JPH10109316A - コンタクトレンズ製造用型およびコンタクトレンズ製造方法 - Google Patents

コンタクトレンズ製造用型およびコンタクトレンズ製造方法

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JPH10109316A
JPH10109316A JP26708796A JP26708796A JPH10109316A JP H10109316 A JPH10109316 A JP H10109316A JP 26708796 A JP26708796 A JP 26708796A JP 26708796 A JP26708796 A JP 26708796A JP H10109316 A JPH10109316 A JP H10109316A
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mold
contact lens
female
lens
male
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JP26708796A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kiriyama
洋 桐山
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンタクトレンズ製造用型の精度の向上や再
利用を可能にし、また、コンタクトレンズの製造効率の
向上を図る。 【解決手段】 雄型部材11の雄型成形面11aには、
フッ素系樹脂の離型層13が形成されている。離型層1
3の一部は、外周部11bに回り込んでいる。離型層1
3の成形面13aは、雄型成形面11aの形状に沿うよ
うに形成されている。重合後のレンズ原料14は、離型
層13から容易に剥離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンタクトレンズ製
造用型およびコンタクトレンズ製造方法に関し、特に重
合性モノマー混合物を重合させてコンタクトレンズを製
造するためのコンタクトレンズ製造用型およびコンタク
トレンズ製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズの製造法は、レースカ
ット法(切削研磨法)、スピンキャスト法(遠心鋳造
法)、両面キャスト法(モールド法または注型重合法)
など3種類に大別される。
【0003】これらのうちレースカット法は、所望の物
性を有する重合組成物からレンズを1枚ずつ削り出し、
研磨等の機械加工を施す方法であり、レンズの形状(B
C:レンズ凹面側のカーブで眼に接する側、FC:レン
ズ凸面側のカーブ、直径、肉厚、度数、エッジ)を比較
的自由に設計できる利点がある。しかし工程数が多く生
産性に乏しくコストが高いという問題がある。現在ハー
ドコンタクトレンズのほとんどがレースカット法によっ
て製造され、ソフトコンタクトレンズ製造にも多くのメ
ーカーが採用している製造法である。
【0004】これに対し、スピンキャスト法および両面
キャスト法は、そのほとんどがソフトコンタクトレンズ
の製造に用いられている製造法であり、また同一規格の
レンズを大量に製造でき、低コスト生産を可能とする製
造法である。
【0005】両者のうちスピンキャスト法は、凹状型に
重合性モノマーを滴下し型を回転させながら重合する方
法であり、レースカット法に比べ生産性の向上がみられ
低コストで製造できる利点を有する。また、使用する型
は凹状型部材のみで、これによってレンズFC側が形成
され、レンズBC側は型を使用せず回転によって創成さ
れるという特徴がある。
【0006】しかし、このスピンキャスト法は、重合性
モノマーの粘度、表面張力、滴下量、型形状、回転数な
ど多くの因子を注意深く制御することが必要であり、ま
た適用可能な重合性モノマーも限定される。さらに、得
られるレンズは非球面であり充分な光学性能が得られ
ず、レンズ凹面のカーブも度数によって変化し、またレ
ンズエッジ部の後加工が必要といった欠点がある。
【0007】一方、両面キャスト法は、予め所定の光学
面を有する凹状型および凸状型内で重合性モノマーを重
合しコンタクトレンズ形状に仕上げる製造法であり、レ
ースカット法およびスピンキャスト法における上述の問
題点を解決する手段として、また切削できない重合物も
含めて多様な重合性モノマーに対応できる手段として有
効である。
【0008】しかしながら、両面キャスト法では、重合
性モノマーが重合固化する際に生ずる重合収縮という体
積収縮の問題があり、概ね20%程体積収縮を発生す
る。密閉した鋳型内でコンタクトレンズを注型する際
に、重合収縮によってレンズ表面にヒケと呼ばれる隙間
が生じたり、レンズ内部にボイドと呼ばれる空洞を生じ
て、コンタクトレンズとして不適当なものとなりやす
い。
【0009】また、両面キャスト法では、通常、凹状型
および凸状型の合せ目部分によってレンズの最周縁部を
形成するが、その部位にバリと呼ばれるレンズエッジの
不整を生じやすい。このバリは、レンズ装用時に眼瞼を
刺激し良好な装用感が得られないので、後加工でバリを
除去する必要がある。
【0010】光学性能向上のための重合収縮対策、およ
びエッジの後加工を必要としないためのレンズ周縁部形
状の安定化対策などを重点として、種々のコンタクトレ
ンズ成形用型形状や関連技術が開発され、特許等で開示
されている。
【0011】出願人自らの出願による特公平5−443
30号、特公平5−44331号および特開平6−10
6552号でも上述の問題点解決を開示したものであ
る。特公平5−44330号および特公平5−4433
1号では、重合収縮に追従するよう配慮し、柔軟性のあ
るスペーサを介して、第1成形部(凸型)および第2成
形部(凹型)を嵌め合わせる構成を開示している。
【0012】しかし、このような構成では、使用型部材
点数が多く作業効率が悪いという問題があった。また、
第1成形部嵌め合い外径部と第2成形部内径部とが上下
に移動可能程度のクリアランスを有しながら、かつバリ
も発生させない程度というのは非常に微妙であり、実用
上精度維持が難しいという問題があった。
【0013】これらの問題点の解決を図ったのが特開平
6−106552号である。この発明では、型部材を2
部品とし、雄型部材には重合収縮を吸収するための突起
体を設ける一方、雌型部材には突き当て部を形成して、
雄型成形面と雌型成形面の間隔を規定する構造とした。
この結果、ヒケ、ボイド、バリおよび偏肉等の不良発生
が解消された。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】両面キャスト法は、同
一規格のレンズを大量に製造するのに有効な製造方法で
あり、一定の商業的成功をおさめているが、型部材の寸
法精度が充分でなく、その結果としてレンズの検査で良
品と不良品の選別作業への負荷が大きく、全体として作
業効率が充分に向上しているとはいえない。すなわち、
寸法精度および作業効率においてまだ充分でないという
問題点を有している。
【0015】ところで、両面キャスト法で使用される型
部材の材質は、1つの金属製金型から大量に製造できる
射出成形法が利用できることから、樹脂が多く採用され
ている。特によく使用されているのは、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン樹脂等である。
【0016】しかし、プラスチック製型部材においてミ
クロン単位の寸法精度を確保するには、高度の射出成形
技術が必要である。また、成形作業の効率を増すために
多数個取りすると、その数が多い程寸法精度が悪くな
る。加えて、凹状型および凸状型の2部品の組合わせの
バラツキも積み重なるため、さらに寸法精度が悪くな
る。
【0017】また、一般に、型部材は廃棄式である。す
なわち、コンタクトレンズの注型に供した型部材は、1
回の使用で捨てられている。他目的への転用として、コ
ンタクトレンズ包装用パッケージへこの型部材を再利用
しようという提案は多くなされているが、本来のコンタ
クトレンズの注型として、型部材を反復使用している例
は少ない。
【0018】コンタクトレンズの注型として、型部材を
1回毎の使い捨てではなく、反復使用できると記載され
ているのは、特公昭63−36484号、特開平7−6
8563号、特開平7−52168号、特開平7−88
850号、特開平7−256658号である。
【0019】特公昭63−36484号では、所定数の
コンタクトレンズを成形した後廃棄されるとあるが、具
体的手段が明示されていない。また、特開平7−685
63号、特開平7−52168号、特開平7−8885
0号、特開平7−256658号はすべて同一出願人に
よる開示である。
【0020】特開平7−68563号、特開平7−52
