JPH0974994A - ホスファターゼ阻害剤及びそれを利用した調味料 - Google Patents

ホスファターゼ阻害剤及びそれを利用した調味料

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JPH0974994A
JPH0974994A JP24197695A JP24197695A JPH0974994A JP H0974994 A JPH0974994 A JP H0974994A JP 24197695 A JP24197695 A JP 24197695A JP 24197695 A JP24197695 A JP 24197695A JP H0974994 A JPH0974994 A JP H0974994A
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JP
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phosphatase inhibitor
meat
seasoning
ribonucleotides
inhibitor according
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Application number
JP24197695A
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English (en)
Inventor
Ikuo Katsumi
郁男 勝見
Takahiro Saito
隆宏 斉藤
Taizo Kawabe
泰三 川辺
Naoko Yasuhara
直子 安原
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】旨味成分である5’ヌクレオチドの分解を防止
し、味の劣化を防ぎうるホスファターゼ阻害剤を提供
し、またホスファターゼによる5’ヌクレオチドの分解
を防止し、味の劣化を防ぎ得る調味料、つまり5’ヌク
レオチドと共に特定のリンゴの未熟果、またはその調味
料の1種または2種からなるホスファターゼ阻害剤を含
有する調味料も提供すること。 【解決手段】リンゴの未熟果またはその抽出物の少なく
とも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホスファターゼ阻
害剤に関し、またホスファターゼ阻害剤と5′リボヌク
レオチドを含有する調味料に関する。さらに詳しくは、
畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉または干物、野菜類、卵
及びそれらの加工品、すり身、味噌、醤油、漬物、ハ
ム、ソーセージ、辛子明太子、塩辛、佃煮等での元来有
しているか、或いは核酸調味料由来のイノシン酸(以下
IMPと称す。)、アデノシンモノフォスフェート(以
下AMPと称す。)、グアニル酸(以下GMPと称
す。)等の5′リボヌクレオチドのホスファターゼによ
る分解を防止するホスファターゼ阻害剤に関し、これに
より食品中に旨味成分を蓄積し、味の劣化を防止せんと
するものである。また、上記食品にIMP、AMP、G
MP等の核酸由来の5′リボヌクレオチドや調味料とし
て添加された5’リボヌクレオチドのホスファターゼに
よる分解を防止して、食品中に旨味成分を蓄積し、味の
劣化を防止するホスファターゼ阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉または干
物、その他食品の核酸成分であるIMP、GMP、AM
P等は食品におけるうまみ成分として知られているが、
ホスファターゼによる分解により劣化してくる。また、
畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉または干物、野菜類、卵
及びそれらの加工品であるハム、ソーセージ、すり身、
味噌、醤油、漬物、辛子明太子、塩辛、佃煮等の食品加
工工程中、及び食品中に5’リボヌクレオチドを含有す
る調味料を使用する場合、ホスファターゼ活性があると
調味料が分解され味の劣化が生じうる。そしてこのよう
なホスファターゼによる5′リボヌクレオチドの分解を
防止するには冷凍、冷蔵により食品等の温度を低く保っ
て、ホスファターゼの活性を抑制する方法がある。ま
た、ホスファターゼ阻害剤をこれら旨味成分劣化防止に
利用するという方法が提案されている。例えば、特公昭
45−18263号には、ヌクレオシド−5′−リン酸
エステル分解酵素を含有する食品に、キンミズヒキの親
水性有機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添加して得ら
れる沈澱物を添加して均一に分散せることを特徴とする
ヌクレオシド−5′−リン酸エステルが安定に含有され
