JPH10123346A - 長周期グレーティングの作成方法及び光導波路 - Google Patents

長周期グレーティングの作成方法及び光導波路

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JPH10123346A
JPH10123346A JP8278107A JP27810796A JPH10123346A JP H10123346 A JPH10123346 A JP H10123346A JP 8278107 A JP8278107 A JP 8278107A JP 27810796 A JP27810796 A JP 27810796A JP H10123346 A JPH10123346 A JP H10123346A
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long
grating
core
period
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JP8278107A
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English (en)
Inventor
Masaichi Mobara
政一 茂原
Masayuki Shigematsu
昌行 重松
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Optical Couplings Of Light Guides (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 損失波長を柔軟に制御しながら長周期グレー
ティングを作成する方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、感光性のコアを備える光導波
路10のコアの複数の部位に屈折率変化を誘起させるこ
との可能な光20を照射することで形成される長周期グ
レーティングの損失波長を制御する方法である。本発明
の損失波長制御方法は、長周期グレーティングを形成す
る前に、又は長周期グレーティングを形成した後に、コ
アの前記部位を含む領域の全体に、屈折率変化を誘起さ
せることの可能な光20′を照射することを特徴として
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信分野など
で、特に希土類添加ファイバアンプの利得の波長依存性
を解消したり、増幅自然放射(ASE)光などの不要波
長光を除去するために使用される長周期ファイバグレー
ティングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】代表的な光ファイバ通信システムは、光
信号源と、この光信号源に一端が接続された光ファイバ
線路と、この光ファイバ線路の他端に接続された光受信
器とを備えている。光ファイバ線路中には、伝送中の信
号を増幅するための光増幅器が設置される。このような
光ファイバ通信システムでは、多くの場合、1.5μm
帯の信号光が用いられ、光増幅器としてエルビウム(E
r)等の希土類が添加されたファイバアンプが使用され
ている。この希土類添加ファイバアンプは、所定の励起
光を入射させて反転分布を形成しておいてから1.5μ
m帯の光を入射させると、誘導放出を引き起こして入射
光を増幅する作用を有している。
【0003】このような光ファイバ通信システムには、
ファイバアンプ内において励起光パワーと希土類イオン
との相互作用によって生成された増幅自然放射(Amplif
iedSpontaneous Emission:ASE)がノイズとして存
在している。このASEは、利得の低下や雑音指数の増
大をもたらすうえ、ASEが1.53μmをピークとし
た波長帯にわたる波長分布を有することから、複数のフ
ァイバアンプによって光増幅が繰り返されるとASEの
分布に応じた波長分布が信号光に生じてしまい、この結
果、異なる波長の光に対して利得が異なるという利得の
波長依存性が生じてしまう。このため、波長分割多重
(WDM)方式の多重化通信システムでは、チャンネル
ごとに異なる利得が与えられてしまい、これによって幾
つかのチャンネルのビット誤り率が高くなるという問題
が生じている。
【0004】これらの問題を解決するためにファイバグ
レーティングを使用する技術が、特開平7−28378
6号公報及び論文「Long-Period Fiber Gratings as Ba
nd-Rejection Filters」(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHN
