JPH10129373A - 危険度評価装置 - Google Patents

危険度評価装置

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Publication number
JPH10129373A
JPH10129373A JP8288168A JP28816896A JPH10129373A JP H10129373 A JPH10129373 A JP H10129373A JP 8288168 A JP8288168 A JP 8288168A JP 28816896 A JP28816896 A JP 28816896A JP H10129373 A JPH10129373 A JP H10129373A
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JP
Japan
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vehicle
distance
risk
danger
driver
Prior art date
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Application number
JP8288168A
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English (en)
Inventor
Yoshijirou Watanabe
嘉二郎 渡辺
Jun Nishino
潤 西野
Katsushi Oneda
克司 大根田
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Marelli Corp
Original Assignee
Kansei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 交通事故データを用いなくとも、車両走行中
に、自車両の衝突の危険度を適切に評価して運転者に知
覚させることのできる危険度評価装置を提供することに
ある。 【解決手段】本発明の危険度評価装置は、自車両の速度
V0を検知する速度検知手段2と、自車両に対する前方
車両の距離を検出する距離検出手段1と、運転者の反応
時間trと自車両の絶対速度V0とを積算し、その積算
結果を自車両に対する前方車両の推定距離Xs(t)に
基づいて除算することにより危険度Ds(t)を算出す
る算出手段32と、その算出手段32の算出結果に基づ
いて危険度Ds(t)を運転者に知覚させる知覚手段6
とを備え、下記式に基づいて自車両の危険度を評価す
る。 Ds(t)={V0(t)×tr×Wl(t)}/xs
(t)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両走行中に、車両の
衝突の危険度を適切に評価して運転者に知覚させること
のできる危険度評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車は、交通、輸送の手段として重要
であるが、同時に交通事故による人的損失、物的損失を
生じ、交通安全が重要な社会的課題となっている。今
日、各種の交通安全対策が施行され、事故の発生件数は
減少傾向にあるが、今後も交通事故の減少が社会的課題
にあることには変わりはない。
【0003】その交通安全対策は、自動車交通システム
を総合的に勘案して広い視野に立って行わなければなら
ないが、その一つとして自動車自体の安全性を向上させ
ることが行われている。その自動車の安全性には、受動
的安全性の側面と能動的安全性の側面とがあると言われ
ており、受動的安全性とは、自動車が衝突した瞬間から
効力を発揮する安全性のことであり、例えば、セーフテ
ィベルト、エアバッグ等を装備することによる安全性で
ある。能動的安全性とは、事故を起こしにくくするこ
と、あるいは事故を回避し易くすること、すなわち、自
動車が衝突する前に効力を発揮する安全性のことであ
る。
【0004】特に、最近では、未然に事故の発生を回避
