JPH10109423A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法、製造装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法、製造装置

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JPH10109423A
JPH10109423A JP8267098A JP26709896A JPH10109423A JP H10109423 A JPH10109423 A JP H10109423A JP 8267098 A JP8267098 A JP 8267098A JP 26709896 A JP26709896 A JP 26709896A JP H10109423 A JPH10109423 A JP H10109423A
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JP
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orifice
jet recording
ink jet
recording head
flow path
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Application number
JP8267098A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Oikawa
博 及川
Mitsuru Sato
満 佐藤
Yukihisa Koizumi
幸久 小泉
Masaki Kataoka
雅樹 片岡
Nukio Iwanami
貫夫 岩浪
Masayoshi Okada
正義 岡田
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィス形成面の加工品質、均一性、加工
性を向上させ、強度に優れたインクジェット記録ヘッド
およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 流路形成部材4の成形時には、発熱素子
に対応して個別に隔壁11で隔てられた、リアチャネル
12、絞り部13、フロントチャネル14が形成され
る。このとき、オリフィス5は設けられておらず、フロ
ントチャネル14が凹部として精密成形されるのみであ
る。その後、オリフィス5となる部分を含む領域に対し
て、フロントチャネル14の最深部と流路形成部材4の
表面との間の厚さ以上の深さの段付けをレーザー加工に
よって行ない、オリフィス面15を形成する。これによ
ってフロントチャネル14の最深部が開口し、オリフィ
ス5が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク液滴を飛翔
させ被記録媒体に記録を行なうインクジェット記録ヘッ
ド及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドでは、インク
タンクから供給されるインクを、微小な穴であるオリフ
ィスからインク液滴として吐出し、飛翔させて被記録媒
体に記録を行なう。近年の記録密度の向上にともない、
オリフィスの径は微小化しており、また、オリフィスの
加工精度が印字品質へ影響するため、オリフィスの作製
工程はさらに重要性を増している。
【0003】従来のインクジェット記録ヘッドにおいて
オリフィスを作製する方法の一つとしては、例えば、特
開昭61−230954号公報等に記載されているよう
に、異方性エッチングによって流路溝を形成した基板
と、発熱素子を形成したヒーター基板を接合し、流路溝
を切断することによって現れる三角形の断面をオリフィ
スとして使用する方法がある。しかし、この方法は、高
密度化や長尺化に有利な反面、ダイシング等による切断
面がオリフィス面となるために、オリフィスの周囲に欠
けが発生しやすいという問題がある。オリフィスの周囲
に欠けが発生すると、欠けによってインクの飛翔方向が
変化し、画質に悪影響を与えるため、インクジェット記
録ヘッドに品質低下を起こしていた。
【0004】また、例えば、特開平2−121843号
公報に記載されているように、樹脂成形により流路溝を
作製しておき、レーザーによりオリフィス口を加工する
方法が知られている。この方法では、レーザー加工位置
の精密な位置決めが必要である。また、オリフィス加工
部の厚さを薄く(〜30μm程度)成形する必要があ
り、成形時の破れ等が問題であった。さらにはエキシマ
レーザーの経時変化によるオリフィス寸法のコントロー
ルに多大な労力を必要とするという問題もある。
【0005】特公平6−4320号公報や、特開平4−
339659号公報に記載されているように、射出成形
時にオリフィスも形成してしまう方法も考えられてはい
るが、オリフィスの高密度化が難しいという問題があ
る。
【0006】その他の方法としては、例えば、特開平6
−134996号公報に記載されているように、シリコ
ンウェハに異方性エッチングによる溝を形成し、裏面か
ら研削してウエハを薄くすることで、異方性エッチング
による溝を所望の貫通孔とし、オリフィスとする方法な
どが提案されている。この方法は、研削面がオリフィス
面となるので上述の特開昭60−230954号公報と
同様な問題を持つほか、ウェハ全面を均一に薄くするた
めに加工時間が多くかかるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、オリフィス形成面の加工品
質、均一性、加工性を向上させ、強度に優れたインクジ
ェット記録ヘッドおよびその製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、インク液滴をオリフィスから吐出して記録を行なう
インクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記オ
リフィスを形成する流路形成部材に未貫通孔として前記
オリフィスに対応する凹部を形成し、該凹部の裏面側か
ら前記オリフィスの位置を含む領域に段付け加工を施す
ことによって前記凹部を貫通させ、前記オリフィスを現
出させることを特徴とするものである。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記
凹部は深くなるに従って断面積が減少する形状に形成さ
れており、前記段付け加工による加工深さを調整するこ
とで所望の前記オリフィスの孔径を現出させることを特
