JPH0987002A - 繊維混入軽量木片セメント板 - Google Patents

繊維混入軽量木片セメント板

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JPH0987002A
JPH0987002A JP27349095A JP27349095A JPH0987002A JP H0987002 A JPH0987002 A JP H0987002A JP 27349095 A JP27349095 A JP 27349095A JP 27349095 A JP27349095 A JP 27349095A JP H0987002 A JPH0987002 A JP H0987002A
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信一 日下
Yasuyuki Hozumi
泰行 穂積
Morihito Nakatani
盛仁 中谷
Takahisa Honda
貴久 本田
Sadayuki Tomiyasu
貞行 富安
Kazuhiro Sato
和弘 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾式成形においても繊維同志が糸まり状に絡
みあうことなく板材内部に均一に分布して補強効果を高
めることを目的とする。 【構成】 セメント、硅酸質原料、木片、木質繊維、水
を主成分とし、木片:木質繊維=4:1〜1:1の割合
で配合した原料を混合し、下板上に散布してマットを形
成し上板を載せて圧締硬化した後、オートクレーブで養
生硬化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として建築材料とし
て用いられる軽量・高強度で施工性に優れた繊維混入軽
量木片セメント板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から硬質木片セメント板が建築材料
として用いられている。これは、セメントと木片を混合
し圧縮成形した複合材料であり、防火性に優れたセメン
ト製品でありながら、木材固有の特性が加わって耐衝撃
性や釘保持力等において優れた性質を示すものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、硬質木片セメ
ント板において十分な強度を得るためには、板材の密度
を高くする必要があるため、他のセメント製品に比べて
も重量が重くなり持ち運び難くなるとともに、硬くなる
ので釘打ち時に釘が曲がる等施工性が悪くなる。
【0004】これに対して、木片の添加量を増加すると
重量を増加することなく強度を向上させることができる
が防火性は低下する。また、絡み易く補強性のある繊維
を木片の代わりに使用すれば、乾式成形法では繊維同志
が糸まり状に絡みあって均質な板材を得ることができず
繊維の補強効果も発揮されない。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に鋭意研究を行った結果、木片と補強繊維を特定の割合
に配合することによって、乾式成形においても繊維同志
が糸まり状に絡みあうことなく板材内部に均一に分布し
て補強効果が高まることがわかった。
【0006】すなわち、セメント、硅酸質原料、木片、
木質繊維、水を主成分とし、木片:木質繊維=4:1〜
1:1の割合で配合することを特徴とする繊維混入軽量
木片セメント板に関するものである。
【0007】請求項2では請求項1における木質繊維を
耐アルカリ性の合成繊維と置換えたものであり、その配
合比は木片:耐アルカリ性の合成繊維=30:1〜6:
1とすることを特徴としている。
【0008】本発明の繊維混入軽量木片セメント板は、
基本的に従来から行われている硬質木片セメント板の製
造方法を変えることなく、欠点である重さや釘打ち性を
改良したものである。
【0009】セメントは木片等の原料を固めて一体化し
板を形成するバインダーであるとともに基材そのもので
ある。
【0010】硅酸質原料はセメント中の石灰とともに水
和反応し、劣化し難いカルシウムシリケート水和物を生
成し、板材の強度とともに耐久性を高める。
【0011】木片は脆性材料であるセメントの耐衝撃性
や釘保持力等を木材固有の特性によって改善することが
できるが、木片自体に絡みがないため曲げ強度等につい
ては大きく向上させることはできない。したがって、絡
