JPH0953119A - 高強度電縫鋼管の製造方法 - Google Patents
高強度電縫鋼管の製造方法Info
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- JPH0953119A JPH0953119A JP23329595A JP23329595A JPH0953119A JP H0953119 A JPH0953119 A JP H0953119A JP 23329595 A JP23329595 A JP 23329595A JP 23329595 A JP23329595 A JP 23329595A JP H0953119 A JPH0953119 A JP H0953119A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 引張強さ980N/mm2以上で、かつ耐遅
れ破壊特性に優れた高強度電縫鋼管を製造する。 【解決手段】 C、Si、Mn、P、S、Cr、Moを
特定範囲で含有し、Nb、Ti、V、Ni、Bのうちの
少なくとも1種以上を特定範囲で含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延して550
℃以下で巻取った熱延鋼帯を、圧下率10〜40%で冷
間圧延した冷延鋼板を素材とし、電縫溶接して得た電縫
鋼管の最高硬さHV550以下とする。
れ破壊特性に優れた高強度電縫鋼管を製造する。 【解決手段】 C、Si、Mn、P、S、Cr、Moを
特定範囲で含有し、Nb、Ti、V、Ni、Bのうちの
少なくとも1種以上を特定範囲で含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延して550
℃以下で巻取った熱延鋼帯を、圧下率10〜40%で冷
間圧延した冷延鋼板を素材とし、電縫溶接して得た電縫
鋼管の最高硬さHV550以下とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特に高強度を必
要とする機械構造用鋼管、例えば自動車ドア補強用のイ
ンパクトバー等に使用される引張強さ980N/mm2
以上の高強度電縫鋼管の製造方法に関する。
要とする機械構造用鋼管、例えば自動車ドア補強用のイ
ンパクトバー等に使用される引張強さ980N/mm2
以上の高強度電縫鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などの車両用ドアには、側面衝突
時などにおける安全を図り、しかも軽量性を得るため、
高強度鋼管からなるドア補強用のインパクトバーが使用
されている。ドア補強用のインパクトバーは、実使用環
境下では衝突により荷重が負荷されるとボディと共に塑
性変形するが、搭乗者にドア内部が接触する前にどれだ
けのエネルギーを吸収できるかが大切で、非常に高い強
度と、ある程度の塑性変形、いわゆる伸び量を有するこ
とが大切である。
時などにおける安全を図り、しかも軽量性を得るため、
高強度鋼管からなるドア補強用のインパクトバーが使用
されている。ドア補強用のインパクトバーは、実使用環
境下では衝突により荷重が負荷されるとボディと共に塑
性変形するが、搭乗者にドア内部が接触する前にどれだ
けのエネルギーを吸収できるかが大切で、非常に高い強
度と、ある程度の塑性変形、いわゆる伸び量を有するこ
とが大切である。
【0003】また、ドア補強用のインパクトバーは、車
体に取付けられた後は長期間ドア内で放置されるため、
遅れ破壊が懸念され、特にドア補強材のように高強度で
あること、さらにドア内への雨水の侵入等、環境条件か
らも極めて不利であり、遅れ破壊が進展した場合は、ド
ア補強材の役目をなさず、大きな問題となる。
体に取付けられた後は長期間ドア内で放置されるため、
遅れ破壊が懸念され、特にドア補強材のように高強度で
あること、さらにドア内への雨水の侵入等、環境条件か
らも極めて不利であり、遅れ破壊が進展した場合は、ド
ア補強材の役目をなさず、大きな問題となる。
【0004】このようなインパクトバーを得る方法とし
ては、C:0.08〜0.23%、Si:0.8%以
下、Mn:2.0%以下、Nb:0.10%以下を含有
し、かつCr:1.0%以下、Mo:0.60%以下の
1種以上を含有し、残部は脱酸度を調整することにより
残存するsol.Al、Feおよび不可避的不純物から
なる素材鋼スラブを、熱間圧延後、450〜650℃の
温度範囲で巻取り、熱延鋼板としたのち、電縫溶接を行
うことにより、造管のまま、もしくは歪取り焼鈍を行
い、引張強さ60〜100kgf/mm2の鋼管とする
方法(特開平2−197525号公報)が提案されてい
る。
ては、C:0.08〜0.23%、Si:0.8%以
下、Mn:2.0%以下、Nb:0.10%以下を含有
し、かつCr:1.0%以下、Mo:0.60%以下の
1種以上を含有し、残部は脱酸度を調整することにより
残存するsol.Al、Feおよび不可避的不純物から
なる素材鋼スラブを、熱間圧延後、450〜650℃の
温度範囲で巻取り、熱延鋼板としたのち、電縫溶接を行
うことにより、造管のまま、もしくは歪取り焼鈍を行
い、引張強さ60〜100kgf/mm2の鋼管とする
方法(特開平2−197525号公報)が提案されてい
る。
【0005】また、C:0.15〜0.23%、Si:
0.5%以下、Mn:1.5%以下、Ti:0.04%
以下、B:0.0003〜0.0035%、N:0.0
080%以下を含有し、あるいはさらにこれに加えて、
Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.
