JPH10121111A - 金属フィルタの製造方法 - Google Patents

金属フィルタの製造方法

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JPH10121111A
JPH10121111A JP27203996A JP27203996A JPH10121111A JP H10121111 A JPH10121111 A JP H10121111A JP 27203996 A JP27203996 A JP 27203996A JP 27203996 A JP27203996 A JP 27203996A JP H10121111 A JPH10121111 A JP H10121111A
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particle material
slurry
metal particle
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JP27203996A
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English (en)
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Takahiro Kitagawa
貴宏 北川
Yasushi Yamamoto
裕史 山本
Takashi Nishi
隆 西
Akira Kosaka
晃 小阪
Atsushi Funakoshi
淳 船越
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属粒子材料1にバインダ2を添加して予備
成形体5を形成し、予備成形体を加熱して焼結する金属
フィルタの製造方法において、一度の予備成形のみによ
って内面側に配した濾過層の通気孔径を小さくし、外面
側に配した支持部の通気孔径を大きくした、円筒状に形
成された多孔質金属焼結体を製造可能な手段を提供す
る。 【解決手段】 所定回転数で回転駆動される円筒状の遠
心成形型6内で、粒子径の異なる多数の粒子で構成され
る金属粒子材料1に分散媒液3を添加して形成したスラ
リを、所定回転数で回転駆動しつつ所定時間保持して遠
心成形して固化させ、金属粒子材料1の粒径に半径方向
の偏りを生ぜしめた後に乾燥して予備成形体を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属粒子材料にバ
インダを添加して予備成形体を形成し、前記予備成形体
を加熱して焼結する金属フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属フィルタを製造するにあたっ
ては、カプセルに金属粒子材料を充填して等方圧加圧下
で加熱焼結することが行われている。例えば、管状の金
属フィルタを製造する工程について、説明すれば、図7
に示すように、予め予備成形体形状に相当する円筒状の
充填空間を形成してある炭素鋼製のカプセル8の充填口
8aから、前記カプセル8内に金属フィルタ材料として
金属粒子材料1を充填し、前記カプセル8内を前記充填
口8aを経て脱気し、前記充填口8aを封止して、前記
カプセル8に密封した金属粒子材料1を等方圧加圧加熱
装置(以下、HIP装置という。)に装入して等方圧加
圧下で加熱焼結している。そして、焼結後のステンレス
鋼多孔質焼結体をHIP装置から取出し、前記カプセル
8を削除して円筒状の金属フィルタ7を製造している。
尚、前記封止は、真空チャンバー中で電子ビーム溶接に
より行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の金属フィル
タの製造方法においては、カプセル8の充填空間内に金
属粒子材料1を充填するのに、均一に充填しようとすれ
ば、円筒の内外面の金属粒子の粒径を異ならせることは
極めて困難である。従って、一度の予備成形で内外の粒
