JPH0978107A - 簡易金型の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性に優れた簡易金型を短期間で安く製造す
る方法。 【課題解決手段】焼失し易い模型としての光造形法によ
り形成したハニカム構造の合成樹脂製製品マスタモデル
１とＳＫＤ等の鉄系金属粉末に無機系バインダを配合し
た金属粉末スラリ２とを用意し、型枠内に配備したマス
タモデルを金属粉末スラリで型取りした後バインダをゲ
ル化して金属粉末凝結体４を形成し、この金属粉末凝結
体を焼成してマスタモデルが焼失させ製品形状のキヤビ
テイが形成された金属粉末焼成金型５を形成し、最後に
金属粉末焼成金型を焼結して金属粉末焼結金型７を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂の成形に利
用する金型の製造方法に係り、特に多品種少量生産に適
するよう短い期間で安く製造できるいわゆる簡易金型を
製造する方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、合成樹脂の成形には金属ブロ
ツクを機械加工して製品形状のキヤビテイ及びコアを形
成した金型が利用されている。

【０００３】機械加工により製造される金型は精密で耐
久性が優れているので多量生産には非常に適している
が、製造に時間と費用が多く掛かるので多品種少量生産
には適していない。

【０００４】そこで多品種少量生産の場合には、寿命が
短くても短い期間で安く作れるいわゆる簡易型として、
合成樹脂型及び鋳造金型の利用が種々と検討されてい
る。

【０００５】合成樹脂型は、ポリエステル、エポキシ等
の２液反応型の液状合成樹脂に鉄、銅、アルミニウム等
の金属粉を混入し、合成樹脂のような加工性の良い材料
を機械加工して製造した製品形状のマスタモデルを注型
により型取りした後硬化させて形成する。

【０００６】この合成樹脂型は、極めて短期間に安く作
れるものの機械的強度や耐熱性が劣り、また寸法精度も
悪いので、成形温度の低い汎用合成樹脂でほんの僅かな
数の試作品を成形するのに利用できる程度であった。

【０００７】このため多品種少量生産用の簡易型として
は、製品のマスタモデルに基づいて形成した石膏型で鋳
造して作られる鋳造金型の方が耐久性、耐熱性、寸法精
度等が優れているので好ましい。

【０００８】鋳造金型の製造工程は図５に示す通りであ
り、まず合成樹脂のブロツク素材を機械加工して製品形
状のマスタモデルを形成し、次にこのマスタモデルを型
枠内に収納し液状、常温硬化型の型取り材としてのシリ
コンゴムで型取りして、製品形状のキヤビテイのシリコ
ンゴム型を形成する。

【０００９】続いてこのシリコンゴム型の製品形状のキ
ヤビテイに液状型取り材としてのシリコンゴムを注入し
た後硬化させて製品形状のシリコンゴムマスタモデルを
形成し、合成樹脂で形成したマスタモデルをシリコンゴ
ムのマスタモデルに転換する。

【００１０】このように合成樹脂製のマスタモデルをシ
リコンゴム製のマスタモデルに転換するのは、シリコン
ゴム製のマスタモデルは弾性を持ちしかも石膏と接着し
ないので、後の石膏型の製造において型を傷めないでマ
スタモデルを型から容易に抜き出せるようにするためで
ある。

【００１１】その後シリコンゴムのマスタモデルを適当
な面で分割してキヤビテイ側及びコア側を石膏で型取り
して石膏型を形成し、最後にキヤビテイ側及びコア側の
各の石膏型に金属の溶湯を注入し、溶湯が冷却固化した
後石膏型をばらしてキヤビテイ側及びコア側の鋳造金型
を作る。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記した
ように形成する鋳造金型にも、製造上及び品質上の問題
が種々とある。

【００１３】すなわち、機械加工で製造した製品形状の
合成樹脂製マスタモデルをゴム型を介してゴム製マスタ
モデルに転換してからでないと石膏型を製造できないの
で、製造工程が複雑で製造に工数と時間が掛かる。

【００１４】しかも製造工程は全てが手作業であるので
各々の作業に熟練を必要とし、この作業の中には金属の
溶湯を取り扱う危険な作業である鋳造作業を含まれてい
る。

【００１５】また、製品形状毎に鋳造方案をが異なるの
で、湯回り不良、ザク巣等の鋳造欠陥出やすく、前記し
たように機械加工で製造した製品形状のマスタモデルを
何度も転写した後に金型を鋳造するので寸法精度も落ち
てしまう。

【００１６】さらに石膏型は融点の高い金属の鋳造がで
きないので、鋳造法により製造できる簡易金型は、比較
的融点が低い銅、アルミニウム、亜鉛といった軟質金属
系の合金の金型である。

