JPH10147476A - ケーブル繰り出し方法およびケーブル繰り出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】主として電力用のケーブルの配線工事などを行
なう際に、コイル状に巻かれたケーブル束からケーブル
を繰り出す方法および装置に関し、構造が簡単かつ小型
軽量で安価に提供でき、移動や取り扱いも簡便で能率的
に作業できるケーブル繰り出し方法およびケーブル繰り
出し装置を実現することを目的とする。 【解決手段】回転台の回転中心に設けた中心軸の下端を
尖らし、かつ該中心軸を中心に所定の角度間隔で設けた
３個以上のキャスターを有し、前記中心軸は、前記のキ
ャスターのうち、一部のキャスターのみが接地し、他の
キャスターは浮き上がるように中心軸を高くできる構造
のケーブル繰り出し装置を用い、中心軸を高くして、一
部のキャスターのみを接地させ、回転台上のケーブル束
からケーブルを引っ張って繰り出しを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として電力用のケー
ブルの配線工事などを行なう際に、コイル状に巻かれた
ケーブル束からケーブルを繰り出す方法および装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】図１０はケーブルユニットを示す図で、
（１）は斜視図、（２）は中心断面図である。巻芯１の
両端に円形の枠２、３を固定することで巻き枠が構成さ
れており、巻心１にケーブル４を巻き付けてある。この
ケーブル４は、百メートル以上に及ぶこともある。

【０００３】このように、ケーブル４を巻心１に巻いた
状態で、ケーブルの保管や運搬が行なわれる。ケーブル
を繰り出して配線に使用する際に、巻き枠を固定させた
状態で、ケーブル４を繰り出していくと、繰り出された
ケーブルが捻じれるため、円滑な配線工事が困難とな
る。

【０００４】そこで、両側の枠２、３の中心の穴１ａに
軸棒５を挿通し、該軸棒の両端を支持台に支持した状態
で、巻き枠を回転させて、ケーブルを繰り出すことが行
なわれている。この装置は、軸棒５が傾いていると、ケ
ーブルが巻かれた巻き枠が低い方に移動するため、両側
の支持台の高さがそろうように高さ調節するジャッキが
付いている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のケーブル繰り出
し装置は、他にも種々の構造をした物が市販されている
が、前記のようにジャッキを要するなど、構造が複雑か
つ大型となり、高価な物となっていた。また、移動や取
り扱いも困難で、作業能率に支障を来していた。

【０００６】本発明の技術的課題は、このような問題に
着目し、構造が簡単かつ小型軽量で安価に提供でき、移
動や取り扱いも簡便で能率的に作業できるケーブル繰り
出し方法およびケーブル繰り出し装置を実現することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の技術的課題は次
のような手段によって解決される。請求項１は、ケーブ
ル繰り出し方法の発明であり、回転台の中心軸の下端を
設置面に突き立てた状態で、該中心軸を中心に所定の角
度間隔で設けた３個以上のキャスターのうち、一部のキ
ャスターのみが接地し、他のキャスターは浮き上がるよ
うに中心軸を高くした状態とする。そして、前記の回転
台の上に、コイル状に巻かれたケーブル束を、その中心
軸線が鉛直方向となるように載置し、ケーブルを引っ張
って回転台を回転させながら、ケーブルの繰り出しを行
なう。

【０００８】このように、中心軸が高いと、一部のキャ
スターのみが接地し、他のキャスターは浮き上がるた
め、中心軸下端が設置面に突き刺さることで、ケーブル
束は移動できず、しかも該中心軸を中心にして回転台が
自由に回転できるため、ケーブル束のケーブル先端を引
っ張るだけで回転台上のケーブル束が容易に回転でき
る。したがって、回転台上のケーブル束からのケーブル
の繰り出しが極めて容易となり、作業能率が向上する。

【０００９】請求項２は、ケーブル繰り出し装置の発明
であり、回転台の回転中心に設けた中心軸の下端を尖ら
し、かつ該中心軸を中心に所定の角度間隔で設けた３個
以上のキャスターを有し、前記中心軸は、前記のキャス
ターのうち、一部のキャスターのみが接地し、他のキャ
スターは浮き上がるように中心軸を高くできる構造とな
っている。