径の異なる、従って、内外の通気孔径の異なる焼結体を
製造することは出来なかった。この問題に対処するため
に、一旦予備焼結した予備焼結体の表面に第2の成形用
粒子を付着させて焼結することも考えられるが、前記第
2の成形用粒子からなる薄い層を均一に形成させること
は困難であり、予め必要以上の厚さに形成した層を削り
取ることが必要になる。また、カプセル内に金属粒子材
料1を充填するのに、均一に充填することが困難である
という問題もある。そこで、内外面に異なる特性を有す
る焼結金属管を製造するのに、予備成形した円筒体をカ
プセル内に配置し、その表面上に充填空間を形成して第
2の成形用粒子を充填して焼結することが考えられる
が、前記円筒体の型崩れを防止するためには所要の肉厚
があり、それよりも薄い肉厚のものを製造するためには
前記円筒体の表面の仕上げ加工をも必要とし、多大の手
間を要するという問題がある。尚、以上の問題の背景と
しては、以下の点がある。つまり、固体フィルタとして
の特徴を有する金属フィルタに求める条件としては、表
面の最小阻止粒径を制御容易であること、濾過層を形成
する表面の薄いこと(この層が厚ければ通気抵抗の増大
を招き、好ましくない。)、濾過層以外の支持部の通気
抵抗が小さく、且つ、強度を有すること等である。そこ
で、本発明の金属フィルタの製造方法は、上記の問題点
を解決し、一度の予備成形のみによって内面側に配した
濾過層の通気孔径を小さくし、外面側に配した支持部の
通気孔径を大きくした、円筒状に形成された多孔質金属
焼結体を製造可能な手段を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
〔第1特徴構成〕上記の目的のための本発明の金属フィ
ルタの製造方法の第1特徴構成は、請求項1に記載の如
く、粒子径の異なる多数の粒子で構成される金属粒子材
料に分散媒液を添加して形成したスラリを、所定回転数
で回転駆動される円筒状の遠心成形型内に所定時間保持
して遠心成形し、前記金属粒子材料の粒径に半径方向の
偏りを生ぜしめた後に乾燥して前記予備成形体を形成す
る点にある。 〔第1特徴構成の作用効果〕上記第1特徴構成によれ
ば、遠心成形時に半径方向に通気孔径を異ならせて予備
成形体を形成することが出来る。従って、そのまま焼結
すれば、半径方向内側に対して外側が大きな通気孔径を
有する金属フィルタを製造することが可能となる。つま
り、粒子径の異なる多数の粒子で構成される金属粒子材
料を分散媒液中に分散させた状態で遠心力場を与えるこ
とにより、金属粒子は遠心力方向に沈降することになる
が、分散媒液の粘性抵抗により、粒径による沈降速度の
差が生ずる。その結果、大径の金属粒子は速く沈降し、
小径の金属粒子は沈降が遅れるので、沈降して形成され
る金属粒子材料層は、半径方向に粒径分布の異なるもの
となる。この差異は、分散媒液の粘性抵抗が大きいほど
大きくなるので、前記分散媒液の粘度の高いことが好ま
しいが、遠心加速度と前記分散媒液の粘性抵抗との間に
も相関があり、前記分散媒液の粘度に対して好適な遠心
加速度の範囲が存在し、それに伴って、完全に金属粒子
を沈降させるための遠心力場の保持時間が必要となる。
その結果、予備成形体をそのまま焼結するだけで、内面
側に配した濾過層の通気孔径を小さくし、外面側に配し
た支持部の通気孔径を大きくした、円筒状に形成された
多孔質金属焼結体の製造が可能となる。
【0005】〔第2特徴構成〕上記の目的のための本発
明の金属フィルタの製造方法の第2特徴構成は、請求項
2に記載の如く、前記第1特徴構成における分散媒液中
に高粘性のバインダを添加して高粘度化し、前記分散媒
液中に前記金属粒子材料を分散させたスラリを遠心成形
する点にある。 〔第2特徴構成の作用効果〕上記第2特徴構成によれ
ば、分散媒液中に高粘性のバインダを添加してあるの
で、スラリの媒質の粘度が高くなり、金属粒子の沈降に
よる粒径分離が行われ易くなる。尚、スラリの媒質の粘
度は、金属粒子材料の密度及び粒径により差はあるが、
0.5Pa・s以上であれば効果的であり、1Pa・s
