JPH0957800A - 射出成形方法 - Google Patents
射出成形方法Info
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- JPH0957800A JPH0957800A JP22021895A JP22021895A JPH0957800A JP H0957800 A JPH0957800 A JP H0957800A JP 22021895 A JP22021895 A JP 22021895A JP 22021895 A JP22021895 A JP 22021895A JP H0957800 A JPH0957800 A JP H0957800A
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- pressure
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 射出圧力に関係なく射出速度を速い値に設定
することができ、しかも、そのような射出速度の制御
を、既設の射出成形機を大幅に改造することなく実現で
きる射出成形方法を提供する。 【解決手段】 射出成形機の射出シリンダ5に作動油を
供給する標準の油圧ポンプ6とは別に増設油圧ポンプ9
を設け、その吐出油を圧力・流量調整弁10を通じて射
出シリンダ5に供給し、この射出シリンダ5の供給油量
を増加させることにより、溶融樹脂の充填時の射出速度
を、射出圧力とは関係なく単独で制御できるようにす
る。
することができ、しかも、そのような射出速度の制御
を、既設の射出成形機を大幅に改造することなく実現で
きる射出成形方法を提供する。 【解決手段】 射出成形機の射出シリンダ5に作動油を
供給する標準の油圧ポンプ6とは別に増設油圧ポンプ9
を設け、その吐出油を圧力・流量調整弁10を通じて射
出シリンダ5に供給し、この射出シリンダ5の供給油量
を増加させることにより、溶融樹脂の充填時の射出速度
を、射出圧力とは関係なく単独で制御できるようにす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形方法に関す
る。
る。
【0002】
【従来の技術】射出成形機は、例えば図3に示すよう
に、加熱シリンダ(インラインスクリュ式)32に圧力
と速度を与える射出油圧シリンダ31及び他の油圧回路
に、油圧ポンプ33からの作動油を圧力・流量調整弁3
4を通じて供給するように構成されている。このような
油圧駆動方式による射出成形機では、圧力・流量調整弁
34を制御することにより、射出速度(射出率)及び射
出圧力を設定するという方法が一般に採られており、こ
のため射出速度の上限が射出圧力によって規定される。
に、加熱シリンダ(インラインスクリュ式)32に圧力
と速度を与える射出油圧シリンダ31及び他の油圧回路
に、油圧ポンプ33からの作動油を圧力・流量調整弁3
4を通じて供給するように構成されている。このような
油圧駆動方式による射出成形機では、圧力・流量調整弁
34を制御することにより、射出速度(射出率)及び射
出圧力を設定するという方法が一般に採られており、こ
のため射出速度の上限が射出圧力によって規定される。
【0003】また、射出速度の制御に関して、型内樹脂
圧をフィードバックして射出速度を制御するといった方
法(特公昭58−52486号公報)も提案されてい
る。この方法は、図4に示すように、型内樹脂圧をセン
サPs で検出し、このセンサ出力に基づいてコントロー
ラCが可変バルブ44に制御信号を与えることにより、
射出油圧シリンダ41に供給する作動油を制御する方法
であり、この方法でも、作動油圧と流量との関係は基本
的には図3に示した機構と同じで、射出速度の上限が射
出圧力によって制限される。
圧をフィードバックして射出速度を制御するといった方
法(特公昭58−52486号公報)も提案されてい
る。この方法は、図4に示すように、型内樹脂圧をセン
サPs で検出し、このセンサ出力に基づいてコントロー
ラCが可変バルブ44に制御信号を与えることにより、
射出油圧シリンダ41に供給する作動油を制御する方法
であり、この方法でも、作動油圧と流量との関係は基本
的には図3に示した機構と同じで、射出速度の上限が射
出圧力によって制限される。
【0004】そのような作動油圧と流量との関係を図5
を参照してさらに詳しく説明する。まず、油圧ポンプか
らの作動油圧を、油圧制御弁によりゼロから最大油圧の
間の任意の圧力aに設定した場合、射出ノズルにおける
成形材料の射出圧力はbになる。この射出圧力bはスプ
ルやランナ、金型キャビティ内部に生じる成形材料の流
動抵抗に消費され、また、流動抵抗はゲートやランナの
構造、金型キャビティの製品部の肉厚、成形材料や金型
の温度、成形材料の流動特性等に依存することから、成
形品の形状や要求品質に応じて設定される。そして、先
の図3及び図4に示したように、圧力・流量調整弁で作
動油の流量を制御する場合、一般に射出速度は射出圧力
に比例するので、その射出圧力の最大値を、製品品質や
成形性などの制約条件に応じて設定すると、その設定値
に応じて最大射出速度も一義的に決まってしまう。
を参照してさらに詳しく説明する。まず、油圧ポンプか
らの作動油圧を、油圧制御弁によりゼロから最大油圧の
間の任意の圧力aに設定した場合、射出ノズルにおける
成形材料の射出圧力はbになる。この射出圧力bはスプ
