル−3−フェニルプロピル基,2−メチ
ル−2−フェニルプロピル基,2−メチル−1−フェニ
ルプロピル基,1−メチル−3−フェニルプロピル基,
1−メチル−2−フェニルプロピル基,1−メチル−1
−フェニルプロピル基,1−エチル−2−フェニルエチ
ル基,1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基,5−
フェニルペンチル基,4−フェニルペンチル基,3−フ
ェニルペンチル基,2−フェニルペンチル基,1−フェ
ニルペンチル基,3−メチル−4−フェニルブチル基,
3−メチル−3−フェニルブチル基,3−メチル−2−
フェニルブチル基,3−メチル−1−フェニルブチル
基,6−フェニルヘキシル基,5−フェニルヘキシル
基,4−フェニルヘキシル基,3−フェニルヘキシル
基,2−フェニルヘキシル基,1−フェニルヘキシル
基,4−メチル−5−フェニルペンチル基,4−メチル
−4−フェニルペンチル基,4−メチル−3−フェニル
ペンチル基,4−メチル−2−フェニルペンチル基,4
−メチル−1−フェニルペンチル基等が挙げられる。
【0013】「アラルキルアミノ基」とは,モノアラル
キルアミノ基若しくはジアラルキルアミノ基を意味し,
アミノ基の一つ又は二つの水素原子が前記「アラルキル
基」で置換された基である。好ましい具体例としては,
ベンジルアミノ基,フェネチルアミノ基,ジベンジルア
ミノ基,ジフェネチルアミノ基等が挙げられる。「アミ
ノ低級アルキル基」,「低級アルキルアミノ低級アルキ
ル基」及び「アラルキルアミノ低級アルキル基」とは,
前記「低級アルキル基」の任意の水素原子が,アミノ
基,前記「低級アルキルアミノ基」又は前記「アラルキ
ルアミノ基」で夫々置換された基を意味する。
【0014】「アミノ低級アルキル基」の好ましい具体
例としては,アミノメチル基,アミノエチル基,アミノ
プロピル基,アミノブチル基,アミノペンチル基,アミ
ノヘキシル基等が挙げられる。「低級アルキルアミノ低
級アルキル基」の好ましい具体例としては,メチルアミ
ノメチル基,ジメチルアミノメチル基,エチルアミノメ
チル基,メチルアミノエチル基,ジメチルアミノエチル
基,エチルアミノエチル基,メチルアミノプロピル基,
ジメチルアミノプロピル基,エチルアミノプロピル基,
メチルアミノブチル基,ジメチルアミノブチル基,エチ
ルアミノブチル基,メチルアミノペンチル基,ジメチル
アミノペンチル基,エチルアミノペンチル基,メチルア
ミノヘキシル基,ジメチルアミノヘキシル基,エチルア
ミノヘキシル基等が挙げられる。「アラルキルアミノ低
級アルキル基」の好ましい具体例としては,アラルキル
アミノ基としてベンジルアミノ基で例示すれば,ベンジ
ルアミノメチル基,ベンジルアミノエチル基,ベンジル
アミノプロピル基,ベンジルアミノブチル基,ベンジル
アミノペンチル基,ベンジルアミノヘキシル基等が挙げ
られる。
【0015】一般式(I)中の「R3とR4が隣接するチ
アゾール環と一体となって形成する,低級アルキル基,
アミノ基,低級アルキルアミノ基,若しくはアラルキル
アミノ基で置換されていてもよい,5乃至8員の飽和炭
素環基又は窒素原子を1乃至2個含有する5乃至8員の
飽和ヘテロ環基」を構成する「5乃至8員の飽和炭素環
基」又は「窒素原子を1乃至2個含有する5乃至8員の
飽和ヘテロ環基」,及び一般式(II)中のA環基が示
す,「5乃至8員の飽和炭素環基」又は「窒素原子を1
乃至2個含有する飽和ヘテロ環基」の好ましい具体例
を,隣接するチアゾール環と縮合した縮合チアゾール環
基として式示すれば,以下の通りである。
【0016】
【化10】 上記の縮合チアゾール環基の中で特に好ましいのは,以
下に式示する環基である。
【0017】
【化11】 なお,上記の縮合チアゾール環は,その飽和炭素環又は
飽和ヘテロ環上に置換基を有する場合があるが,飽和ヘ
テロ環上に置換基を有する場合には,その結合手は環内
の炭素原子及び窒素原子のいずれから出ていてもよい。
【0018】本発明医薬の有効成分である,前記一般式
(I)で示される化合物のうち,特に好ましい化合物
は,前記一般式(II)で示される本発明の新規な化合
物である。また,一般式(II)で示される化合物のう
ち,更に好ましい化合物は,(1)A環基が,低級アル
キル基で置換されていてもよい,窒素原子を1個含有す
る6又は7員の飽和ヘテロ環である化合物;及び(2)
A環基が,アミノ基又は低級アルキルアミノ基で置換さ
れた,6員の飽和炭素環である化合物;である。
【0019】上記一般式(I)及び(II)で示される
化合物は,酸又は塩基と塩を形成することができる場合
があり,それらの塩も5−HT3受容体作動活性を有す
る。好適な塩は,例えば,無機酸若しくは有機酸との酸
付加塩,あるいは無機若しくは有機塩基との塩であり,
製薬学的に許容しうるものである。これらの塩として
は,具体的には塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫
酸,硝酸若しくはリン酸等の鉱酸,又は,ギ酸,酢酸,
