JPH10127798A - 避難用の緩降具 - Google Patents

避難用の緩降具

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JPH10127798A
JPH10127798A JP29185896A JP29185896A JPH10127798A JP H10127798 A JPH10127798 A JP H10127798A JP 29185896 A JP29185896 A JP 29185896A JP 29185896 A JP29185896 A JP 29185896A JP H10127798 A JPH10127798 A JP H10127798A
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reel drum
evacuation
transmission shaft
brake
split band
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Yoshiharu Takayanagi
義晴 高柳
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Abstract

(57)【要約】 【課題】火災その他の緊急時に、高所から容易且つ安全
に地上に降りることを可能とする避難用の緩降具を提供
する。 【解決手段】この避難用の緩降具では、背負子構造その
他の、避難者が1人ずつでのみ使用しうるような構造を
採用する。また、この緩降具には、ワイヤロープを巻き
付けたリールドラムのワイヤロープの巻きほどきに伴う
回転数が、予め定めた回転数を越えた場合にその回転数
を抑制するブレーキ装置を設けている。 【効果】この緩降具は、必ず1人ずつしか使用できない
ため、パニック状態で複数人が同時に緩降具を使用しよ
うとすることによる避難者の怪我を防止できる。また、
避難者の意志によらず、降下速度が一定の速さ以上とな
った場合には自動的にブレーキがかかるようにしたた
め、避難者の安全をより担保できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高所からの降下に
適した避難用の緩降具に関し、特に、火災その他の災害
の場合に、ビル、マンション、航空機避難口等の高所か
ら人間を安全に避難させるのに適した緩降具に関する。
【0002】
【従来の技術】火災が起きた場合には、何をおいてもそ
の建造物から避難することが必要である。もし火災が発
生した建造物が平屋の建造物であれば、避難を行うこと
は比較的容易である。しかし、火災が発生するのは必ず
しも平屋の建造物においてばかりではなく、ある程度の
高さを有する建造物においても火災が発生しうる。この
ような火災の場合、その建造物の高さが障害となり、避
難を行うことは必ずしも容易でなくなる。従って、火災
の際に、建造物から安全に降下できる避難具の開発が必
要となる。特に、近年においては、様々な事情から集合
住宅が増加し、その他の高層建造物も益々増加している
ため、高所から容易かつ安全に避難するための緩降具の
必要性も益々高くなっている。また、航空機の事故の際
などにも、比較的高い場所から避難しなければならず、
それに用いる緩降具の必要性が生じる。
【0003】建造物から避難するための避難具として、
脱出用シュートが広く知られている。この脱出シュート
は、両端に入口用及び出口用の開口部が設けられ、脱出
する高さ以上の長さとされた円筒状の布袋である。そし
て、それを用いて脱出を行う場合には、ビルの窓等に固
定された入口部からその脱出シュートに入り、滑り台の
要領で地上の出口に向かって滑り降りる。
【0004】しかし、この脱出シュートでは、脱出の際
の滑り降りる速度を調整することが難しい。そのため、
脱出シュートで地上に滑り降りてきたときに速度が出過
ぎていて避難者が怪我をすることがある。
【0005】また、この脱出シュートは、本来一人ずつ
使用するものであり、先に滑り降りた避難者が出口から
出た後に、次の避難者が滑り降りるものである。しか
し、火災等のパニックが起き易い状況下では、先に滑り
降りた避難者が袋から出る前に、次の避難者が慌てた滑
り始めることがあり、数人の避難者が団子状態で袋の中
を滑り降り、出口付近でそのまま地上に激突して怪我を
