JPH10111181A - 室内温度推定方法 - Google Patents

室内温度推定方法

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JPH10111181A
JPH10111181A JP28286596A JP28286596A JPH10111181A JP H10111181 A JPH10111181 A JP H10111181A JP 28286596 A JP28286596 A JP 28286596A JP 28286596 A JP28286596 A JP 28286596A JP H10111181 A JPH10111181 A JP H10111181A
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matrix
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temperature
space
equation
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JP28286596A
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Kazutada Kojima
一恭 小島
Yoshinobu Ito
榮信 伊藤
Hidehiro Adachi
秀博 安立
Hidemasa Otaki
英征 大滝
Keiichi Watanuki
啓一 綿貫
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Bosch Corp
Original Assignee
Zexel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室内空気の温度分布を迅速、かつ、容易に推
定することのできる室内温度推定方法を提供する。 【解決手段】 室内を2次元モデル化したものに基づい
て、グラフ理論による熱系のシステムグラフを作成し
(図3参照)、グラフ理論におけるタブロー方程式を構
成する特性行列を、システムグラフ及び一部の実測値を
考慮して導出すると共に、システムグラフに基づいてカ
ットセット行列及びループ行列を導出し、これら特性行
列、カットセット行列及びループ行列を用いてタブロー
方程式を決定し、このタブロー方程式を解析することに
より、室内の所望する点における推定温度が得られるよ
うにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内の温度を推定
する方法に係り、特に、車両用空調装置による車室内温
度の制御のために、車室内の温度分布を迅速かつ容易に
得られるようにした車室内温度推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用空調装置においては、車室
内の温度制御に際し、温度センサを用いて車室内の温
度、外気温度等を実際に測定し、例えば、これら実測デ
ータから車室内の熱負荷を所定の計算式より算出し、そ
れを基準値と比較することにより、空調状態の制御の要
否を判定し、空調制御を行うことが行われており、本願
出願人も既に種々の車両用空調装置を提案している(例
えば特開昭61−287809号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車室内の空
調をより効果的に行うためには、車室内空気の温度分布
の推定値や、流体の分布の状況が迅速、かつ、容易に、
しかも、安定して得られれば好都合である。そこで、本
発明者は、鋭意研究の結果、全く独自の観点から車室内
空気の温度分布の推定を行う方法に関して発明するに至
ったものである。したがって、本発明は、車室内空気の
温度分布を迅速、かつ、容易に推定することのできる室
内温度推定方法を提供するものである。本発明の他の目
的は、推定値の変動が小さく安定した推定結果が得られ
る室内温度推定方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る室内温度推定方法は、温度推定を行う対象となる空間
を2次元空間にモデル化し、このモデルにおいて、運動
量及びエネルギについての各保存則が成立するとの前提
の下、当該モデルに対してグラフ理論に基づいて、少な
くとも熱系のシステムグラフを作成し、当該熱系のシス
テムグラフに基づいて、グラフ理論におけるタブロー方
程式を構成する特性行列を導出すると共に、前記熱系の