する事故回避対策が研究の課題となっているが、事故発
生原因が多岐に渡っていることから、その事故回避対策
も極めて広範囲に渡っている。事故回避対策の最終的課
題は、事故の発生原因を作らないことであるが、事故の
発生の可能性の高い状況が生じたときに、速やかに危険
を運転者に知らせ、その危険な状況を回避させることも
交通安全対策の一つの重要な課題として考えられる。
【0005】その自車両が事故の発生の可能性が高い状
況にあるか否か、すなわち危険であるか否かを判断する
には、その危険度の評価基準を作成しなければならない
が、これには、(1)統計解析的に道路危険区間を抽出
する方法と(2)錯綜技法とが知られている。
【0006】(1)の方法は、道路区間における事故発
生率を統計的確率分布(通常ポアソン分布)に従うもの
とし、区間推定方法により危険度を抽出する方法、ある
いは回帰分析によって道路区間の事故発生件数を求め、
道路区間全体に対して統計的信頼限界(ポアソン分布又
は正規分布)を用いて自車両の危険度を抽出する方法で
ある。
【0007】これに対して、(2)の方法は、交通事故
データの統計処理を必要とせずに自車両の危険度(事故
の発生可能性)を評価する方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、(1)の方
法は、事故データを収集するのにかなりの期間を要し、
今日のような事故発生箇所の特異性がはっきりしない状
況では、事故データのみを用いて、危険度を評価するこ
とが困難となりつつあり、これに対して、(2)の方法
は、錯綜を交通事故の潜在的危険性を表わす指標として
用いている。この錯綜と交通事故との間には一意的な対
応関係が明確にあるとは言えないが、錯綜数と事故発生
数との間には有意の相関があることとから、これを用い
て危険度を評価することが考えられる。
【0009】つまり、(2)の方法を用いて、自車両の
危険性を運転者に知らせることにすれば、運転者自身が
自分の運転技量に応じて、危険性が低くなる方向に車両
を運転するであろうから、結果的に事故の発生を未然に
防止することができるであろうと考えられる。
【0010】本発明は、上記の事情に鑑みて為されたも
ので、その目的とするところは、交通事故データを用い
なくとも、車両走行中に、自車両の衝突の危険度を適切
に評価して運転者に知覚させることのできる危険度評価
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の危険度
評価装置は、上記の課題を解決するため、自車両の速度
を検知する速度検知手段と、自車両に対する前方車両の
距離を検出する距離検出手段と、運転者の反応時間と自
車両の速度とを積算し、その積算結果を自車両に対する
前方車両の距離に基づいて除算することにより危険度を
算出する算出手段と、その算出手段の算出結果が基準値
を越えたか否かを判断する判断手段と、その判断手段か
らの判断結果に基づいて危険度を運転者に知覚させる知
覚手段とを有する。
【0012】請求項2に記載の危険度評価装置は、前方
車両が同一車線にあるか否かを判断する判断手段を備
え、前記算出手段は、前方車両が隣の車線にあるときに
は、危険度が低くなるように重みづけを行うことを特徴
とする。
【0013】請求項3に記載の危険度評価装置は、前記
前方車両が同一車線にあるとき、前記重みづけ係数を
1、前記前方車両が同一車線にないとき、前記重みづけ
係数を0.5としたことを特徴とする。
【0014】請求項4に記載の危険度評価装置は、自車
両の速度を検知する速度検知手段と、自車両に対する前
方車両の距離を検出する距離検出手段と、運転者の反応
時間と自車両の速度とを積算し、その積算結果を自車両
に対する前方車両の推定距離に基づいて除算することに
より危険度を算出する算出手段と、その算出手段の算出
結果が基準値を越えたか否かを判断する判断手段と、そ
の判断手段からの判断結果に基づいて危険度を運転者に
知覚させる知覚手段とを備え、下記式に基づいて自車両
の危険度を評価することを特徴とする。
【0015】Ds(t)={V0(t)×tr×Wl
(t)}/xs(t) ここで、Ds(t)は危険度、V0(t)は自車両の絶
