JPH10116024A - 画像模擬装置 - Google Patents

画像模擬装置

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JPH10116024A
JPH10116024A JP8287592A JP28759296A JPH10116024A JP H10116024 A JPH10116024 A JP H10116024A JP 8287592 A JP8287592 A JP 8287592A JP 28759296 A JP28759296 A JP 28759296A JP H10116024 A JPH10116024 A JP H10116024A
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靖雄 坂口
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和則 樋口
Tomoaki Nakano
倫明 中野
Arata Yamamoto
新 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】視野環境に対する注視点の位置関係において、
観測者に視野環境がどのように認識されているかを模擬
画像として表示すること。 【解決手段】視野環境の原始画像を作成し、その原始画
像における注視点を指定する。又、認識対象物の輝度に
対する観測者の視覚によって感じる明度との関係を規定
した感度特性を順応度毎に記憶しておく。注視点を中心
とした所定関数により原始画像の輝度を加重積分し、観
測者が視野環境の注視点を注視した時の観測者の視覚の
順応度を実順応度として演算する。その実順応度に対応
する感度特性と、模擬画像を見る環境における観測者の
視覚の順応度を基準順応度として、その基準順応度に対
応する感度特性とから、観測者により感じられる明度
が、実順応度と基準順応度とにおいて等しくなるよう
に、原始画像の明度を変換して、模擬画像を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、観測者の視覚の順
応度に応じて変化する観測者により認識される視野環境
を画像により模擬表示するようにした装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、自動車の情報化に伴い、ナビゲー
ションシステムをはじめとする車載情報機器が急速に増
加しつつある。さらに、VICS(Vehicle Information
andCommunication System) のように、渋滞情報や規制
情報、駐車場情報などを提供するシステムも、一部では
運用が開始され、今後、普及が予測される。このシステ
ムでは、ドライバに提供される情報は多様化し、一層、
増加する傾向にある。一方、安全性の観点から、高齢者
や女性などのドライバの多様化や走行環境を考慮した見
やすい車載表示器の開発が望まれている。
【0003】見易い車載表示器を開発するためには、人
間の視覚の明るさに対する順応度を考慮する必要があ
る。積雪した路面を運転している場合には、人間の視覚
は高い明度に順応しており、車両内部の情報機器を認識
する場合には、非常に暗く感じ、視認性が悪くなる。逆
に夜間走行の場合には、人間の視覚は低い明度に順応し
ており、車両内部の情報機器を認識する場合には、非常
に明るく感じ、幻惑され、視認性が悪くなる。
【0004】情報機器を見やすく設計する場合には、こ
のような人間の視覚の順応度を考慮して設計する必要が
あるが、現段階では、走行環境を想定した照明下で、実
車またはモックアップを用いた評価結果を設計にフィー
ドバックして開発が行われている。しかし、この方法は
手間が掛かるので、車載表示機器の効率的な開発のため
に、コンピュータを用いて、観測者により認識される画
像をシミュレートする方法の開発が待たれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】人間の視覚の順応度を
ある値にするように画面の輝度を変化させる技術とし
て、特開平6−161345号公報に記載のものがあ
る。この公報に記載の運転模擬装置は、運転者が静止し
た模擬車両に着座して、前方の画面に写し出される路面
や風景の動画像を見て、運転感覚を習得するものであ