以上であることが好ましく、2Pa・s以上であること
がさらに好ましい。その結果、内外面の間に通気孔径分
布を大きく異ならせ、内面側に配した濾過層の通気孔径
を充分に小さくし、外面側に配した支持部の通気孔径を
充分に大きくした金属フィルタの製造が可能となった。
【0006】〔第3特徴構成〕尚、本発明の金属フィル
タの製造方法の第3特徴構成は、請求項3に記載の如
く、前記第1又は第2特徴構成において遠心成形型内に
スラリを形成するのに、水平軸回りに回転する前記遠心
成形型内で、形成すべき金属粒子材料層の内面に相当す
る半径位置に及ぼされる遠心力を、重力の加速度に等し
くする回転数で、前記遠心成形型を回転しながら、金属
粒子材料を前記遠心成形型内に供給して、前記金属粒子
材料層の層厚をほぼ一定に形成し、その後前記遠心成形
型の回転を加速し、前記金属粒子材料層に分散媒液を添
加する点にある。 〔第3特徴構成の作用効果〕上記第3特徴構成によれ
ば、スラリ形成前に、均一厚さの金属粒子材料層を形成
するので、金属粒子材料の過不足をなくし、スラリ化後
もほぼ均一な厚さを維持できるようになる。つまり、遠
心力場を重力場と等しくしてあるので、形成すべき金属
粒子材料層の内周面上の最上端位置では無重力状態とな
り、それより内側に存在する金属粒子に対しては重力場
が優位に立つ結果、その金属粒子は落下する。従って、
落下する金属粒子を除去すれば、所定量の金属粒子材料
を正確に遠心成形型内に装入できる。その後、分散媒液
を添加すれば、金属粒子間に存在する空気と置換しなが
ら前記分散媒液が浸入し、前記金属粒子を半径方向内側
に向けて浮上させながらスラリを形成する。前記スラリ
に金属粒子が分散した状態で、高遠心力場を維持すれ
ば、沈降分離の原理により半径方向外方には大径粒子が
多く、半径方向内方には小径粒子の多い粒径分布を呈す
るようになる。この間に脱水すれば、上記第1又は第2
特徴構成の予備成形体の粒径分布に内外の差を生ぜしめ
ることが可能になる。上記のように、遠心成形するの
に、金属粒子材料を予めスラリ化するための設備を必要
とせず、簡便な方法で予備成形体を形成できる。その結
果、濾過層の通気孔径を充分に小さくし、且つ、支持部
の通気孔径を充分に大きくした金属フィルタの製造が可
能となった。
【0007】〔第4特徴構成及び作用効果〕そして、本
発明の金属フィルタの製造方法の第4特徴構成は、請求
項4に記載の如く、前記第1〜第3特徴構成の何れかに
おける予備成形体を等方圧下で加熱して焼結する点にあ
り、これによって、金属フィルタの通気孔径分布を大き
く変化させないで、内外の材料強度的連続性を維持し
て、金属フィルタの強度の確保が可能となった。その結
果、充分な強度を維持しながら、濾過層の通気孔径を充
分に小さくして、支持部の通気孔径を充分に大きくした
金属フィルタの製造が可能となった。
【0008】
【発明の実施の形態】上記本発明の金属フィルタの製造
方法の実施の形態の一例として、粒径範囲150〜10
00μmの粒状のステンレス鋼(SUS316L)を成
形して、濾過層を内側に形成した円筒状のフィルタを製
造する例について、以下に、図面を参照しながら説明す
る。
【0009】先ず、遠心成形型6の回転胴6aの内側に
濾紙4を張り付け、前記回転胴6aの一端部側に備える
前記遠心成形型6の駆動軸を駆動して、前記回転胴6a
をその軸芯回りに前記回転胴6aの内側に形成される金
属粒子材料層Bの内面に相当する半径位置における遠心
力場が1Gに相当する回転速度(例えば、外径100m
m、肉厚5mmの金属フィルタを形成する場合には15
0rpm。)で回転させながら、金属粒子材料1の一例
である粒状ステンレス鋼1Aを、前記回転胴6aの他端
部側に設けた堰6bの開口部から前記回転胴6a内に供
給する(図2参照)。供給した粒状ステンレス鋼1Aの
層が均一化したところで、前記回転胴6a内で前記粒状
ステンレス鋼1Aに、バインダ2を混合した分散媒液3
からなるスラリ媒液Lを添加してスラリ化する(図1参
照)。その後、前記回転胴6aの回転速度を上げ、例え
