JPH10151125A - Dnaによる人物識別システム - Google Patents
Dnaによる人物識別システムInfo
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- JPH10151125A JPH10151125A JP8327773A JP32777396A JPH10151125A JP H10151125 A JPH10151125 A JP H10151125A JP 8327773 A JP8327773 A JP 8327773A JP 32777396 A JP32777396 A JP 32777396A JP H10151125 A JPH10151125 A JP H10151125A
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- JP
- Japan
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- dna
- data
- person
- base sequence
- card
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- Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 本人であることを確実に識別することが可能
であるとともに他人に真似をされて悪用される恐れのな
い人物識別システムを提供すること。 【解決手段】 被識別者が持参したカード等の記録体に
記録されたDNAにおける塩基配列のデータと、予めデ
ータベースに登録された本人のDNAにおける塩基配列
のデータとを比較することにより被識別者が本人である
か否かを識別することを特徴とするDNAによる人物識
別システムとした。
であるとともに他人に真似をされて悪用される恐れのな
い人物識別システムを提供すること。 【解決手段】 被識別者が持参したカード等の記録体に
記録されたDNAにおける塩基配列のデータと、予めデ
ータベースに登録された本人のDNAにおける塩基配列
のデータとを比較することにより被識別者が本人である
か否かを識別することを特徴とするDNAによる人物識
別システムとした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はDNAによる人物識
別システムに係り、その目的は本人であることを確実に
識別することが可能であるとともに他人に真似をされて
悪用される恐れのない人物識別システムを提供すること
にある。
別システムに係り、その目的は本人であることを確実に
識別することが可能であるとともに他人に真似をされて
悪用される恐れのない人物識別システムを提供すること
にある。
【0002】
【従来の技術】近年、カード社会が実現してきており、
今後もカード社会はますます成長していくことになると
思われる。ところが、カード社会の成長に伴って、ます
ますカードに関わる大型の犯罪も増えてきている。この
ようなカード犯罪を引き起こす大きな原因の一つとし
て、個人の識別方法に問題があることが挙げられる。古
くからある人物識別法としては、目視法、印鑑法、サイ
ン法、暗号法、指紋法、などがあるが、これら既存の人
物識別法にはそれぞれ問題点が存在していた。
今後もカード社会はますます成長していくことになると
思われる。ところが、カード社会の成長に伴って、ます
ますカードに関わる大型の犯罪も増えてきている。この
ようなカード犯罪を引き起こす大きな原因の一つとし
て、個人の識別方法に問題があることが挙げられる。古
くからある人物識別法としては、目視法、印鑑法、サイ
ン法、暗号法、指紋法、などがあるが、これら既存の人
物識別法にはそれぞれ問題点が存在していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような既存の
人物識別法の問題点としては、先ず目視法では知己以外
の人物が判別できないこと、印鑑法では他人が同一の印
鑑を作成することもでき本人かどうかを確実に確認する
ことができないこと、サイン法ではサインを迅速に認識
する手段がなく他人が真似をすることも可能であるこ
と、暗号法では暗号が漏れてしまうと意味がなくなると
いうことと同じ暗号を使用する人がいる可能性があるこ
とが挙げられる。また、指紋法は個人を確実に識別でき
るため一見便利であるが、指は常に表に出ているため指
紋を採取して悪用することも可能であり、また指紋には
犯罪捜査の悪いイメージがあり、最善の方法とは言い難
い。このように、従来使用されてきた個人識別方法はそ
れぞれ問題点を抱えており最善といえる個人識別方法は
存在していなかった。本発明者は、このような実情に鑑
みて、本人であることを確実に識別することが可能であ
るとともに他人に真似をされて悪用される恐れのない人
物識別システムについて鋭意研究した結果、DNAの遺
伝子における塩基配列が個人によって異なることから、
この遺伝子の塩基配列の記録体とそれを検知解析する手
段を使用した人物識別システムを創出するに至った。
人物識別法の問題点としては、先ず目視法では知己以外
の人物が判別できないこと、印鑑法では他人が同一の印
鑑を作成することもでき本人かどうかを確実に確認する
ことができないこと、サイン法ではサインを迅速に認識
する手段がなく他人が真似をすることも可能であるこ
と、暗号法では暗号が漏れてしまうと意味がなくなると
いうことと同じ暗号を使用する人がいる可能性があるこ
とが挙げられる。また、指紋法は個人を確実に識別でき
るため一見便利であるが、指は常に表に出ているため指
紋を採取して悪用することも可能であり、また指紋には
犯罪捜査の悪いイメージがあり、最善の方法とは言い難
い。このように、従来使用されてきた個人識別方法はそ
れぞれ問題点を抱えており最善といえる個人識別方法は
存在していなかった。本発明者は、このような実情に鑑
みて、本人であることを確実に識別することが可能であ
るとともに他人に真似をされて悪用される恐れのない人
物識別システムについて鋭意研究した結果、DNAの遺
伝子における塩基配列が個人によって異なることから、
この遺伝子の塩基配列の記録体とそれを検知解析する手
段を使用した人物識別システムを創出するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するための手段として、請求項1に係る発明では、被識
別者が持参したカード等の記録体に記録されたDNAに
おける塩基配列のデータと、予めデータベースに登録さ
れた本人のDNAにおける塩基配列のデータとを比較す
ることにより被識別者が本人であるか否かを識別するこ
とを特徴とするDNAによる人物識別システムとした。
また請求項2に係る発明では、被識別者が持参したカー
ド等の記録体に記録されたDNAのエクソン部分におけ
る塩基配列のデータと、予めデータベースに登録された