る。その画像の実現できる明度範囲は、実際の運転環境
の明度範囲よりも狭いために、実際の運転環境と同一の
視覚の順応度を得るように、等価光幕輝度を与える光源
装置を設けたものである。
【0006】このように、運転者において、夏期の昼間
走行時のように順応度が高い場合には、運転模擬装置に
おいて同様な順応度が得られるように、等価光幕輝度を
外部から与えるようにしたものである。
【0007】従って、この運転模擬装置では、画面を見
る環境の明度を変化させるものであり、運転者が前方を
見て運転している時に、車両内部の表示装置を見た時に
どのように見えるかを模擬したものではない。即ち、観
測者の注視点に注目して、観測者が注視点方向を見てい
る時に他の視野環境がどのように観測者に認識されるか
を模擬したものではない。
【0008】よって、特開平6−161345号の技術
は、視野環境と注視点との関係で、観測者に視野環境が
どのように認識されているかを模擬していないため、自
動車等の車室内に搭載される情報機器の画面設計には用
いることができない。本発明は、上記の課題を解決する
ためになされたものであり、その目的は、視野環境に対
する注視点の位置関係において、観測者に視野環境がど
のように認識されているかを模擬画像として表示できる
ようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、視野
環境を観測者が見る時、観測者の視覚の明るさに関する
順応度により変化し、観測者により感じられる視野環境
を模擬画像として表示するようにした画像模擬装置にお
いて、視野環境の原始画像を作成する環境画像作成手段
と、原始画像における注視点を指定する注視点指定手段
と、認識対象物の輝度に対する観測者の視覚によって感
じる明度との関係を規定した感度特性を順応度毎に記憶
した感度特性記憶手段と、注視点を中心とした所定関数
により原始画像の輝度を加重積分することで、観測者が
視野環境の注視点を注視した時の観測者の視覚の順応度
を実順応度として演算する実順応度演算手段と、実順応
度に対応する感度特性と、模擬画像を見る環境における
観測者の視覚の順応度を基準順応度として、その基準順
応度に対応する感度特性とから、観測者により感じられ
る明度が、実順応度と基準順応度とにおいて等しくなる
ように、原始画像の明度を変換して、模擬画像を生成す
る模擬画像生成手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】又、請求項2の発明は、所定関数を、注視
点を中心とするガウス分布であることを特徴とする。
【0011】又、請求項3の発明は、観測者の視覚の順
応度の時間応答特性を記憶した応答特性記憶手段と、実
順応度の異なる任意の2つの注視点間において、注視点
を瞬時移動させた時に、時間応答特性から瞬時移動後の
時間の経過に伴う実順応度を過渡順応度として求める過
渡順応度演算手段と設け、模擬画像生成手段は、時間経
過に伴って変化する過渡順応度を用いて、時間経過に伴
って変化する模擬画像を生成することを特徴とする。請
求項4の発明は、原始画像の全体の輝度が任意の2つの
値で急変した時に、時間応答特性から急変後の時間の経
過に伴う前記実順応度を過渡順応度として求める過渡順
応度演算手段を設け、模擬画像生成手段は、時間経過に
伴って変化する前記過渡順応度を用いて、時間経過に伴
って変化する前記模擬画像を生成するようにしたことを
特徴とする。
【0012】
【作用及び発明の効果】環境画像作成手段により視野環
境が撮像され、その視野環境の原始画像が作成される。
この原始画像の各画素の輝度値は各画素に対応する視野
環境の部分の輝度を表している。注視点指定手段によ
り、原始画像における注視点が指定される。観測者が実
際の視野環境を見る時、視野環境上の注視点の位置によ
り観測者の視覚の順応度が変化する。実順応度演算手段
はこの順応度を実順応度として予測演算する。即ち、注
視点を中心とした所定関数により原始画像の輝度を加重
積分することで、観測者が視野環境の注視点を注視した
時の観測者の視覚の順応度が実順応度として演算され
る。なお、上記注視点の設定方法として、原始画像の画
像中心を注視点と仮定してもよい。これにより、注視点
の設定を簡略化することができる。
【0013】一方、感度特性記憶手段には、認識対象物
の輝度に対する観測者の視覚によって感じる明度との関
係を規定した感度特性が順応度毎に記憶されている。そ