ば113Gに相当する1500rpmに維持しつつ、約
1時間保持して前記スラリ化した粒状ステンレス鋼1A
を脱水した後乾燥して円筒状の予備成形体5を得る。予
備成形体5は、遠心成形型6と共に約100℃に保持し
て乾燥する。乾燥後の予備成形体5は、前記回転胴6a
から前記堰6bを取外して抜き出し(図3参照)、等方
圧加圧加熱装置(以下、HIP装置という。)に装入し
て、等方圧加圧下で焼結する。以下に、この詳細な一例
について説明する。
【0010】前記回転胴6aの周壁には、脱水孔6cを
複数形成(上記例の場合には、孔径1mmの脱水孔6c
を2mmピッチで形成してある。)してあり、前記スラ
リ形成後の脱水を容易にしてある。前記スラリ媒液L
は、例えば、粒状ステンレス鋼1Aの500重量部に対
して、バインダ2としての60重量部のアクリル酸ポリ
マー2Aを、分散媒液3としての60重量部のイオン交
換水3Aに溶解して別途調製しておく。前記スラリ媒液
Lの粘度は約2.7Pa・sとなる。上記例の金属フィ
ルタ7の具体的な製造工程の例は以下のとおりである。
【0011】図2に示すように、濾紙4を回転胴6aの
内面に張り付けてある遠心成形型6を、前記回転胴6a
の内面半径よりフィルタの肉厚に相当するだけ小さい半
径位置の遠心加速度が1Gになる回転速度(例えば14
1rpm)で回転しながら、充分に攪拌混合してある粒
状ステンレス鋼1Aを、前記遠心成形型6内に供給し、
約5分間回転を維持して、前記回転胴6a内で上から落
下する粒状ステンレス鋼1Aを回収して、一様な厚さの
金属粒子材料層Bを形成する。
【0012】前記金属粒子材料層Bを形成し終わると、
図1に示すように、前記金属粒子材料層Bの内側に、予
め調製してあるスラリ媒液Lを、前記回転胴6aの他端
部側に設けた堰6bの開口部から注入ホッパHを用いて
静かに注入する。前記供給されたスラリ媒液Lは、高粘
度のものであるが、高遠心場下でステンレス鋼粒子間に
空気を押し出しながら浸入し、前記ステンレス鋼粒子を
前記回転胴6aの内側に浮揚分散させ、スラリ化する。
前記ステンレス鋼粒子間から押し出された空気は前記回
転胴6aの周壁に形成された脱水孔6cから放出され、
さらに、前記スラリ媒液Lの水分も同じ脱水孔6cから
放出される。前記濾紙4は、この際の細かいステンレス
鋼粒子及びバインダ2の前記脱水孔6cからの漏出を阻
止するために張り付けたものである。
【0013】前記スラリ媒液Lの供給後、前記遠心成形
型6の回転速度を、例えば1500rpmに増速し、約
1時間その回転数での回転を維持して、前記スラリを脱
水して、予備成形体5形状に固化させる。前記固化した
粒状ステンレス鋼1Aとバインダ2とを加熱して約10
0℃に所定時間(例えば12時間)維持して乾燥すれ
ば、前記粒状ステンレス鋼1Aはバインダ2の作用で一
体化して固化し予備成形体5が形成される。その後、前
記堰6bを取り外して前記予備成形体5を前記回転胴6
aから抜き出す(図3参照)。この際、前記バインダの
作用で十分にステンレス鋼粒子間が接着されているの
で、前記予備成形体5は十分な保形性を有し、抜き出し
に際して型崩れすることなく、簡単に抜き出すことがで
きる。
【0014】抜き出した前記予備成形体5はカプセルに
封入し、等方圧加圧焼結装置(所謂HIP装置)におい
て、例えば毎時50℃の昇温速度で400℃まで昇温
し、所定時間維持し、その後、例えば毎時100℃の昇
温速度でさらに1230℃まで昇温し、例えば98MP
aの等方圧加圧力下で5時間程度維持して焼結して金属
フィルタ7を製造する。焼結後のフィルタをHIP装置
から取り出して、カプセルを除去し、製品を得た。得ら
れた製品は、図4に示すように、外表面側には1000
μmの粒径の粒子が多く、150μmの粒子の少ない支
持部7bを備え、内表面部には1000μmの粒子が少
なく、150μmの粒子の多い濾過層7aを備えた、粒
度分布が内側ほど小粒径側に偏り、外側ほど大粒径側に
偏ったステンレス鋼粒子の焼結体から成る、従って、前