システムグラフに基づいて、グラフ理論におけるカット
セット行列及びループ行列を導出し、前記カットセット
行列及びループ行列並びに前記特性行列を用いてタブロ
ー方程式を解析することにより、前記空間における推定
温度を算出するように構成されてなるものである。
【0005】かかる方法は、3次元空間を1次元流れを
想定したブロックの接続により、2次元空間にモデル化
し、このモデルについて、電気回路の集中定数的視点か
らグラフ理論に基づいてシステムグラフを作成すること
により、グラフ理論におけるタブロー方程式による解析
ができるようにし、所望の点における推定温度を求めら
れるようにしてなるもので、本来、いわゆる分布系であ
る熱流体系としての空間における温度推定を回路理論の
導入により、比較的簡易に温度推定が行えるようにした
ものである。
【0006】請求項2記載の発明に係る室内温度推定方
法は、温度推定を行う対象となる空間において、推定温
度の算出を所望する点を複数設定し、当該空間を、前記
複数の点、外気温の影響を表す点及び前記空間に存在す
る発熱源を表す点を基準として、熱及び流体を考慮した
ブロックと熱伝導のみを考慮したブロックに区分して2
次元空間にモデル化し、このモデルにおいて、運動量及
びエネルギについての各保存則が成立するとの前提の
下、当該モデルに対してグラフ理論に基づいて、少なく
とも熱系のシステムグラフを作成し、当該熱系のシステ
ムグラフに基づいて、グラフ理論におけるタブロー方程
式を構成する特性行列を、一部の行列要素については、
各節点における流速の実測値を用いて導出すると共に、
前記熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
けるカットセット行列及びループ行列を導出し、前記カ
ットセット行列及びループ行列並びに前記特性行列を用
いてタブロー方程式を解析することにより、前記空間に
おける推定温度を算出するように構成されてなるもので
ある。
【0007】かかる方法は、3次元空間を1次元流れを
想定したブロックの接続により、2次元空間にモデル化
し、このモデルについて、電気回路の集中定数的視点か
らグラフ理論に基づいてシステムグラフを作成すること
により、グラフ理論におけるタブロー方程式による解析
ができるようにし、しかも、このタブロー方程式を構成
する特性行列の一部の要素については、実測の流速を用
いるようにして、タブロー方程式の解析を行い、所望の
点における推定温度の算出値として安定、確実なものが
得られるようにしてなるもので、本来、いわゆる分布系
である熱流体系としての空間における温度推定を回路理
論の導入により、比較的簡易に温度推定が行えるように
したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態におけ
る車室内温度推定方法について、図1乃至図11を参照
しつつ説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は
本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内
で種々改変することができるものである。まず、本発明
の実施の形態における室内温度推定方法を適用した車室
の構成等について図1を参照しつつ説明する。この発明
の実施の形態において用いられた車室は、いわゆるワン
ボックスカーの車室で、試験を簡単にするため、車室内
の中央付近をパネルにより仕切り、後部室内のみを対象
としたものである(図1参照)。かかる後部室内におい
ては、後部専用の空調装置(図示せず)により室内温度
が調節されるようになっており、そのため、後部車室内
前方上方の点(図1において符号1で示された点)と後
部車室内前方下方の点(図1において符号9で示された
点)にそれぞれ送風機(Blower)が設けられ、また、後
部車室内後方の下部には、出口(図1において符号12
で示された箇所)が設けられたものとなっている(図1
参照)。さらに、図1において符号1で示された点及び
符号9で示された点には、空調装置からの空調空気が車
室内へ吹き出されるための入口がそれぞれ形成されてい
る。なお、この後部室内の略中央には、乗員席15が設
置されている。
【0009】また、車室内の垂直方向(図1において紙
面上下方向)を天井に近い上層部、床に近い下層部、こ
れら上層部と下層部の略中央に位置する中層部の3つに
区分し、上層部においては、略300mmの間隔で水平
方向に4つの点(図1において符号2,3,4,5が付