5%以下の1種または2種以上を含有し、残部は脱酸度
を調整することにより残存するsol.Al、Feおよ
び不可避的不純物からなる鋼管に焼入れ処理を行う方法
(特開平3−122219号公報)が提案されている。
0.5%以下、Mn:1.5%以下、Ti:0.04%
以下、B:0.0003〜0.0035%、N:0.0
080%以下を含有し、あるいはさらにこれに加えて、
Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.
5%以下の1種または2種以上を含有し、残部は脱酸度
を調整することにより残存するsol.Al、Feおよ
び不可避的不純物からなる鋼管に焼入れ処理を行う方法
(特開平3−122219号公報)が提案されている。
【0006】さらに、C:0.10〜0.30%、S
i:0.03〜1.20%、Mn:0.6〜2.0%、
Cr:0.3〜1.5%を含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、スリッティング
してから電縫溶接する方法(特開平5−59493号公
報)が提案されている。
i:0.03〜1.20%、Mn:0.6〜2.0%、
Cr:0.3〜1.5%を含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、スリッティング
してから電縫溶接する方法(特開平5−59493号公
報)が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平2−197
525号公報に開示の方法は、コストの観点から有利な
電縫溶接のままで高強度かつ三点曲げで折損しない方法
であるが、これのみではドア補強用として980N/m
m2(100kgf/mm2)以上の高強度にはなり得な
い。また、特開平3−122219号公報に開示の方法
は、図4に示すとおり、高周波焼入れが必須の高周波焼
入れ型のドア補強用鋼管であり、高周波焼入れ型のため
遅れ破壊に対して有利であるが、熱処理コストが高く、
コスト的には極めて高くなる。さらに、特開平5−59
493号公報に開示の方法は、電縫溶接のままおよび元
素としてNb、Ti、Mo添加がないため、コスト的に
は有利であるが、溶接部近傍の硬度バラツキに起因する
不均一な内部残留応力など、遅れ破壊に不利であり、ド
ア補強用としての耐遅れ破壊特性に優れたものではな
い。
525号公報に開示の方法は、コストの観点から有利な
電縫溶接のままで高強度かつ三点曲げで折損しない方法
であるが、これのみではドア補強用として980N/m
m2(100kgf/mm2)以上の高強度にはなり得な
い。また、特開平3−122219号公報に開示の方法
は、図4に示すとおり、高周波焼入れが必須の高周波焼
入れ型のドア補強用鋼管であり、高周波焼入れ型のため
遅れ破壊に対して有利であるが、熱処理コストが高く、
コスト的には極めて高くなる。さらに、特開平5−59
493号公報に開示の方法は、電縫溶接のままおよび元
素としてNb、Ti、Mo添加がないため、コスト的に
は有利であるが、溶接部近傍の硬度バラツキに起因する
不均一な内部残留応力など、遅れ破壊に不利であり、ド
ア補強用としての耐遅れ破壊特性に優れたものではな
い。
【0008】この発明の目的は、上記従来技術の欠点を
解消し、ドア補強用インパクトバーに要求される引張強
さ980N/mm2以上で、かつ耐遅れ破壊特性に優れ
た高強度電縫鋼管の製造方法を提供することにある。
解消し、ドア補強用インパクトバーに要求される引張強
さ980N/mm2以上で、かつ耐遅れ破壊特性に優れ
た高強度電縫鋼管の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく溶接部ならびに母材部の硬さと遅れ破壊の
関係を明らかにすべく種々試験検討を重ねた。その結
果、素材の成分と冷間圧下率を特定することにより最高
硬さをHV550以下に規定することによって、三点曲
げ性は勿論のこと、耐遅れ破壊特性に優れた引張強さ9
80N/mm2以上のドア補強用インパクトバーとして
最適な高強度電縫鋼管を低コストで得られることを確認
し、この発明に到達した。
を達成すべく溶接部ならびに母材部の硬さと遅れ破壊の
関係を明らかにすべく種々試験検討を重ねた。その結
果、素材の成分と冷間圧下率を特定することにより最高
硬さをHV550以下に規定することによって、三点曲
げ性は勿論のこと、耐遅れ破壊特性に優れた引張強さ9
80N/mm2以上のドア補強用インパクトバーとして
最適な高強度電縫鋼管を低コストで得られることを確認
し、この発明に到達した。
【0010】すなわちこの発明は、C:0.08〜0.
