JPH101501A - 高吸水性澱粉、高吸水性澱粉の製法、及び澱粉の吸水力向上方法 - Google Patents

高吸水性澱粉、高吸水性澱粉の製法、及び澱粉の吸水力向上方法

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JPH101501A
JPH101501A JP15850696A JP15850696A JPH101501A JP H101501 A JPH101501 A JP H101501A JP 15850696 A JP15850696 A JP 15850696A JP 15850696 A JP15850696 A JP 15850696A JP H101501 A JPH101501 A JP H101501A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高吸水力を有する澱粉を簡便に製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記(A)〜(D)の工程よりなる製造
方法。澱粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工程
(A)。スラリー化澱粉を、これに対して熱を加えて糊
化させる糊化工程(B)。糊化物を、該糊化物が冷凍状
態を呈するまで冷却する冷却工程であり、前記糊化物を
氷点温度にまで下げる温度降下段階と、氷点温度にまで
下げた糊化物をその温度下で所定時間滞留させる温度維
持段階(Tf)とにより構成され、さらに、前記した温
度降下段階における10℃から氷点温度までの所要時間
(Tc)が5〜15時間であり、かつ前記温度維持段階
(Tf)が0.5〜30時間である冷却工程(C)。冷
却した糊化物を、当該澱粉が再糊化しない温度条件下で
乾燥する乾燥工程(D)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の実施の形態】本発明は高吸水性澱粉、高吸水性
澱粉の製法、及び澱粉の吸水力向上方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】澱粉を吸
水性に優れたものに改質する技術として、従来、次のよ
うな技術があった(特開昭63−193910号公報参
照)。すなわち、アルカリ官能性のグラフト鎖を有する
澱粉グラフト共重合体に塩基性水溶液を作用させ、該グ
ラフト共重合体に親水性基を導入したのちエチレン性不
飽和酸を、該親水性重合体含有水溶液中に残留する塩基
性物質に作用させ中和し、さらに重合開始剤を添加して
なる該親水性重合体混合溶液を、100℃以上の温度で
同時に重合、乾燥することを特徴とする方法があった。
この方法により、確かに澱粉が改質され、高吸水性の澱
粉が得られる。
【0003】しかしながら、上記技術にあっては、前述
したようにグラフト鎖を有する澱粉グラフト共重合体を
製造すべく澱粉にアクリルアミド等のモノマーをグラフ
ト重合する必要があり、また、当該共重合体に対して塩
基性水溶液を作用させるとともに、過剰の塩基性物質を
中和すべくエチレン性不飽和酸を作用させる必要があ
り、さらには、重合開始剤を添加したのち100℃以上
の温度で重合する必要があり、その製造工程が非常に煩
雑であるという問題点があった。
【0004】また、製造が比較的簡単な高吸水性澱粉の
製造方法としては、次のような技術があった(特開平6
−73101号公報)。すなわち、生澱粉を水分の存在
下、粒子の外殻薄膜構造を破壊することなく、全体の2
0〜80%の粒子が実質的に非複屈折性となるまで加工
し、次いで該外殻薄膜構造を破壊することなく乾燥する
という製造方法が提案された。
【0005】この製造方法により、高吸水性の澱粉を比
較的簡便に得ることができるようになったが、得られる
高吸水性澱粉の吸水力は、せいぜい6倍程度(重量基
準)までであった。
【0006】本発明者らは、製造が比較的簡単で、しか
も6倍を超えるような吸水力を有する高吸水性澱粉を開
発すべく鋭意検討を重ねた結果、スラリー化澱粉を糊化
させたのち、糊化物を、ある条件にしたがって冷却し、
