JPH10147126A - 車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置

Info

Publication number
JPH10147126A
JPH10147126A JP31859296A JP31859296A JPH10147126A JP H10147126 A JPH10147126 A JP H10147126A JP 31859296 A JP31859296 A JP 31859296A JP 31859296 A JP31859296 A JP 31859296A JP H10147126 A JPH10147126 A JP H10147126A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
matrix
graph
air
air conditioner
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31859296A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutada Kojima
一恭 小島
Yoshinobu Ito
榮信 伊藤
Hidehiro Adachi
秀博 安立
Choshichi Miyanaga
長七 宮永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bosch Corp
Original Assignee
Zexel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Zexel Corp filed Critical Zexel Corp
Priority to JP31859296A priority Critical patent/JPH10147126A/ja
Publication of JPH10147126A publication Critical patent/JPH10147126A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱負荷の変動をより事前に把握でき、従来に
比してより快適な空調状態を実現することのできるよう
にする。 【解決手段】 コントロールユニット18では、車室内
温度がグラフ理論を用いて推定され、この推定温度並び
にコントロールユニット18に入力されたエバポレータ
温度等の各種データに基づいて所定式によって、車室内
の熱負荷に相当する信号値が演算されるようになってお
り、この信号値に応じて、ブロアモータ5等の動作がコ
ントロールユニット18によって制御されることで、熱
負荷の変動をより事前に把握でき、従来に比してより快
適な空調状態を実現できるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用空調装置に
係り、特に、空調制御の快適性の向上を図った車両用空
調装置における空調制御方法及び車両用空調装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車両用空調装置として
は、種々の形態のものが提案、実用化されており、本願
出願人においても、既に、様々の形態の車両用空調装置
に関する提案を行っている(例えば、特開平3−540
15号公報等参照)。これら、従来の車両用空調装置
は、基本的には、車室内の現実の温度、車室内へのいわ
ゆる日射量、外気温度等をセンサにより測定し、これら
のデータを基に、車室内の現時点におけるいわゆる熱負
荷を算出し、この熱負荷に応じて、例えば、エアミック
スドアやブロアの制御を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の車
両用空調装置では、現実の温度データ等から演算された
略現在の車室内の熱負荷に基づいて空調制御を行うのも
のであったが、本願発明者は、車室内温度の変化を事前
に把握し、それに基づいて空調制御を行うことにより、
空調に対する乗員の快適さをより向上することが可能で
あると考え、本願発明に至ったものである。
【0004】本発明は、上記実状に鑑みてなされたもの
で、車室内の温度推定を行い、推定された温度を空調制
御に用いることによって、従来に比してより快適な空調
状態を実現できる車両用空調装置における空調制御方法
及び車両用空調装置を提供するものである。本発明の他
の目的は、熱負荷の変動をより事前に把握でき、従来に
比してより快適な空調状態を実現することのできる車両
用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る車両用空調装置における空調制御方法は、車室内温度
を含む複数のデータを用いて所定の式によって車室内の
熱負荷に相当する信号値を算出し、この信号値に応じて
少なくとも前記車室内への送風温度と送風量とを制御す
る車両用空調装置における空調制御方法であって、前記
車室内温度は、所定の温度推定方法により得るようにし
てなるものである。
【0006】かかる方法は、特に、車室内の温度とし
て、所定の温度推定方法によって得られたものを用いる
こととし、この推定された車室内の温度等のデータを所
定の式に代入して車室内の熱負荷に相当する信号値を算
出するようにした点に特徴を有するもので、このように
ある時間経過後の推定温度を用いることにより、ある時
間経過後における車室内温度の変化に対する空調状態を
いわば先取りして形成することができるようになり、よ
り快適な空調を実現できることとなるものである。
【0007】また、請求項4記載の発明に係る車両用空
調装置は、車室内の熱負荷を調整する空調手段と、前記
車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件を検出する環
境条件検出手段と、前記車室内の温度を推定する温度推
定手段と、前記環境検出手段の検出信号及び前記温度推
定手段により得られた推定温度に基づいて前記車室内の
熱負荷に相当する信号値を演算する熱負荷演算手段と、
前記熱負荷演算手段の演算結果に基づいて、前記空調手
段の動作を制御する制御手段と、を具備してなるもので
ある。
【0008】特に、温度推定手段は、温度推定を行う対
象となる車室内空間について予め得られた熱系のシステ
ムグラフに基づいて得られるグラフ理論におけるタブロ
ー方程式を構成する特性行列の一部の行列要素について
は、各節点における流速の実測値を用いて特性行列を導
出し、前記タブロー方程式を構成するカットセット行列