本人のDNAのエクソン部分における塩基配列のデータ
とを比較することにより被識別者が本人であるか否かを
識別することを特徴とするDNAによる人物識別システ
ムとした。請求項3に係る発明では、被識別者が持参し
たカード等の記録体に記録されたDNAのイントロン部
分における塩基配列のデータと、予めデータベースに登
録された本人のDNAのイントロン部分における塩基配
列のデータとを比較することにより被識別者が本人であ
るか否かを識別することを特徴とするDNAによる人物
識別システムとした。請求項4に係る発明では、被識別
者が持参したカード等の記録体に記録されたDNA断片
を電気泳動したときに得られるパターンのデータと、予
めデータベースに登録された本人のDNA断片を電気泳
動したときに得られるパターンのデータとを比較するこ
とにより被識別者が本人であるか否かを識別することを
特徴とするDNAによる人物識別システムとした。
するための手段として、請求項1に係る発明では、被識
別者が持参したカード等の記録体に記録されたDNAに
おける塩基配列のデータと、予めデータベースに登録さ
れた本人のDNAにおける塩基配列のデータとを比較す
ることにより被識別者が本人であるか否かを識別するこ
とを特徴とするDNAによる人物識別システムとした。
また請求項2に係る発明では、被識別者が持参したカー
ド等の記録体に記録されたDNAのエクソン部分におけ
る塩基配列のデータと、予めデータベースに登録された
本人のDNAのエクソン部分における塩基配列のデータ
とを比較することにより被識別者が本人であるか否かを
識別することを特徴とするDNAによる人物識別システ
ムとした。請求項3に係る発明では、被識別者が持参し
たカード等の記録体に記録されたDNAのイントロン部
分における塩基配列のデータと、予めデータベースに登
録された本人のDNAのイントロン部分における塩基配
列のデータとを比較することにより被識別者が本人であ
るか否かを識別することを特徴とするDNAによる人物
識別システムとした。請求項4に係る発明では、被識別
者が持参したカード等の記録体に記録されたDNA断片
を電気泳動したときに得られるパターンのデータと、予
めデータベースに登録された本人のDNA断片を電気泳
動したときに得られるパターンのデータとを比較するこ
とにより被識別者が本人であるか否かを識別することを
特徴とするDNAによる人物識別システムとした。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るDNAによる
人物識別システムの好適な実施形態について図面を参照
しつつ説明する。図1は本発明に係るDNAによる人物
識別システムの一例を示す概略構成図である。図示例の
システムは、被識別者が持参するDNAにおける塩基配
列等を記録したカード(1)等からなる記録体と、カー
ド(1)に記録されたデータを読み取る読み取り手段
(2)と、予め本人のDNAにおける塩基配列等のデー
タが記録されているデータベース(3)と、データベー
ス(3)に記憶されたデータを読み取るとともにカード
(1)から読み取られたデータとの比較照合を行うCP
Uを備えたデータ処理装置(4)と、氏名、暗証番号等
の個人識別データを入力するための入力部(5)とから
構成されている。
人物識別システムの好適な実施形態について図面を参照
しつつ説明する。図1は本発明に係るDNAによる人物
識別システムの一例を示す概略構成図である。図示例の
システムは、被識別者が持参するDNAにおける塩基配
列等を記録したカード(1)等からなる記録体と、カー
ド(1)に記録されたデータを読み取る読み取り手段
(2)と、予め本人のDNAにおける塩基配列等のデー
タが記録されているデータベース(3)と、データベー
ス(3)に記憶されたデータを読み取るとともにカード
(1)から読み取られたデータとの比較照合を行うCP
Uを備えたデータ処理装置(4)と、氏名、暗証番号等
の個人識別データを入力するための入力部(5)とから
構成されている。
【0006】次に、本発明に係るDNAによる人物識別
システムの使用方法について、図2に示すフローチャー
ト図に基づいて説明する。本発明に係るDNAによる人
物識別システムは、銀行や郵便局のCD(現金自動支払
い機)やATM(現金自動預け払い機)、消費者金融会
社の自動契約機、或いは家やロッカールーム等の電子キ
ーなど、使用者の個人識別を必要とする装置に好適に適
用され、これらの装置の使用者は先ず、キーボード等か
らなる入力部(5)から氏名や暗証番号等の個人識別デ
ータを入力する。すると入力された氏名や暗証番号等の
個人識別データは、予めデータベース(3)に登録され
ている個人識別データと比較照合され、使用者が登録さ
れている本人であるか否かの判断が行われる。入力デー
タが登録データと一致した場合、使用者は持参したDN
Aにおける塩基配列等を記録したカード(1)を装置に
挿入する。カード(1)が挿入されると、カード(1)
に記録されたデータは、スキャナー等の任意の読み取り
手段(2)により読み取られ、予めデータベース(3)
に記憶された本人のDNAにおける塩基配列等のデータ
とデータ処理装置(4)により比較照合されて、使用者
が登録された本人であるか否かの判断が行われる。挿入
されたカード(1)に記録されたデータと予め記憶され
た本人のデータとが一致した場合、本人であると判断さ
れて、預金の引出し等の諸手続を行うことが可能とな
る。
システムの使用方法について、図2に示すフローチャー
ト図に基づいて説明する。本発明に係るDNAによる人
物識別システムは、銀行や郵便局のCD(現金自動支払
い機)やATM(現金自動預け払い機)、消費者金融会
社の自動契約機、或いは家やロッカールーム等の電子キ
ーなど、使用者の個人識別を必要とする装置に好適に適
用され、これらの装置の使用者は先ず、キーボード等か
らなる入力部(5)から氏名や暗証番号等の個人識別デ
ータを入力する。すると入力された氏名や暗証番号等の
個人識別データは、予めデータベース(3)に登録され
ている個人識別データと比較照合され、使用者が登録さ
れている本人であるか否かの判断が行われる。入力デー
タが登録データと一致した場合、使用者は持参したDN
Aにおける塩基配列等を記録したカード(1)を装置に
挿入する。カード(1)が挿入されると、カード(1)
に記録されたデータは、スキャナー等の任意の読み取り
手段(2)により読み取られ、予めデータベース(3)
に記憶された本人のDNAにおける塩基配列等のデータ
とデータ処理装置(4)により比較照合されて、使用者
が登録された本人であるか否かの判断が行われる。挿入
されたカード(1)に記録されたデータと予め記憶され
た本人のデータとが一致した場合、本人であると判断さ
れて、預金の引出し等の諸手続を行うことが可能とな
る。
【0007】本発明におけるカード(1)等の記録体と
しては、磁気カード、ICカード等適宜任意の記録体を