プロピオン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,フマル
酸,マレイン酸,乳酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,
メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸等の有機
酸,又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸等の酸性
アミノ酸との酸付加塩,ナトリウム,カリウム,マグネ
シウム,カルシウム,アルミニウム等の無機塩基,メチ
ルアミン,エチルアミン,エタノールアミン等の有機塩
基,リジン,オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩等を
挙げることができる。
【0020】一般式(I)及び(II)の化合物は,不
斉炭素原子に基づく光学異性体やシクロヘキサン環に基
づく幾何異性体が存在することがある。本発明医薬の有
効成分及び本発明化合物はこれらの幾何異性体,光学異
性体など各種異性体の混合物及び分離されたものを包含
する。また,一般式(I)及び(II)の化合物にはこ
れらの水和物,各種溶媒和物等が含まれる。更に,一般
式(I)及び(II)の化合物には,結晶多形を有する
化合物もあり,それらの結晶形をすべて包含するもので
ある。
【0021】(有効成分及び新規化合物の製造法)本発
明医薬の有効成分である化合物(I),本発明の新規化
合物(II)及びこれらの製薬学的に許容される塩は,
その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用
し,種々の合成法を適用して製造することができる。そ
の際,反応化合物のアミノ基などを必要により適当な保
護基,すなわちアミノ基などに容易に転化可能な官能基
に置換しておくことが製造技術上効果的な場合がある。
【0022】このようなアミノ保護基としては,ベンジ
ルオキシカルボニル基,p−メトキシベンジルオキシカ
ルボニル基,p−メチルベンジルオキシカルボニル基,
p−クロロベンジルオキシカルボニル基,p−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル基,p−フェニルアゾベンジル
オキシカルボニル基,p−メトキシフェニルアゾベンジ
ルオキシカルボニル基,3,5−ジメトキシベンジルオ
キシカルボニル基,3,4,5−トリメトキシベンジル
オキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル
基,エトキシカルボニル基,tert−ブトキシカルボ
ニル基,tert−アミルオキシカルボニル基等の低級
アルコキシカルボニル基,フェノキシカルボニル基など
のアリールオキシカルボニル基,p−ビフェニルイソプ
ロピルオキシカルボニル基,ジイソプロピルメチルオキ
シカルボニル基などのその他のウレタン型の保護基,ホ
ルミル基,アセチル基,プロピオニル基,ブチリル基,
イソブチリル基,バレリル基,イソバレリル基,ピバロ
イル基,ヘキサノイル基などのC1〜C6アルカノイル
基,トリフルオロアセチル基,フタリル基,トシル基,
o−ニトロフェニルスルフェニル基,p−メトキシ−o
−ニトロフェニルスルフェニル基,ベンゾイル基,クロ
ロアセチル基などのアシル基などのアシル型の保護基や
アミノ基の窒素原子と一体となって形成するフタルイミ
ド基等や,その他,例えばグリーン(Greene)及
びウッツ(Wuts)著,「Protective Groups in Org
anic Synthesis」第2版に記載の保護基を挙げることが
でき,これらを反応条件に応じて適宜用いることができ
る。その他ニトロ基などアミノ基などに容易に転化可能
な上記の保護基以外の官能基も保護基と同様に利用する
ことができる。以下に,化合物(I)及び(II)の代
表的な製造法を掲記し,説明する。
【0023】第1製法(閉環反応)
【化12】 (式中,A環基,R1,R2,R3及びR4は前記の意味を
有し,R3'及びR4'は同一又は異なって水素原子,低級
アルキル基,アラルキル基,アミノ基の保護基,保護基
を有していてもよいアミノ基,低級アルキルアミノ基又
はアラルキルアミノ基を,R7及びR8は同一又は異なっ
て水素原子,低級アルキル基又はアラルキル基を,R7'
及びR8'は同一又は異なって水素原子,低級アルキル
基,アラルキル基又はアミノ基の保護基を,Xはハロゲ
ン原子を,及びnは1乃至6の整数を夫々意味する。)
【0024】本発明医薬の有効成分又は本発明化合物で
ある一般式(Ia)で示される2−フェニル置換縮合チ
アゾール誘導体,及び本発明医薬の有効成分である一般
式(Ib)で示される2−フェニル置換チアゾール誘導
体は,一般式(IVa)又は(IVb)で示されるα−
ハロゲノケトン誘導体又はその塩と,一般式(III)
で示されるチオベンズアミド誘導体とを反応させて閉環
させ,次いで所望により保護基を除去することによって
製造することができる。ここに,Xが示すハロゲン原子