ルやランナ、金型キャビティ内部に生じる成形材料の流
動抵抗に消費され、また、流動抵抗はゲートやランナの
構造、金型キャビティの製品部の肉厚、成形材料や金型
の温度、成形材料の流動特性等に依存することから、成
形品の形状や要求品質に応じて設定される。そして、先
の図3及び図4に示したように、圧力・流量調整弁で作
動油の流量を制御する場合、一般に射出速度は射出圧力
に比例するので、その射出圧力の最大値を、製品品質や
成形性などの制約条件に応じて設定すると、その設定値
に応じて最大射出速度も一義的に決まってしまう。
【0005】ここで、熱可塑性樹脂を成形材料とした射
出成形では、一般に、金型温度は成形材料の固化温度よ
りも低めに設定することから、射出ノズルから射出され
た成形材料は金型壁面に触れた部分から冷却固化が始ま
り、その結果として金型内を流動する成形材料の流路が
狭まるために流動抵抗が増大する。従って、射出速度
が、金型内を流動する成形材料の固化層発達速度に比較
して遅い場合には、金型内の流動性を向上させるために
製品肉厚をある程度大きくする必要がある。
出成形では、一般に、金型温度は成形材料の固化温度よ
りも低めに設定することから、射出ノズルから射出され
た成形材料は金型壁面に触れた部分から冷却固化が始ま
り、その結果として金型内を流動する成形材料の流路が
狭まるために流動抵抗が増大する。従って、射出速度
が、金型内を流動する成形材料の固化層発達速度に比較
して遅い場合には、金型内の流動性を向上させるために
製品肉厚をある程度大きくする必要がある。
【0006】さらに、このような冷却プロセスは金型壁
面から肉厚中心部に向かって進行するため、充填中にも
樹脂流路が狭まり流動抵抗が増大するために必要射出圧
力が増大する。また、樹脂流路が狭くなることから剪断
応力が大きくなるために高分子の配向も大きくなり、製
品内部の残留応力も大きくなる。この高分子配向や残留
応力は製品の変形や強度に影響を与え、多くの場合、所
定の寸法や強度が得られ難くなる。
面から肉厚中心部に向かって進行するため、充填中にも
樹脂流路が狭まり流動抵抗が増大するために必要射出圧
力が増大する。また、樹脂流路が狭くなることから剪断
応力が大きくなるために高分子の配向も大きくなり、製
品内部の残留応力も大きくなる。この高分子配向や残留
応力は製品の変形や強度に影響を与え、多くの場合、所
定の寸法や強度が得られ難くなる。
【0007】これらの点を解消するには、射出速度を金
型内を流動する成形材料の固化層発達速度以上に設定す
ればよいが、前記したように、射出速度は射出圧力の拘
束を受けるので、これを実現することは困難であった。
型内を流動する成形材料の固化層発達速度以上に設定す
ればよいが、前記したように、射出速度は射出圧力の拘
束を受けるので、これを実現することは困難であった。
【0008】そこで、射出速度の上限を向上させる方法
が開発されており、その一つとして複数の射出油圧シリ
ンダによる方法がある。この方法は、径の異なる複数の
射出油圧シリンダを設け、成形時に使用するシリンダの
組み合わせ、あるいは使用するシリンダの変更により射
出油圧ピストンの動作速度ひいては射出スクリュの動作
速度を切り替えようとするもので、理論上では射出速度
をX倍にすると射出圧力は(1/X)倍になる。
が開発されており、その一つとして複数の射出油圧シリ
ンダによる方法がある。この方法は、径の異なる複数の
射出油圧シリンダを設け、成形時に使用するシリンダの
組み合わせ、あるいは使用するシリンダの変更により射
出油圧ピストンの動作速度ひいては射出スクリュの動作
速度を切り替えようとするもので、理論上では射出速度
をX倍にすると射出圧力は(1/X)倍になる。
【0009】これを大径・小径の二つの射出油圧シリン
ダを用いた場合(図6)を例にとって説明する。まず、
ポンプの油吐出圧、吐出流量を一定とし、大径シリンダ
61aの有効断面積をAとおくと、射出速度つまり射出
ノズルから射出される成形材料の単位時間当たりの体積
は〔スクリュ前進速度〕×〔スクリュ断面積〕であるの
で、油圧ポンプの油吐出流量をQ、スクリュの断面積を
Sとすると、(Q/A)×(S)=QS/Aとなる。ま
た、油圧ポンプの吐出圧をpとすると、油配管やシリン
ダ内部の成形材料の摩擦抵抗を無視すれば、射出ノズル
先端で得られる射出圧力はpA/Sとなる。いま、仮に
小径シリンダ61bの断面積A′を大径シリンダの半分
(A′=A/2)とすれば、射出圧力はpA/(2S)
となり大径シリンダを使用する場合の半分になる。ま
た、射出速度は2QS/Aとなり大径シリンダを使用す
る場合の2倍になる。
ダを用いた場合(図6)を例にとって説明する。まず、
ポンプの油吐出圧、吐出流量を一定とし、大径シリンダ
61aの有効断面積をAとおくと、射出速度つまり射出
ノズルから射出される成形材料の単位時間当たりの体積
は〔スクリュ前進速度〕×〔スクリュ断面積〕であるの
で、油圧ポンプの油吐出流量をQ、スクリュの断面積を
Sとすると、(Q/A)×(S)=QS/Aとなる。ま
た、油圧ポンプの吐出圧をpとすると、油配管やシリン
ダ内部の成形材料の摩擦抵抗を無視すれば、射出ノズル
先端で得られる射出圧力はpA/Sとなる。いま、仮に
小径シリンダ61bの断面積A′を大径シリンダの半分
(A′=A/2)とすれば、射出圧力はpA/(2S)
となり大径シリンダを使用する場合の半分になる。ま
た、射出速度は2QS/Aとなり大径シリンダを使用す
る場合の2倍になる。