対速度、trは反応時間、Wl(t)は車線の重みづけ
係数、xs(t)は自車両と前方車両との推定距離であ
る。
【0016】請求項5に記載の危険度評価装置は、前記
車線の重みづけ係数Wl(t)は、前方車両が自車両の
走行車線と同一車線にあるとき、Wl(t)=1、前方
車両が自車両の走行車線と同一車線にないとき、Wl
(t)=0.5であることを特徴とする。
【0017】請求項6に記載の危険度評価装置は、前記
算出手段が前記推定距離をカルマンフィルタによって求
めることを特徴とする。
【0018】各請求項に記載の発明の物理的意味は、以
下に記載する通りである。
【0019】自車両の絶対速度V0(t)が大きいと危
険度Ds(t)は増大する。反応時間trが大きいと、
危険を察知してから衝突を回避するまでの動作が遅れる
ため、前方車両と衝突する危険度が増大し、反応時間t
rが小さいと危険を察知してから衝突を回避するまでの
動作が早いため、前方車両と衝突する危険度が減少す
る。この反応時間trは運転者による個人差があり、ま
た、同一人の場合でも運転技量の向上、体調等によって
変化する変動要因と考えられる。
【0020】従って、絶対速度V0(t)と反応時間t
rとの積が大きいほど危険度Ds(t)が増大する。ま
た、前方車両が隣の車線を走行している場合には、同一
車線を走行している場合に較べて、衝突の危険は少な
く、従って、前方車両が同一車線を走行している場合の
重みづけ係数Wl(t)を1とすると、これよりも危険
度Ds(t)は小さくなると考えられるので、係数Wl
(t)を「1」よりも小さく設定する。この発明では、
0.5に設定しているが、この数値は適宜設定可能であ
ると考えられる。
【0021】次に、自車両と前方車両との推定距離Xs
(t)が小さい場合には、前方車両と自車両とが接近し
ていると考えられるので、衝突の危険性が高いと考えら
れ、またその反面、自車両と前方車両との推定距離Xs
(t)が大きい場合には、前方車両と自車両とが離れて
いると考えられるので、衝突の危険性が低いと考えられ
る。従って、絶対速度V0(t)と反応時間trとの積
を推定距離Xs(t)で除算することにより、危険度D
s(t)を適正に評価できる。
【0022】なお、推定距離Xs(t)ではなく、レー
ザビームの反射時間から算出した実測距離X(t)を用
いても構わない。
【0023】よって、算出手段の算出結果に基づいて、
危険度が所定値以上増大したとき、知覚手段により運転
車に危険を知覚させるようにすれば、車両走行中に、危
険度を適切に評価して運転者に自車両の危険性を知覚さ
せることができるので、交通事故低減の一助となる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1において、1は自車両に対す
る前方車両の距離を検出する距離検出手段、2は自車両
の車速を検出する車速センサ、3は信号処理回路であ
る。距離検出手段1は自車両から前方車両までの距離を
検出する距離検出手段としての役割を有し、車速センサ
2は自車両の絶対速度V0を検出する検出手段としての
役割を有する。
【0025】距離検出手段1は駆動信号発生回路11、
切替えドライバ12、3個のレーザーダイオード13、
受光素子14、増幅回路15、カウンタメモリ回路1
8、クロックパルス発生回路19を備えている。駆動信
号発生回路11は信号処理回路3の制御信号に基づき駆
動信号を切替えドライバ12を駆動する。切替えドライ
バ12は駆動信号に基づき3個のレーザーダイオード1
3を順次切替え駆動する。
【0026】レーザーダイオード13から出射される3
本のレーザービームは、図2に示すように、中央のレー
ザービームP2の測定エリアSaに対してその両側のレ
ーザービームP1、P3の測定エリアSb、Scが対称
でかつその一部が中央のレーザービームP1の測定エリ
アにオーバラップされている。そのレーザービームP1
〜P3の有効測定距離は約100m〜約120m、各レ
ーザービームP1〜P3の水平広がり角は約30ミリラ
ジアン、この各レーザビームP1〜P3による最大検知
幅は約3.5mである。