して、模擬画像生成手段により、実順応度に対応する感
度特性と、模擬画像を見る環境における観測者の視覚の
順応度を基準順応度として、その基準順応度に対応する
感度特性とから、観測者により感じられる明度が、実順
応度と基準順応度との順応状態において等しくなるよう
に、原始画像の輝度を変換して、模擬画像が生成され
る。なお、基準順応度は、模擬画像を見る観測者の環境
照度を測定することにより、または、標準的な室内照度
より順応度を推定し、この推定された順応度を上記基準
度応度として設定する。
【0014】このように生成された模擬画像を観測者が
所定の基準順応度で見る時、その観測者により認識され
る模擬画像は、現実の視野環境の注視点を見た時に認識
される画像の明度と等しくなる。
【0015】このように、本装置を用いることで、観測
者が現実の視野環境のある注視点を見た時に認識される
画像を生成することができ、順応度が大きく変化する環
境で使用される表示機器の画像の見え方をシミュレート
することができ、その表示機器の設計に寄与することが
できる。
【0016】例えば、自動車の運転者が見る前方の風景
及び表示機器を含む車室内の設備を撮像して原始画像と
して、前方の風景を注視点にして、上記の模擬画像を生
成することで、前方を見ながら運転している運転者にと
って、表示機器や車室内の設備がどのような明度で認識
されるかを把握することができる。そして、その前方の
風景を、雪道走行時、晴天時、曇天時、雨天時、夜間、
トンネル走行時等、視野環境の輝度が色々変化する状態
で撮像することで、それらの環境で運転している時に、
運転者が車室内の表示器をどのような明度で認識してい
るかを把握でき、表示器をより見やすくするための設計
に貢献することができる。
【0017】又、注視点を移動させることで、観測者の
視覚の順応度を変化させ、観測者に認識される視野環境
の画像の変化をシミュレートすることができる。
【0018】さらに、請求項3の発明によれば、観測者
の順応度の時間応答特性を用いて、注視点を2点間で瞬
時移動させた時に、瞬時移動後の順応度の時間変化を求
めている。従って、この過渡的に変化する順応度に応じ
て模擬画像が生成されるので、観測者が視野環境におい
て注視点を移動させた時の観測者によって認識される視
野環境の変化を模擬画像として表示することができる。
このため、例えば、自動車の運転者の視覚が前方の輝度
の高い風景に順応した状態で、車室内の表示器を見る
時、初めは表示器の表示が暗くて見難いのが、車室内の
明るさに徐々に順応して、表示器の表示が徐々に明るく
見やすくなることを模擬画像により認識することができ
る。さらに、請求項4の発明によれば、原始画像の全体
の輝度が任意の2つの値で急変した時に、時間応答特性
から急変後の時間の経過に伴う実順応度を過渡順応度と
して求めている。従って、請求項3の発明と同様に、こ
の過渡的に変化する順応度に応じて模擬画像が生成され
るので、視野環境の明るさが急変した時の観測者によっ
て認識される視野環境の変化を模擬画像として表示する
ことができる。このため、例えば、晴天時に自動車を運
転している時、トンネルに入ったり、トンネルから出た
り、また、夜間走行時に対向車のヘッドライトを受けた
時のように、視野環境の明るさが急変した場合に、運転
者の認識する外の風景、車内の様子、表示器の表示画面
が時間と共にどのように変化するかをシミュレートする
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施例を図1に
示す。図1は本実施例にかかる画像模擬装置の構成を示
したブロック図である。模擬画像を生成するための各種
の演算を実行するためのCPU11が設けられており、
そのCPU11には画像入力装置21を介してテレビカ
メラ20が接続されている。テレビカメラ20は各種の
視野環境を撮像するためのものであり、自動車の前方の
各種の風景、例えば、雪道走行時、晴天時、曇天時、雨
天時、夜間、トンネル走行時等の輝度の異なる各種の風
景や、車室内の様子、表示器の画面等の視野環境を撮像
するものである。そして、テレビカメラ20で撮像され
た画像は、画像入力装置21により各画素毎にRGB値
に変換され、RAM13の画像メモリに記憶される。R
AM13は、図2に示すように、車外画像、車室内画
像、表示器画像の3種類毎に各画像記憶部131、13