20%、Si:0.10〜0.50%、Mn:1.0〜
2.5%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、
Cr:0.5〜2.0%、Mo:1.0%以下を含有
し、さらにNb:0.015〜0.050%、Ti:
0.015〜0.100%、V:0.10%以下、N
i:1.0%以下、B:0.0005〜0.0050%
のうちの少なくとも1種以上を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延して550℃
以下で巻取った熱延鋼帯を、圧下率10〜40%で冷間
圧延した冷延鋼板を素材とし、電縫溶接して得た電縫鋼
管の最高硬さHV550以下とすることを特徴とする高
強度電縫鋼管の製造方法である。
20%、Si:0.10〜0.50%、Mn:1.0〜
2.5%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、
Cr:0.5〜2.0%、Mo:1.0%以下を含有
し、さらにNb:0.015〜0.050%、Ti:
0.015〜0.100%、V:0.10%以下、N
i:1.0%以下、B:0.0005〜0.0050%
のうちの少なくとも1種以上を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を、熱間圧延して550℃
以下で巻取った熱延鋼帯を、圧下率10〜40%で冷間
圧延した冷延鋼板を素材とし、電縫溶接して得た電縫鋼
管の最高硬さHV550以下とすることを特徴とする高
強度電縫鋼管の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明において電縫鋼管の素材
となる鋼板は、冷間圧延後に引張強さ980N/mm2
以上を満足し、かつ最高硬さHV550以下を満足しな
ければならない。そのため、鋼の成分を限定した理由
は、以下のとおりである。
となる鋼板は、冷間圧延後に引張強さ980N/mm2
以上を満足し、かつ最高硬さHV550以下を満足しな
ければならない。そのため、鋼の成分を限定した理由
は、以下のとおりである。
【0012】Cは鋼の強度を高めるために重要な元素
で、引張強さ980N/mm2以上を得るには0.08
%以上が必要であるが、また、0.20%を超えると電
縫部の硬さがHV550以上となり、耐遅れ破壊特性が
悪化するため、0.08〜0.20%とした。
で、引張強さ980N/mm2以上を得るには0.08
%以上が必要であるが、また、0.20%を超えると電
縫部の硬さがHV550以上となり、耐遅れ破壊特性が
悪化するため、0.08〜0.20%とした。
【0013】Siは鋼の脱酸のために必要な元素である
が、鋼板の機械的特性に寄与し、延性などを向上するに
は0.10%以上が必要で、また、0.50%を超える
と電縫溶接の際に溶接欠陥が生じ易くなるため、0.1
0〜0.50%とした。
が、鋼板の機械的特性に寄与し、延性などを向上するに
は0.10%以上が必要で、また、0.50%を超える
と電縫溶接の際に溶接欠陥が生じ易くなるため、0.1
0〜0.50%とした。
【0014】Mnは強度および靭性を向上させるために
有効な元素でしかも安価であるが、1.0%未満では引
張強さ980N/mm2以上を満足させることができ
ず、また、2.5%を超えるとSiと同様電縫溶接の際
に溶接欠陥が生じ易くなるため、1.0〜2.5%とし
た。
有効な元素でしかも安価であるが、1.0%未満では引
張強さ980N/mm2以上を満足させることができ
ず、また、2.5%を超えるとSiと同様電縫溶接の際
に溶接欠陥が生じ易くなるため、1.0〜2.5%とし
た。
【0015】Pは溶接部、母材部の靭性を悪化させる元
素であり、0.02%を超えると靭性が低下するので、
0.02%以下とした。
素であり、0.02%を超えると靭性が低下するので、
0.02%以下とした。
【0016】Sは非金属介在物のMnSを生成させ、靭
性および溶接部の健全性を悪化させる元素であり、0.
