JPH0971528A - 抗腫瘍剤 - Google Patents

抗腫瘍剤

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JPH0971528A
JPH0971528A JP8177237A JP17723796A JPH0971528A JP H0971528 A JPH0971528 A JP H0971528A JP 8177237 A JP8177237 A JP 8177237A JP 17723796 A JP17723796 A JP 17723796A JP H0971528 A JPH0971528 A JP H0971528A
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cancer
tumor
bis
butenyl
phenyl
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JP8177237A
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English (en)
Inventor
Nariyuki Arai
成之 新井
Taiji Nishizaki
泰司 西▲ざき▼
Tetsuo Kimoto
哲夫 木本
Masashi Kurimoto
雅司 栗本
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 著明な抗腫瘍作用を示しつつも、副作用を起
こし難い、安全な抗腫瘍剤を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 有効成分として3−[4−ヒドロキシ−
3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]
−2−プロペン酸又はその生理学的に許容される塩を含
んでなる抗腫瘍剤により解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は抗腫瘍剤、とりわ
け、有効成分として3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビ
ス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロ
ペン酸又はその生理学的に許容される塩を含んでなる抗
腫瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】悪性腫瘍を治療する現在の医療現場にお
いては、悪性腫瘍の早期発見と外科的切除に主眼が置か
れている。悪性腫瘍が外科的に切除し難い部位に発生し
たり、原発部位以外の部位への転移や浸潤が考えられる
場合には、患部に放射線を照射したり、抗腫瘍剤を定期
的に投与する治療法が行なわれる。
【0003】後者の治療法の場合、現在頻用されている
抗腫瘍剤は、(i)免疫賦活作用を利用するタイプ、
(ii)代謝拮抗作用を利用するタイプ及び(iii)
腫瘍細胞を直接殺傷する作用を利用するタイプに大別す
ることができる。このうち、(ii)及び(iii)の
タイプ、とりわけ、人工的に創成したものは抗腫瘍作用
が強い半面、副作用が強く、長期連用の難しいことがあ
る。(i)のタイプは副作用は弱いものの、抗腫瘍作用
が充分でないものが多く、その多くは他の薬剤と併用す
るか、末期の悪性腫瘍患者で、他に有効な治療方法がな
い場合に適用されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】斯かる状況に鑑み、こ
の発明の目的は著明な抗腫瘍作用を示しつつも、副作用
を起こし難い、安全な抗腫瘍剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】斯かる課題を解決すべ
く、本発明者が種々の天然抽出物、とりわけ、プロポリ
ス抽出物中の抗腫瘍性物質について鋭意研究したとこ
ろ、カルボン酸の一種である3−[4−ヒドロキシ−
3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]
−2−プロペン酸及びその塩に著明な抗腫瘍作用のある
ことが判明した。
【0006】プロポリス抽出物は、抗菌剤、抗炎症剤、
抗腫瘍剤などとして古くから民間伝承薬として用いられ
ている。最近になってプロポリス抽出物の生物作用に近
代科学のメスが入るようになり、例えば、松田忍『フー
ズ・アンド・フード・イングレディエンツ・ジャーナル
・オブ・ジャパン』、1994年、第160号、第64
乃至73頁には、プロポリス抽出物に含まれるケルセチ
ン、カフェイン酸フェネチルエステル及びクロレダン系
ジテルペンに分類される新規化合物がヒトの悪性腫瘍に
対して抗腫瘍作用を発揮したことが記載されている。
【0007】本発明者がプロポリス抽出物中に存在と抗
腫瘍作用を確認した3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビ
ス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロ
ペン酸は自体公知の化合物であり、例えば、本特許出願
人は特開平6−256177号公報において同化合物を
プロポリス抽出物から単離し得ることを開示した。しか
しながら、本発明者が知るかぎりにおいて、同化合物の
抗腫瘍作用を教示又は示唆する刊行物等は存在せず、そ
れを有効成分として含んでなる抗腫瘍剤はこの発明をも
って嚆矢とするものである。
【0008】
【作用】有効成分として3−[4−ヒドロキシ−3,5
−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−
