JPH10104243A - 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー

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JPH10104243A
JPH10104243A JP25483896A JP25483896A JPH10104243A JP H10104243 A JPH10104243 A JP H10104243A JP 25483896 A JP25483896 A JP 25483896A JP 25483896 A JP25483896 A JP 25483896A JP H10104243 A JPH10104243 A JP H10104243A
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JP
Japan
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probe
tip
cantilever
snom
microscope
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JP25483896A
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Katsuhiro Matsuyama
克宏 松山
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い横方向分解能のAFM測定とSNOM測定
と、高精度のエバネッセント波検出とを実現する走査型
プローブ顕微鏡用カンチレバーを提供する。 【解決手段】カンチレバー100は、支持部106と、
支持部106から延出した三角形状のレバー部104
と、レバー部104の先端に形成された探針部102を
有している。探針102は、三角錐の側面が内側に湾曲
した疑似三角錐形状を有しており、側面の傾斜は先端に
近いほど大きい。探針部102は、その先端近傍のみが
アルミニウム製の反射膜108によって被覆されてい
る。反射膜108は、例えば、探針先端から100nm
の範囲を覆っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡用のカンチレバーに関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanni
ng Probe Microscope )はプローブ(探針)を用いて試
料表面の微細形状を原子レベルの分解能で観察する装置
の総称であり、その代表的な走査型トンネル顕微鏡(S
TM:Scanning Tunneling Microscope )や原子間力顕
微鏡(AFM:Atomic Force Microscope )は既に広く
知られている。
【0003】走査型トンネル顕微鏡(STM)は、導電
性の試料の表面の凹凸を三次元的な像として観察できる
装置であり、鋭く尖った導電性の探針を有しており、導
電性探針と導電性試料の間にバイアス電圧を印加し、探
針と試料に極めて近づけた際に探針と試料の間に流れる
トンネル電流を検出し、このトンネル電流を一定に保つ
ように探針と試料の間隔を制御しながら探針を試料表面
に対して平行に走査する。卜ンネル電流は、探針と試料
の間隔に依存して指数関数的に変化するため、探針と試
料の間隔の微小な変化に対して大きく変化する。従っ
て、トンネル電流の変化に基づいて制御される探針の高
さ情報は非常に高い精度を有し、試料表面の像は試料表
面に対する探針の高さ情報と位置情報とから形成され、
これは原子レベルの分解能を有する。
【0004】原子間力顕微鏡(AFM)は、走査型トン
ネル顕微鏡(STM)では測定できない絶縁性試料の表
面の凹凸を三次元的な像として観察できる装置であり、
鋭く尖った探針を自由端に設けた柔軟なカンチレバーを
有しており、探針と試料を極めて近づけた際に探針先端
と試料表面の間に働く相互作用力(原子間力や静電気力
など)により生じるカンチレバーの自由端の変位を測定
し、この変位を一定に保つように探針と試料の間隔を制
御しながら探針を試料表面に対して平行に走査する。原
子間力は、探針と試料の間隔の微小な変化に対しても大
きく変化する。従って、原子間力の変化に基づいて制御
される探針の高さ情報は非常に高い精度を有し、試料表
面の像は試料表面に対する探針の高さ情報と位置情報と
から形成され、これは原子レベルの分解能を有する。
【0005】また、1980年代後半以降、近視野顕微
鏡(SNOM:Scanning NearfieldOptical Microscope
)と呼ばれる光学顕微鏡が提案されている。これは、
走査型プローブ顕微鏡(SPM)の一つとして位置づけ