及びループ行列を、前記熱系のシステムグラフにグラフ
理論を適用して導出し、前記特性行列、カットセット行
列及びループ行列を用いてなるタブロー方程式を解析す
ることによって推定温度を算出するものであって、前記
熱系のシステムグラフは、前記車室内空間に推定温度の
算出を所望する点を複数設定し、当該空間を、前記複数
の点、外気温の影響を表す点及び前記空間に存在する発
熱源を表す点を基準として、熱及び流体を考慮したブロ
ックと熱伝導のみを考慮したブロックに区分して2次元
空間にモデル化し、このモデルにおいて、運動量及びエ
ネルギについての各保存則が成立するとの前提の下、当
該モデルに対してグラフ理論に基づいて予め作成された
ものであるものが好適である。
【0009】かかる構成においては、空調手段は、車室
内の熱負荷を調整する手段であれば全てのものが含まれ
が、例えば、冷房サイクルを構成するエバポレータとこ
のエバポレータの通過空気の量を調節するエアミックス
ドア等のようなものによって実現されるものである。ま
た、環境条件検出手段は、車室内の空調状態に影響を及
ぼす環境条件を検出するものであれば全てのものが含ま
れる。ここで、車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条
件とは、例えば、日射量や外気温等であり、環境条件検
出手段は、例えば、日射量センサや、外気温センサによ
り実現されるものである。そして、本装置においては、
温度推定手段により、本来、いわゆる分布系である熱流
体系としての車室内空間における温度推定を、回路理論
の導入により、比較的簡易に行えるようにし、この温度
推定手段により求められた推定温度を始め、種々の環境
条件としてのデータを所定の式に代入して車室内の熱負
荷に相当する信号値を熱負荷演算手段により算出するよ
うにした点に特徴を有するもので、このようにある時間
経過後の推定温度を用いることにより、ある時間経過後
における車室内温度の変化に対する空調状態をいわば先
取りして形成することができるようになり、より快適な
空調を実現できることとなるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1乃至図13を参照しつつ説明する。なお、以下
に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではな
く、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができる
ものである。最初に、本発明の実施の形態における車両
用空調装置の構成について、図1を参照しつつ説明す
る。この車両用空調装置は、空調ダクト1の最上流端
が、外気導入口2と、内気導入口3とに分岐されてお
り、この分岐部分には空調ダクト1へ導入する空気を選
択するためのインテークドア4が設けられている。この
インテークドア4は、アクチュエータ16により、その
位置が変えられるようになっており、アクチュエータ1
6は、後述するコントロールユニット18により動作制
御されるようになっているものである。
【0011】そして、空調ダクト1の後流側には、ブロ
アモータ5、エバポレータ6、ヒータコア7が順次配置
されている。なお、エバポレータ6は、図示されないコ
ンプレッサ等と共に、いわゆる冷房サイクルを構成する
ようになっているものである。
【0012】ヒータコア7は、空調ダクト1の一方側に
偏って設けられており、空調ダクト1の他方の側壁とヒ
ータコア7との間にバイパス通路8が形成されると共
に、ヒータコア7の前方には、ヒータコア7を通過する
空気量と、バイパス通路8を通過する空気量とを調節す
るためのエアミックスドア9が設けられている。
【0013】さらに、空調ダクト1の下流側は、ベント
吹出口10、デフロスト吹出口11及び足元吹出口12
に分かれて図示されない車室内に開口するように形成さ
れていると共に、それぞれの吹出口には、モードドア1
3a,13b,13cがそれぞれ設けられている。
【0014】上述したエアミックスドア9及びモードド
ア13a,13b,13cは、いずれも、例えばステッ
ピングモータ(図示せず)等のモータを用いてなるモー
タアクチュエータによりその回動位置が変えられるよう
になっている。すなわち、エアミックスドア9は、ミッ
クスドアアクチュエータ14により、モードドア13
a,13b,13cは、モードアクチュエータ15によ
り、それぞれ駆動されるようになっている。また、ブロ
アモータ5は、ブロア駆動回路17により駆動されるよ
うになっている。
【0015】コントロールユニット18は、各種センサ
や、空調状態の設定等のスイッチ入力等の入力信号に基
づいて空調装置の動作制御、すなわち、ブロア駆動回路
17、ミックスドアアクチュエータ14、モードアクチ
ュエータ15等の動作を制御するようになっているもの
である(詳細は後述)。また、この車両用空調装置にお
いては、エバポレータ6の温度TEを検出するエバポレ
ータ温度センサ19、外気温度TAMを検出する外気温セ
ンサ20、車室内への日射量TSを検出する日射センサ
21、エアミックスドア9の実際の開度ΘAを検出する
開度センサ22、車室内の温度を検出する車室内温度セ
ンサ23が設けられており、これらセンサの出力信号並
びに図示されない車室内温度設定器による車室内設定温
度Tstがコントロールユニット18に入力されるように
なっている。
【0016】さらに、車室内(図示せず)の適宜な位置
には、後述するように車室内の温度推定処理に必要とな
る車室内空気の流速検出のために、複数の流速センサ
(図示せず)が設けられており、コントロールユニット
18に入力されるようになっている。なお、流速センサ
としては、例えば、半導体製造技術を用いて半導体基台
に形成された測温抵抗体を主としてなり、流速に応じた
測温抵抗体の抵抗値変化により流速の検出を可能とした
もの等の公知・周知のセンサを用いることができる。ま
た、この流速センサの配置は、空調に対する乗員のいわ
ゆるフィーリングを向上させるという観点からは、乗員
の近傍に複数設けるのが好適である。
【0017】次に、上記構成において、コントロールユ
ニット18によって行われる空調制御の手順について図
2に示されたフローチャートを参照しつつ説明する。空
調制御が開始されると、最初に、各種センサ等により検
出された各種データのコントロールユニット18への読
み込みが行われる(図2のステップ100参照)。次い
で、グラフ理論に基づく車室内温度の推定処理(詳細は
後述)が行われることとなる(図2のステップ200参
照)。そして、この車室内温度推定処理により得られた