のち乾燥することにより、さらなる吸水力を有する澱粉
が簡便に得られることを見い出し、そして本発明に至っ
た。
【0007】
【課題を解決しようとする手段】請求項1記載の高吸水
性澱粉の製造方法は、下記(A)〜(D)の工程よりな
る。
【0008】(A)澱粉に水を加えてスラリーとするス
ラリー化工程。
【0009】(B)スラリー化澱粉を、これに対して熱
を加えるか、あるいは糊化剤を添加することにより糊化
させる糊化工程。
【0010】(C)糊化物を0℃あるいはその付近の温
度なる目的温度にまで冷却する冷却工程であり、前記糊
化物を目的温度にまで下げる温度降下段階と、目的温度
にまで下げた糊化物をその温度下で所定時間滞留させる
温度維持段階(Tf)とにより構成され、さらに、前記
した温度降下段階における10℃から目的温度までの所
要時間(Tc)が5〜15時間であり、かつ前記温度維
持段階(Tf)が0.5〜30時間である冷却工程。
【0011】(D)冷却した糊化物を、当該澱粉が再糊
化しない温度条件下で乾燥する乾燥工程。
【0012】請求項2記載の高吸水性澱粉の製造方法
は、下記(A)〜(D)の工程よりなる。
【0013】(A)澱粉に水を加えてスラリーとするス
ラリー化工程。
【0014】(B)スラリー化澱粉を、これに対して熱
を加えるか、あるいは糊化剤を添加することにより糊化
させる糊化工程。
【0015】(C)糊化物を、該糊化物が冷凍状態を呈
するまで冷却する冷却工程であり、前記糊化物を氷点温
度にまで下げる温度降下段階と、氷点温度にまで下げた
糊化物をその温度下で所定時間滞留させる温度維持段階
(Tf)とにより構成され、さらに、前記した温度降下
段階における10℃から氷点温度までの所要時間(T
c)が5〜15時間であり、かつ前記温度維持段階(T
f)が0.5〜30時間である冷却工程。
【0016】(D)冷却した糊化物を、当該澱粉が再糊
化しない温度条件下で乾燥する乾燥工程。
【0017】請求項3のように、前記(D)工程におけ
る乾燥に先立って、糊化物を脱水することが好ましい。
【0018】請求項4に記載の澱粉の吸水力向上方法
は、下記(A)〜(D)の工程よりなる。
【0019】(A)澱粉に水を加えてスラリーとするス
ラリー化工程。
【0020】(B)スラリー化澱粉を、これに対して熱
を加えるか、あるいは糊化剤を添加することにより糊化
させる糊化工程。
【0021】(C)糊化物を0℃あるいはその付近の温
度なる目的温度にまで冷却する冷却工程であり、前記糊
化物を目的温度にまで下げる温度降下段階と、目的温度
にまで下げた糊化物をその温度下で所定時間滞留させる
温度維持段階(Tf)とにより構成され、さらに、前記
した温度降下段階における10℃から目的温度までの所
要時間(Tc)が5〜15時間であり、かつ前記温度維
持段階(Tf)が0.5〜30時間である冷却工程。
【0022】(D)冷却した糊化物を、当該澱粉が糊化
しない温度下で乾燥する工程。
【0023】請求項5に記載の澱粉の吸水力向上方法
は、下記(A)〜(D)の工程よりなる。
【0024】(A)澱粉に水を加えてスラリーとするス
ラリー化工程。
【0025】(B)スラリー化澱粉を、これに対して熱
を加えるか、あるいは糊化剤を添加することにより糊化
させる糊化工程。
【0026】(C)糊化物を、該糊化物が冷凍状態を呈
するまで冷却する冷却工程であり、前記糊化物を氷点温
度にまで下げる温度降下段階と、氷点温度にまで下げた
糊化物をその温度下で所定時間滞留させる温度維持段階
(Tf)とにより構成され、さらに、前記した温度降下
段階における10℃から氷点温度までの所要時間(T
c)が5〜15時間であり、かつ前記温度維持段階(T
f)が0.5〜30時間である冷却工程。
【0027】(D)冷却した糊化物を、当該澱粉が糊化
しない温度下で乾燥する工程。
【0028】本発明の高吸水性澱粉は、水を加えてスラ
リー化した澱粉を糊化し、この糊化物を冷却したのち乾
燥してなる高吸水性澱粉であって、次の性質を具備して
なるものである(請求項6)。 (1)水分14%以下 (2)蛋白0.3%以下 (3)灰分0.3%以下 (4)カサ密度0.08〜0.3g/cm (5)pH6.0±1.0 (6)冷水可溶分3.5%以下 (7)吸水力4〜8倍(重量基準) (8)吸油力1〜1.5倍(重量基準) (9)多数の連続気泡を有し、その気泡断面は直径50