みの効果が期待できる補強繊維を適量配合することによ
って板材の強度は向上する。
【0012】繊維としては主としてクラフトパルプ、新
聞故紙、ダンボール故紙等の木質繊維または、ポリプロ
ピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の耐アルカリ性
の合成繊維が用いられる。また、硅酸質原料の種類によ
ってはオートクレーブによって養生する必要性があるた
め、耐アルカリ性だけでなく耐熱性も備えた繊維が必要
となる。
【0013】その他、軽量化および釘を打ちやすくする
ために軽量骨材を添加することが好ましく、特に、パー
ライト、シラス発泡体等の無機発泡体を添加する場合
は、多量に添加しても不燃物であるから防火の点で問題
はない。
【0014】
【作用】木片:木質繊維=4:1〜1:1の割合で配合
することによれば、乾式成形において繊維同志が糸まり
状に絡むことが少なくできるので均質な板材が得られる
とともに、セメント硬化前の成形マットの保形性を損な
わず型崩れし難くなる。すなわち、これらの作用につい
て説明すると、繊維の絡む原因の一つは、添加される水
分により繊維が濡れて繊維同志が付着することである
が、この水分が偏平で表面積の広い木片に選択的に吸収
されることにより繊維が濡れ難くなり、しかも、木片が
繊維同志の間に侵入することによって繊維同志の絡みが
防止できるからである。
【0015】木片の割合が増えると原料の混合は均質に
行えるが、木片自体は絡みがほとんどないのでセメント
硬化前の成形マットの保形性が悪くなるとともに、セメ
ント硬化後の強度も弱くなる。一方、木質繊維の割合が
増えると原料の混合が不均一になり糸まり状の絡みが増
えて不均質な板材となるので、この場合もセメント硬化
前の成形マットの保形性が悪くなるとともに、セメント
が硬化した後の強度も弱くなる。
【0016】耐アルカリ性の合成繊維についても木質繊
維の場合と同様に考えられるものの配合の割合が、木
片:耐アルカリ性の合成繊維=30:1〜6:1で異な
る。これは木質繊維は合成繊維よりも分枝が多くもとも
と複数本が収束しやすくなっているが、合成繊維は収束
せず単繊維のままであるので実質的にそれに対応する木
片の量は多くなるものと推測されるからである。また、
合成繊維は一般に繊維径等の形状ムラが木質繊維よりも
少ないため、均一に分散されれば強度への寄与も均一で
あり、したがって、木質繊維よりも少ない量で同等の効
果が得られるためである。
【0017】
【実施例】以下、本発明の構成を具体的に述べる。本発
明の繊維混入軽量木片セメント板は、セメント、硅酸質
原料、木片、木質繊維、水を主成分としている。
【0018】セメントの添加量は40〜60重量部で、
普通ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメ
ント等、特に限定することなく一般的にセメント板製造
に使用されるものが使われる。
【0019】硅酸質原料の添加量は10〜20重量部
で、硅藻土、硅砂、硅石等シリカを主成分とする原料で
あれば特に限定することなく使用でき、粒径等は一般的
にセメント板製造に使用されるものが使われる。
【0020】木片の添加量は5〜15重量部で、一般的
に硬質木片セメント板製造に使用されるものであれば特
に限定することなく使用でき、木片の寸法は、主として
厚さが0.5mm前後であり、4mmの篩を全通し2m
mの篩に残るものが用いられる。
【0021】繊維の添加量は1〜10重量部で、主とし
てクラフトパルプ、新聞故紙、ダンボール故紙等の木質
繊維または、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチ
レン等の耐アルカリ性(必要に応じてさらに耐熱性を備
えたもの)の合成繊維が用いられる。
【0022】木質繊維の寸法は、平均繊維径10〜10
0μm、平均繊維長1〜10mmであり、耐アルカリ性
の合成繊維の寸法は、平均繊維径100〜300μm、
平均繊維長1〜10mmである。
【0023】木片と繊維を合わせた有機分の添加量の合
計は防火性の点から、多くとも15〜18重量部程度が
好ましい。
【0024】軽量化および釘を打ちやすくするために添
加する無機発泡体の添加量は15〜30重量部で、好ま
しくは平均嵩比重0.05〜0.1、平均粒径200〜
300μmのパーライト、シラス発泡体等の無機質軽量
骨材が用いられる。
【0025】水の添加量は40重量部前後であり、セメ