推定温度及び先のステップ100で読み込まれた各種デ
ータを基に、車室内の熱負荷に対応する総合信号が所定
の式によって演算される(図2のステップ300参
照)。ここで、総合信号Tを求める所定式は、例えば、
下記する式1で示されるような形式のものである。
【0018】 T=KR・TR+KA・TAM+KS・TS−KE・TE+Kst・Tst+C・・・(式1)
【0019】この式1において、KR,KA,KS,KE
stは、利得定数であり、Cは、演算定数である。ま
た、TRは、後述するようにして求められた車室内の複
数の点における推定温度の代表温度である。この代表温
度の設定の仕方は、ここでは、特定しないが、例えば、
いわゆる相加平均を用いる、最高温度のデータを用いる
等、種々選択可能である。
【0020】上述のようにして総合信号が求められた後
は、総合信号の大きさとエアミックスドア開度との予め
設定された関係に基づいてエアミックスドア9の開度が
決定され、その開度となるようにコントロールユニット
18によりミックスドアアクチュエータ14が駆動され
ることとなる(図2のステップ400参照)。ここで、
総合信号の大きさとエアミックスドア開度との関係は、
所定の式として予め定められたもので、このステップ4
00の実行の度毎その式を演算してエアミックスドア開
度を求めるようにしても、また、総合信号の大きさとエ
アミックスドア開度との関係をいわゆるテーブル化して
コントロールユニット18の記憶領域に記憶させてお
き、ステップ400の実行の度毎に、そのテーブルを参
照することで、エアミックスドア開度を求めてもいずれ
でもよい。
【0021】次に、ステップ300で求められた総合信
号の大きさと、ブロアモータ5の回転速度との予め設定
された関係に基づいてブロアモータ5の回転数が設定さ
れることとなる(図2のステップ500参照)。ここ
で、ブロアモータ5の回転速度は、上述のエアミックス
ドア9の場合と同様に、予め定められた式を演算して求
めても、また、コントロールユニット18に記憶された
テーブルを参照して求めても、いずれでもよい。
【0022】続いて、エバポレータ6等と共に冷房サイ
クルを構成するコンプレッサ(図示せず)の動作制御が
総合信号の大きさに応じて、先のエアミックスドア9や
ブロアモータ5の制御と同様にして行われる(図2のス
テップ600参照)。最後に、モードドア13a〜13
cの切り替え制御が、総合信号の大きさに応じて、先の
エアミックスドア9やブロアモータ5の制御と同様にし
て行われ(図2のステップ700参照)、その後、先の
ステップ100へ戻り、上述した処理が繰り返されるよ
うになっている。したがって、上述した車室内の空調制
御は、ステップ200の処理によって求められた所定時
間後の車室内の推定温度分布に基づくデータを取り込ん
で演算された総合信号の大きさに応じて行われるため、
現実の車室内温度等に基づく従来の空調制御に比して、
予め温度変化を見越した従来に比してより快適な空調状
態が得られることとなるものである。
【0023】次に、先のステップ200(図2参照)に
おける温度推定処理について図3乃至図13を参照しつ
つ詳細に説明することとする。なお、図3乃至図13に
おいては、説明の都合上、符号が先の図1における符号
と一部重複して用いられているが、図3乃至図13の符
号は、あくまでこれらの図だけのものであって、図1に
おける構成要素を示す符号ではないものとする。まず、
本発明の実施の形態における温度推定は、後述するよう
にグラフ理論を適用して行うものであるが、演算に必要
とされるデータの一つとして、車室内の複数の点におけ
る流速を必要とする。このため、車室内において、複数
の流速計測点を設定する必要があり、図3には、この流
速計測点の設定例が示されており、同図を参照しつつそ
の計測点等について説明する。図3は、いわゆるワンボ
ックスカーの車室内の一例を示すもので、試験を簡単に
するため、車室内の中央付近をパネルにより仕切り、後
部室内のみを対象としたものである(図3参照)。かか
る後部室内においては、後部専用の空調装置(図示せ
ず)により室内温度が調節されるようになっており、そ
のため、後部車室内前方上方の点(図3において符号1
で示された点)と後部車室内前方下方の点(図3におい
て符号9で示された点)にそれぞれ送風機(Blower)が
設けられ、また、後部車室内後方の下部には、出口(図
3において符号12で示された箇所)が設けられたもの
となっている(図3参照)。さらに、図3において符号
1で示された点及び符号9で示された点には、空調装置
からの空調空気が車室内へ吹き出されるための入口がそ
れぞれ形成されている。なお、この後部室内の略中央に
は、乗員席30が設置されている。
【0024】また、車室内の垂直方向(図3において紙
面上下方向)を天井に近い上層部、床に近い下層部、こ
れら上層部と下層部の略中央に位置する中層部の3つに
区分し、上層部においては、略300mmの間隔で水平
方向に4つの点(図3において符号2,3,4,5が付
された点)で、中層部においては、水平方向に上層部と
同様な間隔をおいて3つの点(図3において符号6,
7,8が付された点)で、下層部においては、水平方向
に上層部と同様な間隔をおいて2つの点(図3において
符号10,11が付された点)で、それぞれ流速及び温
度の測定を行った。これは、後述するように本発明の実
施の形態における温度推定方法により求められた推定温
度と、実測値との比較をするためのデータを得るため
と、一部のデータについては、温度推定の計算に用いる
ために必要(詳細は後述)があるためである。なお、こ
の発明の実施の形態において用いられた車両の大きさ
は、後部側の車長が約2140mm、床と天井との距離
が1235mmのものである(図3参照)。
【0025】上記構成の車室内を、熱、流体及び熱伝導
に注目してモデル化したものが図4に示されている。同
図において、実線は熱と流体を考慮したブロックを、二
点鎖線は、熱伝導のみを考慮したブロックを、それぞれ
表している。また、各黒塗りの節点は、先に述べた車室
内の各点に対応している。さらに、符号13の点は、外
気熱の影響を表すために設けた節点である。またさら
に、符号10,11の点においては、エンジンからの熱
を考慮して、発熱があるものとしている。この車室内の
モデル化は、言わば、3次元空間の車室内を、2次元に
モデル化するものであり、この発明の実施の形態におい
ては、車室の前後方向と上下方向についての2次元空間
としている。
【0026】本発明の実施の形態における温度推定方法
は、このように車室内をモデル化したものにグラフ理論