た食品の製造法が、特公昭45−20542号には、ヌ
クレオシド−5′−リン酸エステル分解酵素を含有する
食品に、サングイソルバ・オフイシナリス・リンネの親
水性有機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添加して得ら
れる沈澱物を添加して均一に分散させることを特徴とす
るヌクレオシド−5′−リン酸エステルが安定に含有さ
れた食品の製造法が、特公昭45−20544号には、
ヌクレオシド−5′−リン酸エステル分解酵素を含有す
る食品に、コケモモの葉の親水性有機溶媒抽出液に非親
水性有機溶媒を添加して得られる沈澱物を添加して均一
に分散させることを特徴とするヌクレオシド−5′−リ
ン酸エステル類が安定に含有された食品の製造法が、特
公昭45−20545号には、ヌクレオシド−5′−リ
ン酸エステル分解酵素を含有する食品に、シンナモム・
カシア・ニースの親水性有機溶媒抽出液に非親水性有機
溶媒を添加して得られる沈澱物を添加して均一に分散さ
せることを特徴とするヌクレオシド−5′−リン酸エス
テル類が安定に含有された食品の製造法が、特公昭45
−20546号には、ヌクレオシド−5′−リン酸エス
テル分解酵素を含有する食品に、ウンカビリア・ガンビ
ール・ロクスブルギの葉の親水性有機溶媒抽出液に非親
水性有機溶媒を添加して得られる沈澱物を添加して均一
に分散させることを特徴とするヌクレオシド−5′−リ
ン酸エステル類が安定に含有された食品の製造法が、特
公昭45−20547号には、ヌクレオシド−5′−リ
ン酸エステル分解酵素を含有する食品に、ビンロウジュ
の種子の親水性有機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添
加して得られる沈澱物を添加して均一に分散させること
を特徴とするヌクレオシド−5′−リン酸エステル類が
安定に含有された食品の製造法が、特公昭45−205
48号には、ヌクレオシド−5′−リン酸エステル分解
酵素を含有する食品に、レウム・パルマートウム・リン
ネ・パリエータス、タングテイクム・マグシモウィッチ
の根茎の親水性有機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添
加して得られる沈澱物を添加して均一に分散させること
を特徴とするヌクレオシド−5′−リン酸エステル類が
安定に含有された食品の製造法が、それぞれ開示されて
いる。更には、特開平2−84141号には、ブドウの
皮の親水性溶媒抽出物を有効成分とする食品旨味成分保
存料が、特開平2−84148号にはヒシの実の親水性
溶媒抽出物を有効成分とする食品旨味成分保存料が、特
開平2−167050号には、ビンロウジュや貫衆の親
水性溶媒抽出物を有効成分とする食品旨味成分保存料
が、それぞれ開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのような食品
等を冷凍や冷蔵して低い温度で保ちホスファターゼの酵
素活性を抑える方法では、設備投資が必要となり、コス
ト、設備面積にも問題があり、また保存中に冷凍や冷蔵
による劣化も起きていた。さらに前記開示されている技
術では、供給面、価格、活性の強さ等により実用化しに
くい面がある等の問題を抱えている。
【0004】そこで、本発明は上記の点に鑑み、安価で
且つ安定供給可能な活性の強い植物、またはその抽出物
の中から選ばれたものを、畜肉、家禽肉、魚介肉等の食
肉または干物、加工食品、その他食品に対し、それらが
本来保有している、もしくは添加された旨味成分である
5’リボヌクレオチドの分解を防止し、味の劣化を防ぎ
うるホスファターゼ阻害剤を提供することにある。ま
た、畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉または干物、野菜
等、卵及びそれらの食品、その他食品に旨味成分である
5’リボヌクレオチドを含有する調味料を添加せんとす
る場合、ホスファターゼによる5’リボヌクレオチドの
分解を防止し、味の劣化を防ぎ得る調味料、つまり5’
ヌクレオチドと共に特定のリンゴの未熟果、またはその
調味料の1種または2種からなるホスファターゼ阻害剤
を含有する調味料も提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】鋭意検討の結果、ホスフ
ァターゼ阻害剤は、大方の植物にホスファターゼを阻害
する活性がみられるのでなく、むしろある特定の植物ま
たはその抽出物の中から選ばれたものに、強い阻害活性
を見いだす事により、従来の問題点を解決することがで
きる。
【0006】即ち、リンゴの未熟果またはその抽出物を
含有してなるホスファターゼ阻害剤である。そして、好
ましくは、食肉、野菜、卵等の食品由来のホスファター
ゼの酵素活性を阻害させるものが望ましい。
【0007】リンゴの未熟果またはその抽出物の少なく