使用することができる。なお後述するがDNA断片の電
気泳動パターンそのものを識別データとして使用する場
合には、単なるプラスチックカード等に電気泳動のパタ
ーンの写真をカードの表又は裏面に印刷するか貼り付け
たものとしてもよい。また、読み取り手段(2)につい
ては、記録体の種類に応じて設定すればよく磁気カード
を使用する場合には磁気情報の読み取り手段を、ICカ
ードを利用する場合には電子情報の読み取り手段を、D
NA断片の電気泳動パターンそのものを識別データとし
て使用する場合にはスキャナー等のパターン読み取り手
段を使用すればよい。
しては、磁気カード、ICカード等適宜任意の記録体を
使用することができる。なお後述するがDNA断片の電
気泳動パターンそのものを識別データとして使用する場
合には、単なるプラスチックカード等に電気泳動のパタ
ーンの写真をカードの表又は裏面に印刷するか貼り付け
たものとしてもよい。また、読み取り手段(2)につい
ては、記録体の種類に応じて設定すればよく磁気カード
を使用する場合には磁気情報の読み取り手段を、ICカ
ードを利用する場合には電子情報の読み取り手段を、D
NA断片の電気泳動パターンそのものを識別データとし
て使用する場合にはスキャナー等のパターン読み取り手
段を使用すればよい。
【0008】本発明におけるカード(1)等の記録体及
びデータベース(3)に記憶されるデータとしては、D
NAにおける塩基配列、DNAのエクソン部分における
塩基配列、DNAのイントロン部分における塩基配列、
DNA断片を電気泳動したときに得られるパターンのい
ずれかが採用される。尚、エクソン、イントロンとは、
哺乳動物の遺伝情報の発現は核内でDNAの遺伝情報が
メッセンジャーRNA前駆体に写しとられることにより
始まるがこのメッセンジャーRNA前駆体からメッセン
ジャーRNAがつくられるときに切り取られて暗号とな
らない構造遺伝子の部分がイントロンであり、削りとら
れたあとに継ぎ合わされてメッセンジャーRNAをつく
る部分がエクソンである。
びデータベース(3)に記憶されるデータとしては、D
NAにおける塩基配列、DNAのエクソン部分における
塩基配列、DNAのイントロン部分における塩基配列、
DNA断片を電気泳動したときに得られるパターンのい
ずれかが採用される。尚、エクソン、イントロンとは、
哺乳動物の遺伝情報の発現は核内でDNAの遺伝情報が
メッセンジャーRNA前駆体に写しとられることにより
始まるがこのメッセンジャーRNA前駆体からメッセン
ジャーRNAがつくられるときに切り取られて暗号とな
らない構造遺伝子の部分がイントロンであり、削りとら
れたあとに継ぎ合わされてメッセンジャーRNAをつく
る部分がエクソンである。
【0009】データとして使用されるDNAは血液、細
胞、毛髪、体液などから抽出される。抽出方法は特に限
定されず従来より公知の方法をいずれも好適に使用する
ことができるが、一例として以下に示すような抽出方法
を例示することができる。
胞、毛髪、体液などから抽出される。抽出方法は特に限
定されず従来より公知の方法をいずれも好適に使用する
ことができるが、一例として以下に示すような抽出方法
を例示することができる。
【0010】まず、第一段階として細胞の溶解とDNA
の可溶化を行う。細胞の溶解には、イオン性または非イ
オン性の界面活性剤を使用する。なお、細胞の溶解はヌ
クレアーゼなどによる抽出DNAの分解を促進すること
になるので、細胞溶解液にはエチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム水塩(EDTA)などのキレート剤を用いて
ヌクレアーゼの活性抑制を同時に行う必要がある。次
に、DNAはDNA−タンパク質複合体の形で存在する
ので、非特異的タンパク質分解酵素であるプロテイナー
ゼK等を使用してDNAをタンパクから遊離させる。
の可溶化を行う。細胞の溶解には、イオン性または非イ
オン性の界面活性剤を使用する。なお、細胞の溶解はヌ
クレアーゼなどによる抽出DNAの分解を促進すること
になるので、細胞溶解液にはエチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム水塩(EDTA)などのキレート剤を用いて
ヌクレアーゼの活性抑制を同時に行う必要がある。次
に、DNAはDNA−タンパク質複合体の形で存在する
ので、非特異的タンパク質分解酵素であるプロテイナー
ゼK等を使用してDNAをタンパクから遊離させる。
【0011】第二段階としてフェノール処理を行う。フ
ェノール処理は試料由来のタンパク質および精製過程で
試料に添加した酵素類(プロテイナーゼK、リボヌクレ
アーゼなど)を変性、分離除去する目的で行われる。こ
こである程度のヌクレアーゼおよびその他のタンパク質
は変性され、フェノール層と水層の中間層に沈殿として
現れる。この処理により、DNAは上層すなわち水層に
抽出され、タンパク質成分からの分離が成し遂げられ
る。なおフェノールの他にもクロロホルム、フェノール
クロロホルム、クロロホルムとその他の有機溶媒の混合
物も使用することができる。
ェノール処理は試料由来のタンパク質および精製過程で
試料に添加した酵素類(プロテイナーゼK、リボヌクレ
アーゼなど)を変性、分離除去する目的で行われる。こ
こである程度のヌクレアーゼおよびその他のタンパク質
は変性され、フェノール層と水層の中間層に沈殿として
現れる。この処理により、DNAは上層すなわち水層に
抽出され、タンパク質成分からの分離が成し遂げられ
る。なおフェノールの他にもクロロホルム、フェノール
クロロホルム、クロロホルムとその他の有機溶媒の混合
物も使用することができる。
【0012】第三段階としてはアルコール沈殿を行う。
アルコール沈殿は溶液中のDNAの濃縮およびフェノー
ル、塩、ヌクレオチドなどの混合物の除去の目的で行わ
れ、0.1−0.5Mの1価の陽イオンの混在下で行わ
れる。アルコールとしては2倍容積のエタノールもしく
は0.6倍容積のイソプロパノール(2−プロパノー
ル)が使用される。この操作によりDNAは白色沈殿と
して回収される。
アルコール沈殿は溶液中のDNAの濃縮およびフェノー
ル、塩、ヌクレオチドなどの混合物の除去の目的で行わ
れ、0.1−0.5Mの1価の陽イオンの混在下で行わ
れる。アルコールとしては2倍容積のエタノールもしく
は0.6倍容積のイソプロパノール(2−プロパノー
ル)が使用される。この操作によりDNAは白色沈殿と
して回収される。
【0013】上記したような方法で抽出されたDNAは
個人識別のためのデータとして使用されるが、本発明に
係る識別システムにおいては、前述した如く、DNA断
片を電気泳動したときに得られるパターン、DNAにお
ける塩基配列、DNAのエクソン部分における塩基配
列、DNAのイントロン部分における塩基配列のいずれ
かが個人識別用のデータとして採用される。
個人識別のためのデータとして使用されるが、本発明に
係る識別システムにおいては、前述した如く、DNA断