を適用してグラフ化し、そのグラフからタブロー方程式
を導出し、この方程式を解くことにより、温度推定を行
うものであるが、グラフ理論に基づくグラフ化及びタブ
ロー方程式の導出について、理解を容易にし、説明を簡
潔とするため、以下、図7乃至図12を参照しつつ単純
化した例について説明することとする。まず、先に図4
に示された車室内にしても、図7に示された単純化され
たモデル例にしても、いずれも非圧縮流体である気体を
対象とするものであり、このような非圧縮流体の挙動
は、基本的には、下記するように、物理学における質
量、運動量及びエネルギに関する3つの保存則を表す式
により解析されるものであることを前提とする。
【0027】∇・u=0・・・(式1)
【0028】 ∂u/∂t+(u・∇)u=−∇p/ρ+ν∇2u・・・(式2)
【0029】 ρCp{∂T/∂t+(u・∇)T}=κ∇2T+Q′・・・(式3)
【0030】ここで、uは流速、tは時間、pは圧力、
ρは密度、νは動粘性係数、Cpは定圧比熱、Tは温
度、κは熱伝導率、Q′は単位質量当たりの発熱量を、
それぞれ示すものである。なお、ここでは、乱流は考え
ないこととするが、レイノルズ係数が比較的大きい場合
の層流を想定しているため、上記式中、粘性項は他の項
と比較して小さいので、解析に際しては、この項を無視
しすることとする。
【0031】かかる前提の下、図7に示された単純化さ
れたモデル例について説明すれば、、同図には、1次元
流れの流路モデルの例が示されており、このモデルは、
2つのブロックを接続して構成されたものである。同図
において、及びは、ブロックの端点を、は、ブロ
ックの接続点を、それぞれ示すものである。また、境界
条件として、端点における温度T1としてT1=Tが、
端点における温度T3としてT3=T′が、それぞれ与
えられており、また、接続点には発熱があり、その単
位質量当たりの発熱量はQ′であるとする。かかる条件
の下、グラフ理論により、端点における温度T1の過
渡的な変化状況を求めるとする。なお、以下の説明にお
いては、のような円の中に数字が記述されたものを、
丸数字と称し、このの場合には、丸数字1と表現する
こととする。
【0032】まず、図7に示されたモデルについて、熱
系及び流体系のシステムグラフを、先の式1乃至式3を
考慮しつつ、それぞれ作成する。すなわち、熱系のシス
テムグラフは、次述するようにして求められるものであ
り、図8にはその熱系のシステムグラフが示されてい
る。最初に、ブロックの端点又は接続点に対して1つず
つ節点を生成する。図8において、丸数字1〜丸数字3
が付された節点は、図7に示された端点及び接続点にそ
れぞれ対応するものである。次に、先の式3の熱伝導項
に相当する枝を生成する。この枝は、各ブロックの両端
の点(端点及び接続点)を接続するものとする。図8に
おいては、枝6,9がこれに相当するものである。次
に、式3の移流項に相当する枝を生成し、この枝の中間
に仮想節点を生成し、枝を2つに分割する。図8におい
ては、枝7,8,10及び11並びに丸数字4,5が付
された仮想接点がこれに相当するものである。続いて、
新たに、基準点となるグランド節点g(図8においては
円の中にgを記載して表記された点)を設け、このグラ
ンド節点gと他の節点とを時間項を示す枝で接続する。
図8においては、枝1乃至枝5がこれに相当するもので
ある。最後に、節点に発熱がある場合には、その節点と
基準点であるグランド節点gとを発熱を表す枝で接続す
る。図8においては、枝12がこれに相当するものであ
る。
【0033】次に、流体系のシステムグラフを次述する
ような要領で作成する。ブロックの端点又は接続点に対
して節点を1つずつ生成する。図9においては、丸数字
1乃至3の節点がこれに相当するものである。次に、先
の式2の移流項に相当する枝を生成する。この枝は、各
ブロックの両端の点(端点及び接続点)を接続するもの
とする。図9においては、枝4,5がこれに相当するも
のである。最後に、新たな基準点となるグランド節点g
(図9においては円の中にgを記載して表記された点)
を設け、これと他の節点とを時間項を示す枝で接続す
る。図9においては、枝1乃至3がこれに相当するもの
である。なお、上述の説明においては、熱系のシステム
グラフと流体系のシステムグラフとを別個のものとして
説明したが、両システムグラフは、本来は、グランド節
点gを介して一つのシステムグラフとしてもよいもので
ある。
【0034】次に、上述のようにして作成されたシステ
ムグラフに基づいて、カットセット行列Q及びループ行
列B並びに特性行列H1,H2,Cを求め、これらの行列
式をまとめたタブロー方程式(図10参照)を導出し
て、これを解析することで、温度推定値等が得られるこ
ととなる。すなわち、熱系の特性行列は、次の要領で作
成される。なお、図11には、図8に示された熱系のシ
ステムグラフに基づいて作成された特性行列H1,H2
びCが示されている。まず、温度境界のある節点の時間
項を表す枝に相応する行について、特性行列H2の対角
成分を1とし、特性行列Cの成分を境界温度とする。図
11(b),(c)に示された特性行列H2及びCにお
いては、第1及び3行目の対角成分がこれに相当するも
のである。次に、境界条件の無い節点の時間項を表す枝
に相応する行について、特性行列H1の対角成分を−Δ
t/ρCpanとし、特性行列H2の対角成分を1とし、
特性行列Cの対角成分を1ステップ前の温度とする。な
お、ここで、Δtは、時間刻み幅を、anは、節点n
(n=1,2・・・)における節点面積を、それぞれ意
味する。図11に示された特性行列H1,H2,Cにおい
ては、第2行目の対角成分がこれに相当するものであ
る。
【0035】次に、仮想節点とグランド節点gとを接続
する枝に相応する行について、特性行列H2の対角成分
を1とし、仮想節点の上流に接続される節点に相当する
特性行列H2の列成分を−1とする。図11(b)に示
された特性行列H2においては、第4及び第5行目の対
角成分並びに第1及び第2列目の成分がこれに相当する
ものである。次に、移流項を表す枝に相当する行につい
て、仮想節点の上流に接続される枝に相応する行は、特
性行列H1の対角成分を1とし、特性行列H2の対角成分
を0とする。図11(a),(b)に示された特性行列
1,H2においては、第7及び第10行目の対角成分が
これに相当するものである。また、同じく移流項を表す
枝に相当する行について、仮想節点の下流に接続される
枝に相応する行は、特性行列H1の対角成分を1とし、
特性行列H2の対角成分を−ρCpuAAとする。なお、
Aは、節点Aにおける流速を、wAは、ブロックAのブ
