JPH0951548A - 単色光を用いたカラー画像の表示方法/表示媒体/表示装置 - Google Patents

単色光を用いたカラー画像の表示方法/表示媒体/表示装置

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JPH0951548A
JPH0951548A JP7219782A JP21978295A JPH0951548A JP H0951548 A JPH0951548 A JP H0951548A JP 7219782 A JP7219782 A JP 7219782A JP 21978295 A JP21978295 A JP 21978295A JP H0951548 A JPH0951548 A JP H0951548A
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隆 内山
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  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)
  • Controls And Circuits For Display Device (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示輝度および解像度を向上させ、色ずれの
発生を抑えることができるカラー画像の表示方法を提供
する。 【解決手段】 従来のRGB表色系における表示画素Q
1のもつ画素値(r,g,b)を、XYZ表色系におけ
る画素値(x,y,z)に変換し、XYZ色立体内にお
いて、点P(x,y,z)をプロットする。この点P
(x,y,z)に相当する合成色Cを、ベクトル合成式
C=u・λα+vλβで表わす。ここで、λαおよびλ
βは任意の単色光を示すベクトルであり、u,vは係数
である。画素Q2内に2つの副画素Q21,Q22を定
義し、副画素Q21内に単色光λαを輝度uで表示し、
副画素Q22内に単色光λβを輝度vで表示すると、画
素Q2全体としては、画素Q1と同等の色表示がなされ
ているように観察される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単色光を用いたカラ
ー画像の表示方法/表示媒体/表示装置に関し、特に、
複数の画素からなるカラー画像を表示するための手法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、カラー画像は、複数の画素の集
合として表示され、1つの画素は三原色によって表現さ
れる。このとき用いられる三原色は、表示媒体によって
異なる。すなわち、CRTや液晶表示装置などのいわゆ
るディスプレイを表示媒体として用いた場合には、RG
B三原色表色系を利用し、紙面などの印刷媒体を表示媒
体として用いた場合には、CMY三原色表色系(および
これにKを加えたもの)を利用するのが一般的である。
このような三原色表色系を利用したカラー画像の表示方
法は、人間の眼に対して天然色に近い画像を提示するこ
とができるため、非常に広い分野において利用されてい
る。
【0003】また、最近では、回折格子からなる画素の
集合により、カラー画像を表示する手法も提案されてい
る。たとえば、特開平3−206401号公報や、特願
平6−177504号明細書などには、RGB三原色表
色系を利用し、回折格子からなる画素を平面上に配置す
ることにより、カラー画像を回折格子によって表示する
手法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】三原色表色系を利用し
てカラー画像を表示する場合、1つの画素を3つの色で
表示する必要がある。ところが、3つの色を平面上にお
いて物理的に重ねることができない場合には、1つの画
素を3つの副画素に分割し、個々の副画素内にそれぞれ
の色を提示する必要がある。たとえば、カラーディスプ
レイ装置などでは、1つの画素は3つの副画素から構成
され、個々の副画素にはそれぞれR,G,Bの色表示が
なされることになる。また、回折格子によって表現され
たカラー画像では、やはり1つの画素は3つの副画素か
ら構成され、個々の副画素にはそれぞれR,G,Bの回
折光を発生させる回折格子が形成されることになる。こ
のように、1画素を3つの副画素に分割し、各副画素の
提示する合成色として所定色を表示すると、1画素全体
で所定色を提示する場合に比べて、輝度が1/3に低下
することになる。また、解像度の限界が、1画素の大き
さではなく1副画素の大きさによって支配されることに
なるため、解像度も1/3に低下することになる。
【0005】この三原色表色系を利用してカラー画像を
表示する方法のもうひとつの問題点は、色ずれが生じや
すいという点である。たとえば、CRTディスプレイ装
置では、いわゆるコンバージョンずれという現象が生じ
ることが知られており、また、印刷では、いわゆる色間
見当ずれという現象が生じることが知られている。
【0006】そこで本発明は、表示輝度および解像度を
向上させることができ、また、色ずれの発生を抑えるこ
とができるカラー画像の表示方法/表示媒体/表示装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、複数の画素からなるカラ