記濾過層7aの通気孔径を小さくし、前記支持部7bの
通気孔径を大きくした筒状の金属フィルタ7として得ら
れる。前記400℃まで昇温して所定時間維持するのは
脱脂を目的とするものである。
【0015】バインダとしてアクリル酸ポリマーを用い
てステンレス鋼粉末を媒質中に懸濁させたスラリを形成
したので、乾燥後には充分に固化した複層予備形成体2
が得られ、型崩れせず、取扱が容易になるとともに、ス
テンレス鋼粉末500重量部に対して、アクリル酸ポリ
マー60重量部を用いているので、ステンレス鋼粉末間
には相当量のアクリル酸ポリマーの固化物が存在し、焼
結後の通気孔の形成にも寄与するとともに、焼結時の通
気孔径の維持にも寄与している。
【0016】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。 〈1〉上記実施の形態に於いては、金属粒子材料1とし
て、粒径範囲150〜1000μmの粒状のステンレス
鋼(SUS316L)を成形して、濾過層を内側に形成
した円筒状のフィルタを製造する例を示したが、粒径範
囲は所望の金属フィルタによって定められるものであ
り、その粒径範囲も使用目的によって選択すべきもので
ある。 〈2〉上記実施の形態に於いては、遠心成形型5内に金
属粒子材料1を供給した後にスラリ媒液Lを注入してス
ラリを形成する例を示したが、前記金属粒子材料1を、
予め前記スラリ媒液Lと混合して、前記スラリ媒液L中
に前記金属粒子材料1を分散させた状態で、前記遠心成
形型5内に注入してもよい。尚、前記金属粒子材料1を
前記遠心成形型5内に供給する際の前記遠心成形型5の
回転速度は、上記実施の形態に示したよりも高速であっ
てもよい。 〈3〉上記実施の形態に於いては、バインダとしてアク
リル酸ポリマーを用いた例を示したが、他のバインダで
あってもよく、粘結性或いは硬化性を有するものであれ
ばよい。バインダとしては有機物のみに限られるもので
はなく、無機質のバインダも、成形後に保形性を有する
ものであれば使用可能である。尚、バインダを分散媒液
に混合又は溶解して形成するスラリ媒液の粘度が適度に
高いことが好ましい。上記実施の形態に示した配合例
は、上記実施の形態における金属粒子材料の性状に適合
させたものであって、例えば、前記金属粒子材料の密度
が低く、又は、前記金属粒子材料の粒径が小さい場合に
は、前記スラリ媒液の粘度はそれ相当に低くてもよい。 〈4〉尚、上記バインダの分散媒液に対する配合量及び
前記スラリ媒液の金属粒子材料に対する配合量は、焼結
すべき金属粒子材料の性状に応じて適宜変更されるべき
ものである。 〈5〉上記実施の形態に於いては、金属粒子材料1にス
ラリ媒液Lを添加してスラリ化した後、前記回転胴6a
の回転速度を上げた例を示したが、前記スラリ化後の前
記回転胴6aの回転速度は、増速することなく最初から
充分な遠心力場を与える回転速度にしてあってもよい。 〈6〉上記実施の形態に於いては、予備成形体5を遠心
成形型6と共に約100℃に保持して乾燥する例を示し
たが、前記予備成形体5を乾燥前に前記遠心成形型6か
ら抜き出し可能であれば、前記予備成形体5のみを乾燥
するようにしてもよく、前記乾燥温度もより高い温度で
あってもよく、例えば200℃であってもい。また、8
0℃程度で乾燥させてもよい。前記乾燥温度によって乾
燥時間が異なるだけである。さらに、バインダの種類に
よっては、乾燥時間も短縮してもよい。 〈7〉上記実施の形態に於いては、遠心成形型6の回転
胴6aの内側に濾紙4を張り付けた例を示したが、前記
回転胴6aの内側にロウその他の離型材の層を形成して
あればさらによく、予備成形体5の前記回転胴6aから
の抜き出しが容易になる。また、離型材層を形成する場
合には、前記回転胴6aに脱水孔6cを形成する代わり
に、前記遠心成形型6の端板を多孔に形成して、前記端
板から脱水するようにしてあってもよい。 〈8〉上記実施の形態に於いては、粒状ステンレス鋼1
Aを、遠心成形型6内に供給し、約5分間回転を維持し
て、回転胴6a内で上から落下する粒状ステンレス鋼1