ロック幅を、それぞれ表すもので、本発明の実施の形態
における温度推定方法において、流速は実測値を用い
る。図11(a),(b)に示された特性行列H1,H2
においては、第8及び第11行目の対角成分がこれに相
当するものである。
【0036】次に、熱伝導項を表す枝に相応する行につ
いて、特性行列H1の対角成分をブロックの長さΔxと
し、特性行列H2の対角成分を−κ(κは熱伝導率)と
する。図11(a),(b)に示された特性行列H1
2においては、第6及び第9行目の対角成分がこれに
相当するものである。最後に、発熱項を表す枝に相応す
る行について、特性行列H1の対角成分を1とし、特性
行列Cの成分をQ′(単位質量当たりの発熱量)とす
る。図11(a),(c)に示された特性行列H1,C
においては、第12行目がこれに相当するものである。
なお、特性行列の上述した要素以外のものについては、
全て零とする(図11参照)。
【0037】カットセット行列Q及びループ行列Bは、
グラフ理論で知られているように、互いに直交するとい
う性質を有するものであるので、何れかの行列が求めら
れれば他方の行列は、この性質を利用して一義的に定ま
るものである。また、これら行列Q及びBは、グラフ理
論通りに求められるもので、先の特性行列とは異なり、
温度推定方法が適用される対象の物理的な各種の定数等
(例えば、空気密度、定圧比熱等)を考慮することな
く、先の熱系のシステムグラフについてグラフ理論に基
づいて求められるものであるので、ここでの求め方の詳
細な説明は省略することとするが、因みに、ループ行列
Bの求めた方について概括的に説明することとする。
【0038】まず、図8に示されたシステムグラフにお
いて、成立し得る閉路(ループ)を設定する。仮にルー
プ行列Bの要素をbijとすると、この要素bijの値は、
次のように決定されるものである。すなわち、枝jが閉
路iに含まれ、それらの向きが一致するときは、bij
1となり、枝jが閉路iに含まれ、それらの向きが反対
のときは、bij=−1となり、枝jが閉路iに含まれな
いときは、bij=0となる。
【0039】上述のようにして求められた熱系におけ
る、特性行列H1,H2及びC並びにカットセット行列Q
及びループ行列Bにより、熱系におけるタブロー方程式
(図10参照)を構成し、このタブロー方程式を数値解
析することにより、所望の点における熱量、温度の推定
値が求められることとなる。なお、図10に示されたタ
ブロー方程式において、iTは通過変数の転置行列であ
り、VTは横断変数の転置行列である。そして、具体的
には、熱系においては、通過変数は熱量であり、横断変
数は温度である。また、後述する流体系においては、通
過変数は運動量であり、横断変数は流速である。タブロ
ー方程式の数値解析については、計算機の処理に適した
汎用のプログラムが種々既に、公知・周知となっている
ので、これを利用して簡易に解析結果を得ることができ
る。
【0040】次に、流体系の特性行列H1,H2,Cは、
次述する要領で作成される。なお、図12には、図9の
流体系のシステムグラフに基づいて作成された特性行列
1,H2,Cが示されている。最初に、境界速度のある
節点に接続されている時間項を示す枝に相当する行につ
いて、特性行列H2の対角成分を1とし、特性行列Cの
成分を境界成分とする。図12(b),(c)に示され
た特性行列H2,Cにおいては、第1及び第3行目がこ
れに相当するものである。次に、境界の無い節点に接続
されている時間項を表す枝に相応する行について、特性
行列H1の対角成分をΔtとし、特性行列H2の対角成分
を−ρanとし、特性行列Cの成分を−ρannとす
る。図12に示された特性行列H1,H2,Cにおいて
は、第2行目がこれに相当するものである。最後に、移
流項に相当する行について、特性行列H1の対角成分を
1とし、特性行列Cの成分をρwun 2とする。図12
(a),(b)に示された特性行列H1,Cにおいて
は、第4及び第5行目がこれに相当するものである。な
お、特性行列の上述した要素以外のものについては、全
て零とする(図12参照)。
【0041】なお、流体系のカットセット行列Q及びル
ープ行列Bも、先に熱系のカットセット行列Q及びルー
プ行列Bについて説明したと同様に、グラフ理論通りに
求められるものであるので、その求め方のここでの詳細
な説明は省略することとする。
【0042】上述のようにして求められた流体系におけ
る、特性行列H1,H2及びC並びにカットセット行列Q
及びループ行列Bにより、流体系におけるタブロー方程
式(図10参照)を構成し、このタブロー方程式を数値
解析することにより、所望の点における運動量、流速の
推定値が求められることとなる。なお、タブロー方程式
の数値解析については、先に熱系のタブロー方程式の解
析について説明したように、汎用のプログラムを用いて
行うことができる。
【0043】次に、図4に示されたようにモデル化され
た本発明の実施の形態における車室内の温度推定につい
て説明する。まず、この図4に示された車室内の熱、流
体に関するモデルに基づいて、グラフ理論によるシステ
ムグラフを、熱系と流体系のそれぞれについて作成する
と、図5及び図6に示されたようなものとなる。すなわ
ち、図5は、図4に示された車室内のモデルに対してグ
ラフ理論を適用して作成される車室内の熱系についての
システムグラフであり、同図において丸数字1〜丸数字
13は、図4に示された温度及び流速の測定点に対応す
る節点である。そして、図5のシステムグラフにおい
て、各枝は、2つの接点に接続されるものであるが、同
図において枝の一方が節点に接続されていなものは、グ
ランド節点g(図5において円中にgと記した符号が付
されている節点)に接続されているものであり、その接
続部分の表記が省略されているものである。
【0044】流体系についは、丸数字1乃至丸数字5の
節点、丸数字9乃至丸数字11の節点を接続する熱と流
体系を考慮したブロックのみを考慮すればよいため、図
6に示されたようなシステムグラフとなる。
【0045】次に、熱系のシステムグラフ(図5参
照)、流体系のシステムグラフ(図6参照)に基づい
て、先の図7に示された例について説明したようにし
て、熱系及び流体系のそれぞれについて、特性行列
1,H2及びC並びにカットセット行列Q及びループ行
列Bを導出し、これらの行列に基づいて、熱系のタブロ
ー方程式、流体系のタブロー方程式を、それぞれ導出す
る。なお、本発明の実施の形態においては、熱系及び流
体系のそれぞれについてタブロー方程式を導出するにあ
たっては、流路の長さ及び幅、各節点の流速、境界(空