〜400μmの略円形を呈し、気泡隔壁厚は5〜20μ
mである。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の製造工程を以下に順次説
明する。
【0030】(A)スラリー化工程 本発明の製造方法における(A)工程は、澱粉に水を加
えてスラリーとする工程である。
【0031】本発明で使用し得る澱粉としては、小麦澱
粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米
澱粉、大麦澱粉、及びそれらの加工品、誘導体、その他
加熱により水と糊化し、冷蔵もしくは冷凍によりゲルを
形成するものは何でも利用できる。しかし望ましくは、
冷蔵、冷凍により容易に水を分離する澱粉がよく、餅種
やエーテル誘導体(エーテル化澱粉)、エステル誘導体
(エステル化澱粉)は余り適していない。
【0032】上記澱粉にどの程度の水を加えてスラリー
とするかについては特に限定はないが、およそのとこ
ろ、スラリー化澱粉における固型分が1〜40%である
ことが好ましく、コストと作業性の点で7〜20%とな
るようにすることがさらに好適である。
【0033】(B)糊化工程 (B)工程である糊化工程は、(A)工程で得たスラリ
ー化澱粉を、これに対して熱を加えるか、糊化剤を添加
することにより糊化させるか、あるいは冷糊法により糊
化させる工程である。
【0034】熱を加えて糊化させる場合、糊化温度とそ
の時間に特に限定はなく、またこれらの条件は澱粉の種
類により大きく異なるので一概には言えないが、およそ
のところは65℃〜130℃であり、通常は75℃〜1
00℃である。要は、スラリーが糊にさえなればよい。
なお、糊化の昇温速度は24℃/分を超えない方がよ
い。
【0035】一般的に、澱粉の膨潤、糊化は澱粉分子が
十分に水和するまで加熱した方が、後述する脱水分離の
作業がよくなる。pHは4〜10までが望ましい。それ
以外のpHでは、水の分離が悪い場合があり、またフラ
ボノイド色素が発色する澱粉種があり、これにより用途
が限定される可能性が生じる。
【0036】糊化剤を添加して糊化させる場合、用いる
糊化剤としては、ジメチルスルホキシド、液体アンモニ
ア、尿素、塩化カルシウム、チオシアン酸カリウム、そ
の他の塩など、水素結合を破壊する化合物が挙げられ
る。
【0037】前述したように、冷糊法を用いることもで
きる。すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どのアルカリで糊化させ、のち塩酸、燐酸、硝酸などの
酸で中和する方法を用いることもできる。
【0038】(C)冷却工程 (C)工程は、上記(B)工程で得た糊化物を目的温度
にまで冷却して冷蔵し、もしくは冷凍する工程である。
ここでいう目的温度とは、0℃、あるいはその付近の非
凍結温度(−5℃〜+5℃)、あるいは当該糊化物が冷
凍(凍結、氷結)状態を呈する温度である。
【0039】速やかに水と分離して澱粉分子同士が再結
晶化(syneresis (シネレシス))するためには、冷凍
が優れている。しかし、その冷凍速度により再結晶化構
造は大きく変わる。すなわち、急速あるいは短時間で冷
却、凍結した場合は、澱粉分子の高次構造が熱力学的に
変化して、分子間結合の崩壊や再配向による結合水の離
脱ができないままで凍結されるため、成長した再結晶化
澱粉は生成しない。また逆に、非常に緩慢な凍結の場合
には、出き上がった澱粉の再結晶構造が氷結晶の成長に
より破壊され、均一なミセル構造を形成することができ
ない。非凍結系の冷却においても同様のことがいえる。
【0040】そこで、本発明にあっては、冷却、冷凍条
件が次のように規定される。すなわち、非冷凍系、冷凍
系においては、前記冷却工程(C)が、前記糊化物を目
的温度(氷点温度を含む)にまで下げる温度降下段階
と、目的温度にまで下げた糊化物をその温度下で所定時
間滞留させる温度維持段階(Tf)とにより構成され、
さらに、前記した温度降下段階においては、温度降下に