【0027】この各レーザービームのパルス幅は、ここ
では10ナノ秒であり、その周期は約1000分の1秒
である。各レーザビームP1〜P3はこの順番で繰り返
し射出される。レーザービームP1〜P3の反射光は受
光素子14により受光され、その受光出力は増幅回路1
5で増幅されてカウンタメモリ回路18に入力される。
カウンタメモリ回路18は駆動信号発生回路11の駆動
信号が出力された時点から増幅信号が得られる時点まで
の間、クロックパルス発生回路19からのクロックパル
スを計数することにより前方対象物までの距離生データ
(計測生データ)を得る。この計測生データは逐次演算
回路部32に入力される。この計測生データの個数は、
例えば、0.1秒間(単位時間)当り、各測定エリアS
a〜Scについて約8000個である。また、計測デー
タの分解能(距離測定精度)は0.1mである。この
0.1秒間の間に得られる計測生データは、分解能によ
るランダム誤差、車両自体の振動に伴うランダム誤差等
の各種要因によりバラついている。演算回路部32は
0.1秒毎に得られる各測定エリアSa〜Sc毎の計測
生データの平均値を演算する。従って、各測定エリアS
a〜Scについて0.1秒毎に平均値としての計測デー
タが得られる。演算回路部32はプログラムメモリ3
3、データメモリ34との間で情報の授受を行う。プロ
グラムメモリ回路部33には下記に説明するカルマンフ
ィルタに関する演算プログラムが保存されている。
【0028】カルマンフィルタは、ノイズが存在する測
定条件下で、統計的入力外乱を受けるシステムの状態変
数の値を推定するのに用いられ、状態変数として推定し
たいシステムを
【数1】 とする。
【0029】この時、このシステムに対する同一次元オ
ブザーバは、下記式によって表わされる。
【0030】
【数2】 ここで、推定値xs(t)と平均値としての計測データ
x(t)との誤差e(t)を e(t)=xs(t)−x(t) …(3) とする。
【0031】次に、外乱、初期値について下記式によっ
て表わされる仮定を設ける。
【0032】
【数3】 ここで、式(4)はv(t)、w(t)の平均値が零で
あること、式(5)はv(t)、w(t)の共分散行列
であること、式(6)はv(t)、w(t)が無相関で
あることを意味し、E[]は各時刻(各時点)tにおけ
る集合平均、δはディラックのデルタ関数、「all」
は「全ての」を意味する。
【0033】ディラックのデルタ関数は下記式によって
表わされる。
【0034】
【数4】 上記仮定のもとで、下記(8)式で表わされる時刻tで
の2乗平均誤差を最小にするようにゲイン行列Kを決定
する。このとき、(2)式をカルマンフィルタという。
【0035】
【数5】 特に、t→∞となるときに最適となる定常カルマンフィ
ルタは、下記(9)式で表わされる。
【0036】
【数6】 ただし、上記式に含まれる記号Pは下記のリカッチ(Ri
catti)の方程式を満たす正定の唯一解である。
【0037】
【数7】 そこで、レーザーレーダによる前方車両状況を推定する
ため、計測された距離データから前方車両の座標と速度
とを推定するシステムを考え、この推定にカルマンフィ
ルタを適用する。このシステムは、車両進行方向(x方
向)については定速度モデルと仮定すると、下記(1
1)式によって表わされる。
【0038】
【数8】 ここで、x(t)は自車両から前方車両までのx方向距
離、bはt=0における自車両から前方車両までのx方
向距離、いわゆる初期距離、aは係数である。dx
(t)/dtは自車両と前方車両とのx方向の相対速
度、dv(t)/dtは自車両と前方車両との相対加速
度、xmは自車両から前方車両までのx方向計測デー
タ、wx(t)はx方向についての観測ノイズである。
【0039】また、車両進行方向と直交する方向、いわ
ゆる左右方向(y方向)については、速度がほとんど0
と考えられるので、定位置モデルと仮定すると、下記
(12)式によって表わされる。
【0040】
【数9】 ここで、y(t)は自車両から前方車両までのy方向距
離、aは任意の時点t=t0における自車両から前方車
両までのy方向距離、vy(t)はy方向相対速度であ