られ、エバネッセント波と呼ばれる自由空間を伝搬しな
い局在電磁場を利用して光の回折限界を超える分解能を
実現している。近視野顕微鏡(SNOM)は、エバネッ
セント波の検出の仕方によっていくつかの方式に分類さ
れ、それらはそれぞれコレクション方式、散乱方式、エ
ミッション方式と呼ばれている。
【0006】コレクション方式のSNOMは、試料に光
を下側から照射して試料の表面近傍にエバネッセント波
を発生させ、先端に光学開口を有するプローブをエバネ
ッセント波の局在領域に挿入してエバネッセント波を伝
搬光に変換し、光学開口を通ってプローブ内に進入した
伝搬光を光検出器で検出し、検出される伝搬光の強度を
一定に保つようにプローブと試料の間隔を制御しながら
プローブを試料表面に平行に走査し、試料表面に対する
プローブの高さ情報と位置情報とに基づいてSNOM像
を形成する。
【0007】エミッション方式のSNOMは、先端に微
小な光学開口を持つプローブ内に光を導入して先端の光
学開口の近傍にエバネッセント波を発生させ、プローブ
を試料表面に極めて接近させてエバネッセント波を試料
に接触させて伝搬光に変換し、試料を透過した伝搬光を
光検出器で検出し、検出される伝搬光の強度を一定に保
つようにプローブと試料の間隔を制御しながらプローブ
を試料表面に平行に走査し、試料表面に対するプローブ
の高さ情報と位置情報とに基づいてSNOM像を形成す
る。エミッション方式のSNOMの一例は特開平4−2
91310号(AT&T, R. E. Betzig)に開示されてい
る。
【0008】散乱方式のSNOMは、試料に光を下側か
ら照射して試料の表面近傍にエバネッセント波を発生さ
せ、金属製のプローブをエバネッセント波の局在領域に
挿入してエバネッセント波を散乱して伝搬光(散乱光)
に変換し、散乱光を光検出器で検出し、検出される伝搬
光の強度を一定に保つようにプローブと試料の間隔を制
御しながらプローブを試料表面に平行に走査し、試料表
面に対するプローブの高さ情報と位置情報とに基づいて
SNOM像を形成する。散乱方式のSNOMの一例は特
開平6−137847号に開示されている。
【0009】散乱方式のSNOMは、コレクション方式
やエミッション方式のSNOMと異なり、探針は先端に
光学開口を備えている必要がないという利点を有してい
る。最近では、AFM用のカンチレバーを用いてSNO
M測定とAFM測定を同時に行なう近視野顕微鏡(SN
OM)がファンフルスト(N. F. van Hulst )らにより
提案されている。このSNOMの一例は「窒化シリコン
製カンチレバーを用いた近視野顕微鏡」(N. F. van Hu
lst, M. H. P. Moers, O. F. J. Noordman,R. G. Tack,
F. B. Segerink and B. Bolger, "Near-field optical
microscopeusing a silicon-nilride probe", Appl. P
hys. Lett. 62, 461-463, (1993))に開示されている。
【0010】このSNOMには「原子間力顕微鏡用のカ
ンチレバー形状のミクロ成形加工」(Thomas R. Albrec
ht, "Microfabrication of cantilever styli for the
atomic force microscope", J. Vac. Sci. Technol A8
(4) 3386 1990 )に記載されている窒化シリコン膜製の
カンチレバーが使用されている。このカンチレバーを用
いたファンフルスト(N. F. van Hulst )らのSNOM
では、試料に光を下側から照射して試料の表面近傍にエ
バネッセント波を発生させ、探針をエバネッセント波の
局在領域に挿入してエバネッセント波を伝搬光に変換
し、探針先端から入射した伝搬光を探針の上方に配置し
たフォトディテクター等の光検出器で検出している。従
って、このSNOMは、AFMとコレクション方式のS
NOMとを組み合わせた走査型プローブ顕微鏡(SP
M)と言える。
【0011】これとは別に、AFMと散乱方式のSNO
Mとを組み合わせた走査型プローブ顕微鏡(SPM)も
提案されている。このSPMも、上のSPMと同様に、
AFM用のカンチレバーを用いてSNOM測定とAFM
測定を同時に行なう。このSNOMの一例は特公平2−
300709号に開示されている。
【0012】カンチレバーを用いた散乱方式のSNOM
においては、AFM測定とSNOM測定の横方向の高い
分解能を得るため、探針は極先端のみが光を散乱させる
形状が望ましく、理想的にはレイリー散乱を実現するも
のが望ましい。また、カンチレバーは、探針先端で散乱
された光が光検出器に多く入射するように、散乱光を遮
ることの少ない形状であることが望ましい。
