JPH10100175A - 繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法

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JPH10100175A
JPH10100175A JP25433496A JP25433496A JPH10100175A JP H10100175 A JPH10100175 A JP H10100175A JP 25433496 A JP25433496 A JP 25433496A JP 25433496 A JP25433496 A JP 25433496A JP H10100175 A JPH10100175 A JP H10100175A
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mold
thermoplastic resin
fiber
reinforced thermoplastic
sheet
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JP25433496A
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English (en)
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Satoru Funakoshi
覚 船越
Hideo Nishino
秀夫 西野
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Tokai Chemical Industries Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Tokai Chemical Industries Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】外観の良好な開口穴を有する繊維強化熱可塑性
樹脂成形体を、後加工を行うことなく、予熱シートを原
料とし、これをプレスし、成形と同時に開口穴を形成せ
しめる。 【解決手段】開口穴を形成せしめるための金型部材を有
する雌雄一対からなる金型を使用し、いずれか一方の金
型のキャビティ面に、樹脂の溶融温度以上に予熱して軟
化状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シートを配置し、次
いで両金型を閉じて型締を行い、その後冷却する開口穴
を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法であっ
て、成形体の開口穴に対応する開口部を予め設けてなる
予熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シート
を、該シートの開口部が上記金型部材に対応するように
金型キャビティ面に供給し、該シートを押し広げなが
ら、シートの厚み以下に型締して開口穴を有する繊維強
化熱可塑性樹脂成形体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開口穴を有する繊
維強化熱可塑性樹脂成形体の改良された製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、強化繊維で補強された繊維強
化熱可塑性樹脂成形体はよく知られており、その製造法
としても、マトリックスである熱可塑性樹脂の溶融温度
以上に予備加熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑性樹
脂シートをシート形状を保ちながら雌雄一対からなる金
型間に供給し、次いでプレス成形して所望の形状の繊維
強化熱可塑性樹脂成形体を製造する方法がよく知られて
いる。また、繊維強化熱可塑性樹脂成形体として、該成
形体の一部に開口穴を有する成形体もよく知られてい
る。
【0003】このような開口穴を有する繊維強化熱可塑
性樹脂成形体の製造法としては、たとえば先に述べたよ
うな、マトリックスである熱可塑性樹脂の溶融温度以上
に予備加熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シ
ート(予熱シート)を使用して、開口穴を有しない繊維
強化熱可塑性樹脂成形体を予め製造し、これを後加工、
例えば所定の形状にくり抜き切断して開口穴を設ける方
法が知られている。しかし、この方法は、工程数が多い
ために生産性に劣るという問題があり、また、開口穴の
側壁面が該成形体の平面部よりも突き出したリング状の
縦壁部を有するような場合にはその製造が極めて困難で
あったり、リング状の縦壁部の高さが長いような場合に
は、この後加工法では実際上工業的には製造できないと
いう問題があった。
【0004】このため、繊維強化熱可塑性樹脂シートを
