JPH10171588A - ペン入力装置及び該装置におけるキャリブレーション方法 - Google Patents

ペン入力装置及び該装置におけるキャリブレーション方法

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JPH10171588A
JPH10171588A JP32685196A JP32685196A JPH10171588A JP H10171588 A JPH10171588 A JP H10171588A JP 32685196 A JP32685196 A JP 32685196A JP 32685196 A JP32685196 A JP 32685196A JP H10171588 A JPH10171588 A JP H10171588A
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JP
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input
pen
ultrasonic
coordinates
stylus pen
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JP32685196A
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English (en)
Inventor
Keiichi Tsushimi
圭一 都志見
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 位置検出機構の実装位置ずれに起因する入力
ペンの入力位置ずれを簡単かつ短時間に補正し得るキャ
リブレーション機能を実現する。 【解決手段】 受信処理部32は、スタイラスペン1か
らの超音波を超音波受信素子31a、31bで受信処理
してスタイラスペン1の絶対座標を算出しかつボタン押
下状況を認識する。受信処理部32内のローカル演算部
は、上記ボタン押下状況からスタイラスペン1での特定
操作を認識すると、この時の絶対座標に対して上記特定
操作に対応する演算処理を施すことで相対的な座標変換
処理を行い、演算処理部40は該座標変換処理後の絶対
座標を用いて入力処理する。スタイラスペン1の実際位
置と入力位置(表示カーソル)が不一致の時、スタイラ
スペン1を固定したまま特定ボタンを押下(特定操作)
して表示カーソルを上記実際位置まで相対移動させるこ
とでキャリブレーションが実行できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手書き入力機能を
有するコンピュータシステム等におけるペン入力装置に
関し、特に、位置検出機構の位置ずれ等に起因する入力
ペンの実際の位置と指示位置との不整合を補正するキャ
リブレーション機能の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、手書き入力機能を有するコンピュ
ータシステム等における入力装置としては、 1)赤外線方式によるもの 2)感圧方式によるもの 3)静電容量方式によるもの 4)電磁方式によるもの 5)超音波方式によるもの 等が知られている。
【0003】ここで、1)の赤外線方式によるものとし
ては、赤外線を発光するライトペンによるスポット位置
を半導体位置検出素子を用いて検出するもの、入力面に
複数の赤外線発光素子および受光素子を配設して、赤外
線発光素子から発光された赤外線が指、入力ペン等によ
り遮られた位置を受光素子の出力から判別することによ
り指示位置を検出するもの等が知られている。
【0004】また、2)の感圧方式によるものとして
は、複数のX軸電極が配設された電極シートと複数のY
軸電極が配設された支持体とをドットスペーサを介在さ
せて重ね合わせた感圧パネルを用いたもの、平行する2
枚のプレートを3次元スプリングを介して重ね合わせ、
指、入力ペン等により触れた位置の電流の変化を検出す
ることにより指示位置を検出するもの等が知られてい
る。
【0005】また、3)の静電容量方式によるものとし
ては、2枚のガラス上に蒸着形成された導電性の膜をそ
れぞれX軸、Y軸電極パターンとしてこの2枚のガラス
を電極パターン形成面を向かい合わせて張り合わせた静
電容量結合方式パネルを用いたもの等が知られている。
【0006】更に、4)の電磁方式によるものとして
は、入力面に複数のセンサアンテナコイルを配設すると
ともに、入力ペンにはコイルとコンデンサからなる共振
回路を内蔵させ、まず上記複数のセンサアンテナコイル
に交流電流を流すことにより電磁誘導を利用して上記入
力ペンの共振回路に電流を流し、次に上記複数のセンサ
アンテナコイルに流した交流電流を切り、この状態で上
記上記入力ペンの共振回路に流れる電流により発生する
磁界を上記複数のセンサアンテナコイルで検出すること
により入力ペンの指示位置を検出するもの等が知られて
いる。
【0007】また、5)の超音波方式によるものとして
は、スタイラスペンに超音波送信手段を実装すると共
に、スタイラスペンの入力領域内の所定の箇所に超音波
受信手段を配置し、スタイラスペンに実装された超音波
送信手段から超音波を送出した時間と、超音波受信手段
により超音波を受信した時間とからこれら超音波送信手
段と超音波受信手段との間の距離を計測すると共に、こ
の計測距離を用いてスタイラスペンの2次元若しくは3
次元の位置座標を算出し、この算出された位置座標に基
づき所定の入力領域におけるスタイラスペンによる指示
位置を入力するような超音波位置検出機構が知られてい
る。
【0008】上述した赤外線/感圧/静電容量/電磁/
超音波のいずれの方式のペン入力装置においても、実用
上不満のない入力精度を維持するためには、実際の装置
運用に先立ち、入力ペンの位置とこの時の検出座標に基
づく指示位置とを整合させるいわゆるキャリブレーショ
ンを行う必要があることはいうまでもない。
【0009】ところで、このキャリブレーションは、例
えば設計段階で入力精度を厳密に設定すべく行う「位置
検出機構の基本特性に関する補正」と、例えば、位置検
出機構を別の装置に転用する場合等に入力精度を再調整
する程度のより簡略な補正とに大別できる。
【0010】換言すれば、上述した「位置検出機構の基
本特性に関する補正」(以下、重たいキャリブレーショ
ンという)は、装置出荷時等に一度行えば良く、以下の
ような状況下では必ずしも必要となされないものであ
る。
【0011】a.振動/衝撃に起因する入力位置ずれ。
【0012】このような現象は、入力面と位置検出機構
ががっしりと一体化された情報機器でも発生し得る。
【0013】b.入力装置を別の入力面に適応させる場
合。
【0014】1つの入力装置を複数の人間で使い回しす
る場合等に相当する。
【0015】c.入力装置を頻繁に移動させる場合。
【0016】現在の入力装置では、単に表示画面に対し
て描画等の入力を行う利用方法が一般的であるが、今後
の運用方法としては、操作者の机上や会議室の一角等、
多くの場所で利用者の操作(広義の意味としては、人間
の動き)をコンピュータに認識させるような応用が考え
られる。
【0017】このうち、上記b,cの運用を実現するこ
とを考えた場合、上記各方式の中でも特に超音波方式の
ペン入力装置が好適である。これは、超音波方式の入力
装置は、仕様上の限界があるものの、基本的には入力面
のサイズに対して汎用的に流用可能である、すなわち1
つの入力装置を用いて複数のサイズの入力面に適応可能
であるという特徴を有するからに他ならない。
【0018】かかる超音波方式の入力装置の運用の効率
化を考えた場合、装置の開発段階等において、予め複数
のサイズの入力面を想定し、これらの各々に対応するキ
ャリブレーションを行っておけば、エンドユーザが時間
を割いて上述したいわゆる重たいキャリブレーションを
行う必要はない。
【0019】しかしながら、たとえ入力面のサイズが分
かっていても、2次元または3次元的に実装位置を基準
点に合わせるいわゆる軽いキャリブレーションに関して
は、誤差の程度によってその都度行う必要性がある。そ
こで、この種の従来装置におけるキャリブレーションと
しては、以下のような公知例が存在していた。
【0020】・特開平3-192412号 超音波表面弾性波方式の入力装置において、位置検出機
構の実装後に、その取り付けのばらつきに関して補正を
行うもの。
【0021】・特開昭62-32575号 入力領域に応じて相対/絶対座標入力切替え機構を設け
たもの。
【0022】・特開昭62-224820号 スタイラスペンの移動量により、相対/絶対座標入力を
切替える機構を設けたもの。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置のうち、
特開平3-192412号のものは、位置検出機構の入力精度の
向上を図る目的で用いられている補正手段は、位置検出
機構自体の位置検出精度を向上させるための本格的なキ