おける10℃から目的温度までの所要時間(Tc)が5
〜15時間であり、かつ温度維持段階(Tf)において
は0.5〜30時間であるという条件で冷却される。
【0041】(D)乾燥工程 上記した(C)工程にて冷却した糊化物をこの(D)工
程で乾燥する。乾燥温度としては特に限定はないが、再
結晶した澱粉が再び溶解し始めて目的の物が得られない
という理由で、当該澱粉が再糊化しない温度にまで上げ
た条件下であることが必要である。その意味で、乾燥手
段としては凍結乾燥がベストである。
【0042】その他 なお、(D)工程における乾燥工程に先立って、糊化物
を脱水処理しておくことが、余分な水を除去し均一なミ
セル構造を保持するという点で好ましい。脱水装置とし
ては、遠心式、ベルト式、フィルター式など、どのよう
な形式のものを使用しても構わない。
【0043】脱水されたポーラスな再結晶澱粉は、前述
したように澱粉糊化温度以下の温度条件で乾燥し、その
後用途に応じて粒状、粉末状にする。
【0044】脱水工程を経た場合の乾燥機は、棚式、キ
ルン式、気流式、真空式、ベルト式など、どのような装
置を用いてもよい。
【0045】本発明の高吸水性澱粉の用途の一例を以下
に列挙する。
【0046】(1)ハム・ソーセージ、ハンバーグ、メ
ンチカツの生地保水性材、調理時の水や油のにじみ防止
材、食感改善材。また、色素、風味、調味をつけて肉塊
の代替材、及びヘルシー食品の素材。
【0047】(2)シューマイ、ギョーザの具に色素、
風味、調味をつけてあるいはそのままで野菜の吸着材、
及びヘルシー食品の素材。
【0048】(3)ミックス粉としてスポンジケーキ、
ドーナツの食感改善材、油のにじみ防止材、ボリューム
アップ材、保形性向上材、及びヘルシー食品の素材。
【0049】(4)多加水麺の製造、麺の生地のまとま
り改善材、べたつき防止材、食感改善材、ヘルシー麺の
素材、インスタント麺の火通り改善材。
【0050】(5)生分解性材料としての、容器、ケー
シング、クッション材、土壌改善材、植物育成材など。
【0051】
【発明の効果】本発明により、6倍(重量基準)を超え
るような優れた吸水性を有する高吸水性澱粉を簡便に得
ることができた。また、この澱粉は水のみならず、液体
油に対しても1〜1.5倍の吸着力を有する。
【0052】
【実施例】実施例1〜4および比較例1〜5 澱粉(とうもろこし澱粉)600gを10重量%の固型
分濃度となるように水中に分散させ、これによりスラリ
ー化澱粉を得た。このスラリー化澱粉を90℃、10分
間加熱して糊化させた。
【0053】次いで、この糊化物の塊(試料)を、内部
が−30℃に保持された冷却装置(10)(図1参照)に
設置し、当該糊化物を冷凍した。すなわち、断熱材より
なる装置本体(12)の内部に試料を載置するとともに、
設置した試料に対し、冷風発生装置(18)から冷風を当
てた。また、前記試料に温度センサー(14)を差し込
み、当該試料における表面から所定深さ部分の温度変化
を装置本体(12)の外側に設けた記録計(16)で監視し
た。前記試料の内部における温度監視部分の位置は、下
記[表1]に示す通りである。
【0054】
【表1】
【0055】当然のことながら、上記試料における表面
部分から芯部にかけて、温度変化に差が生じる。すなわ
ち、表面部分は設置直後から冷やされ、また芯部につい
ては徐々に冷やされる。温度センサー(14)により把握
された各部分における冷却状態(温度変化の推移)を下
記[表2]に示す。
【0056】
【表2】
【0057】その後、冷却した糊化物を脱水処理し(脱
水条件:100G、5分間)、のち乾燥し(乾燥条件:
35℃、24時間)、これにより、サイズ90×200
×300m/mの(高吸水性)澱粉を得た。
【0058】得られた高吸水性澱粉を各温度監視部分ご
とに分離し、分離した試験片のそれぞれを粉砕機により
粉砕し、平均粒子径0.5m/mの粒子を得た(試
料)。
【0059】上記実施例1〜4および比較例1〜5の各
試料の、(1)水分、(2)蛋白、(3)灰分、(4)
10%粘度、(5)カサ密度、(6)pH、(7)冷水
可溶分、(8)吸水力(重量基準)、(9)吸油力(重
量基準)、(10)ピラノースオキシダーゼ法により測