する場合があるという不具合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、火災その他の緊急時に、高所から容易且つ安全に地
上に降りることを可能とする避難用の緩降具を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本出願の出願人は、緩降
具について鋭意研究を続け、パニック状態にある避難者
に怪我がないように高所からの避難を成功させるには、
降下速度を自動的に調整して適当な範囲内に保つことが
でき、且つ、必ず一人ずつ使用されるような緩降具を用
いればよいとの知見を得るに至り、その知見に基づいて
以下の発明を完成させたものである。
【0008】本発明の避難用の緩降具の第一の特徴は、
避難者が1人ずつでしか使用できないような構造を採用
したことにある。即ち、本発明の避難用の緩降具では、
背負子構造を採用した。背負子構造を採れば、これを用
いることのできる避難者は自ずから1人に制限され、パ
ニックによる怪我の発生が未然に防止できると期待され
る。
【0009】また、この緩降具では、ロープを巻き付け
たリールドラムを背負子に設けている。そして、この緩
降具の使用時には、ロープの自由端を建築物、構造物そ
の他の固定物に固定して、ロープをリールドラムから巻
きほどきつつ伸延して高所から降下する。言ってみれ
ば、本発明の緩降具は、機械的な命綱に相当する。その
ため、このリールドラムは回転自在として背負子に固定
されている。尚、上記ロープは、ワイヤロープ、繊維ロ
ープを含む概念であり、緩降具を背負った人間の重さに
耐えられるようなロープを意味するものである。
【0010】しかし、リールドラムが単に回転自在とな
っているのみであれば、避難者は、重力に引かれて加速
しながら高速で地面に激突してしまう。このような不具
合を防止するために、本発明の緩降具には、ロープの巻
きほどきに伴うリールドラムの回転を伝達する伝達軸
と、リールドラムの回転数が予め定めた回転数を超えた
場合に、伝達軸を介してその回転数を減少させブレーキ
を掛けるブレーキ装置が設けられている。
【0011】つまり、リールドラムの回転は伝達軸によ
りブレーキ装置に伝達され、伝達軸がある回転数以上の
回転数で回転した場合、即ち避難者がある速度以上の速
度で落下する場合には、伝達軸に組み合わせて設けられ
たブレーキ装置がはたらき、伝達軸の回転数を自動的に
減少させる。従って、リールドラムの回転数が一定範囲
内に調整されることとなり、避難者の降下速度が、自動
的に適切な範囲内に保たれることになる。従って、本発
明の避難用緩降具によれば、避難者は、たとえパニック
状態にあっても安全に地上に降下できることになる。
尚、本緩降具を用いて降下を行う場合の降下速度は、避
難者の安全を考慮すると、1m/秒程度とするのがよ
い。
【0012】このブレーキ装置としては、例えば公知の
遠心クラッチブレーキを用いることが可能である。遠心
クラッチブレーキは、内周にブレーキライニングを施さ
れた中空円筒状の加圧部材と、制止時に、その外周面が
加圧部材との間に僅かに隙間を有するように、加圧部材
と同一の中心軸を持つようにして加圧部材の内部に配さ
れる円筒状の面を持つ回転子リングとからなる。そし
て、この回転子リングは、中心軸を含む複数の平面で分
割されており、さらに、伝達軸と接続されている。従っ
て、伝達軸がある回転数を超える速さで回転すると、回
転子リングが遠心力により外側に押し出され、加圧部材
に配されたブレーキライニングとの間で摩擦力を受けて
回転子リングの回転が妨げられ、これにより、伝達軸の
回転速度が自動的に一定範囲内に保たれる。このとき、
回転子リングはブレーキライニングとの間で摩擦力を受
け、いわゆる半クラッチ状態を保つ。
【0013】他にも、伝達軸の回転数がある回転数以上
に上がったときに、その回転による力で吸気を行い、そ
のときに発生する高圧の空気圧を用いて伝達軸に圧力を
かけるようなコンプレッサ装置を上記ブレーキ装置とし
て用いることができる。また、油圧を用いて同様のブレ
ーキ装置を構成することもできる。同様に、他の装置で
あって、回転数の上昇にともないその回転を妨げるよう
なはたらきをする装置であれば、本発明のブレーキ装置
に用いることが可能であり、本明細書で言うブレーキ装
置に含まれる。
【0014】また、伝達軸と組み合わせて、リールドラ
ムの回転数を増幅して伝達軸に伝える増幅装置を用いる