ー画像を表示する方法において、個々の画素を、少なく
とも2つの副画素によって表現し、第1の副画素には第
1の単色光λαを第1の輝度もしくは濃度uで表示し、
第2の副画素には第2の単色光λβを第2の輝度もしく
は濃度vで表示し、個々の画素ごとに、用いる単色光お
よびその輝度もしくは濃度をそれぞれ独立して設定する
ようにしたものである。
【0008】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る表示方法において、可視波長域の単色光を
正の画素値によって表現することができる三原色表色系
を定義し、この三原色表色系で個々の画素を表現したカ
ラー画像を用意する段階と、この三原色表色系の色立体
内において、任意の単色光λαを示すベクトルλαと任
意の単色光λβを示すベクトルλβとを用いたベクトル
合成式「u・λα+v・λβ」によって示される種々の
合成色のうち、カラー画像を構成する個々の画素のもつ
画素色と同一位置もしくは近傍位置を占める合成色を、
当該画素に対応づける段階と、カラー画像を構成する個
々の画素について、それぞれ対応づけられた合成色を示
すベクトル合成式の各因数「u,λα,v,λβ」を参
照して、第1の副画素に表示する第1の単色光λαおよ
びその輝度uと、第2の副画素に表示する第2の単色光
λβおよびその輝度vとを決定する段階と、を行うよう
にしたものである。
【0009】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2
の態様に係る表示方法において、ベクトル合成式「u・
λα+v・λβ」におけるベクトルλα,λβに相当す
る単色光として可視波長域内に有限個の単色光を定義す
るとともに、ベクトル合成式「u・λα+v・λβ」に
おける係数uおよびvの採るべき値として有限個の離散
値を定義し、これら有限個の単色光および離散値に基づ
いて有限個の合成色を定義し、定義した有限個の合成色
のうち、カラー画像を構成する画素のもつ画素色と同一
位置もしくは近傍位置を占める合成色を選択し、選択し
た合成色を当該画素に対応づけるようにしたものであ
る。
【0010】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3
の態様に係る表示方法において、選択された合成色を示
すベクトル合成式「u・λα+v・λβ」に基づいて、
単色光λαの波長に応じたピッチの回折格子を係数uに
応じた表示領域内に配置した第1の副画素と、単色光λ
βの波長に応じたピッチの回折格子を係数vに応じた表
示領域内に配置した第2の副画素と、を用意し、これら
の副画素によって該当画素の表現を行うようにしたもの
である。
【0011】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第3
の態様に係る表示方法において、選択された合成色を示
すベクトル合成式「u・λα+v・λβ」に基づいて、
単色光λαの波長をもったビームを係数uに応じた強度
で所定の表示面上に照射したときのスポットとして現れ
る第1の副画素と、単色光λβの波長をもったビームを
係数vに応じた強度で所定の表示面上に照射したときの
スポットとして現れる第2の副画素と、を形成し、これ
らの副画素によって該当画素の表現を行うようにしたも
のである。
【0012】(6) 本発明の第6の態様は、複数の画素
からなるカラー画像を表示した媒体において、個々の画
素を、少なくとも2つの副画素によって表現し、第1の
副画素には第1の単色光λαが第1の輝度もしくは濃度
uで表示され、第2の副画素には第2の単色光λβが第
2の輝度もしくは濃度vで表示され、用いられている単
色光およびその輝度もしくは濃度が、個々の画素ごとに
それぞれ独立しているようにしたものである。
【0013】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6
の態様に係る表示媒体において、個々の副画素内に、単
色光を発する性質をもった表示領域を定義し、この表示
領域の面積によって表示すべき単色光の輝度を調節する
ようにしたものである。
【0014】(8) 本発明の第8の態様は、上述の第6
の態様に係る表示媒体において、個々の副画素内に、所
定の面積をもった表示領域を定義し、この表示領域内
に、表示すべき単色光に応じたピッチの回折格子を形成
したものである。
【0015】(9) 本発明の第9の態様は、複数の画素
からなるカラー画像を表示する装置において、所定の可
視波長域にわたって波長を連続的にもしくは離散的に変
調させることができ、単色光をビーム状にして発生させ
る機能をもった単色光光源と、この単色光光源で発生し
た単色光の強度を連続的にもしくは離散的に変調する機
能をもった強度変調器と、この強度変調器によって変調
された単色光ビームを所定の表示面に照射し、この表示
面上に単色光ビームのスポットを形成し、このスポット
を表示面上で走査することにより、表示面上にスポット
からなる多数の画素を形成するビーム走査装置と、単色
光光源に所定の波長指定信号を与えることにより、発生
させる単色光波長を指定する波長変調制御と、強度変調
器に所定の強度指定信号を与えることにより、単色光ビ
ームの強度を指定する強度変調制御と、を行う機能をも
った制御装置と、を設け、制御装置が、第1の単色光波
長と第1の強度とを指定する第1の制御と、第2の単色
光波長と第2の強度とを指定する第2の制御と、を実行