とも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤を、食肉
またはその干物に作用させることを特徴とする味の劣化
防止方法である。リンゴの未熟果またはその抽出物の少
なくとも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤を、
調味料に作用させることを特徴とする味の劣化防止方法
である。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも
一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤を、畜肉、家
禽肉または魚介肉の少なくとも1種を含む食肉またはそ
の干物に対して、0.01〜5重量%となるように添加
することを特徴とする味の劣化防止方法である。リンゴ
の未熟果またはその抽出物の少なくとも一方を含有して
なるホスファターゼ阻害剤を含む処理液に、畜肉、家禽
肉または魚介肉の少なくとも1種を含む食肉またはその
干物を浸漬して、食肉または干物に0.01〜5重量%
のホスファターゼ阻害剤を含有させることを特徴とする
味の劣化防止方法である。リンゴの未熟果またはその抽
出物の少なくとも一方を含有してなるホスファターゼ阻
害剤を、5′リボヌクレオチドの旨味成分を含む調味料
により味付けされる食品に対して0.01%〜5重量%
となるように添加することを特徴とする味の劣化防止方
法。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも一方
を含有してなるホスファターゼ阻害剤を含む処理液に、
5′リボヌクレオチドの旨味成分を含む調味料により味
付けされる食品を浸漬して、食品に0.01%〜5重量
%のホスファターゼ阻害剤を含有させることを特徴とす
る味の劣化防止方法である。
【0008】リンゴの未熟果またはその抽出物の少なく
とも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リ
ボヌクレオチドを含有する調味料である。
【0009】リンゴの未熟果またはその抽出物の少なく
とも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リ
ボヌクレオチドを含有する調味料を食肉、野菜または卵
の少なくとも1種を含む食品に添加して5′リボヌクレ
オチドの旨味を持続させる方法である。リンゴの未熟果
またはその抽出物の少なくとも一方を含有してなるホス
ファターゼ阻害剤と5′リボヌクレオチドを含有する調
味料を漬物に添加して5′リボヌクレオチドの旨味を持
続させる方法である。リンゴの未熟果またはその抽出物
の少なくとも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤
と5′リボヌクレオチドを含有する調味料をすり身に添
加して5′リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法で
ある。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも一
方を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リボヌク
レオチドを含有する調味料を辛子明太子に添加して5′
リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法である。リン
ゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも一方を含有し
てなるホスファターゼ阻害剤と5′リボヌクレオチドを
含有する調味料を魚介塩辛に添加して5′リボヌクレオ
チドの旨味を持続させる方法である。
【0010】リンゴの未熟果またはその抽出物の少なく
とも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リ
ボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付けした
食肉、野菜または卵の少なくとも1種を含む食品であ
る。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも一方
を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リボヌクレ
オチドを含有する調味料を利用して味付けした漬物であ
る。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも一方
を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リボヌクレ
オチドを含有する調味料を利用して味付けしたすり身で
ある。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なくとも一