と更に好ましい。リールドラムの回転数を増幅して伝達
軸に伝えることにより伝達軸の回転数が上がり、ブレー
キ装置が伝達軸に与える摩擦力が小さくても伝達軸の回
転数を抑えることができるようになるからである。
【0015】また、本発明の緩降具には、リールドラム
を、回転不能な初期ロック状態から回転自在な開放状態
とできるようにされたロック装置が設けられている。こ
れは、この避難用の緩降具を用いて高所からの降下を始
めるときに、まず空中に制止した状態になってから降下
を開始したほうが、避難者の恐怖心を抑えることができ
ることを考慮して設けられたものである。このロック装
置は、必用に応じてリールドラムを、ロック状態又は開
放状態とできるものとする。このロック装置は、最終的
にリールドラムの回転をロックできるものであれば良
く、リールドラム自体に組み合わせて設けても、伝達軸
又は、増幅装置に組み合わせて設けてもよい。
【0016】降下を開始するとき、上記ロック装置は、
リールドラムを開放状態とするように切り換えられる。
このとき、ロック装置は、レバーを握ることにより開放
状態となるようにした握り型ロック装置とするのがよ
い。これは、人間がパニック状態となり、極度の緊張に
さらされたときは、手を開くよりも手を握り締める方が
普通であることを考慮したものである。具体的には、そ
の両端に締め付け用のアームを有し、伝達軸を包囲する
割バンドと、割バンドの内周に施されたライニングと、
割バンドを強圧方向に付勢する付勢手段と、割バンドの
両アームの内側に介在させ、必用時にその先端を近接さ
せることにより、両アームを拡開可能とした2本の棒状
体を有するレバーと、から上記握り型ロック装置を構成
することができる。
【0017】また、このロック装置を、レバーを回動す
ることより開放状態となるようにした回動型ロック装置
とするのもよい。これは、パニック状態にある人間が手
を振り回す動作をしがちなことを考慮したものであり、
その動作に対応してリールドラムが自然に開放状態とな
るようにしたものである。具体的には、その両端に締め
付け用のアームを有し且つ伝達軸を包囲する割バンド
と、割バンドの内周に施されたライニングと、割バンド
を強圧方向に付勢する付勢手段と、割バンドの両アーム
の内側に回動可能として介在され、必用時にそれを回動
させることにより、両アームを拡開可能としたレバー
と、からこの回動型ロック装置を構成することができ
る。
【0018】更に、本発明の緩降具では、上記握り型ロ
ック装置と、回動型ロック装置の双方を兼ね備えるよう
にするのもよい。このようにすれば、レバーを、握る及
び/又は回動させることにより、リールドラムを開放状
態にすることができるようになり、リールドラムの開放
が容易となる。つまり、このようにすれば、リールドラ
ムの初期ロック状態の開放がより容易となり、避難者の
生還の可能性がより高くなる。また、握り型ロック装置
は、握り締めていた手をレバーから放すと自然にリール
ドラムがロック状態に戻るものであるのに対し、回動型
ロック装置はレバーを回動させたあとにレバーから手を
放しても開放状態が維持される。従って、このような性
格の異なる2つのロック装置を設けることにより、より
様々な状況に対応できるようになる。
【0019】本発明の避難用の緩降具では、上記背負子
構造に代えて、1人の人間が握れる程度の大きさとした
持ち手を、緩降具に設け、避難者がそれを握って降下を
行い得るような構造を採用してもよい。このような構造
にしても、降下を1人ずつ行うことによるパニックの防
止という本発明の目的は達成される。但し、このような
構成とした避難用の降下具は、避難者の握力に頼る部分
が大きいため、それ程高くない、例えば高さ10m以内
の避難に適している。この持ち手を設けた避難用の緩降
具は、大型の飛行機からの避難に特に最適なものである
といえる。
【0020】尚、この持ち手を設けた避難用の緩降具
は、持ち手を設けて背負子を除いた点以外は、背負子構
造を採用した緩降具とほぼ同様の構造である。但し、持
ち手を設けた緩降具は、比較的低いところからの降下に
用いるものであり、降下の際の恐怖心も小さいと考えら
れるため、ロック装置を設けなくともよい。
【0021】
【発明の実施の形態】図1〜図11を参考にして、本発
明に係わる避難用の緩降具の実施形態を説明する。図1
〜図8は、本発明の避難用の緩降具の第1実施形態を表