は,ヨウ素原子,臭素原子,塩素原子などが挙げられ
る。反応は,イソプロパノール,メタノール,エタノー
ル等のアルコール系溶媒や含水アルコール系溶媒等反応
に不活性な有機溶媒中,反応対応量の(IVa)又は
(IVb)と(III),あるいは一方を過剰モル用い
て,室温乃至加熱下,好ましくは加熱還流下に行うのが
有利である。
【0025】保護基の除去は,保護基の種類によって異
なるが,いずれも常法を適用して行なわれる。例えば,
1〜C6アルカノイル基やベンゾイル基などアシル型の
保護基を除去する場合には,酸又はアルカリの存在下で
の加水分解が好適であり,置換又は未置換のベンジルオ
キシカルボニル基を除去する場合には,接触還元が好適
であり,場合によっては臭化水素酸/酢酸,臭化水素酸
/トリフルオロ酢酸,フッ化水素酸などによる酸処理が
用いられる。エトキシカルボニル基,tert−ブトキ
シカルボニル基などの他のウレタン型保護基の除去は,
臭化水素酸/酢酸,トリフルオロ酢酸,塩酸,塩酸/酢
酸,塩酸/ジオキサンなどによる酸処理が有利である。
また,フタロイル基を除去する場合には,メチルアミン
又はヒドラジンによる処理が好適である。また,常法に
より脱アルキル化反応でアルキル基,アラルキル基を除
去することができる。なお,原料化合物である一般式
(IVa)又は(IVb)で示されるα−ハロゲノケト
ン誘導体又はその塩は,対応するケトンから一般的な手
法により製造できる。
【0026】第2製法(アルキル化)
【化13】 (式中,R1,R2,R7',R8',R7,R8及びnは,前
記の意味を有し,Yはハロゲン原子又は有機スルホン酸
残基を意味する。) 本発明医薬の有効成分である一般式(Ib)で示される
2−フェニル置換チアゾール誘導体は,一般式(V)で
示されるハライド又はスルホネートと一般式(VI)で
示されるアミン類とを反応させ,次いで所望により保護
基を除去することにより製造できる。
【0027】ここに,ハロゲン原子としては前記のもの
が挙げられ,有機スルホン酸残基としては,メタンスル
ホニルオキシ基,エタンスルホニルオキシ基などのアル
キルスルホニルオキシ基や,ベンゼンスルホニルオキシ
基,トルエン(特にp−トルエン)スルホニルオキシ基
などのアリールスルホニルオキシ基などが挙げられる。
反応は,反応対応量の化合物(V)と化合物(VI),
又は一方を過剰モルとして用い,ジメチルホルムアミ
ド,ジメチルスルホキシド,エーテル,テトラヒドロフ
ラン,ジオキサン,アセトン,メチルエチルケトン,メ
タノール,エタノール,メチレンクロリド,ジクロロエ
タン,クロロホルム等反応に不活性な溶媒中,必要な場
合にはピリジン,ピコリン,ジメチルアニリン,N−メ
チルモルホリン,トリメチルアミン,トリエチルアミ
ン,水素化ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸ナトリウ
ム,炭酸水素ナトリウム,水素化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の塩基の存在下,原料化合物によっては冷却下
乃至室温下,室温下乃至加熱下,あるいは加熱還流下に
行なうのが有利である。保護基の除去は第1製法と同様
にして行われる。
【0028】なお,原料化合物である(V)は,第1製
法と同様に,対応するチオベンズアミド誘導体とα−ハ
ロゲノケトン誘導体の閉環反応により製造できる。この
ようにして製造された本発明医薬の有効成分である化合
物(I)又は本発明化合物(II)は遊離化合物,その
塩,水和物,溶媒和物などとして単離され,精製され
る。なお,本発明医薬の有効成分である化合物(I)又
は本発明化合物(II)の製薬学的に許容される塩は,
通常の造塩反応に付して製造することもできる。単離・
精製は,抽出,分別結晶化,再結晶,各種分画クロマト
グラフィーなど通常の化学操作を適用して行なわれる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な差を利用して常
法により単離できる。例えば,ラセミ化合物は一般的な
ラセミ分画法により(たとえば,一般的な光学活性酸
(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導き,光学分割
する方法等)立体化学的に純粋な異性体に導くことがで
きる。また,ジアステレオマーの混合物は常法,例えば
分別結晶化またはクロマトグラフィー等により分離でき
る。また,光学活性な化合物は適当な光学活性な原料化
合物を用いることにより製造することもできる。
【0029】
【発明の効果】本発明医薬の有効成分である化合物
(I),本発明化合物(II)又はそれらの塩,溶媒和
物又は水和物は,腸管神経系のニューロン性5−HT3
受容体に特異的に作用することにより,消化器系の障
害,すなわち老人性,弛緩性,直腸性などの便秘,急・
慢性胃炎,胃・十二指腸潰瘍,胃神経症,胃下垂,逆流
性食道炎,偽性腸閉塞,非潰瘍性消化不良,腹部不定愁
訴,糖尿病などの疾患に伴う胸やけ,腹部膨満感,食欲