【００１７】このためガラス繊維或いは炭素繊維等の繊
維で強化した合成樹脂であるＦＲＰやＰＥＥＫのように
高温、高圧での成形が必要ないわゆるエンジニアリング
プラスチツクの成形をすると、型の寿命が非常に短くな
ってしまう。

【００１８】本発明は、前記したような従来技術の欠点
を解消して、製造に期間とコストが掛からず、しかも寸
法精度と物性に優れ製造上も品質上も全く問題がなく、
多品種少量生産に適した簡易金型の製造方法を提供する
ことを目的とする。

【００１９】

【課題を解決する手段】すなわち本発明は、製品形状を
した多孔質合成樹脂マスタモデルを製造する工程、金属
粉末に無機系バインダ溶液を配合して金属粉末スラリを
製造する工程、前記多孔質合成樹脂マスタモデルを型枠
内に配備する工程、この多孔質合成樹脂マスタモデルの
配備された型枠内に前記金属粉末スラリを注入する工
程、無機系バインダをゲル化させマスタモデルを包含し
た金属粉末凝結体を形成する工程、金属粉末凝結体を型
枠から取り出し大気中で焼成してマスタモデルを焼失さ
せた金属粉末焼成金型を形成する工程、金属粉末焼成金
型を非酸化性雰囲気中で焼結して金属粉末焼結金型を形
成する工程より成ることを第１の請求項とし、第１の請
求項において多孔質合成樹脂マスターモデルが光造形法
により製造されたハニカム構造体であることを第２の請
求項とする簡易金型の製造方法である。

【００２０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態についいて、
図１の製造工程表に基づいて説明する。

【００２１】まず最初に製品形状をした多孔質合成樹脂
のマスタモデルを製造するが、これは合成樹脂発泡体を
加工用の素材として機械加工により製造するか、光硬化
性合成樹脂を利用した光造形法によりハニカム構造体と
して製造するかする。

【００２２】多孔質合成樹脂のマスタモデルを合成樹脂
発泡体を加工用の素材として機械加工により製造する方
法については特に説明する必要がないので、光硬化性合
成樹脂を利用した光造形法によりハニカム構造体として
製造する方法について図２により説明する。

【００２３】光造形法は、製品形状の三次元ＣＡＤデー
タを所定厚さの多数のスライス断面データに変換して置
き、このスライス断面データに基づいて光硬化性合成樹
脂液に光を照射して１断面づつ硬化させて順次積層して
行き、最終的に全ての断面が硬化して積層して製品形状
となった光硬化成形品を形成する方法であ。

【００２４】図２において、タンク内に光硬化性合成樹
脂液を満たしすと同時に、このタンクの内部には上下方
向すなわちＺ方向に動くエレベータが配備され、上方に
は前後ー左右方向すなわちＸ−Ｙ方向に動く光照射ヘツ
ドが配備されている。

【００２５】まずエレベータを光硬化性樹脂液表面から
第１断面の厚さ分だけ下方の最も上の位置まで動かした
状態とし、続いて光照射ヘツドを第１の断面データに基
づいてＸ−Ｙ方向に動かすと、光硬化性合成樹脂液が第
１の断面形状に硬化した第１の硬化断面がエレベータの
上に載せられた造形台の上面に形成される。

【００２６】次にエレベータを第２断面の厚さ分だけ下
方に動かした状態として光照射ヘツドを第２の断面デー
タに基づいてＸ−Ｙ方向に動かすと、光硬化性合成樹脂
液が第２の断面形状に硬化した第２の硬化断面が第１の
硬化断面の上に形成される。

【００２７】このようにして順次エレベータを断面の厚
さ分だけ下げながら断面データに基づいて光照射ヘツド
をＸ−Ｙ方向に動かして既に形成された硬化断面の上に
さらに所定厚さの硬化断面を形成して行くと、多数の硬
化断面が積層した状態で光硬化造形品が形成される。

【００２８】以上のような光造形法により、外形が製品
形状をし、平面にハニカム状の穴が形成された断面を多
数積層して合成樹脂製でハニカム構造の製品マスタモデ
ル１を形成する。

【００２９】次に例えば平均粒径１０ミクロンと極めて
微細なＳＫＤ１１のような金属粉末に、エチルシリケー
ト、コロイダルシリカ、或いはアルミナゾルのような無
機系バイダを配合して金属粉末スラリ２を形成する。