徴とするものである。
【0010】請求項3に記載の発明は、インク液滴をオ
リフィスから吐出して記録を行なうインクジェット記録
ヘッドの製造方法において、インクの流路を有する流路
形成部材を形成し、前記オリフィスに対応する位置に前
記流路側から次第に断面積が減少する形状の貫通孔を形
成し、該貫通孔の前記流路とは反対側から前記オリフィ
スの位置を含む領域に段付け加工を施して所望の前記オ
リフィスの孔径を現出させることを特徴とするものであ
る。
【0011】請求項4に記載の発明は、インク液滴をオ
リフィスから吐出して記録を行なうインクジェット記録
ヘッドの製造方法において、インクの流路を有する流路
形成部材を形成し、前記流路とは反対側から前記オリフ
ィスの位置を含む領域に段付け加工を施し、前記オリフ
ィスに対応する位置に前記流路側から貫通孔を形成する
ことを特徴とするものである。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、前記段付け加工を、前記オリフィス
の並び方向で2以上の領域に分割して行ない、各領域間
に凸部を残すことを特徴とするものである。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記
領域は、それぞれの前記オリフィスに対応して分割され
たものであり、各領域ごとに段付き加工を行なうことを
特徴とするものである。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項1ないし
6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、前記段付け加工を2回以上行ない、
2段階以上の深さに加工することを特徴とするものであ
る。
【0015】請求項8に記載の発明は、請求項1ないし
7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、前記段付け加工は、段付け加工パタ
ーンに対応したマスクを介して、パルスレーザーによっ
て加工することを特徴とするものである。
【0016】請求項9に記載の発明は、請求項1または
2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法におい
て、前記凹部をレーザー加工によって形成したことを特
徴とするものである。
【0017】請求項10に記載の発明は、請求項3また
は4に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法にお
いて、前記貫通孔をレーザー加工によって形成したこと
を特徴とするものである。
【0018】請求項11に記載の発明は、請求項8ない
し10のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法において、前記パルスレーザーがエキシマ
レーザーであることを特徴とするものである。
【0019】請求項12に記載の発明は、請求項1また
は2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法にお
いて、前記流路形成部材は、樹脂材を成形により作成
し、同時に前記凹部を作製することを特徴とするもので
ある。
【0020】請求項13に記載の発明は、請求項1ない
し12のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法において、前記段付け加工中に、現出する
前記オリフィスの寸法,形状をモニタし、所望の前記オ
リフィスの孔径となるように加工制御することを特徴と
するものである。
【0021】請求項14に記載の発明は、インクジェッ
ト記録ヘッドの製造装置において、レーザー光を発生す
るレーザー発生手段と、該レーザー光を加工面上の加工
領域に導く光学系と、レーザー加工されるインクジェッ
ト記録ヘッドが載置される加工テーブルと、前記インク
ジェット記録ヘッドに現出するオリフィスの寸法,形状
をモニタするモニタ手段と、該レーザー発生手段からの
レーザーの発生を制御するレーザー発生制御手段を有
し、該レーザー発生制御手段は、前記モニタ手段からの
前記オリフィスの寸法,形状の情報をもとに、所望の前
記オリフィスの孔径を得るように前記レーザー発生手段
を制御することを特徴とするものである。
【0022】請求項15に記載の発明は、インク液滴を
オリフィスから吐出して記録を行なうインクジェット記
録ヘッドにおいて、前記オリフィスは段付け加工された
低部に形成されており、該低部はレーザー加工面であ
り、インクの流路および該流路から前記オリフィスに至
る貫通孔を形成する面は樹脂成形面であることを特徴と
するものである。
【0023】請求項16に記載の発明は、インク液滴を
オリフィスから吐出して記録を行なうインクジェット記
録ヘッドにおいて、インクの流路を形成する面は樹脂成
形面であり、前記オリフィスは段付け加工された低部に
形成されており、該低部および前記流路から前記オリフ
ィスに至る貫通孔を形成する面はレーザー加工面である
ことを特徴とするものである。
【0024】請求項17に記載の発明は、請求項15ま
たは16に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記低部は、前記オリフィスの並び方向で2以上の領域
に分割されており、各領域間に凸部が残されていること
を特徴とするものである。
【0025】請求項18に記載の発明は、請求項17に
記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記領域
は、それぞれの前記オリフィスに対応して分割されたも
のであることを特徴とするものである。
【0026】請求項19に記載の発明は、請求項15な
いし18のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘ
ッドにおいて、前記低部は、2回以上の段付け加工によ
って2段階以上の深さに加工されていることを特徴とす
るものである。
【0027】請求項20に記載の発明は、請求項19に
記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記2回以
上の段付け加工によって、前記オリフィスの形成面より
も周囲がさらに低く加工されていることを特徴とするも
のである。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のインクジェット
