JPH0953496A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JPH0953496A
JPH0953496A JP20323595A JP20323595A JPH0953496A JP H0953496 A JPH0953496 A JP H0953496A JP 20323595 A JP20323595 A JP 20323595A JP 20323595 A JP20323595 A JP 20323595A JP H0953496 A JPH0953496 A JP H0953496A
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nox
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リーン燃焼からストイキ燃焼に移行したとき
に、NOx吸着触媒から脱離されるNOxを、NOxの
脱離量に見合った適正なリッチ化により良好に還元処理
する。 【解決手段】リーン燃焼からストイキ燃焼に移行したと
きに排出されるNOx量の目標SLTNOXを、リーン燃焼中
のNOx吸着量ABSTC と吸入空気量Qとに基づいて設定
する(S702)。そして、前記目標SLTNOXと、実際のNO
x排出量TALNOXとを比較し(S703 ,S707 )、目標SL
TNOX±所定値HYSNOX# の範囲内に実際のNOx排出量TA
LNOXが抑制されるように、リッチ化度合いLRPLHSを学習
する(S704 〜S706 ,S708 〜S710 )。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の空燃比制
御装置に関し、詳しくは、機関排気通路にNOxを吸着
するNOx吸着触媒を有し、該NOx吸着触媒に吸着さ
れたNOxを理論空燃比以下での燃焼状態でHC,CO
と反応させて浄化するシステムにおいて、前記NOx浄
化を適正に行わせるための空燃比制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前記NOx吸着触媒を備えた内燃
機関としては、特開平6−129246号公報に開示さ
れるようなものがあった。このものは、流入排気の空燃
比がリーンであるときにNOxを吸収し、リッチになる
と吸収したNOxを放出するNOx吸着剤を排気通路に
備え、リーン運転から理論空燃比付近での運転に移行す
るときに、空燃比を一時的にリッチにした後に理論空燃
比付近にする構成であり、前記リッチ化度合い或いはリ
ッチ化の期間を、NOx吸着剤に蓄えられたNOx量に
基づいて制御する構成となっている。
【0003】かかる構成によると、リーン運転から理論
空燃比付近での運転への移行に伴って放出されるNOx
量に見合うだけのHCを確保することができ、以て、N
Oxを良好に浄化できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置では、前記リッチ化度合いが適正であるか否か
を判定する手段をもたない構成であったため、リッチ化
によるNOx低減効果が要求通りに発揮されなかった
り、リッチ化度合いが過剰となって排気性状や燃費を悪
化させる惧れがあった。
【0005】即ち、リッチ化制御に見合ったリッチ空燃
比に制御されない場合や、NOx吸着剤のばらつき等に
よって予測されるNOx量とは異なるNOx量が放出さ
れる場合には、NOx吸着剤に蓄えられたNOx量に基
づいてリッチ化度合いを制御しても、かかるリッチ化度
合いが適正量とはならず、リッチ化が過剰であるとHC
排出量が増大し、また、燃費を悪化させることになり、
逆に、リッチ化が過小であると、NOxの浄化性能が低
下してNOx排出量を要求レベル以下に抑制することが
できなくなってしまう(図15参照)。
【0006】リッチ化制御に見合ったリッチ空燃比に制
御されない場合とは、例えば製品の特性ばらつき等によ
って、ベースとなる空燃比が元々リーン側になってい
て、リッチ化を行っても所望の値よりもリーンになり、
充分なHCの供給が行えない場合、逆に、ベース空燃比
がリッチ側になっていて、所望よりもリッチ化され、余
剰のHCが排出される場合である。ここで、前記ベース
空燃比のばらちつきを解消する技術として空燃比学習制
御が知られているが、リーン運転から理論空燃比運転に
移行する典型的なパターンである加速状態への移行時に
は、吸入空気量の計測誤差が生じ易く、また、吸気ポー
ト壁面に付着している燃料の状態も大きく変化するか
ら、定常時の空燃比安定を狙いとする前記空燃比学習で
は、リーン運転から理論空燃比運転に移行するときのベ
ース空燃比を高精度に補正できず、結果的に、リッチ化