プロペン酸又はその生理学的に許容される塩を含んでな
るこの発明の抗腫瘍剤は、ヒトに発生する種々の悪性腫
瘍に対して著明な抗腫瘍作用を発揮する。実験動物を用
いる急性毒性試験の結果に依ると、それら化合物は毒性
が極めて低い。
【0009】以下、この発明の抗腫瘍剤について詳細に
説明すると、この発明の抗腫瘍剤で用いる3−[4−ヒ
ドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)
フェニル]−2−プロペン酸及びその塩は下記の化1に
示す構造を有している。化1において、Xは生理学的に
許容される陽イオンを表わし、斯かる陽イオンとして
は、例えば、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウム
イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アン
モニウムイオンなどが挙げられる。
【0010】
【化1】
【0011】この発明で用いる3−[4−ヒドロキシ−
3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]
−2−プロペン酸及びその塩は天然の給源から採取して
も化学合成してもよく、所期の効果を発揮するかぎり、
出所・由来は問わない。天然の給源としてはプロポリス
や、例えば、カワラヨモギなどのキク科植物の葉茎が挙
げられ、例えば、特開平6−256177号公報、シー
・ツェロら『フィトケミストリー』、第25巻、第12
号、第2,841乃至2,855頁(1986年)及び
アイ・オクノら『ケミカル・ファーマシューティカル・
ブレティン』、第36巻、第2号、第769乃至775
頁(1988年)には、それら給源から3−[4−ヒド
ロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フ
ェニル]−2−プロペン酸を単離する方法が詳述されて
いる。化学合成する場合には、例えば、特開昭60−1
63841号公報に開示された方法が有利に適用でき
る。
【0012】天然の給源から単離する方法について概説
すれば、まず、原料のプロポリスやキク科植物の葉茎を
破砕し、水若しくはメタノール、エタノール、アセト
ン、ジエチルエーテル、酢酸エチルなどの有機溶媒又は
それらの混液により抽出し、得られた抽出物を濃縮し、
精製する。抽出物の濃縮・精製には類似の化合物を濃縮
・精製するための通常の方法を適用すればよく、斯かる
方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、分液、分別
沈澱、結晶化、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速
液体クロマトグラフィーなどが挙げられ、これらは必要
に応じて適宜組合せて適用される。なお、3−[4−ヒ
ドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)
フェニル]−2−プロペン酸の生理学的に許容される塩
を得るには、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3
−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸
に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウ
ムなどの水酸化物を作用させればよい。斯かる塩は3−
[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブ
テニル)フェニル]−2−プロペン酸に比べて水溶性良
好であり、製剤化や高用量投与の際の取扱いに優れてい
る。
【0013】この発明でいう抗腫瘍剤とは、3−[4−
ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニ
ル)フェニル]−2−プロペン酸又はその塩単独の形態
はもとより、これらと製剤化に際して通常用いられる、
例えば、担体、賦形剤、希釈剤、安定剤、さらには、必
要に応じて、インターフェロン−α、インターフェロン
−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イ
ンターロイキン12、TNF−α、TNF−β、シクロ
フォスファミド、アドリアマイシン、α−ジフルオロメ
チルオルニチン、メルファラン、5−フルオロウラシ
ル、ドキソルビシン、クロラムブシル、ビンブラスチ
ン、1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ
ウレア、シスプラチン、レバミゾール、D−ペニシラ
ン、金製剤、BCG、クレスチン、ピシバニール(OK
−432)、丸山ワクチン及びレンチナンを始めとする
他の生理活性物質の1種又は2種以上との組成物として
の形態をも包含する。
【0014】さらに、この発明の抗腫瘍剤は投薬単位形
態の薬剤としての形態であってもよく、その投薬単位形
態の薬剤とは、この発明の抗腫瘍剤における有効成分で
ある3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル
−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸又はその
塩の1回当りの用量又はその整数倍(4倍まで)若しく
はその約数(1/40まで)に相当する量を含有し、投
与に適した物理的に分離した一体の剤形にある形態を意
味する。斯かる投薬単位形態の薬剤とは、例えば、注射
剤、液剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、舌下剤、