記録ヘッドの実施の一形態を示す断面図、図2は、同じ
く分解斜視図である。図中、1はヘッドチップ、2はヒ
ートシンク、3は開口部、4は流路形成部材、5はオリ
フィス、6はジョイント、7はインク供給管、8はイン
ク供給室、9はボンディングワイヤである。
【0029】ヘッドチップ1は、例えばSi基板などに
よって構成され、その表面に複数の発熱素子と、発熱素
子を駆動するための電気配線などが成膜されている。ま
た、各発熱素子を駆動するための駆動回路も形成される
場合もある。さらにその上面に、平坦化層、または保護
層として感光性樹脂などによる薄い樹脂層が成膜される
場合もある。
【0030】ヒートシンク2は、例えばAlなどで構成
された金属基板である。このヒートシンク2上に、例え
ば銀エポキシなどの熱伝導性のよい接着材などを用いて
ヘッドチップ1が載置され、熱的に結合してヘッドチッ
プ1で発生する熱を逃がす。さらに、このヒートシンク
2の表面には、プリンタ本体とヘッドチップを結ぶため
の電気配線が施されており、ヘッドチップ1との間はボ
ンディングワイヤ9などによって電気的に接続されてい
る。
【0031】また、ヒートシンク2には、オリフィス5
の配列方向に延在する開口部3が設けられている。この
開口部3を通してジョイント6が挿入される。ヘッドチ
ップ1はこの開口部3にかかるように配置される。
【0032】流路形成部材4は、例えば樹脂などによっ
て成形され、開口部3を覆うように配置される。流路形
成部材4はヘッドチップ1の上部も一部覆っており、ヘ
ッドチップ1にアライメント接合または密着される。ヘ
ッドチップ1上の部分は厚さが薄く形成されている。そ
して、後述するような加工によって、ヘッドチップ1上
に形成されている発熱素子の位置に合わせてオリフィス
5となる開口が設けられている。各発熱素子に対応する
個別のインク流路を除き、ヘッドチップ1と流路形成部
材4は接着され、インクが漏れ出さないように封止され
る。
【0033】ジョイント6は、図示しないインクタンク
に保持されているインクをインク供給管7を介して供給
する。ジョイント6は開口部3に挿入される。ジョイン
ト6が開口部3に挿入される部分は、ほぼ開口部3と同
様の形状を有しており、インク供給管7が接続されてい
る部分を除き、ヒートシンク2の面とほぼ平行な面を有
している。この面とヘッドチップ1の裏面との間、およ
び流路形成部材4の裏面との間でシールされる。これに
より、ヘッドチップ1の側面と流路形成部材4の面、お
よびジョイント6の上面で形成される、オリフィス5の
配列方向に延在するインク供給室8を形成する。インク
供給管7から供給されたインクは、インク供給室8を介
してそれぞれ個別のインク流路へと供給され、発熱素子
の発熱による気泡の発生によってオリフィス5から噴射
される。インク供給管7の途中には、インク中のゴミや
気泡を除去するためのフィルタを挿入しておくとよい。
【0034】上述の例では、ジョイント6と流路形成部
材4の底面との間でシールする例を示したが、これに限
らず、ジョイント6の一端をインク供給室8の上部まで
延在させ、また流路形成部材4を薄板状として、ジョイ
ント6と流路形成部材4との間でシールするように構成
してもよい。あるいは逆に、流路形成部材4の底面から
ヒートシンク2の開口部3を貫通するような突起を伸ば
し、ヒートシンク2の裏面側でジョイント6と接続する
ように構成してもよい。
【0035】また、ヒートシンク2に開口部3を設けな
くても、ヒートシンク2の端部を用いることができる。
ヒートシンク2の端部にかかるようにヘッドチップ1を
載置し、流路形成部材4およびジョイント6を接続する
構成とする。この場合、図1の左側に分離して図示され
ているヒートシンク2の部分がない構成となる。
【0036】図3は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの実施の一形態におけるオリフィス近傍の一例を示す
拡大図、図4は、同じく流路形成部材の一例を示す斜視
断面図である。図中、11は隔壁、12はリアチャネ
ル、13は絞り部、14はフロントチャネル、15はオ
リフィス面、16は平坦化保護層、17は発熱素子であ
る。なお、図3と図4において、流路形成部材4の天地
が逆になっている。
【0037】流路形成部材4には、ヘッドチップ1上の
各発熱素子17に対応して個別に隔壁11で隔てられた
個別流路溝が形成されており、インク供給室8に接続さ
れている。個別流路溝は、リアチャネル12とフロント
チャネル14により構成されている。リアチャネル12
は、隔壁11をヘッドチップ1の端または端の手前また
は端を越える位置まで形成して設ける。このリアチャネ
ルによってクロストークを防止する。リアチャネル12
とフロントチャネル14との間には、インクの噴射方向
と逆方向にインクの流路を絞るための絞り部13が設け
られている。この絞り部13は、フロントチャネル14
で発生するインクを噴射させるための圧力がインク供給
室8側へ伝播するのを防ぎ、噴射力を高め、噴射効率を
向上させている。また、インクの噴射方向と平行な方向
に絞る形状であるので、個別流路に余計な幅を必要とせ
ず、個別流路の幅を狭くして個別流路の配置密度を高
め、高密度のインクジェット記録ヘッドを得ることがで
きる。
【0038】フロントチャネル14の上部にはオリフィ
ス5が設けられている。また、フロントチャネル14の
底部には発熱素子17が設けられている。この発熱素子
17の発熱により、発熱素子17上に気泡が発生し、そ
の気泡の膨張による圧力によってインクをオリフィス5
から噴射する。フロントチャネル14は、インク供給室
8側とその反対側の面が斜面とによって構成され、発熱
素子17からオリフィス5へ向けてインクの流路方向に
絞られており、流体ダイオード的な形状を有している。
【0039】オリフィス5を有するオリフィス面15
は、レーザー加工によって段付けされており、流路形成
部材4の他の領域より凹んでいる。図5は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの実施の一形態における流路形
成部材のレーザー加工前の一例を示す斜視断面図、図6
は、レーザーによる段付け加工された流路形成部材の一
例を示す一部斜視図である。流路形成部材4の成形時に
は、ヘッドチップ1上の各発熱素子17に対応して個別
に隔壁11で隔てられた、リアチャネル12、絞り部1
3、フロントチャネル14が形成される。このとき、図
5に示すようにオリフィス5は設けられておらず、フロ
ントチャネル14が凹部として精密成形されるのみであ