ャリブレーション機能を開示している。これは、上述し
た重たいキャリブレーションを行う機能に相当するもの
であって、キャリブレーションにおいてエンドユーザに
多くの時間と手間を強要することになる。
【0024】特開昭62-32575号,特開昭62-224820号の
ものは、単に、相対/絶対座標入力の切替え操作を開示
したものであって、キャリブレーションを前提とした絶
対/相対座標入力の切替えを意図したものではない。
【0025】このように、上記従来装置は、あくまでも
「位置検出機構の基本特性に関する補正」を行うべく上
述した重たいキャリブレーションの実行機能のみを具備
し、位置検出機構の実装位置の基準合わせに有用なより
簡易なキャリブレーション機能を有してはいなかった。
このため、この種の従来装置において、例えば、位置検
出機構を他の装置に転用するといった運用に際し、エン
ドユーザにキャリブレーションに関する多くの時間と手
間を強要することになり、円滑な運用の妨げになるとい
う問題点があった。
【0026】そこで、本発明は、位置検出機構の他の装
置への転用等に伴う位置検出機構の実装位置ずれに起因
する入力位置ずれを簡単かつ短時間に補正可能なペン入
力装置及び該装置におけるキャリブレーション方法を提
供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明は、入力ペンの2次元若しくは3次元の絶
対座標を検出し、該絶対座標に基づき所定の入力領域に
おける前記入力ペンの指示位置の入力処理を行うペン入
力装置において、操作者が行う特定操作を認識する認識
手段と、前記特定操作が認識された場合、この時に検出
された前記入力ペンの絶対座標に対し、予め前記特定操
作に対応付けられている演算式を用いて相対的な座標変
換処理を施す座標変換手段と、前記座標変換手段による
演算結果を前記入力ペンの位置補正座標として保持する
位置補正座標保持手段と、検出された前記入力ペンの絶
対座標と前記位置補正座標とに基づき前記入力ペンの入
力座標を算出し、該入力座標を用いて前記入力処理を行
う入力処理手段とを具備することを特徴とする。
【0028】上記ペン入力装置において、前記特定操作
を、該特定操作に対応して前記入力ペンに実装されたボ
タンのボタン操作としたことを特徴とする。
【0029】上記ペン入力装置において、前記入力ペン
に実装された超音波送信手段から超音波を送出した時間
と、超音波受信手段により前記超音波を受信した時間と
から前記超音波送信手段と前記超音波受信手段間の距離
を計測すると共に、前記計測距離を用いて前記入力ペン
の絶対座標を算出する超音波方式の位置検出機構を用い
たことを特徴とする。
【0030】また、本発明のペン入力装置におけるキャ
リブレーション方法は、入力ペンの2次元若しくは3次
元の絶対座標を検出し、該絶対座標に基づき所定の入力
領域における前記入力ペンの指示位置の入力処理を行う
ペン入力装置において、操作者が行う特定操作を認識す
る認識手段と、前記特定操作が認識された場合、この時
に検出された前記入力ペンの絶対座標と該特定操作に予
め対応付けられている変数とに基づき前記絶対座標に対
する相対移動座標を求める相対移動座標算出手段と、前
記特定操作終了後、前記相対移動座標を前記入力ペンの
位置補正座標として特定する特定手段とを具備し、前記
特定操作により前記入力ペンの指示位置を相対移動させ
ることにより当該指示位置ずれを補正することを特徴と
する。
【0031】上記キャリブレーション方法において、前
記特定操作を、該特定操作に対応して前記入力ペンに実
装されたボタンのボタン操作としたことを特徴とする。
【0032】上記キャリブレーション方法において、前
記入力ペンに実装された超音波送信手段から超音波を送
出した時間と、超音波受信手段により前記超音波を受信
した時間とから前記超音波送信手段と前記超音波受信手
段間の距離を計測すると共に、前記計測距離を用いて前
記入力ペンの絶対座標を算出する超音波方式の位置検出
機構を用いたことを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明に係わるペン入力装置は、
入力ペンに設けられた超音波送信手段から送出される超
音波の送信タイミングとこの超音波送信手段から送出さ
れる超音波を受信する超音波受信手段における受信タイ
ミングとの同期をとるように構成したうえで、超音波送
信手段から超音波を送信したタイミングと超音波受信手
段で上記超音波を受信したタイミングとの時間差から当
該音波送信手段と超音波受信手段との間の距離を算出
し、更にこの超音波送信手段/受信手段間の距離を用い
て上記入力ペンの位置座標を演算して例えばパソコンの
ディスプレイ等の所定の入力領域における上記入力ペン
による指示位置を例えばカーソル等を用いて入力する超
音波位置検出機構を前提とするものである。
【0034】特に、本発明では、上記超音波位置検出機
構において、入力ペンの特定操作を認識する手段を有
し、この認識手段により例えば特定操作が認識された場
合、この時に入力ペンから送信された超音波の受信信号
に基づき算出される絶対座標位置に対して上記特定操作
に対応する演算処理を施すことにより、上記入力ペンの
指示位置を相対座標として入力し、この相対座標入力を
適宜に繰り返しながら上記カーソルを上記入力ペンの実
際の位置まで相対移動させることにより、キャリブレー
ションを実現する機能を付加したものである。
【0035】上記構成によれば、超音波位置検出機構の
例えば開発段階での重たいキャリブレーションが完了し
ているという前提の下において、入力ペンに設けたボタ
ン等を用いて上記特定操作を行うだけで極めて簡単にキ
ャリブレーションを実施でき、例えば、超音波位置検出
機構を他の装置に転用するといった運用に際し、エンド
ユーザにキャリブレーションに関する多くの時間と手間
を強要することがなくなり、超音波位置検出機構の最大
の利点である汎用性を損なうことなく入力精度も向上さ
せることができる。
【0036】以下、本発明に係わるペン入力装置の実施
の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図
1は、本発明に係わるペン入力装置を適用して構成した
情報処理装置の一実施の形態の概略構成をブロック図で
示したものである。この情報処理装置は、入力ペン(以
下、これをスタイラスペンという)1を用いて表示部5
0の表示画面上で指示された指示位置に対応する画像を
表示部50の表示画面上に表示するものである。
【0037】この実施の形態において、スタイラスペン
1には後に詳述するようにその先端から超音波を出力す
る超音波送信手段が設けられており、この超音波送信手
段から送出される超音波に基づき表示部50の表示画面
上における指示位置を検出してこの指示位置に対応する
画像を表示部50の表示画面上に表示する。
【0038】すなわち、本実施の形態に係わる情報処理
装置はスタイラスペン1から発生された超音波を受信す
る2個の超音波受信素子31a、31b、この2個の超
音波受信素子31a、31bの受信出力を処理する超音
波受信部30、この超音波受信部30の処理結果に基づ
きスタイラスペン1による指示位置を演算してこの指示
位置に対応する画像の表示部50における表示制御を行
う演算処理部40を具備して構成される。
【0039】この実施の形態に係わる情報処理装置の全
体構成は図2に示す如くである。操作者は、ペンホルダ
34で同期化されたスタイラスペン(超音波送出器)1
を用いて入力領域(表示部50として用いられるDispl
ay装置の表示領域)にて、操作を行う。この時、超音波
受信部30において、スタイラスペン1から送出された
超音波の送/受信タイミングからスタイラスペン1と超
音波センサ(超音波受信素子)31a,31b,…まで
の距離が算出され、演算処理部40としてのComputer
へ入力される。Computerは、超音波受信部30から受
け取った距離値からDisplay装置の表示領域におけるス
タイラスペン1の2次元または3次元位置を算出し、そ
のデータを基にアプリケーション上の処理を行う。
【0040】図3は、本実施の形態に係わる情報処理装
置の外観構造の具体例を示したものであり、表示部50
としてのリアプロジェクタディスプレイの表示画面に対
して所定の位置関係で2個の超音波受信素子31a、3
1bが配設されており、また図1及び図2にて開示した
超音波受信部30および演算処理部40はこの情報処理
装置本体100内に内蔵されている。
【0041】また、表示部50の表示画面の近傍には、
スタイラスペン1の不使用時にこのスタイラスペン1を
収容するためのペンホルダ34が設けられている。ここ
で、スタイラスペン1はコードレスのスタイラスペンと
して構成され、このスタイラスペン1の駆動電源はこの
スタイラスペン1に内蔵された二次電池が用いられてお
り、上記ペンホルダ34はこの二次電池を充電するため
のアダプタとしての機能も有している。
【0042】まず、この実施の形態における2個の超音