調空気の車室内への入口、出口)の温度、外気温(図5
の丸数字13の節点の温度として与えられる外気温)、
エンジンの発熱量(図5及び図6の丸数字10及び丸数
字11の節点における発熱量として与えられる熱量)に
ついて、実測値又は所定のデータを用いることとしてお
り、さらに、熱伝導率、密度及び比熱については、気体
のそれぞれの数値を用いることとした。
【0046】そして、上述にようにして求められた熱系
及び流体系のそれぞれのタブロー方程式について解析を
行うことにより、熱系については、タブロー方程式にお
ける通過変数iの解析値として各節点における熱量の推
定値が、また、横断変数Vの解析値として各節点におけ
る温度の推定値が、それぞれ得られることとなる。さら
に、流体系については、タブロー方程式における通過変
数iの解析値として各節点における運動量の推定値が得
られることとなる。なお、本発明の実施の形態において
は、車室内の2次元モデル化、この2次元モデルのグラ
フ化、このグラフに基づくカットセット行列Q及びルー
プ行列Bの決定は予め行なされており、このようにして
得られたカットセット行列Q及びループ行列Bが、コン
トロールユニット18の記憶領域に予め記憶されてい
る。そして、コントロールユニット18によって実行さ
れるステップ200(図2参照)の温度推定処理におい
ては、コントロールユニット18に読み込まれた車室内
の流速値を用いて特性行列H1,H2,Cの一部の行列要
素の決定、タブロー方程式の解析による推定温度の算出
がなされるようになっている。
【0047】次に、上述のようにして求められた温度推
定値と実測値との比較結果の一例について図13を参照
しつつ説明する。図13は、図3に示された車室内をあ
る温度において定常状態とした後、空調装置の吹き出し
温度を変えた場合の車室内温度の変化の実測値と、上述
のようにして求められた推定温度とを示したものであ
る。具体的には、空調装置からの吹き出し空気の車室内
への入口(図3において符号1及び符号9が付された位
置)における吹き出し空気の温度を20℃に設定し、車
室内の温度が定常状態となった後で、同じ入口における
吹き出し空気を30℃に切り替えて車室内の温度変化の
測定及び流速の測定を行った。なお、流速の設定は一定
である。そして、上述した方法による温度推定に際して
は、測定された流速値を用いて行った。図13には、こ
のような条件の下で、先の図3で符号4及び符号7で示
された測定点における温度変化の実測値が実線により示
されており、それぞれ対応する特性線に測定点の符号と
同一の符号が付されている。また、図13においては、
上述の実測値が測定された点と同一の点における上述の
方法により求められた推定温度の変化が点線により示さ
れており、実測値の場合と同様に、対応する点の符号が
付されている。
【0048】図13における実測値と推定値とを比較す
ると、0乃至1500秒までの過渡状態においては、実
測値と推定値との間に最大で約3℃程度の差が生じた
が、定常状態における定常値は略一致し、さらには、特
性線の全体的な傾斜も略一致しており、本発明の実施の
形態におけるグラフ理論による温度推定方法が十分実用
し得るものであることを示す結果となっている。
【0049】なお、上述した発明の実施の形態において
は、流速の測定点として12点設定したが、この流速の
測定点の数は、必ずしもこれに限定されるものではな
く、他の数であっても勿論よいものであるが、温度推定
を行う点に応じて流速の測定点も同数程度あれば推定精
度は向上する。また、上述した発明の実施の形態におい
ては、車両用空調装置の例を説明したが、必ずしも車両
用空調装置に限定される必要はなく、本発明は、例え
ば、家屋の室内空調に用いられる空調装置にも基本適に
同様に適用できるものである。
【0050】さらに、上記発明の実施の形態において
は、環境条件検出手段は、エバポレータ温度センサ1
9、外気温センサ20、日射センサ21によって実現さ
れている。また、温度推定手段は、コントロールユニッ
ト18による図2に示されたステップ200の実行によ
り、熱負荷演算手段は、コントロールユニット18によ
る図2に示されたステップ300の実行により、制御手
段は、コントロールユニット18による図2に示された
ステップ400,500,600,700の実行によ
り、それぞれ実現されるようになっている。
【0051】
【発明の効果】以上、述べたように、本発明によれば、
所定時間後の室内の温度を所定の方法により推定し、そ
の推定温度と共に他の環境条件を基に所定の式から室内
の熱負荷に相当する信号を求め、この信号の大きさに応
じて空調状態を制御するように構成することにより、熱
負荷の変動がより事前に把握され、空調状態が制御され
ることとなるので、従来に比してより快適な空調制御が
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における車両用空調装置の
構成を示す構成図である。
【図2】図1に示された車両用空調装置のコントロール
ユニットによる空調制御手順を示すフローチャートであ
る。
【図3】本発明の実施の形態におけるグラフ理論による
温度推定方法が適用される車室の構成を模式的に示す模
式図である。
【図4】図3に示された車室内の2次元化されたモデル
を示す説明図である。
【図5】図4に示された車室内のモデルに対してグラフ
理論により導出される熱系のシステムグラフである。
【図6】図4に示された車室内のモデルに対してグラフ
理論に基づいて導出される流体系のシステムグラフであ
る。
【図7】一次元流れの流路モデルの例を示す説明図であ
る。
【図8】図7に示された流路モデルに対してグラフ理論
により導出される熱系のシステムグラフである。
【図9】図7に示された流路モデルに対してグラフ理論
により導出される流体系のシステムグラフである。
【図10】タブロー方程式を説明するための説明図であ
る。
【図11】図8に示された熱系のシステムグラフから導
出される特性行列を説明するための説明図であって、図
11(a)は特性行列H1を、図11(b)は特性行列
2を、図11(c)は特性行列Cを、それぞれ示すも
のである。
【図12】図9に示された流体系のシステムグラフから
導出される特性行列を説明するための説明図であって、
図12(a)は特性行列H1を、図12(b)は特性行
列H2を、図12(c)は特性行列Cを、それぞれ示す
ものである。
【図13】本発明の実施の形態におけるグラフ理論によ
る温度推定方法により求められた推定温度の変化と実測
値の変化とを示す特性線図である。
【符号の説明】