02%を超えると特にこの傾向が顕著となるので、0.
02%以下とした。好ましくは0.01%以下である。
性および溶接部の健全性を悪化させる元素であり、0.
02%を超えると特にこの傾向が顕著となるので、0.
02%以下とした。好ましくは0.01%以下である。
【0017】Crは強度および靭性を比較的安価に向上
させるのに有効な元素であるが、0.5%未満では引張
強さ980N/mm2以上を満足させることができず、
また、2.0%を超えるとMnと同様電縫溶接の際に溶
接欠陥が生じ易くなるため、0.5〜2.0%とした。
させるのに有効な元素であるが、0.5%未満では引張
強さ980N/mm2以上を満足させることができず、
また、2.0%を超えるとMnと同様電縫溶接の際に溶
接欠陥が生じ易くなるため、0.5〜2.0%とした。
【0018】Moは強度を向上させるのに重要な元素で
あるが、1.0%を超えるとその効果が飽和し、経済的
に不利となるので、1.0%以下とした。
あるが、1.0%を超えるとその効果が飽和し、経済的
に不利となるので、1.0%以下とした。
【0019】Nb、Ti、V、Ni、Bは強度および靭
性を向上させるための元素であり、少なくとも1種以上
を下記範囲で添加する。
性を向上させるための元素であり、少なくとも1種以上
を下記範囲で添加する。
【0020】Nbは炭化物の析出強化による強度向上な
らびに析出物による粗粒化を防止し、靭性を向上させる
のに有効な元素であるが、0.015%未満ではその効
果が十分でなく、0.050%を超えるとその効果が飽
和し、経済的に不利となるので、0.015〜0.05
0%とした。
らびに析出物による粗粒化を防止し、靭性を向上させる
のに有効な元素であるが、0.015%未満ではその効
果が十分でなく、0.050%を超えるとその効果が飽
和し、経済的に不利となるので、0.015〜0.05
0%とした。
【0021】Tiは鋼中に固溶しているNをTiNとし
て固定し、粗粒化を防止して強度と靭性を向上させるの
に有効な元素であるが、0.015未満では通常不可避
的に含まれるNの範囲でこの効果を得ることができず、
また、0.100%を超えると粗大な窒化物を形成して
逆に強度と靭性が悪化するので、0.015〜0.10
0%とした。
て固定し、粗粒化を防止して強度と靭性を向上させるの
に有効な元素であるが、0.015未満では通常不可避
的に含まれるNの範囲でこの効果を得ることができず、
また、0.100%を超えると粗大な窒化物を形成して
逆に強度と靭性が悪化するので、0.015〜0.10
0%とした。
【0022】Vは炭化物の析出強化による強度向上に有
効な元素であるが、0.1%を超えるとその効果が飽和
し、経済的に不利となるので、0.1%以下とした。
効な元素であるが、0.1%を超えるとその効果が飽和
し、経済的に不利となるので、0.1%以下とした。
【0023】Niは素材の強化ならびに靭性向上に有効
な元素であるが、1.0%を超えるとその効果が飽和
し、経済的に不利となるので、1.0%以下とした。
な元素であるが、1.0%を超えるとその効果が飽和
し、経済的に不利となるので、1.0%以下とした。
【0024】Bは強度および靭性向上効果が大きい元素
であるが、0.0005%未満ではその効果が十分でな
く、また、0.0050%を超えると靭性悪化をもたら
すので、0.0005〜0.0050%とした。
であるが、0.0005%未満ではその効果が十分でな
く、また、0.0050%を超えると靭性悪化をもたら
すので、0.0005〜0.0050%とした。
【0025】この発明において熱間圧延後の巻取り温度
を550℃以下としたのは、耐遅れ破壊特性改善の観点
からC量を0.08〜0.20%と低い値にしており、
また、冷間圧延で高強度を得ようと圧下率を高めると靭
性悪化をもたらしてしまう恐れがあり、強度と靭性を得
るために550℃以下とした。
を550℃以下としたのは、耐遅れ破壊特性改善の観点
からC量を0.08〜0.20%と低い値にしており、
また、冷間圧延で高強度を得ようと圧下率を高めると靭
性悪化をもたらしてしまう恐れがあり、強度と靭性を得
るために550℃以下とした。
【0026】また、この発明において冷間圧延における
圧下率を10〜40%としたのは、減肉率が10%未満
ではドア補強用として十分な強度が得られず、また、4
0%を超えると加工硬化を起こして伸びが急激に悪化
し、三点曲げ試験で折損するので、10〜40%とし
た。
圧下率を10〜40%としたのは、減肉率が10%未満
ではドア補強用として十分な強度が得られず、また、4
0%を超えると加工硬化を起こして伸びが急激に悪化
し、三点曲げ試験で折損するので、10〜40%とし
た。
【0027】さらに、この発明において電縫溶接して得