波受信素子31a、31bの受信出力に基づき表示部5
0の表示画面上に対するスタイラスペン1による指示位
置の検出原理を説明する。
【0043】図4は、表示部50の表示画面に対して所
定の位置関係で配設された2個の超音波受信素子31
a、31bとスタイラスペン1による指示位置の関係を
示したものである。今、この2個の超音波受信素子31
a、31bに固定された2次元座標系X−Yを考え、こ
の表示部50の表示画面の横方向の長さをWとする。
【0044】ここで、超音波受信素子31aは、この2
次元座標系X−Yの原点(0、0)に配設されており、
超音波受信素子31bは、この2次元座標系X−YのY
軸上の点(0、W)に配設されているとする。
【0045】また、スタイラスペン1による指示位置
が、この2次元座標系X−Y上の点(x、y)であると
するとし、超音波受信素子31aから点(x、y)まで
の距離をa、超音波受信素子31bから点(x、y)ま
での距離をbとすると、 a2=x2+y2 …(1) b2=(W−x)2+y2 …(2) の関係が成立する。この式(1)〜(2)からx、yに
ついて解くと x=(a2−b2+W)/2W …(3) y=±SQRT[a2−{(a2−b2+W2)/2W}2]…(4) ただし、SQRT(A)はAの平方根を示す。
【0046】となる。ここで、Wは既知の値であるの
で、超音波受信素子31aから点(x、y)までの距離
a、超音波受信素子31bから点(x、y)までの距離
bが分かれば、2個の超音波受信素子31a、31bに
固定された2次元座標系X−Y上におけるスタイラスペ
ン1による指示位置(x、y)を求めることができる。
【0047】この実施の形態においては、超音波受信素
子31aからスタイラスペン1による指示位置(x、
y)までの距離a、超音波受信素子31bからスタイラ
スペン1による指示位置(x、y)までの距離bを、ス
タイラスペン1の先端から出力される超音波を用いて検
出する。
【0048】具体的には、この距離a、距離bの検出
は、スタイラスペン1の先端から出力される超音波が超
音波受信素子31a、31bで検出されるまでの時間T
a、Tbを検出することにより行われる。
【0049】すなわち、スタイラスペン1の先端から出
力される超音波の空間伝達速度をCとすると、上記時間
Ta、Tbを検出することにより上記距離a、距離bは a=C×Ta …(5) b=C×Tb …(6) により求めることができる。
【0050】このスタイラスペン1の先端から出力され
る超音波が超音波受信素子31a、31bで検出される
までの時間Ta、Tbを検出する処理は、図1に示す超
音波受信部30における受信処理部32で行われる。
【0051】図5は、図1に示す超音波受信部30にお
ける受信処理部32の具体的構成を示したものである。
この実施の形態では、スタイラスペン1の不使用時にこ
のスタイラスペン1を収納するペンホルダ34が設けら
れており、このペンホルダ34には、後に詳述するよう
に、スタイラスペン1の超音波発信手段から出力される
超音波の出力タイミングと受信処理部32における受信
処理との同期をとる同期回路35が設けられている。
【0052】この同期回路35は、受信処理部32に設
けられた基本クロック生成回路324から出力される基
本クロックを計数し、その計数値が一定の値になる毎に
スタイラスペン1の超音波発信手段から出力される超音
波の出力タイミングを制御する同期信号を出力するよう
に構成されている。
【0053】また、スタイラスペン1には、上記基本ク
ロック生成回路324と同一の周波数の基本クロックを
生成する基本クロック生成回路(後に説明するオシレー
タ13)が設けられており、この基本クロック生成回路
は、スタイラスペン1がペンホルダ34に収納された時
に、上記同期回路35から出力される同期信号を入力し
て、上記受信処理部32に設けられた基本クロック生成
回路324との同期を確立し、スタイラスペン1をペン
ホルダ34から取り出した後は、上記同期回路35と同
様にこの受信処理部32に設けられた基本クロック生成
回路324と同期して動作する基本クロック生成回路か
ら出力される図6(a)に示すような基本クロックを計
数し、図6(b)に示すようにその計数値が一定の値に
なる毎にスタイラスペン1の超音波発信手段から出力さ
れる超音波の出力タイミングを制御するように構成され
ている。
【0054】すなわち、スタイラスペン1をペンホルダ
34に収納すると、スタイラスペン1の超音波発信手段
から出力される超音波の出力タイミングと受信処理部3
2における受信処理との同期がとられ、スタイラスペン
1の超音波発信手段から出力される超音波の出力タイミ
ングは同期回路35から受信処理部32に加えられる同
期信号のタイミングと一致することになる。
【0055】同期回路35から受信処理部32に加えら
れる同期信号は、受信処理部32のカウンタ321、3
22のリセット端子に加えられ、カウンタ321、32
2はこの同期信号に同期してクリアされる。
【0056】また、カウンタ321、322の計数入力
端子には基本クロック生成回路324から出力される基
本クロックが入力され、またこのカウンタ321、32
2の計数停止を制御する制御入力端子には、スタイラス
ペン1の先端から出力される超音波を受信した時に超音
波受信素子31a、31bからそれぞれ出力される受信
クロックが入力されている。
【0057】すなわち、カウンタ321、322は、ス
タイラスペン1の先端から超音波が出力されるタイミン
グで同時にリセットされ、それぞれ超音波受信素子31
a、31bから受信クロックが入力されるまで基本クロ
ック生成回路324から出力される基本クロックを計数
し、その結果、カウンタ321、322の計数値は、ス
タイラスペン1の先端から出力される超音波が超音波受
信素子31a、31bで検出するまでの時間Ta、Tb
に対応するものになる。
【0058】図7は、このカウンタ321、322によ
る時間Ta、Tbの検出動作をタイミングチャートで示
したものである。すなわち、スタイラスペン1の図示し
ない基本クロック生成回路は図7(a)に示す基本クロ
ックを生成し、図7(b)に示す同期信号の立上がりに
同期してスタイラスペン1の先端から超音波を出力する
ための図7(c)に示す送信クロックを発生し、この送
信クロックに同期してスタイラスペン1の超音波発信手
段を駆動するための図7(d)に示す超音波駆動信号を
発生する。この超音波駆動信号によりスタイラスペン1
の超音波発信手段が駆動され、スタイラスペン1の先端
からは送信クロックが生じている間だけ超音波が出力さ
れる。
【0059】このスタイラスペン1の先端から出力され
た超音波は超音波受信素子31a、31bで受信され、
超音波受信素子31a、31bからはこの超音波の受信
に対応して図7(e)に示すような受信クロックが出力
される。
【0060】そこで、カウンタ321、322では、図
7(b)に示す同期信号の立上がりタイミングから図7
(e)に示す受信クロックの立上がりタイミングまでの
時間T、すなわち時間Ta、Tbを図7(a)に示す基
本クロックを計数することにより求めることができる。
【0061】このカウンタ321、322で計数された
スタイラスペン1の先端から出力される超音波が超音波
受信素子31a、31bで検出するまでの時間Ta、T
bは、受信時間保持回路325、326でそれぞれ保持
され、図1に示した通信部33を介して演算処理部40
に伝送される。
【0062】演算処理部40は、通信部33を介して伝
送される上記時間Ta、Tbを受取り、この時間Ta、
Tbに基づきスタイラスペン1により表示部50の画面
上で指示された指示位置を演算する。
【0063】この演算においては、まず、前述した式
(5)〜(6)に基づき、スタイラスペン1から超音波
受信素子31a、31bまでの距離a、bを算出する。
そして、この算出した距離a、bおよび前述した式
(3)〜(4)に基づき、超音波受信素子31a、31
bに固定された2次元座標系X−Y上におけるスタイラ
スペン1による指示位置(x、y)を算出する。そし
て、この算出したスタイラスペン1による指示位置
(x、y)に基づき表示部50における表示制御を行
う。
【0064】次に、図1に示したスタイラスペン1、超
音波受信部30及び演算処理部40の具体的詳細構成に
ついて説明する。
【0065】この実施の形態に係わる装置で用いるスタ
イラスペン1の外観構造は例えば図8に示す如くの形態
から成る。このスタイラスペン1は、内部に超音波送信
手段を有するとともに、第1ボタン14a〜第7ボタン
14gの7つのボタンを有している。ここで、第1ボタ
ン14aは、例えばこのスタイラスペン1を用いて描画
を行う際に操作されるものである。また、第2ボタン1
4b〜第7ボタン14gは以下に述べるような当該スタ
イラスペン1の特定操作との対応付けがなされており、
それぞれ対応する特定操作を行う場合に押下される。
【0066】図9は、このスタイラスペン1の内部回路
構成を示したものである。同図からも分かるように、こ