1…空調ダクト 5…ブロアモータ 6…エバポレータ 8…バイパス通路 9…エアミックスドア 13a〜13c…モードドア 14…ミックスドアアクチュエータ 17…ブロア駆動回路 18…コントロールユニット
フロントページの続き (72)発明者 宮永 長七 埼玉県東松山市箭弓町3−13−26 株式会 社ゼクセル東松山工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内温度を含む複数のデータを用いて
    所定の式によって車室内の熱負荷に相当する信号値を算
    出し、 この信号値に応じて少なくとも前記車室内への送風温度
    と送風量とを制御する車両用空調装置における空調制御
    方法であって、 前記車室内温度は、所定の温度推定方法により得たもの
    であることを特徴とする車両用空調装置における空調制
    御方法。
  2. 【請求項2】 温度推定方法は、 温度推定を行う対象となる空間を2次元空間にモデル化
    し、 このモデルにおいて、運動量及びエネルギについての各
    保存則が成立するとの前提の下、当該モデルに対してグ
    ラフ理論に基づいて、少なくとも熱系のシステムグラフ
    を作成し、 当該熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるタブロー方程式を構成する特性行列を導出すると共
    に、 前記熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるカットセット行列及びループ行列を導出し、 前記カットセット行列及びループ行列並びに前記特性行
    列を用いてタブロー方程式を解析することにより、前記
    空間における推定温度を算出することを特徴とする請求
    項1記載の車両用空調装置における空調制御方法。
  3. 【請求項3】 温度推定方法は、 温度推定を行う対象となる空間において、推定温度の算
    出を所望する点を複数設定し、当該空間を、前記複数の
    点、外気温の影響を表す点及び前記空間に存在する発熱
    源を表す点を基準として、熱及び流体を考慮したブロッ
    クと熱伝導のみを考慮したブロックに区分して2次元空
    間にモデル化し、 このモデルにおいて、運動量及びエネルギについての各
    保存則が成立するとの前提の下、当該モデルに対してグ
    ラフ理論に基づいて、少なくとも熱系のシステムグラフ
    を作成し、 当該熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるタブロー方程式を構成する特性行列を、一部の行列
    要素については、各節点における流速の実測値を用いて
    導出すると共に、 前記熱系のシステムグラフに基づいて、グラフ理論にお
    けるカットセット行列及びループ行列を導出し、 前記カットセット行列及びループ行列並びに前記特性行
    列を用いてタブロー方程式を解析することにより、前記
    空間における推定温度を算出することを特徴とする車両
    用空調装置における空調制御方法。
  4. 【請求項4】 車室内の熱負荷を調整する空調手段と、 前記車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件を検出す
    る環境条件検出手段と、 前記車室内の温度を推定する温度推定手段と、 前記環境検出手段の検出信号及び前記温度推定手段によ
    り得られた推定温度に基づいて前記車室内の熱負荷に相
    当する信号値を演算する熱負荷演算手段と、 前記熱負荷演算手段の演算結果に基づいて、前記空調手
    段の動作を制御する制御手段と、 を具備することを特徴とする車両用空調装置。
  5. 【請求項5】 空調手段は、冷房サイクルを構成するエ
    バポレータ及び当該エバポレータの通過空気の量を調節
    するエアミックスドア並びに送風機であることを特徴と
    する請求項4記載の車両用空調装置。
  6. 【請求項6】 空調手段は、冷房サイクルを構成するコ
    ンプレッサを具備することを特徴とする請求項5記載の
    車両用空調装置。
  7. 【請求項7】 空調手段は、車室内へ開口した複数の吹
    き出し口の開閉を行うモードドアを具備することを特徴
    とする請求項6記載の車両用空調装置。
  8. 【請求項8】 温度推定手段は、 温度推定を行う対象となる車室内空間について予め得ら
    れた熱系のシステムグラフに基づいて得られるグラフ理
    論におけるタブロー方程式を構成する特性行列の一部の
    行列要素については、各節点における流速の実測値を用
    いて特性行列を導出し、 前記タブロー方程式を構成するカットセット行列及びル
    ープ行列を、前記熱系のシステムグラフにグラフ理論を
    適用して導出し、 前記特性行列、カットセット行列及びループ行列を用い
    てなるタブロー方程式を解析することによって推定温度
    を算出するものであって、 前記熱系のシステムグラフは、前記車室内空間に推定温
    度の算出を所望する点を複数設定し、当該空間を、前記
    複数の点、外気温の影響を表す点及び前記空間に存在す
    る発熱源を表す点を基準として、熱及び流体を考慮した
    ブロックと熱伝導のみを考慮したブロックに区分して2
    次元空間にモデル化し、 このモデルにおいて、運動量及びエネルギについての各
    保存則が成立するとの前提の下、当該モデルに対してグ
    ラフ理論に基づいて予め作成されたものであることを特
    徴とする請求項4、5、6又は7記載の車両用空調装
    置。
JP31859296A 1996-11-15 1996-11-15 車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置 Pending JPH10147126A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31859296A JPH10147126A (ja) 1996-11-15 1996-11-15 車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31859296A JPH10147126A (ja) 1996-11-15 1996-11-15 車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10147126A true JPH10147126A (ja) 1998-06-02