原料とする方法において、後加工を行うことなく、成形
と同時に開口穴を形成する方法も検討されている。この
方法による場合には、製品の開口穴に相当する位置に凸
部を設けた金型を使用し、予熱シートは、製品の開口穴
(金型凸部)を避けて金型キャビティ面に供給する必要
があり、製品部端部に開口穴が位置するような場合はま
だしも、製品中央部に開口穴を有するような成形体を目
的とする場合には、予熱シートを小さく分割して金型上
に供給するのが一般的であった。
【0005】しかし、このような方法による場合には、
分割供給された予熱シートの型締時におけるそれらの合
流点、または金型凸部で一度左右に別れた後合流する点
においてウエルドラインとなり、その部分の強度が著し
く低下するのみなず、製品外観が著しく劣るという問題
があった。また、表皮材を貼合する場合にも、強度低下
は勿論のこと、比較的流動性に劣る繊維強化熱可塑性樹
脂の流動により表皮材が引き延ばされ、上記のウエルド
ライン部分で皺状の外観不良が生じるという問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明者らは、ウエルドラインを形成させることなく、
従って、強度低下をもたらすことなく、表皮材を貼合す
る場合においても、皺等が生じることのない外観の良好
な開口穴を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体を、後加
工を行うことなく、予熱シートを原料とし、これをプレ
スし、成形と同時に開口穴を形成せしめて製造する方法
について検討の結果、本発明に至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、いずれか一方
または両方の金型に成形体の所望の位置に開口穴を形成
せしめるための金型部材を有する雌雄一対からなる金型
を使用し、開放状態にある雌雄両金型の雌雄いずれか一
方の金型のキャビティ面に、樹脂の溶融温度以上に予熱
して軟化状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シートを配置
し、次いで両金型を閉じて型締を行い、その後冷却する
開口穴を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法で
あって、成形体の開口穴に対応する開口部を予め設けて
なる予熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シー
トを、該シートの開口部が上記金型部材に対応するよう
に金型キャビティ面に供給し、該シートを押し広げなが
ら、金型キャビティ内に充満するように、予熱して軟化
状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み以下に型
締することを特徴とする開口穴を有する繊維強化熱可塑
性樹脂成形体の製造法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明方法の原料である繊維強化
熱可塑性樹脂シートとは、強化繊維で補強された繊維強
化熱可塑性樹脂シートであれば特に制限されず、たとえ
ば (1)複数本のストランド状強化繊維に針を突き刺し、
互いに繊維を絡まり合わせたマット状ストランド強化繊
維に熱可塑性樹脂を積層し、これを加熱、加圧して得ら
れるシート。(ラミネート法) (2)強化繊維束に溶融熱可塑性樹脂を付着させ、加圧
して得られるシート。 (3)強化繊維に粉末状熱可塑性樹脂を分散させ、これ
を加熱、加圧して得られるシート。 (4)強化繊維と熱可塑性樹脂粉末を水中に均一に分
散、混合した懸濁液から抄造して得られる不織材料を加
熱、加圧して得られるシート。(抄造法)などの従来よ
り公知の種々のシートが挙げられるが、熱可塑性樹脂と
強化繊維の分散性および混合割合の自由性のほか予熱に
よる厚み方向への膨張倍率が高く、最終製品厚みの調整
が容易であったり、成形体がリブやボスなどの突起形状
を有している場合にはそのような突起形状にも均一に強
化繊維が充填可能であるなどの多くの利点を有する抄造
法による繊維強化熱可塑性樹脂シートが好ましく使用さ
れる。
【0009】このような繊維強化熱可塑性樹脂シートに
用いられる強化繊維としてはステンレス繊維などの金属
繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機質繊維、アラミ
ド繊維などの有機質繊維、あるいはこれらの混合繊維が
例示され、必要とする特性に応じて適宜選択されるが、
特にガラス繊維は低コストで、高い補強効果が得られる
ため、最も好ましく使用される。抄造法により繊維強化
熱可塑性樹脂シートを製造する場合、強化繊維として
は、繊維径が1〜50μm、特に3〜30μm、繊維長
が3〜50mm、特に5mm以上の繊維が好適に使用さ
れる。また、繊維強化熱可塑性樹脂シート中の強化繊維
含量はそれぞれの目的に応じて適宜選択されるが、一般
的には強化繊維含量が少なくなるにつれて膨張倍率が小