168号の開示内容は次の通りである。成形用型は、雄
型の成形用の型半分と、雌型の成形用の型半分の2部品
より構成される。2つの型半分は接触が避けられ、それ
故に変形しないから2つの型半分または1つの型半分は
繰り返し使用できる。繰り返し使用されない型半分はコ
ンタクトレンズの包装に使用できる。繰返し使用可能な
2つの型半分または1つの型半分の材質は、UVエネル
ギー透過性、硬質、耐性から石英が好適であり、繰返し
使用しない型半分の材質については特定されていない。
【0021】成形用の型の構造は、架橋を起こすエネル
ギーの作用を成形用型キャビティの範囲に制限するため
に、成形用型キャビティの範囲の外側を遮蔽し、2つの
型半分を少し離して保持することでモノマーの還流を可
能とし、かつ重合時の体積収縮に追随して移動するとい
う構造である。
【0022】また、特開平7−68563号、特開平7
−52168号では、エッジ部の形成および重合収縮対
策についても、次のように述べられている。成形品へり
(エッジ)の部分領域は成形用の型壁面による原料の機
械的制限ではなく、重合または架橋を誘発するUVエネ
ルギーの空間的制限によって形成される。空間的制限と
は、成形用型キャビティの範囲の外側に遮蔽を施すこと
であり、これによって原料の重合または架橋はコンタク
トレンズの領域に限定され、過剰の材料は重合も架橋も
しない。
【0023】また重合収縮については、成形用の型が追
随するよう制御される。その際2つの型半分は接触が避
けられ、それ故に変形しないから繰り返し使用できる。
結果として、成形用の型から製造されたレンズには、バ
リおよびはみ出しがなく、その後の機械加工またはその
他の加工が省かれ、使い捨てコンタクトレンズを簡単に
効率よく製造する方法であると述べられている。
【0024】しかしながら、2つの型半分が重合時の体
積収縮に追随するよう、だが最終的には接触しないよう
動きながら、かつUVエネルギーが照射されたレンズキ
ャビティ内のレンズ重合物とレンズキャビティの周辺部
の重合しない過剰モノマーとが、確実に不連続となり、
結果としてレンズのへり(エッジ)部のバリおよびはみ
出しがないように制御することは非常に微妙であり、レ
ンズエッジ部のバリ制御と成形用の型の損傷がなく再利
用できることとを両立させるのは、実用上困難であると
推察される。
【0025】すなわち上述の開示内容では、レンズの精
度向上(バリの解消)と効率の向上(型材の再利用、後
加工削除)とを、同時に得ることは、実用上困難である
と推察される。
【0026】特開平7−88850号では再利用できる
とあるが、具体的内容が明らかでない。特開平7−25
6658号ではレンズ上にスプルー点がないとはある
が、重合収縮対策およびレンズエッジ部のバリの有無に
は言及されていない。
【0027】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、コンタクトレンズ製造用型の寸法精度の向
上、コンタクトレンズ製造効率の向上、および型部材の
再利用を可能とするコンタクトレンズ製造用型およびコ
ンタクトレンズ製造方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、重合性モノマー混合物を重合させてコン
タクトレンズを製造するためのコンタクトレンズ製造用
型において、前記コンタクトレンズの凹面を形成する雄
型部材と、前記コンタクトレンズの凸面を形成する雌型
部材とを有し、前記何れか一方の型部材の型形成面に
は、前記重合されたコンタクトレンズを他方の型部材よ
りも剥離し易くするための離型層が形成されていること
を特徴とするコンタクトレンズ製造用型が提供される。
【0029】このようなコンタクトレンズ製造用型にお
いては、何れか一方の型部材の型形成面に、重合された
コンタクトレンズを他方の型部材よりも剥離し易くする
ための離型層を設けることにより、重合終了後のレンズ
重合物の取り出しの際には、離型層側から先に剥離し、
レンズ重合物が他方の型部材側に残る。すなわち、選択
的剥離が可能となる。
【0030】また、レンズ重合物を取り出す際、離型層
側は軽い力で剥離するので、その剥離面にレンズ痕跡が
残らない。このため、引き続き重合工程で離型層側の型
部材を反復使用できる。
【0031】また、本発明では、離型層の設けられる型
部材に、他方の型部材よりも硬質の材料、特に金属を用
いることが好ましい。これにより、離型層の設けられた
型部材の熱膨張率が小さくなり、寸法変化が低減され
る。
【0032】さらにまた、離型層は、フッ素系樹脂を材
料とすることが好ましい。これにより、重合終了後のレ
ンズ重合物の取り出しの際、離型層の設けられた型部材
がレンズ重合物から容易に剥離する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一形態を図面を参
照して説明する。図1は本発明の第1の形態のコンタク
トレンズ製造用型の構成を示す垂直断面図である。コン
タクトレンズ製造用型1は、主に、金属製の雄型部材1
1と樹脂製の雌型部材12の2つの型部材から構成され
ている。雄型部材11は、コンタクトレンズの凹面側を
成形するための雄型成形面11aを有している。一方、
雌型部材12は、コンタクトレンズの凸面側を成形する
ための雌型成形面12aを有している。雌型成形面12
aは、その容積が、滴下されるレンズ原料14の体積よ
りもある程度大きくなるように形成されている。これら
雄型部材11および雌型部材12は、共通の主軸を有す
るように配置されている。
【0034】雄型部材11の雄型成形面11aには、離
型層13が形成されている。離型層13の一部は、外周
部11bに回り込んでいる。この離型層13は、フッ素
系樹脂で形成されている。離型層13の成形面13a
は、雄型成形面11aの形状に沿うように形成されてい
る。また、離型層13の角部には、コンタクトレンズの
エッジ部を形成するための肩部13bが環状形成されて
いる。肩部13bは、雌型成形面12aと接触した場合
には、雌型成形面12aに対して線接触できるように形
成されている。
【0035】次に、このような構成のコンタクトレンズ
製造用型1の動作について説明する。まず、雌型部材1
2の雌型成形面12aの上に、重合性モノマー混合物で
あるレンズ原料14を適量滴下する。このレンズ原料1
4の滴下量は、重合収縮する量を考慮して設定された量
よりも、さらに多めの量に設定されている。雌型成形面
12aは、十分に大きく形成されているので、レンズ原
料14の過剰な分が外部にこぼれることがない。
【0036】次いで、レンズ原料14の上から、雄型部
材11をその主軸が雌型部材12の主軸と一致するよう
に載置する。このとき、雄型部材11は、図示されてい
ない外部装置によって支持されており、肩部13bと雌
型部材12の雌型成形面12aとの間のギャップが、重
合収縮量を見込んだ値D11となるように保持されてい
る。
【0037】次いで、コンタクトレンズ製造用型1を恒
温槽内に入れ、一定の昇温プログラムによりレンズ原料
14の加熱重合を行なう。この際恒温槽内を窒素、アル
ゴン等不活性ガス雰囲気とする場合もある。UV等の光
エネルギーを用いる光重合の際には、雌型部材12の材
質は半透明または透明な樹脂から選ばれる。加熱重合が
開始される際、レンズ原料14の熱膨張分も、雌型成形
面12aに貯溜することができる。
【0038】重合過程においては、レンズ原料14に重
合収縮が起こり、離型層13の成形面13aと雌型成形
面12aとが近接するように重合収縮力が働く。雄型部
材11を保持する外部装置は、この重合収縮力に同期し
て、雄型部材11を垂直方向へ移動させる。この際外部
から追加の圧力を加える場合もある。
【0039】図2は第1の形態の重合完了時のコンタク
トレンズ製造用型1の状態を示す図である。レンズ原料
14の重合収縮によって、雄型成形面11の肩部13b
が、雌型成形面12aに突き当たるか幾分かくい込むま
で、離型層13の成形面13aと雌型成形面12aの間
隔が狭まる。これにより、重合収縮したレンズ原料14
は、肩部13bの部分で過剰重合物14bと不連続の状
態になり、最終的に所望の形状のコンタクトレンズ14
aが形成される。
【0040】続いて、雌型部材12を固定した状態で雄
型部材11を引き上げることにより、コンタクトレンズ
14aおよび過剰重合物14bから雄型部材11が剥離
する。この際、雄型部材11の離型層13の成形面13
aには、レンズ残痕がないので、洗浄や検査することな
くひき続き雄型部材11を次の注型重合に使用できる。
そして、コンタクトレンズ14aを雌型部材12から取
り出す。このようにして、所望のコンタクトレンズ14
aをコンタクトレンズ製造用型1から取り出すことがで
きる。
【0041】なお、本発明による雄型成形面11aと雌
型成形面12aは、球面カーブの組合わせにより設計さ