【0010】そして、この方法において、大径シリンダ
61aのみを用いると、このシリンダ61a内に作動油
が充満するのに時間がかかるが、ピストンの有効径が大
きいために大きな射出圧力を得ることができる。一方、
小径シリンダ61bのみを用いると、ピストンの有効径
は小さくなるためシリンダ61b内に作動油が充満する
までの時間が短くて済む。従って、この方法によると、
射出圧力を下げて射出速度を向上させることが可能とな
る。
61aのみを用いると、このシリンダ61a内に作動油
が充満するのに時間がかかるが、ピストンの有効径が大
きいために大きな射出圧力を得ることができる。一方、
小径シリンダ61bのみを用いると、ピストンの有効径
は小さくなるためシリンダ61b内に作動油が充満する
までの時間が短くて済む。従って、この方法によると、
射出圧力を下げて射出速度を向上させることが可能とな
る。
【0011】また、このように複数本の射出油圧シリン
ダを用いる方法では、シリンダの本数をnとすると射出
圧力−射出速度の変更段数は理論的にはnの2乗とな
る。すなわち、射出油圧シリンダをn本とすると、まず
n段の速度が設定でき、さらにシリンダの反注入側から
吐出する作動油を残りの(n−1)本のシリンダのブレーキ
側に注入するか、もしくは大気中に放出してブレーキ圧
を変更することでピストンの速度を変更することができ
るので、n本の射出油圧シリンダに対して射出圧力−射
出速度の変更段数はnの2乗となる。
ダを用いる方法では、シリンダの本数をnとすると射出
圧力−射出速度の変更段数は理論的にはnの2乗とな
る。すなわち、射出油圧シリンダをn本とすると、まず
n段の速度が設定でき、さらにシリンダの反注入側から
吐出する作動油を残りの(n−1)本のシリンダのブレーキ
側に注入するか、もしくは大気中に放出してブレーキ圧
を変更することでピストンの速度を変更することができ
るので、n本の射出油圧シリンダに対して射出圧力−射
出速度の変更段数はnの2乗となる。
【0012】なお、射出速度を制御する他の方法とし
て、アキュムレータを利用して樹脂充填時における射出
速度の最大値を大きくするといった方法もある(特公昭
60−198217号公報)。
て、アキュムレータを利用して樹脂充填時における射出
速度の最大値を大きくするといった方法もある(特公昭
60−198217号公報)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した射
出速度の制御のうち、複数の射出油圧シリンダを用いる
方法によれば、射出速度を向上させようとすると射出圧
力を下げなければならず、このことが、流動抵抗の大き
な成形の場合での成形不良の原因となる。
出速度の制御のうち、複数の射出油圧シリンダを用いる
方法によれば、射出速度を向上させようとすると射出圧
力を下げなければならず、このことが、流動抵抗の大き
な成形の場合での成形不良の原因となる。
【0014】すなわち、射出成形において必要な射出圧
力は成形材料の流動抵抗に消費されることから、成形材
料の流動抵抗は、ゲートやランナの構造、金型キャビテ
ィの製品部の肉厚、成形材料や金型の温度、成形材料の
流動特性等に依存するため、流動抵抗の大きな成形にお
いて射出圧力が低いと末端まで充填圧力が到達せず、シ
ョートショット、ひけ、製品表面の転写不良等の成形不
良の原因となる。
力は成形材料の流動抵抗に消費されることから、成形材
料の流動抵抗は、ゲートやランナの構造、金型キャビテ
ィの製品部の肉厚、成形材料や金型の温度、成形材料の
流動特性等に依存するため、流動抵抗の大きな成形にお
いて射出圧力が低いと末端まで充填圧力が到達せず、シ
ョートショット、ひけ、製品表面の転写不良等の成形不
良の原因となる。
【0015】さらに、複数の射出油圧シリンダを用いる
方法では、前記したように、射出圧力−射出速度の変更
段数は理論的にはシリンダ本数をnした場合にはnの2
乗の段数とはなるが、段数を増やすごとに油圧回路が複
雑になり、しかも、設置する射出油圧シリンダの本数も
高々数本程度が限度であることから変更段数にも制限が
ある。
方法では、前記したように、射出圧力−射出速度の変更
段数は理論的にはシリンダ本数をnした場合にはnの2
乗の段数とはなるが、段数を増やすごとに油圧回路が複
雑になり、しかも、設置する射出油圧シリンダの本数も
高々数本程度が限度であることから変更段数にも制限が
ある。
【0016】また、このような方法を採る場合、射出油
圧シリンダが多段で特別な構造となることから、既設の
射出成形機では容易に対応できず、成形機の大幅な改造
ないしは新機種の購入が必要となるといったコスト面で
の問題もある。
圧シリンダが多段で特別な構造となることから、既設の
射出成形機では容易に対応できず、成形機の大幅な改造
ないしは新機種の購入が必要となるといったコスト面で
の問題もある。
【0017】なお、アキュムレータを利用した方法によ
れば、射出速度増分に応じた容量のアキュムレータが必
要となり、しかも、アキュムレータに作動油を供給する
ための油圧ポンプの容量も大きなものが必要となる。
れば、射出速度増分に応じた容量のアキュムレータが必
要となり、しかも、アキュムレータに作動油を供給する
ための油圧ポンプの容量も大きなものが必要となる。
【0018】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、射出圧力に関係なく射出速度を速い値に設定す