制御によって所期のリッチ混合気を形成することができ
ない場合が生じる。
【0007】また、NOx吸着剤の吸着能力や放出作用
にもばらつきがあるから、吸着量の推定に誤りが生じる
可能性があり、また、吸着量の推定に誤りがない場合で
あっても、その放出量にばらつきが発生する可能性があ
り、NOx量に精度良く対応したリッチ化度合いに制御
することが困難であった。尚、前記従来装置には、NO
x吸着剤の下流側でのHC濃度を検出して、NOx放出
作用の完了を検出し、以て、リッチ化を終了させる構成
の開示があるが、この場合も、NOx放出作用終了後の
無用なリッチ化によってHC量が所定量を越える状態を
検出するものであるから、NOx放出中のリッチ化度合
いを最適に制御できるものではなく、結果的に、過剰な
リッチ化による燃費・排気性状の悪化を招く惧れがあ
る。
【0008】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、ベース空燃比のばらつきやNOx吸着剤のばらつ
きがあっても、NOxの低減に最適なリッチ化制御を安
定的に行えるようにし、以て、NOx排出量を確実に抑
制しつつ、HC量の増大や燃費の悪化を回避できるよう
にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の
発明は、図1に示すように構成される。図1において、
NOx吸着触媒は、理論空燃比よりもリーン空燃比雰囲
気において排気中のNOxを吸着し、理論空燃比以下の
空燃比雰囲気において前記吸着したNOxを脱離する触
媒であって排気通路に備えられる。
【0010】リッチ化手段は、前記リーン空燃比で燃焼
させる運転領域から理論空燃比付近で燃焼させる運転領
域に移行したときに一時的に空燃比を目標空燃比よりも
リッチ化させる。一方、NOx濃度検出手段は、前記N
Ox吸着触媒の下流側において排気中のNOx濃度を検
出する。
【0011】そして、リッチ化度合い制御手段は、NO
x濃度検出手段で検出された排気中のNOx濃度に応じ
て前記リッチ化手段によるリッチ化度合いを制御する。
かかる構成によると、前記リーン空燃比で燃焼させる運
転領域から理論空燃比付近で燃焼させる運転領域に移行
し、NOx吸着触媒からNOxが脱離されるときに、空
燃比を積極的にリッチ化して、NOxの還元処理に必要
とされるHC量の確保を図る。ここで、リッチ化度合い
が過小であると、NOxを良好に還元できずにNOx濃
度が大きくなる一方、リッチ化度合いが過大であると、
NOx濃度は大きく低下するもののHC濃度が増大する
ので、NOx濃度を監視して、前記リッチ化度合いが適
正となるように制御する構成とした。
【0012】請求項2記載の発明では、前記リッチ化度
合い制御手段が、機関負荷と機関回転速度とによって複
数に区分される運転領域毎に、NOx濃度の検出値に基
づき制御したリッチ化度合いを学習する構成とした。か
かる構成によると、機関負荷と機関回転速度とによって
複数に区分される運転領域毎に、NOx濃度を適正値に
できるリッチ化度合いが学習されるから、運転条件が異
なっても、安定的にNOx濃度を低く制御でき、また、
過剰なリッチ化によってHC量が増大することを回避で
きる。
【0013】請求項3記載の発明では、前記リッチ化度
合い制御手段が、機関の吸入空気量を検出する吸入空気
量検出手段と、該吸入空気量検出手段で検出された吸入
空気量と、前記NOx濃度検出手段で検出された排気中
のNOx濃度とに基づいて、前記リーン空燃比で燃焼さ
せる運転領域から理論空燃比付近で燃焼させる運転領域
に移行した直後の所定期間におけるNOx排出量の総量
を算出するNOx排出量算出手段と、を含んで構成さ
れ、該NOx排出量算出手段で算出されたNOx排出量
の総量に基づいて前記リッチ化手段によるリッチ化度合
いを制御する構成とした。
【0014】かかる構成によると、NOx排出量が許容
値を越えるようになることを回避しつつ、過剰なリッチ
化を回避できることになる。請求項4記載の発明では、
前記リーン空燃比で燃焼させる運転領域において、前記
NOx吸着触媒に吸着されたNOx吸着量の総量を算出
するNOx吸着量算出手段を備え、前記リッチ化度合い
制御手段が、前記NOx吸着量算出手段で算出されたN
Ox吸着量の総量と、前記NOx排出量算出手段で算出
されたNOx排出量の総量とに基づいて前記リッチ化手
段によるリッチ化度合いを制御する構成とした。
【0015】かかる構成によると、例えばNOx吸着量
の総量に応じて許容されるNOx排出量が異なる場合
に、かかる要求に対応した適切なリッチ化度合いに制御
することが可能となり、また、NOx吸着量に応じて異
なるリッチ化度合いの要求に予め対応した制御が可能と
なる。請求項5記載の発明では、前記リッチ化度合い制