方を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リボヌク
レオチドを含有する調味料を利用して味付けした辛子明
太子である。リンゴの未熟果またはその抽出物の少なく
とも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤と5′リ
ボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付けした
魚介塩辛である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるホスファターゼと
は、前述の通り、IMP、AMP、GMP等に含まれて
いる核酸由来の5’リボヌクレオチドを分解する酵素で
ある。その酵素としては、特に食肉、野菜、卵等に含ま
れているものである。そして、ホスファターゼ阻害剤
は、前述のホスファターゼの酵素活性を抑制し、5’リ
ボヌクレオチドを分解を防ぎ、食品の旨味を持続させた
り、味の劣化を防止するものである。
【0012】本発明に用いるリンゴとしては、バラ科に
属する植物であり、例えば、品種としては、富士、国
光、陸奥等が例示できる。また、このようなリンゴの未
熟果を用いることが可能であり、特に好ましくは熟して
いない未熟果から得られる果肉を用いることが望まし
い。このようなリンゴの未熟果から得られた抽出物も用
いることができ、その抽出物を得る方法としては、水蒸
気蒸留法、圧搾法、石油エーテルやアルコール、水等の
有機溶媒による溶剤抽出法、油脂等の吸着による油脂吸
着法、プロパンやブタン等の液化ガスによる液化ガス抽
出法、超臨海抽出法が挙げられる。また、必要に応じて
吸着樹脂、濾過膜等により精製することもありうる。
【0013】本発明の畜肉としては、牛、豚から得られ
る食肉であり、家禽肉としては、兎、鳥から得られる食
肉であり、魚介肉としては、魚、貝等から得られる食肉
である。さらにその干物としては、自然や乾燥機械等の
人手により乾燥して得られた乾物である。
【0014】本発明の漬物としては、野菜、魚等の素材
を塩、酢酸、味噌、酒粕、糠、アミノ酸、核酸等と様々
な調味料とともに一定期間、漬け込んだものを意味する
ものである。その具体的な例としては、醤油漬け、味噌
漬け、奈良漬け、粕漬け、塩漬け、酢漬け等である。
【0015】本発明のすり身としては、魚肉を塩ととも
に、魚肉タンパクを塩析させて変成させたゲル状に形成
されたものであり、蒲鉾やはんぺん等に用いることがで
きる。
【0016】本発明の辛子明太子としては、魚卵、特に
スケトウタラの卵を唐辛子を原料とした漬液に付け込ん
だ食品である。
【0017】本発明の魚介塩辛としては、魚肉、内蔵等
を、塩や核酸等の調味料とともに一定期間、漬込んだ
り、あるいは醗酵させたものである。
【0018】本発明の食品としては、一般的な食品であ
り、ハム、ソーセージ等の加工食品も含まれるものであ
る。そして、その原料となるものは、食肉、野菜または
卵の少なくとも1種を含むものである。
【0019】本発明の処理液としては、本発明に食肉ま
たは干物を浸漬する液体であり、そのような液体として
は、ホスファターゼ阻害剤を含むものである。また、必
要に応じて調味料を含んだものも用いることができる。
【0020】そして、本発明の調味料としては、味付け
を目的とする食品であり、具体的には、リンゴの未熟果
またはその抽出物からなるホスファターゼ阻害剤と5’
リボヌクレオチドとを含有せしめる調味料が用いられ
る。このような前記調味料は、畜肉、家禽肉、魚介肉等
の食肉またはその干物や、食肉、野菜または卵の少なく
とも1種を含む食品、例えばハム、ソーセージ、すり
身、味噌、醤油、辛子明太子、塩辛、佃煮、マヨネー
ズ、大豆蛋白食品等の加工工程中、及び食品中に使用す
ることにより、食品等の旨味を持続させることができ
る。本発明のホスファターゼ阻害剤を食品に用いる場
合、粉末、液体等のいずれの形態でも良く、必要に応じ
種々他の調味料と混合して用いても良い。用いる食品に
対し0.01〜5%となる様に添加する事により効果を
発揮でき、また本発明の調味料を食品に用いる場合、粉
末、液体等いずれの形態でも良く、必要に応じ種々他の
調味料、食品添加剤と混合して用いても良い。このよう
な調味料は、用いる食品に対し5’リボヌクレオチドと
しては0.001〜5%、ホスファターゼ阻害剤として
は0.01〜5%となる様に添加する事により効果を発
揮できる。このような5′リボヌクレオチドの具体的な
ものとしては、IMP、AMP、GMP等が列挙され、
さらにそのナトリウム塩等がある。そして本発明は、リ
ンゴの未熟果を含むホスファターゼ阻害剤により、畜
肉、家禽肉、魚介肉の少なくとも1種以上を含む食肉
や、食肉、野菜、または卵の少なくとも1種を含む食品
中のホスファターゼを阻害し、それら食品中の5′リボ