さく、含量が大きくなると膨張倍率が大きくなるが、含
量が多くなると機械的強度が低下したり、それ自体の形
状保持性が低下するため、通常は10〜70重量%の範
囲である。このような強化繊維は、繊維強化熱可塑性樹
脂シートの製造時におけるマトリックス樹脂と密着性を
向上させるために、繊維表面にサイジング処理が施され
ていてもよい。
【0010】繊維強化熱可塑性樹脂シートのマトリック
ス樹脂としては押出成形、射出成形、プレス成形等で通
常使用されている熱可塑性樹脂であればいずれも適用可
能であり、、例えばポリエチレンやポリプロピレンなど
のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリ
ル・スチレン・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、
ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレン
エーテル、スチレン・アクリロニトリル共重合体などの
一般的な熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、これら
の混合物あるいはこれらの熱可塑性樹脂を使用したポリ
マーアロイおよびこれらの変性物を挙げることができ、
本発明において熱可塑性樹脂とはこれらを全て包含する
ものである。このような熱可塑性樹脂中には安定剤、顔
料、充填剤などの通常配合される各種の配合剤が任意に
含まれていてもよい。
【0011】以下、このような繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートを原料として、開口穴を有する繊維強化熱可塑性樹
脂成形体を製造する本発明の方法について述べる。図1
に本発明の方法を実施するために使用する金型の例をそ
の断面概略図で示すが、金型はプレス装置(図示せず)
に取り付けられた雌雄一対(1、2)から構成されてお
り、通常その一方、場合によってはその両方が金型の開
閉方向に移動可能(図では、雄金型は固定され、雌金型
が移動可能となっている)となっている。これらの金型
は製品形状に応じたキャビティ面を有しており、図1に
おいては、所定の位置に開口を形成せしめるための金型
部材として、金型内を金型の開閉方向に進退可能であっ
て、目的とする成形体の開口穴(4)と同じ断面形状の
スライドコア(3)が、目的とする成形体の開口穴
(4)の位置に対応して設けられている。スライドコア
を金型の開閉方向へ進退移動させるための手段(12)
は任意であり、たとえば該スライドコアの底部にバネを
設けて、バネの反発力を利用したり、空気圧や油圧を利
用するシリンダーを設け、その圧力で移動させてもよ
い。尚、図一の金型では、開口穴(4)の側壁面が成形
体の平面部よりも突き出したリング状の縦壁部(5)を
有するような成形体を目的としているため、雄金型
(2)のキャビティ面には、当該縦壁部(5)の外周面
に相当する形状の凹部(6)が設けられており、スライ
ドコア(3)はその外周面と凹部(6)の内周面との間
隔が縦壁部(5)の厚みに相当するように配置されてい
る。成形体の開口穴(4)の側壁部に縦壁部(5)を有
さず、それがくり抜き状であるような場合には、凹部
(6)を設ける必要はなく、所定の位置に開口穴(4)
と同じ断面形状のスライドコア(3)のみを設けておけ
ばよい。
【0012】スライドコア(3)を設ける金型は雌雄い
ずれの金型であってもよいが、予熱して軟化状態にある
繊維強化熱可塑性樹脂シート(予熱シート)の供給を容
易ならしめるためには、予熱シートを載置する側の金型
に設けるのが好ましい。また、場合によっては型締時に
スライドコア(3)の先端面(7)が相対して接するよ
うに、雌雄両方の金型に設けてもよい。このようなスラ
イドコア(3)は、それを金型キャビティ内に突き出し
たときのスライドコア先端面(7)のキャビティ面から
の高さが、金型キャビティ面に載置されている予熱シー
トの厚みよりも高いことが必要である。
【0013】金型部材の他の例としては、図7に示すよ
うな、雌雄両金型のそれぞれに金型の開閉方向と同方向
に設けられた相対する一対の凹凸(8、9)を挙げるこ
とができる。この金型凸部(9)の断面形状は、目的と
する成形体の開口穴(4)と同じであり、金型凸部
(9)の外周面と金型凹部(8)の内周面とはその隙間
をできるだけ少なくして摺動するように設けられてい
る。金型凸部(9)のキャビティ面からの高さは金型キ
ャビティ面に載置されている予熱シートの厚みよりも高
いことが必要であり、金型凹部(8)の深さは金型凸部
(9)の高さや成形完了時におけるキャビティクリアラ
ンスなどによって変わるが、型締完了時において、少な
くとも金型凸部(9)の上面が金型凹部(8)の底面に
接触する程度、好ましくは両面が接触しないような深さ
であることが好ましい。
【0014】以下、図1に示す金型を用いた場合の本発
明の方法を説明する。雌雄両金型(1、2)を開放状態