【0013】このような理由から、このSNOMでは、
レバー部の先端に三角錐形状の探針を備えるシリコン製
のカンチレバー(いわゆるテトラヘドラルタイプカンチ
レバー)が使用されている。このカンチレバーは、半導
体プロセスを利用して製造され、三角錐形状の探針はセ
ルフアライメント作用によりレバー部の先端に形成さ
れ、この探針は熱酸化処理により尖鋭化されており、非
常に高いアスペクト比を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】散乱方式のSNOMに
おいては、より尖鋭な探針の使用は、より高い横方向の
分解能を実現するが、その反面、探針が光を散乱し得る
領域を減少させる。これは、検出される散乱光の強度を
低下させ、光検出器のS/Nの低下を招く。
【0015】従って、散乱方式のSNOMにおいては、
先端の曲率半径が小さく、高いアスペクト比を有し、し
かも光の吸収が少なく、光の散乱効率の高い探針が望ま
れている。さらに付け加えれば、先端のみが光を散乱す
る探針が望まれている。
【0016】また、カンチレバーを使用する散乱方式の
SNOMにおいては、カンチレバーは散乱光を遮ること
の少ない形状であることが望まれている。前述のシリコ
ン製のテトラヘドラルタイプのカンチレバーは、レバー
部と探針の形状の面では申し分ないが、光の吸収率や散
乱効率、更には光を散乱する部位の特定に関しては、改
良の余地がある。
【0017】本発明の目的は、AFMと散乱方式のSN
OMを組み合わせた走査型プローブ顕微鏡用のカンチレ
バーであって、高い横方向分解能でのAFM測定とSN
OM測定と、高感度のエバネッセント波検出とを実現す
る走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーを提供すること
である。
【0018】別の言い方をすれば、レバー部とその先端
に設けられた探針とを有するカンチレバーであって、探
針は高いアスペクト比を有し、その先端は曲率半径が小
さく、光の吸収が少なく、光の散乱効率が高く、レバー
部は探針の先端で散乱された光を遮ることが少ない形状
をしている、カンチレバーを提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の走査型プローブ
顕微鏡用カンチレバーは、支持部と、支持部から延出し
たレバー部と、レバー部の先端に形成された三角錐形状
の探針と、探針の先端を被覆する電磁場反射膜とを備え
ている。
【0020】走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーは、
好適には、電磁場反射膜が球形である。本発明の走査型
プローブ顕微鏡用カンチレバーでは、探針先端部に反射
膜が形成されている。このため探針先端部での光の散乱
効率が高くなる。従って、エバネッセント波は探針先端
によって効率良く散乱光に変換される。その結果、高精
度の散乱方式のSNOM測定が可能となる。
【0021】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーでは、先端が鋭い三角錐形状の探針に反射膜を形成
している。このため、反射膜形成による曲率半径の増大
も最小限に抑えられており、探針先端のアスペクト比は
高い値に保たれている。従って、高分解能のAFM測定
とSNOM測定が可能となる。
【0022】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーでは、探針の三つの側面のうちの一つの側面の底辺
からレバー部が延出しており、他の二つの側面の底辺側
にはレバー部は存在していない。このため、レバー部に
よって遮られる散乱光は、探針を基準にして支持部側に
放射される分だけである。従って、散乱光は探針周辺に
配置した光検出器によって効率良く検出され得る。この
結果、高精度の散乱方式のSNOM測定が可能となる。
【0023】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーでは、探針の極先端に球形の微小な反射膜を設けて
いる。このため、エバネッセント波は、レイリー散乱を
起こす領域のエバネッセント波だけが探針の極先端の反
射膜によって散乱光に変換され、あたかも探針の極先端
のみに散乱源があるような散乱光が発生する。従って、
測定試料表面の極近傍に存在するエバネッセント波の散
乱光のみの検出が可能となり、その結果、高分解能のS
NOM測定が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例について詳細に説明する。まず、第一実施形態の走
査型プローブ顕微鏡用カンチレバーについて説明する。
図1の(a)は、第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡
用のカンチレバーの全体を示す斜視図であり、図1の
(b)は、このカンチレバーの探針部の拡大断面図であ
る。
【0025】カンチレバー100は、図1の(a)に示
されるように、支持部106と、支持部106から延出
した三角形状のレバー部104と、レバー部104の先
端に形成された探針部102を有している。探針102
は、三角錐の側面が内側に湾曲した疑似三角錐形状を有
しており、側面の傾斜は先端に近いほど大きい。
【0026】探針部102は、図1の(b)に示される
ように、その先端近傍のみがアルミニウム製の反射膜1
08によって被覆されている。反射膜108は、例え
ば、探針先端から100nmの範囲を覆っている。
【0027】図2は、図1に示したカンチレバーの製造
方法を概略的に示す図である。カンチレバー100は次
の様にして作製される。まず、図2の(a)に示すよう
に、中間酸化膜204を間に挟んで第一のシリコン基板
202と第二のシリコン基板206が貼り合わされたS
OI(SiliconOn Insulalor)基板208を用意する。
SOI基板208は、面方位(100)の単結晶シリコ
ンからなる第一のシリコン基板202の上面に中間酸化
シリコン膜204を形成し、その上に面方位(100)
の単結晶シリコンからなる第二のシリコン基板206を
貼り合わせて作製される。例えば、第一のシリコン基板
202の厚さは500μm、中間酸化シリコン膜204
の厚さは1μm、第二のシリコン基板206の厚さは2
0μmである。
【0028】次に、図2の(b)に示すように、フォト
リソグラフィ処理とエッチング処理により、第二のシリ
コン基板206の上面に段差230を形成する。段差2
30は、探針102の先端に反射膜108を蒸着により
形成する後述の工程におけるマスクの高さ調整のための
ものである。
【0029】続いて、図2の(c)に示すように、第一
のシリコン基板202の下面に、後述する支持部を形成
するエッチングの際にマスクとなるエッチングマスク2
10を形成する。このエッチングマスク210は、第一
のシリコン基板202の下面全体に酸化シリコン膜や窒
化シリコン膜等の絶縁膜を形成し、これを所定の形状に
パターニングして形成される。
【0030】また、フォトリソグラフィ処理とドライエ
ッチング処理により、SOI基板208の中間酸化シリ
コン膜204が露出するまで、第二のシリコン基板20
6を選択的に除去して、図4の(a)に示す開口を形成
する。この開口は、後にレバー部104となる三角形状
のレバーベース部211と、図2の(b)で形成した段
差230を挟んでレバーベース部211の反対側に位置
する、後に反射膜形成時のマスクとなるマスクベース部
213の輪郭を定める。レバーベース部211の向き
は、その頂角の二等分線が<110>方向に一致するよ
うに選ばれる。続いて、第二のシリコン基板206に開
けた開口の側壁面に酸化シリコン製の壁212を形成す
る。この酸化シリコン壁212は、後述する探針ベース
部とマスクを形成するためのものである。
【0031】その後、図2の(d)と図4の(b)に示
すように、第二のシリコン基板206を湿式異方性エッ
チング処理して、後に探針部102となる三角錐形状の
探針べース部214と三角形状のプレレバー部216と
を形成すると共に、反射膜形成のための蒸着時にマスク
として作用する三角柱形状の突起部250とこれを支持
する矩形状の突起部支持レバー部252を形成する。
【0032】この湿式異方性エッチングは、例えば、所
定の濃度の水酸化カリウム水溶液(KOH)、テトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、エ
チレンジアミン・ピロカテコール・アンド・ウォーター
(EDPあるいはEPW)を用いて行なう。
【0033】単結晶シリコンの湿式異方性エッチング処
理では、シリコン基板の(100)面に比べて(11
1)面の方がエッチングされ難いため、第二のシリコン
基板206は酸化シリコン壁212に挟まれた部分が
(111)面を露出するようにエッチングされる。この
結果、レバーベース部211の頂角周辺では、鋭角に交
差する酸化シリコン壁の二面と(111)面とで囲まれ
る三角錐形状に残り、探針ベース部214が形成され
る。この探針ベース部214は、後に熱酸化により尖鋭
化処理されて探針部102となる。また、マスクベース
部213の端部周辺では、これを囲む酸化シリコン壁2
12の三面と(111)面とで囲まれる三角柱形状に残
り、反射膜形成時にマスクとして作用する突起部250
となる。
【0034】次に、図2の(e)に示すように、残って
いるシリコンの表面に酸化シリコン膜を形成する。この
酸化シリコン膜218は、熱拡散炉などで900乃至1
000℃、好ましくは950℃の温度でシリコン表面を