御手段が、前記NOx吸着量算出手段で算出されたNO
x吸着量の総量と吸入空気量とに基づいて設定したNO
x排出量の総量の目標値に、前記NOx排出量算出手段
で算出されたNOx排出量の総量が近づくように、前記
リッチ化手段によるリッチ化度合いを制御する構成とし
た。
【0016】かかる構成によると、NOx吸着量の総量
と吸入空気量とに基づいて許容されるNOx排出量の総
量が目標値として設定され、実際の排出量がかかる目標
値となる適正なリッチ化が行われることになる。請求項
6記載の発明では、前記リッチ化度合い制御手段が、前
記NOx吸着量算出手段で算出されたNOx吸着量の総
量に基づく基本リッチ化度合いを、前記NOx排出量算
出手段で算出されたNOx排出量の総量に基づいて修正
する構成とした。
【0017】かかる構成によると、基本的には、NOx
吸着量が多いときほどリッチ化度合いを大きくする必要
があるので、NOx排出量の総量に基づく修正が行われ
る前であっても、少なくとも吸着量に見合ったリッチ化
度合いに制御できる。請求項7記載の発明では、前記N
Ox排出量算出手段が、前記NOx吸着量算出手段で算
出されたNOx吸着量に基づいて設定した吸入空気量の
積算目標値に実際の吸入空気量の積算値が達するまでの
期間を、前記NOx排出量の総量を算出する所定期間と
する構成とした。
【0018】かかる構成によると、NOx吸着量が多い
ときほど、吸着されたNOxの脱離に長い期間を要する
ことになるから、NOx吸着量に基づいて設定した目標
値に実際の吸入空気量の積算値が到達するまでを、NO
x排出量の総量を求める期間として設定し、脱離された
NOxの総量を精度良く求められる。請求項8記載の発
明では、理論空燃比付近で燃焼させる運転領域におい
て、目標空燃比に実際の空燃比を近づけるように機関吸
入混合気の空燃比を少なくとも比例・積分制御によって
制御する空燃比フィードバック制御手段を備え、前記リ
ッチ化手段が、前記空燃比フィードバック制御手段にお
けるリッチ化方向の比例操作量を増大補正することで、
一時的に空燃比を目標空燃比よりもリッチ化させる構成
であり、かつ、前記空燃比フィードバック制御手段によ
る1制御周期が終了した時点で前記比例操作量の増大補
正を中止する構成とした。
【0019】かかる構成によると、比例操作量の増大補
正によって一時的にリッチ化された空燃比が徐々に目標
空燃比付近に復帰し、再度リッチ化方向に比例制御が行
われる段階、即ち、1制御周期を終了した時点では、比
例操作量の増大補正が中止されるので、リッチ化制御状
態から目標空燃比付近の状態へと滑らかに変化させるこ
とができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図2は、本実施形態における内燃機関のシステム
構成を示す図である。この図2において、内燃機関1に
は、エアクリーナ2を介した空気がスロットル弁3で流
量調整されて吸引される。
【0021】各気筒の吸気ポートに介装された燃料噴射
弁4から噴射供給される燃料が前記空気と混合して混合
気が形成され、シリンダ内に吸引された混合気を、点火
栓5による火花点火で着火燃焼させる。燃焼排気は、N
Ox吸着剤を有してなるNOx吸着触媒6及び三元触媒
7で浄化された後、マフラー8を介して大気中に排出さ
れる。
【0022】前記NOx吸着触媒6は、流入排気の空燃
比がリーンであるときにNOxを吸収し、リッチになる
と吸収したNOxを放出する機能を有するものである。
前記燃料噴射弁4による燃料噴射量を制御するマイクロ
コンピュータを内蔵したコントロールユニット9には、
各種センサからの検出信号が入力される。即ち、前記コ
ントロールユニット9には、ディストリビュータ10に内
蔵されたクランク角センサ11からの回転信号、水温セン
サ12からの水温信号、酸素センサ13からの酸素濃度信
号、吸入空気量検出手段としてのエアフローメータ14か
らの吸入空気量信号、スロットルセンサ15からの開度信
号等が入力される。
【0023】そして、コントロールユニット9は前記各
種センサからの検出信号に基づいて前記燃料噴射弁4に
よる噴射量を制御すると共に、点火栓5による点火時
期、補助空気量調整バルブ16の開度を制御する。ここ
で、本実施形態の機関1は、理論空燃比よりも大幅にリ
ーンである空燃比(例えば空燃比20〜22程度)で燃焼さ
せる所謂リーン燃焼機関であり、図3に示すルーチンに
従って、前記リーン空燃比での燃焼と、理論空燃比付近
での燃焼とを切り換えるようになっている。
【0024】図3のフローチャートにおいて、S301 で
は、前記スロットルセンサ15に設けられたアイドルスイ
ッチの信号を読み込み、S302 で、アイドルスイッチが
ONであるか否か、即ち、スロットル弁3が全閉の状態