不振,上腹部不快感,悪心,嘔吐又は腹痛などの消化管
運動障害,麻酔手術後の消化管機能不全,胃内容うっ
滞,消化不良,鼓張などの治療において有用である。ま
た,脂肪吸収不全症など膵機能不全に伴う疾患の治療に
用いることができる。更に,化合物(I)及び(II)
は,中枢神経系の抑制性シナプス前5−HT3受容体に
対して5−HTと同様に作用するので,精神障害(例え
ば,精神分裂病及び鬱病),不安,記憶障害,痴呆,錐
体外路障害のような症状の治療においても有用である。
更に,化合物(I)及び(II)は,尿路閉塞,尿管結
石,あるいは前立腺肥大などに伴う排尿困難の治療にお
いても用いることができる。従って,本発明はこれら疾
患に適用する医薬及び新規化合物を提供したものとして
有用である。
【0030】本発明医薬の有効成分である化合物(I)
及び本発明化合物(II)の薬理作用は,以下の方法に
より確認された。化合物(I)及び(II)は5−HT
3受容体作動活性,特にモルモット摘出結腸収縮作用に
おいて顕著な作用を示す。以下にその作用を測定法と共
に記述する。
【0031】<5−HT3受容体作動活性>Hartl
ey系雄性モルモット(500〜800g)の遠位結腸
を摘出し,約20mmの切片を作成した。マグヌス管内
に縦走筋方向に懸垂し,等尺性に収縮反応を測定した。
5−HTは0.1〜30μMの濃度で用量依存的な収縮
反応を起こし,10〜30μMで最大反応を示した。
(5−HTの作用は5−HT3受容体を介する:J.Pharm
acol.Exp.Ther.,259,15-21,1991)。化合物(I)及び
(II)の作用は,各標本における5−HTの作用との
比較による相対値で示した。Max.responseは,5−HT
による最大収縮反応を100%としたときの化合物によ
る最大反応の百分率で示され、Relative potencyは,5
−HTのEC50値を基準(1)としたときの化合物のE
50値の相対値で示される。 化合物(I)及び(II)は,300μM以下で濃度依
存的なモルモット摘出結腸収縮作用を示した。また,化
合物(I)及び(II)によるモルモット摘出結腸収縮
作用は,選択的な5−HT3受容体拮抗薬である特開平
3−223278号公報実施例44に記載の化合物の
0.3μMにより拮抗した。これにより,化合物(I)
及び(II)の結腸収縮作用が,5−HT3受容体作用
を介したものであることが確認された。以上の結果か
ら,化合物(I)及び(II)は,強力な5−HT3
容体作動薬であることが示された。
【0032】化合物(I),(II)またはそれらの塩
を主成分として含有する本発明医薬は,当分野において
通常用いられている製剤用担体,賦形剤等を用いて通常
使用されている方法によって調製することができる。投
与は錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,液剤等に
よる経口投与,あるいは静注,筋注等の注射剤,坐剤等
による非経口投与のいずれの形態であってもよい。投与
量は症状,投与対象の年令,性別等を考慮して個々の場
合に応じて適宜決定されるが,通常成人1日あたり,経
口投与で1〜100mgであり,これを1回あるいは数
回に分けて投与する。
【0033】本発明による経口投与のための固体組成物
としては,錠剤,散剤,顆粒剤等が用いられる。このよ
うな固体組成物においては,一つ又はそれ以上の活性物
質が,少なくとも一つの不活性な希釈剤,例えば乳糖,
マンニトール,ブドウ糖,ヒドロキシプロピルセルロー
ス,微結晶セルロース,デンプン,ポリビニルピロリド
ン,メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。
組成物は,常法に従って,不活性な希釈剤以外の添加
剤,例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤や
繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤,ラクト
ースのような安定化剤,グルタミン酸又はアスパラギン
酸のような可溶化ないし溶解補助剤を含有していてもよ
い。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖,ゼラチン,ヒド
ロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチル
セルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質
のフィルムで被膜してもよい。経口投与のための液体組
成物は,薬剤的に許容される乳濁剤,溶液剤,懸濁剤,
シロップ剤,エリキシル剤等を含み,一般的に用いられ
る不活性な希釈剤,例えば精製水,エタノールを含む。
この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化ないし溶解補
助剤,湿潤剤,懸濁剤のような補助剤,甘味剤,風味
剤,芳香剤,防腐剤を含有していてもよい。
【0034】非経口投与のための注射剤としては,無菌