OLOGY VOL.14,NO.1,JANUARY1996)に記載されている。
ファイバグレーティングは、光ファイバの軸に沿ってコ
ア内に形成された周期的な屈折率変調領域であり、これ
には比較的短周期のブラッググレーティングと、これよ
りも長周期(実際には、約50〜1500μm)のグレ
ーティングとが含まれるが、上記の文献では長周期グレ
ーティングが使用されている。この長周期グレーティン
グは、光ファイバを伝送するコアモードとクラッドモー
ドとの間の結合を誘起するグレーティングであり、グレ
ーティングの周期(ピッチ)がコアモードとクラッドモ
ードとの光路差が2πとなるように設定されていて、コ
アモードからクラッドモードへの強いパワー変換をもた
らすようになっている。この結果、長周期グレーティン
グは、コアモードをクラッドに放射させる作用を有する
ことになり、コアモードの強度を所定波長(以下、「損
失波長」と呼ぶ。)を中心とした狭い帯域にわたって減
衰させる。上記の文献では、ASEの波長分布に応じた
波長分布の光減衰特性を有する長周期グレーティングを
光ファイバ線路中に設けることでASEを打ち消し、増
幅された信号光の波長スペクトルを平坦化できることが
記載されている。
【0005】このような長周期グレーティングは、通
常、感光性のコアを有する光ファイバに軸方向に沿って
所定の間隔で局所的に光を照射することにより周期的な
光誘起屈折率変化を生じさせることで作成することがで
きる。よく行われているのは、感光性ファイバとして、
コアに感光材であるゲルマニウム又はリンが添加された
石英ガラス系の光ファイバを用意し、作成すべきグレー
ティングの周期に対応した間隔で光透過部と光遮断部と
が交互に格子状に配列されてなる強度変調マスクをこの
光ファイバの上に配置し、強度変調マスクの上から24
8nm又は193nm付近の波長の紫外光ビームを照射
する方法である。この方法によれば、強度変調マスクの
各光透過部を透過した紫外光が光ファイバに照射され、
ゲルマニウムが添加されたコアのうち紫外光が照射され
た箇所の屈折率が局所的に上昇する。この結果、強度変
調マスクの光透過部の配列周期とほぼ等しい周期で屈折
率が変調した領域、すなわちグレーティングがコアに形
成されることになる。また、上記の方法以外にも、局所
的な紫外光ビームを光ファイバの軸に沿って所定の間隔
で順次に照射することにより長周期グレーティングを形
成することが可能である。
【0006】長周期グレーティングによってコアからク
ラッドに放射される光の波長スペクトルの中心波長、す
なわち損失波長は、次の式に基づいて定まる。
【0007】 βコア (lm)−βクラット゛ (n)=2π/Λ …(1) ここで、l,mはコアモードの次数(基本モードLP01
ならl=0、m=1)であり、βコア (lm)は(lm)で規
定されるコアモードの伝搬定数であり、βクラット゛ ( n)はn
次のクラッドモードの伝搬定数であり、Λは長周期グレ
ーティングの周期である。
【0008】伝搬定数βコア、βクラット゛は損失波長に依存
するパラメータであるから、上記(1)式から、グレー
ティング周期Λを調整して長周期グレーティングを形成
することにより長周期グレーティングの損失波長を制御
できることが分かる。また、βコアはコアの実効屈折率、
βクラット゛はクラッドの実効屈折率にそれぞれ依存するか
ら、グレーティングの周期を一定とした場合には、長周
期グレーティングの損失波長は、主として長周期グレー
ティングが形成された部位におけるコアとクラッドとの
実効屈折率差に依存することになる。グレーティング形
成部におけるコアの実効屈折率は変調された屈折率の平
均値を基礎として考えることができ、グレーティング形
成部におけるコアとクラッドとの実効屈折率差は、コア
の屈折率の平均値とクラッドの屈折率との差に依存す
る。グレーティング形成時の紫外光の照射量に応じてコ
アの屈折率変調の振幅が変化し、これに応じてコアの屈
折率も変化するから、結局、紫外光の照射量を調整して
長周期グレーティングを形成することにより、コア・ク
ラッド間の実効屈折率差を調整し、長周期グレーティン
グの損失波長を制御することも可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グレー
ティング周期を調整することで損失波長の制御を行いな
がら長周期グレーティングを作成する方法は、様々なグ
レーティング周期に対応したマスクパターンを有する強
度変調マスクを多数用意する必要があり、用意したマス
クに応じた損失波長の長周期グレーティングしか得るこ
とができないなど、制御の柔軟性に欠ける面がある。ま
た、紫外光照射量を調整して長周期グレーティングを作
成する方法では、グレーティングを構成するコアの屈折
率変調の振幅を変化させているが、クラッドに放射され