であるか否かを判別する。そして、アイドルスイッチが
OFFでスロットル弁3が開かれている状態であるとき
には、スロットル弁開度がリーン燃焼条件にあると判断
してS303 へ進む。
【0025】S303 では、水温センサ12による検出信号
を読み込み、次のS304 では、水温TWが所定温度範囲
内(TWL≦TW≦TWH)であるか否かを判別する。
尚、本実施例では、図9に示すように、前記酸素センサ
13の検出信号に基づいて空燃比をフィードバック制御す
る空燃比フィードバック制御(図9では、「λコン」と
示してある。)を実行する水温範囲内のより狭い範囲を
リーン燃焼条件域としてある。
【0026】S304 で、水温TWがリーン燃焼条件域で
あると判別された場合には、S305へ進み、機関負荷T
Pの検出を行う。本実施例では、前記エアフローメータ
14で検出される吸入空気量Qと、クランク角センサ11か
らの検出信号に基づいて算出される機関回転速度NEと
に基づいて算出される燃料噴射弁4の基本燃料噴射量T
P(TP=Q/NE×K:Kは定数)を、機関負荷を代
表する値とする。
【0027】S306 では、前記機関負荷TPが所定範囲
内(TPL≦TP≦TPH)であるか否かを判別し、所
定範囲内であれば、S307 へ進んで、クランク角センサ
11からの検出信号に基づいて機関回転速度NEを検出す
る。そして、S308 では、機関回転速度NEが所定範囲
内(NEL≦NE≦NEH)であるか否かを判別し、図
10に示すように、機関負荷TPと機関回転速度NEとが
それぞれ所定範囲内である運転領域として予め特定され
ているリーン燃焼領域に該当しているか否かを判別す
る。
【0028】前記リーン燃焼領域に該当している場合に
は、S309 へ進み、スロットルセンサ15によりスロット
ル弁開度TVOを検出する。S310 では、スロットル弁
開度TVOが所定開度TVOH以下であるか否かを判別
し、所定開度TVOH以下であれば、S311 へ進む。S
311 では、車速VSPを検出し、次のS312 では、車速
VSPが所定速度VSPL以上であるか否かを判別する
(図11参照)。
【0029】そして、車速VSPが所定速度VSPL以
上であれば、S313 へ進み、車速VSPの変化率ΔVS
Pを検出する。S314 では、前記変化率ΔVSPが所定
値DVH(図11参照)以下であるか否かを判別し、車速
VSPが略安定しているときには、S315 へ進み、リー
ン運転許可フラグFLEANに1をセットする。
【0030】一方、上記条件のうちの1つでも満足しな
い条件がある場合には、S316 へ進んで、前記リーン運
転許可フラグFLEANに0をセットする。図4のフロ
ーチャートに示すルーチンは、前記リーン運転許可フラ
グFLEANに基づく燃空比制御の様子を示すものであ
る。この図4のフローチャートにおいて、まず、S401
では、前記リーン運転許可フラグFLEANの判別を行
う。
【0031】そして、リーン運転許可フラグFLEAN
が1であるときには、S402 へ進み、目標燃空比TDM
Lを、リーン燃空比マップを参照して求める。一方、前
記リーン運転許可フラグFLEANが0であるときに
は、S403 へ進み、目標燃空比TDMLを、ストイキ燃
空比(理論空燃比)マップを参照して求める。
【0032】S404 では、再度前記リーン運転許可フラ
グFLEANを判別し、リーン運転許可フラグFLEA
Nが1であるときには、S405 へ進んで、燃空比補正係
数DMLを、 DML=Max(DML−ΔDML,TDML) として設定する。
【0033】前記ΔDMLは、図12に示すように、スロ
ットル弁の開度変化率ΔTVOが大きいときほど大きな
値として設定される燃空比補正係数DMLのステップ変
化量であり、リーン運転許可フラグFLEANが0の状
態から1に変化すると、前記ΔDMLによる変化速度
で、目標燃空比TDMLにまで徐々にリーン化されるよ
うにする。
【0034】一方、リーン運転許可フラグFLEANが
0であるときには、S406 へ進んで、燃空比補正係数D
MLを、 DML=Min(DML+ΔDML,TDML) として設定する。即ち、リーン燃焼状態からストイキ
(理論空燃比)に切り換えるときには、前記ΔDMLに
よる変化速度で、目標燃空比TDMLにまで徐々にリッ
チ化されるようにする(図12参照)。
【0035】S407 では、前記燃空比補正係数DMLが
1.0 であるか否かを判別し、前記燃空比補正係数DML
が1.0 であって、理論空燃比での燃焼を行わせるときに
は、そのまま本ルーチンを終了させる。一方、S407 で
前記燃空比補正係数DMLが1.0 でないと判別されたと
きには、理論空燃比に実際の空燃比を近づける空燃比フ