れたコンタクトレンズに充分適応できるが、必要に応じ
て一方または両方が多段階カーブ、非球面カーブにより
構成された設計においても適応できる。
【0042】また、図1および図2では、雄型部材11
および雌型部材12を配置するための外部装置は図示さ
れていないが、両部材の平行度を保ち主軸を共通に保持
し、重合収縮と同期して追従し両型部材の間隔を近接さ
せ、所定の位置で停止し重合終了時まで維持するという
機構を持つ外部装置は、現在の生産技術力で容易に実現
できる。
【0043】また、図1および図2では、コンタクトレ
ンズ製造用型1の形状が単純化されているが、コンタク
トレンズ製造用型の構造の中に上記外部装置の機構を組
込んだ先行例として特開平6−106552号が挙げら
れており、これを本形態に好適に用いることができる。
【0044】本形態において提供されるコンタクトレン
ズ製造用型1の材質としては、下側の雌型部材12にプ
ラスチック、特に射出成形法が適応できる熱可塑性樹脂
を用いることが望ましい。射出成形法を適用することに
よって、精度の高い型部材を容易に量産できる。このよ
うな熱可塑性樹脂の例としては、高密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィ
ン、またはオレフィン共重合体、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリクロルトリフルオロエチレン等のフッ素樹
脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタ
ール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等の飽和ポリエステル樹脂、ポリサルホン、
ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂−ポリフェニ
レンサルファイドポリマーアロイ、ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリアクリロニトリル樹脂等を
使用できる。重合にUV等の光エネルギーを用いる場合
は、半透明または透明な樹脂を適宜選ぶことができる。
【0045】一方、雄型部材11は、プラスチックより
も硬い材料、例えば金属、ガラス、セラミックスなどが
望ましい。中でも金属は、プラスチック、ガラス、セラ
ミックに比べて熱伝導率が非常に大きいので熱効率が良
く、また熱膨張率がプラスチックに比べ小さいので、温
度差に対して寸法の安定が期待される。寸法の安定によ
って、コンタクトレンズの精度が向上する。
【0046】さらに、金属は、ガラスやセラミックスよ
りも超精密CNC旋盤等による機械加工が適用しやすい
ので、寸法精度の向上の面でより好適である。金属は、
鉄、アルミニウム、ニッケル、銅、クロム、マンガン、
亜鉛、炭素等、およびこれらの合金等、一般に用いられ
る鋼材を使用することができる。
【0047】ただし、金属は、プラスチックよりも上述
のような利点を有するが、重合性モノマーとの接着力は
強固である。例えば、ソフトコンタクトレンズの成分に
用いられるHEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート)が金属上で重合固化した場合には、強固に接着す
るので、コンタクトレンズ程度の厚さや大きさでは、損
傷することなく剥離するのは難しい。溶媒に浸漬しても
同様に難しい。一方、ハードコンタクトレンズの成分に
用いられるMMA(メチルメタクリレート)の場合、H
EMAよりは剥離しやすいが、それでも強固に接着して
おり、欠損のない状態でコンタクトレンズを剥離するこ
とは難しい。。
【0048】そこで、金属、ガラス、セラミックス材等
で形成された雄型部材11の雄型成形面11aに対する
コンタクトレンズの接着力を弱くする手段として、内部
離型剤または溶媒をレンズ原料14に添加する方法等が
ある。内部離型剤には、シリコンオイル、ワックス類、
界面活性剤(シリコン系、フッ素系等)、リン酸エステ
ル系等が用いられる。しかし、この方法でも、コンタク
トレンズを簡単に、効率良く、欠損のない状態で剥離す
ることは、実際には難しい。
【0049】これに対し、外部離型剤は、重合性モノマ
ー混合物への影響等考慮すべき制約が少ないので望まし
い。外部離型剤として離型層13を形成する方法として
は、シリコンオイル、ワックス類、各種の油脂、フッ素
樹脂粉末等をスプレー等で塗布する方法、またはシリコ
ン樹脂、フッ素樹脂の硬化被膜を形成する方法、更に蒸
着、スパッタリングで金属薄膜を形成する方法等がある
が、離型効果、耐久性および簡便性から、フッ素系樹脂
の硬化被膜を用いることが望ましい。
【0050】フッ素系樹脂は、一般に他のプラスチック
と比べて、耐熱性、耐溶剤性、耐候性に優れており、表
面は非粘着性(臨界表面張力が小さい)で摩擦係数が小
さく、よく滑るなどという性質が知られている。
【0051】ところで、フッ素系樹脂でない樹脂を離型
層として設けた場合にも、樹脂の材質の選定によって
は、樹脂製の雌型部材12側にレンズ重合物との相対的
に強い接着力を持たせ、確実に金属製の雄型部材11側
から重合されたコンタクトレンズ14aが先に剥離でき
るようにすることも可能である。しかし、一般的に多く
用いられている樹脂製型部材は、ポリプロピレン、ポリ
スチレンであり、ポリプロピレンもフッ素系樹脂ほどで
はないが、耐薬品性と非粘着性を示す樹脂である。した
がって、雄型部材11には、より非粘着性の高い材料が
要求される。
【0052】これに対してフッ素系樹脂は、ポリプロピ
レンよりも接着力(臨界表面張力)が小さいので、離型
層13にフッ素系樹脂を用いれば、より多くの種類の樹
脂製型材に対して、重合されたコンタクトレンズ14a
が先に、金属製の雄型部材11から確実にかつ弱い力で
剥離し、レンズ重合物が樹脂製の雌型部材12側に残る
状態で、両型部材が開かれることが可能となる。これに
より、樹脂製の雌型部材12の材質選定の自由度が増え
る利点がある。
【0053】また金属製の雄型部材11の成形面13a
には、レンズ痕跡が残らないので、その後の洗浄や検査
等の操作を行なうことなしに、雄型部材11を引き続き
重合工程で反復使用できる。
【0054】さらに、離型層13には、フッ素系樹脂と
して、特定の溶媒に可溶なものを使用することが好まし
い。特定の溶媒に可溶なフッ素系樹脂であれば、金属部
材の表面にスピンコート法やディッピング法等の、一般
の技術で均一な膜を形成することができ、膜の表面はフ
ッ素系樹脂の微粒子が分散されている場合と異なり、基
材表面の平滑性と溶媒の乾燥条件を調整することによっ
てコンタクトレンズに必要な膜表面の平滑性を得ること
ができるので好適である。また、必要ならば、離型膜1
3を特定溶媒に溶かすことにより、容易に除去し、再び
成膜することもできる。
【0055】さらに、離型膜13と雄型部材11との密
着性が不足の場合は、雄型部材11の金属表面の前処
理、カップリング剤による処理など、適当な中間接着層
を設けることもできる。
【0056】また、一般に離型剤として市販されている
フッ素系シロキサン化合物も、金属表面と化学結合し、
かつ重合性モノマーと接する側ではフッ素化合物特有の
離型効果が発揮できるので、好ましく使用できる。
【0057】本形態でレンズ原料14として使用される
重合性モノマーは、単一組成あるいは多成分組成モノマ
ーまたはプレポリマーに多官能架橋剤、重合開始剤、必
要ならば溶媒を適量添加してなるものである。
【0058】ここで使用されるモノマーとしては、例え
ば次のものが挙げられる。 (1)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸iso −ブチル、メタ
クリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−プロピル、メ
タクリル酸iso −プロピル、メタクリル酸ラウリル、メ
タクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メ
タクリル酸メチルベンジル、メタクリル酸イソボルニル
等の疎水性メタクリル酸置換モノマー。
【0059】(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso −ブチル、
アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−プロピル、ア
クリル酸iso −プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸ベンジル等の疎水性アクリル酸置換モノマ
ー。
【0060】(3)トリメチルシリルメタクリレート、
トリメチルシリルメチルメタクリレート、トリス−トリ
メチルシロキシリル−プロピルメタクリレート等のシリ