す図であり、図9〜図11は、避難用の緩降具の第2実
施形態を表す図である。
【0022】第1実施形態: この緩降具では、図1に
示すように、背負子1にケース2が固定されている。そ
して、背負子1にはそれを避難者が背負うための一対の
ストラップ3が設けられ、更に、緩降具を避難者の胴体
部に巻き付けて固定するためのベルト4、及び脚部に固
定するためのベルト5が設けられている。尚、上記スト
ラップ3及びベルト4、5は、アジャスタ6により長さ
の調節が可能になっている。
【0023】また、ケース2には、開口部7が設けられ
ていて、そこから、回転自在にケース2に固定されたリ
ールドラム8が覗いている。また、リールドラム8には
ワイヤロープ9が巻き付けられている。
【0024】リールドラム8は、回転軸Aにビス10で
固定されている。また、このリールドラムと一体として
歯車11が形成されており、回転軸Aをリールドラム8
と共有している。尚、この歯車11の歯の枚数は100
枚とされている。
【0025】そして、この歯車11を含む一連の歯車機
構は、以下に説明する歯車12、13、14と共同して
リールドラムの回転数を増幅する増幅装置を形成してい
る。この歯車11は、図2に示すように、歯車12と噛
み合っている。この歯車12の歯の枚数は30枚であ
る。また、歯車12と一体として、歯の枚数が100枚
の歯車13が、設けられている。そして、この増幅装置
を構成する歯車12及び歯車13は、同一の回転軸Bを
共有している。
【0026】上記歯車13は、伝達軸としての回転軸C
に設けられた歯車14と噛み合っている。そして、伝達
軸の歯車14の反対側には、この伝達軸としての回転軸
Cと組み合わせるようにして、ブレーキ装置としての遠
心クラッチブレーキ15が設けられ、更に、その手前
に、ロック装置16が設けられている。
【0027】この遠心クラッチブレーキ15の構造は、
図3及び図4に示すとおりである。即ち、遠心クラッチ
ブレーキ15は、主に、中空円筒状の加圧部材17及び
クラッチボス18に連結されたクラッチシューとしての
4つの回転子リング19からなっている。
【0028】この加圧部材17の内周面上には、ブレー
キライニング20が施されている。そして、静止時に
は、このブレーキライニング20の内周面と、回転子リ
ング19の外周面の間には、僅かな間隙21ができるよ
うに配されている。
【0029】また、この回転子リング19とクラッチボ
ス18とには、凹部22、23がそれぞれ設けられてお
り、その両凹部に差し込まれるようにしてキーピン21
が設けられている。このキーピン24は、回転子リング
19と固定されているが、クラッチボス18に設けられ
た凹部23の内部で遊びを有しており、従って、回転子
リング19は、クラッチボス18の半径方向にスライド
可能となっている。そして、クラッチボス18は、キー
25を介して回転軸Cに固定されている。
【0030】また、上記ロック装置16は、以下のよう
に構成されている。まず、このロック装置16の中心を
なすのは、回転軸Cにキー26で固定された円筒形上の
ロックボス27と、そのロックボス27を取り囲むよう
に配され、一端をヒンジ28により結合された割バンド
29である。
【0031】そして、この割バンド29から伸びる2本
のアーム30には、相互に対応する位置に小孔31が穿
設してあり、その2つの小孔31を貫通してネジ32が
螺合されている。また、このネジ32は、ネジ頭とアー
ム30の間にバネ33を挟み込んでおり、このバネ33
は、割バンド29がロックボス27を付勢するようにア
ーム30を付勢している。また、ネジ32は先端部のみ
ネジが切ってあり、ネジ頭側のアームとは固定されてい
ない。尚、割バンド29のほぼ円筒状の部分の内面に
は、ロックライニング34が施されている。
【0032】また、アーム30の先端には、レバー35
が回動可能に連結されている。具体的には、アーム30
の両先端に、互いに向かい合うような小孔36を穿設
し、且つレバー35のアーム側の両先端に2つの円柱状
突起部37を設けて、そして、その突起部37を小孔3
6に回動可能に差し込むことによりレバー35をアーム
30に取り付けている。
【0033】また、レバー35は、軸38で軸支されて
おり、レバー35のアーム30に取り付けられていない
側の先端35を相互に接近させると、アーム30側の先
端40が互いに離反する向きに拡開するようになってい