片を電気泳動したときに得られるパターン、DNAにお
ける塩基配列、DNAのエクソン部分における塩基配
列、DNAのイントロン部分における塩基配列のいずれ
かが個人識別用のデータとして採用される。
【0014】先ず、DNA断片を電気泳動したときに得
られるパターンを個人識別用のデータとして使用する場
合について説明する。電気泳動とは、タンパク質・アミ
ノ酸など荷電を有する物質を適当なpH、緩衝液および
支持体を選んで電場をかけると、それらの物質のもつ荷
電の差に基づいて固有の移動差で陰極又は陽極へ向かっ
て移動する現象であり、本発明においては、DNAを制
限酵素により切断して断片化し、断片をポリアクリルア
ミドゲル等の支持体において電気泳動させる。すると、
負の電荷をもつDNA断片は陽極に向かってゲルの中を
移動する。このとき大きい分子ほどゲルの穴に引っ掛か
って遅く移動するため、鎖長の長い断片と鎖長の短い断
片とが区分されてバンドのパターンが形成される。
られるパターンを個人識別用のデータとして使用する場
合について説明する。電気泳動とは、タンパク質・アミ
ノ酸など荷電を有する物質を適当なpH、緩衝液および
支持体を選んで電場をかけると、それらの物質のもつ荷
電の差に基づいて固有の移動差で陰極又は陽極へ向かっ
て移動する現象であり、本発明においては、DNAを制
限酵素により切断して断片化し、断片をポリアクリルア
ミドゲル等の支持体において電気泳動させる。すると、
負の電荷をもつDNA断片は陽極に向かってゲルの中を
移動する。このとき大きい分子ほどゲルの穴に引っ掛か
って遅く移動するため、鎖長の長い断片と鎖長の短い断
片とが区分されてバンドのパターンが形成される。
【0015】多くの制限酵素はDNA分子内のパリンド
ロームという特定のヌクレオチド配列を認識して、その
配列内か或いはそれから数ヌクレオチド離れた場所でD
NA鎖を切断する。DNAの塩基配列は個人特有のもの
であるので、DNAを制限酵素により切断する際に切断
される部位は個人により異なることとなり、得られるD
NA断片の長さは個人により異なったものとなる。その
ため、電気泳動によって得られるバンドのパターンも個
人によって異なったものとなり、このパターンの比較に
より人物識別が可能となる。図3は、DNA断片を電気
泳動したときに得られるパターンの模式図であり、例え
ば(a)が本人のパターンであるとすると、本人以外の
人物のパターンは(b)乃至(c)に示されるように異
なったものとなる。
ロームという特定のヌクレオチド配列を認識して、その
配列内か或いはそれから数ヌクレオチド離れた場所でD
NA鎖を切断する。DNAの塩基配列は個人特有のもの
であるので、DNAを制限酵素により切断する際に切断
される部位は個人により異なることとなり、得られるD
NA断片の長さは個人により異なったものとなる。その
ため、電気泳動によって得られるバンドのパターンも個
人によって異なったものとなり、このパターンの比較に
より人物識別が可能となる。図3は、DNA断片を電気
泳動したときに得られるパターンの模式図であり、例え
ば(a)が本人のパターンであるとすると、本人以外の
人物のパターンは(b)乃至(c)に示されるように異
なったものとなる。
【0016】このパターンをデータ化する手法として
は、以下の2つの手法を例示することができる。第一の
手法としては、得られた電気泳動のパターンを数値化し
てデータとする方法が挙げられる。具体的には、電気泳
動パターンから各バンド間の距離又は距離の比、或いは
開始点から各バンド迄の距離又は距離の比等を数値化し
てデータとする方法を一例として挙げることができる。
これを図4に示した電気泳動パターンの例で簡単に説明
すると、各バンド間の距離としてはa,b,c,d,
e、距離の比としてはa:b,b:c,c:d等、開始
点から各バンド迄の距離としてはA,B,C等、距離の
比としてはA:B,B:C,C:D等の数値が識別デー
タとして使用される。他の方法の例として、予め電気泳
動パターンにおいてバンドが現れやすい特定の位置を設
定しておき、この位置にバンドが現れた場合には1,現
れない場合には0としてデータを作成する方法も好適に
使用できる。具体的に図4の例で説明すると、図4にお
いては予め設定されたXA ,XB ,XC ,XD ,XE の
位置に全てバンドが現れているので、(XA,1), (XB,
1), (XC,1), (XD,1), (XE,1) というデータとな
る。そして、上記したような方法で得られた識別データ
をデータベースに登録させておくとともにカードなどの
記録体に記録させて本人に渡しておくことにより、図2
のフローチャート図に示した如く被識別者が本人である
か否かの識別が行われることとなる。
は、以下の2つの手法を例示することができる。第一の
手法としては、得られた電気泳動のパターンを数値化し
てデータとする方法が挙げられる。具体的には、電気泳
動パターンから各バンド間の距離又は距離の比、或いは
開始点から各バンド迄の距離又は距離の比等を数値化し
てデータとする方法を一例として挙げることができる。
これを図4に示した電気泳動パターンの例で簡単に説明
すると、各バンド間の距離としてはa,b,c,d,
e、距離の比としてはa:b,b:c,c:d等、開始
点から各バンド迄の距離としてはA,B,C等、距離の
比としてはA:B,B:C,C:D等の数値が識別デー
タとして使用される。他の方法の例として、予め電気泳
動パターンにおいてバンドが現れやすい特定の位置を設
定しておき、この位置にバンドが現れた場合には1,現
れない場合には0としてデータを作成する方法も好適に
使用できる。具体的に図4の例で説明すると、図4にお
いては予め設定されたXA ,XB ,XC ,XD ,XE の
位置に全てバンドが現れているので、(XA,1), (XB,
1), (XC,1), (XD,1), (XE,1) というデータとな
る。そして、上記したような方法で得られた識別データ
をデータベースに登録させておくとともにカードなどの
記録体に記録させて本人に渡しておくことにより、図2
のフローチャート図に示した如く被識別者が本人である
か否かの識別が行われることとなる。
【0017】第二の手法は、得られた電気泳動のパター
ンそのものをデータとする方法である。この場合は、電
気泳動のパターンの写真をカードの表又は裏面に印刷す
るか貼り付けて本人に渡しておき、使用の際にはスキャ
ナーを使用してパターンを読み取り、読み取られたパタ
ーンのデータを予めデータベースに登録されている本人
の電気泳動のパターンのデータと比較することにより、
被識別者が本人であるか否かの識別を行うことができ
る。
ンそのものをデータとする方法である。この場合は、電
気泳動のパターンの写真をカードの表又は裏面に印刷す
るか貼り付けて本人に渡しておき、使用の際にはスキャ
ナーを使用してパターンを読み取り、読み取られたパタ
ーンのデータを予めデータベースに登録されている本人