る。dy(t)/dtは自車両と前方車両とのy方向相
対速度、ym(t)は自車両から前方車両までのy方向
計測データ、wy(t)はy方向についての観測ノイズ
である。
【0041】また、vx(t)、vy(t)、w
x(t)、wy(t)の共分散行列をQx、Qy、Rx、Ry
とする。
【0042】まず、x方向について考えると、下記(1
3)、(14)式が成り立つ。
【0043】
【数10】 そこで、計算の便宜を図るため、上記(13)、(1
4)式の各要素について、
【数11】 と置き、上記式を変形すると、
【数12】 が得られる。
【0044】また、P、Rについて、
【数13】 とおけば、K=PCT-1 の式から、下記(17)式
が得られる。
【0045】
【数14】 ここで、Qについて、
【数15】 とおくと、下記(19)のリカッチ(Ricatti)の方程
式に基づき、
【数16】 下記(20)式が得られる。
【0046】
【数17】 上記(20)式によって表わされる行列をその演算法則
に基づき整理すると、
【数18】 が得られる。
【0047】この式を解くと、下記(22)式が得られ
る。
【0048】
【数19】 よって、カルマンゲイン行列Kは、
【数20】 である。
【0049】ここで、rxは、x方向の観測ノイズの分
散(例えば、計測データの分解能に相当する)を意味
し、或る時点tで得られた計測データをxm(t)、或
る時点tより手前の時点t´で得られた式(15)で表
わされるカルマンフィルタに基づく推定距離をxs(t
´)とするとき、|xs(t´)−xm(t)|を演算
し、|xs(t´)−xm(t)|が所定値εよりも小さ
いときには、式(23)で表わされる観測ノイズの分散
rをレーザー発光素子の計測データの分解能の二乗に設
定して式(15)で表わされる演算を実行することによ
り推定距離xs(t)を求め、この得られた推定距離x
s(t)に基づき前方車両をトレースし、|xs(t
´)−xm(t)|が所定値εよりも大きいときには、
前記分散rを無限大とすることにより、式(23)に基
づく演算を中止して、|xs(t)−xm(t)|が所定
値εよりも小さい結果が得られた時点t´での推定距離
xs(t´)を用いて前方車両をトレースすることとす
る。一方、qxは運転者のスピードに対する態度、感覚
に依存する量と考えられ、運転者が急激な加減速を行え
ば大きな値となり、そうでない場合には小さな値とな
る。ここでは、qx=1とする。このqxは各運転者毎に
設定することもできる。
【0050】次に、y方向について考えると、定位置モ
デルであるので、下記(24)式が成り立つ。
【0051】
【数21】 ここで、A=0、B=0、C=1とおけば、このシステ
ムに対する同一次元オブザーバは、下記(25)式とな
る。
【0052】
【数22】 また、R=ryとおくと、K=PCT-1の式から、
【数23】 が得られる。
【0053】Q=qy とおけば、下記(27)のリカ
ッチ(Ricatti)の方程式、
【数24】 により、下記(28)式が得られる。
【0054】
【数25】 よって、下記(29)式が得られ、
【数26】 最終的にy方向についてのカルマンゲインkは、
【数27】 となる。
【0055】ここで、観測ノイズの分散ryは、レーザ
レーダの分解能の2乗に依存し、分散qyは道路形状
(例えば、カーブ)に依存していると考えられる。
【0056】観測ノイズの分散rは、x方向についての
観測ノイズの分散とy方向についての観測ノイズの分散
rとを2乗平均したものとする。
【0057】演算回路部32はプログラムメモリ33の
プログラムとカウンタメモリ回路18からの出力データ
とに基づき、|xs(t´)−xm(t)|を演算し、|
xs(t´)−xm(t)|が所定値εよりも小さいとき
には、観測ノイズの分散rをレーザー発光素子の計測デ
ータの分解能の二乗に設定して推定距離xs(t)を求
め、この得られた推定距離xs(t)に基づき前方車両
をトレースし、|xs(t´)−xm(t)|が所定値ε
よりも大きいときには、分散rを無限大とすることによ
り、演算を中止して、|xs(t)−xm(t)|が所定
値εよりも小さい結果が得られた時点t´での推定距離