コンを有するメタクリル酸置換モノマー。
【0061】(4)トリメチルシリルアクリレート、ト
リメチルシリルメチルアクリレート、トリス−トリメチ
ルシロキシリル−プロピルアクリレート等のシリコンを
有するアクリル酸置換モノマー。
【0062】(5)2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒド
ロキシブチルメタクリレート、グリセリルメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸等の親水
性メタクリル酸置換モノマー。
【0063】(6)2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロ
キシブチルアクリレート、グリセリルアクリレート、グ
リシジルアクリレート、アクリル酸等の親水性アクリル
酸置換モノマー。
【0064】(7)N−メチルアクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等のN−アルキ
ル置換アクリルアミドまたはN−アルキル置換メタクリ
ルアミド等の親水性モノマー。
【0065】(8)N−ビニルピロリドン、メチル置換
N−ビニルピロリドン等のアルキル置換N−ビニルピロ
リドン。また多官能架橋剤としては、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テ
トラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ビニルメタクリレート、アリル
メタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ビニル
アクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0066】また重合開始剤としては、熱重合の場合に
はアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレ
ロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチ
ル、過酸化ラウロイル等が使用され、また光重合の場合
にはd,l−カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾ
イン、ベンゾインイソプロピルエーテル等が使用され
る。
【0067】またジメチルスルホキシド、グリセリン、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、2−メトキシエタノール等の溶媒を添加
することもできる。
【0068】上記(1)〜(4)の群から選ばれたモノ
マーを主成分とし、(5)〜(8)の群から選ばれたモ
ノマーを副成分とする場合は、ハードコンタクトレンズ
組成となり、その逆の場合にはソフトコンタクトレンズ
組成となる。
【0069】なお、本形態では、雄型部材11を金属等
の硬質の部材とし、雌型部材12を樹脂としたが、逆で
あってもよい。ただし、この場合には、雌型部材12側
に離型層13を形成する必要がある。
【0070】このように、一方の型部材に金属等の硬質
部材を使用し、他方の型部材に樹脂を使用することによ
り、コンタクトレンズ14aの周縁部(エッジ)をバリ
や欠損なく形成することができる。これは、例えば図
1、図2のように雄型部材11を金属にし、雌型部材1
2を樹脂にすることにより、雄型部材11の肩部13a
を非可撓性にでき、雌型部材12の雌型成形面12aに
多少食い込む状態で接触させることができるからであ
る。また、本形態では、肩部13bを雌型成形面12a
に対して線接触できるように形成したので、より確実に
バリや欠損を防止することができる。
【0071】一方、雄型部材および雌型部材をともに樹
脂で形成する場合には、特開平6−106552号のよ
うに、一方の型部材に肩部を設け実質的に非可撓性と
し、雄雌両型部材を線接触させることで、レンズエッジ
部のバリや欠損が解消できる。また、肩部が相手の型部
材に幾分かくい込むような構造とすることで、確実性を
増すことができる。
【0072】次に、本発明の第2の形態について説明す
る。図3は本発明の第2の形態のコンタクトレンズ製造
用型の構成を示す垂直断面図である。コンタクトレンズ
製造用型2は、第1の形態と同様に、雄型部材21と雌
型部材22の2つの型部材から構成されている。雄型部
材21は、コンタクトレンズの凹面側を成形するための
雄型成形面21aを有している。一方、雌型部材22
は、コンタクトレンズの凸面側を成形するための雌型成
形面22aと、円筒状の外側壁22bとを有している。
雌型成形面22aは、その容積が、滴下されるレンズ原
料24の体積よりも十分に大きくなるように形成されて
いる。また、雌型部材22には、コンタクトレンズのエ
ッジ部を形成するための肩部22cが環状形成されてい
る。
【0073】雄型部材21の雄型成形面21aには、離
型層23が形成されている。離型層23の一部は、外周
部21bに回り込んでいる。この離型層23は、フッ素
系樹脂で形成されている。離型層23の成形面23a
は、雄型成形面21aの形状に沿うように形成されてい
る。また、離型層23の成形面23aは、レンズ原料2
4が重合収縮したときには、雌型成形面22aの肩部2
2cと線接触する。
【0074】次に、このような構成のコンタクトレンズ
製造用型2の動作について説明する。まず、雌型部材2
2の雌型成形面22aの上に、重合性モノマー混合物で
あるレンズ原料24を適量滴下する。このレンズ原料2
4の滴下量は、重合収縮する量を考慮した量よりも、さ
らに多めの量に設定されている。雌型成形面22aは、
十分に大きく形成されているので、レンズ原料24の過
剰な分が外部にこぼれることがない。
【0075】次いで、レンズ原料24の上から、雄型部
材21をその主軸が雌型部材22の主軸と一致するよう
に載置する。このとき、雄型部材21は、図示されてい
ない外部装置によって支持されており、その離型層23
の成形面23aと肩部22cとの間のギャップが、重合
収縮量を見込んだ値D12となるように保持されている。
【0076】次いで、コンタクトレンズ製造用型2を恒
温槽内に入れ、第1の形態と同様の手順で、レンズ原料
24の加熱重合を行なう。重合過程においては、レンズ
原料24に重合収縮が起こり、離型層23の成形面23
aと雌型成形面22aとが近接するように重合収縮力が
働く。雄型部材21を保持する外部装置は、この重合収
縮力に同期して、雄型部材21を垂直方向へ移動させ
る。この際外部から追加の圧力を加える場合もある。
【0077】図4は第2の形態の重合完了時のコンタク
トレンズ製造用型2の状態を示す図である。レンズ原料
24の重合収縮によって、雌型成形面22の肩部22c
が、離型層23に突き当たるまで、離型層23の成形面
23aと雌型成形面22aの間隔が狭まる。これによ
り、重合収縮したレンズ原料24は、肩部22cの部分
で過剰重合物24bと不連続の状態になり、最終的に所
望の形状のコンタクトレンズ24aが形成される。
【0078】続いて、雌型部材22を固定した状態で雄
型部材21を引き上げることにより、コンタクトレンズ
24aおよび過剰重合物24bから雄型部材21が剥離
する。この際、離型層23の成形面23aには、レンズ
残痕がないので、洗浄や検査することなく引き続き雄型
部材21を次の注型重合に使用できる。次いで、コンタ
クトレンズ24aを雌型部材22から取り出す。このよ
うにして、所望のコンタクトレンズ24aをコンタクト
レンズ製造用型2から取り出すことができる。
【0079】なお、雄型部材21、雌型部材22、離型
層23、およびレンズ原料24の材質については、第1
の形態で説明したものとほぼ同じものを使用することが
好ましい。
【0080】次に、本発明の第3の形態について説明す
る。図5は本発明の第3の形態のコンタクトレンズ製造
用型の構成を示す垂直断面図である。本形態のコンタク
トレンズ製造用型3は、金属等の硬質の材料からなる雄
型部材30と、樹脂材料からなる雌型部材40とが互い
に嵌合するように構成されている。雄型部材30は、雄
型成形面31aを有する雄型成形面部31、雄型部材3
0全体を支える外側壁32、外側壁32の根元にあるフ
ランジ部33、および雄型成形面部31と外側壁32を
連結する雄型連結部34を有している。
【0081】また、雄型成形面部31の雄型成形面31
aには、離型層36が形成されている。離型層36の一
部は、雄型成形面部31の外周部31bに回り込んでい
る。この離型層36は、第1の形態の離型層13と同様
に、フッ素系樹脂で形成されている。離型層36の成形
面36aは、雄型成形面31aの形状に沿うように形成
されている。また、離型層36の角部には、コンタクト
レンズのエッジ部を形成するための肩部36bが環状形