た電縫鋼管の最高硬さを溶接部も含めてHV550以下
としたのは、遅れ破壊は強度と相関があり、強度がある
強度を超えると遅れ破壊の感受性が高くなる。そこで、
塩酸環境下における母材部、溶接部の硬度測定と遅れ破
壊試験を行った結果、溶接部ならびに母材部の硬さがい
ずれもHV550以下でないと遅れ破壊が発生するとの
知見を得たので、溶接部を含めた電縫鋼管の最高硬さを
HV550以下とした。
た電縫鋼管の最高硬さを溶接部も含めてHV550以下
としたのは、遅れ破壊は強度と相関があり、強度がある
強度を超えると遅れ破壊の感受性が高くなる。そこで、
塩酸環境下における母材部、溶接部の硬度測定と遅れ破
壊試験を行った結果、溶接部ならびに母材部の硬さがい
ずれもHV550以下でないと遅れ破壊が発生するとの
知見を得たので、溶接部を含めた電縫鋼管の最高硬さを
HV550以下とした。
【0028】
実施例1 表1に示す化学組成の鋼種1〜14の本発明鋼および鋼
種15〜22の比較鋼を転炉で溶製し、図1に示すとお
り、連続鋳造によりスラブとなし、これらの各スラブを
1250℃に均熱したのち、粗圧延し850℃で熱間仕
上圧延を行って表2に示す巻取り温度で巻取った。これ
らの各熱延コイルは、表2に示す圧下率でそれぞれ5ス
タンドからなるタンデム圧延機を用いて冷間圧延し、厚
さ2.0mmの冷延コイルを得た。これらの各冷延コイ
ルは、スリッティングした後電縫溶接し、切断して外径
31.8mm、肉厚2.0mm、長さ10mの電縫鋼管
とした。
種15〜22の比較鋼を転炉で溶製し、図1に示すとお
り、連続鋳造によりスラブとなし、これらの各スラブを
1250℃に均熱したのち、粗圧延し850℃で熱間仕
上圧延を行って表2に示す巻取り温度で巻取った。これ
らの各熱延コイルは、表2に示す圧下率でそれぞれ5ス
タンドからなるタンデム圧延機を用いて冷間圧延し、厚
さ2.0mmの冷延コイルを得た。これらの各冷延コイ
ルは、スリッティングした後電縫溶接し、切断して外径
31.8mm、肉厚2.0mm、長さ10mの電縫鋼管
とした。
【0029】上記のようにして得た各電縫鋼管につい
て、JIS Z2241に規定の金属材料引張試験方法
に準じて引張試験を実施し、降伏点と引張強さを求め
た。また、各電縫鋼管の溶接部と母材部の最高硬さを求
めた。さらに、各電縫鋼管は、三点曲げ試験を行い、折
損の有無を調査した。さらにまた、各電縫鋼管は、遅れ
破壊の有無を調査した。その結果を表2に示す。
て、JIS Z2241に規定の金属材料引張試験方法
に準じて引張試験を実施し、降伏点と引張強さを求め
た。また、各電縫鋼管の溶接部と母材部の最高硬さを求
めた。さらに、各電縫鋼管は、三点曲げ試験を行い、折
損の有無を調査した。さらにまた、各電縫鋼管は、遅れ
破壊の有無を調査した。その結果を表2に示す。
【0030】なお、溶接部と母材部の最高硬さは、各電
縫鋼管の溶接部および母材部から試験片を切り出し、J
IS Z2244に規定のビッカース硬さ試験方法に準
じて実施した。また、三点曲げ試験は、図3に示すとお
り、スパンL:800mm、曲げ半径R:152mmで
ストロークS:150mmとなるまで曲げ荷重Pを付加
する三点曲げ試験を実施し、折損の有無を検査した。さ
らに、遅れ破壊の有無は、長さ500mmの電縫鋼管を
1.0規定の塩酸溶液中に1200時間浸漬し、全面、
全長に亘り浸透探傷試験での割れの有無を目視観察で行
った。
縫鋼管の溶接部および母材部から試験片を切り出し、J
IS Z2244に規定のビッカース硬さ試験方法に準
じて実施した。また、三点曲げ試験は、図3に示すとお
り、スパンL:800mm、曲げ半径R:152mmで
ストロークS:150mmとなるまで曲げ荷重Pを付加
する三点曲げ試験を実施し、折損の有無を検査した。さ
らに、遅れ破壊の有無は、長さ500mmの電縫鋼管を
1.0規定の塩酸溶液中に1200時間浸漬し、全面、
全長に亘り浸透探傷試験での割れの有無を目視観察で行
った。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表2に示すとおり、鋼種1〜14を使用
し、巻取り温度550℃以下、冷間圧延における圧下率
15%の冷延コイルを使用し、最高硬さHV550以下
とした本発明例の電縫鋼管は、いずれも引張強さ980
N/mm2以上、三点曲げ試験での折損ならびに遅れ破
壊試験での割れは皆無であり、高強度で、曲げ特性に優
れると共に、耐遅れ破壊特性に優れた電縫鋼管が得られ
ている。これに対し、本発明の範囲から外れている鋼種
15〜22を使用した比較例の電縫鋼管は、Cが本発明
の範囲未満の鋼種15、Crが本発明の範囲未満の鋼種
18、圧下率が本発明の範囲未満の鋼種21の電縫鋼管