の水性又は非水性の溶液剤,懸濁剤,乳濁剤を包含す
る。水性の溶液剤,懸濁剤の希釈剤としては,例えば注
射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶
液剤,懸濁剤の希釈剤としては,例えばプロピレングリ
コール,ポリエチレングリコール,オリーブ油のような
植物油,エタノールのようなアルコール類,ポリソルベ
ート80(商品名)等がある。このような組成物は,さ
らに等張化剤,防腐剤,湿潤剤,乳化剤,分散剤,安定
化剤(例えば,ラクトース),可溶化ないし溶解補助剤
のような添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテ
リア保留フィルターを通す濾過,殺菌剤の配合又は照射
によって無菌化される。これらは又無菌の固体組成物を
製造し,使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解し
て使用することもできる。
【0035】以下に,本発明の化合物を用いた製剤の調
製例を説明する。 処方例(錠剤) 組 成 20mg錠 ―――――――――――――――――――――――――――――― 本発明化合物 20mg 乳糖 75 コンスターチ 16 ヒドロキシプロピルセルロース 4.5 カルボキシメチルセルロースカルシウム 8.8 ステアリン酸マグネシウム 0.7 ―――――――――――――――――――――――――――――― 合 計 120mg
【0036】20mg錠 本発明化合物100g,乳糖375g,コンスターチ8
0gを流動造粒コーティング装置を使用して均一に混合
した。これに10%ヒドロキシプロピルセルロース溶液
225gを噴霧して造粒した。乾燥後,20メッシュの
篩を通し,これにカルボキシメチルセルロースカルシウ
ム19g,ステアリン酸マグネシウム3.5gを加えて
混合し,ロータリー打錠機で7mm×8.4Rの臼杵を
使用して1錠当り120mgの錠剤とした。
【0037】
【実施例】以下に実施例を掲記し,本発明化合物及び本
発明医薬の有効成分である化合物の製造例を更に詳細に
説明する。本発明が,これら実施例によって限定される
ものではないことは言うまでもない。
【0038】実施例1
【化14】 5−メチル−2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒ
ドロチアゾロ[5,4−c]ピリジン フマル酸塩 3−ブロモ−1−メチルピペリジン−4−オン臭化水素
酸塩3.0g,チオベンズアミド1.4gおよび炭酸カ
ルシウム6.0gに2−プロパノール30mlを加え,
10時間加熱還流した。室温にて終夜静置後,セライト
を用いてろ過し,ろ液を減圧下濃縮して得られた残留物
に酢酸エチルを加え,1N塩酸水溶液で抽出した。抽出
液を炭酸水素ナトリウムで中和後,クロロホルムで抽出
し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で
留去後,得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノール−濃アン
モニア水)で精製し,0.31gの5−メチル−2−フ
ェニル−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[5,
4−c]ピリジンを遊離塩基として得た。これをメタノ
ール−酢酸エチル中フマル酸で処理することにより,
0.24gのフマル酸塩を得た。 融点:185〜188℃ メタノール−酢酸エチル 元素分析値(C13142S・C444・0.2H2Oとして) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 58.34 5.30 8.00 9.16 実験値 58.18 5.23 7.84 9.26 質量分析値(m/z):230(M) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:2.42(3H,s),2.77〜2.85(4
H,m),3.68(2H,s),6.62(2H,
s),7.45〜7.50(3H,m),7.86〜
7.88(2H,m)
【0039】実施例2
【化15】 5−エチル−2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒ
ドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン シュウ酸塩
【0040】a)2−ブロモ−1−エチルピペリジン−
3−オンおよび4−ブロモ−1−エチルピペリジン−3
−オン 1−エチルピペリジン−3−オン塩酸塩1.50gを酢
酸15mlに溶解し,25%臭化水素酢酸溶液1.5m
lを加え,さらに臭素1.50gを滴下し,室温で30
分攪拌した。反応液を減圧下濃縮し,得られた油状物に
メタノール/ジエチルエーテル混合溶液を加えた。生じ
た結晶をろ取することにより,320mgの2−ブロモ
−1−エチルピペリジン−3−オン臭化水素酸塩を得