のスタイラスペン1は、該スタイラスペン1からの超音
波の送信タイミングを制御する送信タイミング制御部1
1、オペアンプ16を有し送信タイミング制御部11か
ら出力された超音波送出器駆動信号を増幅するアンプ部
15、超音波送出器18を有しアンプ部15から出力さ
れる超音波送出器駆動信号により超音波を送出する送出
部17を具備している。
【0067】送信タイミング制御部11には、更に、図
8に示した第1ボタン14a〜第7ボタン14gから成
るボタン14の出力及び基本クロックを生成するオシレ
ータ(基本クロック生成部)13からの基本クロックに
応じてこのスタイラスペン1からの超音波送信タイミン
グ制御の状態遷移を制御するシーケンサ12が設けられ
ている。
【0068】図10は、図1に示した超音波受信部30
及び演算処理部40の具体的構成を示したものである。
同図において、超音波受信部30は、受信処理部32、
通信部33から構成される。
【0069】ここで、超音波受信部30は図1に示した
超音波受信素子31a、31bから構成される受信セン
サ部31からの超音波受信出力を入力処理する。受信処
理部32は、アンプ部60、受信タイミング制御部7
0、ローカル演算部75から成り、アンプ部60にはオ
ペアンプ61が設けられ、受信タイミング制御部70に
はカウンタ、レジスタ71、シーケンサ72、オシレー
タ73が設けられる。
【0070】ここで、カウンタ、レジスタ71は、図5
に示したカウンタ321、322、及び受信時間保持回
路325、326に対応し、オシレータ73は基本クロ
ックを生成する図5に示した基本クロック生成回路32
4に対応する。
【0071】また、シーケンサ72は、オシレータ73
から出力される基本クロックに基づきこの受信タイミン
グ制御部70の受信タイミング制御の遷移状態を制御す
るものである。このシーケンサ72は、図5に示したペ
ンホルダ34の同期回路35からの同期信号(リセット
信号)によりリセットされ、受信タイミング制御部70
における受信タイミング制御の遷移状態を制御する。
【0072】また、ローカル演算部75は、受信タイミ
ング制御部70からの入力データに基づきスタイラスペ
ン1の絶対位置座標を算出すると共に、後述するスタイ
ラスペン1の特定操作がなされた場合は、上記絶対位置
座標に対して当該特定操作に対応する演算処理を施すこ
とにより、絶対位置座標から相対位置座標への変換処理
を行う。
【0073】また、通信部33は、SCC(シリアル通
信制御部)331及びRS232Cインタフェースを駆
動するための232Cドライバ332を有する。また、
図10において、演算処理部40は、所定のアプリケー
ションが搭載され、スタイラスペン1の指示位置に対応
した表示を制御するウインドウ処理部やマウスドライバ
等を有し、RS232Cインタフェースを介して超音波
受信部30の通信部33に接続されるパーソナルコンピ
ュータから構成される。
【0074】ところで、本実施の形態に係わる装置で
は、図8に示す如く、第1ボタン14a〜14gの7つ
のボタンを有するスタイラスペン1を用いることから、
超音波受信側におけるこれら7つのボタンの押下状況の
認識を実現するために、これら各ボタンに対応した超音
波送出フレームを設ける必要がある。
【0075】図11は、本実施の形態の装置におけるス
タイラスペン1の超音波送信タイミングを示すタイミン
グチャートである。同図からも分かるように、このスタ
イラスペン1ではそれぞれ8回の超音波送信タイミング
(◇数字1〜8で示す。以下、フレーム#1〜#8とい
う)を1単位として交互に超音波を送出する。
【0076】すなわち、図11に示すように、このスタ
イラスペン1は、8回の超音波送信タイミングを1ブロ
ックとして超音波を送出する。ここで、各超音波送信タ
イミングにおける超音波送出期間はTsendであり、
その超音波送出間隔はTwaitである。そしてこの8
回の超音波送信タイミングの1回目の超音波送信タイミ
ングにおいては、このスタイラスペン1の位置に対応し
て表示部50に表示されるカーソルを追従移動制御する
ために常時超音波を送出する。また、2回目の超音波送
信タイミングにおいては、このスタイラスペン1で第1
ボタン14aが押された時のみ超音波を送出する。ま
た、3回目の超音波送信タイミングにおいては、このス
タイラスペン1で第2ボタン14bが押された時のみ超
音波を送出する。同様に、4回目〜回目の超音波送信タ
イミングにおいては、このスタイラスペン1で第3ボタ
ン14c〜第7ボタン14gが押された時のみそれぞれ
超音波を送出する。
【0077】なお、各超音波送信タイミングで発生され
る超音波駆動信号(超音波駆動クロック)は、例えばF
Hzの信号であり、超音波駆動クロックは図9に示した
アンプ部15を介して送出部17に加えられ、送出部1
7からは、このFHzの超音波が送出される。
【0078】図11に示したスタイラスペン1側の超音
波送信タイミングに対し、超音波受信部30の受信タイ
ミング制御部70におけるシーケンサ72では、上記超
音波送信タイミング(各フレーム#1〜#8)に同期し
て超音波受信素子31a,31bで受信した受信信号の
処理を行い、演算処理部40では当該スタイラスペン1
の位置を算出する。
【0079】ここで、上記各フレーム#1〜#8は、前
述の如くに同期化の図られた超音波送信側(スタイラス
ペン1)と超音波受信側(超音波受信部30)とで同一
の意味付けがなされている。これにより、超音波受信部
30のシーケンサ72では、フレーム#1での受信信号
に応じてスタイラスペン1における超音波受信素子31
a,31bとの間の距離を算出し得ると同時に、フレー
ム#2〜#8での受信信号に応じてこのスタイラスペン
1における第1〜第7の各ボタン14a〜14gの押下
状況を認識できる。ここで算出された距離及び認識され
たボタン押下状況は、該受信タイミング制御部70から
ローカル演算部75へと送信される。
【0080】図12は、受信タイミング制御部70から
ローカル演算部75に送信されるデータの構造の一例を
示す図である。このデータは3バイトから構成され、第
1バイト〔同図(a)〕はスタイラスペン1に実装され
た各ボタン14の押下状態を示している。第2バイト
〔同図(b)〕は、超音波受信部30における超音波受
信素子31aからスタイラスペン1までの距離すなわち
図4における距離aを示す値である。第3バイト〔同図
(c)〕は、超音波受信部30における超音波受信素子
31bからスタイラスペン1までの距離すなわち図4に
おける距離bを示す値である。
【0081】第2,3バイトの値は、図5における基本
クロック生成回路324にて作られた基本クロックが、
スタイラスペン1から超音波が送出され、超音波受信素
子31a,31bにてそれぞれ受信されるまでカウンタ
321,322でカウントされた数をそれぞれ示してい
る。
【0082】ローカル演算部75は、このカウント値を
用い、例えば上記基本クロックが1MHzの時、1クロ
ック時間は1usecであり第2,3バイトの1bit が超
音波が1usec 間で空気中を伝播する距離(0.344mm)
であることを利用して、各超音波受信素子31a,31
bとスタイラスペン1との距離を算出する。更に、この
算出された各超音波受信素子31a,31bとスタイラ
スペン1の距離を用いて、入力面(図4参照)上に設定
された座標軸におけるスタイラスペン1の座標を算出す
る。この算出方法は上述した通りである。
【0083】更に、ローカル演算部75により算出され
た上記座標値は通信部33を通じてPC(図1では、演
算処理部40に相当)に送られ、PCでその入力座標値
に基づき表示画面50の対応する座標位置に、スタイラ
スペン1により指示された位置を、カーソル等を用いて
表示する。
【0084】以上、2次元座標についての位置検出方法
について述べたが、本発明は超音波受信器を3個つ用い
ることで、3次元座標についての位置検出も行える。こ
の場合、上述した2次元座標での位置検出機構と異なる
構成として、図13に示す如く、ディスプレイ(入力
面)近傍に、3つの超音波受信器(31a,31b,3
1c)を実装する。また、超音波送出器は、これまでの
説明と同様、スタイラスペン内部に実装する。この時、
ディスプレイ近傍に実装した3つの超音波受信器を基準
にして、同図に示すような3次元座標軸X,Y,Zが生
成される。
【0085】この3次元座標系の中で、図14に示すよ
うに、超音波送出器(スタイラスペン1)から出力され
た超音波は、空気中を伝播して3つの超音波受信器(3
1a,31b,31c)にて受信される。位置検出機構
では、上記超音波送信器から超音波の出力時間と各超音
波受信素子(31a,31b,31c)の超音波受信時
間とから超音波送出器と各超音波受信器との間の距離を
それぞれ算出し、上記3次元座標系の中で、ディスプレ
イ上、あるいはその周辺部を移動するスタイラスペン1
の3次元位置座標を検出する。
【0086】以下、この3個の超音波受信素子31a、