ることができ、しかも、そのような射出速度の制御を、
既設の射出成形機を大幅に改造することなく実現できる
射出成形方法の提供を目的とする。
もので、射出圧力に関係なく射出速度を速い値に設定す
ることができ、しかも、そのような射出速度の制御を、
既設の射出成形機を大幅に改造することなく実現できる
射出成形方法の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の成形方法は、射出成形機の射出油圧シリン
ダに作動油を供給する標準の油圧ポンプとは別に増設油
圧ポンプを設け、その吐出油を圧力・流量調整弁を通じ
て射出油圧シリンダに供給することにより、溶融樹脂の
充填時の射出速度を、射出圧力とは関係なく単独で制御
することによって特徴づけられる。
め、本発明の成形方法は、射出成形機の射出油圧シリン
ダに作動油を供給する標準の油圧ポンプとは別に増設油
圧ポンプを設け、その吐出油を圧力・流量調整弁を通じ
て射出油圧シリンダに供給することにより、溶融樹脂の
充填時の射出速度を、射出圧力とは関係なく単独で制御
することによって特徴づけられる。
【0020】このように、増設油圧ポンプの吐出油を、
成形機に元々設置してある標準の油圧ポンプの作動油に
加えて射出油圧シリンダに供給することで、射出圧力を
高くすることなく作動油の流量を多くすることが可能と
なり、これにより射出圧力とは関係なく射出速度を増加
させることができる。
成形機に元々設置してある標準の油圧ポンプの作動油に
加えて射出油圧シリンダに供給することで、射出圧力を
高くすることなく作動油の流量を多くすることが可能と
なり、これにより射出圧力とは関係なく射出速度を増加
させることができる。
【0021】ここで、複数の射出油圧シリンダを設ける
方法において、高速度の射出速度を得るには射出圧力を
低く設定する必要があったが、本発明方法では、射出圧
力と射出速度はそれぞれ独立して制御することが可能で
あるので、高速の射出速度で高射出圧力の充填が実現可
能となり、しかも、そのような高射出圧力−高射出速度
から低射出圧力−低射出速度にわたる広範囲において、
射出圧力と射出速度との組み合わせを任意にかつ無段階
で設定することができる。
方法において、高速度の射出速度を得るには射出圧力を
低く設定する必要があったが、本発明方法では、射出圧
力と射出速度はそれぞれ独立して制御することが可能で
あるので、高速の射出速度で高射出圧力の充填が実現可
能となり、しかも、そのような高射出圧力−高射出速度
から低射出圧力−低射出速度にわたる広範囲において、
射出圧力と射出速度との組み合わせを任意にかつ無段階
で設定することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施に使用する射
出成形機は、図1に示すように、型締め状態で内部にキ
ャビティ1aが形成される成形金型1及びその型締ラム
2、先端に射出ノズル3が設けられたインラインスクリ
ュ式の加熱シリンダ4、並びに、射出油圧シリンダ5を
備え、その射出油圧シリンダ5に油圧ポンプ(以下、標
準ポンプという)6からの作動油を、圧力・流量調整弁
7及び回路11を通じて供給することにより、加熱シリ
ンダ4で混練・溶融した樹脂を、射出ノズル3及び金型
スプル1bを通じてキャビティ1a内に充填する油圧駆
動方式の成形機である。
出成形機は、図1に示すように、型締め状態で内部にキ
ャビティ1aが形成される成形金型1及びその型締ラム
2、先端に射出ノズル3が設けられたインラインスクリ
ュ式の加熱シリンダ4、並びに、射出油圧シリンダ5を
備え、その射出油圧シリンダ5に油圧ポンプ(以下、標
準ポンプという)6からの作動油を、圧力・流量調整弁
7及び回路11を通じて供給することにより、加熱シリ
ンダ4で混練・溶融した樹脂を、射出ノズル3及び金型
スプル1bを通じてキャビティ1a内に充填する油圧駆
動方式の成形機である。
【0023】なお、加熱シリンダ4には、材料樹脂を溶
融・混練するためにスクリュを回転させる油圧モータ8
が設けられている。また、以上の標準ポンプ6の油圧回
路には、射出油圧シリンダ5への回路11のほか、油圧
モータ8への回路12と、型締ラム2への回路13が設
けられており、これらの各回路11,12,13に接続
されたロジック弁11a,12a,13aへのパイロッ
ト入力を制御することにより、標準ポンプ6からの作動
油を射出油圧シリンダ5、油圧モータ8または型締ラム
2に供給することができる。
融・混練するためにスクリュを回転させる油圧モータ8
が設けられている。また、以上の標準ポンプ6の油圧回
路には、射出油圧シリンダ5への回路11のほか、油圧
モータ8への回路12と、型締ラム2への回路13が設
けられており、これらの各回路11,12,13に接続
されたロジック弁11a,12a,13aへのパイロッ
ト入力を制御することにより、標準ポンプ6からの作動
油を射出油圧シリンダ5、油圧モータ8または型締ラム
2に供給することができる。
【0024】さて、この実施の形態において注目すべき
ところは、標準ポンプ6とは別に増設ポンプ(油圧ポン
プ)9を設置し、その吐出油を射出成形機へと導くため
の油圧回路を設けた点にある。
ところは、標準ポンプ6とは別に増設ポンプ(油圧ポン
プ)9を設置し、その吐出油を射出成形機へと導くため
の油圧回路を設けた点にある。
【0025】その増設側の油圧回路には圧力・流量調整