成されている。肩部36bは、雌型部材40の雌型成形
面41aと接触した場合には、雌型成形面41aに対し
て線接触できるように形成されている 一方、雌型部材40は、雌型成形面41aを有する雌型
成形面部41、雌型部材40全体を支える外側壁42、
外側壁42を安定に保持設置する底部43、および雌型
成形面部41と外側壁42を連結する雌型連結部44を
有している。雌型成形面部41の雌型成形面41aに
は、重合性モノマー混合物であるレンズ原料50が滴下
される。また、雌型成形面41aは、その深さや径が、
成形されるコンタクトレンズの厚みや径よりも十分に大
きくなるように形成されている。
【0082】このような雄型部材30の外側壁32の内
面32aと、雌型部材40の外側壁42の外面42aと
は嵌合している。これにより、コンタクトレンズ製造用
型3は、雄型部材30が雌型部材40に対して上下に摺
動可能なシリンダ構造となっている。
【0083】雌型連結部44の上面44aには、突き当
て部45が形成されている。この突き当て部45の上面
45aは、雄型連結部34の下面34aに当接可能とな
っている。
【0084】また、雌型連結部44の上面44aには、
環状の突起体46が形成されている。この突起体46
は、先端側が狭くなるようにテーパ状に形成され、可撓
性が持たされている。
【0085】次に、このような構成のコンタクトレンズ
製造用型3の動作について説明する。図6は本発明の第
3の形態のコンタクトレンズ製造用型3の動作を示す図
であり、(A)は重合収縮前の状態を示す図、(B)重
合収縮後の状態を示す図である。まず、図(A)に示す
ように、雌型部材40の雌型成形面41a上にレンズ原
料50を適量滴下し、次いで雌型部材40に雄型部材3
0を嵌合させる。このとき、肩部36bと雌型成形面4
1aとの間には、隙間D13が空くように、雄型部材30
が保持されている。この間隔D13は、レンズ原料50の
重合収縮を考慮して設定されている。また、このとき、
突起体46が雄型連結部34の下面34aに当接してい
る。さらに、このとき、雄型連結部34の下面34aと
突き当て部45の上面45aとの間には、隙間D14が設
けられている。隙間D14は、肩部36bと雌型成形面4
1aとの隙間D13と同じか、やや大きくなるようになる
ように設定されている。
【0086】次いで、一定の昇温プロセスにより、加熱
重合を行う。レンズ原料50の重合収縮力により、雄型
部材30全体が下降して、最終的に図(B)に示すよう
に、突き当て部45の上面45aが雄型連結部34の下
面34aに当接する。同時に、肩部36bが雌型成形面
41aに線接触する。この過程で、突起体46は、圧力
を受けてその先端部が変形する。ただし、コンタクトレ
ンズ製造用型3において変形するのは、この突起体46
のみで、成形されたコンタクトレンズのレンズ面等の変
形は起こらない。
【0087】なお、レンズ原料50の調整および重合収
縮量の予想が可能で、そのための重合収縮吸収機能を果
たす突起体46の変形量等を十分に制御できるときは、
突き当て部45は必要ない。しかし、そうでない場合に
は、突き当て部45を設けることにより、肩部36bと
雌型成形面41aとの線接触部分に、必要以上の圧力が
加わらず、線接触部分の変形を防ぐことができる。
【0088】さらに、突き当て部45を設けることによ
り、離型層36の成形面36aと雌型成形面41aとの
間隔を一定に保ことができる。これにより、成形後のコ
ンタクトレンズの厚さを一定にできる。
【0089】こうして、レンズ原料50は、肩部36b
の部分で過剰重合物52bと不連続の状態になり、最終
的に所望の形状のコンタクトレンズ51が形成される。
続いて、雌型部材40を固定した状態で雄型部材30を
引き上げることにより、コンタクトレンズ51および過
剰重合物52から雄型部材30が剥離する。この際、雄
型部材30の離型層36には、レンズ残痕がないので、
洗浄や検査することなくひき続き雄型部材30を次の注
型重合に使用できる。そして、コンタクトレンズ51を
雌型部材40から取り出す。このようにして、所望のコ
ンタクトレンズ51をコンタクトレンズ製造用型3から
取り出すことができる。
【0090】なお、本形態における雄型部材30、雌型
部材40、離型層36、およびレンズ原料50の材質に
ついては、第1の形態で説明したものとほぼ同じものを
使用することが好ましい。
【0091】次に、本発明の第4の形態について説明す
る。図7は本発明の第4の形態のコンタクトレンズ製造
用型の構成を示す垂直断面図であり、(A)は重合収縮
前の状態を示す図、(B)重合収縮後の状態を示す図で
ある。この第4の形態のコンタクトレンズ製造用型4
は、第3の形態のコンタクトレンズ製造用型3を変形し
たものである。したがって、互いに同一の構成部分につ
いては同一符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0092】この第4の形態では、雄型部材30が金属
等の硬質の部材で形成され、雌型部材40が樹脂で形成
されている。また、この第4の形態では、突き当て部4
5の上面45aに楔形の凸部45bが形成されている。
また、雄型連結部34の下面34aの対応する部分に
は、楔型の凹部34bが形成されている。凸部45bの
底辺の幅は、凹部34bの底辺の幅よりも大きく、一
方、凸部45bの高さは、凹部34bの高さよりも低く
なるように形成されている。
【0093】このような構成の第4の形態のコンタクト
レンズ製造用型4では、まず、雌型成形面41aにレン
ズ原料50を適量滴下し、図(A)に示すように、凸部
45bと凹部45bとを噛み合わせて、肩部36bと雌
型成形面41aとの間隔D15を維持させる。また、この
とき、突き当て部45の上面45aと雄型連結部34の
下面34aとの間には、間隔D16が維持される。
【0094】そして、第3の形態と同様に加熱重合させ
ると、レンズ原料50の重合収縮力によって、雄型部材
30が雌型部材40に引きつけられ、図(B)の状態に
なる。すなわち、凸部45bが凹部34bに食い込み、
突き当て部45の上面45aが雄型連結部34の下面3
4aに突き当たった位置で、雄型部材30と雌型部材4
0との位置が決まる。雌型部材40は、樹脂製なので、
凸部45bは可撓性を持つ。これにより、肩部36bと
雌型成形面41aとの線接触部分に、必要以上の圧力が
加わらず、線接触部分の変形を防ぐことができる。
【0095】なお、第4の形態では、雌型部材40に凸
部45bを形成し、雄型部材30に凹部34bを形成す
るようにしたが、これと逆の構成にすることもできる。
また、凸部45bを突き当て部45上に形成したが、突
き当て部45以外の部分に形成してもよい。
【0096】次に、本発明の第5の形態について説明す
る。図8は本発明の第5の形態のコンタクトレンズ製造
用型の構成を示す垂直断面図であり、(A)は重合収縮
前の状態を示す図、(B)重合収縮後の状態を示す図で
ある。この第5の形態のコンタクトレンズ製造用型5
は、第3の形態のコンタクトレンズ製造用型3を変形し
たものである。したがって、互いに同一の構成部分につ
いては同一符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0097】この第5の形態のコンタクトレンズ製造用
型3では、重合収縮吸収構造部として、雌型部材40の
雌型連結部44の一部に薄肉部47が形成されている。
この薄肉部47によって、雌型連結部44は、レンズ原
料50の重合収縮力により容易に変形可能となってい
る。
【0098】このような構成の第5の形態のコンタクト
レンズ製造用型5では、まず、雌型成形面41aにレン
ズ原料50を適量滴下し、図(A)に示すように、凸部
45bと凹部45bとを噛み合わせて、肩部36bと雌
型成形面41aとの間隔D17、および雄型連結部34の
下面34aと突き当て部45の上面45aとの間隔D 18
を維持させる。
【0099】そして、第3、第4の形態と同様に加熱重
合させると、レンズ原料50の重合収縮によって、雄型
部材30が雌型部材40に引きつけられ、図(B)の状
態になる。すなわち、雌型連結部44が薄肉部47の部
分で変形し、これにより肩部36bが雌型成形面41a
に線接触する。このときの圧力は、薄肉部47に吸収さ
れるので、肩部36bと雌型成形面41aとの線接触部
分に、必要以上の圧力が加わらず、線接触部分の変形を
防ぐことができる。
【0100】なお、薄肉部47は、雄型連結部34に形
成してもよい。さらに、雄型連結部34および雌型連結
部44の両方に形成してもよい。次に、本発明の第6の
形態について説明する。
【0101】図9および図10は本発明の第6の形態の
構成および処理手順を示す図であり、図9の(A)は第
1のステップを示す図、(B)は第2のステップを示す
図、図10の(A)は第3のステップを示す図、(B)