酸化して形成する。この熱酸化による酸化シリコン膜2
18の形成は、三角形状のプレレバー部216を、設計
値通りの厚さのレバー部104に変えるとともに、三角
錐形状の探針ベース部214を、側面が内側に湾曲した
疑似三角錐形状の尖鋭化された探針部102に変える。
【0035】次に、図2の(f)に示すように、エッチ
ングマスク210をマスクにして第一のシリコン基板2
02を下面から湿式異方性エッチング処理して支持部1
06を形成した後、フッ化水素水溶液等を用いて、中間
酸化シリコン膜204の露出部分と、酸化シリコン膜の
壁212と酸化シリコン膜218の全部を除去する。酸
化シリコン膜の除去は、単結晶シリコン製の尖鋭化され
た探針部102を有するカンチレバー104と、先端に
三角柱形状の突起部250を有する矩形状のマスク用レ
バー254とを露出させる。
【0036】次に、図3に示すように、このようにして
作製した構造体に対して、アルミニウムをレバー部10
4の面に対して斜めにマスク用レバー254側から探針
102に向けて飛翔させて蒸着を行なう。この蒸着で
は、マスク用レバー254の先端に存在する突起部25
0が探針102の先端近傍以外の部分に向かうアルミニ
ウムを遮るため、アルミニウムは蒸着源から見てマスク
用の突起部250から露出している探針102の先端近
傍にのみ付着する。この結果、探針102の先端近傍の
みを被覆する反射膜108が形成される。
【0037】このとき、マスク用の突起部250から露
出する探針102の先端の領域は、蒸着材料(アルミニ
ウム)の飛翔の方向とレバー部の面とで決まる仰角θ
と、探針102と突起部250の間隔、探針102と突
起部250の高さの差によって決まる。ここで、探針1
02と突起部250の高さの差は、図2の(b)で形成
した段差230の高さによって決まる。
【0038】以上の製造プロセスにより、図1に示した
ように、尖鋭化された探針102の先端近傍に反射膜1
08を有する単結晶シリコン製のカンチレバー100が
作製される。なお、この製造プロセスの後に、レバー部
104の探針部102の反対側の面に、レバー部の変位
を測定する変位測定光学系に対して良好な反射を与える
反射膜として作用する金属膜等を設けてもよい。
【0039】エバネッセント波の局在領域に対する探針
102の先端の進入は、局在波であるエバネッセント波
を伝搬波である散乱光に変換する。探針102の先端に
設けられたアルミニウム製の反射膜108は90%を越
える高い反射率を有しているため、探針102の先端の
反射膜108によってエバネッセント波から変換された
散乱光は、探針102の内部に殆ど進入することなく、
探針102の周りの空間に放射される。つまり、先端が
反射膜108で覆われている探針102は、局在電磁場
であるエバネッセント波を効率良く散乱光に変換する。
【0040】反射膜108は探針102に先端から所定
の範囲だけに設けられている。このため、エバネッセン
ト波はその殆どは反射膜108により殆ど損失なく散乱
光に変換される。一方、探針102の反射膜108で覆
われていない部分で散乱された長波長の光、例えばエバ
ネッセント波を励起させるための光の散乱光は、探針1
02の反射膜108で覆われていない露出しているシリ
コンにある割合で吸収される。このため、この部分によ
る散乱光の強度は、反射膜108による散乱光の強度に
比べて微弱である。
【0041】また、図1(a)に示すように、レバー部
104は、探針102を支持する自由端に近いほど幅が
狭くなる三角形状をしている。このため、探針102の
先端からの散乱光をレバー部104が遮断する範囲は、
わずかに探針頂点に対して支持部側にあたる一部だけで
ある。従って、大部分の散乱光は光検出器で検出可能で
ある。
【0042】以上より、本実施形態の走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーによれば、エバネッセント波は探針
102の先端の反射膜108によって効率良く散乱光に
変換される。つまり、探針102の先端の反射膜108
により発生された散乱光は探針内部に殆ど吸収されるこ
となく周りの空間に放射される。このため、探針102
の先端すなわち反射膜108による散乱効率が向上す
る。また、探針102の反射膜以外の部分すなわちシリ
コンの露出している部分により発生された散乱光は相当
な量が探針内部に吸収される。このため、シリコンの露
出部分により発生される散乱光の強度は、反射膜108
により発生される散乱光の強度に比べて非常に小さい。
従って、探針102の周辺に配置した光検出器で検出さ
れる散乱光は、その殆どが探針102の先端すなわち反
射膜108で散乱されたものとなる。これは、エバネッ
セント波の検出感度を高め、SNOM測定の精度を向上
させる。