た。また,このろ液を濃縮することにより,1.84g
の4−ブロモ−1−エチルピペリジン−3−オン臭化水
素酸塩を油状物として得た。 2−ブロモ−1−エチルピペリジン−3−オン 臭化水
素酸塩 質量分析値(m/z):204,206(M+1) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:1.35(3H,t),3.17(2H,q),
3.30〜4.20(6H,m),8.42(1H,
m) 4−ブロモ−1−エチルピペリジン−3−オン 臭化水
素酸塩 質量分析値(m/z):204,206(M+1) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:1.32(3H,t),2.00〜4.70(7
H,m),4.72(2H,s)
【0041】b)5−エチル−2−フェニル−4,5,
6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン
シュウ酸塩 4−ブロモ−1−エチルピペリジン−3−オン臭化水素
酸塩500mg,チオベンズアミド290mg,炭酸カ
ルシウム200mgおよび2−プロパノール10mlを
加え,5時間加熱環流した。反応液を1N塩酸水溶液に
注ぎ,ジエチルエーテルで洗浄した。水層を1N水酸化
ナトリウム水溶液で塩基性にした後,酢酸エチルで抽出
した。有機層を水,飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗
浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後,ろ液
を減圧下濃縮し得られた油状物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノール−
濃アンモニア水)で精製し100mgの5−エチル−2
−フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ
[4,5−c]ピリジンを遊離塩基として得た。これを
酢酸エチル中シュウ酸で処理することにより,80mg
のシュウ酸塩を得た。 融点:186〜187℃ 酢酸エチル 元素分析値(C14162S・C224・0.5H2Oとして) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 55.96 5.58 8.16 9.34 実験値 56.04 5.34 8.10 9.52 質量分析値(m/z):245(M+1) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:1.26(3H,t),2.90〜3.50(4
H,m),3.90〜4.60(6H,br),7.4
5〜7.65(3H,m),7.80〜8.00(2
H,m)
【0042】実施例3
【化16】 6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒ
ドロ−4H−チアゾロ[4,5−d]アゼピン フマル
酸塩 1−メチルアゼパン−4−オン塩酸塩0.41gを酢酸
3.5mlに溶解し,25%臭化水素酢酸溶液0.38
mlを加え,さらに臭素0.13mlを滴下後,室温で
30分間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し,得られた残
留物にジエチルエーテルを加え,不溶物を洗浄し,減圧
乾燥した。これに,チオベンズアミド0.32g,炭酸
カルシウム0.40gおよび2−プロパノール7mlを
加え,3時間加熱環流した。室温まで冷却後,セライト
を用いてろ過し,ろ液を減圧下濃縮して得られた残留物
に酢酸エチルを加え,1N塩酸水溶液で抽出した。抽出
液を炭酸水素ナトリウムで中和後,クロロホルムで抽出
し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で
留去後,得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノール−濃アン
モニア水)で精製し,0.10gの6−メチル−2−フ
ェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チアゾ
ロ[4,5−d]アゼピンを遊離塩基として得た。これ
をメタノール中フマル酸で処理することにより,0.1
0gのフマル酸塩を得た。 融点:204〜206℃(dec.)メタノール 元素分析値(C14162S・C444として) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 59.98 5.59 7.77 8.90 実験値 59.70 5.62 7.62 8.78 質量分析値(m/z):244(M) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:2.49(3H,s),2.85〜2.90(4
H,m),3.02〜3.05(2H,m),3.08
〜3.10(2H,m),6.58(2H,s),7.