Family

ID=18100867

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31859296A Pending JPH10147126A (ja) 1996-11-15 1996-11-15 車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10147126A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015186999A (ja) * 2011-03-29 2015-10-29 デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド マルチブロワユニットのためのhvac制御

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015186999A (ja) * 2011-03-29 2015-10-29 デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド マルチブロワユニットのためのhvac制御

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6209794B1 (en) Method for designing a vehicle thermal management system
Currle Numerical simulation of the flow in a passenger compartment and evaluation of the thermal comfort of the occupants
Singh et al. 1D/3D transient HVAC thermal modeling of an off-highway machinery cabin using CFD-ANN hybrid method
Farzaneh et al. Controlling automobile thermal comfort using optimized fuzzy controller
Oh et al. Flow analysis inside tractor cabin for determining air conditioner vent location
Guan et al. Investigation of human thermal comfort under highly transient conditions for automotive applications-Part 1: Experimental design and human subject testing implementation
Lin et al. An experimental and computational study of cooling in a simplified GM-10 passenger compartment
Danca et al. The influence of different air flows introduced on the thermal comfort of car passengers during the cooling period–Numerical Study
Currle et al. Numerical study of the influence of air vent area and air mass flux on the thermal comfort of car occupants
Michalek et al. Hardware-in-the-loop-simulation of a vehicle climate controller with a combined HVAC and passenger compartment model
Kamar et al. Computerized simulation of automotive air-conditioning system: development of mathematical model and its validation
JPH10147126A (ja) 車両用空調装置における空調制御方法及び車両用空調装置
Engel et al. Modeling of Automotive HVAC Systems Using Long Short-Term Memory Networks
CN107292030B (zh) 一种汽车乘客舱采暖模拟方法
Pathuri et al. Deployment of 1D Simulation with Multi Air Zone Cabin Model for Air Conditioning System Development for Passenger Car
Cisternino Thermal climate in cabs and measurement problems
Narahari et al. Effect of vent shape on thermal comfort of passengers in a car
Sambandan et al. Robust 1D Modelling for Automotive HVAC Warmup Prediction Using DFSS Approach
JP3309542B2 (ja) 車両用空調装置
Rolle et al. A Simulation Methodology for the Numerical Determination of the Equivalent Temperature
Wang et al. Long Term Transient Cooling of Heavy Vehicle Cabin Compartments
Jess et al. Fast, detailed, accurate simulation of a thermal car-cabin using machine-learning
Baskar et al. Optimization of IP Duct Vane Articulation for Improved Cabin Airflow Directivity
JPH10111181A (ja) 室内温度推定方法
Shendge et al. Reduction of MAC Power Requirement in a Small Car