ヌクレオチド、または本発明の調味料中に共に含有する
5′リボヌクレオチドの分解を防止し味の劣化を防ぎう
るものである。生体中高エネルギー化合物のATP(ア
デノシントリフォースフェート)は、ATP→ADP
(アデノシンジフォスフェート)→AMP(アデノシン
モノフォスフェート)→IMP(イノイン酸)→HxR
(イノシン)→Hx(ヒポキサンチン)の順で分解され
て尿酸になる。死直後には、イノシン以後の代謝物はあ
まりみられず、その後鮮度低下と共に、AMP、イノシ
ン酸等が減少し、イノシン、ヒポキサンチンが増加して
くる。これらの分解反応は、関連する酵素に依存する。
イノシン酸からイノシンへの代謝に関与している酵素が
ホスファターゼ(5′ヌクレオチダーゼを含む)であ
り、この酵素はAMPからアデノシン、GMP(グアノ
シンモノフォスフェート)からグアノシンへの代謝にも
関与している。IMP、AMP、GMP等の核酸成分は
いずれも食品における旨味成分である。従って、これら
旨味成分を含む畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉またはそ
の干物にホスファターゼ阻害剤を作用させることによ
り、IMP、AMP、GMP等の旨味成分が蓄積し、味
の改良、劣化防止に役立てることが出来る。また、その
他食品中に含まれる核酸成分の分解をも防止し、更には
畜肉、家禽肉、魚介肉、野菜類、卵の食品中、その他の
食品中に添加した核酸調味料の劣化、ひいては味の劣化
も、本発明のホスファターゼ阻害剤により防ぐ事が出来
る。しかし、全ての植物成分がこのようなホスファター
ゼ阻害剤を有しているとはいえない。
【0021】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は本発明を制限するものではな
い。 (実施例1)リンゴの未熟果(青森県産の富士)100
gに水50gを加えた後に、市販のミキサーにより粉砕
し、さらに綿布で濾したリンゴ抽出物を、ホスファター
ゼ阻害剤として以下の実施例に用いた。
【0022】(実施例2) <キュウリ・ホスファターゼ阻害活性の測定>キュウリ
100gに水50gを加えホモジナイズし、このホモジ
ネートを酵素源として使用した。阻害活性の測定は、イ
ノシン酸二ナトリウムの残存量をHPLCで定量するこ
とにより算出した。即ち、実施例1のリンゴ抽出物50
mgにエタノール60μlを添加し懸濁させ、キュウリ
・ホモジネート1.5gを加え、ここに35mMイノシ
ン酸二ナトリウム水溶液440μlを加え、37℃で4
時間反応させた。反応は25%トリクロロ酢酸0.6m
lを添加して停止し、反応液を遠心分離した。この上清
のイノシン酸量を測定した。そして、阻害活性を下記の
HPLCの条件により測定し、算出した。その算出方法
は、下記に示す式により行った。その結果、阻害活性は
43%であった。尚、HPLCの条件は以下のとおりで
あった。 カラム: 逆相系シリカゲルカラム(商品名:コスモ
シール 5C18 ナカライテスク株式会社製) 移動相: 0.03M リン酸カリウム:アセトニト
リル=98:2 〈阻害活性を算出する式〉 阻害活性(%)=100−(X−A)/(B−A)×1
00 A;0時間反応後の被検サンプル無添加時のイノシン酸
量(μmol) B;所定時間反応後の被検サンプル無添加時のイノシン
酸量(μmol) X;所定時間反応後の被検サンプル添加時のイノシン酸
量(μmol)
【0023】(実施例3)食塩47%、グルタミン酸ソ
ーダ16%、イノシン酸ソーダ6%、実施例1のリンゴ
抽出物31%を含有する調味料96gを水500mlに
加え、この調味液に塩漬けしておいた胡瓜1Kgを漬物
の作製の常法に従って漬けて漬物を作製した。また、リ
ンゴ抽出物が無添加の漬物も同様の方法により作製し
た。そして、冷暗所に3日間保蔵した後、この2種類の
漬物について、18人のパネラーに試食(盲目テスト)
してもらったところ、全員がリンゴ抽出物を含む調味液
により作製された漬物の方がイノシン酸によるおいし
さ、塩辛さを抑えたまろやかの味等によるおいしく感
じ、リンゴ抽出物が無添加の漬物は、塩辛く生に近い味
であった。又、この時それぞれの胡瓜中に含まれるイノ
シン酸量を実施例2と同様の条件でHPLCで定量する
ことにより算出した。即ち、胡瓜の漬物約5gを正確に
量りとり、これに市水122mlを加えてホモジナイズ
後、その液4.2mlに25%トリクロロ酢酸液0.1
mlを加えた後に、遠心分離を行い、その上清を濾過し
水で10倍に希釈したものをHPLCで測定した。その
結果、リンゴ抽出物を添加した場合の胡瓜中のイノシン
酸含量は300μg/g、無添加の場合は11μg/g
であった。
【0024】(実施例4)食塩6g、グルタミン酸ソー
ダ20g、イノシン酸ソーダ3g、淡口醤油700g、
実施例1のリンゴ抽出物24g、ソルビン酸1.6g、
色素微量を水600mlに加え、この調味液に塩蔵胡瓜