弁10が接続されている。また、この油圧回路は、調整
弁10の上流側で三つの回路21,22,23に分岐し
ており、その一つの回路21は射出油圧シリンダ5に接
続され、残りの回路22及び23はそれぞれ油圧モータ
8及び型締ラム2に接続されている。
弁10が接続されている。また、この油圧回路は、調整
弁10の上流側で三つの回路21,22,23に分岐し
ており、その一つの回路21は射出油圧シリンダ5に接
続され、残りの回路22及び23はそれぞれ油圧モータ
8及び型締ラム2に接続されている。
【0026】なお、各回路21,22,23には、それ
ぞれロジック弁21a,22a,23aが接続されてお
り、この各ロジック弁21a,22a,23aへのパイ
ロット入力を制御することにより、この増設側の圧力・
流量調整弁10の出口側を、射出油圧シリンダ5、油圧
モータ8または型締ラム2のいずれかに選択に接続する
ことができる。
ぞれロジック弁21a,22a,23aが接続されてお
り、この各ロジック弁21a,22a,23aへのパイ
ロット入力を制御することにより、この増設側の圧力・
流量調整弁10の出口側を、射出油圧シリンダ5、油圧
モータ8または型締ラム2のいずれかに選択に接続する
ことができる。
【0027】また、この増設側の油圧回路に接続する圧
力・流量調整弁10は、例えば図2に示すように、比例
電磁式流量調整弁R1 からなる流量制御部10aと、電
磁リリーフ弁R2 及びリリーフ弁R3 からなる圧力制御
部10bによって構成されている。なお、これらの制御
部10a,10bに前段に設けられているリリーフ弁R
4 はアンロード弁である。
力・流量調整弁10は、例えば図2に示すように、比例
電磁式流量調整弁R1 からなる流量制御部10aと、電
磁リリーフ弁R2 及びリリーフ弁R3 からなる圧力制御
部10bによって構成されている。なお、これらの制御
部10a,10bに前段に設けられているリリーフ弁R
4 はアンロード弁である。
【0028】そして、この実施の形態のように、増設ポ
ンプ9を設けて、その吐出油を、成形機に元々設置して
ある標準ポンプ6の作動油に加えて射出油圧シリンダ5
に供給することにより、射出圧力を高くすることなく作
動油の流量を増加させることができ、射出速度を速くす
ることができる。これにより、充填過程において冷却固
化層発達速度よりも樹脂を高速に充填することが可能と
なる。その結果、成形材料の剪断応力が小さくなり、残
留応力が低減するとともに、金型内成形材料の冷却過程
における時間的差異が減少して製品の変形が防止され
る。
ンプ9を設けて、その吐出油を、成形機に元々設置して
ある標準ポンプ6の作動油に加えて射出油圧シリンダ5
に供給することにより、射出圧力を高くすることなく作
動油の流量を増加させることができ、射出速度を速くす
ることができる。これにより、充填過程において冷却固
化層発達速度よりも樹脂を高速に充填することが可能と
なる。その結果、成形材料の剪断応力が小さくなり、残
留応力が低減するとともに、金型内成形材料の冷却過程
における時間的差異が減少して製品の変形が防止され
る。
【0029】また、このように射出圧力を低く抑えた状
態で、射出速度を高速にできることから、以下に列挙す
る(1) 〜(3) の効果も達成できる。 (1) 射出速度を高速にしても、成形に必要な射出圧力よ
りも過剰な圧力が金型内部の成形材料にかかることを防
ぐことができ、成形材料内部の残留応力を最小限にする
ことができる。
態で、射出速度を高速にできることから、以下に列挙す
る(1) 〜(3) の効果も達成できる。 (1) 射出速度を高速にしても、成形に必要な射出圧力よ
りも過剰な圧力が金型内部の成形材料にかかることを防
ぐことができ、成形材料内部の残留応力を最小限にする
ことができる。
【0030】(2) 前記した(1) と同様な理由により、金
型及び成形機にかかる荷重が少なくて済み、金型や成形
機の疲労が軽減される。 (3) 同様に金型にかかる荷重が軽減されると、樹脂充填
過程の殆どを低型締力で対応できるので、加熱ヒータ、
締結力及びスクリュ計量等の成形に必要なエネルギの削
減につながる。
型及び成形機にかかる荷重が少なくて済み、金型や成形
機の疲労が軽減される。 (3) 同様に金型にかかる荷重が軽減されると、樹脂充填
過程の殆どを低型締力で対応できるので、加熱ヒータ、
締結力及びスクリュ計量等の成形に必要なエネルギの削
減につながる。
【0031】ここで、本発明においては、射出速度の増
加(制御)のために増設ポンプを設けているが、この増
設ポンプの吐出油は樹脂充填時のみに必要であることか
ら、それ以外の成形プロセス、例えば計量、保圧、型締
め、型開閉等のプロセスに利用することが可能で、それ
らの各プロセスにおいて、今後、新たな機能を付加する
場合、別の動力源を設ける必要がなくなる。なお、この
場合、図1に示したように、増設側の油圧回路を圧力・
流量調整弁の上流側で分岐して、その各分岐回路にそれ
ぞれロジック弁を設けるといった構成を採ることによ
り、容易に実施できる。
加(制御)のために増設ポンプを設けているが、この増
設ポンプの吐出油は樹脂充填時のみに必要であることか
ら、それ以外の成形プロセス、例えば計量、保圧、型締
め、型開閉等のプロセスに利用することが可能で、それ
らの各プロセスにおいて、今後、新たな機能を付加する
場合、別の動力源を設ける必要がなくなる。なお、この
場合、図1に示したように、増設側の油圧回路を圧力・