は、いずれも引張強さが980N/mm2未満と低く、
Cが本発明の範囲を超える鋼種16、Mnが本発明の範
囲を超える鋼種17、圧下率が本発明の範囲を超える鋼
種22の電縫鋼管は、溶接部の最高硬さがHV550を
超え、三点曲げ試験、遅れ破壊試験で亀裂の発生が見ら
れた。また、Crが本発明の範囲を超える鋼種19の電
縫鋼管は、溶接部の最高硬さがHV550を超え、三点
曲げ試験で亀裂の発生が見られ、巻取り温度が本発明の
範囲を超える鋼種20の電縫鋼管は、引張強さが980
N/mm2未満と低く、しかも遅れ破壊試験で亀裂の発
生が見られた。
し、巻取り温度550℃以下、冷間圧延における圧下率
15%の冷延コイルを使用し、最高硬さHV550以下
とした本発明例の電縫鋼管は、いずれも引張強さ980
N/mm2以上、三点曲げ試験での折損ならびに遅れ破
壊試験での割れは皆無であり、高強度で、曲げ特性に優
れると共に、耐遅れ破壊特性に優れた電縫鋼管が得られ
ている。これに対し、本発明の範囲から外れている鋼種
15〜22を使用した比較例の電縫鋼管は、Cが本発明
の範囲未満の鋼種15、Crが本発明の範囲未満の鋼種
18、圧下率が本発明の範囲未満の鋼種21の電縫鋼管
は、いずれも引張強さが980N/mm2未満と低く、
Cが本発明の範囲を超える鋼種16、Mnが本発明の範
囲を超える鋼種17、圧下率が本発明の範囲を超える鋼
種22の電縫鋼管は、溶接部の最高硬さがHV550を
超え、三点曲げ試験、遅れ破壊試験で亀裂の発生が見ら
れた。また、Crが本発明の範囲を超える鋼種19の電
縫鋼管は、溶接部の最高硬さがHV550を超え、三点
曲げ試験で亀裂の発生が見られ、巻取り温度が本発明の
範囲を超える鋼種20の電縫鋼管は、引張強さが980
N/mm2未満と低く、しかも遅れ破壊試験で亀裂の発
生が見られた。
【0034】実施例2 前記表1に示す鋼種1と鋼種3の熱延コイルのそれぞれ
について、圧下率を5〜45%の間で変化させて5スタ
ンドからなるタンデム圧延機を用いて冷間圧延し、得ら
れた各冷延コイルは、スリッティングした後電縫溶接
し、切断して外径31.8mm、肉厚2.0mm、長さ
10mの電縫鋼管とした。鋼種1、3の各電縫鋼管につ
いて引張試験を実施し、鋼種1の各電縫鋼管について引
張強さを、また、鋼種3の各電縫鋼管について伸びを測
定した。その結果を図2に示す。
について、圧下率を5〜45%の間で変化させて5スタ
ンドからなるタンデム圧延機を用いて冷間圧延し、得ら
れた各冷延コイルは、スリッティングした後電縫溶接
し、切断して外径31.8mm、肉厚2.0mm、長さ
10mの電縫鋼管とした。鋼種1、3の各電縫鋼管につ
いて引張試験を実施し、鋼種1の各電縫鋼管について引
張強さを、また、鋼種3の各電縫鋼管について伸びを測
定した。その結果を図2に示す。
【0035】図2に示すとおり、引張強さ980N/m
m2以上を満足させるには、冷間圧延における圧下率を
10%以上とする必要があり、かつ伸び5%以上を満足
させるためには、冷間圧延における圧下率を40%以下
とする必要があることが判明した。
m2以上を満足させるには、冷間圧延における圧下率を
10%以上とする必要があり、かつ伸び5%以上を満足
させるためには、冷間圧延における圧下率を40%以下
とする必要があることが判明した。
【0036】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、引張強さ980N/mm2以上と高強度で、曲げ特
性に優れると共に、耐遅れ破壊特性に優れた電縫鋼管
を、電縫溶接後の熱処理を行うことなく、高能率、低コ
ストで製造することができる。
ば、引張強さ980N/mm2以上と高強度で、曲げ特
性に優れると共に、耐遅れ破壊特性に優れた電縫鋼管
を、電縫溶接後の熱処理を行うことなく、高能率、低コ
ストで製造することができる。
【図1】実施例1における電縫鋼管の製造工程の概略系
統図である。
統図である。
【図2】実施例2の冷間圧延における圧下率と電縫鋼管
の伸び、引張強さとの関係を示すグラフである。
の伸び、引張強さとの関係を示すグラフである。
【図3】実施例1における三点曲げ試験方法の説明図で
ある。
ある。
【図4】従来の電縫鋼管の製造工程の概略系統図であ
る。
る。
【符号の説明】 L スパン S ストローク R 曲げ半径 P 曲げ荷重
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.08〜0.20%、Si:0.
10〜0.50%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.
02%以下、S:0.02%以下、Cr:0.5〜2.
0%、Mo:1.0%以下を含有し、さらにNb:0.