することにより、表示面上に1つの画素が形成されるよ
うにしたものである。することにより、表示面上に1つ
の画素が形成されるようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
<<<三原色表色系>>>ここでは、本発明をその基本
原理に基づいて説明しながら実施の形態について述べる
ことにする。図1は、CRTなどのディスプレイ装置へ
カラー画像を表示する場合に一般に利用されているRG
B表色系の色立体を示す図である。この色立体は、R,
G,Bの三座標軸をもった三次元座標系内に定義された
立方体であり、この色立体内の1点Pは、R,G,Bの
三原色の合成によって現される1つの色を示すことにな
る。たとえば、図示の1点Pは、この色立体内での座標
値(rp,gp,bp)を有しており、輝度値(もしく
は濃度値、以下同様)rpをもった原色Rと、輝度値g
pをもった原色Gと、輝度値bpをもった原色Bと、の
混合色として表現される色を示している。
【0017】この図1に示す色立体内の点は、いずれも
0〜1の範囲内の座標値をとるが、この色立体内の点だ
けによってすべての色が表現できるわけではなく、色立
体外の点によって表現される色も存在する。たとえば、
図1において、色立体外の1点Qは、この色立体外の座
標値(rq,gq,−bq)を有しており、特に、B座
標値は負の値をとっている。このように、負の座標値を
含んだ1点Qによっても何らかの色が理論的には対応す
ることになるが、実際には、このような色を三原色RG
Bで再現することは不可能である。このことは、次のよ
うな例を考えれば容易に理解できる。いま、RGBなる
3本の光ビームを用意して、これを所定の表示面に照射
したとする。このとき、光ビームRの強度をrpとし、
光ビームGの強度をgpとし、光ビームBの強度をbp
とすれば、この3本の光ビームによって表示面に形成さ
れる3つのスポットを合成することにより、図1の色立
体内の1点Pに対応する色を再現することはできる。同
様に、図1の色立体外の1点Qに対応する色を再現する
ためには、光ビームBの強度を−bqとする必要がある
が、実際には、光ビームの強度を負の値にすることは物
理的にはできないので、結局、1点Qに対応する色はR
GBなる三原色の組み合わせによっては再現できないこ
とになる。
【0018】三原色表色系としては、この他にもCMY
表色系など、いくつかの表色系が知られているが、どの
表色系を採用するかによって、実用上再現できる色が若
干異なってくることになる。RGB表色系としては、国
際照明委員会(CIE)が1931年にその基準を制定
している。このCIEが制定したRGB表色系では、R
=700nm、G=546.1nm、B=435.8n
mと、三原色RGBの基準波長が定められており、国際
的な基準となっている。しかしながら、このRGB表色
系では、可視波長域内の単色光スペクトルをすべて表現
することはできない。図1に示すスペクトル閉曲線S
は、380nm〜660nmに至るまでの単色光(単一
の波長をもった光)の色に対応する点を結んで得られた
閉曲線であるが、その一部は、座標値が負をとる空間へ
はみ出している。したがって、RGB表色系では、表現
することができない可視波長域内の単色光が存在するこ
とになる。CMY表色系でも同様に、表現することがで
きない可視波長域内の単色光が存在する。
【0019】そこで、RGB表色系やCMY表色系に代
わるXYZ表色系なるものが知られている。図2は、こ
のXYZ表色系の色立体を示す図である。この色立体
は、X,Y,Zの三座標軸をもった三次元座標系内に定
義された立方体であり、この色立体内の1点Pは、X,
Y,Zの三原色の合成によって表される1つの色を示す
ことになる。たとえば、図示の1点Pは、この色立体内
での座標値(xp,yp,zp)を有しており、輝度値
xpをもった原色Xと、輝度値ypをもった原色Yと、
輝度値zpをもった原色Zと、の混合色として表現され
る色を示しており、同様に、1点Qは、この色立体内で
の座標値(xq,yq,zq)を有しており、輝度値x
qをもった原色Xと、輝度値yqをもった原色Yと、輝
度値zqをもった原色Zと、の混合色として表現される
色を示している。ここで、図1に示すRGB表色系内の
点P,Qと、図2に示すXYZ表色系内の点P,Qと
は、それぞれ同一の色を表現しているにもかかわらず、
各表色系における座標値は、それぞれ異なることにな
る。図示の例では、点Qは、RGB表色系では色立体外
の点であるが、XYZ表色系では色立体内の点となって
いる。
【0020】ここで留意すべき点は、このXYZ表色系
においては、可視波長域に相当する380nm〜660
nmに至るまでの単色光(単一の波長をもった光)の色
に対応する点を結んで得られたスペクトル閉曲線Sが、
X軸,Y軸,Z軸がいずれも正の値をとる象限内に位置
するという点である。別言すれば、このスペクトル閉曲
線S上の点の3軸座標値はいずれも正の値をとるので、
可視波長域内の単色光の色は、必ずXYZ表色系によっ
て実際に再現することができることになる。参考のため
に、425nm〜660nmまでの単色光についてのX
YZ表色系における輝度値(x,y,z)の具体的な数
値を以下の表に示しておく。
【0021】
【表1】 なお、三原色X,Y,Zは、それぞれ三原色R,G,B
に近い色になるが、このXYZ表色系自体は、仮想的な