とし、雄金型(2)に設けたスライドア(3)をキャビ
ティ内に突き出した状態で、予熱シート(10)を雄金
型(2)のキャビティ面に載置する。予熱シート(1
0)のスライドコア(3)に対応する位置には、該スラ
イドコアの断面形状とほぼ同一またはそれよりも大きめ
の開口(11)が設けられており(図2)、予熱シート
(10)はこの開口(11)内にスライドコア(3)を
嵌め込んでキャビティ面に載置される。(図3)このと
き、予熱シート(10)は、通常、シートが載置されて
いる金型キャビティ面の投影面積と同等ないしはそれよ
りも小さくなるように金型キャビティ面に載置される。
ここで、金型キャビティ面の投影面積とは、金型の開閉
方向からみた2次元での平面積であって、キャビティ面
に凹凸が形成されている場合には、当然その展開面積よ
りは小さい。
【0015】予熱シートに設ける開口(11)は、原料
の繊維強化熱可塑性樹脂シートを予熱する前、すなわち
該シートが固化している原反の状態で鋭い切刃やシャー
リングによって設けてもよいし、原料シートを加熱して
軟化状態とした後に開口を設けてもよい。後者の場合、
カッターなどの鋭い切刃で切り抜いてもよいし、シート
のマトリックス樹脂の溶融温度またはそれ以上に加熱し
た熱刃によって切り抜いてもよいが、予熱シートに開口
と同形状に作られた加熱刃を用いて切り抜く方法が作業
性、安定性、開口の仕上がり、切刃の耐久性などの点で
好適である。
【0016】繊維強化熱可塑性樹脂シートの予熱は、マ
トリックスとなる熱可塑性樹脂が劣化を引き起こさず、
しかも十分な流動性をもつ温度になるまで行われ、その
方法としてはオーブン等で加熱する方法や赤外線加熱に
よる方法などの通常の方法で行われる。ここで、適切な
予熱温度は強化繊維やマトリックスである熱可塑性樹脂
の種類の相違など対象とする繊維強化熱可塑性樹脂シー
トにより異なるが、例えば、強化繊維としてガラス繊維
を、マトリックス樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用
いた繊維強化熱可塑性樹脂シートの場合には180〜2
50℃の範囲に予熱することが好ましい。この例の場合
に、この範囲以下の温度ではマトリックス樹脂の十分な
流動性が得られず、また、これ以上の温度では繊維強化
熱可塑性樹脂シートに熱劣化が生じるのみならず、ハン
ドリングが困難となる。
【0017】尚、表皮材を貼合する場合に、成形品の片
面に表皮材を貼合する場合には表皮材側となる雌雄いず
れか一方の金型のキャビティ面と予熱シートの間に表皮
材を、また、成形品の両面に表皮材を貼合する場合に
は、雌雄両方の金型の成形面と予熱シートの間にそれぞ
れ表皮材を配置しておけばよいが、通常は成形品の片側
面に表皮材が貼合されることが多い。前者の場合、一般
には予熱シートの上に表皮材を載置するか、予熱シート
を載置した金型面とは反対の金型の成形面の所定の位置
に表皮材が固定されるが、熱による表皮材のダメージを
防止するためには、型締時まで予熱シートと表皮材が直
接に接触することのない後者の方法が望ましい。また、
いずれの場合であっても、成形体の開口穴に相当する部
分は予め表皮材についても切り抜いておくことが好まし
い。表皮材は、成形品の表面加飾、クッション性の付
与、断熱効果の付与などそれぞれの目的に応じて適宜選
択されるが、予熱により軟化状態にある繊維強化熱可塑
性樹脂シートの熱によって溶融したり破れたりしないよ
うな耐熱性を有することが必要である。このような表皮
材としては、例えば紙、織布、不織布、熱可塑性樹脂あ
るいは熱可塑性エラストマーのシートもしくはフィル
ム、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーのシート状発
泡体などの単独あるいはこれらの組み合わせからなる積
層体が使用され、これら表皮材の表面にはその目的に応
じてシボ等の凹凸模様や印刷などが施されていてもよ
い。
【0018】雄金型(2)のキャビティ面上に、開口
(11)をスライドコア(3)に嵌め込んだ予熱シート
(10)を載置したのち、雌金型(1)の降下を開始す
る。雌金型(1)の降下にしたがって雄金型に設けたス
ライドコア(3)の先端面(7)と雌金型のキャビティ
面が接触し、更に降下を続けると、スライドコアが雄金
型内に後退しながら予熱シートが雌金型のキャビティ面
で圧縮され、該シートは型締圧によって金型キャビティ
内に押し広げられ、流動しながら(図4)、金型に設け
られている縦壁用凹部(6)とスライドコア(3)の外
周面との隙間(成形体の開口穴側壁縦壁部(5)に相当
する)やキャビティ内の隅々にまで完全に充満される。
(図5)このとき、スライドコア(3)の先端面(7)
と雌金型のキャビティ面との面間に隙間が生じると、そ
の間に予熱シートの流動端が入りこんで開口穴が塞がれ
てしまうことになるため、両面間は隙間のないように接
触することが好ましい。このためには、接触する各面を
均一にするとともに、スライドコア(3)の先端面