【００３０】このようにしマスタモデル１と金属粉末ス
ラリ２とが用意できたなら、図３の（ａ）に示すように
マスタモデル１を型枠３の中に配備し、続いて（ｂ）に
示すように型枠３の空隙部に金属粉末スラリ２を注入す
る。

【００３１】このようにして金属粉末スラリ２を型取り
のためにマスタモデル１の配備された型枠３の中に注入
したならそのまま３０分前後放置すると、ゾル状であっ
た無機系バインダがゲル化して金属粉末相互に対する結
合力を生じて、（ｃ）に示すように、型枠３を外しても
形状が崩れないでマスタモデル１を包含した金属粉末凝
結体４が形成される。

【００３２】次にマスタモデル１を包含した状態の金属
粉末凝結体４を５００℃−２時間程度で焼成し包含され
ていたマスタモデル１を完全に焼失させると同時に無機
系バイダのゲル化を促進して金属粉末相互の結合力をさ
らに強くし、（ｄ）に示すような、マスタモデル１の焼
失により製品形状のキヤビテイ６が形成された金属粉末
焼成金型５を形成する。

【００３３】なお本発明においてマスタモデル１をソリ
ツド状でなく多孔質体として形成するのは、マスタモデ
ル１は空洞が多いと前記焼成工程において素早く完全に
焼失できるからである。

【００３４】すなわちマスタモデル１がソリド状である
と、焼成の際に大きな熱膨張をすると同時に多量の燃焼
ガスを発生して粉末焼成金型５のキヤビテイ６にひび割
れが沢山発生し、さらに完全に燃焼させ難いので燃えか
すも残ってしまい、欠陥のある金型しかできないように
なってしまう。

【００３５】これに対してマスタモデル１を多孔質体、
特にハニカム構造体として空洞が非常に多い状態で形成
すると、焼成の際に殆ど熱膨張することなく素早く燃え
てしまい、粉末焼成金型５のキヤビテイ６にひび割れが
発生したり燃えかすが残ったりすることが無い。

【００３６】このようにして金属粉末焼成金型５を形成
したなら、最後に図５に示すような条件で常法に従い非
酸化性雰囲気中で焼結し、金属粉末焼結金型７を得る。

【００３７】

【発明の効果】本発明は以上のように構成され、金属焼
結法を利用した簡易金型の製造方法であるのであらゆる
金属素材を利用して簡易金型を製造できるようになり、
従来機械加工により金型を製造する際に利用していたの
と同じＳＫＤのような鉄系金属を利用することもできる
ようになる。

【００３８】この結果、３０％ガラス繊維入りポリカー
ボネート樹脂のような金型を非常に傷める合成樹脂での
１万シヨツトの成形にも十分耐えるような非常に耐久性
に優れた簡易金型が短い期間でしかも安く製造できるよ
うになる。

【００３９】しかも本発明の製造方法では、製品形状を
型取りするために利用する合成樹脂製の焼失模型として
のマスタモデルを光造形法を利用して外形は精密な製品
形状をし、内部は空洞の多いハニカム構造体として形成
している。

【００４０】この結果、製造された金型のキヤビテイは
製品形状を精密に模写しており、同時ひび割れしたり、
燃えかすが残ったりしての欠陥も無いので、寸法精度が
高く表面欠陥も無い非常に良好な成形品が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例簡易金型製造工程
表、

【図２】 光造形マスタモデル製造
法、

【図３】 金型製造工程図、

【図４】 焼結条件図、

【図５】 従来例簡易金型製造工程
表。

【符号の説明】

１ 製品マスタモデル ２ 金属粉末スラリ ３ 型枠 ４ 金属粉末凝結体 ５ 金属粉末焼成金型 ７ 金属粉末焼結金型

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】製品形状をした多孔質合成樹脂マスタモデ
   ルを製造する工程、金属粉末に無機系バインダ溶液を配
   合して金属粉末スラリを製造する工程、前記多孔質合成
   樹脂マスタモデルを型枠内に配備する工程、この多孔質
   合成樹脂マスタモデルの配備された型枠内に前記金属粉
   末スラリを注入する工程、無機系バインダをゲル化させ
   マスタモデルを包含した金属粉末凝結体を形成する工
   程、金属粉末凝結体を型枠から取り出し大気中で焼成し
   て包含されたマスタモデルを焼失させた金属粉末焼成金
   型を形成する工程、金属粉末焼成金型を非酸化性雰囲気
   中で焼結して金属粉末焼結金型を形成する工程より成る
   ことを特徴とする簡易金型の製造方法。
2. 【請求項２】多孔質合成樹脂マスタモデルが光造形法に
   より製造されたハニカム構造体であることを特徴とする
   請求項１記載の簡易金型の製造方法。