JPH0963617A - 燃料電池装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料電池本体の据付において、作業者の熟練
度にかかわらず信頼性の高い据付を可能にし、かつ作業
性を向上させることができる燃料電池装置を提供する。 【解決手段】 燃料電池本体１の底面に設けられた据付
座２の脚部先端に、衝撃吸収材３が取り付けられてい
る。燃料電池本体１外周の一側面には、水平方向に突出
した据付用ガイド６が設けられている。架構４の上部に
おける燃料電池本体１の据付座２に対応する位置には、
窪みが設けられている。この窪みは、その上部における
脚部の挿入口が、上方に向かって漸次開口面が拡大する
ように面取りがなされた傾斜付受座５として構成されて
いる。架構４の上部には、燃料電池本体１の据付用ガイ
ド６に対応する位置に、ガイドレール７が垂直方向に立
ち上げられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池本体を設
置場所に据付けるための構造に係り、特に、据付けの信
頼性と作業性を向上させた燃料電池装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】燃料電池は燃料を電気化学プロセスで酸
化させることにより、酸化反応に伴って放出されるエネ
ルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。火
力・水力発電のような発電方式は、熱エネルギーや運動
エネルギーの過程を経て発電が行われるものであるが、
燃料電池による発電システムはこのような過程を経ない
直接発電であるので、比較的小さな規模でも、４０〜５
０％という高い発電効率が期待できる。また、発電装置
内に燃焼サイクルを含まないので、近年、公害要因とし
て大きな社会問題となっているＳＯｘ、ＮＯｘの排出が
極めて少ない。そして、騒音や振動が小さいため、環境
特性に極めて優れているという特徴を有している。

【０００３】さらに、燃料電池は、負荷変動に対して応
答性が良く、原理的に高い変換効率が期待できるととも
に、発電に伴って発生する熱が給湯や暖冷房として利用
しやすいため、電気と熱を併給できるコージェネレーシ
ョンシステムとして、総合エネルギー効率を高めること
が可能である。

【０００４】現在開発が進められている燃料電池におい
ては、その発電部が多数の単電池を積層した積層体によ
って構成されている。単電池はセルと呼ばれ、一定量の
リン酸などの電解質を含浸させた電解質層を挟んで、燃
料極と空気極とからなる一対の多孔質電極を積層したも
のである。そして、セル一つ当たりの出力電圧では不十
分なため、複数のセルを四角柱状に複数個積層して直列
に接続した積層体を構成することにより、出力電圧を向
上させて用いられている。この積層体内の各セル間に
は、隣り合うセルの燃料極側ガス流路と空気極側ガス流
路が接する面を仕切り、ガスの相互流入を防ぐ導電性の
セパレータが設けられている。

【０００５】また、積層体の運転温度は高いほうが反応
論的には好ましいが、構成材料の耐熱性の制約から、２
００℃前後に維持することが望ましい。このため、積層
体内には、数個のセル毎に冷却板が配置され、この冷却
板に冷却水循環用の伝熱管が埋設されている。このよう
に、埋設された電熱管に冷却水を循環させ、運転中にセ
ルから発生する熱を除去するようにしている。

【０００６】以上のような構成の積層体に燃料、空気、
冷却水の出入りを一括して行なう装置を取り付け、容器
に収納したものが燃料電池スタックと呼ばれ、例えば、
特開昭６０−９３７６５号公報に示すようなものが知ら
れている。

【０００７】ところで、燃料電池は上述のように環境特
性に優れ、さらに、他の発電設備のように大量の海水、
河川水を冷却用に必要とするということもないので、燃
料電池発電プラントの立地場所に対する制約は厳しくな
い。したがって、燃料電池発電プラントは都市部へ設置
することが可能となる。しかし、都市部の設置には設置
面積の制約が多く、特に、電気や熱の需要があるホテ
ル、病院、レストラン、事務所ビル等に設置されるオン
サイト用燃料電池の場合には、それらのビル内に設置さ
れることが多いため、据付け面積、占有面積をできるだ
け小さくすることが要求される。