流量調整弁の上流側で分岐して、その各分岐回路にそれ
ぞれロジック弁を設けるといった構成を採ることによ
り、容易に実施できる。
【0032】
【実施例】次に、図1に示した射出成形機及び油圧回路
系(増設ポンプを含む)を使用して、実際の製品の射出
成形を行った例を以下に述べる。
系(増設ポンプを含む)を使用して、実際の製品の射出
成形を行った例を以下に述べる。
【0033】ただし、各実施例1〜4において数値は、
全て実測値で、倍率及び%は通常成形条件(標準ポンプ
の回路系のみを使用した成形)での製品との比較した値
を示す。また、引張強度、引張伸び及び引裂強度の各試
験は、それぞれ、材料の流動方向に対し直角方向に切出
した試験片を用いて行った。 〔実施例1〕 a.適用製品 :プラスチックバケツ b.成形上の特徴:投影面積に対して流動長が大きく製品
肉厚が小 c.要求品質 :表面の光沢や写像鮮映性等の外観品質、
内容物を入れて耐荷重や耐衝撃性、蓋や柄等のアセンブ
ル部品との嵌合性 d.実験結果 成形材料:ポリエチレン樹脂 射出速度: 2.3倍(成形サイクル全体では26%短縮) 射出速度(射出率)=製品重量/射出時間 射出圧力:44%低減 型締力 : 7.1%低減 製品重量:4%軽減 耐衝撃性:同等以上(落球衝撃試験による) 引張強度:10%低下 引張伸び:24%向上 引裂強度:11%向上 e.評価 射出速度が従来の 2.3倍と向上したのにも関わらず、成
形材料の流動方向に対し垂直な方向の引裂強度や引張伸
びが向上する等の結果から、成形材料の配向に因る効果
が緩和されていると考えられる。また、この製品(プラ
スチックバケツ)では製品末端部の外観が問題になりや
すいが、ばりやガス焼け、ショートショット、コールド
スラグ等の成形不良が見当たらず、これらの点も改善さ
れた。 〔実施例2〕 a.適用製品 :角型ケースのプラスチック製天板 b.成形上の特徴:平坦形状、投影面積大 c.要求品質 :本体部品との嵌合性、表面の光沢や写像
鮮映性、平滑性(外板のため)、剛性 d.実験結果 成形材料:ABS 射出速度: 2.2倍(成形サイクル全体では7%短縮) 射出圧力:11%低減 型締力 :13%低減 製品重量:3%軽減 平坦性 :1/3(反り量測定) 光沢度 :95%以上(従来品90%、光沢度計にて測
定) e.評価 射出速度を非常に大きくしても射出圧力を低くすること
が可能となった。その結果、投影面積の大きい製品であ
るのにも関わらず、型締力を低減させることが可能とな
った。また、製品重量が軽くなっているのは、高速射出
によって充填圧力が速やかに伝播するために過剰な充填
圧及び充填量が改善されたためである。
全て実測値で、倍率及び%は通常成形条件(標準ポンプ
の回路系のみを使用した成形)での製品との比較した値
を示す。また、引張強度、引張伸び及び引裂強度の各試
験は、それぞれ、材料の流動方向に対し直角方向に切出
した試験片を用いて行った。 〔実施例1〕 a.適用製品 :プラスチックバケツ b.成形上の特徴:投影面積に対して流動長が大きく製品
肉厚が小 c.要求品質 :表面の光沢や写像鮮映性等の外観品質、
内容物を入れて耐荷重や耐衝撃性、蓋や柄等のアセンブ
ル部品との嵌合性 d.実験結果 成形材料:ポリエチレン樹脂 射出速度: 2.3倍(成形サイクル全体では26%短縮) 射出速度(射出率)=製品重量/射出時間 射出圧力:44%低減 型締力 : 7.1%低減 製品重量:4%軽減 耐衝撃性:同等以上(落球衝撃試験による) 引張強度:10%低下 引張伸び:24%向上 引裂強度:11%向上 e.評価 射出速度が従来の 2.3倍と向上したのにも関わらず、成
形材料の流動方向に対し垂直な方向の引裂強度や引張伸
びが向上する等の結果から、成形材料の配向に因る効果
が緩和されていると考えられる。また、この製品(プラ
スチックバケツ)では製品末端部の外観が問題になりや
すいが、ばりやガス焼け、ショートショット、コールド
スラグ等の成形不良が見当たらず、これらの点も改善さ
れた。 〔実施例2〕 a.適用製品 :角型ケースのプラスチック製天板 b.成形上の特徴:平坦形状、投影面積大 c.要求品質 :本体部品との嵌合性、表面の光沢や写像
鮮映性、平滑性(外板のため)、剛性 d.実験結果 成形材料:ABS 射出速度: 2.2倍(成形サイクル全体では7%短縮) 射出圧力:11%低減 型締力 :13%低減 製品重量:3%軽減 平坦性 :1/3(反り量測定) 光沢度 :95%以上(従来品90%、光沢度計にて測
定) e.評価 射出速度を非常に大きくしても射出圧力を低くすること
が可能となった。その結果、投影面積の大きい製品であ
るのにも関わらず、型締力を低減させることが可能とな
った。また、製品重量が軽くなっているのは、高速射出
によって充填圧力が速やかに伝播するために過剰な充填
圧及び充填量が改善されたためである。
【0034】なお、この例の製品では、無機顔料を使用
しているが、配向方向に発生しがちな流れ模様は改善さ
れ、均一に分散した。また、従来品ではゲート周囲に若
干発生したフローマークが、本発明方法で成形したもの
では完全に消滅した。これは金型内部での成形材料の流
動に伴う配向が低減したためである。 〔実施例3〕 a.適用製品 :ごみ容器のプラスチック製蓋 b.成形上の特徴:平坦形状、投影面積大で薄肉 c.要求品質 :本体や蓋枠に対する嵌合性、外観製品と