加色混合系の基準色に基づく表色系というべきものであ
り、三原色X,Y,Zはいずれも可視単色光にはなら
ず、また、このXYZ表色系内には人間の眼には認識で
きない色も含まれていることになる。
【0022】RGB表色系からXYZ表色系への変換
は、
【0023】
【数1】 なる式によって一義的に行うことができる。すなわち、
図1に示すRGB表色系における点P(r,g,b)に
よって表現された色(RGB表色系の色)をXYZ表色
系の色に変換するには、上述の式に(r,g,b)の実
際の値を代入して(x,y,z)の値を計算すればよ
い。得られた(x,y,z)が、図2に示すXYZ表色
系における点P(x,y,z)の座標値となる。したが
って、RGB表色系で表現された画像データを、XYZ
表色系で表現された画像データに変換するには、個々の
画素のもつ画素値(r,g,b)を、上式に基づいて画
素値(x,y,z)に変換すればよい。
【0024】<<<二次元色度図上における色合成>>
>ところで、図2に示すような三次元座標系を用いた色
表現は、三次元空間上での表現になるため、紙面上での
議論を行う上では不便である。そこで、3つの座標値の
和が1となるような規格化を行い、このXYZ表色系を
二次元平面上に表現する手法が一般に利用されている。
図3に示すXY色度図は、このような手法を用いて、図
2に示すXYZ表色系を二次元平面上に表現したもので
ある。たとえば、図2における点P(xp,yp,z
p)については、 x=xp/(xp+yp+zp) y=yp/(xp+yp+zp) なる規格化によって、x,yが求められ、図3に示すX
Y色度図上で、二次元座標値(x,y)に相当する位置
に対応点がプロットされることになる。図2に示したス
ペクトル閉曲線Sも、図3のXY色度図上では二次元の
閉曲線になる。この図3のXY色度図では、ほぼU字状
のスペクトル閉曲線S上に、波長420nm〜660n
mの区間内の単色光の位置を20nmおきにプロットし
て示した。ここで、短波長側の端点(420nmの点)
と長波長側の端点(660nmの点)とが直線で結ば
れ、スペクトル閉曲線Sによって閉領域が形成されてい
るが、このスペクトル閉曲線S内部の閉領域内の任意の
点に相当する色は単色光ではなく、複数の単色光を合成
することによって得られる合成色になる。そして、この
閉領域内の任意の点に相当する色は、スペクトル閉曲線
S上の所定の3点に相当する3つの単色光を合成するこ
とによって表現できることが知られている。
【0025】一方、スペクトル閉曲線S上の所定の2点
に相当する2つの単色光を合成すると、その2点を結ぶ
線分L上の色が表現できることが知られている。この原
理を図4のXY色度図に示す。この図4の例では、スペ
クトル閉曲線S上の1点λα(波長500nmの単色
光)と1点λβ(波長580nmの単色光)とが選択さ
れており、両点間に線分Lが引かれている。この場合、
線分L上の任意の点に相当する色は、点λαに相当する
波長500nmの単色光と点λβに相当する波長580
nmの単色光とを合成することにより表現できることに
なる。合成された色が、線分L上のどの色になるかは、
合成比に基づいて決定される。すなわち、波長500n
mの単色光の合成比を高めれば高めるほど、点λαに近
い色が表現され、波長580nmの単色光の合成比を高
めれば高めるほど、点λβに近い色が表現されることに
なる。
【0026】ところで、スペクトル閉曲線S上の任意の
2点を結ぶ線分Lは無数に存在し、幾何学的には、スペ
クトル閉曲線Sで囲まれた閉領域内の任意の点を通る線
分Lは無数に存在する。したがって、この閉領域内の任
意の点の色(人間が認識可能なすべての色がここに含ま
れている)は、必ず、スペクトル閉曲線S上の2点に相
当する単色光の合成によって表現することができ、しか
も、その2つの単色光の組み合わせは無限に存在する。
したがって、原理的には、たった2種類の単色光を用い
たとしても、この閉領域内のすべての色を表現すること
が可能であり、しかもその自由度はかなり高いことにな
る。この自由度の高さに着目すれば、2種類の単色光の
うちの一方を固定したとしても、閉領域内のすべての色
を表現することが可能であることがわかる。図5は、こ
のように、一方の単色光を固定した場合の色表現方法を
示すXY色度図である。この例では、第1の単色光の波
長λαを420nmに固定している。このように、第1
の単色光の波長λαが固定されていたとしても、第2の
単色光の波長λβが自由であれば、この閉領域内のすべ
ての色を表現することが可能である。なぜなら、第2の
単色光の波長λβは自由に設定できるので、線分の一方
の端点λαは固定されていたとしても、もう一方の端点
λβはスペクトル閉曲線S上を自由に動けるからであ
る。
【0027】これは、スペクトル閉曲線Sで囲まれた閉
領域内の任意の点に相当する色は、420nmの単色光
と、もう1つの別な単色光とを合成することにより表現
できることを意味する。このような原理が正しいこと
は、図6に示す人間の眼球内の錐体の分光感度特性から
もわかる。一般に、人間の眼球内には、RGBの三原色
による刺激を受ける3種類の錐体が存在し、これらの錐
体の分光感度特性S,S,Sは、図6のグラフに
示すようになることが知られている。ここで、感度特性
,Sは互いに重複しており、同一の単色光で2つ
の錐体に同時に刺激を与えることができることがわか
る。また、感度特性Sのピーク位置は、図に破線で示