xs(t´)を用いて前方車両をトレースすると共に、
新たに初期値を設定し、カルマンフィルタを生成する。
【0058】図3に示すように、今、自車両S1に本発
明に係わる危険度評価装置が搭載されているものとし、
この自車両S1の前方に複数台の車両S2、S3、S
4、S5が存在するものとする。ここでは、自車両S1
は中央車線に位置し、車両S2、S3は左側の車線に位
置し、車両S4は中央車線に位置し、車両S5は右側の
車線に位置するものとする。ここで、車両S2は停車
中、車両S3、S4、S4は自車両よりも速い速度で進
行中とする。
【0059】図4はある時点t=t0=0で前方車両に
ついて測定を開始してから得られた計測データを、横軸
を時間軸として表わしたものである。ここで、グラフA
は、レーザビームP1の反射ビームにより得られる計測
データ、グラフBはレーザビームP2の反射ビームによ
り得られる計測データ、グラフCはレーザビームP3
反射ビームにより得られる計測データを示している。符
号P12はレーザービームP1が車両S2により反射される
ことにより得られた計測データ、符号P13はレーザービ
ームP1が車両S3により反射されることにより得られた
計測データ、符号P23はレーザービームP2が車両S3
より反射されることにより得られた計測データ、符号P
24はレーザービームP2が車両S4により反射されること
により得られた計測データ、符号P34はレーザービーム
3が車両S4により反射されることにより得られた計測
データ、符号P35はレーザービームP3が車両S4により
反射されることにより得られた計測データである。
【0060】各計測データP12、P13、P23、P24、P
34、P35にはデータの欠落がある。例えば、車両S2
そばを車両S3が横切った時には、車両S2の反射ビーム
は受光されず、従って、計測データP12にはデータ欠落
kが起こる。また、突発的に川霧等の濃い霧が流れて
来たときには、例えば、計測データP13、P23、P34
おいて、符号Pk´で示すようにほぼ同時にデータの欠
落が生じる。また、車両S4、自車両S1よりも相当に速
い速度で車両S5が走行して来たときには、車両S5が瞬
間的にレーザービームP3の検知領域内に入り、かつ、
検知領域外に脱出することになり、計測データP35は急
な傾斜を描くことになる。車線がカーブしている場合に
は、計測データP35は複雑な線を描き、かつ、複雑なデ
ータ欠落が生じる。
【0061】このような計測データに基づき演算回路部
32は、|xs(t´)−xm(t)|を演算する。この
演算結果が所定値εよりも小さい時には、計測データが
カルマンフィルタに対応しているとみなして、時点tに
おける推定値xs(t)を求める。この演算結果が所定
値εよりも大きい時には、計測データがカルマンフィル
タに対応していないとみなして、観測ノイズrを無限大
とし、新たなカルマンフィルタを生成する。すなわち、
rを無限大とおくと、カルマンゲインk1、k2は共に0
となり、カルマンフィルタを解くと、dxs(t)/d
t=vs(t)、dvs(t)/dt=0となり、これ
を時点t=tにおける初期値として設定する。そして、
この時点t=tにおける初期値により、新たな車両のト
レースを行うことになる。
【0062】図5は、その演算回路部32の処理の一例
を示すフローチャートであり、演算回路部32には各測
定エリア毎に測定された生の距離データ(計測生デー
タ)がカウンタメモリ回路18から入力され(S.
1)、各測定エリア毎の生の距離データは一時的にデー
タメモリ34に保存され(S.2)、演算回路部32は
0.1秒毎(S.3)に各測定エリア毎に得られた生の
距離データを平均して、今回の測定値X(t)を演算
し、この各測定エリア毎の演算結果を一時的に演算回路
部32のメモリに保存する(S.4)。次に、データメ
モリ34に保存された生の距離データをクリアすると共
に(S.5)、各測定対象についてこれまでに得られて
いる前回の推定値Xs(t´)と今回の測定値X(t)
との差を演算し、その差がεよりも小さいか否かを各測
定エリア毎に得られた測定値について判断する(S.