る。中間品として図5に示すような構成とすることによ
って、オリフィス5となるフロントチャネル14の最深
部と流路形成部材4の表面との間の厚さを充分確保でき
るので、流路形成部材4の成形加工を容易に行なうこと
ができる。
【0040】図5に示すような中間品を製造後、図4お
よび図6に示すように、オリフィス5となる部分を含む
領域に対して、フロントチャネル14の最深部と流路形
成部材4の表面との間の厚さ以上の深さの段付けをレー
ザー加工によって行なう。このレーザー加工による段付
けによって初めてフロントチャネル14の最深部が開口
し、オリフィス5が形成される。このとき、従来のよう
にレーザー加工のみでオリフィス5の穿孔を行なってい
るわけではないので、レーザー加工時の精密な位置合わ
せ等は必要でない。オリフィス5の位置は、フロントチ
ャネル14の成形時に決定されており、インクの流路と
の相対位置関係がずれることはない。
【0041】このようなレーザー加工による段付けによ
って、発熱素子17の面からオリフィス5までの距離を
小さくすることができる。これによって発熱素子17で
発生する噴射エネルギーを効率よく利用することができ
る。また、このようにレーザー加工によって形成された
オリフィス5の孔径を一定に保てば、発熱素子17から
オリフィス5までの距離をほぼ一定に保つことができ、
品質および画質を向上させることができる。なお、フロ
ントチャネル14の側壁が斜めに形成されているので、
段付けの深さを変化させることによって孔径を変えるこ
とも容易である。さらに、この段付けによってオリフィ
スの周辺が他の部分よりも凹んだ形状となるため、以後
の組立工程や、ワイピング動作、あるいは使用時の紙詰
まり等のトラブル時に記録紙がオリフィスに衝突するこ
となどによって、オリフィスおよびその近傍が変形、破
損する可能性を減少させることができる。逆に、オリフ
ィスの周囲以外の部分では流路形成部材4の厚みを厚く
することができるので、流路形成部材4の強度も保持す
ることができる。
【0042】なお、オリフィス面15は、レーザー加工
によって粗面となっており、親水性を有している。その
ため、オリフィス5の周囲にインク滴が付着しやすく、
付着したインク滴によってインク噴射方向が影響を受け
やすい。そのため、オリフィス5の周囲に撥水処理を施
しておくことが望ましい。
【0043】図7は、レーザー光による段付け加工装置
の一例を示す概略構成図、図8は、レーザー加工用のマ
スクの形状の一例を示す平面図である。図中、21はレ
ーザー発生装置、22ないし24はミラー、25は絞
り、26はシャッター、27はマスク、28はレンズ、
29は焦点用駆動装置、30はインクジェット記録ヘッ
ド、31は加工テーブル、32は加工テーブル駆動装
置、33はモニタ、34は計測カメラ、35は焦点用駆
動装置、36はフィードバック制御盤、37はレーザー
発生制御盤、41はレーザー光不透過領域、42はレー
ザー光透過領域である。
【0044】レーザー発生装置21から出射されたエキ
シマレーザー光は、ミラー22,23で反射され、絞り
25を通過し、シャッター26付きのマスク27で設定
された照射領域のレーザー光のみをミラー24で反射
し、レンズ28で集光される。このとき、レンズ28は
焦点用駆動装置29で駆動され、レーザー光が加工テー
ブル31上のインクジェット記録ヘッド30の加工面に
集光されるように焦点が合わせられる。この例では3つ
のミラー22ないし24によってレーザー光の光路をイ
ンクジェット記録ヘッド30上に導いているが、ミラー
は装置構成によって3枚に限らず適宜用いればよく、ミ
ラーを用いずに構成してもよい。また、シャッター26
が不要であればなくてもよい。
【0045】加工テーブル31上には、流路形成部材4
の表面がレンズ28側に向くようにインクジェット記録
ヘッド30が載置され、固定されている。モニタ33の
計測カメラ34の位置において、流路形成部材4の全面
がレーザー光に対し垂直になるように加工テーブル駆動
装置32を回転方向θ1,θ2,θ3に駆動し、調整す
る。なお、計測カメラ34のピントは焦点用駆動装置3
5によって調整される。その後、加工テーブルとインク
ジェット記録ヘッド30の加工面との高さを計測する。
【0046】加工テーブル駆動装置32をY方向に駆動
してインクジェット記録ヘッド30を加工位置に移動
し、レーザーによる加工を実施する。エキシマレーザー
光のビームを振ることによって、流路形成部材4の表面
に、マスク27に設けられたレーザー光透過領域42の
形状に応じた形状の加工が行なわれる。例えば、マスク
27が図8に示すようにレーザー光不透過領域41中に
矩形のレーザー透過領域42を有する形状であるとする
と、図6に示すように、レーザー透過領域42に応じた
形状の段付けを流路形成部材4の表面に施すことができ
る。この加工領域を、オリフィス5を形成する位置を含
む領域とすればよい。この加工領域が多少ずれたとして
も、流路形成部材4の成形時にフロントチャネル14が
精密に成形されているので、開口するオリフィス5は、
加工領域の多少のズレによって影響を受けることはな
い。
【0047】流路形成部材4の表面に施された段付けの
深さは、レーザー光の強度や照射時間によって制御可能
であり、レーザー発生制御盤37は設定された値に応じ
てレーザー光の発生を制御する。少なくとも、フロント
チャネル14の最深部と流路形成部材4の表面との間の
厚さ以上の深さの段付けを行なうことで、オリフィス5
を開口させることができる。また、上述のようにフロン
トチャネル14は、発熱素子17側からオリフィス5と
なる側へ向けて次第に細くなるように形成されているの
で、段付けの深さによってオリフィス5の大きさを制御
することが可能である。
【0048】所定量の段付け加工後、計測位置に戻り、
前回と同じ位置の高さを計測し、前回の計測値と比較す
る。その差分が、予め設定された目標値(オリフィス径
と加工深さパラメータ値)に未達の場合、その未達量を
予め設定されたレーザーのショット数に換算し、フィー
ドバック制御盤36からレーザー発生制御盤37に伝達
される。レーザー発生制御盤37では、伝達されたショ
ット数に応じてレーザー発生装置21を制御し、レーザ
ー光を発生して再び加工を実施する。このような加工
を、目標値に達するまで繰り返し行なう。
【0049】高さを計測する代わりに、オリフィス5が
開口していればその開口径を計測し、目標値と比較する
ようにしてもよい。フロントチャネル14が発熱素子1
7側からオリフィス5となる側へ向けて次第に細くなる
ように形成され、その傾きがわかっていれば、開口径の