【０００８】このような燃料電池装置の一例として従来
から行なわれているものに、以下のようなものがある。
すなわち、図２に示すように、燃料電池本体１の設置場
所には、燃料電池スタックとしての燃料電池本体１が搭
載されて据付けられるフレーム状の架構４が設けられて
いる。燃料電池本体１には、その底面に据付け用の脚部
を有する据付座２が設けられている。このような燃料電
池本体１は、クレーン等によって操作されるワイヤーロ
ープａに吊り下げられて、クレーン操作によって架構４
の上方に運ばれる。そして、水平方向（Ｘ−Ｙ方向）と
垂直方向（Ｚ方向）の微調整を行いつつ位置合わせを行
った後、燃料電池本体１を下ろして、その底面の据付座
２を架構４の据付面に据付ける。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような燃料電池の据付け構造には以下のような問題点が
あった。すなわち、据付の際、燃料電池本体１はワイヤ
ーロープａによって吊り下げられるため、風や作業従事
者の熟練度の程度によって揺れが生じやすい上に、受け
側の架構４には据付のための目印又はガイドが無いた
め、位置合わせのための微調整が非常に困難で、作業性
がよくなかった。また、燃料電池本体１の据付座２が架
構４に接する際の衝撃によって、内部の積層体を構成す
るセル、セパレータ板、冷却板等が破損したり、外部に
突出したガイシ等が破損したりして、燃料電池本体１内
部の各接続箇所の断線・外れ等を招くことがあった。

【００１０】さらに、ワイヤーロープａによって吊り下
げられた燃料電池が、風や作業従事者の熟練度の程度に
よって揺れた場合、急激な加速度および振動が燃料電池
本体１に加わることがあり、このとき、上記のような破
損が生ずる場合もあった。

【００１１】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その主たる目
的は、燃料電池本体の据付において、作業者の熟練度に
かかわらず信頼性の高い据付を可能にし、かつ作業性を
向上させることができる燃料電池装置を提供することで
ある。本発明に他の目的は、据付作業時にワイヤーロー
プ等で吊された燃料電池本体の水平方向の揺れを防止す
る燃料電池装置を提供することである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、電解質層を挟んで配置され
た一対の燃料極と空気極からなるセルと、前記セルがセ
パレータ板を介して複数個積層された積層体と、前記積
層体内の複数のセル毎に挿入された冷却板と、前記積層
体の側面に設けられた反応ガス供給排出用のガスマニホ
ールドとを備えた燃料電池本体と、この燃料電池本体の
底面に設けられた支持用の脚部を有する据付座と、前記
燃料電池本体が前記据付座を介して搭載される架構とを
備えた燃料電池装置において、前記据付座の脚部先端に
衝撃吸収材を設け、前記架構の上面に、前記脚部が挿入
可能な窪みである受座を設け、前記受座の上部における
前記脚部の挿入口は、上方に向かって漸次開口面が拡大
する形状を有することを特徴とする。

【００１３】以上のような請求項１記載の発明では、燃
料電池本体を架構上に据え付ける際に、据付座の脚部を
架構の受座に位置合わせをする。このとき、受座の挿入
口は上方に向かって漸次開口面が拡大する形状となって
いるので、脚部が受座の中心に正確に一致しなくても、
開口面の一部に乗ればその傾斜に沿って脚部が中央にま
で導かれて据付が完了する。据付座の脚部が受座に接触
する際の衝撃は、脚部先端に設けられた衝撃吸収材によ
って吸収される。

【００１４】請求項２記載の発明は、請求項１記載の燃
料電池装置において、前記燃料電池本体の側面に据付用
ガイドを設けるとともに、この据付用ガイドを介して前
記燃料電池本体の上下方向の移動を案内可能なガイドレ
ールを、前記架構に直立設置したことを特徴とする。

【００１５】以上のような請求項２記載の発明では、燃
料電池本体をワイヤーロープ等に吊り下げ、その側面に
設けられた据付ガイドをガイドレールに接触させて沿わ
せながら架構上に下ろしていく。そして、上記のように
据付座の脚部を受座に挿入して据え付けを完了する。

【００１６】

【発明の実施の形態】請求項１及び請求項２記載の本発
明に対応する一つの実施の形態を、図面に従って以下に
説明する。 （１）実施の形態の構成 まず、本実施の形態の構成を説明する。すなわち、図１
に示すように、燃料電池本体１の底面には脚部を有する
据付座２が設けられている。この据付座２の脚部の先端
には衝撃吸収材３が設けられている。この衝撃吸収剤３
は、燃料電池本体１の荷重により圧縮されることをあら
かじめ考慮した厚さに形成されている。また、燃料電池
本体１外周の一側面には、水平方向に突出した複数の据
付用ガイド６が設けられている。

【００１７】一方、架構４の上部における燃料電池本体
１の据付座２に対応する位置には、脚部が挿入される窪
みが設けられている。この窪みは、その上部における脚
部の挿入口が、上方に向かって漸次開口面が拡大するよ
うに面取りがなされることによって、傾斜付受座５とし
て構成されている。さらに、架構４の上部には、燃料電
池本体１の据付用ガイド６に対応する位置に、ガイドレ
ール７が垂直方向に立ち上げられている。