6)。その差がεよりも小さいときは、今回得られた測
定値X(t)がその測定対象のものであるとみなして、
その測定値X(t)に基づき今回の推定値を演算し、今
回の推定値に基づき測定対象の車両をトレースする
(S.7)。
【0063】各測定対象についてこれまでに得られてい
る前回の推定値Xs(t´)と今回の測定値X(t)と
の差がいずれについてもεよりも大きいときには、観測
ノイズの分散rを無限大であるとみなして、新たなカル
マンフィルタを設定した後(S.8)、各測定対象につ
いて前回の推定値Xs(t´)に基づき測定対象をトレ
ースする(S.9)。
【0064】次に、演算回路部32は測定対象の点をモ
ニタ6に表示する(S.10)。データメモリ34に
は、測定エリアSa〜Scに対応する図形が保存されて
おり、演算回路部32はその測定エリアSa〜Scに対
応する図形Sa´〜Sc´を図6に示すようにモニタ6
の画面6´に常時表示させている。各測定対象の推定値
Xs(t´)は、自車両からのX−Y方向位置座標の点
として表示され、ある測定対象について時間の経過と共
に新たな推定値Xs(t)が得られないときには、前回
の推定値Xs(t´)で代替されることになるので、所
定の時間が経過すると、その測定対象は測定エリア外に
脱出することになり、演算回路部32は各測定対象が測
定エリア内にあるか否かを監視し、その測定対象が測定
エリア外に脱出した時には(S.11)、その測定対象
についてのカルマンフィルタを消滅させる(S.1
2)。例えば、図3に示す測定対象としての各車両は図
6に符号S2´〜S5´で示すように点表示され、点S
2´、点S5´に対応する各車両はは0.1秒毎の演算
実行により数分の1秒ないし数秒後には、測定エリアS
a〜Scの外に脱出するので、この車両に相当するカル
マンフィルタが消滅され、その後ステップS.1に戻
る。
【0065】図7はこのようにして得られた車両のトレ
ース軌跡であり、符号Z2は車両S2のトレース軌跡、符
号Z3は車両S3のトレース軌跡、符号Z4は車両S4のト
レース軌跡、符号Z5は車両S5のトレース軌跡である。
このトレース軌跡は、モニター6の画面6´に適宜表示
され、また、例えば、自車両の車線に存在する前方車両
4が衝突危険領域に入った場合には、従来と同様に警
報器4による警告が行われる。
【0066】このように、演算回路部32は、自車両か
ら前方車両までの距離を推定する推定手段としての役
割、自車両が存在する車線に前方車両が存在するか否か
を判断する判断手段としての役割を果たす。この演算回
路部32には、運転者の反応時間trと自車両の絶対速
度V0(t)とを積算し、その積算結果を自車両に対す
る前方車両の距離X(t)(又は推定距離Xs(t))
に基づいて除算することにより危険度Ds(t)を算出
する算出手段がプログラムされている。その演算回路部
32には反応時間設定回路35と、重みづけ設定回路3
6とが接続されている。
【0067】自車両の絶対速度V0(t)が大きいと、
危険度Ds(t)は増大する。運転者の反応時間trが
大きいと、運転者が危険を察知してから衝突を回避する
までの動作が遅れるため、前方車両と衝突する危険度D
s(t)が増大する。運転者の反応時間trが小さい
と、危険を察知してから衝突を回避するまでの動作が早
いため、前方車両と衝突する危険度Ds(t)が減少す
る。この反応時間trは運転者による個人差がある。ま
た、同一人の場合でも運転技量の向上、体調等によって
変化する変動要因と考えられる。
【0068】従って、絶対速度V0(t)と反応時間t
rとの積が大きいほど、危険度Ds(t)は増大する。
また、前方車両が隣の車線を走行している場合には、同
一車線を走行している場合に較べて、衝突の危険は少な
い。従って、前方車両が同一車線を走行している場合の
重みづけ係数Wl(t)を1とすると、これよりも危険
度Ds(t)は小さくなると考えられる。よって、前方
車両が隣の車線を走行している場合には、重みづけ係数
Wl(t)を「1」よりも小さく設定する。この発明の
実施の形態では、0.5に設定したが、この数値は適宜
設定可能である。
【0069】次に、自車両と前方車両との距離X(t)
又は推定距離xs(t)が小さいと、前方車両と自車両
とが接近しており、衝突の危険性が高いと考えられる。
一方、自車両と前方車両との距離X(t)又は推定距離
xs(t)が大きいと前方車両と自車両とが離れてお
り、衝突の危険性が低いと考えられる。従って、絶対速
度V0(t)と反応時間trとの積を推定距離Xs
(t)で除算することにより、危険度Ds(t)を適正
に評価できる。
【0070】すなわち、下記式 Ds(t)={V0(t)×tr×Wl(t)}/xs
(t) に基づいて、危険度Ds(t)を求めることにより、危
険度Ds(t)を適正に評価できる。
【0071】車両走行中に上記式に基づいて得られた危
険度が所定値以上の時(例えば0.7以上の時)に、モ
ニター6の画面6´(図6参照)に表示させて、運転者