【0043】また、探針102はレバー部104の先端
に位置しており、レバー部104は支持部106の側を
除いては探針102から全く突出していないので、レバ
ー部104が遮る散乱光は少なく抑えてられている。こ
れは、エバネッセント波の検出感度の向上、すなわちS
NOM測定の精度の向上に貢献している。
【0044】さらに、探針102は側面が内側に湾曲し
た疑似三角錐形状に尖鋭化されているため、探針先端の
アスペクト比が高く、反射膜形成による探針先端の曲率
半径の増大は最小限に抑えられている。従って、高分解
能のAFM測定とSNOM測定が可能である。
【0045】本実施形態の製造方法によれば、微細加工
技術である半導体IC製造技術を利用して探針形成と同
時に反射膜形成用マスクを形成しているので、マスクは
サブミクロンオーダー以下の精度で形成され、従って、
反射膜108は数十nm以下の精度で探針102の先端
部に形成される。しかも、半導体IC製造技術は大量生
産に適しており、このような探針102を有するカンチ
レバー100が大量かつ安定に作製できる。
【0046】また、反射膜108を設ける探針先端部の
領域は、反射膜形成時の蒸着源の仰角θと、探針102
とマスキング用突起250の間隔と、探針102とマス
キング用突起250の高さの差とで決まるため、探針1
02の先端部の任意の領域に反射膜108を有するカン
チレバー100を作製できる。
【0047】本実施形態の走査型プローブ顕微鏡用カン
チレバーは、三角形状のレバー部104を有している
が、他の形状のレバー部、例えば、図6に示すように、
ほぼ矩形状のレバー部112を有していてもよい。
【0048】また、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡
用カンチレバーにおいては、反射膜108はアルミニウ
ムの蒸着膜であるが、吸収が少なく反射率が高い薄膜で
あれば如何なる材料の薄膜でもかまわない。
【0049】また、本実施形態の製造方法においては、
探針先端部の反射膜形成用のマスキング用突起250を
形成するための段差は、マスキング用突起250の高さ
が探針102の高さより低くなるように設けている。マ
スキング用突起250と探針102の高さの関係は、反
射膜108の形成領域と、蒸着源の仰角θと、探針10
2とマスキング用突起250の間隔とにより決まる。作
製後のカンチレバー100のウェハーからの切り出しを
考慮すると、探針102とマスキング用突起150の間
隔を可能な限り広く設定することが好ましく、この場合
にはこれに応じてマスキング用突起250の高さは探針
102よりも高く設定される。また、マスキング用突起
250の高さを探針102よりも高くすることは、蒸着
源の仰角θを大きく設定することを可能にする。大きな
仰角θの設定は、一枚のウェハーの中の各探針と蒸着源
の間の距離のばらつきを減らし、形成される反射膜10
8の膜厚のばらつきを少なくする。
【0050】続いて、本発明の第二実施形態の走査型プ
ローブ顕微鏡用カンチレバーについて図5を用いて説明
する。本実施形態は、第一実施形態のカンチレバーに改
良を施したものである。図5の(a)は第一実施形態の
カンチレバーの探針の先端部を示し、図5の(b)は改
良を施した後の第二実施形態のカンチレバーの探針の先
端部を示している。
【0051】図5の(a)に示すように、探針102の
先端部に反射膜108が形成されたカンチレバーを探針
102が下を向くように配置し、反射膜108あるいは
カンチレバー全体を加熱する。加熱温度は、反射膜10
8の融点よりも高く、探針102の素材であるシリコン
の融点よりも低い温度が選ばれる。
【0052】加熱によって、探針102の先端に設けら
れた反射膜108は、表面張力のために、図5の(b)
に示すように、探針102の極先端に位置する微小な球
形の反射膜110に変わる。
【0053】本実施形態の走査型プローブ顕微鏡用カン
チレバーは、探針102の極先端に球形の微小な反射膜
110が形成されているので、球形の反射膜110によ
るエバネッセント波の散乱はレイリー散乱と見なすこと
ができる。従って、測定試料表面の極近傍に存在するエ
バネッセント波が変換された散乱光のみを検出すること
ができる。従って、SNOM測定を高分解能で行なえる
ようになる。
【0054】本実施形態において、反射膜108を微小
な球形の反射膜110に変形させる方法としては、アニ
ーリング装置を用いてアルゴン等の不活性ガス中や真空
中で大量のカンチレバーを加熱して大量のカンチレバー
の反射膜を同時に変形させる方法や、レーザー光等を用
いて探針先端の反射膜近辺、好ましくは反射膜のみを加
熱してカンチレバーの反射膜を個別に変形させる方法な
どが挙げられる。
【0055】
【発明の効果】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチ
レバーによれば、探針先端部での局在電磁場であるエバ
ネッセント波の散乱効率が高くなるため、エバネッセン
ト波の検出感度すなわち散乱方式のSNOM測定の測定
精度が向上する。
【0056】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーによれば、探針がレバー部の先端に位置しているの
で、レバー部によって遮られる散乱光が少ない。これに
より、探針周辺部に配置した光検出器により散乱光を効
率良く検出できるようになり、散乱方式のSNOM測定
の測定精度が向上する。
【0057】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーによれば、反射膜は疑似三角錐形状の尖鋭な探針の
先端部に形成されるので、反射膜形成による探針の曲率
半径の増大は最小限に抑えられ、探針先端のアスペクト
比は高い値に維持される。この結果、AFM測定とSN
OM測定を高分解能で行なえる。
【0058】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーによれば、探針の極先端に球形の微小な反射膜が設
けられており、球形の反射膜によるエバネッセント波の
散乱はレイリー散乱と見なせるので、測定試料表面の極
近傍に存在するエバネッセント波が変換された散乱光の
みを検出することができる。従って、SNOM測定を高
分解能で行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡
用のカンチレバーの全体を示す斜視図であり、(b)は
このカンチレバーの探針部の拡大断面図である。
【図2】図2は、図1に示したカンチレバーの製造方法
を概略的に示す図である。
【図3】図2に示す工程を経て作製された構造体に対し
てアルミニウムを斜めに飛翔させて蒸着する工程を示す
図である。
【図4】(a)は図2の(c)に示した構造体の上面図
であり、(b)は図2の(d)に示した構造体の上面図
である。
【図5】(a)は第一実施形態のカンチレバーの探針の
先端部を示し、(b)は図5の(a)の探針に改良を施
した第二実施形態のカンチレバーの探針の先端部を示し
ている。
【図6】本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー
の変形例である、ほぼ矩形状のレバー部を有するカンチ
レバーを示している。
【符号の説明】
100 カンチレバー100 102 探針 104 レバー部 106 支持部 108 反射膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月5日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 走査型プローブ顕微鏡用カンチ
レバー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持部と、 支持部から延出したレバー部と、 レバー部の先端に形成された三角錐形状の探針と、 探針の先端を被覆する電磁場反射膜とを備えている走査
    型プローブ顕微鏡用カンチレバー。
  2. 【請求項2】請求項1において、電磁場反射膜が球形で
    ある走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー。
JP25483896A 1996-09-26 1996-09-26 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー Withdrawn JPH10104243A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030013235A (ko) * 2001-08-06 2003-02-14 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 주사형 프로브 현미경
JP2009156601A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Institute Of Physical & Chemical Research 散乱型近接場顕微鏡用プローブの製造方法

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KR20030013235A (ko) * 2001-08-06 2003-02-14 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 주사형 프로브 현미경
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