された点)で、中層部においては、水平方向に上層部と
同様な間隔をおいて3つの点(図1において符号6,
7,8が付された点)で、下層部においては、水平方向
に上層部と同様な間隔をおいて2つの点(図1において
符号10,11が付された点)で、それぞれ流速及び温
度の測定を行った。これは、後述するように本発明の実
施の形態における室内温度推定方法により求められた推
定温度と、実測値との比較をするためのデータを得るた
めと、一部のデータについては、温度推定の計算に用い
るために必要(詳細は後述)があるためである。なお、
この発明の実施の形態において用いられた車両の大きさ
は、後部側の車長が約2140mm、床と天井との距離
が1235mmのものである(図1参照)。
【0010】上記構成の車室内を、熱、流体及び熱伝導
に注目してモデル化したものが図2に示されている。同
図において、実線は熱と流体を考慮したブロックを、二
点鎖線は、熱伝導のみを考慮したブロックを、それぞれ
表している。また、各黒塗りの節点は、先に述べた車室
内の各点に対応している。さらに、符号13の点は、外
気熱の影響を表すために設けた節点である。またさら
に、符号10,11の点においては、エンジンからの熱
を考慮して、発熱があるものとしている。この車室内の
モデル化は、言わば、3次元空間の車室内を、2次元に
モデル化するものであり、この発明の実施の形態におい
ては、車室の前後方向と上下方向についての2次元空間
としている。
【0011】本発明の実施の形態における室内温度推定
方法は、このように車室内をモデル化したものにグラフ
理論を適用してグラフ化し、そのグラフからタブロー方
程式を導出し、この方程式を解くことにより、温度推定
を行うものであるが、グラフ理論に基づくグラフ化及び
タブロー方程式の導出について、理解を容易にし、説明
を簡潔とするため、以下、図5乃至図10を参照しつつ
単純化した例について説明することとする。まず、先に
図2に示された車室内にしても、図5に示された単純化
されたモデル例にしても、いずれも非圧縮流体である気
体を対象とするものであり、このような非圧縮流体の挙
動は、基本的には、下記するように、物理学における質
量、運動量及びエネルギに関する3つの保存則を表す式
により解析されるものであることを前提とする。
【0012】∇・u=0・・・(式1)
【0013】 ∂u/∂t+(u・∇)u=−∇p/ρ+ν∇2u・・・(式2)
【0014】 ρCp{∂T/∂t+(u・∇)T}=κ∇2T+Q′・・・(式3)
【0015】ここで、uは流速、tは時間、pは圧力、
ρは密度、νは動粘性係数、Cpは定圧比熱、Tは温
度、κは熱伝導率、Q′は単位質量当たりの発熱量を、
それぞれ示すものである。なお、ここでは、乱流は考え
ないこととするが、レイノルズ係数が比較的大きい場合
の層流を想定しているため、上記式中、粘性項は他の項
と比較して小さいので、解析に際しては、この項を無視
しすることとする。
【0016】かかる前提の下、図5に示された単純化さ
れたモデル例について説明すれば、、同図には、1次元
流れの流路モデルの例が示されており、このモデルは、
2つのブロックを接続して構成されたものである。同図
において、及びは、ブロックの端点を、は、ブロ
ックの接続点を、それぞれ示すものである。また、境界
条件として、端点における温度T1としてT1=Tが、
端点における温度T3としてT3=T′が、それぞれ与
えられており、また、接続点には発熱があり、その単
位質量当たりの発熱量はQ′であるとする。かかる条件
の下、グラフ理論により、端点における温度T1の過
渡的な変化状況を求めるとする。なお、以下の説明にお
いては、のような円の中に数字が記述されたものを、
丸数字と称し、このの場合には、丸数字1と表現する
こととする。
【0017】まず、図5に示されたモデルについて、熱
系及び流体系のシステムグラフを、先の式1乃至式3を
考慮しつつ、それぞれ作成する。すなわち、熱系のシス
テムグラフは、次述するようにして求められるものであ
り、図6にはその熱系のシステムグラフが示されてい
る。最初に、ブロックの端点又は接続点に対して1つず
つ節点を生成する。図6において、丸数字1〜丸数字3
が付された節点は、図5に示された端点及び接続点にそ
れぞれ対応するものである。次に、先の式3の熱伝導項
に相当する枝を生成する。この枝は、各ブロックの両端
の点(端点及び接続点)を接続するものとする。図6に
おいては、枝6,9がこれに相当するものである。次
に、式3の移流項に相当する枝を生成し、この枝の中間
に仮想節点を生成し、枝を2つに分割する。図6におい