点眼剤、点鼻剤、坐剤などが挙げられる。剤形にも依る
が、この発明の抗腫瘍剤は、通常、3−[4−ヒドロキ
シ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニ
ル]−2−プロペン酸又はその塩を0.01重量%以上
含有する。
【0015】この発明の抗腫瘍剤の使用方法について説
明すると、この発明の抗腫瘍剤は経口的に投与しても非
経口的に投与しても、著明な抗腫瘍作用を発揮する。悪
性腫瘍の種類と症状にも依るが、具体的には、患者の症
状や投与後の経過を観察しながら、成人当たり約1μg
乃至10mg、望ましくは、約10μg乃至1mgを1
乃至4回/日又は1乃至5回/週の用量で経口投与する
か、皮内、皮下、筋肉内若しくは静脈内又は経皮的に非
経口投与すればよい。
【0016】この発明の抗腫瘍剤は、ヒトに発生する各
種の悪性腫瘍に対して著明な抗腫瘍作用を発揮する。個
々の悪性腫瘍としては、例えば、結腸癌、直腸癌、胃
癌、甲状腺癌、舌癌、膀胱癌、絨毛癌、肝癌、子宮癌、
前立腺癌、喉頭癌、肺癌、乳癌、悪性黒色腫、カポジ肉
腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、卵巣腫瘍、睾丸腫瘍、骨肉
腫、膵臓癌、腎癌、副腎腫、血管内皮腫などの固形腫瘍
及び白血病、リンパ腫などの血球系悪性腫瘍が挙げられ
る。
【0017】次の実験例では、齧歯類を用いる動物実験
に基づきこの発明の抗腫瘍剤の有効性と毒性を説明する
が、齧歯類における後記悪性腫瘍がヒトにおける悪性腫
瘍の信頼できるモデルであることはすでに知られてい
る。
【0018】
【実験例1】 〈3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−
2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩
の調製〉
【0019】
【実験例1−1】 〈3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−
2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸の調製〉特
開平6−256177号公報に記載された方法にしたが
って、プラジル産プロポリスから3−[4−ヒドロキシ
−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニ
ル]−2−プロペン酸(以下、「化合物1」と言う。)
を調製した。
【0020】すなわち、プラジル産プロポリス塊15
3.3重量部を破砕し、酢酸エチルを加えて抽出後、メ
タノールを加え、生じた沈澱部を遠心分離により除去す
る一方、エバポレータにより上清部を濃縮し、エタノー
ルを加えた。新たに生じた沈澱部を遠心分離により除去
し、残る上清部を上記と同様に濃縮後、メタノールを加
えて抽出液63.9重量部を得た。
【0021】この抽出液を固形物換算で35重量部と
り、片山化学工業製『シリカゲル60G650』のカラ
ムに負荷し、濃度勾配下、ヘキサンと酢酸エチルの混液
を通液した。そして、ヘキサンと酢酸エチルの濃度比が
59:41乃至57:43の範囲で溶出した画分を採取
し、これをファルマシア製『セファデックスLH−2
0』のカラムに負荷し、メタノールをSV0.16で通
液し、ゲル容量の1.1倍付近で溶出した画分を採取
し、濃縮したところ、結晶が析出した。この結晶をヘキ
サンで洗浄後、乾燥したところ、結晶性固状物が0.2
8重量部得られた。
【0022】この結晶性固状物の一部を採り、常法にし
たがって元素分析法、質量分析法、紫外線分光法、赤外
線分光法及び核磁気共鳴分光法により分析し、分析結果
をアイ・オクノら『ケミカル・ファーマシューティカル
・ブレティン』、第36巻、第2号、第769乃至77
5頁(1988年)に報告されている3−[4−ヒドロ
キシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェ
ニル]−2−プロペン酸の分析結果と比較したところ、
いずれも良好な一致を示した。斯くして、上記操作によ
りプロポリスから得られた結晶状の化合物は3−[4−
ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニ
ル)フェニル]−2−プロペン酸と同定された。
【0023】
【実験例1−2】 〈3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−
2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸塩の調製〉
実験例1−1の方法で調製した化合物1を約10重量%
になるようにエタノールに溶解し、等モルの水酸化ナト
リウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又は水
酸化カリウムを加えた後、遠心濃縮機により濃縮・乾燥
して固状物を得た。実験例1−1の方法により調製した
化合物1及び本例において調製したそれらナトリウム塩
(以下、「化合物2」と言う。)、カルシウム塩(以
下、「化合物3」と言う。)、マグネシウム塩(以下、
「化合物4」と言う。)及びカリウム塩(以下、「化合
物5」と言う。)を適宜濃度の水溶液とし、常法により
滅菌濾過した後、次に述べる動物実験に供した。
【0024】
【実験例2】 〈担癌マウスにおける抗腫瘍作用〉8週齢の雄BALB
/cマウスの腹腔内にMeth A腹水腫瘍細胞を約1
×106 個/匹注射移植した。翌日よりマウスを1群1
0匹とし、毎週2回、化合物1乃至5のいずれかを0.
0005μg、0.005μg、0.05μg又は0.