る光の放射量がこの屈折率変調の振幅に依存するため、
損失波長だけでなく放射量も同時に変化してしまう。従
って、この場合も柔軟な損失波長の制御が困難であり、
所望の光透過スペクトルを有する長周期グレーティング
を作成するのは容易ではない。
【0010】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、損失波長を柔軟に制御することの可能な
長周期グレーティング作成方法、及び適切な光透過スペ
クトルを有する長周期グレーティングを備えた光導波路
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の長周
期グレーティング作成方法は、感光性のコアを有する光
導波路の前記コアにおいて50μm〜1500μmの周
期で配列された複数の部位に、前記コアの屈折率変化を
誘起させることの可能な光を照射する第1の工程を備え
た方法であって、第1の工程の前又は後において、前記
複数の部位を含む所定の領域に、この領域の屈折率変化
を誘起させることの可能な光を照射する第2の工程を更
に備えることを特徴としている。
【0012】この長周期グレーティング作成方法によれ
ば、第2工程において前記複数の部位を含む領域に屈折
率変化を誘起する光が照射されることで、照射部分に含
まれるコアの屈折率が全体的に変化し、これに伴ってそ
の照射領域中のコアとこれを覆うクラッドとの実効屈折
率差が変化する。コアの屈折率変化量は前記光の照射量
に依存するから、かかる光の照射量を調整することでコ
アとクラッドとの実効屈折率差を調節することができ
る。
【0013】第2工程が、第1工程の前に前記光を照射
する工程である場合、上記のようにして実効屈折率差が
変化した領域中の前記複数の部位に前記光が照射される
ことにより、各部位の屈折率が局所的に変化し、これら
の部位の配列周期に応じて50μm〜1500μmの周
期を有する長周期グレーティングがコアに形成される。
長周期グレーティングの損失波長は、グレーティングが
作り込まれたコアとこのコアを覆うクラッドとの実効屈
折率差に依存し、この実効屈折率差は上記のように第2
工程における光の照射量に依存するから、第2工程で光
の照射量を調整することによりコア及びクラッド間の実
効屈折率差を調節し、長周期グレーティングの損失波長
を制御することができる。
【0014】また、第2工程が、第1工程の後に前記光
を照射する工程である場合は、第1工程によりコア中の
複数の部位に前記光が照射され、各部位の屈折率が局所
的に変化することにより50μm〜1500μmの周期
を有する長周期グレーティングが形成された後、第2工
程によって、この長周期グレーティングを含む領域に前
記光が照射される。なお、この長周期グレーティング
は、本発明に係る方法によって最終的に作成される長周
期グレーティングのベースとなるものである。このベー
スグレーティングが作り込まれたコアとこのコアを覆う
クラッドとの間の実効屈折率差は、上記のように第2工
程の光照射によって変化する。長周期グレーティングの
損失波長は、グレーティングが作り込まれたコアとこの
コアを覆うクラッドとの実効屈折率差に依存し、この実
効屈折率差は上記のように第2工程における光の照射量
に依存するから、第2工程で光の照射量を調整すること
によりコア及びクラッド間の実効屈折率差を調節し、長
周期グレーティングの損失波長を制御することができ
る。
【0015】本発明に係る第1の長周期グレーティング
形成方法は、第2工程において、光の照射量が、前記所
定の領域でほぼ一様となっているものであっても良い。
長周期グレーティングによる光の放射量はグレーティン
グを構成するコアの屈折率変調の振幅に依存するが、こ
の長周期グレーティング形成方法では、長周期グレーテ
ィングを構成するコアの屈折率変調の振幅は殆ど変化せ
ず、従って、放射量も殆ど変化しない。これにより、長
波長グレーティングの透過光の波長スペクトル、すなわ
ち長周期グレーティングの光透過スペクトルの形状を殆
ど変化させずに損失波長を制御することができ、放射量
と独立して損失波長のみを制御することができる。
【0016】また、本発明に係る第2の長周期グレーテ
ィング形成方法は、第2工程において、光の照射量が、
前記所定の領域でコアの軸線に沿って所定の分布を有す
るものであっても良い。この場合、長周期グレーティン
グの損失波長が照射量の分布に応じて軸線に沿った分布
を有するようになるから、照射量の分布を調整すること
で、得られる長周期グレーティングの光透過スペクトル
を所望の形状に成形することができる。
【0017】次に、本発明に係る第2の長周期グレーテ
ィング作成方法は、感光性のコアを有する光導波路の前
記コアにおいて50μm〜1500μmの周期で配列さ