ては、枝7,8,10及び11並びに丸数字4,5が付
された仮想接点がこれに相当するものである。続いて、
新たに、基準点となるグランド節点g(図6においては
円の中にgを記載して表記された点)を設け、このグラ
ンド節点gと他の節点とを時間項を示す枝で接続する。
図6においては、枝1乃至枝5がこれに相当するもので
ある。最後に、節点に発熱がある場合には、その節点と
基準点であるグランド節点gとを発熱を表す枝で接続す
る。図6においては、枝12がこれに相当するものであ
る。
【0018】次に、流体系のシステムグラフを次述する
ような要領で作成する。ブロックの端点又は接続点に対
して節点を1つずつ生成する。図7においては、丸数字
1乃至3の節点がこれに相当するものである。次に、先
の式2の移流項に相当する枝を生成する。この枝は、各
ブロックの両端の点(端点及び接続点)を接続するもの
とする。図7においては、枝4,5がこれに相当するも
のである。最後に、新たな基準点となるグランド節点g
(図7においては円の中にgを記載して表記された点)
を設け、これと他の節点とを時間項を示す枝で接続す
る。図7においては、枝1乃至3がこれに相当するもの
である。なお、上述の説明においては、熱系のシステム
グラフと流体系のシステムグラフとを別個のものとして
説明したが、両システムグラフは、本来は、グランド節
点gを介して一つのシステムグラフとしてもよいもので
ある。
【0019】次に、上述のようにして作成されたシステ
ムグラフに基づいて、カットセット行列Q及びループ行
列B並びに特性行列H1,H2,Cを求め、これらの行列
式をまとめたタブロー方程式(図8参照)を導出して、
これを解析することで、温度推定値等が得られることと
なる。すなわち、熱系の特性行列は、次の要領で作成さ
れる。なお、図9には、図6に示された熱系のシステム
グラフに基づいて作成された特性行列H1,H2及びCが
示されている。まず、温度境界のある節点の時間項を表
す枝に相応する行について、特性行列H2の対角成分を
1とし、特性行列Cの成分を境界温度とする。図9
(b),(c)に示された特性行列H2及びCにおいて
は、第1及び3行目の対角成分がこれに相当するもので
ある。次に、境界条件の無い節点の時間項を表す枝に相
応する行について、特性行列H1の対角成分を−Δt/
ρCpanとし、特性行列H2の対角成分を1とし、特性
行列Cの対角成分を1ステップ前の温度とする。なお、
ここで、Δtは、時間刻み幅を、anは、節点n(n=
1,2・・・)における節点面積を、それぞれ意味す
る。図9に示された特性行列H1,H2,Cにおいては、
第2行目の対角成分がこれに相当するものである。
【0020】次に、仮想節点とグランド節点gとを接続
する枝に相応する行について、特性行列H2の対角成分
を1とし、仮想節点の上流に接続される節点に相当する
特性行列H2の列成分を−1とする。図9(b)に示さ
れた特性行列H2においては、第4及び第5行目の対角
成分並びに第1及び第2列目の成分がこれに相当するも
のである。次に、移流項を表す枝に相当する行につい
て、仮想節点の上流に接続される枝に相応する行は、特
性行列H1の対角成分を1とし、特性行列H2の対角成分
を0とする。図9(a),(b)に示された特性行列H
1,H2においては、第7及び第10行目の対角成分がこ
れに相当するものである。また、同じく移流項を表す枝
に相当する行について、仮想節点の下流に接続される枝
に相応する行は、特性行列H1の対角成分を1とし、特
性行列H2の対角成分を−ρCpuAAとする。なお、u
Aは、節点Aにおける流速を、wAは、ブロックAのブロ
ック幅を、それぞれ表すもので、本発明の実施の形態に
おける室内温度推定方法において、流速は実測値を用い
る。図9(a),(b)に示された特性行列H1,H2
おいては、第8及び第11行目の対角成分がこれに相当
するものである。
【0021】次に、熱伝導項を表す枝に相応する行につ
いて、特性行列H1の対角成分をブロックの長さΔxと
し、特性行列H2の対角成分を−κ(κは熱伝導率)と
する。図9(a),(b)に示された特性行列H1,H2
においては、第6及び第9行目の対角成分がこれに相当
するものである。最後に、発熱項を表す枝に相応する行
について、特性行列H1の対角成分を1とし、特性行列
Cの成分をQ′(単位質量当たりの発熱量)とする。図
9(a),(c)に示された特性行列H1,Cにおいて
は、第12行目がこれに相当するものである。なお、特
性行列の上述した要素以外のものについては、全て零と
する(図9参照)。