1Kgを圧搾したものを漬物作製の常法に従って漬け、
冷暗所に2日間保蔵した後、袋詰めし、80℃20分加
熱殺菌し、漬物を作製した。また、リンゴ抽出物が無添
加の漬物も同様の方法により作製した。そして、室温で
2ケ月保蔵した後、この2種類の漬物を15人のパネラ
ーに試食(盲目テスト)してもらったところ、全員がリ
ンゴ抽出物を添加した調味液により作製された漬物の方
が、イノシン酸によるおいしさ、塩辛さを抑えたまろや
かさ等よりおいしく感じ、リンゴ抽出物が無添加の漬物
は塩辛く生に近い味であった。又、この時それぞれの胡
瓜中に含まれるイノシン酸量を実施例2と同様の条件で
HPLCで定量することにより算出した。即ち、胡瓜の
漬物約5gを正確に量りとり、これに市水122mlを
加えてホモジナイズ後、その液4.2mlに25%トリ
クロロ酢酸液0.1mlを加えた後、遠心分離を行い、
その上清を濾過し水で10倍に希釈したものをHPLC
で測定した。その結果、リンゴ抽出物を添加した場合の
胡瓜中のイノシン酸含量は280μg/g、無添加の場
合は17μg/gであった。
【0025】(実施例5)グチ172gをすりつぶして
すり身としたものにデンプン13g、大豆蛋白3g、食
塩3g、砂糖5g、グルタミン酸ソーダ1.5g、イノ
シン酸ソーダ150mg、実施例1のリンゴ抽出物2g
を加え冷して、よくすりつぶしながら混ぜ込み形を整え
25℃で12時間放置した後、蒸し器にいれ85℃で5
0分蒸し、冷却して蒲鉾を作製した。また、リンゴ抽出
物が無添加の蒲鉾も同様の方法により作製した。そし
て、この2種類の蒲鉾を17人のパネラーに試食(盲目
テスト)してもらったところ、全員がリンゴ抽出物を含
む蒲鉾をおいしく感じた。又、この時それぞれの蒲鉾中
に含まれるイノシン酸量を実施例2と同様の条件でHP
LCで定量することにより算出した。即ち、蒲鉾約5g
を正確に量りとり、これに市水122mlを加えてホモ
ジナイズ後、その液4.2mlに25%トリクロロ酢酸
液0.1mlを加えた後、遠心分離を行い、その上清を
濾過し水で10倍に希釈したものをHPLCで測定し
た。その結果、リンゴ抽出物を添加した場合の蒲鉾中イ
ノシン酸含量は300μg/g、無添加の場合は12μ
g/gであった。
【0026】(実施例6)食塩80g、リンゴ酸ソーダ
20g、グルタミン酸ソーダ8g、アスコルビン酸ソー
ダ19g、イノシン酸ソーダ4g、実施例1のリンゴ抽
出物10g、少量の赤唐辛子に水80mlを加えて調製
した液に、たらこ卵1Kgを漬け1時間ごとに手返しを
行い10時間漬け込んで辛子明太子を作製した。また、
リンゴ抽出物が無添加の辛子明太子も同様の方法により
作製した。そして、この2種類の辛子明太子を室温で1
週間放置後に、16人のパネラーに試食(盲目テスト)
してもらったところ、全員がリンゴ抽出物を添加した辛
子明太子の方がイノシン酸ソーダによるおいしさと塩辛
さが減少したまろやかさ等によりおいしく感じた。
【0027】(実施例7)いかの切り身100gに肝臓
6g、食塩18g、グルタミン酸ソーダ1.0g、イノ
シン酸ソーダ0.4g、実施例1のリンゴ抽出物1.0
gを加え瓶詰めにし約1ケ月置いて塩辛を作製した。ま
た、リンゴ抽出物が無添加の塩辛も同様の方法により作
製した。そして、この2種類の塩辛を室温で1週間放置
後に、19人のパネラーに試食(盲目テスト)をしても
らったところ、全員がリンゴ抽出物を添加した塩辛の方
がイノシン酸によるおいしさと塩辛さが減少したまろや
かさ等によりおいしく感じた。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明に係わるリンゴ未
熟果を含むホスファターゼ阻害剤は、畜肉、家禽肉、魚
介肉等の食肉または干物の旨味成分、及びそれら肉類の
加工品、野菜類、卵、その他の食品に添加した核酸調味
料抽出物中の核酸成分IMP、AMP、GMPの分解を
防止し、味の劣化を防ぐ事が出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/325 A23L 1/325 D 101D 101 1/328 Z 1/328 C12N 9/99 // C12N 9/99 A23B 4/02 C

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リンゴの未熟果またはその抽出物の少な
    くとも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤。
  2. 【請求項2】 食肉、野菜、卵等の食品由来のホスファ
    ターゼの酵素活性を阻害させるものである請求項1記載
    のホスファターゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】 リンゴの未熟果またはその抽出物の少な
    くとも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤を、食