41〜7.49(3H,m),7.82〜7.85(2
H,m)
【0043】実施例4
【化17】 2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−
チアゾロ[4,5−d]アゼピン 2塩酸塩 1水和物 6−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒ
ドロ−4H−チアゾロ[4,5−d]アゼピン410m
gの1,2−ジクロロエタン17ml溶液に,1−クロ
ロエチル クロロホルメート0.72mlを加え,1時
間加熱環流した。1−クロロエチル クロロホルメート
0.72mlを追加し,7時間加熱還流した。さらに,
1−クロロエチル クロロホルメート0.60mlを追
加し,3時間加熱還流した。室温にて終夜静置後,メタ
ノール20mlを加え,3時間加熱還流した。減圧下に
溶媒を留去後,メタノール−アセトニトリルを加え,生
成した結晶をろ取することにより,376mgの2−フ
ェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チアゾ
ロ[4,5−d]アゼピン 2塩酸塩 1水和物を得
た。 融点:232〜235℃ メタノール−アセトニトリル 元素分析値(C13142S・2HCl・1H2Oとして) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 48.60 5.65 8.72 9.98 実験値 48.66 5.54 8.69 10.37 質量分析値(m/z):230(M) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:3.25〜3.35(8H,m),7.42〜7.
52(3H,m),7.83〜7.87(2H,m),
9.76(2H,brs)
【0044】実施例5
【化18】 6−アミノ−2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒ
ドロベンゾチアゾールフマル酸塩 4−フタルイミドシクロヘキサノン0.76gを酢酸
4.5mlに溶解し,25%臭化水素酢酸溶液0.5m
lを加え,さらに臭素0.16mlを滴下後,室温で3
0分間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し,得られた残留
物にジエチルエーテルを加え,不溶物をろ取し,減圧乾
燥して,0.65gの2−ブロモ−4−フタルイミドシ
クロヘキサノンを得た。これに,チオベンズアミド0.
28g,炭酸カルシウム0.40gおよび2−プロパノ
ール10mlを加え,3時間加熱還流した。室温まで冷
却後,セライトを用いてろ過し,ろ液を減圧下濃縮して
得られた残留物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加
え,クロロホルムで抽出し,無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。溶媒を減圧下で留去後,得られた残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホル
ム)で精製し,0.55gの6−フタルイミド−2−フ
ェニル−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾー
ルを得た。これに40%メチルアミン−メタノール溶液
7mlを加え,室温で終夜攪拌した。反応液を減圧下濃
縮し,得られた残留物に酢酸エチルを加え,1N塩酸水
溶液で抽出した。抽出液を炭酸水素ナトリウムで中和
後,クロロホルムで抽出し,無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。溶媒を減圧下で留去して,0.23gの6−ア
ミノ−2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロベ
ンゾチアゾールを遊離塩基として得た。これをメタノー
ル中フマル酸で処理することにより,0.14gのフマ
ル酸塩を得た。 融点:209〜213℃ メタノール 元素分析値(C13142S・C444・0.4H2Oとして) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 57.44 5.36 7.92 9.07 実験値 57.84 5.25 7.71 9.27 質量分析値(m/z):231(M+1) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:1.92〜1.97(1H,m),2.15〜2.
18(1H,m),2.80〜2.94(3H,m),
3.19〜3.35(1H,m),3.51〜3.67
(1H,m),6.46(2H,s),7.44〜7.
51(3H,m),7.85〜7.89(2H,m)
【0045】実施例6
【化19】 6−ジメチルアミノ−2−フェニル−4,5,6,7−
テトラヒドロベンゾチアゾール フマル酸塩 6−アミノ−2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒ
ドロベンゾチアゾールフマル酸塩0.21gにギ酸1m
lおよび35%ホルムアルデヒド水溶液1.2mlを加
え,1.5時間加熱還流した。室温まで冷却後,反応液
に酢酸エチルを加え,1N塩酸水溶液で抽出した。抽出
液を炭酸水素ナトリウムで中和後,クロロホルムで抽出
し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で
留去後,得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノール−濃アン
モニア水)で精製し,0.06gの6−ジメチルアミノ
−2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ
チアゾールを遊離塩基として得た。これをメタノール−
アセトニトリル中フマル酸で処理することにより,57
mgのフマル酸塩を得た。 融点:220〜223℃ メタノール−アセトニトリル 元素分析値(C15182S・C444として) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 60.94 5.92 7.48 8.56 実験値 60.59 5.86 7.23 8.46 質量分析値(m/z):259(M+1) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:1.74〜1.83(1H,m),2.07〜2.