31b、31cを用いたスタイラスペン1の先端の位置
の3次元的検出原理について述べる。今、図15に示す
ように、3個の超音波受信素子31a、31b、31c
に固定された3次元座標系X−Y−Zを考える。
【0087】ここで、超音波受信素子31aは、この3
次元座標系X−Y−Zの原点に配設されており、超音波
受信素子31bは、この3次元座標系X−Y−ZのY軸
上の点(0、Ly、0)に配設され、超音波受信素子3
1cは、3次元座標系X−Y−ZのZ軸上の点(0、
0、Lz)に配設されているとする。
【0088】また、スタイラスペン1による指示位置
が、この3次元座標系X−Y−Z上の点(x、y、z)
であるとするとし、超音波受信素子31aから点(x、
y、z)までの距離がn、超音波受信素子31bから点
(x、y、z)までの距離がm、超音波受信素子31c
から点(x、y、z)までの距離がlであるものとする
と、 l2=(Lz−z)2+n2−z2 …(7) n2=x2+y2+z2 …(8) m2=x2+(Ly−y)2+z2 …(9) の関係が成立する。この式(9)〜(11)からx、
y、zについて解くと x=±SQRT[n2−{(Ly2+n2−m2)/2Ly}2 −{(Lz2+n2−l2)/2Lz}2] …(10) y=(Ly2+n2−m2)/2Ly …(11) z=(Lz2+n2−l2)/2Lz …(12) ただし、SQRT(A)はAの平方根を示す。
【0089】となる。ここでLyおよびLzは、超音波
受信素子31a、31b、31cの配設位置によって決
定される既知の値であるので、超音波受信素子31aか
ら点(x、y、z)までの距離n、超音波受信素子31
bから点(x、y、z)までの距離m、超音波受信素子
31cから点(x、y、z)までの距離lが分かれば、
3次元的に配設された3つの超音波受信素子31a、3
1b、31cに固定された3次元座標系X−Y−Z上に
おけるスタイラスペン1による指示位置(x、y、z)
を求めることができる。
【0090】ここで、超音波受信素子31aからスタイ
ラスペン1による指示位置(x、y、z)までの距離
n、超音波受信素子31bからスタイラスペン1による
指示位置(x、y、z)までの距離m、超音波受信素子
31cからスタイラスペン1による指示位置(x、y、
z)までの距離lの検出は、スタイラスペン1の先端か
ら出力される超音波が超音波受信素子31a、31b、
31cで検出するまでの時間Ta、Tb、Tcを検出す
ることにより求めることができる。
【0091】すなわち、スタイラスペン1の先端から出
力される超音波の空間伝達速度をCとすると、上記時間
Ta、Tb、Tcを検出することにより上記距離n、距
離m、距離lは n=C×Ta …(13) m=C×Tb …(14) l=C×Tc …(15) により求めることができる。
【0092】このスタイラスペン1の先端から出力され
る超音波が超音波受信素子31a、31b、31cで検
出されるまでの時間Ta、Tb、Tcを検出する処理
は、超音波受信部30における受信処理部32で行われ
る。ただし、この場合、超音波受信処理部32は、図5
に示す構成に、3つ目の超音波受信素子31cに対応す
る処理回路(例えば、カウンタ323、受信時間保持回
路327が別途必要)を付加する必要がある。
【0093】この受信処理部32におけるカウンタ32
1、322、323で計数されたスタイラスペン1の先
端から出力される超音波が超音波受信素子31a、31
b、31cで検出されるまでの時間Ta、Tb、Tc
は、受信時間保持回路325、326、327でそれぞ
れ保持され、受信タイミング制御部70に渡される。
【0094】受信タイミング制御部70は、上記時間T
a、Tb、Tcを受け取ると、前述した式(13)〜
(15)に基づき、スタイラスペン1から超音波受信素
子31a、31bまでの距離n、m、lを算出し、図1
2に示すようなデータ構造(ただし、この場合には、超
音波受信素子31aからスタイラスペン1までの距離n
を示す第2バイト、超音波受信素子31bからスタイラ
スペン1までの距離mを示す第3バイトの他、超音波受
信素子31cからスタイラスペン1までの距離lを示す
第4バイトが追加される。)によりローカル演算部75
に伝える。
【0095】ローカル演算部75は、受信タイミング制
御部70から送られてくる距離n、m、lに対し、前述
した式(10)〜(12)による演算を行うことによ
り、超音波受信素子31a、31b、31cに固定され
た3次元座標系X−Y−Z上におけるスタイラスペン1
による指示位置(x、y,z)を算出する。
【0096】次に、本発明装置を入力装置として使用す
る前に必要となるキャリブレーション処理について説明
する。本発明装置において、スタイラスペン1の2次元
または3次元の位置座標を算出し得るのは上述した通り
であるが、この装置を入力装置として初めて使用する場
合、上記算出座標位置が、例えば、コンピュータが出力
する画面表示のどの位置に対応しているのかが不明であ
る。そこで、例えば、本装置に対する超音波受信器の実
装時に、スタイラスペン1の座標位置と画面表示位置と
の対応させるための設定を行う必要があるが、この処理
を一般にキャリブレーションと呼んでいる。
【0097】以下、図13に示すような超音波受信器実
装形態を例にとり、本発明装置におけるキャリブレーシ
ョン処理について説明する。この例におけるキャリブレ
ーションの最初の処理として、本発明装置の入力面、す
なわち図13におけるコンピュータの表示画面におい
て、図16に示す様に、当該表示画面の向かって左上の
位置に1ドット(ドットA)の表示が判断可能な表示を
行う。ここで、当該ドットAは、上記表示画面における
座標(0,0)に表示されているものとする。
【0098】次に、操作者は、図17に示す如く、上記
ドットAが表示されている位置にスタイラスペン1を移
動させる。移動完了後、操作者は、更に、スタイラスペ
ン1を表示ドットAの位置に移動させたことを知らせる
ための操作として、スタイラスペン1の第1ボタン14
aを押下する。この時、特定されたスタイラスペン1の
座標は、(x0,y0,z0)と算出されたものとする。
これが、ドットAの位置座標として扱われる。
【0099】次に、操作者は、上記表示画面上、図18
に示す位置(画面右上)にドットBを表示させ、上述し
た方法によりこのドットBの位置座標を算出する。この
時のドットBの座標値は、B(x1,y1,z1)と算出
されたとものとする。同様にして、表示画面の向かって
左下のドットC、右上のドットDの位置座標を次々に算
出する。この時、C(x2,y2,z2)、D(x3,y
3,z3)の座標値が算出されたものとする。
【0100】周知の如く、ある表示面上におけるA,
B,C,Dの4点の座標値が判明すれば、当該表示画面
の全てのドットの位置座標値を求めることが可能であ
る。例えば、本実施の形態において、表示画面の表示解
像度が、図19に示す如く、(1000×500)ドットであ
るものとすれば、当該表示画面上のドットE(600,30
0)の座標値は以下の如く算出可能である。
【0101】 x_temp0 = x0+{(x1−x0)/1000}×600 y_temp0 = y0+{(y1−y0)/1000}×600 z_temp0 = z0+{(z1−x0)/1000}×600 x_temp1 = x2+{(x3−x2)/1000}×600 y_temp1 = y2+{(y3−y2)/1000}×600 z_temp1 = z2+{(z3−z2)/1000}×600 Ex = x_temp0+{(x_temp1−x_temp0)/500}×30
0 Ey = y_temp0+{(y_temp1−y_temp0)/500}×30
0 Ez = z_temp0+{(z_temp1−z_temp0)/500}×30
0 上記座標値(Ex,Ey,Ez)が図19におけるドットEの
座標値である。よって、スタイラスペン1の位置座標
が、この(Ex,Ey,Ez)の場合は、表示座標(600,30
0)において入力処理を行う。
【0102】このように、入力面への表示に関しては、
基本的には当該入力面の4隅の座標が分かれば、全ての
入力面の座標値と表示座標との関連付けが可能である。
しかしながら、これはあくまでも、図15における超音
波受信器31が超高精度に製作され、かつ入力面の4隅
の座標が誤差なく計測できた場合のことである。
【0103】現実的には、図15におけるLz,Lyや、超
音波受信器31の実装角度にも誤差が生じる。また、入
力面の4隅の座標計測時においても、例えば、スタイラ
スペン1の構造上の要因、あるいは操作者の視差による
微妙なスタイラスペンの1の操作ミス、更には操作者自
身の手ぶれ等により必ず誤差が生じる。
【0104】こうした誤差に起因するスタイラスペン1
の座標位置と画面表示位置間の位置ずれを防止するため
には、上記キャリブレーション実行位置を増やしたり、
測定回数を増やすことが有用である。例えば、図20
は、複数の位置(40ドット)それぞれにおいてスタイ