は第4のステップを示す図である。この第6の形態のコ
ンタクトレンズ製造用型6は、雄型成形面61を有する
雄型部材60と、雌型成形面71を有する雌型部材70
とから構成される。雄型部材60は、金属等の硬質の部
材で形成されている。一方、雌型部材70は、プラスチ
ック等の樹脂で形成されている。雌型部材70の雌型成
形面71には、図9の(A)に示すように、肩部72が
形成されている。また、雌型部材70には、円筒状の外
側壁73が形成されている。
【0102】このような構成のコンタクトレンズ製造用
型6では、まず、雌型成形面71に重合性モノマー混合
物のレンズ原料80を適量滴下する。次いで、図9の
(B)に示すように、雄型部材60の雄型成形面61に
離型層としてのフッ素系樹脂フィルム62を沿って配置
し、さらに、図10の(A)に示すように、重合収縮量
を見込んだギャップD19を肩部72とフッ素系樹脂フィ
ルム62の成形面62aとの間に設けた状態で、雄型部
材60を保持する。
【0103】そして、コンタクトレンズ製造用型6を加
熱重合させると、レンズ原料80の重合収縮力によっ
て、雄型部材60が雌型部材70に引きつけられ、図1
0の(B)の状態になる。すなわち、肩部72がフッ素
系樹脂フィルム62の成形面62aと線接触し、この肩
部72によって、レンズ原料80がコンタクトレンズ8
1と過剰部分82とに分離される。
【0104】雄型部材60にフッ素系樹脂フィルム62
を沿わせる際には、フッ素系樹脂フィルム62を延伸さ
せる力を加えることで、フッ素系樹脂フィルム62に皺
を発生させないで配置でき、また「みかん肌」として知
られる微小な凸凹がある場合でもこれを軽減することも
できる。
【0105】さらに、重合収縮にともなうレンズ原料8
0の収縮力に引き付けられて、フッ素系樹脂フィルム6
2に皺が発生することも防止することができるので、よ
り好ましい。
【0106】また、雌型部材70に金属を用いる場合に
は、雌型成形面71に沿ってフッ素系樹脂フィルム62
を配置する必要があるが、この場合には、例えば金属製
の雌型部材70を複数の同心円状部材から構成し、嵌合
させた隙間を通して下方から吸引することで、フッ素系
樹脂フィルム62を確実に配置することができる。ある
いは、雌型成形面71に貫通する孔を複数形成し、これ
らの孔を介して吸引するようにしてもよい。次に、実施
例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)この実施例1では、図1および図2で示し
た第1の形態の具体的な処理および数値例を示す。
【0107】この実施例では、雄型部材11の基材を真
鍮製とし、雄型成形面11aを研磨し、その上に特定の
有機溶媒に可溶な市販の透明フッ素樹脂(商品名サイト
ップCTX−809 旭硝子(株)製)をスピンコート
法により塗布し、溶媒を150℃で8時間乾燥処理し
て、図1に示すような離型層13を設置した。また雌型
部材12の材質をポリプロピレンとし、射出成形法によ
り雌型部材12を製作した。
【0108】雄型部材11は、全体が外径8.8mmの
円筒形状に形成され、曲率半径8.00mmの凸球面状
の雄型成形面11aを有し、その周縁部には非可撓性の
肩部13を有している。一方、雌型部材12は、曲率半
径8.47mmの凹球面を有し、その球面部内径は、雄
型部材11が組合わされた時にレンズ原料14が溢れな
いようにするのに充分な大きさである。
【0109】レンズ原料14には、メチルメタクリレー
ト99重量部、エチレングリコールジメタクリレート1
重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部から
なる重合性モノマー混合物が使用され、これを雌型部材
12に100μl滴下した後、雄型部材11をギャップ
11が0.02mmの間隔となるように外部装置によっ
て保持した。
【0110】こうして準備されたコンタクトレンズ製造
用型1を、熱風循環式の恒温槽内に設置し、80℃で1
時間、100℃で3時間時間加熱した。この際、80℃
で1時間経過する間に、高さが0.03mm低くなるよ
うに雄型部材11を押し付けた。
【0111】加熱を終えたコンタクトレンズ製造用型1
を、室温まで冷却した後、軽い力を加えることで雄型部
材11側を重合収縮したレンズ原料14から剥離した。
重合して成形されたコンタクトレンズ14aと過剰重合
物14bは、雌型部材12に残り、工具を用いて雌型部
材12を撓ませることにより、コンタクトレンズ14a
と過剰重合物14bを分離させ、取り出すことができ
た。このとき、雄型部材11の離型層13の成形面13
aを20倍拡大鏡で観察したが、レンズ重合物の残痕は
認められなかった。
【0112】また、得られたコンタクトレンズ14aの
表面および内部には、ヒケやボイドもなく、エッジ部に
バリの発生もなかった。このコンタクトレンズ14aの
ベースカーブ(BC)は8.00mm、フロントカーブ
(FC)は8.45mmであり、レンズの中心肉厚(C
T)は0.16mm、サイズは8.8mmであった。ま
た屈折度は−3.00ディオプトリーで解像も良好であ
った。 (実施例2)この実施例2では、図8で示した第5の形
態の具体的な処理および数値例を示す。この実施例で
は、雄型部材30の基材を真鍮製とし、超精密CNC旋
盤で図8に示すような形状に加工し、雄型成形面31a
を研磨し、外周壁32より外側を粘着性テープで覆い、
さらに実施例1と同様の手順により離型層36を設置
し、その後テープを剥がして雄型部材30を用意した。
また、雌型部材40の材質をポリプロピレンとし、射出
成形法により200ショット成形し、ランダムに30個
抜き取り雌型部材40を用意した。
【0113】雄型部材30は、全体が外径11.8mm
の円筒形状に形成され、曲率半径7.60mmの凸球面
状の雄型成形面31aを有し、その周縁部には非可撓性
の肩部13を有している。一方、雌型部材40は、曲率
半径8.00±0.01mmの凹球面状の雌型成形面4
1aを有し、その内径は、雄型部材30が組合わされた
時にレンズ原料50が溢れないようにするのに充分な大
きさである。また、雌型部材40には、突き当て部45
よりも外側に薄肉部47を有している。
【0114】本実施例のレンズ原料50には、2ーヒド
ロキシエチルメタクリレート99.5重量部、エチレン
グリコールジメタクリレート0.5重量部、ジ−t−ブ
チルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート0.4重
量部からなる重合性モノマー混合物が使用され、これを
雌型部材20に100μl滴下した後、雄型部材30を
組合わせた。この際、雄型連結部34の下面34aと突
き当て部45とのギャップD18は0.03mmに設定さ
れ、また、肩部36bと雌型成形面41aとのギャップ
17は0.02mmに設定されている。
【0115】このように準備されたコンタクトレンズ製
造用型5の1組を恒温槽内に設置し、恒温槽内を窒素ガ
ス雰囲気に交換し80℃で1時間、100℃で2時間、
110℃で1時間加熱した。加熱を終えたコンタクトレ
ンズ製造用型5を室温まで冷却した後、重合収縮したコ
ンタクトレンズ51を取り出した。同様の方法を30回
繰り返しコンタクトレンズ51を30枚を製作し、その
後同時に膨潤処理してソフトコンタクトレンズを30枚
得た。
【0116】得られたソフトコンタクトレンズの表面お
よび内部には、ヒケやボイドもなく、エッジ部にバリの
発生もなかった。このレンズのベースカーブは8.40
±0.03mm、レンズの中心肉厚は0.10±0.0
03mm、サイズは13.8±0.03mmであった。
また屈折度は−3.00±0.06ディオプトリーで解
像も良好であり、含水率は38.0±0.3%であっ
た。
【0117】なお、30枚ともに軽い力で雄型部材30
から剥離し、コンタクトレンズ51は雌型部材40側に
残り、また離型層36には変化が見られなかった。 (比較例1)ここでは、図8の雄型部材30の材質を雌
型部材40と同じポリプロピレンとして、実施例2と比
較する。また、雌型部材40を、射出成形法により20
0ショット成形し、ランダムに30個抜き取って用意し
た。
【0118】雄型成形面31aの曲率半径は7.60±
0.01mmであり、雌型成形面41aの曲率半径は
8.00±0.01mmであった。ポリプロピレン製の
雌型部材40は、実施例2で成形した200ショット分
の残りから30個を抜き取り用意した。
【0119】このような2つの型部材を用いて、実施例
2と同様の型部材形状、重合製モノマー組成、重合条件
および操作を施して、ソフトコンタクトレンズを30枚
得た。
【0120】得られたソフトコンタクトレンズの表面お
よび内部には、ヒケやボイドもなく、エッジ部にバリの
発生もなかった。表1に結果を示すように、比較例1で
は、コンタクトレンズ製造用型5を開ける際、レンズが