5μg含む生理食塩水0.2mlを腹腔内に注射投与
し、40日間観察を続けた。対照群には、同じ投与スケ
ジュールで薬剤無含有の生理食塩水を0.2ml/回腹
腔内注射投与した。
【0025】上記の条件における投与群の平均生存日数
(T)と対照群の平均生存日数(C)に基づき、下記の
数1により延命率(T/C %)を算出した。結果を表
1に示す。
【0026】
【数1】
【0027】
【表1】
【0028】表1の結果から明らかなように、化合物1
乃至5はいずれも0.05μg/匹/回以上の用量で同
系腫瘍担癌マウスに対して著明な延命効果を発揮した。
【0029】
【実験例3】 〈腫瘍増殖抑制による抗腫瘍作用〉実験例2の結果よ
り、ヌードマウスにおける化合物1乃至5の最少有効用
量を0.05μg/匹/回前後と推定し、ヒトの悪性腫
瘍を移植したヌードマウスに同用量の化合物1乃至5を
投与したときの抗腫瘍作用について試験した。
【0030】すなわち、8週齢の雄BALB/cヌード
マウスの背部皮下に表2に示すヒトの悪性腫瘍細胞を5
×107 個/匹注射移植した。その後、着生の確認され
た個体を1群7匹とし、週2回、化合物2を0.05μ
g含む生理食塩水0.2mlを背部皮下に注射投与し、
さらに25日間観察を続けた。対照群には、同じ投与ス
ケジュールで薬剤無含有の生理食塩水を0.2ml/回
投与した。
【0031】移植から27日目に、腫瘍湿重量を『人癌
とヌードマウス』、1982年、医歯薬出版発行、第3
21乃至323頁に記載されている方法に準じて測定す
るとともに、35日目の生存率(%)を計算した。結果
を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2の結果から明らかなように、化合物2
は比較的低用量を投与したにも拘らず、ヒトの肺癌、胃
癌、肝癌、子宮癌、大腸癌、結腸癌、鼻咽腔癌、喉頭
癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫などのヒトの悪性腫
瘍に対して著明な抗腫瘍作用を発揮し、移植後35日目
におけるマウスの生存率も高かった。なお、データは示
していないものの、化合物1及び化合物3乃至5につい
て同様の試験をしたところ、ほぼ同様の結果が得られ
た。
【0034】
【実験例4】 〈急性毒性試験〉体重10乃至20gのddyマウス1
0匹を1群とし、その腹腔内に実験例1−1及び1−2
の方法により得た適宜濃度の化合物1乃至5と5重量%
アラビアガムを含む生理食塩水を注射投与するか、胃ゾ
ンデにより経口投与し、その後7日間観察して死亡数を
調べ、Van der Vaerdenの面積法により
LD50値を求めた。
【0035】その結果、化合物1乃至5のLD50値は
いずれの投与経路によっても200mg/kg以上と著
しく高く、これは、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビ
ス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロ
ペン酸及びその塩が、通常、成人において数μg/回以
上の用量で有効であることを考え併せれば、この発明の
抗腫瘍剤が極めて安全性の高いことを裏付けていると言
える。
【0036】以下、実施例によりこの発明を具体的に説
明する。
【0037】
【実施例1】 〈錠剤〉常法により、1錠当たり実験例1−1及び1−
2の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを0.1
mg、乳糖79.9mg、コーンスターチ62.5mg
及び蔗糖脂肪酸エステル7.5mg含有する5種類の錠
剤を調製した。なお、錠剤が胃溶性剤の場合には、5重
量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースでコーティ
ングした後、糖衣を施し、腸溶性剤の場合には、10重
量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースでコーティ
ングした後、糖衣を施した。
【0038】本例の錠剤は、いずれも胃癌、肺癌、肝
癌、子宮癌、乳癌、大腸癌、結腸癌及び悪性黒色腫を始
めとするヒトの悪性腫瘍の治療剤として有用である。
【0039】
【実施例2】 〈カプセル剤〉常法により、1錠当たり実験例1−1及
び1−2の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを
0.2mg、乳糖146.8mg及び蔗糖脂肪酸エステ
ル3.0mg含有する5種類のカプセル剤を調製した。
【0040】本例のカプセル剤は、いずれも胃癌、肺
癌、肝癌、子宮癌、乳癌、大腸癌、結腸癌及び悪性黒色
腫を始めとするヒトの悪性腫瘍の治療剤として有用であ
る。
【0041】
【実施例3】 〈注射剤〉常法により、重炭酸ナトリウム5gに実験例
1−1及び1−2の方法により得た化合物1乃至5のい
ずれかを5mg混和し、滅菌したガラス容器に0.1g
ずつ充填して5種類の注射剤を調製した。
【0042】本例の注射剤は、いずれも用時溶解型の注
射剤であり、胃癌、肺癌、肝癌、子宮癌、乳癌、大腸
癌、結腸癌及び悪性黒色腫を始めとするヒトの悪性腫瘍
の治療剤として有用である。
【0043】
【実施例4】 〈外用剤〉常法により、実験例1−1及び1−2の方法
により得た化合物1乃至5のいずれかを有効成分として
少量の流動パラフィンに研和した後、ワセリンを加えて