【0022】カットセット行列Q及びループ行列Bは、
グラフ理論で知られているように、互いに直交するとい
う性質を有するものであるので、何れかの行列が求めら
れれば他方の行列は、この性質を利用して一義的に定ま
るものである。また、これら行列Q及びBは、グラフ理
論通りに求められるもので、先の特性行列とは異なり、
温度推定方法が適用される対象の物理的な各種の定数等
(例えば、空気密度、定圧比熱等)を考慮することな
く、先の熱系のシステムグラフについてグラフ理論に基
づいて求められるものであるので、ここでの求め方の詳
細な説明は省略することとするが、因みに、ループ行列
Bの求めた方について概括的に説明することとする。
【0023】まず、図6に示されたシステムグラフにお
いて、成立し得る閉路(ループ)を設定する。仮にルー
プ行列Bの要素をbijとすると、この要素bijの値は、
次のように決定されるものである。すなわち、枝jが閉
路iに含まれ、それらの向きが一致するときは、bij
1となり、枝jが閉路iに含まれ、それらの向きが反対
のときは、bij=−1となり、枝jが閉路iに含まれな
いときは、bij=0となる。
【0024】上述のようにして求められた熱系におけ
る、特性行列H1,H2及びC並びにカットセット行列Q
及びループ行列Bにより、熱系におけるタブロー方程式
(図8参照)を構成し、このタブロー方程式を数値解析
することにより、所望の点における熱量、温度の推定値
が求められることとなる。なお、図8に示されたタブロ
ー方程式において、iTは通過変数の転置行列であり、
Tは横断変数の転置行列である。そして、具体的に
は、熱系においては、通過変数は熱量であり、横断変数
は温度である。また、後述する流体系においては、通過
変数は運動量であり、横断変数は流速である。タブロー
方程式の数値解析については、計算機の処理に適した汎
用のプログラムが種々既に、公知・周知となっているの
で、これを利用して簡易に解析結果を得ることができ
る。
【0025】次に、流体系の特性行列H1,H2,Cは、
次述する要領で作成される。なお、図10には、図7の
流体系のシステムグラフに基づいて作成された特性行列
1,H2,Cが示されている。最初に、境界速度のある
節点に接続されている時間項を示す枝に相当する行につ
いて、特性行列H2の対角成分を1とし、特性行列Cの
成分を境界成分とする。図10(b),(c)に示され
た特性行列H2,Cにおいては、第1及び第3行目がこ
れに相当するものである。次に、境界の無い節点に接続
されている時間項を表す枝に相応する行について、特性
行列H1の対角成分をΔtとし、特性行列H2の対角成分
を−ρanとし、特性行列Cの成分を−ρannとす
る。図10に示された特性行列H1,H2,Cにおいて
は、第2行目がこれに相当するものである。最後に、移
流項に相当する行について、特性行列H1の対角成分を
1とし、特性行列Cの成分をρwun 2とする。図10
(a),(b)に示された特性行列H1,Cにおいて
は、第4及び第5行目がこれに相当するものである。な
お、特性行列の上述した要素以外のものについては、全
て零とする(図10参照)。
【0026】なお、流体系のカットセット行列Q及びル
ープ行列Bも、先に熱系のカットセット行列Q及びルー
プ行列Bについて説明したと同様に、グラフ理論通りに
求められるものであるので、その求め方のここでの詳細
な説明は省略することとする。
【0027】上述のようにして求められた流体系におけ
る、特性行列H1,H2及びC並びにカットセット行列Q
及びループ行列Bにより、流体系におけるタブロー方程
式(図8参照)を構成し、このタブロー方程式を数値解
析することにより、所望の点における運動量、流速の推
定値が求められることとなる。なお、タブロー方程式の
数値解析については、先に熱系のタブロー方程式の解析
について説明したように、汎用のプログラムを用いて行
うことができる。
【0028】次に、図2に示されたようにモデル化され
た本発明の実施の形態における車室内の温度推定につい
て説明する。まず、この図2に示された車室内の熱、流
体に関するモデルに基づいて、グラフ理論によるシステ
ムグラフを、熱系と流体系のそれぞれについて作成する
と、図3及び図4に示されたようなものとなる。すなわ
ち、図3は、図2に示された車室内のモデルに対してグ
ラフ理論を適用して作成される車室内の熱系についての
システムグラフであり、同図において丸数字1〜丸数字
13は、図2に示された温度及び流速の測定点に対応す
る節点である。そして、図3のシステムグラフにおい
て、各枝は、2つの接点に接続されるものであるが、同