の電気泳動のパターンのデータと比較することにより、
被識別者が本人であるか否かの識別を行うことができ
る。
【0018】また、人物識別用のデータとしてDNAに
おける塩基配列を使用する場合は、予め本人から抽出し
たDNAの塩基配列を解析しておき、これを人物識別デ
ータとしてデータベースに登録させておくとともにカー
ドなどの記録体に記録させて本人に渡しておけばよい。
おける塩基配列を使用する場合は、予め本人から抽出し
たDNAの塩基配列を解析しておき、これを人物識別デ
ータとしてデータベースに登録させておくとともにカー
ドなどの記録体に記録させて本人に渡しておけばよい。
【0019】具体的には、23種の染色体について第1
番目の染色体から順番にDNAにおけるイントロン部分
と遺伝子であるエクソン部分における塩基(ヌクレオチ
ド)の配列をデータベースに登録しておく。登録に際し
ては、予め23本の染色体の中に入っているDNA全体
であるゲノムの中にある多型性を示す部位、即ち個人差
の著しい部位(多型マーカー)を探し出しておく。これ
により、被識別者の塩基配列データと本人の塩基配列デ
ータを比較する際に、全ての塩基配列を比較せずとも多
型性を示す部位のみを指定して比較することにより、識
別を迅速且つ精度良く行うことができる。この場合、で
きるだけわずかな塩基配列から個人を識別できるような
多型マーカーを探し出しておくことが好ましいのは勿論
である。また、比較の際に使用する多型マーカーの数を
増やすことにより識別精度を向上させることができる。
番目の染色体から順番にDNAにおけるイントロン部分
と遺伝子であるエクソン部分における塩基(ヌクレオチ
ド)の配列をデータベースに登録しておく。登録に際し
ては、予め23本の染色体の中に入っているDNA全体
であるゲノムの中にある多型性を示す部位、即ち個人差
の著しい部位(多型マーカー)を探し出しておく。これ
により、被識別者の塩基配列データと本人の塩基配列デ
ータを比較する際に、全ての塩基配列を比較せずとも多
型性を示す部位のみを指定して比較することにより、識
別を迅速且つ精度良く行うことができる。この場合、で
きるだけわずかな塩基配列から個人を識別できるような
多型マーカーを探し出しておくことが好ましいのは勿論
である。また、比較の際に使用する多型マーカーの数を
増やすことにより識別精度を向上させることができる。
【0020】図5は、データベースに登録された塩基配
列データの好適な実施形態の一例を示す説明図である。
図示例における塩基配列データは、染色体の番号からな
る大分類、染色体中の遺伝子の種類からなる中分類、遺
伝子のエクソン部かイントロン部かを示す小分類、エク
ソン部又はイントロン部における塩基配列を示す極分
類、というように順序立てて分類分けされている。そし
て、被識別者の塩基配列データと本人の塩基配列データ
を比較する際には予め分かっている個人差が大きい多型
部分を指定してその部分のデータのみを取り出し、塩基
配列を比較すればよい。図5により具体的に説明する
と、例えば個人差が大きい多型部分が※印の部分である
ことが分かっている場合には、データ比較の際には1−
P−Eを指定して※印部分のデータのみを読み出して比
較を行うことにより、短時間で且つ精度良く人物を識別
することができる。このとき、複数の多型部分を指定し
てもよく、指定部分を増やすことにより識別精度を上げ
ることができる。
列データの好適な実施形態の一例を示す説明図である。
図示例における塩基配列データは、染色体の番号からな
る大分類、染色体中の遺伝子の種類からなる中分類、遺
伝子のエクソン部かイントロン部かを示す小分類、エク
ソン部又はイントロン部における塩基配列を示す極分
類、というように順序立てて分類分けされている。そし
て、被識別者の塩基配列データと本人の塩基配列データ
を比較する際には予め分かっている個人差が大きい多型
部分を指定してその部分のデータのみを取り出し、塩基
配列を比較すればよい。図5により具体的に説明する
と、例えば個人差が大きい多型部分が※印の部分である
ことが分かっている場合には、データ比較の際には1−
P−Eを指定して※印部分のデータのみを読み出して比
較を行うことにより、短時間で且つ精度良く人物を識別
することができる。このとき、複数の多型部分を指定し
てもよく、指定部分を増やすことにより識別精度を上げ
ることができる。
【0021】塩基配列のデータ化手法としては、例え
ば、A(アデニン)を(00)、T(チミン)を(0
1)、G(グアニン)を(10)、C(シトシン)を
(11)として数値に置き換えてデータ化する方法を例
示することができる。具体的に図5の例で説明すると、
※印部分の塩基配列データは(・・・01,01,0
0,・・・)となる。
ば、A(アデニン)を(00)、T(チミン)を(0
1)、G(グアニン)を(10)、C(シトシン)を
(11)として数値に置き換えてデータ化する方法を例
示することができる。具体的に図5の例で説明すると、
※印部分の塩基配列データは(・・・01,01,0
0,・・・)となる。
【0022】なお、データベースには全ての塩基配列デ
ータを記録しておいてもよいが、予め分かっている個人
差が大きい多型部分のみのデータを幾つかピックアップ
して記録しておく構成としてもよい。また、カードなど
の記録体についても同様である。
ータを記録しておいてもよいが、予め分かっている個人
差が大きい多型部分のみのデータを幾つかピックアップ
して記録しておく構成としてもよい。また、カードなど
の記録体についても同様である。
【0023】なお、将来的にゲノム解析が進めば、一群
の遺伝子の並び順、あるいはコピーの数の増減、遺伝子
以外のDNAを含んだ広いDNA領域等を比較して人物
識別に使用することも可能になる。
の遺伝子の並び順、あるいはコピーの数の増減、遺伝子
以外のDNAを含んだ広いDNA領域等を比較して人物
識別に使用することも可能になる。
【0024】なお、DNAの塩基配列の解析方法は全く
限定されず、マクサムギルバード法、プラス・マイナス
法、鎖停止法などの従来から使用されている公知の方法
がいずれも好適に採用される。
限定されず、マクサムギルバード法、プラス・マイナス
法、鎖停止法などの従来から使用されている公知の方法
がいずれも好適に採用される。
【0025】マクサムギルバード法とは、DNAを組み
立てている4つの塩基、アデニン(A)、グアニン
(G)、チミン(T)、シトシン(C)に特異的な切断
を起こし、それによってDNA鎖の塩基配列の順序を決
める方法であり、DNA鎖の一方の末端だけを放射性り
ん(32P)で標識したのち、数百塩基に一つの割合でそ
れぞれの塩基に特異的な方法でDNAを切断し、そのあ
とポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いてDNA鎖
の長さによって分離し、32Pの分布から塩基配列を読み
取るものである。DNA鎖の末端を標識する方法として