ントと水との反応および、さらに硅酸質原料と反応して
カルシウムシリケート水和物を生成し硬化するために、
あまり過剰にならない程度で必要な量が添加される。
【0026】その他、セメントの硬化剤として硫酸アル
ミニウム等が一般的に用いられる。
【0027】以下、本発明にかかる実施例および比較例
を具体的に説明する。 (実施例1〜5)表1に示す配合で原料を混合し、下板
の上に散布して厚さ約45mmのマットを形成し、上板
を載せてプレス機で圧力15 kgf/cm2 で圧締したま
ま、上板、マット、下板をクランプで固定一体化した
後、温度80℃で4〜8時間圧締硬化し15mm厚さの
板材を得た。これをオートクレーブで温度150℃で8
時間養生硬化して、絶乾比重0.9の板材を得た。
【0028】物性や作業性について以下に示す方法で測
定した。その結果は表1に示す通りであった。 ・曲げ強度はJISに準じた方法を用いた。 ・釘打ち性については割れ性と圧入抵抗値で示した。割
れ性はサンプルの端部より20mmの位置に、通常施工
時に用いる外壁用釘を用いて釘打ちを行い(釘打ち回数
n=50)、クラックが全く生じないものを○、2個以
下を△、3個以上を×とした。圧入抵抗値はオートグラ
フを用いてサンプルに5mm/minで釘を垂直に押し
込んだ場合の抵抗値で示した。 ・混合、散布性は混合および散布時の原料の均質性につ
いて目視でチェックを行い、ほぼ均質である場合は○、
糸まり状の絡み等不均質なものが目立つ場合は×とし
た。 ・マット保形性は下板をコンベア上で移動させた時のマ
ットの崩れを目視でチェックし、崩れのないものを○、
端部に若干崩れのあるものを△、完全に崩れているもの
を×とした。
【0029】(比較例1〜6)表1に示す配合で、以下
実施例1とほぼ同様に処理した。比較例1は木片のみで
繊維を使用しない場合であるが、実施例同様に絶乾比重
0.9の板材が得られたものの、繊維を含まないため曲
げ強度が若干弱く、釘打ち時の割れが発生し、マット保
形性も不良であった。比較例2、3では木片に対する繊
維の添加量が多いため原料が糸まり状に絡み合って均質
なマットが得られず、しかもマット崩れが著しく実用に
値する板材自体が得られなかった。比較例4、5では木
片に対する繊維の添加量が少ないため、比較例1ほどで
はないものの曲げ強度、釘打ち時の割れ、マット保形性
に難点があった。比較例6は従来の硬質木片セメント板
に関するものであり、比重が高く、曲げ強度が強く、釘
打ち時の割れがないものの、圧入抵抗値が高く釘打ちが
し難く、マット保形性もあまり良くない。
【0030】以上より実施例と比較例を比較すると、実
施例では原料の混合性が良く、下板の上に散布した際に
均質なマットが形成され保形性にも優れていた。最終的
に得られた板材も曲げ強度が大きく、釘打ちしやすく釘
打ち時の割れもなかった。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、木片と補強繊維を特定の割合に配合することによっ
て、乾式成形においても繊維同志が糸まり状に絡みあう
ことなく板材内部に均一に分布して補強効果が高めるも
のである。
【0033】しかも、繊維の補強効果によって比重を高
めることなく高強度を保持することができ、釘打ちしや
すく釘打ち時の割れも防止でき、少量の木質(有機分)
で板が作れるので防火性にも優れるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C04B 111:30 (72)発明者 本田 貴久 大阪市北区中之島2ー3ー18 大建工業株 式会社内 (72)発明者 富安 貞行 大阪市北区中之島2ー3ー18 大建工業株 式会社内 (72)発明者 佐藤 和弘 大阪市北区中之島2ー3ー18 大建工業株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント、硅酸質原料、木片、木質繊
    維、水を主成分とし、木片:木質繊維=4:1〜1:1
    の割合で配合することを特徴とする繊維混入軽量木片セ
    メント板。
  2. 【請求項2】 セメント、硅酸質原料、木片、耐アルカ
    リ性の合成繊維、水を主成分とし、木片:耐アルカリ性
    の合成繊維=30:1〜6:1の割合で配合することを
    特徴とする繊維混入軽量木片セメント板。
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