しての表面品質 d.実験結果 成形材料:ポリプロピレン樹脂 射出速度: 1.4倍 射出圧力:8%低減 型締力 :44%低減 製品重量:1%軽減 嵌合性 :本体との隙間30%低減(反りに因る隙間拡
大の改善) e.評価 ごみ容器の蓋は平坦形状の製品であるので配向が強く出
ると製品に捩じれが発生し、ひどい場合には本体と嵌合
できなくなる。これに対して射出圧力を低減することに
より配向性は低減できたため嵌合性が改善した。また、
平坦形状なので成形条件によっては、ばりが発生するの
で、これを避けるために型締力を従来法ではかなり大き
くしていたのだが、本発明方法によれば射出圧力を低減
することでばりが生じることもなく、必要な型締圧を低
減でき、低圧になったために低下した充填性は、従来の
射出速度よりも高速にすることで逆に充填抵抗が減少で
きた。さらに、低圧充填の結果、成形材料の流動による
配向が緩和されたため製品の反りが改善された。
しているが、配向方向に発生しがちな流れ模様は改善さ
れ、均一に分散した。また、従来品ではゲート周囲に若
干発生したフローマークが、本発明方法で成形したもの
では完全に消滅した。これは金型内部での成形材料の流
動に伴う配向が低減したためである。 〔実施例3〕 a.適用製品 :ごみ容器のプラスチック製蓋 b.成形上の特徴:平坦形状、投影面積大で薄肉 c.要求品質 :本体や蓋枠に対する嵌合性、外観製品と
しての表面品質 d.実験結果 成形材料:ポリプロピレン樹脂 射出速度: 1.4倍 射出圧力:8%低減 型締力 :44%低減 製品重量:1%軽減 嵌合性 :本体との隙間30%低減(反りに因る隙間拡
大の改善) e.評価 ごみ容器の蓋は平坦形状の製品であるので配向が強く出
ると製品に捩じれが発生し、ひどい場合には本体と嵌合
できなくなる。これに対して射出圧力を低減することに
より配向性は低減できたため嵌合性が改善した。また、
平坦形状なので成形条件によっては、ばりが発生するの
で、これを避けるために型締力を従来法ではかなり大き
くしていたのだが、本発明方法によれば射出圧力を低減
することでばりが生じることもなく、必要な型締圧を低
減でき、低圧になったために低下した充填性は、従来の
射出速度よりも高速にすることで逆に充填抵抗が減少で
きた。さらに、低圧充填の結果、成形材料の流動による
配向が緩和されたため製品の反りが改善された。
【0035】以上の〔実施例1〕〜〔実施例3〕から明
らかなように、本発明方法を採用することにより、従来
技術で挙げた複数射出油圧シリンダ方式と同様な成形、
すなわち射出圧力を下げて射出速度を向上させるといっ
た成形を問題なく実施できることが確認できた。 〔実施例4〕 a.適用製品 :ごみ容器蓋枠 b.成形上の課題:薄肉でピンゲートのため射出時の抵抗
大きい c.要求品質 :本体部品との嵌合性(特に反りがないこ
と) d.実験結果 成形材料:ポリプロピレン樹脂 射出速度: 2.1倍 射出圧力:通常成形と同等 製品品質:反り25%改善 e.評価 この例の製品の金型はピンゲートとなっており、ゲート
部での圧力損失が大きいため、成形圧力をある程度以上
維持できなけばならない。
らかなように、本発明方法を採用することにより、従来
技術で挙げた複数射出油圧シリンダ方式と同様な成形、
すなわち射出圧力を下げて射出速度を向上させるといっ
た成形を問題なく実施できることが確認できた。 〔実施例4〕 a.適用製品 :ごみ容器蓋枠 b.成形上の課題:薄肉でピンゲートのため射出時の抵抗
大きい c.要求品質 :本体部品との嵌合性(特に反りがないこ
と) d.実験結果 成形材料:ポリプロピレン樹脂 射出速度: 2.1倍 射出圧力:通常成形と同等 製品品質:反り25%改善 e.評価 この例の製品の金型はピンゲートとなっており、ゲート
部での圧力損失が大きいため、成形圧力をある程度以上
維持できなけばならない。
【0036】また、従来技術の項で述べたように射出速
度が低いと流動冷却の効果により、さらに流動抵抗が増
大するため、少ない流動抵抗で成形するためには射出速
度もある程度増大しなければならない。流動抵抗が大き
いと製品内部の剪断応力などの形で残留するため製品の
寸法や強度などに影響するので、可能な限り低圧で射出
をする必要がある。
度が低いと流動冷却の効果により、さらに流動抵抗が増
大するため、少ない流動抵抗で成形するためには射出速
度もある程度増大しなければならない。流動抵抗が大き
いと製品内部の剪断応力などの形で残留するため製品の
寸法や強度などに影響するので、可能な限り低圧で射出
をする必要がある。
【0037】ここで、従来技術で挙げた複数射出油圧シ
リンダ方式を採用して低圧高速射出成形により、この例
の製品の成形を行ったところ、射出に必要な圧力が得ら
れず充填は不可能であった。これに対し、図1に示した
増設ポンプの油圧回路系を加えて成形を行った場合に
は、上記〔実施例4〕の実験結果から明らかなように、
必要な射出圧力を維持した状態で高速の射出が可能とな
った。
リンダ方式を採用して低圧高速射出成形により、この例
の製品の成形を行ったところ、射出に必要な圧力が得ら
れず充填は不可能であった。これに対し、図1に示した
増設ポンプの油圧回路系を加えて成形を行った場合に
は、上記〔実施例4〕の実験結果から明らかなように、
必要な射出圧力を維持した状態で高速の射出が可能とな
った。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の射出成形
方法によれば、元々設置されている標準ポンプに加えて
増設ポンプを設け、この増設ポンプの吐出油を圧力・流