ラスペン1を移動し、その座標値を予め算出し、それ以
後の入力操作に活用するようにした例であり、図16〜
図18に示した表示画面の4隅を対象とする方法に比
べ、計測ポイントが増えた分、高精度なキャリブレーシ
ョン機能を実現できる。更に、図20に示した方法にお
いて、各ドットのそれぞれについて、複数回の位置座標
の計測を行うようにすれば、キャリブレーション精度の
更なる向上が期待できる。
【0105】このように、キャリブレーション処理に関
しては、複数のポイントで処理を実行する、あるいは複
数回実行することで入力精度の向上が見込めるのは自明
であるが、反面、この方法では、操作者に多くの時間と
手間を強いることになる。
【0106】しかしながら、こうした高精度の(重た
い)キャリブレーションは、超音波受信器の設置時にの
み行えば良く、現実的な運用に際してはそれ程問題にな
る訳ではない。これは、以下に述べるこの種の装置の一
般的運用形態からも容易に理解できる。
【0107】すなわち、本発明装置に代表される超音波
方式の入力装置は、それ以外の例えば電磁誘導/感圧/
静電/赤外線等の各方式の位置検出機構を用いた入力装
置に比べて汎用性の面で特に優れている。例えば、電磁
誘導/感圧/静電/赤外線等の各方式の位置検出機構を
用いた入力装置では、入力精度の低下防止の観点から、
ハードウェアとしての位置検出機構を入力面(多くの場
合は表示装置)にがっしりと組み込む必要がある。その
結果、一度設置された位置検出機構を取り外して、他の
入力装置に設置することは極めて困難となる。
【0108】これに対して、超音波入力装置の位置検出
機構では、超音波受信器を入力面に対して簡単に設置す
ることができ、入力面のサイズ、あるいは入力面が表示
面の場合、その種類(CRT、フラットパネル、プロジ
ェクタ等)が変わっても臨機応変に適用可能である。
【0109】一例として、本発明装置では、例えば図2
1に示す如く、用途に応じて1つの入力装置を種々の入
力面1,2,3に利用可能である。同図中央は、本発明
装置の本来の使用例を示すものである。また、同図左側
の装置は、操作者の机上等での個人的な使用を前提と
し、他方、同図右側の装置は、会議室の一角等での不特
定多数の使用を前提として、それぞれの使用位置に超音
波受信素子31a,31b,31cを設置することで、
多くの場所で利用者の操作をコンピュータに認識させる
ような運用を実現している。
【0110】上記運用を踏まえた場合、超音波受信素子
31を簡単に取り付け/取り外し可能な機構にするのが
望ましい。この時、1つの入力面に対してキャリブレー
ションを実行後に超音波受信素子31の取り外し/取り
付けを行った場合、前回の実装位置からずれることは十
分に予想し得る。また、こうした位置ずれの問題は、入
力面を移動させた場合等による振動や衝撃からも発生す
る。更に、入力面が表示面である場合においては、表示
データの移動が原因で入力ずれが発生する。
【0111】この種の位置ずれを解消するためには、高
精度な取り付け器具を用いてがっしりと固定する方法も
考えられるが、この方法では、装置全体が高価かつ大型
化することにより現実的ではなく、なによりもこの種の
装置の最大の利点である汎用性を損なうことになる。
【0112】このことからも分かるように、超音波入力
装置は、汎用性に絡んで、超音波受信素子31の取り外
し/取り付けを行った後、前回の実装位置とのずれが発
生するといった危険性を常にはらんでいる。しかしなが
ら、ここで別の視点から上記運用を考察すると、上述し
た応用時における入力ずれは、その全てが位置検出機構
が持つ座標系と、入力面が持つ座標系とが単純に相対的
にずれることに起因すると考えられる。言い換えれば、
もしこうした相対的なずれを補正することができれば、
上述したような重たいキャリブレーションを再度行う必
要はなく、入力ずれを補正すること可能である。つま
り、必要とされる細かな(重たい)キャリブレーション
は既に終わっているものとすれば、その結果得られた情
報はたとえ超音波受信素子31の実装位置(基準位置)
がずれたとしても利用可能であると言える。
【0113】この点に鑑み、本発明は、音波受信素子3
1を設置変更する場合等における軽いキャリブレーショ
ンを簡単に行えるようにするものであり、具体的には、
スタイラスペン1の検出位置座標に基づき入力面に表示
されるカーソルを、当該スタイラスペン1が実際に存在
する位置まで相対移動させる相対座標入力機能を付加す
ることで対処している。
【0114】以下、本発明装置における軽いキャリブレ
ーションの実行方法について説明する。本発明におい
て、重いキャリブレーションが完了している前提の下
で、軽いキャリブレーションを行う場合、操作者は、ス
タイラスペン1において特定操作を行う。本実施の形態
において、上記特定操作としては、例えば、スタイラス
ペン1(図8参照)に設けられた十字ボタン(第4ボタ
ン14d〜第7ボタン14g)の押下操作を想定してい
る。
【0115】これにより、例えば、スタイラスペン1に
設けられる十字ボタン(第4ボタン14d〜第7ボタン
14g)のうち、第4ボタン14dを押下すると、当該
第4ボタン14dの形状によって示される方向にカーソ
ルを相対移動でき、同様に、第5ボタン14e,第6ボ
タン14f,第7ボタン14gを押下すると、これら各
ボタンの形状によって示される方向にカーソルを相対移
動できる。
【0116】このキャリブレーションに係わるカーソル
の相対移動制御は、ローカル演算部75において、受信
タイミング制御部70から送られてくるデータ(図12
参照)中の第1バイト〔図12(a)〕の内容に基づき
スタイラスペン1の各ボタン14の押下状態を上記特定
操作と対応付けて各々認識し、この認識結果に従って、
絶対座標上での指示位置を相対座標上での指示位置に変
換する演算処理により実現できる。
【0117】図22は、本実施の形態に係わるローカル
演算部75の概略構成を示す図であり、CPU751と
メモリ752とから成る。このうち、メモリ752に
は、受信タイミング制御部70から送られてくるデータ
(図12参照)中の第2バイト、第3バイトの距離デー
タを基に算出されたスタイラスペン1の絶対座標値(X
pre,Ypre)に対するオフセット座標値(Xoffset,Y
offset)が、上記十字ボタン14d〜14gの各ボタン
に対応して予め格納されている。これら第4ボタン14
d〜第7ボタン14gに対するオフセット座標値(Xof
fset,Yoffset)の具体的な値は、それぞれ以下の如く
である。但し、この例では、必要とされる入力精度は1
mmであり、また入力座標は2次元であることを想定して
いる。
【0118】 第4ボタン(14d) Yoffset=Yoffset−1; …… (16) 第5ボタン(14e) Xoffset=Xoffset+1; …… (17) 第6ボタン(14f) Xoffset=Xoffset−1; …… (18) 第7ボタン(14g) Yoffset=Yoffset+1; …… (19) ローカル演算部75では、受信タイミング制御部70か
ら送られてくるデータをメモリ752に格納した後、こ
のデータ中の第1バイトからこの時の第4ボタン14d
〜第7ボタン14gの押下状況を認識すると共に、第2
〜3バイトで示される距離データを用いてスタイラスペ
ン1の絶対座標(Xpre ,Ypre )を算出してメモリ7
52に保持した後、この絶対座標(Xpre ,Ypre )に
対して、上記押下の認識された各ボタン(14d〜14
g)毎に当該ボタンに対応するオフセット座標値を用い
て以下のような演算を施す。
【0119】 X=Xpre+Xoffset; …… (20) Y=Ypre+Yoffset; …… (21) ここで生成されたX,Yは、上位処理系に引き渡され、
カーソル表示制御等に使用される。なお、Xoffset,Y
offsetの初期値は0である。また、この例においては、
上記X、Xpre、Y、Ypreについては小数を扱えないも
のとする。
【0120】以下、スタイラスペン1の十字ボタン操作
に関する絶対/相対座標切り替え制御について具体例を
挙げながら詳しく説明する。今、本発明装置の表示画面
50上に図23に示す如くのX,Y座標系を想定し、こ
のX,Y座標系において、スタイラスペン1が位置A
(X0,Y0)にあったものとする。ここで示される座標
系は入力面のものである。この状態において、Xoffse
t,Yoffsetは初期値のまま「0」であるので、上記位
置Aの座標値はそのまま上位の処理系に渡される。
【0121】上位の処理系において、ローカル演算部7
5のCPU751から入力された上記座標値に基づき上
入力面に対するスタイラスペン1の指示位置の入力処理
を行った結果、カーソルが同図の位置B(XN,YN)に
表示されたものとする。この表示結果は、上述した理由
から入力ずれが発生し、この入力ずれに伴って表示位置
ずれを生じた結果であって、本来であれば、カーソルは
位置A(X0,Y0)に表示されなければならない。
【0122】この場合、スタイラスペン1の実際の位置