定される難消化性澱粉含有率、(11)AOAC法によ
り測定される繊維、(12)気泡サイズ、(13)気泡
隔壁厚を、電子顕微鏡写真(SEM)の参照番号と併せ
て下記[表3]に示す。なお、電子顕微鏡写真は、粉砕
する前のものによる。
【0060】
【表3】
【0061】なお、上記(8)吸水力、及び(9)吸油
性は、次のように測定されたものである。また(10)
ピラノースオキシダーゼ測定法による難消化性澱粉含有
率については、酵素−HPLC法により測定し、(1
1)AOAC法により測定される繊維については、酵素
−重量法により測定した(下記文献を参照)。
【0062】吸水力(8) 試料W1(g)を水200mlに分散し、この分散液を
遠心分離機にかけた(2000G、10分間)。その
後、上澄液を捨て、沈積物の重量W2(g)を測定して
吸水力を、W2/W1より算出した。
【0063】吸油力(9) 試料Wc(g)を油脂(コーンオイル)と均一になるま
で混合して、含油試料Wo(g)を得た。この油脂の量
としては次のような量とした。すなわち、前記試料を紙
の上に置いた状態で軽く上から押さえ付け、紙に付着し
た油のにじみ痕が点在状態であり(一つ一つから滲み出
た油がつながっていない状態であり)、かつ点在する油
のにじみ痕の面積が、ほぼ粒子の大きさに相当する面積
(粒子の大きさに応じた面積であり、大きすぎず、また
小さすぎない面積。)である量。そして、吸油力(Q
o)を式:Qo=(Wo−Wc)/Wcから算出した。
【0064】ピラノースオキシダーゼ測定法による難消
化性澱粉含有率(10) 1)日本農芸化学雑誌 64 3 539(1990) 2)J.Assoc.Off.Anal.Chem.,68 677(1985) 3)J.Assoc.Off.Anal.Chem.,78 22 (1995) 4)特定保健用食品試験検査マニュアル 低分子アルギ
ン酸の項。
【0065】AOAC法により測定される繊維(11) 1)Asp,N.G.,et.al:J.Agric.Food Chem.,31,476(1983) 2)Prosky,L.,et.al:J.Assoc.Off.Anal.Chem.,68 677
(1985),68,677(1985),69,259(1988) 3)AOAC International:“Official Methods of Anal
ysis of AOAC INTERNATIONAL,16th Ed. ”,45,4,07,(19
95) 4)日本薬学会編:“衛生試験法・注解”,295,金原出
版(1990)。
【0066】さらに、実験E(実施例3)で得た澱粉に
関し、膵αアミラーゼによる澱粉価(膵αアミラーゼ非
消化残存澱粉比率(%))を、京都府大法により測定し
た。結果を下記[表4]に示す。なお、比較のために対
照(未処理澱粉)についても同様の測定を行なった。そ
の結果を[表3]に併記する。
【0067】
【表4】
【0068】考察 結果から、冷却及び冷凍時間と澱粉糊に生ずる蜂の巣状
の孔の大きさに関係があることがわかる。この孔の大き
さは、冷却時に、シネレシスにより澱粉鎖から追い出さ
れた水が氷結晶になる際の凍結速度に起因する。すなわ
ち、凍結による固液界面の進行速度が大きければ大きい
ほど氷結晶の大きさは小さくなる。
【0069】氷結晶が成長して行くに従い、澱粉鎖は強
い力で押し付けられ徐々に圧密され澱粉鎖の高次構造が
壊され、より強い新規な高次構造が再構築されたものと
思われる。その結果、酵素耐性が生じたものと思われ
る。
【0070】急速に冷凍した場合、(実験A)(比較例
1)のように氷結晶が成長する間がなく、蜂の巣状の孔
は形成されていない。
【0071】また、(実験B)(比較例2)では、やや
形成が見られるものの、それらの殆どが孤立しており、
スポンジ状にならず吸水の機能は発現されない。また、
この状態では脱水は殆ど不可能で凍結乾燥に頼らざるを
得ない。しかしながら、孤立気泡が形成されているとこ
ろから、比較例2のものは断熱性に優れているものと考
えられる。
【0072】(実験C)(実施例1)からは、乾燥後の
気泡も連続しており吸水、吸油性、及び難消化性も付与
されてくる。