図において枝の一方が節点に接続されていなものは、グ
ランド節点g(図3において円中にgと記した符号が付
されている節点)に接続されているものであり、その接
続部分の表記が省略されているものである。
【0029】流体系についは、丸数字1乃至丸数字5の
節点、丸数字9乃至丸数字11の節点を接続する熱と流
体系を考慮したブロックのみを考慮すればよいため、図
4に示されたようなシステムグラフとなる。
【0030】次に、熱系のシステムグラフ(図3参
照)、流体系のシステムグラフ(図4参照)に基づい
て、先の図5に示された例について説明したようにし
て、熱系及び流体系のそれぞれについて、特性行列
1,H2及びC並びにカットセット行列Q及びループ行
列Bを導出し、これらの行列に基づいて、熱系のタブロ
ー方程式、流体系のタブロー方程式を、それぞれ導出す
る。なお、本発明の実施の形態においては、熱系及び流
体系のそれぞれについてタブロー方程式を導出するにあ
たっては、流路の長さ及び幅、各節点の流速、境界(空
調空気の車室内への入口、出口)の温度、外気温(図3
の丸数字13の節点の温度として与えられる外気温)、
エンジンの発熱量(図3及び図4の丸数字10及び丸数
字11の節点における発熱量として与えられる熱量)に
ついて、実測値又は所定のデータを用いることとしてお
り、さらに、熱伝導率、密度及び比熱については、気体
のそれぞれの数値を用いることとした。
【0031】そして、上述にようにして求められた熱系
及び流体系のそれぞれのタブロー方程式について解析を
行うことにより、熱系については、タブロー方程式にお
ける通過変数iの解析値として各節点における熱量の推
定値が、また、横断変数Vの解析値として各節点におけ
る温度の推定値が、それぞれ得られることとなる。さら
に、流体系については、タブロー方程式における通過変
数iの解析値として各節点における運動量の推定値が得
られることとなる。
【0032】次に、上述のようにして求められた温度推
定値と実測値との比較結果の一例について図11を参照
しつつ説明する。図11は、図1に示された車室内をあ
る温度において定常状態とした後、空調装置の吹き出し
温度を変えた場合の車室内温度の変化の実測値と、上述
のようにして求められた推定温度とを示したものであ
る。具体的には、空調装置からの吹き出し空気の車室内
への入口(図1において符号1及び符号9が付された位
置)における吹き出し空気の温度を20℃に設定し、車
室内の温度が定常状態となった後で、同じ入口における
吹き出し空気を30℃に切り替えて車室内の温度変化の
測定及び流速の測定を行った。なお、流速の設定は一定
である。そして、上述した方法による温度推定に際して
は、測定された流速値を用いて行った。図11には、こ
のような条件の下で、先の図1で符号4及び符号7で示
された測定点における温度変化の実測値が実線により示
されており、それぞれ対応する特性線に測定点の符号と
同一の符号が付されている。また、図11においては、
上述の実測値が測定された点と同一の点における上述の
方法により求められた推定温度の変化が点線により示さ
れており、実測値の場合と同様に、対応する点の符号が
付されている。
【0033】図11における実測値と推定値とを比較す
ると、0乃至1500秒までの過渡状態においては、実
測値と推定値との間に最大で約3℃程度の差が生じた
が、定常状態における定常値は略一致し、さらには、特
性線の全体的な傾斜も略一致しており、本発明の実施の
形態におけるグラフ理論による温度推定方法が十分実用
し得るものであることを示す結果となっている。
【0034】なお、上述した発明の実施の形態において
は、流速の測定点として12点設定したが、この流速の
測定点の数は、必ずしもこれに限定されるものではな
く、他の数であっても勿論よいものであるが、温度推定
を行う点に応じて流速の測定点も同数程度あれば推定精
度は向上する。また、上述した発明の実施の形態におい
ては、車室内の温度推定を例に説明したが、必ずしも車
室内である必要はなく、例えば、家屋の室内においても
同様にして適用できるものである。
【0035】
【発明の効果】以上、述べたように、本発明によれば、
いわゆる分布系である熱流体系を所定の条件の下で、集
中定数系に置き換えて、グラフ理論による解析が行える
ように構成することにより、グラフ理論による回路解析
と同様にして推定温度を求めることができるので、迅
速、かつ、容易に温度推定が行える。特に、請求項2記
載の発明においては、上述の効果に加えて、タブロー方
程式に流速の実測値を導入することで、より安定した推