【００１０】このように、ケーブル束を載置する回転台
の回転中心に設けた中心軸の下端を尖らし、かつ１また
は２個以外はキャスターが浮き上がるように中心軸の高
さ調節が可能なため、この装置を使用することで、請求
項１の方法を容易に実施できる。また、構造が簡単で小
型軽量なため、低コストで提供できる。回転台の一端を
持ち上げるか、全てのキャスターが接地するように中心
軸を引っ込めれば、ケーブル束などの運搬も容易に行な
える。

【００１１】なお、中心軸の高さの高い状態で固定した
構造や、回転台の移動時には中心軸を外し、ケーブル繰
り出し時には中心軸を装着して一部のキャスターが接地
しない状態とし、回転台を回転させる構造も可能であ
る。

【００１２】請求項３は、請求項２記載の回転台に、回
転中心から放射方向に２または３以上のガイド手段を設
け、各ガイド手段に放射方向にスライド可能に支柱を立
て、かつ各支柱をガイド手段にロックする手段を備えて
いるケーブル繰り出し装置である。

【００１３】このように、放射方向にスライドさせてロ
ックできる支柱を２本または３本以上備えているため、
巻き枠無しのケーブル束を載置する際に、前記複数本の
支柱がケーブル束の中央の空間に入るように載置するこ
とにより、ケーブル束の重心と中心軸とを容易に一致さ
せることができる。その結果、回転台の回転が円滑とな
り、ケーブルの繰り出しが容易になる。また、ケーブル
束が崩れるのを防止できる。

【００１４】

【発明の実施の形態】次に本発明によるケーブル繰り出
し方法およびケーブル繰り出し装置が実際上どのように
具体化されるか実施形態を説明する。図１は十字形回転
台の実施形態を示す斜視図である。６は十字状に形成さ
れた回転台であり、回転中心６ｄから放射状に４本のフ
レーム６１、６２、６３、６４が延びている。したがっ
て、円周方向に９０度の角度間隔を有している。各フレ
ーム６１、６２、６３、６４の下には、キャスター７が
支持されている。

【００１５】この図における回転台６は十字状をしてい
るが、図５〜図７のように三股状でもよく、図８、図９
のような板状ないし盤状でもよい。つまり、コイル状に
巻かれたケーブル束を載置でき、下側にキャスターを取
り付け可能であれば足りる。

【００１６】回転台６の中央部６ｄの下側には、中心軸
８を取り付けてある。図２は、中心軸８の取り付け部の
詳細を示す断面図であり、図示例では、メネジ９が形成
された筒体１０を、回転台６の中央部６ｄの下に溶接な
どで固定してある。そして、このメネジ９中に途中まで
中心軸８のオネジ部８ａをねじ込んだ状態で、ダブルナ
ット１１を螺合させてロックしてある。中心軸８の下端
８ｂは、尖った形状をしている。

【００１７】各フレーム６１（６２〜６４）には、支柱
１２が移動可能に固定されている。図３は、支柱１２の
固定部の断面図であり、図示例では断面Ｕ字状のフレー
ム６１（６２〜６４）の上縁から内側に、かつ斜め下向
きに曲げられた折り曲げ部６ａ、６ｂの下側に、メネジ
付きの当て金１３を当て、上から支柱１２のオネジ部１
２ａが螺入されている。このとき、支柱１２の下端の尖
端部１２ｂがフレーム６１（６２〜６４）の溝底板６ｃ
に当接し、かつ支柱１２が回転不能となるまで強く締め
つけると、当て金１３が折り曲げ部６ａ、６ｂの下側に
強く圧接した状態となる。

【００１８】この状態で、支柱１２を挿通できる貫通孔
の開いた被せ板１８をフレーム６１（６２〜６４）の上
に被せた状態で、オネジ部１２ａに螺合しているナット
１５を締めつけると、支柱１２はフレーム６１（６２〜
６４）に強固に固定され、移動不能となる。

【００１９】ナット１５を緩めた状態で、支柱１２を緩
めて当て金１３を折り曲げ部６ａ、６ｂから多少離す
と、支柱１２はフレーム６１（６２〜６４）にガイドさ
れてスライド可能となるため、支柱１２の位置は自由に
選択し設定できる。