ィードバック制御を行わないので、S408 へ進んで、空
燃比フィードバック補正係数ALPHAを1.0 にクラン
プする。
【0036】図5のフローチャートに示すルーチンは、
前記NOx吸着触媒6におけるNOx吸着量を算出する
ものである。尚、この図5のフローチャートに示す機能
が、NOx吸着量算出手段に相当する。S501 では、前
記燃空比補正係数DMLが1.0 未満であるか否かに基づ
いてリーン燃焼状態であるか否かを判別する。
【0037】燃空比補正係数DMLが1.0 未満であって
リーン燃焼されているときには、前記NOx吸着触媒6
にNOxが吸着されることになるので、S502 へ進ん
で、NOx吸着速度DABSRを下式に基づいて推定す
る。 DABSR=DABSR0#×TP/TP0×Q/Q0
×(ABSFC#−ABSTC)/ABSFC# ここで、DABSR0#は基準吸着速度、TP0は基準
負荷、Q0は基準空気量、ABSFC#は最大吸着量、
ABSTCは現時点における吸着量であり、負荷TPが
大きいほど、また、吸入空気量Qが大きいほど吸着速度
DABSRを大きく推定し、更に、吸着量ABSTCが
多くなるほど吸着速度DABSRを遅く推定する構成と
してある。
【0038】次のS503 では、前記吸着速度DABSR
を用いて現時点におけるNOx吸着量ABSTCを下式
に従って推定する。 ABSTC=ABSTC(old)+DABSR 一方、S501 で燃空比補正係数DMLが1.0 未満でない
と判別されたときには、理論空燃比燃焼時であり、前記
NOx吸着触媒6に吸着されていたNOxが放出される
ことになるので、S504 でNOx脱離速度DPRGRを
下式に従って推定する。
【0039】DPRGR=DPRGR0#×TP/TP
0×Q/Q0×ABSTC/ABSFC# ここで、前記DPRGR0#は、基準の脱離速度であ
る。S505 では、前記脱離速度DPRGRを用いて現時
点におけるNOx吸着量ABSTCを下式に従って推定
する。
【0040】 ABSTC=ABSTC(old)−DPRGR 図6のフローチャートに示すルーチンは、空燃比フィー
ドバック制御を示すものであり、機関の1回転毎に実行
されるようになっている。尚、この図6のフローチャー
トに示す機能が、空燃比フィードバック制御手段,リッ
チ化手段,リッチ化度合い制御手段に相当する。
【0041】S601 では、前記燃空比補正係数DMLが
1.0 未満であるか否かに基づいてリーン燃焼状態である
か否かを判別する。リーン燃焼時であるときには、S61
0 でリッチ化実行フラグFRSFTに1をセットし、S
611 で空燃比フィードバック補正係数ALPHAを1.0
にクランプして本ルーチンを終了させる。
【0042】一方、前記燃空比補正係数DMLが1.0 で
あって、理論空燃比燃焼時であるときには、S602 へ進
み、所定のクランプ条件が成立しているか否かを判別
し、理論空燃比燃焼時であっても、所定のクランプ条件
が成立しているときには、S611 へ進んで、空燃比フィ
ードバック補正係数ALPHAを1.0 にクランプして本
ルーチンを終了させる。
【0043】クランプ条件が成立していない場合には、
S603 へ進み、前記リッチ化実行フラグFRSFTに1
がセットされているか否かを判別する。前記リッチ化実
行フラグFRSFTが0であるときには、S612 に進
み、前記空燃比フィードバック補正係数ALPHAの比
例積分制御に用いる積分分i,比例分PR,PL(図13
参照)をそれぞれマップを参照して求める。
【0044】そして、S609 へ進み、酸素センサ13で検
出される理論空燃比に対する実際の空燃比のリッチ・リ
ーンに基づいて、空燃比フィードバック補正係数ALP
HAの比例積分制御する。一方、S603 でリッチ化実行
フラグFRSFTが1であると判別されたときには、S
604 へ進み、NOx吸着量ABSTCに従ってリッチ化
度合LRPLを設定する。ここで、NOx吸着量が多い
ときほど、これが脱離したときに還元するのに必要なH
C量が多くなるため、NOx吸着量が多いときほどリッ
チ化度合LRPLを大きく設定するようにしてある。
【0045】次のS605 では、機関負荷TP及び回転速
度NEに従ってマップからリッチ化度合学習補正係数L
RPLHSを参照する。前記リッチ化度合学習補正係数
LRPLHSの学習設定については後述するが、NOx
吸着触媒6及び三元触媒7の下流側に設けられるNOx
濃度検出手段としてのNOx濃度センサ17によるNOx
の濃度の検出結果に基づいて学習されるようになってい
る。
【0046】S606 では、空燃比フィードバック補正係
数ALPHAの比例制御による増大設定に用いる比例分
PL(図13参照)を、 PL=LRPL×LRPLHS として設定すると共に、減少比例制御に用いるPRを0