2、133に記憶される。
【0020】又、CPU11にはROM12が接続され
ており、ROM12には、模擬画像を生成するためのプ
ログラムを記憶したプログラム領域121、図3に示す
感度特性を示すデータを記憶する感度特性領域122、
図4に示す順応度の過渡特性を示すデータを記憶した過
渡特性領域123とが形成されている。本実施例では、
後述するように、曲線の関数を規定するためのパラメー
タを記憶するようにしている。しかし、感度特性の場合
には輝度と観測者の感じる明度との関係を順応度毎にデ
ータマップとして記憶したり、過渡特性の場合には順応
度の変化が単位量の場合の経過時間と順応度の変化割合
との関係をデータマップとして記憶するようにして、任
意のある変数値における他の変数値を補間により求める
ようにしても良い。さらに、CPU11には、各種のデ
ータを入力するためのキーボード14、注視点を指定す
るためのマウス15、模擬画像を表示するためのCRT
16、模擬画像を印刷するためのカラープリンタ17が
接続されている。
【0021】図3に示す感度特性は、視野環境の輝度と
観察者の感じる明度(感覚的な明るさをいい、以下、
「明るさ感覚値」という))との関係を観察者の視覚の
順応度をパラメータとして表したものである。即ち、観
測者の順応度が高くなる程(輝度の高い視野環境に順応
する程)、観測者が同一の明るさと感じる視野環境の輝
度は高くなる。
【0022】又、図4に示す順応度の過渡特性は、視野
環境の注視点を瞬時移動させた時に、その観測者の順応
度が時間的に徐々に変化していくことを示した特性であ
る。
【0023】次に、本装置のCPU11の処理手順を図
5のフローチャートに基づいて説明する。ステップ10
0において、RAM13の各画像記憶部131、13
2、133に記憶されている車外画像、車室内画像、表
示器画像を入力して、それぞれの画像を所定の輝度に設
定し、その3つの画像を合成した画像を原始画像とし
て、RAM13の原始画像記憶部134に記憶して、C
RT16に表示する。この時、CRT16には、原始画
像である運転者から見た車室内の表示器、ダッシュボー
ド、前方の風景が表示される。
【0024】次に、ステップ102において、マウス1
5でCRT16上のカソールを移動させて、画面上の注
視点を指定する。即ち、原始画像における注視点を指定
することになる。例えば、通常の運転状態においては、
運転者は前方を注視しているので、前方の明るい風景の
任意位置を注視点として指定する。次に、ステップ10
4において、原始画像に対応した実際の視野環境におい
て、その注視点を注視している時の観測者の順応度が演
算される。
【0025】この順応度の計算は、図6に示す手順に従
って実行される。ステップ200で、重み付け係数の分
布が演算される。この重み付け係数の分布は、次のガウ
ス分布に従って決定される。
【0026】
【数1】 G(θ)=exp((-θ/ θ0 )2) …(1) 但し、図7に示すように、θは注視点を見る視線方向と
成す角、θ0 はガウス分布の大きさを決定する値であ
る。このガウス分布を離散的な画素アドレスに変換する
ために、次の重み付け係数を導入する。
【数2】 W(i,j)=exp(-((i-i0)2+(j-j0)2)/k) …(2) 但し、i,j は原始画像における画素アドレス、i0,j0
原始画像上における注視点の画素アドレス、k はガウス
分布の大きさを決定する値である。即ち、係数W(i,j)は
任意画素(i,j) の注視点(i0,j0) からの距離に比例し
て、減衰定数1/kで減衰する指数関数で決定される。
【0027】次に、ステップ202において、原始画像
の輝度値が上記の重み係数W(i,j)で重み付けられる。即
ち、
【数3】 …(3) IW(i,j)=I(i,j)W(i,j) 但し、I(i,j)は原始画像の画素(i,j) の輝度値、IW(i,
j) はその重み付けられた輝度値である。
【0028】次に、ステップ204において、重み付け
られた輝度値の平均値が演算される。
【数4】 La= ( Σi=1 n Σj=1 m IW(i,j))/nm …(4) 但し、Laは重み付けられた輝度値の平均値であり、現実
の視野環境の注視点を見る時の観測者の実順応度を表し
ている。又、n,m は原始画素のx 方向y 方向の画素数で
ある。
【0029】次に、図5のステップ106へ移行して、
原始画像の輝度変換が行われる。この変換は図8に示す