れた複数の部位に、前記コアの屈折率変化を誘起させる
ことの可能な光を照射する工程を備えた方法であって、
コアにその軸線に沿った張力を加えた状態で前記光を照
射した後、この張力を解放することを特徴としている。
【0018】この方法では、まず、コアに張力を加えた
状態で前記複数の部位に前記光が照射されることによ
り、各部位の屈折率が局所的に変化し、これらの部位の
配列周期に応じて50μm〜1500μmの周期を有す
る長周期グレーティングがコアに形成される。なお、こ
の長周期グレーティングは、本発明に係る方法によって
最終的に作成される長周期グレーティングのベースとな
るものである。この後、上記のように張力を解放すると
コアが収縮するため、このベースグレーティングの周期
は、コアの収縮度に応じて変化する。このようにして周
期が変化したグレーティングが、本方法により作成され
る長周期グレーティングである。本方法により得られる
長周期グレーティングの周期は、ベースグレーティング
をコアに形成するための光照射時においてコアに加える
張力の大きさに依存する。長周期グレーティングの損失
波長はグレーティングの周期に依存しており、この周期
は上記のようにコアに加える張力の大きさに依存するか
ら、ベースグレーティング形成時にコアに加える張力を
調整することで長周期グレーティングの損失波長を制御
することができる。張力を解放しても長周期グレーティ
ングを構成する屈折率変化の振幅は殆ど変化しないの
で、長周期グレーティングによる光の放射量も殆ど変化
しない。従って、本発明に係る第2の方法でも、放射量
と独立して損失波長のみを制御することができる。
【0019】次に、本発明の光導波路は、上述のいずれ
かの方法により形成された長周期グレーティングを備え
ることを特徴としている。この光導波路を用いれば、所
定波長の光を適切に除去することができ、特にファイバ
アンプのASEの除去などを好適に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明に
おいて同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明
を省略する。また、図面の寸法比率は説明のものと必ず
しも一致していない。
【0021】(実施形態1)図1は、本実施形態に係る
長周期グレーティングの作成方法を表す図である。本実
施形態では、まず、図1(a)に示されるように、強度
変調マスク12を介して光ファイバ10に紫外光ビーム
20を照射することで光ファイバ10のコアに長周期グ
レーティングを形成する。なお、この長周期グレーティ
ングは、本実施形態の方法によって最終的に得られる長
周期グレーティングとは異なり、最終的な長周期グレー
ティングのベースとなるものである。本実施形態では、
ここで形成した長周期グレーティング(以下では、最終
的な長周期グレーティングと区別するために、必要に応
じて「ベースグレーティング」と呼ぶ)に、後述するよ
うな損失波長制御処理を施すことによって、最終的な長
周期グレーティングを得る。
【0022】光ファイバ10は、石英ガラスを主成分と
するものであり、コアにのみ屈折率上昇材のゲルマニウ
ムが添加されている。このゲルマニウムは、周知の通
り、波長248nm又は193nm付近の紫外光に対す
る感光材としての役割も有している。すなわち、ゲルマ
ニウムが添加された石英ガラスは、上記のような波長の
紫外光が照射されると、その照射部分において屈折率が
上昇するという性質を持つようになる。このことに鑑
み、本実施形態では、光ファイバ10への照射紫外光2
0として、波長248μm帯のエキシマレーザ光を用い
ている。
【0023】強度変調マスク12は、透明な石英ガラス
平板13の表面に複数の帯状クロム層を等間隔に蒸着し
たものである。このクロム層は、紫外光ビーム20を遮
断する作用を有している。従って、石英ガラス平板13
のクロム蒸着面には、光遮断部(即ち、クロム層)と光
透過部(各クロム層の間に位置するガラス表面)とが交
互に格子状に配列されていることになる。本実施形態で
は、この強度変調マスク12のクロム蒸着面の反対側の
面に紫外光ビーム20が照射され、クロム層間のガラス
表面を透過した紫外光のみが光ファイバ10に照射され
る。このため、光ファイバ10には、紫外光が等間隔の
格子状に照射されることになる。この照射光は、感光材
であるゲルマニウムが添加されたコアに入射して、コア
の屈折率変化を誘起する。これにより、光ファイバ10
のコアには、屈折率が局所的に上昇した複数の部位がコ
アの軸線(ファイバ軸)に沿って格子状に等間隔に配列
されることになる。これらの屈折率上昇部位から構成さ
れるコア中の周期的な屈折率変調領域が、長周期グレー
ティング(ベースグレーティング)である。なお、ここ