すようにほぼ420nm付近に位置している。そこで、
420nmという波長固定の単色光λαにより感度特性
をもつ錐体に対する刺激を与え、波長可変の単色光
λβにより感度特性Sをもつ錐体および感度特性S
をもつ錐体に対する刺激を与えるようにすれば、2つの
単色光によって、3つの錐体のすべてに対して刺激を与
えることができ、人間が認識できるほぼすべての色を表
現することができることになる。本発明の基本的な着想
は、このような原理により、2つの単色光の合成によっ
て色表現を行う点にある。
【0028】<<<三次元ベクトルによる色合成>>>
このように、2つの単色光の合成によって色表現を行う
方法は、三次元座標系においてはベクトル合成として説
明できる。たとえば、図7に示すXYZ表色系におい
て、色立体内の任意の色を、原点Oからのベクトルで表
すことにする。すなわち、スペクトル閉曲線S上の点P
(xα,yα,zα)に相当する単色光の色は、原点O
からこの点へ向かうベクトルλαによって表現され、同
じくスペクトル閉曲線S上の別な点P(xβ,yβ,z
β)に相当する単色光の色は、原点Oからこの点へ向か
うベクトルλβによって表現される(なお、本明細書で
は、電子出願の制約からベクトル記号は省略することと
し、記号「λα,λβ」は、特定の単色光もしくはその
波長を示す記号としても、また、色立体上におけるこの
単色光に相当する点を示すベクトルとしても、用いるこ
とにする)。ここで、ベクトルλα,λβと、所定の係
数u,vを用いたベクトル合成式「C=u・λα+v・
λβ」を考えると、このベクトル合成式で表されるベク
トルCは、2つの単色光λα,λβの合成によって表現
される合成色P(xαβ,yαβ,zαβ)を示すもの
になる。なお、上記ベクトル合成式において、係数u,
vのいずれか一方が零、他方が1の場合、ベクトルCの
示す合成色は単色光自身を示すことになる。そこで、本
明細書において「合成色」なる文言は、「単色光の色」
をも含んだ広い意味で用いることにする。
【0029】既に述べたように、RGB表色系とは異な
り、XYZ表色系は、可視波長域の単色光をすべて正の
座標値によって表現することができる三原色表色系であ
るため、ベクトルλα,λβはいずれも正の座標値をも
った(x,y,z)の組み合わせで表現できる。また、
図4あるいは図5のXY色度図における閉領域内の色
(人間が認識できるすべての色)も正の座標値をもった
(x,y,z)の組み合わせで表現でき、これらの色を
上記ベクトル合成式「C=u・λα+v・λβ」で表し
た場合、係数u,vは必ず正の値になる。ちなみに、R
GB表色系で同様のベクトル合成を試みると、(r,
g,b)の組み合わせで表現される特定の色をベクトル
合成しようとした場合、係数u,vが負の値をとる場合
が生じ、実用上、支障を生じることになる。なぜなら、
係数u,vは、それぞれ単色光λα,λβの輝度値を示
すものであるから、負の値をとった場合、そのような単
色光を現実的に生成することができなくなるからであ
る。本発明において、個々の画素の色をXYZ表色系で
表現するのは、このような理由によるものである。
【0030】結局、XYZ表色系における(x,y,
z)なる画素値で表現される色は、2つの単色光λαと
λβとの合成色で表わすことができる。具体的に、2つ
の単色光の組み合わせを求めるには、次のような方法を
採ればよい。まず、図7に示すようなXYZ表色系の色
立体内において、任意の単色光λαを示すベクトルλα
と任意の単色光λβを示すベクトルλβとを用いたベク
トル合成式「C=u・λα+v・λβ」によって示され
るベクトルCに相当する種々の合成色を考える。これら
の合成色は、色立体内では、ベクトルCの矢印の先端位
置の点として表わされることになる。また、XYZ表色
系における(x,y,z)なる画素値をもった画素は、
色立体内では、点P(x,y,z)で示される位置の点
として表わされる。そこで、矢印の先端位置が、点P
(x,y,z)と同一位置を占めるようなベクトルCを
求め、このベクトルCについてのベクトル合成式「C=
u・λα+v・λβ」を参照すれば、特定の2つの単色
光λα,λβの組み合わせと、その合成比を示す係数
u,vが求まる。
【0031】<<<有限個の単色光および離散値をとる
係数>>>図4のXY色度図に示されているように、ス
ペクトル閉曲線Sで囲まれた閉領域内の任意の点を通る
線分Lは、理論的には無数に存在する。これは、線分L
の両端点となる単色光λα,λβとして、理論上は、ス
ペクトル閉曲線SのU字状部分の任意の点(すなわち、
420nm〜650nmという連続波長域内の任意の波
長)をとることができるからである。しかしながら、実
用上は、このような無限種類の単色光を用いてカラー画
像の表示を行うことは困難である。特に、後述するよう
に、回折格子を用いて単色光を表現するような場合に
は、無限種類の回折格子を用意することは非常に困難で
あり、実用上は、有限種類の回折格子に限定する必要が
ある。そこで、後述する例では、波長425nmの単色
光〜波長650nmの単色光に至るまで、25nmごと
のステップで10種類の単色光を定義している。図8
は、このようにして定義された10種類の単色光を、X
Y色度図内にプロットしたものである。
【0032】用いる単色光を、このような10種類に限
定してしまうと、線分Lを構成する両端点は、この10
種類の単色光の中から選択する必要があるため、10種