処理手順で実行される。ステップ300では、原始画像
のRGB値から輝度値Iが演算される。次に、ステップ
302で、(4) 式で求められた順応度Laに対応した図3
に示す感度曲線FLa(I) が選択される。この感度曲線を
用いて明るさ感覚値R(i,j)が次式により演算される。
【数5】 R(i,j)=FLa(I(i,j)) …(5) 尚、FLa=k(I-I0) p である。I は輝度、I0は光覚閾
値、k 、p は順応度によって決定されるパラメータであ
る。次に、ステップ304において、模擬画像を見る時
に基準順応度L0に対応した感度曲線FL0(I) の逆関数G
L0(R) を用いて、模擬画像の求めるべき輝度値S(i,j)を
求める。
【数6】 S(i,j)=GL0(R(i,j)) …(6) 次に、ステップ304において、原始画像のRGB値と
模擬画像の輝度値S(i,j)とから、模擬画像の各画素のR
GB値が演算される。そして、ステップ108でそのR
GB値に基づいてCRT16に模擬画像が表示される。
【0030】次に、ステップ110において、キーボー
ド14からの指令の入力により、原始画像の輝度を変更
したり、原始画像自体を変更すると判定された場合に
は、ステップ100に戻り、合成画像の各部分の輝度を
変更して原始画像を合成したり、他の原始画像を合成し
たりして、その合成された原始画像をCRT16上に表
示する。又、ステップ110において、新しい原始画像
の合成でないと判定された場合には、ステップ102に
おいて、CRT16上に表示されている模擬画像上でマ
ウス15を用いて注視点を新たに指定することで、上述
した処理と同様に、順応度が演算されその順応度に対応
した模擬画像が生成されCRT16に表示される。
【0031】次に、注視点を瞬時移動させた時の順応度
の過渡特性を考慮して模擬画像を生成するようにした実
施例についてCPU11の処理手順を示した図9のフロ
ーチャートを参照して説明する。ステップ400では、
図5のステップ100と同様に、RAM13の各画像記
憶部131、132、133に記憶されている車外画
像、車室内画像、表示器画像を入力して、それぞれの画
像を所定の輝度に設定し、その3つの画像を合成した画
像を原始画像として、RAM13の原始画像記憶部13
4に記憶して、CRT16に表示する。
【0032】次に、ステップ402において、マウス1
5を用いてCRT16上のカソールを移動させて、画面
上の注視点を2点指定する。即ち、原始画像における2
つの注視点を指定することになる。例えば、自動車の運
転時に車室内の表示器を見る場合を想定する。通常の運
転状態においては、運転者は前方を注視しているので、
前方の明るい風景を移動前の第1注視点として指定し、
車室内の表示器の表示を移動後の第2注視点として指定
する。次に、ステップ404、406において、図5の
ステップ104と同様に、即ち、図6の処理手順によ
り、原始画像に対応した実際の視野環境において、第1
注視点を注視している時の観測者の視覚の第1順応度L1
と、第2注視点を注視している時の観測者の視覚の第2
順応度L2とが演算される。
【0033】次に、ステップ408において、タイマを
起動して経過時間tを発生させる。次に、ステップ41
0において、現在の経過時間t、第1順応度L1、第2順
応度L2と図4に示す順応度の過渡特性とから次式により
経過時間tにおける順応度Ltを演算する。
【数7】 Lt=L2+(L1-L2)exp(-t/T) …(7) 但し、Lt,L1,L2はdB値、T は時定数である。
【0034】次に、ステップ412において、図5のス
テップ106と同様な処理により、順応度Ltに対応した
感度曲線FLt(I) が選択される。この感度曲線を用いて
模擬画像の経過時間t における明るさ感覚値Rt(i,j) が
次式により演算される。
【数8】 Rt(i,j) =FLt(I(i,j)) …(8) 次に、模擬画像を見る時に基準順応度L0に対応した感度
曲線FL0(I) の逆関数GL0(R) を用いて、模擬画像の経
過時間t における輝度値St(i,j) を求める。
【数9】 St(i,j) =GL0(Rt(i,j)) …(9) この輝度値St(i,j) と原始画像のRGB値とから、模擬
画像の各画素のRGB値が演算される。そして、ステッ
プ414でそのRGB値に基づいてCRTに模擬画像が
表示される。