有効成分を5mg/g含有する5種類の外用剤を調製し
た。
【0044】本例の外用剤は、いずれも皮膚癌、乳癌及
びリンパ腫を始めとするヒトの悪性腫瘍の治療剤として
有用である。
【0045】
【実施例5】 〈散剤〉常法により、1回用量当たり実験例1−1及び
1−2の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを
0.3mg及び重炭酸ナトリウム499.7mgを含有
する5種類の散剤を調製した。
【0046】本例の散剤は、いずれも胃癌、肺癌、肝臓
癌、子宮癌、乳癌、大腸癌、結腸癌及び悪性黒色腫を始
めとするヒトの悪性腫瘍の治療剤として有用である。
【0047】
【実施例6】 〈坐剤〉常法により、1回用量当たり実験例1−1及び
1−2の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを
0.3mg、ポリエチレングリコール#1000を1,
280mg、ポリエチレングリコール#4000を31
9.7mg含有する5種類の坐剤を調製した。
【0048】本例の坐剤は、いずれも大腸癌及び結腸癌
を始めとするヒトの悪性腫瘍の治療剤として有用であ
る。
【0049】
【発明の効果】以上説明のごとく、この発明は3−[4
−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニ
ル)フェニル]−2−プロペン酸及びその生理学的に許
容される陽イオンとの塩がヒトの悪性腫瘍に対して著明
な抗腫瘍作用を発揮するという独自の知見に基づくもの
である。これら化合物は自然界の生物から単離された物
質であり、人工的に創成されたものと比べて安全性が高
い。したがって、有効成分としてこれら化合物を含んで
なるこの発明の抗腫瘍剤は重篤な副作用を惹起すること
なく、ヒトの悪性腫瘍の治療に安全に用いることができ
る実益がある。
【0050】斯くも顕著な作用効果を発揮するこの発明
は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明で
あるといえる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効成分として3−[4−ヒドロキシ−
    3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]
    −2−プロペン酸又はその生理学的に許容される塩を含
    んでなる抗腫瘍剤。
  2. 【請求項2】 有効成分として3−[4−ヒドロキシ−
    3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]
    −2−プロペン酸又はその生理学的に許容される塩を
    0.01重量%以上含んでなる請求項1に記載の抗腫瘍
    剤。
  3. 【請求項3】 3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス
    (3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペ
    ン酸又はその生理学的に許容される塩がプロポリスから
    採取されたものである請求項1又は2に記載の抗腫瘍
    剤。
  4. 【請求項4】 生理学的に許容される塩がナトリウム
    塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又はア
    ンモニウム塩である請求項1、2又は3に記載の抗腫瘍
    剤。
JP8177237A 1995-07-05 1996-06-19 抗腫瘍剤 Pending JPH0971528A (ja)

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JP8177237A JPH0971528A (ja) 1995-07-05 1996-06-19 抗腫瘍剤

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JP7-191015 1995-07-05
JP19101595 1995-07-05
JP8177237A JPH0971528A (ja) 1995-07-05 1996-06-19 抗腫瘍剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342154A (ja) * 2000-03-28 2001-12-11 Hayashibara Biochem Lab Inc フェノール誘導体とその製造方法ならびに用途
KR20040024057A (ko) * 2002-09-13 2004-03-20 주식회사 백텍 치주질환 예방 및 헬리코박터파이로리균 억제 구강조성물
JP2006143685A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Morikawa Kenkoudou Kk マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
CN112423747A (zh) * 2018-04-27 2021-02-26 云杉生物科学公司 用于治疗睾丸肾上腺残余瘤和卵巢肾上腺残余瘤的方法

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