類の中から2つを選択する組み合わせ、すなわち合計で
も45通りの組み合わせしかなくなる。図8に示されて
いる45本の線分は、この組み合わせを示すものであ
る。そして、この10種類の単色光のみを用いた場合に
は、この45本の線分上の点に相当する色しか表現でき
ないことになる。
【0033】また、これまでは、2つの単色光λα,λ
βを合成するときの係数u,vは、連続値をとることが
できるという前提で説明を行ってきたが、回折格子を用
いて単色光を表現するような場合は、後述するように、
これらの係数u,vが離散値をとるようにせざる得な
い。後述する例では、係数u,vは、0,1/31,2
/31,3/31,4/31,…,30/31,31/
31という合計32通りの離散値のいずれかをとる(0
≦u,v≦1)。
【0034】このように、有限個の単色光および離散値
をとる係数を用いることを前提とすると、XYZ表色系
において(x,y,z)なる任意の画素値をもった色と
完全に同一の色を、2つの単色光で正確に表現すること
はできなくなる。たとえば、図9に示すように、XYZ
表色系の色立体内において、点P(x,y,z)で示さ
れる位置の点として表わされる画素色があったとして
も、矢印の先端位置が、この点P(x,y,z)と完全
に同一の位置を占めるようなベクトルCは、必ずしも存
在しないことになる。このような場合は、矢印の先端位
置が、この点P(x,y,z)の近傍位置を占めるよう
なベクトルCを代用することになる。図9の例では、ベ
クトルCの矢印の先端位置は点P(xαβ,yαβ,z
αβ)であり、点P(x,y,z)とは完全には一致し
ていないが、両者の距離dは許容誤差範囲内であり、点
P(xαβ,yαβ,zαβ)は、点P(x,y,z)
の近傍の点ということができる。そこで、このベクトル
Cについてのベクトル合成式「C=u・λα+v・λ
β」を参照し、2つの単色光λα,λβを、それぞれ係
数u,vに応じた輝度で表示することにより、点P
(x,y,z)に相当する画素色を近似的に表現するこ
とになる。
【0035】上述の例の場合、2つの単色光λα,λβ
は、いずれも予め定義した10種類の単色光のうちのい
ずれかであり、2つの係数u,vのとるべき値は、32
通りの離散値のいずれかになる。したがって、2つの単
色光として、10種類の単色光の中から同一の単色光の
選択を許すことにすれば、ベクトル合成式「C=u・λ
α+v・λβ」で表わされるベクトルCは、(32×1
0+32×10)=320通り存在することになる。
すなわち、図9において、P(xαβ,yαβ,zα
β)に相当する点が320通り存在することになるの
で、この320通りの点の中から、所定点P(x,
y,z)に一致する点もしくは近傍の点を1つだけ選択
すればよい。別言すれば、ベクトル合成によって合成さ
れた320通りの合成色の中から、所定点P(x,
y,z)で示される画素色に対応づける合成色を1つだ
け選択すればよい。
【0036】このような選択を行うための第1の方法
は、320通りの合成色を示す点のそれぞれについ
て、所定点P(x,y,z)に対する色立体内における
空間距離dを計算し、この空間距離dが最も小さい合成
色を選択する方法である。同様の選択を行うための第2
の方法は、予め許容誤差範囲Eを定めておき、空間距離
dがd<Eを満足するような合成色が見つかったら、直
ちにその合成色を選択する方法である。この第2の方法
では、d<Eなる条件を満たす最初の合成色が選択され
ることになる。
【0037】第1の方法を採れば、理論的には最も近い
合成色が選択されることになるのに対し、第2の方法を
採れば、必ずしも最も近い合成色は選択されない。しか
しながら、実用上は、必ずしも第1の方法が優れている
ということはできない。第1の方法では、320通り
の合成色のすべてについて空間距離dを求める演算を行
う必要があるため、演算負担が膨大なものになるのに対
し、第2の方法では、許容誤差範囲Eとしてある程度の
値を設定しておけば、比較的早く合成色の選択が行われ
る可能性があり、条件を満たす合成色が得られれば、残
りの合成色についての演算を行う必要がないので、演算
負担は軽減される。
【0038】また、第1の方法に対して第2の方法が有
するもうひとつのメリットは、実用上、より好ましい合
成色を選択できる可能性がある点である。たとえば、所
定の画素色の近傍にある合成色を1つだけ選択する場合
に、第1候補の合成色と画素色との空間距離がd1であ
り、第2候補の合成色と画素色との空間距離がd2であ
ったとする。そして、この場合にd1<d2だったとす
ると、理論的には、第1候補の合成色が画素色に最も近
い色であり、上述の第1の方法によれば、第1候補の合
成色が選択されることになる。ところが、第1候補の合
成色では、u=1/31,v=2/32と係数値がいず
れも零に近いのに対し、第2候補の合成色では、u=3
0/31,v=28/32と係数値がいずれも1に近い
場合、実用上は、第2候補の合成色を選択した方が好ま
しい。なぜなら、係数値u,vは、単色光を表示すると
きの輝度もしくは濃度を示す値であるから、鮮明な画像
表示を行う上では、できるだけ大きな値のものを用いる
のが好ましいからである。第2の方法において、係数値
u,vの大きな合成色から順番に空間距離の計算と条件
判断を行うようにしておけば、上述の例での第2候補の
合成色が、d<Eなる条件を満足するものであった場合