【0035】次に、ステップ416において、キーボー
ド14のキーデータが読み込まれ、ステップ418で時
間停止、即ち、画面停止指令が付与されたか否かが判定
される。そして、画面停止指令が付与された場合には、
ステップ416、418の処理を、時間停止解除指令が
付与されるまで、繰り返すことにより、模擬画面を任意
の経過時間で停止させることができる。
【0036】そして、ステップ420で、|Lt-L2 |≦
Δか否かを判定することで、経過時間t における順応度
Ltが第2順応度L2に十分に接近したか否かが判定され
る。順応度Ltが第2順応度L2に十分に接近していない場
合には、ステップ410に戻り、次の経過時間tにおけ
る順応度Ltが演算され、上述した処理により経過時間t
における模擬画像が生成され、CRT16に表示され
る。
【0037】又、ステップ420で、順応度Ltが第2順
応度L2に十分に接近したと判定された場合には、図5の
ステップ110と同様な処理を行うステップ422へ移
行して、キーボード14からの指令の入力により、原始
画像の輝度を変更したり、原始画像自体を変更すると判
定された場合には、ステップ400に戻り、輝度変更し
て原始画像を合成したり、他の原始画像を合成し、その
合成された原始画像をCRT16上に表示する。又、ス
テップ422において、新しい原始画像の合成でないと
判定された場合には、ステップ402において、CRT
16上に表示されている模擬画像上でマウス15で次の
2つの注視点を新たに指定することで、上述した処理と
同様に、注視点を異なる2つの点で瞬時移動させた場合
の順応度の時間変換に伴う観測者により認識される視野
環境を模擬画像としてCRT16に時間の経過と共に表
示することができる。
【0038】次に環境の照度が時間的に変化した場合の
模擬画像の生成方法について図10のフローチャートを
参照して説明する。ステップ500では、図5のステッ
プ100と同様に画像を合成して画像をCRT16に表
示し、ステップ502で図5のステップ102と同様に
画面上で注視点を指定する。次に、ステップ503で視
野環境の照度の変化前と変化後との値である第1照度、
第2照度が入力される。この照度は、車外の風景、車室
内、表示器の表示の等のように画像の部分毎に指定する
ことができる。次に、ステップ504において、第1照
度で原始画像の輝度を演算して、その第1照度における
原始画像をCRT16に表示する。
【0039】次に、ステップ505、506において、
図5のステップ104と同様な処理により、第1照度下
での原始画像の注視点を注視した時の視覚の第1順応度
L1が演算される。又、第2照度下での原始画像の輝度が
演算され、同様に、その注視点を注視した時の第2順応
度L2が演算される。
【0040】以下、ステップ508〜522は、図9の
ステップ408〜522に同一である。このようにし
て、視野環境の照度が急変した時、例えば、自動車で明
るい昼間に走行中にトンネルに入ったり、出たりした
時、夜間走行中に対向車のヘッドライトを受けた時に、
運転者の視覚の順応度が時間的に変化することにより、
車外の風景や道路表示、車室内の表示器の見え方がどの
ように変化して行くかを模擬することができる。
【0041】尚、上記実施例では、原始画像を実際の視
野環境をテレビカメラで撮像して得ているが、コンピュ
ータグラフィクス等により作成しても良い。又、原始画
像を車外、車室内、表示器と3分割して入力している
が、分割しないで、一度に取り込むようにしても良い。
又、注視点の指定は、CRT画面上で指定するようにし
ているが、座標値を直接入力するようにしても良く、注
視点を連続的に移動させるようにしても良い。
【0042】又、模擬画像を生成するための上記実施例
装置で使用されるプログラムはFD、ROM、RAM、
メモリIC、光磁気ディスク、CD等の記憶媒体に記憶
して供給することができる。
【0043】請求項における各手段と上記実施例との関
係を説明する。環境画像作成手段は、テレビカメラ2
0、画像入力装置21、RAM13、CPU11、ステ
ップ100、400、500で構成され、注視点指定手
段は、マウス15、CRT16、CPU11、ステップ
102、402、502で構成され、感度特性記憶手段
はROM12で構成され、実順応度演算手段はCPU1
1、ステップ102、200〜204、404、40
6、505、506とで構成され、模擬画像生成手段