る。このレバー35のアーム30側でない方の先端39
は、後述のように避難者が手で握る部分であるため、ケ
ース2の外に突き出るように設けられている。
【0034】更に、アーム30先端のレバー35に臨む
面には、円弧状のカム41が設けられている。そして、
そのカム41には、図7で示すように、端部αからβに
かけて徐々にカム41の厚みが大きくなるような傾斜が
付けられている。一方、レバー35には、この円弧状の
カム41と当接するようにカム42が設けられており、
このカム42の端部には、カム41に対応する角度が付
けられている。
【0035】次に図8に従って、この緩降具を用いた高
所からの降下方法を説明する。尚、この図では、ビルの
屋上からの降下の場合を示している。
【0036】この緩降具を用いて避難を行う場合、先
ず、背負子1を背負うことが必用である。その際、両ス
トラップ3に腕を通し、ベルト4を締め付けて背負子1
を胴体に固定し、更に、ベルト5に両足を通して背負子
1が体から離れないようにする。
【0037】次に、ワイヤロープ9の先端を、固定物に
固定する。避難を行う場合、このワイヤロープ9はかな
りの張力を受けるので、この固定は確実に行う必要があ
る。もちろん、ビルの柵や鉄扉等にワイヤロープ9を直
接結着してもよいが、ワイヤロープ9の先端に予め図1
の43で示したような固定具を取り付けておき、更に、
ビルの屋上に図8で示すような頑丈な金属環44を設置
しておき、その金属環44に固定具43を用いてワイヤ
ロープ9を固定するようにすると固定が確実となって好
ましい。
【0038】次に、避難者は、屋上の柵に固着された梯
子45に向かう。このとき、リールドラム8が初期ロッ
ク状態となっていると、梯子45への移動が出来ないた
め、レバー先端39を握るか及び/又はレバー35を回
動させるかしてリールドラム8を開放状態とする。
【0039】レバーのアーム30側でない先端39を握
ったときは、レバーのアーム30側の先端40が拡開
し、これによりアーム30が拡開される。従って、割バ
ンド29がロックボス27に与えている締め付け力が減
少し、伝達軸としての軸Cが回転可能となり、もってリ
ールドラム8が開放状態となる。
【0040】また、レバー35を回動させると、レバー
35の回動に伴いレバー35に設けられたカム38も回
動する。カム38が回動すると、カム38と噛み合って
いるカム41に徐々に厚みが大きくなるようなテーパー
が付けられているので、レバー35がアーム30と直行
するような位置に近づくにつれて、カム41をカム38
が押し上げるようになり、従って、カム41が両アーム
30を押し広げる。つまり、このようにレバー35を回
動させると、アーム30が拡開される。これにより、割
バンド29がロックボス27に与えている締め付け力が
減少し、伝達軸としての軸Cが回転可能となり、もって
リールドラム8が開放状態となる。尚、本実施形態で
は、体の前方にあるレバー35を体の左側方に水平に回
動させることにより、リールドラム8を開放状態とす
る。従って、この実施形態では、レバーの先端39を握
っても、レバー35を回動させても、リールドラム8を
開放状態とできるようになっている。
【0041】そして、上述のように、レバー先端39を
握りながら及び/又はレバー35を回動させたまま、つ
まり、リールドラム8を開放状態としたまま、避難者は
梯子45へ向かって移動し、図示したような、降下開始
位置に至る。尚、この梯子45は、避難者が自ら柵等に
固定するようにしてもよいし、予め柵等に固定しておい
てもよい。このような梯子45があれば、図示したよう
に避難者と建造物の距離をとれるため、避難者の安全性
が高まるので好ましい。もっとも、このような梯子45
がなくとも、この緩降具で降下を行うことは可能であ
る。
【0042】そして、避難者が上記開始位置に至ったと
き、避難者はリールドラム8をロック状態とする。
【0043】次に、リールドラム8をロック状態とした
まま、避難者は、梯子45から手足を放す。このとき、
リールドラム8は回転不能となっているので、避難者は
空中に静止し、降下することはない。
【0044】そして、避難者は、ロックレバー先端39
を握り及び/又はレバー35を回動させて再びリールド
ラム8を開放状態とし、降下を開始する。
【0045】リールドラム8を開放状態とすると、避難
者と緩降具にはたらく重力によりワイヤロープが巻きほ
どかれ、これに伴い、リールドラム8と一体に形成され