差分から未達の加工深さが算出できる。この加工深さに
応じた加工を行なうように、レーザー発生制御盤37に
対してフィードバック制御を行なえばよい。この方法で
は、例えば流路形成部材4の厚さにばらつきがあって
も、厚さに左右されずにオリフィス5の孔径は所定の大
きさとなり、流路長を一定とすることができるので、噴
射特性の均一なインクジェット記録ヘッドを得ることが
できる。なお、計測時に依然としてオリフィス5が開口
していない場合には、オリフィス5が開口するようにさ
らに段付け加工を行なえばよい。
【0050】この例では、加工位置と計測位置を別の位
置としたが、例えばハーフミラーをレーザー光の光路中
に配置し、インクジェット記録ヘッド30の上方からモ
ニタ可能に構成することもできる。この場合、加工中に
も計測可能となるので、加工速度を向上させるととも
に、リアルタイムで加工制御を行なうことができる。な
お、フィードバック制御を行なわず、所定深さの段付け
加工のみでオリフィス5を現出させる場合には、モニタ
33は不要である。
【0051】また、ここでは流路形成部材4が組み付け
られた後に、レーザー光による段付け加工を行なう例を
示したが、流路形成部材4を成形後、組み付ける前に段
付け加工してもよい。
【0052】以下、流路形成部材4に施す段付けの変形
例をいくつか示す。図9は、レーザーによる段付け加工
された流路形成部材の第1の変形例を示す一部斜視図お
よびその際に用いるレーザー加工用のマスクの形状の一
例を示す平面図である。図9(A)に示す例は、段付け
を行なう領域をいくつかに分割した例である。このよう
に分割されたいくつかの領域に段付けを行なうためのマ
スク27としては、例えば図9(B)に示すような、各
領域に対応したレーザー光透過領域42を有するマスク
27を用いればよい。あるいは、1つの領域に対応した
レーザー光透過領域42を有するマスクを用い、加工テ
ーブル31あるいはマスク27を移動させながら1つの
領域ごとに順次段付けを行なってもよい。
【0053】このようにいくつかの分割された領域ごと
に段付けを行なった構成では、段付けを行なった各領域
間に、各領域を隔てる凸部が形成される。この凸部によ
ってオリフィス5が設けられた面に強度を持たせること
ができる。また、例えば、1つのインクジェット記録ヘ
ッドで複数色のインクを用いる場合、各色のインクを噴
射するオリフィス5の境界にこの凸部を設けることによ
って、隣接する異なる色間の混色を防止することができ
る。
【0054】図10は、レーザーによる段付け加工され
た流路形成部材の第2の変形例を示す一部斜視図および
その際に用いるレーザー加工用のマスクの形状の一例を
示す平面図である。図9に示した第1の変形例では、全
体をいくつかの領域に分けて段付けを行なった場合を示
したが、さらに領域を細分し、例えば図10(A)に示
すように、各オリフィスごとに段付けを行なってもよ
い。このような各オリフィスごとの段付けを行なう場合
のマスク27を図10(B)に示している。なお、マス
ク27に設けるレーザー光透過領域42は、形成する全
てのオリフィス5に対応して設けるほか、1または数個
のみ設け、加工テーブル31あるいはマスク27を移動
させながら順次加工を行なってもよい。
【0055】図11は、レーザーによる段付け加工され
た流路形成部材の第3の変形例を示す一部斜視図、図1
2は、その際に用いるレーザー加工用のマスクの形状の
一例を示す平面図である。オリフィス5の開口位置を含
めた周辺の段付け加工は、複数回行なうことも可能であ
る。複数回の加工により、オリフィス5の周辺の形状を
任意に設定することができる。例えば図11に示した例
では、オリフィス5が設けられる領域全体を1段低くす
るとともに、図9(A)に示すようにいくつかの領域ご
とにさらに段付けを行なった場合の例を示している。オ
リフィス5は2回の段付け加工の間に開口すればよい。
【0056】このような段付け加工を行なう場合には、
図8および図9(B)に示すようなマスク27を交換し
て用いて段付け加工を行なうことができる。あるいは、
まずオリフィス5が設けられる領域全体に対して段付け
加工を行なうために、図8に示すようなマスク27を用
い、図12(A)に示すようにシャッター26を開放し
て段付け加工を行なう。次に、図12(B)に示すよう
に、シャッター26によってレーザー光透過領域42を
小さく制限し、これによっていくつかの領域ごとにさら
に段付け加工を行なう。これによって図11に示すよう
な段付け加工を行なうことができる。このように1枚の
マスク27を用い、シャッター26によってレーザー光
透過領域42を変化させて複数の寸法の段付け加工を行
なうことによって、マスク27の製造コストを削減する
とともに、複数回の段付け加工の位置合わせ制御を簡易
化することができる。図12では2方向からレーザー光
透過領域42を制限したが、これに限らず、1方向のみ
から制限してもよい。
【0057】図13は、レーザーによる段付け加工され
た流路形成部材の第4の変形例を示す一部斜視図および
断面図、図14は、その際に用いるレーザー加工用のマ
スクの形状の一例を示す平面図である。この例は、図1
0に示したように各オリフィスごとに段付け加工を行な
う際に、2段の段付け加工を行なった場合の例を示して
いる。図13(B)中、で示した深さだけ1回目の段
付け加工によって段付けし、次にで示した深さだけ2
回目の段付け加工によって各オリフィス5の周囲に段付
けする。このような段付け加工によって、凹部の中に各
オリフィス5の部分が突出した形状に加工することがで
きる。このような形状によって、段付け加工を施してい
ない面でオリフィス5を保護する。また、上述のよう
に、オリフィス5の周囲には撥水処理を施す。しかし、
図13に示したようにオリフィス5を突出させることに
よって、周囲に付着するインク滴の影響を受けにくくす
ることができる。そのため、オリフィス5の周囲に施す
撥水処理を省略することもできる。
【0058】このような段付け加工を行なうには、図1
4(A)に示すように、図13(B)中ので示した部
分の段付けを行なう円形のレーザー光透過領域と、で
示した部分の段付けを行なうドーナツ形状のレーザー光
透過領域を有するマスク27を用い、シャッター26に
よって切り換えて段付け加工を行なうことができる。例
えば、まず図14(B)に示すように円形のレーザー光
透過領域をシャッター26によって選択して、図13
(B)のに示す部分の段付け加工を各オリフィス5に
対応して行なう。その後、図14(C)に示すようにド
ーナツ形状のレーザー光透過領域をシャッター26によ