Aを回収する例を示したが、この維持時間は前記5分間
に限られるものではなく、金属粒子材料1の性状、前記
遠心成形型6の回転数等に応じて、適宜設定されるもの
である。また、スラリの脱水時間も1時間に限定される
ものではなく、脱水の難易に応じて適宜設定されるべき
ものである。 〈9〉上記実施の形態に於いては、抜き出した前記予備
成形体5はカプセルに封入し、HIP装置において、例
えば毎時50℃の昇温速度で400℃まで昇温し、所定
時間維持し、その後、例えば毎時100℃の昇温速度で
さらに1230℃まで昇温し、例えば98MPaの等方
圧加圧下で5時間程度維持して焼結して金属フィルタ7
を製造する例を示したが、前記98MPaの等方圧加圧
力及び時間は焼結材料及び加熱温度に応じて適宜選択さ
れるべきものであり、400℃及び1230℃の加熱温
度、昇温速度も例示したものであって、必要に応じて適
宜変更されるべきものである。また、前記400℃に加
熱する目的は必ずしも脱脂のみを目的とするものではな
く、この加熱を省略することも可能である。 〈10〉上記実施の形態に於いては、粒径範囲150〜
1000μmの粒状のステンレス鋼(SUS316L)
を成形して、濾過層を内側に形成した円筒状のフィルタ
を製造する例を示したが、二山分布の金属粒子材料(小
径側の粒径範囲、例えば10〜50μmの金属粒子材料
と、大径側の粒径範囲、例えば100〜500μmの金
属粒子材料とを混合したもの)から成形してもよく、こ
のようにすれば、支持部と濾過層の通気孔径の差を大き
く出来る。尚、この場合、大径側の粒径範囲の金属粒子
材料を先に遠心成形型内に供給しておき、次いで小径側
の粒径範囲の金属粒子材料を前記大径側の粒径範囲の金
属粒子材料の内側に供給し、その内側からスラリ媒液を
注入するようにすれば、両粒径範囲の金属粒子材料の境
界部に金属粒子材料の混合部が形成されるだけで、支持
部と濾過部を効果的に形成できる。
【0017】
【実施例】粒度範囲200〜500μmの粒状のステン
レス鋼(SUS316L)を成形して、円筒状の金属フ
ィルタを製造した。製造した金属フィルタの寸法は外径
100mm、肉厚5mm、長さ500mmである。金属
フィルタの製造は、回転胴6aの内側に濾紙4を張り付
けた遠心成形型6をその軸芯回りに141rpmの回転
速度(前記回転胴6aの内面における遠心力場は1Gに
相当する。)で回転させながら、粒状ステンレス鋼を金
属粒子材料1として前記回転胴6a内に供給し、供給し
た粒状ステンレス鋼の層が均一化したところで、前記回
転胴6a内で前記粒状ステンレス鋼に、スラリ媒液Lを
添加してスラリ化し、その後、前記回転胴6aの回転速
度を上げ、1500rpm(前記回転胴6aの内面にお
ける遠心力場は113Gに相当する。)に維持しつつ、
約1時間保持して脱水した後乾燥して、円筒状の予備成
形体5を形成し、遠心成形型6と共に約100℃に12
時間程度保持して乾燥した。乾燥後の予備成形体5を、
前記回転胴6aから抜き出し、HIP装置に装入して、
98MPaの等方圧加圧力下で、毎時50℃の昇温速度
で400℃まで昇温し、5時間維持して脱脂し、その
後、毎時100℃の昇温速度でさらに1230℃まで昇
温し、98MPaの等方圧加圧力下で5時間維持して焼
結し、焼結後のフィルタをHIP装置から取り出して、
カプセルを除去し、金属フィルタを製造した。前記スラ
リ媒液Lは、粒状ステンレス鋼の500重量部に対し
て、60重量部のアクリル酸ポリマーをバインダ2とし
て、60重量部のイオン交換水からなる分散媒液3に溶
解して別途調製しておいた。前記スラリ媒液Lの粘度は
約2.7Pa・sであった。
【0018】上記の工程で製造した筒状の金属フィルタ
7の内外表面を電子顕微鏡で観察した結果、図5及び図
6に示すように、内表面に細粒が偏り、外表面に粗粒が
偏っていることが確認できた。尚、両図共に、(イ)は
焼結後の表面を示したものであり、(ロ)は焼結前の成
形体の表面を参考までに示したものである。