にする。更に、補正係数ALPHAの積分制御に用いる
積分分iとして所定値LRI#をセットする。
【0047】上記のように補正係数ALPHAの比例制
御による増大設定に用いる比例分PL(比例操作量)を
増大設定することで、リーン→ストイキ切り換え時に空
燃比を一時的にリッチ化するものであり、かかるリッチ
化をフィードバックの1周期だけ実行したか否かをS60
7 で判別し、1周期間だけリッチ化すると、S608 へ進
んで前記リッチ化実行フラグFRSFTに0をセットし
て、その後は、通常のフィードバック制御が行われるよ
うにする。
【0048】図7のフローチャートに示すルーチンは、
前記リッチ化度合学習補正係数LRPLHSの学習の様
子を示すものであり、前記図6のフローチャートに基づ
くリッチシフト終了後、即ち、リッチ化実行フラグFR
SFTが1から0に切り換えられたときに毎回実行され
るようにしてある。尚、この図7のフローチャートに示
す機能も、リッチ化度合い制御手段に相当する。
【0049】S701 では、機関負荷TP,回転速度NE
などの運転条件を検出する。S702 では、NOx吸着量
ABSTC及び吸入空気量Qに基づいて、リーン→スト
イキ切り換え時におけるNOx排出量の目標値SLTN
OXを求める。S703 では、後述する図8のフローチャ
ートに従って求めたリーン→ストイキ切り換え時におけ
る実際のNOx排出量TALNOXが、前記目標値SL
TNOXから所定値HYSNOX#を減算した値以下で
あるか否かを判別する。
【0050】実際のNOx排出量TALNOXが、前記
目標値SLTNOXを大きく下回っている場合には、S
704 へ進んで、マップの該当領域からリッチ化度合学習
補正係数LRPLHSを参照する。そして、S705 で
は、前記補正係数LRPLHSを所定値DPL#だけ減
少補正し、次のS706 では、かかる減少補正後の補正係
数LRPLHSにマップデータを書き換える。
【0051】即ち、NOx排出量が目標を大きく下回っ
ている場合には、リッチ化度合いを減少させても、NO
x排出量を目標以下に抑制できる可能性があるので、過
剰なリッチシフトを回避すべく補正係数LRPLHSを
減少させるものである。一方、S703 で、実際のNOx
排出量TALNOXが、前記目標値SLTNOXから所
定値HYSNOX#を減算した値を越えていると判別さ
れたときには、S707 へ進み、実際のNOx排出量TA
LNOXが、前記目標値SLTNOXに所定値HYSN
OX#を加算した値以上であるか否かを判別する。
【0052】そして、実際のNOx排出量TALNOX
が、前記目標値SLTNOXに所定値HYSNOX#を
加算した値以上である場合には、S708 へ進み、マップ
から現状の補正係数LRPLHSを読み出し、S709 で
は、読み出した補正係数LRPLHSを所定値DPL#
だけ増大補正し、S710 では前記増大補正した補正係数
LRPLHSに基づいてマップデータを更新する。
【0053】即ち、実際のNOx排出量TALNOX
が、目標値を大きく上回る場合には、リッチ化度合いが
少なく、NOxの浄化に必要とされるHC量が不足して
いるものと推定されるので、リッチ化度合いを大きくし
てHC量を増大させるべく、前記補正係数LRPLHS
を増大補正するものである。一方、実際のNOx排出量
TALNOXが、目標値SLTNOX±HYSNOX#
の範囲内であるときには、現状のリッチシフト量が適正
であると判断して、マップデータの更新を行うことなく
本ルーチンを終了する。
【0054】図8のフローチャートに示すルーチンは、
前記NOx排出量TALNOXを求めるためのルーチン
であり、このフローチャートに示す機能が、NOx排出
量算出手段に相当する。S801 では、前記燃空比補正係
数DMLが1.0 以上であるか否かに基づいてストイキ燃
焼状態であるか否かを判別する。
【0055】前記燃空比補正係数DMLが1.0 以上であ
ってストイキ燃焼時であるときには、S802 へ進み、累
積空気量の目標値QRを、前記NOx吸着量ABSTC
に基づいて設定する。即ち、リーン→ストイキ切り換え
後の実際の吸入空気量の累積値QSUMが前記目標値Q
Rに達するまでに排出されたNOx排出量の総量を求め
るものであり、NOx吸着量ABSTCが多いときほ
ど、前記目標値QRを大きく設定する。
【0056】S803 では、リーン→ストイキ切り換え後
の吸入空気量の累積QSUMが、前記目標値QR以上に
なったか否かを判別し、目標値QRに達していない場合
には、S804 へ進む。S804 では、前記NOx濃度セン
サ17で検出された触媒6,7下流側(触媒出口)でのN
Ox濃度CNCNOXを読み込む。
【0057】S805 では、エアフローメータ14で検出さ