た歯車11が回動する。
【0046】この歯車11の回転数は、一連の歯車1
2、13及び14によって増幅される。具体的には、
(100/30)×(100/30)倍、即ち、およそ
11倍の回転数に増幅されて伝達軸としての回転軸Cに
伝達される。
【0047】伝達軸Cは、歯車14により伝達された回
転数で回転する。そして、避難者の落下速度の増大に伴
い、この軸Cの回転数も増大していく。軸Cの回転数が
ある回転数に達すると、クラッチボス18にキーピン2
4で連結された4つの回転子が遠心力により外側に孕
む。そして、この回転子リング19が加圧部材17に施
されたブレーキライニング20の内周から摩擦力を受
け、軸Cの回転数が減少する。これによりリールドラム
の回転数が減少し、その結果、避難者の降下速度が一定
範囲に保たれる。尚、このとき、軸Cの回転数は、リー
ルドラム8の回転数の約11倍の大きさとなっているの
で、ブレーキライニング20が回転子リング19に与え
る摩擦力が、増幅装置15のないときときとくらべる
と、11分の1で済む。
【0048】尚、避難者の降下速度は、秒速1m程度と
なるようにしてある。即ち、リールドラムの回転が秒速
1m程度の降下速度に対応する回転数となったときに、
ブレーキ装置14がはたらき、降下速度がそれ以上にな
らないように、増幅装置としての歯車11、12、1
3、及び14の回転比、回転子19とクラッチライニン
グ20の間の間隙21の大きさ、クラッチライニング2
0の素材等の選択を行ってある。
【0049】実際に、本発明者がこの装置を試作してみ
たところ、秒速1m程度のスピードで、怪我なく高所か
ら降下できた。
【0050】第2実施形態:次に本発明の緩降具の第2
実施形態について図9〜図11を用いて説明する。尚、
第2実施形態の説明をするにあたり、第1実施形態と重
複する部分には同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0051】本発明による避難用の緩降具の第2実施形
態は、背負子構造を採用しない点で第1実施形態と大き
く相違する。しかし、それ以外の点においては、基本的
に第1実施形態の避難用の緩降具と同様である。
【0052】この緩降具は、ケース2の下部に持ち手3
を設けている。そして、ケース2の内部には、ワイヤロ
ープ9を巻付けられ、回動可能としてケース2に固定さ
れたリールドラム8と、リールドラム8の回転数を増幅
する増幅装置11〜14と、増幅された回転数をブレー
キ装置としての遠心クラッチ15に伝達する伝達軸Cが
設けられている。
【0053】但し、この第2実施形態の緩降具にはロッ
ク手段16が設けられていない。この緩降具において
は、それ程高い所からの避難を予定しておらず、避難者
の恐怖心が小さいと考えられるため、空中で一端制止す
る必要がないと考えられるからである。
【0054】この緩降具2を用いた高所からの降下方法
を図11を用いて説明する。この図は、大型旅客機から
の降下を意図したものであり、降下する高さはおよそ5
〜6mである。
【0055】この緩降具を用いて飛行機から降下するに
は、避難者がこの緩降具の下部に設けられた持ち手46
をしっかりと握り、飛行機出口から出ることが必要であ
る。具体的には、滑り台状の避難具47を用いて、その
上を腹這いか仰向けで滑り降りるか、単に、持ち手46
を持った状態で緩降具にぶら下がりながら降下を行う。
この場合には、第1実施形態の緩降具の場合と同様に、
リールドラム8の回転数を増幅して伝達軸Cに伝達し、
その伝達軸Cの回転をブレーキ装置としての回転クラッ
チブレーキ15を用いて制御し、リールドラム8の回転
数を減少させ、もって避難者の降下の速度を調節する。
特に、この第2実施形態の緩降具を滑り台状の公知の避
難具47と合わせて使用する場合には、避難者の負担が
少なくなり、安全な降下が可能となる。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、高所からの降下を安全に行うことを可能とし、特
に、火災の際の高所からの避難を行う際に、たとえその
避難者がパニック状態にあったとしても、安全確実に降
下を行うことができる。また、この緩降具は、若干の仕
様の変更により、大型飛行機からの脱出や、登山等の広
い分野で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による避難用の緩降具の第1実施形態