(7)と雌金型のキャビティ面との接触面における面圧
が10〜100kgf/cm2 の範囲となるように型締
圧を保持することが好ましい。
【0019】所定のキャビティクリアランスになったと
ころで型締を完了し、この状態を保ちつつ冷却し、雌雄
両金型を開放して成形体を取り出すことにより、成形と
同時にスライドコア部分が開口し、かつ開口穴(4)の
側壁部に縦壁部(5)を有する繊維強化熱可塑性樹脂成
形体が得られる。(図6)尚、使用する原料繊維強化熱
可塑性樹脂シートの種類、たとえば抄造法による繊維強
化熱可塑性樹脂シートを用いた場合には、該シートはそ
の組成によっては予熱により厚み方向に数倍ないしはそ
れ以上に膨張するため、型締圧を調整することによっ
て、樹脂と強化繊維間に一部空隙が生じるような多孔質
の成形体を製造することもできる。
【0020】かかる方法において、図1に示す金型に代
えて、スライドコアがそれぞれの先端面が相対するよう
にそれぞれの金型に設けられてなる金型(図12)を使
用し、相対する両スライドコア(3,3’)の先端面同
士を接触させつつ、前記方法に準じて両スライドコアを
金型内に後退させながら型締を行うことによって開口穴
を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造することが
できる。この方法による場合、両スライドコアはその形
状が同一であり、かつ型締時においてその先端面同士が
一致するように金型に設けられていることが必要であ
り、両スライドコアの形状が異なったり先端面同士が一
致しない場合には、きれいな開口穴が得られなかった
り、開口穴周辺部の外観が悪くなる。また、両スライド
コアの内、少なくとも予熱シートが載置されている側の
金型に配置されているスライドコアの高さは先に述べた
と同様に載置されている予熱シートの厚みより高いこと
が必要であるが、これと相対する他のスライドコアの高
さは型締時において両スライドコアの先端面同士が接触
する限りにおいて任意である。しかし、良好な形状、外
観の開口穴を形成せしめるためには、型締完了時におい
て、接触している両スライドコアの先端面が成形体の厚
み幅の中にあることが好ましい。
【0021】また、図1に示す金型に代えて、図7に示
す金型を用いた場合も同様である。但し、この場合には
雄金型に設けた金型凸部(9)が雌金型に設けた金型凹
部(8)に嵌合し、金型凸部(9)の外周面が金型凹部
(8)の内周面に摺動しながら型締され、図8〜図10
の工程にしたがって成形されて、図11に示される成形
体が得られる。尚、金型部材として雌雄両金型のそれぞ
れに金型の開閉方向と同方向に設けられた相対する一対
の凹凸(8、9)を用いて、開口穴(4)の側壁部に縦
壁部(5)を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造
する場合には、図15に示すように、雄金型(2)に設
けた金型凸部(9)の周辺部に、縦壁部(5)の厚みお
よび高さにに相当する幅および深さの溝(14)を設け
ておき、先の図8〜図10の工程と同様にして成形すれ
ばよい。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ウエルドライン
が形成されず、従って、強度低下をもたらすことなく、
表皮材を貼合した場合でも皺等が生じることのない外観
の良好な開口穴を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体
を、繊維強化熱可塑性樹脂シートを原料として、後加工
を行うことなく成形と同時に製造することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明がこれによって限定されるものでないことはいうま
でもない。
【0024】実施例1 図1に示される金型を使用し、図3〜図5に示される工
程に従って、図6に示される断面形状の開口穴を有する
繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造した。抄造法により
製造された、10〜50mmの繊維長のガラス繊維を4
0重量%含むガラス繊維強化ポリプロピレンシート(ケ
ープラシート株式会社製、目付け4300g/m2 、厚
さ 4mm)を、雄金型(2)のキャビティ面の投影面
積よりもやや小さい大きさになるように切断し、その
後、215℃になるまでオーブン中で350秒間加熱
し、厚さ約6mmにまで厚み方向に膨張した予熱シート
(10)を得た。この予熱シートの、該シートを金型キ
ャビティ面に載置したときのスライドコア(3)に対応
する位置に、熱刃を用いて該スライドコアの断面積より
も僅かに大きい開口(11)を設けた。(図2) 開口(11)を設けた予熱シート(10)を、開口(1
1)をスライドコア(3)に嵌め込むようにして雄金型
(2)のキャビティ面上に載置した(図3)のち、直ち
に10mm/秒の速度で雌金型(1)を降下させ、スラ