015〜0.050%、Ti:0.015〜0.100
%、V:0.10%以下、Ni:1.0%以下、B:
0.0005〜0.0050%のうちの少なくとも1種
以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る鋼を、熱間圧延して550℃以下で巻取った熱延鋼帯
を、圧下率10〜40%で冷間圧延した冷延鋼板を素材
とし、電縫溶接して得た電縫鋼管の最高硬さHV550
以下とすることを特徴とする高強度電縫鋼管の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23329595A JPH0953119A (ja) | 1995-08-18 | 1995-08-18 | 高強度電縫鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23329595A JPH0953119A (ja) | 1995-08-18 | 1995-08-18 | 高強度電縫鋼管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0953119A true JPH0953119A (ja) | 1997-02-25 |
Family
ID=16952872
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23329595A Pending JPH0953119A (ja) | 1995-08-18 | 1995-08-18 | 高強度電縫鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0953119A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6518533B1 (en) * | 2001-11-01 | 2003-02-11 | Ltv Steel Company, Inc. | High strength steel tubing |
JP2004359974A (ja) * | 2003-06-02 | 2004-12-24 | Nippon Steel Corp | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
JP2005029882A (ja) * | 2003-06-19 | 2005-02-03 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐溶接軟化性に優れた構造用高強度電縫鋼管の製造方法 |
JP2006070312A (ja) * | 2004-09-01 | 2006-03-16 | Nisshin Steel Co Ltd | タッピング性に優れた高強度電縫鋼管製自動車用フレーム材の製造方法 |
EP2105515A3 (en) * | 2008-03-28 | 2010-03-24 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | High strength plate with 980 MPa or above tensile strength excellent in bending workability |
-
1995
- 1995-08-18 JP JP23329595A patent/JPH0953119A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6518533B1 (en) * | 2001-11-01 | 2003-02-11 | Ltv Steel Company, Inc. | High strength steel tubing |
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JP4493447B2 (ja) * | 2004-09-01 | 2010-06-30 | 日新製鋼株式会社 | タッピング性に優れた高強度電縫鋼管製自動車用フレーム材の製造方法 |
EP2105515A3 (en) * | 2008-03-28 | 2010-03-24 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | High strength plate with 980 MPa or above tensile strength excellent in bending workability |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20021225 |