15(1H,m),2.41(6H,s),2.70〜
3.08(5H,m),6.58(2H,s),7.4
4〜7.50(3H,m),7.84〜7.87(2
H,m)
【0046】実施例7
【化20】 4−ジメチルアミノメチル−2−フェニルチアゾール
フマル酸塩 1,3−ジクロロアセトン1.27g,チオベンズアミ
ド1.37gおよび炭酸カルシウム10gに2−プロパ
ノール50mlを加え,9時間加熱還流した。室温まで
冷却後,セライトを用いてろ過し,ろ液を減圧下濃縮し
て得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶出液:クロロホルム)で精製し,0.79gの4
−クロロメチル−2−フェニルチアゾールを得た。これ
の67mgにジメチルアミン塩酸塩67mgを加え,メ
タノール2mlに溶解し,50%(w/v)炭酸カリウ
ム水溶液0.3mlを添加し,室温で18時間攪拌し
た。反応液に酢酸エチルを加え,1N塩酸水溶液で抽出
した。抽出液を炭酸水素ナトリウムで中和後,クロロホ
ルムで抽出し,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒
を減圧下で留去後,得られた残留物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノー
ル−濃アンモニア水)で精製し,34mgの4−ジメチ
ルアミノメチル−2−フェニルチアゾールを遊離塩基と
して得た。これをメタノール中フマル酸で処理し,アセ
トンから結晶化することにより,32mgのフマル酸塩
を得た。 融点:100〜101℃ アセトン 元素分析値(C12142S・C444として) C(%) H(%) N(%) S(%) 理論値 57.47 5.43 8.38 9.59 実験値 57.38 5.47 8.31 9.53 質量分析値(m/z):219(M+1) 核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6) δ:2.34(6H,s),3.76(2H,s),
6.59(2H,s),7.48〜7.52(3H,
m),7.92〜7.95(2H,m)
【0047】以下表1〜7に,前記した実施例の化合物
のほかに,本発明化合物及び本発明医薬の有効成分であ
る代表的な化合物(化合物No.1〜53)を示す。こ
れらの化合物は,前記の製造法及び実施例中に記載した
合成方法,及び通常の当業者にとって公知であるそれら
の変法を用いて合成できる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/425 AAK A61K 31/425 AAK AAM AAM ACJ ACJ ACL ACL ACP ACP AEN AEN 31/435 AAN 31/435 AAN 31/55 ACV 31/55 ACV C07D 277/28 C07D 277/28 277/60 277/60 (72)発明者 宮田 桂司 茨城県つくば市吾妻4丁目15番地の5 パ ストラルライフ101 (72)発明者 太田 光昭 茨城県筑波郡谷和原村絹の台3丁目9番地 11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される2−フェニ
    ル置換チアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される
    塩を有効成分として含有する医薬 【化1】 (式中の記号は下記の意味を示す。 R1及びR2:同一又は異なって,水素原子,ハロゲン原
    子,ヒドロキシ基,低級アルキル基,低級アルコキシ
    基,アミノ基,ニトロ基,低級アルキルアミノ基,メル
    カプト基又は低級アルキルチオ基 R3及びR4:1)同一又は異なって,水素原子,アミノ
    低級アルキル基,低級アルキルアミノ低級アルキル基又
    はアラルキルアミノ低級アルキル基 但し,R3とR4のいずれか一方が水素原子である場合,
    他方は必ず水素原子以外の意味を示す。 2)R3とR4が隣接するチアゾール環と一体となって形
    成する,低級アルキル基,アミノ基,低級アルキルアミ
    ノ基若しくはアラルキルアミノ基で置換されていてもよ
    い,5乃至8員の飽和炭素環基又は窒素原子を1乃至2
    個含有する5乃至8員の飽和ヘテロ環基)
  2. 【請求項2】 5−HT3作動薬である請求項1記載の
    医薬
  3. 【請求項3】 下記一般式(II)で示される2−フェ
    ニル置換縮合チアゾール誘導体又はその塩 【化2】 (式中の記号は下記の意味を示す。 R1及びR2:同一又は異なって,水素原子,ハロゲン原
    子,ヒドロキシ基,低級アルキル基,低級アルコキシ
    基,アミノ基,ニトロ基,低級アルキルアミノ基,メル
    カプト基又は低級アルキルチオ基 R5及びR6:同一又は異なって,水素原子,低級アルキ
    ル基,アラルキル基,アミノ基,低級アルキルアミノ
    基,又はアラルキルアミノ基 A環基:5乃至8員の飽和炭素環基又は窒素原子を1乃
    至2個含有する5乃至8員の飽和ヘテロ環基 る基である場合には,R1及びR2のいずれか一方は必ず
    水素原子以外を意味する。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006097691A1 (en) 2005-03-14 2006-09-21 Glaxo Group Limited Fused thiazole derivatives having affinity for the histamine h3 receptor
GB2465890A (en) * 2008-12-05 2010-06-09 Scynexis Inc 2-Arylazole derivatives as antiprotozoal agents

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WO2006097691A1 (en) 2005-03-14 2006-09-21 Glaxo Group Limited Fused thiazole derivatives having affinity for the histamine h3 receptor
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