イドコアの先端面を雌金型のキャビティ面に面圧30k
gf/cm2 で押しつけながら、予熱シートをキャビテ
ィ内で押し広げてキャビティ内に充満させつつ(図
4)、キャビティクリアランスが3mmになるまで型締
を行い(図5)、この状態を維持するように50秒間加
圧、冷却し、その後両金型を開いて、図6に示すような
断面の開口穴を有する繊維強化ポリプロピレン成形体を
得た。得られた成形体は、その表面にウエルドラインも
みられず、それに伴う強度低下のない外観の良好なもの
であった。
【0025】実施例2 表面にシボ加工を施し、裏面に厚さ0.2mmのウーリ
ーナイロンを裏打ちした厚さ0.8mmの塩化ビニル積
層シートを、予熱シートの上に載置する以外は実施例1
と同様にして、開口穴を有する繊維強化ポリプロピレン
成形体を得た。得られた成形体は開口穴を除く表面にシ
ボ面の美しい表皮材が貼合されており、強度低下もな
く、表面外観は良好であった。
【0026】実施例3 図7に示される金型を使用し、図8〜図10に示される
工程に従って、図11に示される断面形状の開口穴を有
する繊維強化ポリプロピレン成形体を製造した。尚、こ
の金型において、雄金型(2)に設けた金型凸部(9)
のキャビティ面からの高さは10mmであり、雌金型
(1)に設けた金型凹部(9)のキャビティ面からの深
さは15mmである。実施例1で用いたと同じガラス繊
維強化ポリプロピレンシートを雄金型(2)のキャビテ
ィ面の投影面積よりもやや小さい大きさになるように切
断し、その後、同様に予熱して予熱シート(10)を得
た。この予熱シートの、該シートを金型キャビティ面に
載置したときの金型凸部(9)に対応する位置に、熱刃
を用いて該金型凸部の断面積よりも僅かに大きい開口を
設けた。開口を設けた予熱シート(10)を、開口を金
型凸部(9)に嵌め込むようにして雄金型(2)のキャ
ビティ面上に載置した(図8)のち、直ちに10mm/
秒の速度で雌金型(1)を降下させ、金型凸部(9)の
外周面を金型凹部(9)の内周面と摺動させながら、予
熱シートをキャビティ内で押し広げてキャビティ内に充
満させつつ(図9)、キャビティクリアランスが3mm
になるまで型締を行い(図10)、この状態を維持する
ように50秒間加圧、冷却し、その後両金型を開いて、
図11に示すような断面の開口穴を有する繊維強化ポリ
プロピレン成形体を得た。得られた成形体は、その表面
にウエルドラインもみられず、それに伴う強度低下のな
い外観の良好なものであった。
【0027】実施例4 表面にシボ加工を施し、裏面にポリプロピレン発泡層
(3mm)を裏打ちした厚さ0.5mmの塩化ビニルシ
ートを予備賦形し、成形体の開口穴に相当する部分を切
り抜いて、雌金型キャビティ面に両面テープで固定する
以外は実施例3と同様にして、開口穴を有する繊維強化
ポリプロピレン成形体を得た。得られた成形体は開口穴
を除く表面にシボ面の美しい表皮材が貼合されており、
強度低下もなく、表面外観は良好であった。
【0028】比較例1 図13に示すように、切り抜きの設けていない予熱シー
トを、スライドコアにかからないようにして雄金型
(2)のキャビティ面に載置すること以外は実施例1と
同様にして繊維強化ポリプロピレン成形体を得た。得ら
れた成形体は、図14に示すように開口穴は形成されて
いるが、成形過程で押し広げられ、流動した予熱シート
が開口穴よりも流動末端側で合流した部分でウエルドラ
イン(13)が形成されて表面外観が悪く、強度低下も
見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に適用されるスライドコアを有す
る金型を概略断面図で示したものである。
【図2】実施例1の方法で使用する開口を設けた予熱シ
ートの上面図である。
【図3】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図4】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図5】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図6】実施例1の方法で得た成形体をその上面および
開口穴部での断面で示したものである。
【図7】本発明の方法に適用される金型凹凸部を有する
金型を概略断面図で示したものである。
【図8】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図9】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図10】本発明の方法による製造工程を金型の概略断
面図で示したものである。
【図11】実施例3の方法で得た成形体をその上面およ
び開口穴部での断面で示したものである。
【図12】本発明の方法に適用される金型凹凸部を有す
る金型を概略断面図で示したものである。
【図13】従来法による型締開始前の予熱シートの配置
状態を示したものである。
【図14】図12に示す従来法で得た成形体をその上面