【0073】以下、冷凍条件が緩慢になってくるに従
い、それらの気泡は徐々に大きくなり温度維持段階(T
f)が20時間を超える頃から気泡は蜂の巣状の形を崩
し始め徐々に展開されている。この層は熱の伝達方向と
垂直なことから等温面に沿って形成されていると考え
る。このような層状に形成されると、吸水性、吸油性が
小さくなる。油脂の安定性はただ単に物理的な吸着によ
るものだけと考えている。なお、実施例1〜4で得られ
た高吸水性澱粉は、前述したように吸水性、吸油性に優
れているのみならず、外部からの圧力により、それまで
保持していた水分、油分を容易に放出する性質(放水
性、放油性)も備えている。
【0074】上記の通りであり、試料から、前記温度降
下段階における10℃から目的温度までの所要時間(T
c)が5〜15時間であり、かつ前記温度維持段階(T
f)が0.5〜30時間である部分を取り出すことによ
り、本発明の高吸水性澱粉100%の製品が得られる。
【0075】また、糊化物の厚みを薄くして、当該糊化
物の熱伝導が全体的に一様となるように構成し、そして
この糊化物を設置した冷却装置の内部温度を、(上記実
施例の如く−30℃などの一定温度に保持するのではな
く、)当該糊化物が冷凍状態を示す温度なる目的温度に
まで徐々に冷却するとともに、温度降下段階における1
0℃から目的温度までの所要時間(Tc)を5〜15時
間とし、かつ温度維持段階(Tf)を0.5〜30時間
とすることにより、容易に本発明の高吸水性澱粉が得ら
れる。
【0076】実施例5 冷却装置(10)の内部の温度を−30℃とする代わり
に、(+)1℃としたという以外は上記実施例と同様の
実験を行なった。
【0077】その結果、温度降下段階における10℃か
ら1℃までの所要時間(Tc)が5〜15時間であり、
かつ温度維持段階(Tf)が0.5〜30時間の範囲に
相当する澱粉において、蜂の巣状の孔が多数形成され、
高吸水性、及び高吸油性が示された。また、難消化性を
呈することも確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却装置の略示説明図である。
【図2】冷却工程の構成図である。
【図3】冷却工程の構成図である。
【図4】比較例1で得た試験片の断面構造を示す電子顕
微鏡写真である。
【図5】比較例2で得た試験片の断面構造を示す電子顕
微鏡写真である。
【図6】実施例1で得た試験片の断面構造を示す電子顕
微鏡写真である。
【図7】実施例2で得た試験片の断面構造を示す電子顕
微鏡写真である。
【図8】実施例3で得た試験片の断面構造を示す電子顕
微鏡写真である。
【図9】実施例4で得た試験片の断面構造を示す電子顕
微鏡写真である。
【図10】比較例3で得た試験片の断面構造を示す電子
顕微鏡写真である。
【図11】比較例4で得た試験片の断面構造を示す電子
顕微鏡写真である。
【図12】比較例5で得た試験片の断面構造を示す電子
顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10……冷却装置 12……装置本体 14……温度センサー 16……記録計 18……冷風発生装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高吸水性澱粉、高吸
水性澱粉の製法、及び澱粉の吸水力向上方法に関する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)〜(D)の工程よりなることを
    特徴とする高吸水性澱粉の製法。 (A)澱粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工
    程。 (B)スラリー化澱粉を、これに対して熱を加えるか、
    あるいは糊化剤を添加することにより糊化させる糊化工
    程。 (C)糊化物を0℃あるいはその付近の温度なる目的温
    度にまで冷却する冷却工程であり、前記糊化物を目的温
    度にまで下げる温度降下段階と、目的温度にまで下げた
    糊化物をその温度下で所定時間滞留させる温度維持段階
    (Tf)とにより構成され、さらに、前記した温度降下