に衝突の危険性が増大したことを知覚させれば、運転者
は衝突の危険を未然に回避する行動を取ることができ、
未然に事故の発生を予防できることになる。なお、画面
6´に危険度を表示して運転者に知覚させる代わりに、
警報手段4を知覚手段として用いて衝突の危険性を運転
者に知覚させても良いし、音声発生手段を知覚手段とし
て用いて衝突の危険性の増大を警告するようにしても良
い。
【0072】また、反応時間trは外部スイッチ操作に
よって、運転者が所望の値に設定しても良い。また、更
に、危険回避のために、ブレーキ操作を行ったときに
は、それを検出して自動的に反応時間trの数値を設定
しても良い。また、ハンドル操作によって危険回避を行
ったときも同様である。
【0073】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成した
ので、車両走行中に、自車両の危険性を適切に評価して
運転者に知覚させることができるので、交通事故低減の
一助となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる危険度評価装置の要部構成を
示すブロック図である。
【図2】 レーザーレーダの照射範囲を示す模式図であ
る。
【図3】 車両の走行状況の一例を示す模式図である。
【図4】 各レーザービームにより得られた計測データ
の一例を示す模式図である。
【図5】 演算回路部の処理の一例を示すフローチャー
トである。
【図6】 モニタへの測定対象の表示の一例を示す図で
ある。
【図7】 各車両のトレース軌跡を示す模式図である。
【符号の説明】
1…距離検出手段 2…車速センサ(速度検知手段) 6…モニター(知覚手段) 32…演算回路部(算出手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自車両の速度を検知する速度検知手段
    と、 自車両に対する前方車両の距離を検出する距離検出手段
    と、 運転者の反応時間と自車両の速度とを積算し、その積算
    結果を自車両に対する前方車両の距離に基づいて除算す
    ることにより危険度を算出する算出手段と、 その算出手段の算出結果が基準値を越えたか否かを判断
    する判断手段と、 その判断手段からの判断結果に基づいて危険度を運転者
    に知覚させる知覚手段と、 を有する危険度評価装置。
  2. 【請求項2】 前方車両が同一車線にあるか否かを判断
    する判断手段を備え、前記算出手段は、前方車両が隣の
    車線にあるときには、危険度が低くなるように重みづけ
    を行うことを特徴とする請求項1に記載の危険度評価装
    置。
  3. 【請求項3】 前記前方車両が同一車線にあるとき、前
    記重みづけ係数を1、前記前方車両が同一車線にないと
    き、前記重みづけ係数を0.5としたことを特徴とする
    請求項1に記載の危険度評価装置。
  4. 【請求項4】 自車両の絶対速度を検知する速度検知手
    段と、自車両に対する前方車両の距離を検出する距離検
    出手段と、運転者の反応時間と自車両の絶対速度とを積
    算し、その積算結果を自車両に対する前方車両の推定距
    離に基づいて除算することにより危険度を算出する算出
    手段と、その算出手段の算出結果が基準値を越えたか否
    かを判断する判断手段と、その判断手段からの判断結果
    に基づいて危険度を運転者に知覚させる知覚手段とを備
    え、 下記式に基づいて自車両の危険度を評価することを特徴
    とする危険度評価装置。 Ds(t)={V0(t)×tr×Wl(t)}/xs
    (t) ここで、Ds(t)は危険度、V0(t)は自車両の絶
    対速度、trは反応時間、Wl(t)は車線の重みづけ
    係数、xs(t)は自車両と前方車両との推定距離であ
    る。
  5. 【請求項5】 前記車線の重みづけ係数Wl(t)は、
    前方車両が自車両の走行車線と同一車線にあるとき、W
    l(t)=1、前方車両が自車両の走行車線と同一車線
    にないとき、Wl(t)=0.5であることを特徴とす
    る請求項4に記載の危険度評価装置。
  6. 【請求項6】 前記算出手段は、前記推定距離をカルマ
    ンフィルタによって求めることを特徴とする請求項1及
    び4に記載の危険度評価装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7769498B2 (en) 2005-05-12 2010-08-03 Denso Corporation Driver condition detecting device, in-vehicle alarm system and drive assistance system
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