雄型部材30側に残ったものが5枚発生した。また、実
施例2に比べて、BC、CT、偏肉および屈折度のバラ
ツキが大きく、重合度も低目であった。
【0121】
【表1】
【0122】ただし、表1において剥離とは、コンタク
トレンズ51を取り出す際に雄型部材30から剥離し、
コンタクトレンズ51が雌型部材40側に残った割合で
ある。
【0123】また、含水率とは、W1を膨潤処理後の飽
和含水時の重量、W2を飽和含水レンズの脱水乾燥時の
重量としたときに、(W1−W2)÷W1×100重量
%で表される値である。
【0124】さらに、重合率とは、W0を膨潤処理前の
乾燥重量としたときに、W2÷W0×100%で表され
る値である。 (実施例3)この実施例3では、実施例2と同様に、図
8で示した第5の形態の具体的な処理および数値例を示
す。この実施例3では、雄型部材30の基材を真鍮製と
し、超精密CNC旋盤で図8に示すような形状に加工
し、雄型成形面31aを研磨し、実施例2と同様に離型
層36を設置して、雄型部材30を用意した。一方、雌
型部材40には、エチレンービニルアルコール共重合体
(商品名 ソアライト日本合成化学工業(株)製)を材
質として、射出成形法により200ショット成形しラン
ダムに40個抜き取り、20個ずつの2群に分けた。
【0125】雄型成形面31aは、全体が外径8.8m
mの円筒形状であり、曲率半径8.00mmの凸球面を
有し、その周縁部には非可撓性の肩部36を有してい
る。一方、雌型成形面41aは、2つの群とも曲率半径
8.47±0.007mmの凹球面を有している。
【0126】第1群では、ギャップD18を0.03mm
とし、ギャップD17を0.02mmとなるように、ま
た、第2群では、ギャップD18を0.02mmとし、ギ
ャップD17も0.02mmとなるよう設定した。
【0127】そして、実施例1と同様の重合性モノマー
組成を用い、実施例1と同様の重合条件で窒素ガス雰囲
気で加熱した。加熱を終えたコンタクトレンズ製造用型
5を室温まで冷却した後、重合収縮して生成されたコン
タクトレンズ51を取り出した。同様の方法を40回繰
り返し、コンタクトレンズ51を40枚得た。
【0128】表2に結果を示すように、40枚のコンタ
クトレンズ51がすべて軽い力で雄型部材30から剥離
した。雌型部材40に残ったコンタクトレンズ51を取
り出し、得られたレンズ表面および内部には、ヒケやボ
イドはなかったが、第2群にはバリが5枚発生した。
【0129】
【表2】
【0130】(実施例4)この実施例4では、実施例2
と同様に、図8で示した第5の形態の具体的な処理およ
び数値例を示す。実施例2と異なる点は、重合処理条件
を変更したことである。雌型部材40は、実施例2で成
形した残りの分から30個抜き取り用意した。
【0131】まず、事前に120℃に加熱された恒温槽
内に、1組のコンタクトレンズ製造用型5を設置し、2
0分間加熱した後、冷却されるのを待たずにコンタクト
レンズ製造用型5を取り出し、雄型部材30から剥離し
た。雄型部材30は、引き続きレンズ原料50が滴下さ
れた2番目の雌型部材40と組合わされ、2組目のコン
タクトレンズ製造用型5として恒温槽内へ設置し、20
分間加熱した後冷却されないまま取り出され雄型部材3
0から剥離した。同様に、この一連の作業を30回繰り
返してコンタクトレンズ51を30枚製作し、その後同
時に膨潤処理してソフトコンタクトレンズ51を30枚
得た。
【0132】得られたソフトコンタクトレンズ51の表
面および内部には、ヒケやボイドもなく、エッジ部にバ
リの発生もなかった。このレンズのベースカーブは、
8.40±0.03mm、レンズの中心肉厚は0.10
±0.003mm、サイズは13.8±0.03mmで
あった。また,屈折度は−3.00±0.06ディオプ
トリーで解像も良好であり,含水率は38.0±0.3
%であった。
【0133】なお、30枚とも軽い力で雄型部材30か
ら剥離し、コンタクトレンズ51は雌型部材40側に残
り、また離型層36には変化が見られなかった。 (比較例2)ここでは、図8の雄型部材30の材質を雌
型部材40と同じポリプロピレンとして、実施例4と比
較する。雄型部材30は、比較例1で成形した残りの分
から30個抜き取り、雌型部材40は、実施例2で成形
した残りの分から30個抜き取り用意した。
【0134】そして、実施例4と同様に、1組ずつコン
タクトレンズ製造用型5を、事前に120℃に加熱され
た恒温槽内に設置し、20分間加熱した後、冷却される
のを待たずに取り出した。引き続き2番目のコンタクト
レンズ製造用型5を恒温槽内に設置するという一連の作
業を30回繰り返して、コンタクトレンズ51を30枚
製作した。この時乾燥状態のレンズは指へのベトツキ感
があった。
【0135】膨潤処理して得られたソフトコンタクトレ
ンズ51の表面は、実施例4と比べて少し粗い様子が観
察された。また表3に結果を示すように、比較例2で
は、コンタクトレンズ製造用型5を開ける際、コンタク
トレンズ51が雄型部材30側に残ったものが4枚発生
した。
【0136】
【表3】
【0137】また、実施例2に比べて、BC、CT、偏
肉および屈折度のバラツキが大きく、重合度も低目であ
った。 (実施例5)この実施例5では、図9で示した第6の形
態の具体的な処理および数値例を示す。ここでは、雄型
部材60の基材を真鍮製とし、超精密CNC旋盤で雄型
成形面61をカットし、図9に示すように、その上にフ
ッ素系樹脂フィルム62として、肉厚25μmの市販の
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチ
レン共重合体フィルム(商品名 トヨフロンPFA 東
レ(株)製)を、皺が発生しないように延伸しながら雄
型成形面61に沿わせて配置した。このとき、フッ素系
樹脂フィルム62の肉厚は、15μmまで減少してい
た。また、雌型部材70の材質をポリプロピレンとし、
射出成形法により雌型部材70を製作した。
【0138】雄型部材60は、外径14mmの円筒形状
であり、曲率半径7.60mmの凸球面を有している。
一方、雌型部材70の雌型成形面71は、球面部内径1
1.8mmで、曲率半径8.00mmの凹球面を有して
いる。雌型成形面71の周縁部には、非可撓性の肩部7
2が形成され、また、雄型部材60が組合わされたとき
に、レンズ原料80が外部に溢れないようにするための
外側壁73を有している。
【0139】本実施例においては、レンズ原料80とし
て、2ーヒドロキシエチルメタクリレート99.5重量
部、エチレングリコールジメタクリレート0.5重量
部、ジ−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボ
ネート0.4重量部からなる重合性モノマー混合物が使
用され、これを雌型部材70に100μl滴下した後、
実施例1と同様に,フッ素系樹脂フィルム62の成形面
62aと肩部72とのギャップが、0.02mmの間隔
となるように,雄型部材60外部装置によって保持す
る。そして、コンタクトレンズ製造用型6を恒温槽内に
設置し、80℃で1時間、100℃で2時間、110℃
で1時間加熱した。この際、80℃で1時間経過する間
に、高さが0.03mm低くなるよう雄型部材10を押
し付けた。
【0140】加熱を終えたコンタクトレンズ製造用型6
を室温まで冷却した後、軽い力を加えることで、雄型部
材60側から剥離した。重合したコンタクトレンズ81
と過剰重合物82は、雌型部材70に残る。そして、工
具を用いて雌型部材70を撓ませることにより、コンタ
クトレンズ81と過剰重合物82とを分離させて、取り
出すことができた。このとき、雄型部材60を20倍拡
大鏡で観察したが、レンズ重合物の残痕は認められなか
った。
【0141】次に、得られた乾燥状態のレンズを生理食
塩水中で膨潤処理し、ソフトコンタクトレンズとした。
得られたコンタクトレンズの表面および内部には、ヒケ
やボイドもなく、エッジ部にバリの発生もなかった。こ
のレンズのベースカーブは、8.40mm、レンズの中
心肉厚は0.10mm、サイズは13.8mmであっ
た。また、屈折度は−3.00ディオプトリーで解像も
良好であり、含水率は38%であった。 (実施例6)この実施例6では、図9および図10で示
した第6の形態の具体的な処理および数値例を示す。こ
こでは、フッ素系樹脂フィルム62に肉厚25μmのテ
トラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体フィルム(商品名 ネオフロンFEP ダイキン工
業(株)製)を用いたこと以外は、実施例5と同様の型
部材の組合せ、型部材形状、重合性モノマー組成、重合
条件および操作を施した。
【0142】得られたソフトコンタクトレンズ81の表
面および内部には、ヒケやボイドもなく、エッジ部にバ
リの発生もなかった。このレンズのベースカーブは8.