【0019】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の工程を説明する説明図
【図2】本発明の製造方法の工程を説明する説明図
【図3】本発明の製造方法の工程を説明する説明図
【図4】本発明により製造した金属フィルタの横断面を
示す説明図
【図5】本発明の効果を示すための焼結金属の外表面の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真
【図6】本発明の効果を示すための焼結金属の内表面の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真
【図7】従来の金属粒子材料を焼結する前工程の説明図
【符号の説明】
1 金属粒子材料 2 バインダ 3 分散媒液 5 予備成形体 6 遠心成形型 B 金属粒子材料層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小阪 晃 大阪府枚方市中宮大池1丁目1番1号 株 式会社クボタ枚方製造所内 (72)発明者 船越 淳 大阪府枚方市中宮大池1丁目1番1号 株 式会社クボタ枚方製造所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粒子材料(1)にバインダ(2)を
    添加して予備成形体(5)を形成し、前記予備成形体
    (5)を加熱して焼結する金属フィルタの製造方法であ
    って、 粒子径の異なる多数の粒子で構成される金属粒子材料
    (1)に分散媒液(3)を添加して形成したスラリを、
    所定回転数で回転駆動される円筒状の遠心成形型(6)
    内に所定時間保持して遠心成形し、前記金属粒子材料
    (1)の粒径に半径方向の偏りを生ぜしめた後に乾燥し
    て前記予備成形体(5)を形成する金属フィルタの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 高粘性のバインダ(2)を添加して高粘
    度化した前記分散媒液(3)中に前記金属粒子材料
    (1)を分散させたスラリを遠心成形する請求項1記載
    の金属フィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 水平軸回りに回転する前記遠心成形型
    (6)内で、形成すべき金属粒子材料層(B)の内面に
    相当する半径位置に及ぼされる遠心力を、重力の加速度
    に等しくする回転数で、前記遠心成形型(6)を回転し
    ながら、前記金属粒子材料(1)を前記遠心成形型
    (6)内に供給して、前記金属粒子材料層(B)の層厚
    をほぼ一定に形成し、その後前記遠心成形型(6)の回
    転を加速し、前記金属粒子材料層(B)に前記分散媒液
    (3)を添加して前記スラリを形成する請求項1又は2
    に記載の金属フィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記予備成形体(5)を等方圧下で加熱
    して焼結する請求項1〜3の何れかに記載の金属フィル
    タの製造方法。
JP27203996A 1996-10-15 1996-10-15 金属フィルタの製造方法 Pending JPH10121111A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103909266A (zh) * 2014-03-31 2014-07-09 成都易态科技有限公司 粉末烧结多孔过滤元件的制备方法、设备及产品
KR20150070758A (ko) * 2013-12-17 2015-06-25 코웨이 주식회사 카본블럭 제조방법 및 카본블럭 제조장치
CN110435166A (zh) * 2019-08-28 2019-11-12 华南理工大学 一种多孔材料动态旋转烧结成型方法及其成型装置

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