【００２０】回転台６の中央部６ｄから一定の距離に各
支柱１２を設定して固定した状態で、図４のように、ケ
ーブルをコイル状に巻いた束１４を載せる。このとき、
支柱１２・・・の全部が、ケーブル束１４の中央の空間
１４ａに入るように位置決めして載せる。また、ケーブ
ル束１４を載せる前に、図２における中心軸８の高さＨ
を調節して、４個のキャスターのうち、１または２個の
みが設置面に接し、他のキャスターは設置面から離れる
ようにセットする。

【００２１】この状態で、ケーブル束１４のケーブル先
端を引っ張ると、設置面に突き刺さった中心軸８を中心
にして、回転台６が容易に回転するため、ケーブルが捻
じれたりすることなしに、円滑に引き出され、繰り出し
が行なわれる。

【００２２】図２において中心軸８を筒体１０中に引っ
込めて、中心軸下端８ｂが設置面から浮き上がり、全て
のキャスター７…が設置面に接するように高さＨを調節
すると、回転台６が移動可能となる。したがって、ケー
ブル束１４その他の物を移動したり運搬したりするのに
も兼用できる。

【００２３】図５から図７は、図１０のように巻き枠に
巻かれたケーブル束４の繰り出しに使用するもので、回
転台１６が、３本のフレーム１６１、１６２、１６３を
１２０度間隔に固定した三股構造になっている。そし
て、それぞれのフレーム１６１、１６２、１６３の下側
にキャスター７が取り付けられている。図５に示すよう
に、回転台１６には、図１〜図４のような支柱１２は付
いていない。図６に示すように、回転台１６の中央部１
６ａの下側には、図２の場合と同様な構造によって、中
心軸８を取り付けてある。

【００２４】図６は、このケーブル繰り出し装置の下側
を示すための斜視図であって、使用に際しては、図５の
ようにキャスター７を下側にして設置し、その上に図７
のようにケーブル４を巻いた枠を載せる。このとき、巻
き枠の中心線が鉛直方向になるように載せる。

【００２５】この状態で、中心軸８の下端が設置面に突
き刺さり、１又は２個のキャスター７のみが接地し、他
のキャスター７は浮き上がるように、中心軸８の高さを
調節しておけば、ケーブル束４の先端４ａを引っ張るこ
とで、中心軸８を中心に巻き枠が回転し、ケーブルが繰
り出される。

【００２６】中心軸８を引っ込めて、設置面に接しない
ようにしておけば、全てのキャスター７が接地するた
め、ケーブル束を載せて移動に使用できることは、前記
の通りである。なお、図１〜図４における各支柱１２を
取り外せば、図５〜図７と同様な使い方ができることは
言うまでもない。

【００２７】回転台として、フレーム数が３本の三股構
造と４本の十字構造を例示したが、５本以上の構造も可
能である。また、放射状のフレーム構造としないで、図
８、図９のような板（盤）状でもよい。すなわち、図９
のように、板（盤）状の回転台１７の中央部の下側に、
高さ調節可能な中心軸８を取り付け、該中心軸８を中心
にして、１２０度間隔にキャスター７を取り付けてあ
る。

【００２８】中心軸８は回転台１７に挿通され、回転台
を挟んだ二つのナット１９、２０に螺合している。上半
分８ｃは回転台１７から上に突出して、１本の支柱を成
しているが、この支柱部８ｃは短くしてもよい。

【００２９】また、回転台１７上にケーブル束を載せる
場合、前記の巻き枠無しのケーブル束１４の場合は、支
柱部８ｃを目安にして、該支柱部８ｃがケーブル束のほ
ぼ中心に位置するように大体の位置決めを行なえば、ケ
ーブル束１４の重心が中心軸８と一致するため、繰り出
し時のケーブル束の回転が円滑になる。

【００３０】巻き枠に巻かれたケーブル束４の場合は、
巻き枠の中心孔１ａに支柱部８ｃが入るように載置すれ
ば、ケーブル束の重心と中心軸８とが一致する。中心軸
８の下端が設置面に接しないように引っ込めれば、回転
台１７をケーブル束その他の運搬用に兼用できる。

【００３１】なお、一部のキャスターが接地しないよう
に、高さの高い中心軸８を回転台の中心下部に溶接など
で固定した構造や、中心軸８をワンタッチで着脱できる
構造とし、回転台の移動時には中心軸８を外して全キャ
スターが接地可能とし、ケーブル繰り出し時には中心軸
８を装着して一部のキャスターが接地しない状態とし、
回転台を回転させる構造も可能である。