38mm、レンズの中心肉厚は0.10mm、サイズは
13.8(mm)であった。また、屈折度は−3.00
ディオプトリーで解像も良好であり、含水率は38%で
あった。
【0143】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、何れか
一方の型部材の型形成面に、重合されたコンタクトレン
ズを他方の型部材よりも剥離し易くするための離型層を
設けるようにしたので、重合終了後のレンズ重合物の取
り出しの際には、離型層側から先に剥離することがで
き、レンズ重合物を他方の型部材側に残すことができ
る。よって、選択的剥離が可能となる。
【0144】また、レンズ重合物を取り出す際、離型層
側は軽い力で剥離するので、その剥離面にレンズ痕跡が
残ることがない。このため、引き続き重合工程で離型層
側の型部材を反復使用でき、すなわち、一定寸法の型部
材を繰り返して使用できるので、コンタクトレンズ製造
用型の寸法精度、ひいてはコンタクトレンズの加工精度
が向上する。
【0145】さらに、離型層の設けられた型部材が反復
使用できることにより、一方の樹脂性の型部材側のみを
射出成形すればよく、射出成形機1台当たりの成形能力
が倍増し、製造効率の向上が図られる。
【0146】また、離型層の設けられる型部材を金属材
料で形成すれば、樹脂材料等と比べて熱膨張率を小さく
でき、温度変化に対する寸法変化を押さえることができ
る。また、超精密CNC旋盤で高精度に加工できるの
で、寸法精度が向上する。
【0147】さらに、離型層の設けられる型部材を金属
材料で形成することにより、樹脂材料等と比べて熱伝導
率が高くできる。これにより、大きな熱エネルギーを効
率良く伝えることができ、重合時間の短縮が図れ、製造
効率が向上する。
【0148】さらに、一方に金属、他方に樹脂を材質と
する型部材を用いることにより、金属は樹脂よりも硬く
非可撓性であり、またどちらか一方の型部材の成形面周
縁部に肩部を設け両型部材が線接触されるようにすれ
ば、重合時に強く接触できる。よって、レンズエッジ部
のバリや欠損が解消でき、後加工の必要がない。
【0149】さらにまた、離型層にフッ素系樹脂材料等
の密着力の小さい材料を用いれば、より多くの種類の樹
脂製型部材に対しても選択的に剥離を行うことができ
る。すなわち、樹脂製の型部材の材質選択の自由度が広
がる。加えて、レンズ重合物が両型部材に残ることを想
定せずに装置の自動化を図ることができ、装置構成も複
雑にならず、トラブル要因を少なくできる。
【0150】また、型部材の構造の中に、雄型部材を重
合収縮に追従して滑り係合させ、かつ所定の位置で停止
させる型部材移動機構部を設けることにより、レンズの
光学性能発現を妨げるヒケやボイドの解消、レンズの肉
厚の安定、偏肉の解消、ベースカーブ、度数等の安定を
計ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の形態のコンタクトレンズ製造用
型の構成を示す垂直断面図である。
【図2】本発明の第1の形態の重合完了時のコンタクト
レンズ製造用型の状態を示す図である。
【図3】本発明の第2の形態のコンタクトレンズ製造用
型の構成を示す垂直断面図である。
【図4】本発明の第2の形態の重合完了時のコンタクト
レンズ製造用型の状態を示す図である。
【図5】本発明の第3の形態のコンタクトレンズ製造用
型の構成を示す垂直断面図である。
【図6】本発明の第3の形態のコンタクトレンズ製造用
型の動作を示す図であり、(A)は重合収縮前の状態を
示す図、(B)重合収縮後の状態を示す図である。
【図7】本発明の第4の形態のコンタクトレンズ製造用
型の構成を示す垂直断面図であり、(A)は重合収縮前
の状態を示す図、(B)重合収縮後の状態を示す図であ
る。
【図8】本発明の第5の形態のコンタクトレンズ製造用
型の構成を示す垂直断面図であり、(A)は重合収縮前
の状態を示す図、(B)重合収縮後の状態を示す図であ
る。
【図9】本発明の第6の形態の構成および処理手順を示
す図であり、(A)は第1のステップを示す図、(B)
は第2のステップを示す図である。
【図10】本発明の第6の形態の構成および処理手順を
示す図であり、(A)は第3のステップを示す図、
(B)は第4のステップを示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6 コンタクトレンズ製造用型 11 雄型部材 11a 雄型成形面 12 雌型部材 12a 雌型成形面 13 離型層 13a 肩部 14 レンズ原料

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性モノマー混合物を重合させてコン
    タクトレンズを製造するためのコンタクトレンズ製造用
    型において、 前記コンタクトレンズの凹面を形成する雄型部材と、前
    記コンタクトレンズの凸面を形成する雌型部材とを有
    し、前記何れか一方の型部材の型形成面には、前記重合
    されたコンタクトレンズを他方の型部材よりも剥離し易
    くするための離型層が形成されていることを特徴とする
    コンタクトレンズ製造用型。
  2. 【請求項2】 前記他方の型部材は樹脂で形成され、一
    方、前記離型層が形成された型部材は前記樹脂よりも硬
    質の材料で形成されていることを特徴とする請求項1記
    載のコンタクトレンズ製造用型。
  3. 【請求項3】 前記硬質材料は、金属であることを特徴
    とする請求項2記載のコンタクトレンズ製造用型。
  4. 【請求項4】 前記雄型部材および前記雌型部材の何れ
    か一方の成形面周縁部には、他方の型部材の成形面に線
    接触可能な肩部が形成されていることを特徴とする請求
    項1記載のコンタクトレンズ製造用型。
  5. 【請求項5】 前記離型層は、フッ素系樹脂で形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレン
    ズ製造用型。
  6. 【請求項6】 前記雄型部材を、重合収縮に追従して滑
    り係合させ、かつ所定の位置で停止させる型部材移動機
    構部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の
    コンタクトレンズ製造用型。
  7. 【請求項7】 重合性モノマー混合物を重合させてコン
    タクトレンズを製造するためのコンタクトレンズ製造方
    法において、 前記コンタクトレンズの凹面を形成する雄型部材と、前
    記コンタクトレンズの凸面を形成する雌型部材との何れ
    か一方の型部材の型形成面に、重合後のコンタクトレン
    ズを他方の型部材よりも剥離し易くするための離型層を
    形成し、前記離型層と前記他方の型部材との間で前記重
    合性モノマー混合物を重合させることを特徴とするコン
    タクトレンズ製造方法。
  8. 【請求項8】 重合性モノマー混合物を重合させてコン
    タクトレンズを製造するためのコンタクトレンズ製造方
    法において、 前記コンタクトレンズの凹面を形成する雄型部材と、前
    記コンタクトレンズの凸面を形成する雌型部材との何れ
    か一方の型部材の型形成面に、重合後のコンタクトレン
    ズを他方の型部材よりも剥離し易くするためのフィルム
    状の離型部材を装着し、前記離型層と前記他方の型部材
    との間で前記重合性モノマー混合物を重合させることを
    特徴とするコンタクトレンズ製造方法。
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