    段階における10℃から目的温度までの所要時間(T
    c)が5〜15時間であり、かつ前記温度維持段階(T
    f)が0.5〜30時間である冷却工程。 (D)冷却した糊化物を、当該澱粉が再糊化しない温度
    条件下で乾燥する乾燥工程。
  2. 【請求項2】下記(A)〜(D)の工程よりなることを
    特徴とする高吸水性澱粉の製法。 (A)澱粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工
    程。 (B)スラリー化澱粉を、これに対して熱を加えるか、
    あるいは糊化剤を添加することにより糊化させる糊化工
    程。 (C)糊化物を、該糊化物が冷凍状態を呈するまで冷却
    する冷却工程であり、前記糊化物を氷点温度にまで下げ
    る温度降下段階と、氷点温度にまで下げた糊化物をその
    温度下で所定時間滞留させる温度維持段階(Tf)とに
    より構成され、さらに、前記した温度降下段階における
    10℃から氷点温度までの所要時間(Tc)が5〜15
    時間であり、かつ前記温度維持段階(Tf)が0.5〜
    30時間である冷却工程。 (D)冷却した糊化物を、当該澱粉が再糊化しない温度
    条件下で乾燥する乾燥工程。
  3. 【請求項3】前記(D)工程における乾燥に先立って、
    糊化物を脱水することを特徴とする請求項1または2記
    載の高吸水性澱粉の製法。
  4. 【請求項4】下記(A)〜(D)の工程よりなることを
    特徴とする澱粉の吸水力向上方法。 (A)澱粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工
    程。 (B)スラリー化澱粉を、これに対して熱を加えるか、
    あるいは糊化剤を添加することにより糊化させる糊化工
    程。 (C)糊化物を0℃あるいはその付近の温度なる目的温
    度にまで冷却する冷却工程であり、前記糊化物を目的温
    度にまで下げる温度降下段階と、目的温度にまで下げた
    糊化物をその温度下で所定時間滞留させる温度維持段階
    (Tf)とにより構成され、さらに、前記した温度降下
    段階における10℃から目的温度までの所要時間(T
    c)が5〜15時間であり、かつ前記温度維持段階(T
    f)が0.5〜30時間である冷却工程。 (D)冷却した糊化物を、当該澱粉が糊化しない温度下
    で乾燥する工程。
  5. 【請求項5】下記(A)〜(D)の工程よりなることを
    特徴とする澱粉の吸水力向上方法。 (A)澱粉に水を加えてスラリーとするスラリー化工
    程。 (B)スラリー化澱粉を、これに対して熱を加えるか、
    あるいは糊化剤を添加することにより糊化させる糊化工
    程。 (C)糊化物を、該糊化物が冷凍状態を呈するまで冷却
    する冷却工程であり、前記糊化物を氷点温度にまで下げ
    る温度降下段階と、氷点温度にまで下げた糊化物をその
    温度下で所定時間滞留させる温度維持段階(Tf)とに
    より構成され、さらに、前記した温度降下段階における
    10℃から氷点温度までの所要時間(Tc)が5〜15
    時間であり、かつ前記温度維持段階(Tf)が0.5〜
    30時間である冷却工程。 (D)冷却した糊化物を、当該澱粉が糊化しない温度下
    で乾燥する工程。
  6. 【請求項6】水を加えてスラリー化した澱粉を糊化し、
    この糊化物を冷却したのち乾燥してなる高吸水性澱粉で
    あって、次の性質を具備してなることを特徴とする高吸
    水性澱粉。 (1)水分14%以下 (2)蛋白0.3%以下 (3)灰分0.3%以下 (4)カサ密度0.08〜0.3g/cm (5)pH6.0±1.0 (6)冷水可溶分3.5%以下 (7)吸水力4〜8倍(重量基準) (8)吸油力1〜1.5倍(重量基準) (9)多数の連続気泡を有し、その気泡断面は直径50
    〜400μmの略円形を呈し、気泡隔壁厚は5〜20μ
    mである。
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