には、第2候補の合成色が選択されることになるのであ
る。
【0039】<<<本発明に係るカラー画像の表示方法
の概要>>>続いて、図10を参照しながら、本発明に
係るカラー画像の表示方法の概要を説明する。ここで
は、RGB表色系で表現された原画像が存在する場合
に、この原画像に基づいて本発明に係るカラー画像表示
を行う処理の概要を説明する。RGB表色系で表現され
た原画像では、個々の画素について、画素値(r,g,
b)が定義されている。このような画素Q1をCRTデ
ィスプレイなどに表示するには、図10の左上に示すよ
うに、画素Q1内に3つの副画素Q11,Q12,Q1
3を定義し、副画素Q11内に原色Rを輝度rで表示
し、副画素Q12内に原色Gを輝度gで表示し、副画素
Q13内に原色Bを輝度bで表示することになる。とこ
ろが、このような表示方法では、1画素が3つの副画素
に分割されるため、全体的な輝度や解像度が低下し、ま
た、3原色間の色ずれが生じるという問題があることは
既に述べたとおりである。
【0040】そこで、RGB表色系の画素値(r,g,
b)を、XYZ表色系の画素値(x,y,z)に変換
し、図9に示すようなXYZ表色系の色立体内に点P
(x,y,z)を求める。このような(r,g,b)→
(x,y,z)の変換は、前述した式に基づいて一義的
に行うことができる。次に、前述した方法により、この
点P(x,y,z)と同一位置もしくは近傍位置を占め
る合成色を求め、この合成色をもとの画素Q1に対応づ
ける。そして、この対応づけられた合成色についてのベ
クトル合成式「u・λα+v・λβ」の各因数「u,λ
α,v,λβ」を参照して、第1の副画素に表示する第
1の単色光λαおよびその輝度uと、第2の副画素に表
示する第2の単色光λβおよびその輝度vとを決定す
る。そして最後に、図10の右上に示すように、画素Q
2内に2つの副画素Q21,Q22を定義し、第1の副
画素Q21内に第1の単色光λαを輝度uで表示し、第
2の副画素Q22内に第2の単色光λβを輝度vで表示
する。
【0041】図10に示す画素Q1は、従来の一般的な
RGB表色系によって特定の画素を表示したものであ
り、画素Q2は、本発明の方法によって同じ画素を表示
したものである。要するに、本発明に係るカラー画像の
表示方法では、1つの画素内には、2つの副画素が定義
され、第1の副画素には第1の単色光λαが第1の輝度
uで表示され、第2の副画素には第2の単色光λβが第
2の輝度vで表示されることになる。しかも重要な点
は、RGB表色系による画像表示では、どの画素でも、
常に原色R,原色G,原色Bの3つの原色が各副画素内
に表示されるのに対し、本発明による画像表示では、個
々の画素ごとに、その副画素内に表示される単色光が異
なるということである。別言すれば、個々の画素ごと
に、用いる単色光およびその輝度は、それぞれ独立して
設定されていることになる。
【0042】より具体的に説明すれば、従来の一般的な
RGB表色系(CMY表色系なども同様)による画像表
示方法では、副画素内に表示される色は、どの画素でも
常に原色R,原色G,原色Bの3つの原色に固定されて
おり、個々の画素間では、この3原色についての輝度値
(CMY表色系の場合は濃度値)が異なるだけである。
これに対し、本発明による画像表示方法では、特定の単
色光の組み合わせが固定されているわけではなく、個々
の画素ごとにそれぞれ独立した単色光の組み合わせが生
じることになる。もちろん、各単色光についての輝度値
(値u,v)も個々の画素ごとに独立していることにな
る。たとえば、 画素1:λα=420 nm,u=18/32,λβ=580 nm,v
=22/32 画素2:λα=550 nm,u=10/32,λβ=650 nm,v
=12/32 画素3:λα=480 nm,u=14/32,λβ=560 nm,v
=15/32 画素4:λα=500 nm,u=23/32,λβ=620 nm,v
=32/32 というように、λα,u,λβ,vという4つの要素が
画素ごとに全く独立して設定されることになる。
【0043】図10に示す画素Q1が3つの副画素に分
割されているのに対して、画素Q2は2つの副画素に分
割されている。したがって、本発明によれば、副画素を
用いることによる輝度や解像度の低下といった問題、あ
るいは色ずれが生じるといった問題が、従来方法に比べ
て3/2倍だけ解消されることになる。
【0044】なお、図10に示す例では、画素Q2は2
つの副画素Q21,Q22に分割されているが、より多
数の副画素に分割することも可能である。たとえば、4
つの副画素Q21a,Q21b,Q22a,Q22bに
分割し、副画素Q21a,Q21b内には、第1の単色
光λαを輝度uで表示し、副画素Q22a,Q22b内
には、第2の単色光λβを輝度vで表示するという方法
を採ることも可能である。要するに、本発明では、1つ
の画素内に、ベクトル合成式「C=u・λα+v・λ
β」で表わされる2つの単色光λα,λβによる合成色
が表示されるようにすれば、副画素の形態はどのような
ものでもかまわない。
【0045】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。
【0046】§1. 回折格子を用いた従来のカラー画
像表示方法 クレジットカード、ビデオテープなどの偽造防止用シー
ルとして、回折格子を利用したシールが一般に利用され
ており、このような回折格子を利用した画像表示媒体