は、鎖の5’末端のりん酸基(5’−りん酸)にホスフ
ァターゼ酵素を働かせてこれを取り除いた後、ポリヌク
レオチドキナーゼと32Pで標識したアデノシン三りん酸
(ATP)とを用いて5’末端を32Pとする方法と、D
NAポリメラーゼと32Pで標識したデオキシリボヌクレ
オチド三りん酸とを用いて3’−末端のヌクレオチドを
標識する方法がある。
立てている4つの塩基、アデニン(A)、グアニン
(G)、チミン(T)、シトシン(C)に特異的な切断
を起こし、それによってDNA鎖の塩基配列の順序を決
める方法であり、DNA鎖の一方の末端だけを放射性り
ん(32P)で標識したのち、数百塩基に一つの割合でそ
れぞれの塩基に特異的な方法でDNAを切断し、そのあ
とポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いてDNA鎖
の長さによって分離し、32Pの分布から塩基配列を読み
取るものである。DNA鎖の末端を標識する方法として
は、鎖の5’末端のりん酸基(5’−りん酸)にホスフ
ァターゼ酵素を働かせてこれを取り除いた後、ポリヌク
レオチドキナーゼと32Pで標識したアデノシン三りん酸
(ATP)とを用いて5’末端を32Pとする方法と、D
NAポリメラーゼと32Pで標識したデオキシリボヌクレ
オチド三りん酸とを用いて3’−末端のヌクレオチドを
標識する方法がある。
【0026】またプラス・マイナス法では、まず塩基配
列を決めようとする2本鎖のDNAを取り出し、そのご
く一部分を制限酵素で切り出し、得られた断片と対合す
るDNAの1本鎖を分離し、これに4種類のデオキシリ
ボヌクレオシド三りん酸を加える。このときそのうちの
1種類に放射性りん(32P)を結合させておく。ファー
ジT4の本鎖のDNAを鋳型とし、制限酵素で切り出さ
れたDNA断片をプライマーとしてDNA鎖を伸長させ
る。次に3種類のデオキシリボヌクレオシド三りん酸
(例えばデオキシアデノシン三りん酸を欠く)を加える
と、DNA鎖は加えなかった塩基(この場合はアデニ
ン)の一つ前のところで伸長が止まる。これがマイナス
である。つぎに4種類のデオキシリボヌクレオシド三り
ん酸のうちの1種類(この場合はデオキシアデノシン三
りん酸)だけを加えるとDNA鎖はそれぞれ加えた塩基
(この場合はアデニン)のところで伸長が止まる。これ
がプラスである。それぞれをポリアクリルアミドゲル電
気泳動にかけてDNA鎖の長さの順に分離し、放射線を
X線フィルムに感光させてバンドの位置を決める。そし
てプラスとマイナスの組合せ実験の結果から塩基配列を
読み取ることができる。
列を決めようとする2本鎖のDNAを取り出し、そのご
く一部分を制限酵素で切り出し、得られた断片と対合す
るDNAの1本鎖を分離し、これに4種類のデオキシリ
ボヌクレオシド三りん酸を加える。このときそのうちの
1種類に放射性りん(32P)を結合させておく。ファー
ジT4の本鎖のDNAを鋳型とし、制限酵素で切り出さ
れたDNA断片をプライマーとしてDNA鎖を伸長させ
る。次に3種類のデオキシリボヌクレオシド三りん酸
(例えばデオキシアデノシン三りん酸を欠く)を加える
と、DNA鎖は加えなかった塩基(この場合はアデニ
ン)の一つ前のところで伸長が止まる。これがマイナス
である。つぎに4種類のデオキシリボヌクレオシド三り
ん酸のうちの1種類(この場合はデオキシアデノシン三
りん酸)だけを加えるとDNA鎖はそれぞれ加えた塩基
(この場合はアデニン)のところで伸長が止まる。これ
がプラスである。それぞれをポリアクリルアミドゲル電
気泳動にかけてDNA鎖の長さの順に分離し、放射線を
X線フィルムに感光させてバンドの位置を決める。そし
てプラスとマイナスの組合せ実験の結果から塩基配列を
読み取ることができる。
【0027】また鎖停止法では、DNAポリメラーゼ反
応の基質としてジデオキシリボヌクレオシド三りん酸を
使用する。このヌクレオチドはDNAポリメラーゼによ
ってDNA鎖の3’末端に付加されるが、3’の水酸基
(3’−OH)を欠くのでDNAポリメラーゼは次のヌ
クレオチドを結合することができず、それ以降の鎖伸長
はできない。例えば、デオキシアデノシン三りん酸(d
ATP)、デオキシグアノシン三りん酸(dGTP)、
デオキシシチジン三りん酸(dCTP)、多量のジデオ
キシチミジン三りん酸(ddTTP)、少量のデオキシ
チミジン三りん酸(dTTP)を加えた場合には、鎖伸
長はチミンとなるところで停止したいろいろな長さのも
のが得られる。同じ反応を他の塩基のジデオキシリボヌ
クレオシド三りん酸についても行い、それらの生成物を
並べてポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけると生成
物はその大きさの順にバンドをつくるので、それを順番
に読み取ることによって塩基配列を決めることができ
る。
応の基質としてジデオキシリボヌクレオシド三りん酸を
使用する。このヌクレオチドはDNAポリメラーゼによ
ってDNA鎖の3’末端に付加されるが、3’の水酸基
(3’−OH)を欠くのでDNAポリメラーゼは次のヌ
クレオチドを結合することができず、それ以降の鎖伸長
はできない。例えば、デオキシアデノシン三りん酸(d
ATP)、デオキシグアノシン三りん酸(dGTP)、
デオキシシチジン三りん酸(dCTP)、多量のジデオ
キシチミジン三りん酸(ddTTP)、少量のデオキシ
チミジン三りん酸(dTTP)を加えた場合には、鎖伸
長はチミンとなるところで停止したいろいろな長さのも
のが得られる。同じ反応を他の塩基のジデオキシリボヌ
クレオシド三りん酸についても行い、それらの生成物を
並べてポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけると生成
物はその大きさの順にバンドをつくるので、それを順番
に読み取ることによって塩基配列を決めることができ
る。
【0028】また、DNAの塩基配列を決定する方法と
して、STM(走査型トンネル電子顕微鏡)やAFM
(原子間力顕微鏡)等を使用する方法を採用してもよ
い。DNAの4種の塩基、アデニン(A)、グアニン
(G)、チミン(T)、シトシン(C)はそれぞれ分子
の形状が異なるので、予め一種類の塩基だけからなる一
本鎖DNAを観察し、各塩基の形状を調べておき、次に
塩基配列を調べたい一本鎖DNAを基板に固定して、こ
のDNAの形状をSTM若しくはAFMを用いて調べ
る。既に4種類の塩基の形状は分かっているので、一本
鎖DNAの形状から各塩基の位置が分かり、このDNA
の塩基配列が分かる。
して、STM(走査型トンネル電子顕微鏡)やAFM
(原子間力顕微鏡)等を使用する方法を採用してもよ
い。DNAの4種の塩基、アデニン(A)、グアニン
(G)、チミン(T)、シトシン(C)はそれぞれ分子
の形状が異なるので、予め一種類の塩基だけからなる一
本鎖DNAを観察し、各塩基の形状を調べておき、次に
塩基配列を調べたい一本鎖DNAを基板に固定して、こ