と指示位置とが一致していない状態であることから、キ
ャリブレーションを行う必要がある。この場合における
キャリブレーションにおいては、最初に、例えば、X軸
方向の補正を行う。この補正に際し、操作者は当該X軸
方向へのカーソル移動方向を持つスタイラスペン1の第
6ボタン14fを押下する。
【0123】操作者がスタイラスペン1の第6ボタン1
4fを押下した場合、この第6ボタン14fの押下を示
す情報が受信タイミング制御部70からローカル演算部
75に送られ、ローカル演算部75は上記受信情報に基
づき第6ボタン14fの押下を認識すると、上記位置A
の座標値(X0,Y0)に対して当該特定操作(第6ボタ
ン14fの押下)に対応する下記の演算〔上記式(1
8)を適用〕を行い、相対座標値(XN-1,YN)を求め
る。
【0124】Xoffset=Xoffset−1; XN-1=X0+Xoffset; YN=YN; この時、Xoffsetは「-1」であるので、XN-1=XN−
1;である。
【0125】この結果、図23に示すカーソルの表示位
置は、第6ボタン押下前の位置Bにおける座標(XN,
YN)から第6ボタン押下後には(XN-1,YN)の位置
に移動する。つまり、この場合における演算「XN-1=
XN−1;YN=YN;」の性質上、カーソルはX軸の負の
方向に向かって値「1」だけ移動したことになる。
【0126】引き続き、操作者は、第6ボタン14fを
押下する。この第6ボタン14fの押下に伴って、上述
と同様、 Xoffset=Xoffset−1; XN-2=XN-1+Xoffset; YN=YN; なる演算が実施され、該演算結果に基づく入力処理によ
って、カーソルは図24に示す如く、画面に向かって左
側方向、すなわちX軸の負の方向に向かって値「1」だ
け更に移動する。従って、その後も、上記第6ボタン1
4fの押下を続けることで、例えばn回の押下完了後に
は、カーソルを、座標(XN-n,YN)の位置Cまで移動
させることができる。
【0127】ここで、位置CのX座標値(XN-n)が、
スタイラスペン1が実際に置かれた位置Aの座標(X0,
Y0)のX座標値(X0)に一致した時に上述したキャリ
ブレーションに係わるX軸方向の補正が完了したものと
言える。
【0128】そこで、操作者は、カーソルの表示位置C
のX座標値(XN-n)が、スタイラスペン1が実際に置
かれた位置Aの座標(X0,Y0)のX座標値(X0)に一
致する位置まで移動完了した時、キャリブレーションに
係わるX軸方向の補正が完了したと判断してスタイラス
ペン1の第6ボタン14fの押下を取り止めると共に、
引き続き、Y軸方向の補正操作へと移る。
【0129】このY軸方向の補正に際し、操作者は、ス
タイラスペン1における上記Y軸方向へのカーソル移動
に対応する第7ボタン14gを押下する。操作者がスタ
イラスペン1の第7ボタン14gを押下した場合、この
第7ボタン14gの押下を示す情報が受信タイミング制
御部70からローカル演算部75に送られ、ローカル演
算部75は上記受信情報に基づき第7ボタン14gの押
下を認識すると、上記キャリブレーションに係わるX軸
方向の補正位置Cの座標値(XN-n,YN)、すなわち
(X0,YN)に対して当該特定操作(第7ボタン14g
の押下)に対応する下記の演算〔上記式(19)を適
用〕を行い、相対座標値(X0,YN-1)を求める。
【0130】Yoffset=Yoffset+1; X0=X0; YN-1=YN+Yoffset; この時、Yoffsetは「+1」であるので、YN-1=YN+
1;である。
【0131】この結果、カーソルの表示位置は、第7ボ
タン押下前の位置Cにおける座標(X0,YN)から第7
ボタン押下後には(X0,YN-1)の位置に移動する。つ
まり、この場合における演算「YN-1=YN+1;X0=X
0;」の性質上、カーソルはY軸の正の方向に向かって値
「1」だけ移動したことになる。
【0132】引き続き、操作者は、第7ボタン14gを
押下する。この第7ボタン14gの押下に伴って、上述
と同様、 Yoffset=Yoffset+1; X0=X0; YN-2=YN-1+Yoffset; なる演算が実施され、該演算結果に基づく入力処理によ
って、カーソルは図25に示す如く、画面に向かって下
側方向、すなわちY軸の正の方向に向かって値「1」だ
け更に移動する。従って、その後も、上記第7ボタン1
4gの押下を続けることで、例えばn回の押下完了後に
は、カーソルを、座標(X0,YN-n)の位置まで移動さ
せることができる。
【0133】ここで、座標(X0,YN-n)のY座標値
(YN-n)が、スタイラスペン1が実際に置かれた位置
Aの座標(X0,Y0)のY座標値(Y0)に一致した時に
上述したキャリブレーションに係わるY軸方向の補正が
完了したものと言える。
【0134】そこで、操作者は、カーソルの表示位置座
標(X0,YN-n)のY座標値(YN-n)が、スタイラス
ペン1が実際に置かれた位置Aの座標(X0,Y0)のY
座標値(Y0)に一致する位置まで移動完了した時、キ
ャリブレーションに係わるY軸方向の補正が完了したと
判断してスタイラスペン1の第7ボタン14gの押下を
取り止める。
【0135】この時、先の第6ボタン14fの押下に基
づくカーソルの相対移動により既にX軸方向の補正〔X
座標値=(X0)〕が終了しているため、今回の第7ボ
タン14gの押下に基づくY軸方向の補正終了に伴い
〔Y座標値=(Y0)〕となることにより、上記カーソ
ルの表示位置座標(X0,YN-n)は座標値(X0,Y0)
を持つことになる。この座標値は、実際にスタイラスペ
ン1が指し示している位置Aの座標値に一致するもので
あり、この結果、X軸,Y軸双方のキャリブレーション
が完了する。
【0136】なお、図25では、図を見易くするために
スタイラスペン1の図示を省略しているが、このスタイ
ラスペン1は実際には座標(X0,Y0)の位置に存在す
る。これ以後、スタイラスペン1をどの位置に移動させ
てもこの移動に対応した(一致した)位置にカーソルの
表示がなされることになる。
【0137】上述の如く、本発明では、Xoffset及びY
offsetの値を変化させるための特定操作として、スタイ
ラスペン1でのボタン14の押下操作を例に挙げたが、
こうした特定操作は、スタイラスペン1のボタン操作に
限定する必要はない。要は、操作者が行う位置補正要求
を認識して上記Xoffset及びYoffsetの値を変化させ、
その変化分を位置検出機構で算出されたスタイラスペン
1の位置座標値に対してオフセットとして加算/減算を
行い、入力座標値を生成し得るものであれば良く、上記
ボタン操作以外に、以下の様な方法によっても実現でき
る。
【0138】・ローカル演算部75に複数のプッシュボ
タンを設け、このプッシュボタンの操作内容を読み取る
方法。
【0139】・PCのソフトウェア上に設けられたソフ
トウェアボタンの選択状況を読み取る方法・PCのソフ
トウェア上に設けられた予め表示位置が分かっているド
ット表示の指示操作を認識する方法・PCに使用されて
いるキーボードやマウスから所定の入力を行う方法上述
した方法のうち、ローカル演算部75に設けたプッシュ
ボタンの操作内容を読み取る方法においては、ローカル
演算部75(図10参照)でプッシュボタンの値を例え
ばI/O空間等から読み込める機構を付加する必要があ
る。また、PCのソフトウェア上に設けられたソフトウ
ェアボタンまたは予め表示位置が分かっているドット表
示、若しくはキーボード等から入力する方法を用いる場
合は、図10の構成において、これら各方法での入力を
受け付けたPCから通信部33を経由してローカル演算
部75にその旨をシリアル通信するような機構を付加す
る必要がある。
【0140】なお、上記実施の形態では、図3における
表示部50としてリアプロジェクタディスプレイを想定
しているが、本発明のペン入力装置はこのリアプロジェ
クタディスプレイを用いた情報処理装置に限定されず、
例えば、図26に示すような表示部50としてフロント
プロジェクタディスプレイを用いた情報処理装置にも同
様に適用することができる。
【0141】また、本発明のペン入力装置は、上記大型
のディスプレイを用いた情報処理装置以外にも、図27
に示すようなCRTディスプレイを有するディスクトッ
プ型のコンピュータまたは図28に示すようなLCDデ
ィスプレイを有するノート型のコンピュータを用いた情
報処理装置にも同様に適用することができる。
【0142】また、本発明は、超音波方式の装置に特に
好適ではあるが、基本的にはこれ以外の例えば感圧/静
電/電磁誘導/赤外線等の各方式のペン入力装置につい
ても実施でき、また、シングルペンを用いる場合のみな
らず、マルチペンの入力装置にも適用可能である。
【0143】更に、上記実施の形態では、超音波受信部
30と演算処理部40(PC)との通信インタフェース
としてRS232Cインタフェースを用いているが、本
発明においては、当該RS232Cインタフェース以外
の通信インタフェースについても同様に適用できること