って選択し、図13(B)のに示す部分の段付け加工
を各オリフィス5に対応して行なえばよい。もちろん、
図13(B)中ので示した部分の段付けを行なう円形
のレーザー光透過領域42を有するマスクと、で示し
た部分の段付けを行なうドーナツ形状のレーザー光透過
領域42を有するマスクを交換して段付け加工を行なっ
てもよい。
【0059】上述の例では、1段および2段の段付け加
工の一例について、いくつか説明したが、本発明はこれ
らに限られるものではなく、種々の形状および3段以上
の段付け加工についても適用可能である。3段以上の段
付け加工の例としては、例えば図11に示した2段の段
付け加工後に図10あるいは図13に示したようなオリ
フィスごとの段付け加工を行なうことが考えられる。
【0060】図15は、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの実施の一形態における別の製造方法の一例を示す
説明図である。上述の例では、図5に示したようにフロ
ントチャネル14となる凹部を、流路形成部材4の成形
時に形成しておき、反対面から段付け加工によってオリ
フィス5を形成した。図15に示す例では、凹部をレー
ザー加工によって形成する例を示している。
【0061】この例では、図15(A)に示すように、
発熱素子17と対応する部分までのインクの流路を、例
えば流路形成部材4の成形時に形成しておく。そして、
図15(B)に示すように、深くなるに従って断面積が
小さくなる先細り型の凹部をレーザー加工などによって
形成する。その後、反対側の面から段付け加工を行な
い、凹部を開口させ、図15(C)に示すようにオリフ
ィス5を形成する。段付け加工は、上述の種々の形態に
よって行なうことができる。
【0062】この方法では、凹部がレーザー加工によっ
て形成されるので、その形状を正確に形成できる。その
ため、例えば図7に示したようなモニタ33付きの製造
装置を用い、凹部の開口した径から段付け深さの未達量
を正確に求めることができ、求めた未達量に基づいてさ
らに段付け加工を行なうことによって、オリフィス5の
孔径を正確に形成することができる。この場合、流路形
成部材4の凹部形成部分の厚みにばらつきがあっても、
厚みに応じた深さの段付け加工が行なわれるので、成形
時のばらつきを吸収し、常に正確な孔径を有するオリフ
ィス5を形成することができる。また、オリフィス5の
孔径とレーザー加工で形成した凹部の深さとの関係も一
定であるため、フロントチャネル14のレーザー加工部
分の長さは一定となり、発熱素子17からオリフィス5
間での距離をほぼ一定とし、安定した品質のインクジェ
ット記録ヘッドを製造できる。
【0063】また、凹部の形成には精密な加工が要求さ
れるので、上述のような樹脂成形によって凹部を形成す
る場合、密度が高くなると歩留まりが悪くなる。この例
では凹部を樹脂成形時には形成しないので、樹脂成形を
容易に行なえるようにするとともに樹脂成形時の歩留ま
りを向上させることができる。また、樹脂成形時には凹
部を形成する部分の肉厚を厚く形成できるので、成形が
容易であるとともに充分な強度を得ることができる。
【0064】なお、このような両面からのレーザー加工
を行なう場合、例えば先に段付け加工を行なっておき、
その後、オリフィス5となる貫通孔を形成することも可
能である。この場合でも、容易に樹脂成形が行なえると
ともに、充分な強度を得ることができる。
【0065】図16は、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの実施の一形態におけるさらに別の製造方法の一例
を示す説明図である。この例でも、図15(A)に示す
ように、発熱素子17と対応する部分までのインクの流
路を、例えば流路形成部材4の成形時に形成しておく。
そして、凹部の代わりに図16に示すように先細り型の
貫通孔をレーザー加工などによって形成する。その後、
反対側の面から段付け加工を行ない、所望の孔径を有す
るオリフィス5を形成する。段付け加工は、上述の種々
の形態によって行なうことができる。加工後の形状は図
15(C)と同様となる。
【0066】この例では、予めオリフィス5が開口して
いるので、例えば図7に示したような製造装置を用いて
段付け加工を行なう場合、段付け加工前に開口径を計測
すれば段付け深さを計算することができる。そのため、
段付け加工の途中で計測位置に移動させる必要がなくな
り、加工時間を短縮することが可能である。
【0067】本発明は、図1などに示した構成のインク
ジェット記録ヘッドに限らず、薄板状の流路形成部材の
部分にオリフィスを形成する種々の構成のインクジェッ
ト記録ヘッドに適用可能である。図17は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの別の実施の形態を示す断面図
である。図中の符号は図3と同様である。上述の実施の
形態ではルーフシュータ型のインクジェット記録ヘッド
を示したのに対し、図17に示す例は、いわゆるサイド
シュータ型のインクジェット記録ヘッドである。発熱素
子17はインクの流路中に設けられており、流路端部に
オリフィス5が設けられている。この構成では、流路形
成部材4に形成される流路部分については、充分な厚み
が確保でき、強度的にも問題はない。しかし、オリフィ
ス5を形成する部分は板状に形成され、通常はこく薄く
形成される。本発明では、このオリフィス5を形成する
板状部分の厚みを確保して成形加工を容易にするととも
に、オリフィス5に通じる流路長をなるべく短くするこ
とができる。
【0068】図18は、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの別の実施の形態における流路形成部材の形成過程
を説明するための断面図である。図18(A)に示すよ
うに、発熱素子17と対応する部分までのインクの流路
を、例えば流路形成部材4の成形時に形成しておく。こ
の時、オリフィス5を形成する部分は、板状に形成され
るのみであるが、従来よりも厚肉に形成しておくことが
できる。
【0069】そして、図18(B)に示すように、深く
なるに従って断面積が小さくなる先細り型の凹部をレー
ザー加工などによって形成する。その後、反対側の面か
ら段付け加工を行ない、図18(C)に示すように凹部
を開口させ、オリフィス5を形成する。このとき、開口
径をモニタしながら段付け加工を行なうことによって、
所望の孔径を有するオリフィス5を形成するとともに、
フロントチャネル14とオリフィス5の間の距離が一定