および開口穴部での断面で示したものである。
【図15】本発明の方法に適用される金型凹凸部を有す
る金型を概略断面図で示したものである。
【符号の説明】
1:雌金型 2:雄金型 3:スライドコア 4:成形体開口
穴 5:成形体開口穴側壁縦壁部 6:開口穴側壁
縦壁部用凹部 7:スライドコア先端面 8:金型凹部 9:金型凸部 10:予熱シート 11:予熱シート開口 12:スライド
コア移動手段 13:ウエルドライン 14:開口穴側
壁縦壁部用溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】いずれか一方または両方の金型に成形体の
    所望の位置に開口穴を形成せしめるための金型部材を有
    する雌雄一対からなる金型を使用し、開放状態にある雌
    雄両金型の雌雄いずれか一方の金型のキャビティ面に、
    樹脂の溶融温度以上に予熱して軟化状態にある繊維強化
    熱可塑性樹脂シートを配置し、次いで両金型を閉じて型
    締を行い、その後冷却する開口穴を有する繊維強化熱可
    塑性樹脂成形体の製造法であって、成形体の開口穴に対
    応する開口部を予め設けてなる予熱して軟化状態にある
    繊維強化熱可塑性樹脂シートを、該シートの開口部が上
    記金型部材に対応するように金型キャビティ面に供給
    し、該シートを押し広げながら、金型キャビティ内に充
    満するように予熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑性
    樹脂シートの厚み以下に型締することを特徴とする開口
    穴を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法。
  2. 【請求項2】金型部材が金型内を金型の開閉方向に進退
    可能なスライドコアからなり、該スライドコアの先端面
    を相対する金型キャビティ面と接触させつつ、該スライ
    ドコアを金型内に後退させながら型締を行う請求項1に
    記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法。
  3. 【請求項3】金型部材が金型内を金型の開閉方向に進退
    可能なスライドコアからなり、該スライドコアがそれぞ
    れの先端面が相対するようにそれぞれの金型に設けら
    れ、相対する両スライドコアの先端面同士を接触させつ
    つ、両スライドコアを金型内に後退させながら型締を行
    う請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造
    法。
  4. 【請求項4】スライドコアの先端面が、金型キャビティ
    面に供給された予熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑
    性樹脂シートの厚みよりも更にキャビティ内に突き出し
    可能に移動し得る請求項2または3に記載の繊維強化熱
    可塑性樹脂成形体の製造法。
  5. 【請求項5】金型部材が、雌雄両金型のそれぞれに金型
    の開閉方向と同方向に設けられた相対する一対の凹凸部
    材であり、該凸部材の外周面と凹部材の内周面を互いに
    摺動させながら型締を行う請求項1に記載の繊維強化熱
    可塑性樹脂成形体の製造法。
  6. 【請求項6】凸部材の高さが、金型キャビティ面に供給
    された予熱して軟化状態にある繊維強化熱可塑性樹脂シ
    ートの厚みよりも高く、かつ凹部材の深さが凸部材の高
    さよりも深い請求項5に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成
    形体の製造法。
  7. 【請求項7】雌雄いずれか一方または両方の金型のキャ
    ビティ面と繊維強化熱可塑性樹脂シートの間に表皮材を
    配置してなる請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成
    形体の製造方法。
  8. 【請求項8】予備賦形された表皮材を雌雄いずれか一方
    または両方の金型のキャビティ面に固定してなる請求項
    7に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015229279A (ja) * 2014-06-04 2015-12-21 トヨタ自動車株式会社 自動車用樹脂部品の製造方法及び自動車用樹脂部品の製造装置
JP6134822B1 (ja) * 2016-01-13 2017-05-24 レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド 繊維強化樹脂材の加工方法および繊維強化樹脂材

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