はいうまでもない。
【0144】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
操作者による特定操作が認識された場合、この時の入力
ペンの絶対座標に対して上記特定操作に対応する演算処
理を施すことにより上記入力ペンの絶対座標を相対座標
として入力し、上記入力ペンの位置を固定したままに表
示カーソル等で明示される指示位置を当該入力ペンの実
際の位置まで相対移動させ得る機能を付加したため、例
えば装置導入時に重たいキャリブレーションが完了して
いるという前提の下で、位置検出機構の位置ずれに起因
する入力位置ずれを補正する際に、入力ペンのボタン押
下等による特定操作により上記指示位置を入力ペンの実
際の位置まで相対移動させるだけで簡単かつ短時間にキ
ャリブレーションが実施できる。
【0145】特に、超音波方式のペン入力装置では、装
置導入時の重たいキャリブレーション完了後、超音波受
信手段を適宜に設置変更して個人用あるいは不特定多数
用の入力装置として汎用的に用い得るという特質を有す
るが、上述した極めて簡易なキャリブレーション機能を
備えたことで、こうした超音波方式のペン入力装置の最
大の利点である汎用性を損なうことなく、高精度の入力
処理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるペン入力装置を適用した情報処
理装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した情報処理装置全体の概略構成を示
す図。
【図3】図1に示した情報処理装置の外観構造の一例を
示す斜視図。
【図4】図1に示した表示部の表示画面に対して所定の
位置関係で配設された2個の超音波受信素子とスタイラ
スペンによる指示位置の関係を示す図。
【図5】図1に示した超音波受信部の受信処理部の機能
構成を示すブロック図。
【図6】図5に示したスタイラスペンにおける基本クロ
ックと超音波送出タイミングとの関係を示すフローチャ
ート。
【図7】図5に示したカウンタによる超音波受信時間の
検出動作を示すタイミングチャート。
【図8】図1に示した情報処理装置で用いるスタイラス
ペンの外観構成図。
【図9】図1に示した情報処理装置で用いるスタイラス
ペンの内部回路構成を示すブロック図。
【図10】図1に示した超音波受信部及び演算処理部の
機能構成を示すブロック図。
【図11】図1に示した情報処理装置で用いるスタイラ
スペンの超音波送信タイミング制御を示すタイミングチ
ャート。
【図12】図10に示した受信タイミング制御部からの
出力データのデータ形式の一例を示す図。
【図13】図1に示した情報処理装置における3次元座
標検出時の超音波受信器の実装形態と3次元座標軸との
関係を示す図。
【図14】図13に示した3次元座標系における超音波
伝播の様子を示す図。
【図15】図13に示した3次元座標系におけるスタイ
ラスペン位置座標の検出原理を説明するための図。
【図16】図1に示した情報処理装置におけるキャリブ
レーションの開始段階のドット表示例を示す図。
【図17】図1に示した情報処理装置におけるキャリブ
レーションの次段階のドット表示及びスタイラスペン位
置の例を示す図。
【図18】図1に示した情報処理装置におけるキャリブ
レーションの次々段階のドット表示及びスタイラスペン
位置の例を示す図。
【図19】図1に示した情報処理装置におけるキャリブ
レーション完了後のドット表示の一例を示す図。
【図20】図1に示した情報処理装置におけるキャリブ
レーション実行位置のドット構成の一例を示す図。
【図21】図1に示した情報処理装置に適用されるペン
入力装置による超音波入力装置の応用例を示す図。
【図22】図1に示した情報処理装置におけるローカル
演算部の概略構成図。
【図23】図1に示した情報処理装置におけるスタイラ
スペンの特定操作に基づくキャリブレーション開始前の
状態を示す図。
【図24】図1に示した情報処理装置におけるスタイラ
スペンの特定操作に基づくX軸方向のキャリブレーショ
ン実行状態を示す図。
【図25】図1に示した情報処理装置におけるスタイラ
スペンの特定操作に基づくY軸方向のキャリブレーショ
ン実行状態を示す図。
【図26】表示部としてフロントプロジェクタディスプ
レイを用いた本発明の他の実施の形態を示す図。
【図27】表示部としてCRTディスプレイを有するデ
ィスクトップ型コンピュータを用いた本発明の更に他の
実施の形態を示す図。
【図28】表示部としてLCDディスプレイを有するノ
ート型コンピュータを用いた本発明の別の実施の形態を
示す図。
【符号の説明】
1…スタイラスペン、11…送信タイミング制御部、1
2…シーケンサ、13…オシレータ、14…ボタン、1
4a…第1ボタン、14b…第2ボタン、14c…第3
ボタン、14d…第4ボタン、14e…第5ボタン、1
4f…第6ボタン、14g…第7ボタン、15…アンプ
部、16…オペアンプ、17…送出部、18…超音波送
出器、30…超音波受信部、31…受信センサ部、31
a,31b,31c…超音波受信素子、32…受信処理
部、60…アンプ部、61…オペアンプ、70…受信タ
イミング制御部、71…カウンタ、レジスタ、72…シ
ーケンサ、73…オシレータ、75…ローカル演算部、
751…CPU、752…メモリ、321,322…カ
ウンタ、324…基本クロック生成回路、325,32
6…受信時間保持回路、33…通信部、331…SCC
(シリアル通信制御部)、332…232Cドライバ、
34…ペンホルダ、35…同期回路、40…演算処理
部、41…通信部、42…演算部、43…判別部、44
…表示制御部、50…表示部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ペンの2次元若しくは3次元の絶対
    座標を検出し、該絶対座標に基づき所定の入力領域にお
    ける前記入力ペンの指示位置の入力処理を行うペン入力
    装置において、 操作者が行う特定操作を認識する認識手段と、 前記特定操作が認識された場合、この時に検出された前
    記入力ペンの絶対座標に対し、予め前記特定操作に対応
    付けられている演算式を用いて相対的な座標変換処理を
    施す座標変換手段と、 前記座標変換手段による演算結果を前記入力ペンの位置
    補正座標として保持する位置補正座標保持手段と、 検出された前記入力ペンの絶対座標と前記位置補正座標
    とに基づき前記入力ペンの入力座標を算出し、該入力座
    標を用いて前記入力処理を行う入力処理手段とを具備す
    ることを特徴とするペン入力装置。
  2. 【請求項2】 前記特定操作を、該特定操作に対応して
    前記入力ペンに実装されたボタンのボタン操作としたこ
    とを特徴とする請求項1記載のペン入力装置。
  3. 【請求項3】 前記入力ペンに実装された超音波送信手
    段から超音波を送出した時間と、超音波受信手段により
    前記超音波を受信した時間とから前記超音波送信手段と
    前記超音波受信手段間の距離を計測すると共に、前記計
    測距離を用いて前記入力ペンの絶対座標を算出する超音
    波方式の位置検出機構を用いたことを特徴とする請求項
    1または2記載のペン入力装置。
  4. 【請求項4】 入力ペンの2次元若しくは3次元の絶対
    座標を検出し、該絶対座標に基づき所定の入力領域にお
    ける前記入力ペンの指示位置の入力処理を行うペン入力
    装置において、 操作者が行う特定操作を認識する認識手段と、 前記特定操作が認識された場合、この時に検出された前
    記入力ペンの絶対座標と該特定操作に予め対応付けられ
    ている変数とに基づき前記絶対座標に対する相対移動座
    標を求める相対移動座標算出手段と、 前記特定操作終了後、前記相対移動座標を前記入力ペン
    の位置補正座標として特定する特定手段とを具備し、前
    記特定操作により前記入力ペンの指示位置を相対移動さ
    せることにより当該指示位置ずれを補正することを特徴
    とするペン入力装置におけるキャリブレーション方法。
  5. 【請求項5】 前記特定操作を、該特定操作に対応して
    前記入力ペンに実装されたボタンのボタン操作としたこ
    とを特徴とする請求項4記載のペン入力装置におけるキ
    ャリブレーション方法。
  6. 【請求項6】 前記入力ペンに実装された超音波送信手
    段から超音波を送出した時間と、超音波受信手段により
    前記超音波を受信した時間とから前記超音波送信手段と
    前記超音波受信手段間の距離を計測すると共に、前記計
    測距離を用いて前記入力ペンの絶対座標を算出する超音
    波方式の位置検出機構を用いたことを特徴とする請求項
    4または5記載のペン入力装置におけるキャリブレーシ
    ョン方法。
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