は、CPU11、ステップ106、300〜304、4
12、512で構成される。応答特性記憶手段はROM
12で構成され、過渡順応度演算手段はCPU11と、
ステップ410、510とで構成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な実施例にかかる画像模擬装置
の構成を示したブロック図。
【図2】同実施例装置の機能を示したブロック図。
【図3】視野環境の輝度と観測者の感ずる明るさ感覚値
との関係である感度特性を示した特性図。
【図4】順応度の過渡特性を示した特性図。
【図5】同実施例装置のCPUにより模擬画像を生成す
るための処理手順を示したフローチャート。
【図6】実順応度を求めるための処理手順を示したフロ
ーチャート。
【図7】実順応度を求めるためのガウス分布を示した特
性図。
【図8】原始画像の輝度変換の処理手順を示したフロー
チャート。
【図9】注視点が瞬時移動する時の模擬画像の生成手順
を示したフローチャート。
【図10】視野環境の全体の輝度が急変する時の模擬画
像の生成手順を示したフローチャート。
【符号の説明】
11…CPU 12…ROM 13…RAM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 倫明 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山本 新 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】視野環境を観測者が見る時、観測者の視覚
    の明るさに関する順応度により変化し、観測者により感
    じられる視野環境を模擬画像として表示するようにした
    画像模擬装置において、 視野環境の原始画像を作成する環境画像作成手段と、 前記原始画像における注視点を指定する注視点指定手段
    と、 認識対象物の輝度に対する前記観測者の視覚によって感
    じる明度との関係を規定した感度特性を前記順応度毎に
    記憶した感度特性記憶手段と、 前記注視点を中心とした所定関数により前記原始画像の
    輝度を加重積分することで、前記観測者が前記視野環境
    の前記注視点を注視した時の観測者の視覚の順応度を実
    順応度として演算する実順応度演算手段と、 前記実順応度に対応する前記感度特性と、前記模擬画像
    を見る環境における観測者の視覚の順応度を基準順応度
    として、その基準順応度に対応する前記感度特性とか
    ら、観測者により感じられる明度が、前記実順応度と前
    記基準順応度とにおいて等しくなるように、前記原始画
    像の輝度を変換して、前記模擬画像を生成する模擬画像
    生成手段とから成ることを特徴とする画像模擬装置。
  2. 【請求項2】前記所定関数は、前記注視点を中心とする
    ガウス分布であることを特徴とする請求項1に記載の画
    像模擬装置。
  3. 【請求項3】観測者の視覚の順応度の時間応答特性を記
    憶した応答特性記憶手段と、 前記実順応度の異なる任意の2つの前記注視点間におい
    て、前記注視点を瞬時移動させた時に、前記時間応答特
    性から瞬時移動後の時間の経過に伴う前記実順応度を過
    渡順応度として求める過渡順応度演算手段とを設け、 前記模擬画像生成手段は、時間経過に伴って変化する前
    記過渡順応度を用いて、時間経過に伴って変化する前記
    模擬画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の
    画像模擬装置。
  4. 【請求項4】観測者の視覚の順応度の時間応答特性を記
    憶した応答特性記憶手段と、 前記原始画像の全体の輝度が任意の2つの値で急変した
    時に、前記時間応答特性から急変後の時間の経過に伴う
    前記実順応度を過渡順応度として求める過渡順応度演算
    手段とを設け、 前記模擬画像生成手段は、時間経過に伴って変化する前
    記過渡順応度を用いて、時間経過に伴って変化する前記
    模擬画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の
    画像模擬装置。
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