となるように形成することができる。そのため、噴射特
性の均一なサイドシュータ型のインクジェット記録ヘッ
ドを得ることができる。なお、段付け加工は、上述の種
々の形態によって行なうことができる。また、凹部の代
わりに図16に示したように貫通孔を形成し、段付け加
工を行なってもよい。また、段付け加工後に貫通孔を形
成してもよい。
【0070】図18では、発熱素子17の面に対して多
少傾斜した方向にインク滴が飛翔するようにオリフィス
5を設けているが、これに限らず、発熱素子17の面に
平行、あるいは、さらに傾斜し、例えば30゜〜60゜
程度に傾いていてもよい。
【0071】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、レーザー加工による段付けによってオリフィ
スを形成するので、流路形成部材の成形時に、オリフィ
ス形成面を薄くする必要がなく、流路形成部材の成形が
容易であるとともに、オリフィス周辺の変形を防止する
ことができる。さらに、オリフィスの径を一定に形成す
ることで、ノズル長(流路長)が均一となり、歩留まり
を向上させることができるとともに、安定した品質を有
するインクジェット記録ヘッドを得ることができる。ま
た、段付けを行なうレーザー加工は、精密な位置合わせ
が必要でないので、容易に加工を行なうことができる。
このような段付け部はオリフィス近傍を周囲より凹とす
ることができるので、以後の作製工程や、ワイピング動
作、紙ずまりトラブル時等における、オリフィスおよび
その近傍の表面処理層の変形、破損等を減少させること
ができる。
【0072】このような段付けによってオリフィスの近
傍の厚さが薄くなるが、レーザー加工によるパターニン
グで段付けを行なう領域を分割し、領域間に凸部を残す
ことにより比較的高い強度が得られ、組立工程や印字使
用時に破損の恐れが少なく、耐久性を向上させることが
可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施の
一形態を示す断面図である。
【図2】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施の
一形態を示す分解斜視図である。
【図3】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施の
一形態におけるオリフィス近傍の一例を示す拡大図であ
る。
【図4】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施の
一形態における流路形成部材の一例を示す斜視断面図で
ある。
【図5】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施の
一形態における流路形成部材のレーザー加工前の一例を
示す斜視断面図である。
【図6】 レーザーによる段付け加工された流路形成部
材の一例を示す一部斜視図である。
【図7】 レーザー光による段付け加工装置の一例を示
す概略構成図である。
【図8】 レーザー加工用のマスクの形状の一例を示す
平面図である。
【図9】 レーザーによる段付け加工された流路形成部
材の第1の変形例を示す一部斜視図およびその際に用い
るレーザー加工用のマスクの形状の一例を示す平面図で
ある。
【図10】 レーザーによる段付け加工された流路形成
部材の第2の変形例を示す一部斜視図およびその際に用
いるレーザー加工用のマスクの形状の一例を示す平面図
である。
【図11】 レーザーによる段付け加工された流路形成
部材の第3の変形例を示す一部斜視図である。
【図12】 流路形成部材の第3の変形例において用い
るレーザー加工用のマスクの形状の一例を示す平面図で
ある。
【図13】 レーザーによる段付け加工された流路形成
部材の第4の変形例を示す一部斜視図および断面図であ
る。
【図14】 流路形成部材の第4の変形例において用い
るレーザー加工用のマスクの形状の一例を示す平面図で
ある。
【図15】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施
の一形態における別の製造方法の一例を示す説明図であ
る。
【図16】 本発明のインクジェット記録ヘッドの実施
の一形態におけるさらに別の製造方法の一例を示す説明
図である。
【図17】 本発明のインクジェット記録ヘッドの別の
実施の形態を示す断面図である。
【図18】 本発明のインクジェット記録ヘッドの別の
実施の形態における流路形成部材の形成過程を説明する
ための断面図である。
【符号の説明】
1…ヘッドチップ、2…ヒートシンク、3…開口部、4
…流路形成部材、5…オリフィス、6…ジョイント、7
…インク供給管、8…インク供給室、9…ボンディング
ワイヤ、11…隔壁、12…リアチャネル、13…絞り
部、14…フロントチャネル、15…オリフィス面、1
6…平坦化保護層、17…発熱素子、21…レーザー発
生装置、22〜24…ミラー、25…絞り、26…シャ
ッター、27…マスク、28…レンズ、29…焦点用駆
動装置、30…インクジェット記録ヘッド、31…加工
テーブル、32…加工テーブル駆動装置、33…モニ
タ、34…計測カメラ、35…焦点用駆動装置、36…
フィードバック制御盤、37…レーザー発生制御盤、4
1…レーザー光不透過領域、42…レーザー光透過領
域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 雅樹 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 岩浪 貫夫 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 岡田 正義 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク液滴をオリフィスから吐出して記
    録を行なうインクジェット記録ヘッドの製造方法におい
    て、前記オリフィスを形成する流路形成部材に未貫通孔
    として前記オリフィスに対応する凹部を形成し、該凹部
    の裏面側から前記オリフィスの位置を含む領域に段付け
    加工を施すことによって前記凹部を貫通させ、前記オリ
    フィスを現出させることを特徴とするインクジェット記
    録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記凹部は深くなるに従って断面積が減
    少する形状に形成されており、前記段付け加工による加
    工深さを調整することで所望の前記オリフィスの孔径を