を表す全体斜視図。
【図2】この発明による避難用の緩降具の第1実施形態
を表す断面図。
【図3】この発明による第1実施形態の避難用の緩降具
のブレーキ装置を表した断面図。
【図4】この発明による第1実施形態の避難用の緩降具
のブレーキ装置を表した側面図。
【図5】この発明による1実施形態の避難用の緩降具の
ロック装置を表した側面図。
【図6】この発明による避難用の緩降具のロック装置を
表した平面図。
【図7】この発明による避難用の緩降具のロック装置を
表した斜視図。
【図8】この発明による1実施形態の避難用の緩降具を
用いて、ビルの屋上から避難する状態を表す図。
【図9】この発明による避難用の緩降具の第2実施形態
を表す断面図。
【図10】この発明による避難用の緩降具の第2実施形
態を表す断面図。
【図11】この発明による第2実施形態の避難用の緩降
具を用いて、飛行機から避難する状態を表す図。
【符号の説明】
1 背負子 2 ケース 8 リールドラム 9 ワイヤロープ 11、12、13、14 増幅装置 15 ブレーキ装置 16 ロック装置 35 レバー C 伝達軸 46 持ち手

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在なリールドラムと、 自由端を建造物に固定自在とし、基端がリールドラムに
    巻き付けられ、使用時にリールドラムを回転させながら
    巻きほどかれて延伸されるロープと、 ロープの巻きほどきに伴うリールドラムの回転を伝達す
    る伝達軸と、 リールドラム回転数が予め定めた回転数を超えた場合
    に、伝達軸を介してリールドラムにブレーキを掛けるブ
    レーキ装置と、 リールドラムを初期ロック状態から開放状態とするロッ
    ク装置と、 そして、上記リールドラム、伝達軸、ブレーキ装置、及
    びロック装置を設ける背負子と、 を備えてなる避難用の緩降具。
  2. 【請求項2】 リールドラムの回転を増幅する増幅装
    置を伝達軸と組み合わせて設けた請求項1記載の避難用
    の緩降具。
  3. 【請求項3】 ブレーキ装置が、遠心クラッチブレー
    キである請求項1又は請求項2記載の避難用の緩降具。
  4. 【請求項4】 ロック装置が、 その両端に締め付け用のアームを有し、伝達軸を包囲す
    る割バンドと、 割バンドの内周に施されたライニングと、 割バンドを強圧方向に付勢する付勢手段と、 割バンドの両アームの内側に介在させ、必要時にその先
    端を近接させることにより、両アームを拡開可能とした
    2本の棒状体を有するレバーと、 からなる握り型ロック装置である請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載の避難用の緩降具。
  5. 【請求項5】 ロック装置が、 その両端に締め付け用のアームを有し、伝達軸を包囲す
    る割バンドと、 割バンドの内周に施されたライニングと、 割バンドを強圧方向に付勢する付勢手段と、 割バンドの両アームの内側に回動可能として介在され、
    必要時にそれを回動させることにより、両アームを拡開
    可能としたレバーと、 からなる回動型ロック装置である請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載の避難用の避難用の緩降具。
  6. 【請求項6】 ロック装置として、 握り型ロック装置と、回動型ロック装置の双方を備えた
    ものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の避難
    用の緩降具。
  7. 【請求項7】 回転自在なリールドラムと、 自由端を建造物に固定自在とし、基端がリールドラムに
    巻き付けられ、使用時にリールドラムを回転させながら
    巻きほどかれて延伸されるロープと、 ロープの巻きほどきに伴うリールドラムの回転を伝達す
    る伝達軸と、 リールドラム回転数が予め定めた回転数を超えた場合
    に、伝達軸を介してリールドラムにブレーキを掛けるブ
    レーキ装置と、 そして、1人の避難者が握るのに適した形状とされた持
    ち手と、 を備えてなる避難用の緩降具。
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