れた吸入空気量Qを読み込む。S806 では、NOx排出
量TALNOXを、下式に従って求める。 TALNOX=TALNOX+Q×CNCNOX S807 では、累積空気量QSUMを、下式に従って求め
る。 QSUM=QSUM+Q 一方、前記燃空比補正係数DMLが1.0 未満であると判
別されるリーン燃焼時には、S808 へ進み、前記累積空
気量QSUM及びNOx排出量TALNOXをそれぞれ
ゼロリセットし、リーン→ストイキ切り換え後の累積空
気量QSUM及びNOx排出量TALNOXが求められ
るようにする(図14参照)。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によると、NOx吸着触媒からNOxが脱離されるとき
に、空燃比を一時的にリッチ化して、NOxの還元処理
に必要とされるHC量の確保を図る構成において、NO
x濃度に基づいて前記リッチ化の度合いを制御するか
ら、リッチ度合いを適正に制御して過剰なリッチ化によ
るHC量の増大、及び、過少なリッチ化によるNOx量
の増大を確実に回避できるという効果がある。
【0059】請求項2記載の発明によると、運転条件が
変化しても、各運転条件において適正なリッチ化制御を
実行させて、安定的にNOx濃度を低く制御でき、ま
た、過剰なリッチ化によってHC量が増大することを回
避できるという効果がある。請求項3記載の発明による
と、NOx濃度からNOx排出量を求めるので、NOx
排出量が許容値を越えるようになることを回避しつつ、
過剰なリッチ化を回避できるという効果がある。
【0060】請求項4記載の発明によると、NOx排出
量と共に、NOx吸着量を求めるから、NOx吸着量に
応じて異なるNOx排出量の許容に対応した制御が行
え、また、NOx吸着量に応じて予め適正レベルに比較
的近いリッチ化度合いで制御を行わせることが可能とな
るという効果がある。請求項5記載の発明によると、N
Ox吸着量の総量と吸入空気量とに基づいて許容される
NOx排出量の総量が目標値として設定され、かかる目
標値に実際のNOx排出量が一致するような適正なリッ
チ化度合いを設定できるという効果がある。
【0061】請求項6記載の発明によると、NOx吸着
量の総量に基づいてリッチ化度合いの基本値が設定され
るから、NOx排出量の総量に基づきリッチ化度合いを
高精度に修正する前であっても、NOxが多量に排出さ
れてしまうことを回避できるという効果がある。請求項
7記載の発明によると、NOx吸着触媒に吸着されてい
て脱離されたNOxの総量を精度良く求めることができ
るという効果がある。
【0062】請求項8記載の発明によると、脱離された
NOxを還元するために空燃比を一時的にリッチ状態に
しても、その後、目標空燃比付近の状態へと滑らかに変
化させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の基本構成を示すブロック
図。
【図2】内燃機関のシステム構成図。
【図3】リーン運転制御を示すフローチャート。
【図4】燃空比制御を示すフローチャート。
【図5】NOx吸着量の推定演算を示すフローチャー
ト。
【図6】空燃比フィードバック制御を示すフローチャー
ト。
【図7】リッチ化度合いの学習制御を示すフローチャー
ト。
【図8】NOx排出量の推定演算を示すフローチャー
ト。
【図9】リーン運転条件としての水温範囲を示す図。
【図10】リーン運転領域を示す図。
【図11】リーン運転条件としての車速と車速変化率とを
示す図。
【図12】燃空比制御の様子を示すタイムチャート。
【図13】空燃比フィードバック制御の様子を示すタイム
チャート。
【図14】NOx排出量の変化を示すタイムチャート。
【図15】リッチ化度合いとNOx濃度との相関を示す線
図。
【符号の説明】
1 内燃機関 3 スロットル弁 4 燃料噴射弁 5 点火栓 6 NOx吸着触媒 7 三元触媒 9 コントロールユニット 11 クランク角センサ 12 水温センサ 13 酸素センサ 14 エアフローメータ 15 スロットルセンサ 17 NOx濃度センサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】理論空燃比よりもリーン空燃比雰囲気にお
    いて排気中のNOxを吸着し、理論空燃比以下の空燃比
    雰囲気において前記吸着したNOxを脱離するNOx吸
    着触媒を排気通路に備えてなる内燃機関の空燃比制御装
    置であって、 前記リーン空燃比で燃焼させる運転領域から理論空燃比
    付近で燃焼させる運転領域に移行したときに一時的に空
    燃比を目標空燃比よりもリッチ化させるリッチ化手段
    と、 前記NOx吸着触媒の下流側において排気中のNOx濃