のDNAの形状をSTM若しくはAFMを用いて調べ
る。既に4種類の塩基の形状は分かっているので、一本
鎖DNAの形状から各塩基の位置が分かり、このDNA
の塩基配列が分かる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、被識別
者が持参したカード等の記録体に記録されたDNAにお
ける塩基配列等のデータと、予めデータベースに登録さ
れた本人のDNAにおける塩基配列等のデータとを比較
することにより被識別者が本人であるか否かを識別する
ことを特徴とするDNAによる人物識別システムである
から、以下に述べる効果を奏するものである。すなわ
ち、人物識別データとして、個人によって異なるDNA
における塩基配列、DNAのエクソン部分における塩基
配列、DNAのイントロン部分における塩基配列、DN
A断片を電気泳動したときに得られるパターンのいずれ
かを使用するため、これらのデータが個人特有の一種の
暗号データの役割を果たし、本人であることを確実に識
別することが可能であるとともに他人に真似をされて悪
用される恐れがない極めて優れた人物識別システムとな
る。
者が持参したカード等の記録体に記録されたDNAにお
ける塩基配列等のデータと、予めデータベースに登録さ
れた本人のDNAにおける塩基配列等のデータとを比較
することにより被識別者が本人であるか否かを識別する
ことを特徴とするDNAによる人物識別システムである
から、以下に述べる効果を奏するものである。すなわ
ち、人物識別データとして、個人によって異なるDNA
における塩基配列、DNAのエクソン部分における塩基
配列、DNAのイントロン部分における塩基配列、DN
A断片を電気泳動したときに得られるパターンのいずれ
かを使用するため、これらのデータが個人特有の一種の
暗号データの役割を果たし、本人であることを確実に識
別することが可能であるとともに他人に真似をされて悪
用される恐れがない極めて優れた人物識別システムとな
る。
【図1】本発明に係るDNAによる人物識別システムの
一例を示す概略構成図である。
一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るDNAによる人物識別システムの
使用方法を示すフローチャート図である。
使用方法を示すフローチャート図である。
【図3】DNA断片を電気泳動したときに得られるパタ
ーンの例を示す模式図である。
ーンの例を示す模式図である。
【図4】電気泳動パターンのデータ化手法の一例を示す
説明図である。
説明図である。
【図5】塩基配列データの好適な実施形態の一例を示す
説明図である。
説明図である。
1 カード(記録体) 3 データベース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 雄治 大阪市鶴見区放出東1丁目34番16号 株式 会社トーエイシステム内
Claims (4)
- 【請求項1】 被識別者が持参したカード等の記録体に
記録されたDNAにおける塩基配列のデータと、予めデ
ータベースに登録された本人のDNAにおける塩基配列
のデータとを比較することにより被識別者が本人である
か否かを識別することを特徴とするDNAによる人物識
別システム。 - 【請求項2】 被識別者が持参したカード等の記録体に
記録されたDNAのエクソン部分における塩基配列のデ
ータと、予めデータベースに登録された本人のDNAの
エクソン部分における塩基配列のデータとを比較するこ
とにより被識別者が本人であるか否かを識別することを
特徴とするDNAによる人物識別システム。 - 【請求項3】 被識別者が持参したカード等の記録体に
記録されたDNAのイントロン部分における塩基配列の
データと、予めデータベースに登録された本人のDNA
のイントロン部分における塩基配列のデータとを比較す
ることにより被識別者が本人であるか否かを識別するこ
とを特徴とするDNAによる人物識別システム。 - 【請求項4】 被識別者が持参したカード等の記録体に
記録されたDNA断片を電気泳動したときに得られるパ
ターンのデータと、予めデータベースに登録された本人
のDNA断片を電気泳動したときに得られるパターンの
データとを比較することにより被識別者が本人であるか
否かを識別することを特徴とするDNAによる人物識別
システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8327773A JPH10151125A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | Dnaによる人物識別システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8327773A JPH10151125A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | Dnaによる人物識別システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10151125A true JPH10151125A (ja) | 1998-06-09 |
Family
ID=18202830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8327773A Pending JPH10151125A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | Dnaによる人物識別システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10151125A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000001227A1 (de) * | 1998-06-30 | 2000-01-13 | Generatio Gmbh | Verfahren zum nachweis der abstammung und/oder zur identifizierung von tieren oder von biologischem material |
WO2001011533A1 (fr) * | 1999-08-05 | 2001-02-15 | Takeda Chemical Industries, Ltd. | Procede d'enregistrement de donnees d'analyse de genes |
WO2001080431A1 (fr) * | 2000-04-19 | 2001-10-25 | Satoshi Omori | Informations relatives a des sequences nucleotidiques et procede et dispositif permettant d'enregistrer des informations relatives a la sequence d'un acide amine |