    肉またはその干物に作用させることを特徴とする味の劣
    化防止方法。
  4. 【請求項4】 リンゴの未熟果またはその抽出物の少な
    くとも一方を含有してなるホスファターゼ阻害剤を、調
    味料に作用させることを特徴とする味の劣化防止方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    を、畜肉、家禽肉または魚介肉の少なくとも1種を含む
    食肉またはその干物に対して、0.01〜5重量%とな
    るように添加することを特徴とする味の劣化防止方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤を
    含む処理液に、畜肉、家禽肉または魚介肉の少なくとも
    1種を含む食肉またはその干物を浸漬して、食肉または
    干物に0.01〜5重量%のホスファターゼ阻害剤を含
    有させることを特徴とする味の劣化防止方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    を、5′リボヌクレオチドの旨味成分を含む調味料によ
    り味付けされる食品に対して0.01%〜5重量%とな
    るように添加することを特徴とする味の劣化防止方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤を
    含む処理液に、5′リボヌクレオチドの旨味成分を含む
    調味料により味付けされる食品を浸漬して、食品に0.
    01%〜5重量%のホスファターゼ阻害剤を含有させる
    ことを特徴とする味の劣化防止方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤と
    5′リボヌクレオチドを含有する調味料。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を食肉、野菜
    または卵の少なくとも1種を含む食品に添加して5′リ
    ボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を漬物に添加
    して5′リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料をすり身に添
    加して5′リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  13. 【請求項13】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を辛子明太子
    に添加して5′リボヌクレオチドの旨味を持続させる方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を魚介塩辛に
    添加して5′リボヌクレオチドの旨味を持続させる方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味
    付けした食肉、野菜または卵の少なくとも1種を含む食
    品。
  16. 【請求項16】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味
    付けした漬物。
  17. 【請求項17】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味
    付けしたすり身。
  18. 【請求項18】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味
    付けした辛子明太子。
  19. 【請求項19】 請求項1記載のホスファターゼ阻害剤
    と5′リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味
    付けした魚介塩辛。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0845217A1 (en) * 1996-11-20 1998-06-03 The Procter & Gamble Company Inhibiting undesirable taste in oral compositions
JP2001252009A (ja) * 2000-03-15 2001-09-18 Nakajima Suisan Co Ltd 塩辛類、魚介類漬物及び塩漬加工品等の熟成制御方法
JP2008099683A (ja) * 2006-09-22 2008-05-01 Sanei Gen Ffi Inc 高甘味度甘味料の呈味改善方法

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