    度を検出するNOx濃度検出手段と、 該NOx濃度検出手段で検出された排気中のNOx濃度
    に応じて前記リッチ化手段によるリッチ化度合いを制御
    するリッチ化度合い制御手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】前記リッチ化度合い制御手段が、機関負荷
    と機関回転速度とによって複数に区分される運転領域毎
    に、NOx濃度の検出値に基づき制御したリッチ化度合
    いを学習することを特徴とする請求項1記載の内燃機関
    の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】前記リッチ化度合い制御手段が、 機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、 該吸入空気量検出手段で検出された吸入空気量と、前記
    NOx濃度検出手段で検出された排気中のNOx濃度と
    に基づいて、前記リーン空燃比で燃焼させる運転領域か
    ら理論空燃比付近で燃焼させる運転領域に移行した直後
    の所定期間におけるNOx排出量の総量を算出するNO
    x排出量算出手段と、 を含んで構成され、該NOx排出量算出手段で算出され
    たNOx排出量の総量に基づいて前記リッチ化手段によ
    るリッチ化度合いを制御することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】前記リーン空燃比で燃焼させる運転領域に
    おいて、前記NOx吸着触媒に吸着されたNOx吸着量
    の総量を算出するNOx吸着量算出手段を備え、 前記リッチ化度合い制御手段が、前記NOx吸着量算出
    手段で算出されたNOx吸着量の総量と、前記NOx排
    出量算出手段で算出されたNOx排出量の総量とに基づ
    いて前記リッチ化手段によるリッチ化度合いを制御する
    ことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の空燃比制御
    装置。
  5. 【請求項5】前記リッチ化度合い制御手段が、前記NO
    x吸着量算出手段で算出されたNOx吸着量の総量と吸
    入空気量とに基づいて設定したNOx排出量の総量の目
    標値に、前記NOx排出量算出手段で算出されたNOx
    排出量の総量が近づくように、前記リッチ化手段による
    リッチ化度合いを制御することを特徴とする請求項4記
    載の内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】前記リッチ化度合い制御手段が、前記NO
    x吸着量算出手段で算出されたNOx吸着量の総量に基
    づく基本リッチ化度合いを、前記NOx排出量算出手段
    で算出されたNOx排出量の総量に基づいて修正するこ
    とを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の空燃
    比制御装置。
  7. 【請求項7】前記NOx排出量算出手段が、前記NOx
    吸着量算出手段で算出されたNOx吸着量に基づいて設
    定した吸入空気量の積算目標値に実際の吸入空気量の積
    算値が達するまでの期間を、前記NOx排出量の総量を
    算出する所定期間とすることを特徴とする請求項4〜6
    のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 【請求項8】理論空燃比付近で燃焼させる運転領域にお
    いて、目標空燃比に実際の空燃比を近づけるように機関
    吸入混合気の空燃比を少なくとも比例・積分制御によっ
    て制御する空燃比フィードバック制御手段を備え、 前記リッチ化手段が、前記空燃比フィードバック制御手
    段におけるリッチ化方向の比例操作量を増大補正するこ
    とで、一時的に空燃比を目標空燃比よりもリッチ化させ
    る構成であり、かつ、前記空燃比フィードバック制御手
    段による1制御周期が終了した時点で前記比例操作量の
    増大補正を中止することを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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JP2008298024A (ja) * 2007-06-01 2008-12-11 Mazda Motor Corp 排ガス浄化装置

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