【００３２】

【発明の効果】請求項１によると、中心軸が高いと、一
部のキャスターのみが接地し、他のキャスターは浮き上
がるため、中心軸下端が設置面に突き刺さることで、ケ
ーブル束は移動できず、しかも該中心軸を中心にして回
転台が自由に回転できるため、ケーブル束のケーブル先
端を引っ張るだけで回転台上のケーブル束が容易に回転
できる。したがって、回転台上のケーブル束からのケー
ブルの繰り出しが極めて容易となり、作業能率が向上す
る。

【００３３】請求項２のケーブル繰り出し装置による
と、ケーブル束を載置する回転台の回転中心に設けた中
心軸の下端を尖らし、かつ１または２個以外はキャスタ
ーが浮き上がるように中心軸の高さ調節が可能なため、
この装置を使用することで、請求項１の方法を容易に実
施できる。また、構造が簡単で小型軽量なため、低コス
トで提供できる。回転台の一端を持ち上げるか、全ての
キャスターが接地するように中心軸を引っ込めれば、ケ
ーブル束などの移動も容易に行なえる。

【００３４】請求項３によると、放射方向にスライドさ
せてロックできる支柱を２本または３本以上備えている
ため、巻き枠無しのケーブル束を載置する際に、前記複
数本の支柱がケーブル束の中央の空間に入るように載置
することにより、ケーブル束の重心と中心軸とを容易に
一致させることができる。その結果、回転台の回転が円
滑となり、ケーブルの繰り出しが容易になる。ケーブル
束が崩れるのを防止することもできる。また、各支柱を
取り外せば、巻き枠付きのケーブル束にも適用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 回転台が十字形のケーブル繰り出し装置の実
施形態を示す斜視図である。

【図２】 中心軸の取り付け部の詳細を示す断面図であ
る。

【図３】 支柱の固定部の断面図である。

【図４】 図１のケーブル繰り出し装置の使用状態を示
す斜視図である。

【図５】 回転台が三股状のケーブル繰り出し装置の斜
視図である。

【図６】 図５のケーブル繰り出し装置を下側から見た
斜視図である。

【図７】 図５のケーブル繰り出し装置の使用状態を示
す斜視図である。

【図８】 回転台が板（盤）状のケーブル繰り出し装置
の斜視図である。

【図９】 図８のケーブル繰り出し装置を下側から見た
斜視図である。

【図10】 巻き枠付きのケーブルユニットを示す図で、
（１）は斜視図、（２）は中心断面図である。

【符号の説明】

１ 巻芯 ２、３ 円形枠 ４ ケーブル束 ６ 十字状の回転台 ６１〜６４ フレーム ６ａ、６ｂ 折り曲げ部 ７ キャスター ８ 中心軸 ８ｂ 中心軸の下端（先端部） ９ メネジ部 １０ 筒体 １１ ダブルナット １２ 支柱 １３ メネジ付きの当て金 １４ 巻き枠無しのケーブル束 １６ 三股状の回転台 １６１〜１６３ フレーム １７ 板（盤）状の回転台

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転台の中心軸の下端を設置面に突き立
   てた状態で、該中心軸を中心に所定の角度間隔で設けた
   ３個以上のキャスターのうち、一部のキャスターのみが
   接地し、他のキャスターは浮き上がるように中心軸を高
   くした状態で、 前記の回転台の上に、コイル状に巻かれたケーブル束
   を、その中心軸線が鉛直方向となるように載置し、ケー
   ブルを引っ張って回転台を回転させながら、ケーブルの
   繰り出しを行なうことを特徴とするケーブル繰り出し方
   法。
2. 【請求項２】 回転台の回転中心に設けた中心軸の下端
   を尖らし、かつ該中心軸を中心に所定の角度間隔で設け
   た３個以上のキャスターを有し、前記中心軸は、前記の
   キャスターのうち、一部のキャスターのみが接地し、他
   のキャスターは浮き上がるように中心軸を高くできる構
   造となっていることを特徴とするケーブル繰り出し装
   置。
3. 【請求項３】 前記の回転台に、回転中心から放射方向
   に２または３以上のガイド手段を設け、各ガイド手段に
   放射方向にスライド可能に支柱を立て、かつ各支柱をガ
   イド手段にロックする手段を備えていることを特徴とす
   る請求項２記載のケーブル繰り出し装置。