量調整弁を通じて射出油圧シリンダに供給して充填時の
射出速度を制御するので、低射出圧力(適圧充填)で射
出速度を高速にすることが可能となり、これにより、充
填時の成形材料の剪断応力及び残留応力がともに低減す
る結果、変形が少なく強度的にも優れた製品を得ること
ができる。
方法によれば、元々設置されている標準ポンプに加えて
増設ポンプを設け、この増設ポンプの吐出油を圧力・流
量調整弁を通じて射出油圧シリンダに供給して充填時の
射出速度を制御するので、低射出圧力(適圧充填)で射
出速度を高速にすることが可能となり、これにより、充
填時の成形材料の剪断応力及び残留応力がともに低減す
る結果、変形が少なく強度的にも優れた製品を得ること
ができる。
【0039】また、本発明方法を採用することにより、
低射出圧力−低射出速度から高射出圧力−高射出速度に
わたる広範囲において、射出圧力と射出速度との組み合
わせを任意にかつ無段階で設定することが可能となり、
これにより、多種の製品の射出成形を行うにあたり、そ
の各製品の成形条件に合った最適の射出圧力・射出速度
を設定できるといった効果も達成できる。
低射出圧力−低射出速度から高射出圧力−高射出速度に
わたる広範囲において、射出圧力と射出速度との組み合
わせを任意にかつ無段階で設定することが可能となり、
これにより、多種の製品の射出成形を行うにあたり、そ
の各製品の成形条件に合った最適の射出圧力・射出速度
を設定できるといった効果も達成できる。
【0040】しかも、以上述べた効果を、既設の射出成
形機に増設ポンプとその油圧回路を付加するだけで簡単
にかつ低コストで達成できる。
形機に増設ポンプとその油圧回路を付加するだけで簡単
にかつ低コストで達成できる。
【図1】本発明の実施の形態を示す図
【図2】その実施の形態において増設側の油圧回路に接
続する圧力・流量調整弁の構成を示す図
続する圧力・流量調整弁の構成を示す図
【図3】一般的な油圧駆動の射出成形機の構造を示す図
【図4】射出速度の制御方法の従来例を示す図
【図5】油圧駆動の射出成形機において作動油圧とノズ
ル樹脂圧との関係を示すグラフ
ル樹脂圧との関係を示すグラフ
【図6】射出速度の制御方法の他の従来例を示す図
1 成形金型 1a キャビティ 2 型締ラム 3 射出ノズル 4 加熱シリンダ 5 射出油圧シリンダ 6 油圧ポンプ(標準ポンプ) 7 圧力・流量調整弁 9 増設ポンプ 10 圧力・流量調整弁(増設側)
Claims (1)
- 【請求項1】 型締め状態で内部にキャビティを形成す
る成形金型及びその型締機構と、樹脂を加熱溶融する加
熱シリンダと、その溶融樹脂を射出ノズルを通じて金型
キャビティ内に充填するための射出圧力及び射出速度を
与える射出油圧シリンダと、この射出油圧シリンダに作
動油を供給する油圧ポンプを備えた射出成形機を用いて
樹脂製品を成形する方法において、上記油圧ポンプとは
別に増設油圧ポンプを設け、その吐出油を圧力・流量調
整弁を通じて上記射出油圧シリンダに供給することによ
り、溶融樹脂の充填時の射出速度を、射出圧力とは関係
なく単独で制御することを特徴とする射出成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22021895A JPH0957800A (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 射出成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22021895A JPH0957800A (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 射出成形方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0957800A true JPH0957800A (ja) | 1997-03-04 |
Family
ID=16747737
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22021895A Pending JPH0957800A (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 射出成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0957800A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009154027A1 (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-23 | ダイキン工業株式会社 | 射出成形機の油圧装置およびその制御方法 |
-
1995
- 1995-08-29 JP JP22021895A patent/JPH0957800A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009154027A1 (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-23 | ダイキン工業株式会社 | 射出成形機の油圧装置およびその制御方法 |
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