で形成するベースグレーティングが、所定波長の光を外
部に放射するという長周期グレーティングの機能を発揮
するように、ベースグレーティングの周期、すなわち上
記の屈折率上昇部位の配列周期は、50〜1500μm
とするのが良い。
【0024】図1(b)は、このようにしてベースグレ
ーティングを形成した後におけるコア及びクラッドのフ
ァイバ軸方向に沿った屈折率分布を示す図である。図1
(b)に示されるように、上記の紫外光照射によって、
コアに複数の局所的な屈折率上昇部が形成されており、
これらがベースグレーティングを構成している。なお、
図面の簡略化のため、図1(b)には、紫外光照射によ
る屈折率上昇部が3個だけ示されているが、実際の長周
期グレーティングは、通常、このような屈折率上昇部を
数十個から数百個程度含んで構成される。
【0025】次に、本実施形態では、図1(c)に示す
ように、強度変調マスク12を取り除いてから、光ファ
イバ10のうちベースグレーティングを含む領域の全体
にベースグレーティング形成時に用いたものと同じ波長
帯の紫外光ビーム20′を照射する。この紫外光ビーム
20′の横断面のうち光ファイバ10に照射される部分
は、略一様な強度を有している。紫外光ビーム20′は
強度変調マスク12を介在せずに光ファイバ10に直接
照射されるので、光ファイバ10の照射領域に含まれる
コアの屈折率は全体的に上昇することになる。この工程
により本実施形態のグレーティング作成方法は完了し、
最終的な長周期グレーティングが光ファイバ10のコア
に形成される。
【0026】図1(d)は、紫外光ビーム20′の照射
後におけるコア及びクラッドのファイバ軸方向に沿った
屈折率分布を示す図である。図1(b)と比較すれば明
らかなように、コアの屈折率は紫外光ビーム20′の照
射領域において全体的に上昇しており、一方、クラッド
の屈折率は変化していない。コア中の屈折率変調部(す
なわち、本実施形態により作成された長周期グレーティ
ング)の実効屈折率が、変調された屈折率の平均値であ
ると考えると、紫外光ビーム20′の照射によってコア
及びクラッド間の実効屈折率の差が上昇したことにな
る。一方、この屈折率変調部において、屈折率上昇部位
もそれ以外の部位も同じ量だけ屈折率が上昇しているの
で、屈折率変調の振幅は紫外光ビーム20′の照射前と
変わっていない。
【0027】図2は、二度目の紫外光照射の前後におけ
る長周期グレーティングの光透過特性を示す図であり、
破線は照射前の長周期グレーティング(すなわちベース
グレーティング)の光透過特性、実線は照射後の長周期
グレーティング(本実施形態の方法によって最終的に得
られる長周期グレーティング)の光透過特性をそれぞれ
表している。この図は、長周期グレーティングの透過光
の波長スペクトル、すなわち長周期グレーティングの光
透過スペクトルに基づくものであり、この図に示される
特性スペクトルの形状は、長周期グレーティングの光透
過スペクトルの形状に対応している。
【0028】従来の技術でも述べたように、長周期グレ
ーティングの損失波長は、コア及びクラッド間の実効屈
折率の差に依存する。具体的には、実効屈折率の差が大
きいほど損失波長が大きく、実効屈折率の差が小さいほ
ど損失波長は小さくなる。本実施形態の場合、ベースグ
レーティングを形成した後に再度紫外光を照射すること
によって、ベースグレーティングが作り込まれたコアと
これを包囲するクラッドとの間の実効屈折率差を大きく
しているので、図2に示されるように、ベースグレーテ
ィングの損失波長は長波長側にシフトする。損失波長の
変化量は、実効屈折率差の変化量に依存し、結局、二度
目に照射する紫外光ビーム20′の照射量に依存する。
【0029】一方、ベースグレーティングを構成する屈
折率変調の振幅は二度目の紫外光照射によって変化しな
いので、図2に示されるように、損失波長に等しい波長
を有する光の放射量は、ベースグレーティングと最終的
な長周期グレーティングとの間でほとんど違わない。ま
た、二度目の紫外光照射によって得られる長周期グレー
ティングも、ベースグレーティングと同様に、損失波長
を中心とした帯域にわたって光を放射するようになって
おり、光透過スペクトルの形状は紫外光照射の前後でほ
とんど変化しない。
【0030】このように、本実施形態の長周期グレーテ
ィング作成方法では、ベースとなる長周期グレーティン
グを形成した後、この長周期グレーティングを含む領域
に紫外光を一様な照射量で照射することで、ベースとな
る長周期グレーティングの透過光の波長スペクトルを殆
ど変化させずに損失波長のみを変化させて最終的なグレ
ーティングを作成する。このとき、上述のように損失波
長の変化量は紫外光の照射量に応じて変化するので、こ
の照射量を調整することで損失波長を制御することが可