【００１８】（２）実施の形態の作用 以上のような構成を有する本実施の形態の作用は以下の
通りである。すなわち、ワイヤーロープａに吊された燃
料電池本体１を、その据付座２が傾斜付受座５の上方
に、かつ据付用ガイド６がガイドレール７に接する位置
に来るように移動させる。そして、据付用ガイド６をガ
イドレール７に沿わせながら燃料電池本体１を下ろして
行く。すると、燃料電池本体１の据付座２が傾斜付受座
５の中心又は面取部に当接するが、面取部に当接した場
合であっても、面取部の傾斜に沿って傾斜付受座５の中
心にまで導かれるので、燃料電池本体１の据付けが完了
する。なお、据付座２が傾斜付受座５に接触する際の衝
撃は、衝撃吸収材３によって緩和される。

【００１９】（３）実施の形態の効果 以上のような本実施の形態の効果は以下の通りである。
すなわち、燃料電池本体１における据付座２の脚部を、
架構４側の傾斜付受座５を目印に挿入する際に、傾斜付
受座５の中心に正確に位置合わせができなくても、面取
部を利用することができる。したがって、据付可能な範
囲が拡大し、作業従事者の熟練度が低い場合や、風速に
よる揺れなどがあっても、水平方向（Ｘ−Ｙ方向）の位
置合わせが容易となる。また、据付座２が傾斜付受座５
に接したときの衝撃は、衝撃吸収材３によって吸収され
る。

【００２０】さらに、据付用ガイド６がガイドレール７
によって案内されるので、水平方向の動きが規制され、
作業従事者の熟練度や、風速による揺れの影響を防ぐこ
とができる。したがって、セル、セパレータ板、冷却板
などの積層体や、ガイシの破損防止と各接続箇所の断線
や外れを防止ができ、作業の信頼性及び作業性が向上す
る。

【００２１】（４）他の実施の形態 なお、本発明は以上のような実施の形態に限定されるも
のではなく、各部材の材質、配置等は適宜変更可能であ
る。例えば、衝撃吸収材としては、ゴムや合成樹脂、金
属製のバネ等が適用可能である。また、衝撃吸収材３の
取り付け位置は、据付座２の脚部には限定されず、傾斜
付受座５側に設ける構成とすることも可能である。据付
座２及び傾斜付受座５の双方に、衝撃吸収材３を設ける
構成とすることによって、衝撃の緩和をより一層確実に
することもできる。さらに、燃料電池本体１側に傾斜付
受座５を設け、架構４側に据付座２を設ける構成とする
ことも可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上のような本発明によれば、燃料電池
本体の据付座の脚部に衝撃吸収材を設け、架構の受座を
上方に向かって漸次開口面が拡大する形状とすることに
よって、燃料電池本体の据付において、作業者の熟練度
にかかわらず信頼性の高い据付を可能にし、かつ作業性
を向上可能な燃料電池装置を提供することができる。

【００２３】また、本発明によれば、燃料電池本体に据
付用ガイドを設け、架構にガイドレールを設けることに
よって、据付作業時にワイヤーロープ等で吊された燃料
電池本体の水平方向の揺れが防止可能な燃料電池装置を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の燃料電池装置の一つの実施の形態を示
す側面図である。

【図２】従来の燃料電池装置の一例を示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１…燃料電池本体 ２…据付座 ３…衝撃吸収材 ４…架構 ５…傾斜付受座 ６…据付用ガイド ７…ガイドレール

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電解質層を挟んで配置された一対の燃料
   極と空気極からなるセルと、前記セルがセパレータ板を
   介して複数個積層された積層体と、前記積層体内の複数
   のセル毎に挿入された冷却板と、前記積層体の側面に設
   けられた反応ガス供給排出用のガスマニホールドとを備
   えた燃料電池本体と、この燃料電池本体の底面に設けら
   れた支持用の脚部を有する据付座と、前記燃料電池本体
   が前記据付座を介して搭載される架構とを備えた燃料電
   池装置において、 前記据付座の脚部先端に衝撃吸収材を設け、 前記架構の上面に、前記脚部が挿入可能な窪みである受
   座を設け、 前記受座の上部における前記脚部の挿入口は、上方に向
   かって漸次開口面が拡大する形状を有することを特徴と
   する燃料電池装置。
2. 【請求項２】 前記燃料電池本体の側面に据付用ガイド
   を設けるとともに、 この据付用ガイドを介して前記燃料電池本体の上下方向
   の移動を案内可能なガイドレールを、前記架構に直立設
   置したことを特徴とする請求項１記載の燃料電池装置。