    現出させることを特徴とする請求項1に記載のインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 インク液滴をオリフィスから吐出して記
    録を行なうインクジェット記録ヘッドの製造方法におい
    て、インクの流路を有する流路形成部材を形成し、前記
    オリフィスに対応する位置に前記流路側から次第に断面
    積が減少する形状の貫通孔を形成し、該貫通孔の前記流
    路とは反対側から前記オリフィスの位置を含む領域に段
    付け加工を施して所望の前記オリフィスの孔径を現出さ
    せることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 インク液滴をオリフィスから吐出して記
    録を行なうインクジェット記録ヘッドの製造方法におい
    て、インクの流路を有する流路形成部材を形成し、前記
    流路とは反対側から前記オリフィスの位置を含む領域に
    段付け加工を施し、前記オリフィスに対応する位置に前
    記流路側から貫通孔を形成することを特徴とするインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記段付け加工を、前記オリフィスの並
    び方向で2以上の領域に分割して行ない、各領域間に凸
    部を残すことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記領域は、それぞれの前記オリフィス
    に対応して分割されたものであり、各領域ごとに段付き
    加工を行なうことを特徴とする請求項5に記載のインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記段付け加工を2回以上行ない、2段
    階以上の深さに加工することを特徴とする請求項1ない
    し6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記段付け加工は、段付け加工パターン
    に対応したマスクを介して、パルスレーザーによって加
    工することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記凹部をレーザー加工によって形成し
    たことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記貫通孔をレーザー加工によって形
    成したことを特徴とする請求項3または4に記載のイン
    クジェット記録ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記パルスレーザーがエキシマレーザ
    ーであることを特徴とする請求項8ないし10のいずれ
    か1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記流路形成部材は、樹脂材を成形に
    より作成し、同時に前記凹部を作製することを特徴とす
    る請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記段付け加工中に、現出する前記オ
    リフィスの寸法,形状をモニタし、所望の前記オリフィ
    スの孔径となるように加工制御することを特徴とする請
    求項1ないし12のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 レーザー光を発生するレーザー発生手
    段と、該レーザー光を加工面上の加工領域に導く光学系
    と、レーザー加工されるインクジェット記録ヘッドが載
    置される加工テーブルと、前記インクジェット記録ヘッ
    ドに現出するオリフィスの寸法,形状をモニタするモニ
    タ手段と、該レーザー発生手段からのレーザーの発生を
    制御するレーザー発生制御手段を有し、該レーザー発生
    制御手段は、前記モニタ手段からの前記オリフィスの寸
    法,形状の情報をもとに、所望の前記オリフィスの孔径
    を得るように前記レーザー発生手段を制御することを特
    徴とするインクジェット記録ヘッドの製造装置。
  15. 【請求項15】 インク液滴をオリフィスから吐出して
    記録を行なうインクジェット記録ヘッドにおいて、前記
    オリフィスは段付け加工された低部に形成されており、
    該低部はレーザー加工面であり、インクの流路および該
    流路から前記オリフィスに至る貫通孔を形成する面は樹
    脂成形面であることを特徴とするインクジェット記録ヘ
    ッド。
  16. 【請求項16】 インク液滴をオリフィスから吐出して
    記録を行なうインクジェット記録ヘッドにおいて、イン
    クの流路を形成する面は樹脂成形面であり、前記オリフ
    ィスは段付け加工された低部に形成されており、該低部
    および前記流路から前記オリフィスに至る貫通孔を形成
    する面はレーザー加工面であることを特徴とするインク
    ジェット記録ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記低部は、前記オリフィスの並び方
    向で2以上の領域に分割されており、各領域間に凸部が
    残されていることを特徴とする請求項15または16に
    記載のインクジェット記録ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記領域は、それぞれの前記オリフィ
    スに対応して分割されたものであることを特徴とする請
    求項17に記載のインクジェット記録ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記低部は、2回以上の段付け加工に
    よって2段階以上の深さに加工されていることを特徴と
    する請求項15ないし18のいずれか1項に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  20. 【請求項20】 前記2回以上の段付け加工によって、
    前記オリフィスの形成面よりも周囲がさらに低く加工さ
    れていることを特徴とする請求項19に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
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