能である。
【0031】なお、本実施形態では、ベースとなる長周
期グレーティングを形成した後に紫外光を照射すること
で最終的な長周期グレーティングを作成したが、この代
わりに、図1(c)のように所定の領域に一様に紫外光
を照射した後、図1(a)のように強度変調マスク12
を介して再度紫外光を照射することで長周期グレーティ
ングを作成することもできる。この場合も、上記と同様
の原理により、最初の紫外光の照射量を調整すること
で、作成される長周期グレーティングの損失波長を制御
することができる。
【0032】また、屈折率制御用の紫外光ビームの照射
は、長周期グレーティングの損失波長を含む波長帯の検
査光を光ファイバの一端から入射させ、長周期グレーテ
ィングを透過して他端から出射する検査光をスペクトラ
ムアナライザ等で検出しながら行っても良い。長周期グ
レーティングの透過した検査光の波長スペクトルを検出
することで、長周期グレーティングの損失波長を求める
ことができる。従って、この方法によれば、長周期グレ
ーティングの損失波長をリアルタイムで測定しながら損
失波長の制御を行うことができ、所望の損失波長の長周
期グレーティングを一層容易に作成することが可能にな
る。
【0033】(実施形態2)本実施形態の長周期グレー
ティング作成方法も、実施形態1の作成方法と同様にベ
ースとなる長周期グレーティングを形成した後に紫外光
を照射する方法である。但し、本実施形態の作成方法
は、ベースグレーティング形成後の紫外光照射の際、コ
アの軸線(ファイバ軸)に沿ってベースグレーティング
の右半分と左半分とで照射時間を変えている点で、一様
な紫外光を照射する実施形態1の方法と相違している。
これ以外の点は、実施形態1と同様である。
【0034】グレーティングの右半分と左半分とで紫外
光の照射量が異なることになり、これに応じて右半分と
左半分とで屈折率の上昇量が異なり、グレーティングを
通過しようとする光にとってはコアの軸線に沿った位置
に応じて二つの実効屈折率が存在することになる。この
結果、クラッドとの実効屈折率差も二つ存在することに
なるので、損失波長のシフトも二通りとなる。図3は、
図2と同様に、二度目の紫外光照射の前後における長周
期グレーティングの光透過特性を示す図である。上述の
ように、損失波長のシフトが二通りとなるので、二度目
の紫外光照射を受けた後の光透過スペクトルは、異なる
損失波長(これらは、いずれも元の損失波長より長い)
のスペクトルが二つ重なったような形状となっている。
【0035】本実施形態のように、損失波長制御用の紫
外光の照射量をコアの軸線に沿って適当に分布させてや
ることで、作成される長周期グレーティングの透過光の
波長スペクトル、すなわち光透過スペクトルを成形する
ことが可能である。従って、ファイバアンプのASEを
相殺するような形状の光透過スペクトルを有する長周期
グレーティングを作成することも可能となり、このよう
な長周期グレーティングを有する光ファイバや平面導波
路をファイバアンプの出力端に接続すれば、ファイバア
ンプのASEの波長分布を相殺して利得等化を容易に実
現することができる。
【0036】なお、本実施形態の場合も、実施形態1と
同様に、ベースとなる長周期グレーティングの形成前に
紫外光を照射しても良い。また、屈折率制御用の紫外光
ビームの照射を、長周期グレーティングの損失波長を含
む波長帯の検査光を光ファイバの一端から入射させ、長
周期グレーティングを透過して他端から出射する検査光
を検出しながら行うことで、長周期グレーティングの損
失波長をリアルタイムで測定しながら損失波長の制御を
行うことができ、所望の損失波長の長周期グレーティン
グを一層容易に作成することが可能になる。
【0037】(実施形態3)図4は、本実施形態に係る
長周期グレーティングの作成方法を表す図である。本実
施形態では、まず、図4(a)に示されるように、光フ
ァイバ10にファイバ軸に沿って張力を加えた状態で強
度変調マスク12を介して紫外光20を照射する。これ
により、最終的に作成される長周期グレーティングのベ
ースとなる長周期グレーティングがコアに形成される。
このようなベースグレーティングを形成した後における
コア及びクラッドの屈折率分布を図4(b)に示す。な
お、このベースグレーティングは、その周期が50〜1
500μmとなるように形成するのが良い。
【0038】次に、本実施形態では、図4(c)に示さ
れるように、ベースグレーティングの形成が完了した
後、張力の印加を停止する。この工程により本実施形態
のグレーティング作成方法は完了し、最終的な長周期グ
レーティングが光ファイバ10のコアに形成される。
【0039】上記のように張力を解放することで、光フ
ァイバ10を構成する石英系ガラスが収縮するため、図
4(d)に示されるように、ベースグレーティングを構