定値を得ることができ、信頼性の高い温度推定方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるグラフ理論による
温度推定方法が適用される車室の構成を模式的に示す模
式図である。
【図2】図1に示された車室内の2次元化されたモデル
を示す説明図である。
【図3】図2に示された車室内のモデルに対してグラフ
理論により導出される熱系のシステムグラフである。
【図4】図2に示された車室内のモデルに対してグラフ
理論に基づいて導出される流体系のシステムグラフであ
る。
【図5】一次元流れの流路モデルの例を示す説明図であ
る。
【図6】図5に示された流路モデルに対してグラフ理論
により導出される熱系のシステムグラフである。
【図7】図5に示された流路モデルに対してグラフ理論
により導出される流体系のシステムグラフである。
【図8】タブロー方程式を説明するための説明図であ
る。
【図9】図6に示された熱系のシステムグラフから導出
される特性行列を説明するための説明図であって、図9
(a)は特性行列H1を、図9(b)は特性行列H2を、
図9(c)は特性行列Cを、それぞれ示すものである。
【図10】図7に示された流体系のシステムグラフから
導出される特性行列を説明するための説明図であって、
図10(a)は特性行列H1を、図10(b)は特性行
列H2を、図10(c)は特性行列Cを、それぞれ示す
ものである。
【図11】本発明の実施の形態におけるグラフ理論によ
る温度推定方法により求められた推定温度の変化と実測
値の変化とを示す特性線図である。
【符号の説明】
1〜12…温度及び流速測定点(図1) 15…乗員席
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 榮信 埼玉県東松山市箭弓町3−13−26 株式会 社ゼクセル東松山工場内 (72)発明者 安立 秀博 埼玉県東松山市箭弓町3−13−26 株式会 社ゼクセル東松山工場内 (72)発明者 大滝 英征 埼玉県吉川市保514−12 (72)発明者 綿貫 啓一 埼玉県蕨市塚越4−12−27−215

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度推定を行う対象となる空間を2次元
    空間にモデル化し、 このモデルにおいて、運動量及びエネルギについての各
    保存則が成立するとの前提の下、当該モデルに対してグ
    ラフ理論に基づいて、少なくとも熱系のシステムグラフ
    を作成し、 当該熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるタブロー方程式を構成する特性行列を導出すると共
    に、 前記熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるカットセット行列及びループ行列を導出し、 前記カットセット行列及びループ行列並びに前記特性行
    列を用いてタブロー方程式を解析することにより、前記
    空間における推定温度を算出することを特徴とする室内
    温度推定方法。
  2. 【請求項2】 温度推定を行う対象となる空間におい
    て、推定温度の算出を所望する点を複数設定し、当該空
    間を、前記複数の点、外気温の影響を表す点及び前記空
    間に存在する発熱源を表す点を基準として、熱及び流体
    を考慮したブロックと熱伝導のみを考慮したブロックに
    区分して2次元空間にモデル化し、 このモデルにおいて、運動量及びエネルギについての各
    保存則が成立するとの前提の下、当該モデルに対してグ
    ラフ理論に基づいて、少なくとも熱系のシステムグラフ
    を作成し、 当該熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるタブロー方程式を構成する特性行列を、一部の行列
    要素については、各節点における流速の実測値を用いて
    導出すると共に、 前記熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるカットセット行列及びループ行列を導出し、 前記カットセット行列及びループ行列並びに前記特性行
    列を用いてタブロー方程式を解析することにより、前記
    空間における推定温度を算出することを特徴とする室内
    温度推定方法。
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