WO2002044967A1 (fr) * | 2000-11-30 | 2002-06-06 | Hitachi, Ltd. | Procede et systeme permettant de delivrer des informations d'analyse genetique et procede d'identification permettant une authentification |
JP2002288141A (ja) * | 2001-03-26 | 2002-10-04 | Yoshimitsu Kagiwada | 人物識別システム及びそのシステム用端末装置 |
EP1550498A2 (de) * | 2003-12-22 | 2005-07-06 | F. Hoffmann-La Roche Ag | Reagenzkassette mit Reagenzbehälter für partikelhaltiges Reagenz für dessen noninvasive Homogenisierung |
US7236889B2 (en) | 2002-03-06 | 2007-06-26 | Shimadzu Corporation | Method of examining foreign matter derived from living body |
DE102006029926A1 (de) * | 2006-06-29 | 2008-01-03 | Siemens Ag | Anordnung und Verfahren zur Identifizierung von Personen |
US7912650B2 (en) | 2001-05-25 | 2011-03-22 | Hitachi, Ltd. | Information processing system using nucleotide sequence-related information |
-
1996
- 1996-11-21 JP JP8327773A patent/JPH10151125A/ja active Pending
Cited By (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000001227A1 (de) * | 1998-06-30 | 2000-01-13 | Generatio Gmbh | Verfahren zum nachweis der abstammung und/oder zur identifizierung von tieren oder von biologischem material |
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AU772816B2 (en) * | 1999-08-05 | 2004-05-06 | Takeda Chemical Industries Ltd. | Method of recording gene analysis data |
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JP2002288141A (ja) * | 2001-03-26 | 2002-10-04 | Yoshimitsu Kagiwada | 人物識別システム及びそのシステム用端末装置 |
US7945389B2 (en) | 2001-05-25 | 2011-05-17 | Hitachi, Ltd. | Information processing system using nucleotide sequence-related information |
US7912650B2 (en) | 2001-05-25 | 2011-03-22 | Hitachi, Ltd. | Information processing system using nucleotide sequence-related information |
US8103368B2 (en) | 2001-05-25 | 2012-01-24 | Hitachi, Ltd. | Information processing system using nucleotide sequence-related information |
US8571810B2 (en) | 2001-05-25 | 2013-10-29 | Hitachi, Ltd. | Information processing system using nucleotide sequence-related information |
US7236889B2 (en) | 2002-03-06 | 2007-06-26 | Shimadzu Corporation | Method of examining foreign matter derived from living body |
EP1550498B1 (de) * | 2003-12-22 | 2008-07-30 | F. Hoffmann-La Roche Ag | Reagenzkassette mit Reagenzbehälter für partikelhaltiges Reagenz für dessen noninvasive Homogenisierung |
EP1550498A2 (de) * | 2003-12-22 | 2005-07-06 | F. Hoffmann-La Roche Ag | Reagenzkassette mit Reagenzbehälter für partikelhaltiges Reagenz für dessen noninvasive Homogenisierung |
DE102006029926A1 (de) * | 2006-06-29 | 2008-01-03 | Siemens Ag | Anordnung und Verfahren zur Identifizierung von Personen |
DE102006029926B4 (de) * | 2006-06-29 | 2008-11-20 | Siemens Ag | Anordnung und Verfahren zur Identifizierung von Personen |
US8935097B2 (en) | 2006-06-29 | 2015-01-13 | Siemens Aktiengesellschaft | Arrangement and method for identifying people |
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