成する屈折率変調の周期、即ちグレーティング周期は短
くなる。長周期グレーティングの損失波長はグレーティ
ング周期に依存しており、上記のようにしてグレーティ
ング周期が短くなると損失波長も短くなる。また、ベー
スグレーティング形成時に加える張力の大きさに応じて
張力解放後の収縮率は変化する。従って、本実施形態の
長周期グレーティング作成方法では、ベースグレーティ
ング形成時に加える張力の大きさを調整することで張力
解放後のグレーティング周期の変化量を調節することが
でき、これにより最終的に得られる長周期グレーティン
グの損失波長を粗調整することが可能である。また、張
力を解放しても、グレーティングを構成する屈折率変化
の振幅は殆ど変化しないので、光の放射量は殆ど変化し
ない。
【0040】なお、張力に対する損失波長の感度は、グ
レーティングを作り込む光ファイバの構造等によって異
なるが、光通信などで一般的に用いられる石英ガラス系
の通信用シングルモード光ファイバに本実施形態の方法
によって周期が400μmの長周期グレーティングを形
成したところ、感度は15.2nm/%εとなった。こ
れは、グレーティングの長さを1%だけ増やすような張
力を加えたときに、張力を加えない場合に比べて15.
2nmだけ損失波長が短くなることを表している。
【0041】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明に係
る第1の方法によれば、グレーティング形成の前又は後
に光導波路の屈折率変化を誘起する光を照射すること
で、長周期グレーティングの損失波長を放射量と独立し
て制御したり、長周期グレーティングの光透過スペクト
ルを成形することができる。従って、従来よりも柔軟に
損失波長を制御して長周期グレーティングを作成するこ
とが可能である。
【0042】また、本発明に係る第2の方法でも、光導
波路に加える張力を調整することで、長周期グレーティ
ングの損失波長を放射量と独立して制御することがで
き、従来よりも柔軟に損失波長を制御して長周期グレー
ティングを作成することが可能である。
【0043】また、本発明に係る光導波路は、本発明に
係る方法により作成された長周期グレーティングを備え
ているので、所定波長の光を適切に除去でき、ファイバ
アンプに接続することでASEの除去や利得等化を好適
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の長周期グレーティング作成方法を
表す図である。
【図2】実施形態1による損失波長の変化を示す図であ
る。
【図3】実施形態2による損失波長の変化を示す図であ
る。
【図4】実施形態3の長周期グレーティング作成方法を
表す図である。
【符号の説明】
10…光ファイバ、12…強度変調マスク、13…石英
ガラス平板、14…クロム層、20、20′…紫外光。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光性のコアを有する光導波路の前記コ
    アにおいて50μm〜1500μmの周期で配列された
    複数の部位に、前記コアの屈折率変化を誘起させること
    の可能な光を照射する第1の工程を備えた長周期グレー
    ティング作成方法であって、 前記第1の工程の前又は後において、前記複数の部位を
    含む所定の領域に、この領域の屈折率変化を誘起させる
    ことの可能な光を照射する第2の工程を更に備えること
    を特徴とする長周期グレーティング作成方法。
  2. 【請求項2】 前記第2工程において、前記光の照射量
    が、前記所定の領域でほぼ一様であることを特徴とする
    請求項1記載の長周期グレーティング作成方法。
  3. 【請求項3】 前記第2工程において、前記光の照射量
    が、前記所定の領域で前記コアの軸線に沿って所定の分
    布を有していることを特徴とする請求項1記載の長周期
    グレーティング作成方法。
  4. 【請求項4】 感光性のコアを有する光導波路の前記コ
    アにおいて50μm〜1500μmの周期で配列された
    複数の部位に、前記コアの屈折率変化を誘起させること
    の可能な光を照射する工程を備えた長周期グレーティン
    グ作成方法であって、 前記コアにその軸線に沿った張力を加えた状態で前記光
    を照射した後、この張力を解放することを特徴とする長
    周期グレーティング作成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の方法によ
    り作成された長周期グレーティングを備える光導波路。
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