に、カラー画像を表示する方法が提案されている。たと
えば、特願平6−177504号明細書には、個々の画
素を回折格子で構成し、この回折格子の格子線ピッチに
より色を表現し、回折格子の表示面積により輝度を表現
する手法が開示されている。
【0047】図11は、このような回折格子Gを観察し
ている状態を示す側面図である。回折格子Gの垂直上方
から白色光を当てながら、この白色光の照射方向に対し
て角度φだけ傾いた方向から観察を行うと、 p・sinφ = n・λ なるブラッグの式に基づく回折現象が起こる。ここで、
pは回折格子の格子線ピッチ、φは回折角、λはこの回
折角φの方向に得られる回折光の波長、nは回折光の次
数である。したがって、観測方向を固定し(φが一
定)、1次の回折光(n=1)だけを考慮することにす
れば、この固定された観測方向において観測される回折
光の波長λは、回折格子のピッチpに基づいて一義的に
定まることになる。
【0048】ここでは、より具体的な数値で考えてみ
る。たとえば、図11において、φ=30°となるよう
な観測方向から観測する場合を考える。すると、sin
φ=1/2となるので、1次回折光についてのn=1の
場合に、上述の式は、 p・(1/2) = λ となる。すなわち、この観測方向においては、回折格子
ピッチpの(1/2)の波長をもった1次回折光が観測
されることになる。そこで、たとえば、RGB表色系に
おける各原色の波長を近似的に、原色R=600nm、
原色G=500nm、原色B=400nmに設定したと
すると、上述の観測条件では、ピッチp=1.2μmの
回折格子からは原色Rの波長の1次回折光が得られ、ピ
ッチp=1.0μmの回折格子からは原色Gの波長の1
次回折光が得られ、ピッチp=0.8μmの回折格子か
らは原色Bの波長の1次回折光が得られることになる。
こうして、この3種類の回折格子によって、RGB表色
系の三原色を表示することができる。すなわち、1画素
を3つの副画素によって構成し、これら3つの副画素内
に、上述の3種類の回折格子をそれぞれ形成するように
すれば、この画素全体によって、RGB表色系の任意の
色を表示することが可能になる。
【0049】一方、個々の副画素の輝度は、表示面積に
よって調節することができる。たとえば、図12に示す
ように、回折格子形成領域Vが異なる5種類の回折格子
パターンP11〜P15を用意してみる。いずれも外枠
は、副画素の全領域に対応しているが、この全領域内に
必ず回折格子が形成されるわけではなく、所定の面積を
もった回折格子形成領域V内にのみ回折格子が形成され
ている。回折格子パターンP11では、回折格子形成領
域Vの面積が0に設定されているため、このパターンP
11を副画素に割り付けても、回折光の輝度は0にな
る。これに対して、回折格子パターンP15では、回折
格子形成領域Vの面積が外枠の面積と等しく設定されて
いるため、このパターンP15を副画素に割り付けれ
ば、回折光の輝度は最大となる。図12では、各回折格
子パターンの下に、回折格子形成領域Vの外枠に対する
面積比を示してある。ここでは、5種類の回折格子パタ
ーンP11〜P15しか示されていないが、面積比が、
0/31,1/31,2/31,3/31,…,30/
31,31/31となる合計32種類の回折格子パター
ンを用意しておけば、1つの原色について、32段階の
輝度表現(5ビットの階調表現)が可能になる。
【0050】このように、回折格子の格子線ピッチによ
って色を設定することができ、表示面積(回折格子形成
領域Vの面積)によって輝度を設定することができるの
で、たとえば、図13に示すように、1つの原色につい
て32段階の輝度表現を行い、画素値0〜31にそれぞ
れ対応づけられた32通りの回折格子パターンを用意し
(図では、代表的な5段階のみを示してある)、これを
各原色ごとにそれぞれ用意すれば、各原色ごとに5ビッ
トの階調表現をもったカラー画像表示が可能になる。
【0051】これらの回折格子パターンを用いて、実際
にカラー画像表示を行うには、たとえば、図14(a) に
示すような割り付けを行えばよい。この例では、各正方
形は1つの副画素を示しており、横方向に並んだ3つの
副画素によって1画素が構成されている。すなわち、図
のQ1,Q2,Q3は、いずれも1つの画素を構成して
いる。画素Q1内の3つの副画素に記されたR1,G
1,B1なる記号は、図13に示す回折格子パターンの
中のいずれか1つのパターンを示している。ここで、R
1は図13のRの列の中の1パターンであり、G1は図
13のGの列の中の1パターンであり、B1は図13の
Bの列の中の1パターンである。画素Q2,Q3を構成
する副画素についても同様である。ただ、3つの副画素
についての三原色の配列順は、画素Q1,Q2,Q3に
おいて異なるようにしているが、これはより均一な色特
性が得られるようにするための配慮である。図14(b)
は、この三原色の配列順を変えた別な例である。図15
は、図14(a) に示す割り付けに基づいて、媒体上に実
際に回折格子パターンを割り付けた状態を示す図であ
る。
【0052】以上、回折格子を用いた従来のカラー画像
表示方法を簡単に説明したが、この方法にはいくつかの
問題があることは既に指摘したとおりである。すなわ
ち、この方法では、1画素が3つの副画素に分割され、
しかも図15に示すように、回折格子が形成されていな
い領域がかなりの面積を占ることになるので、全体的な
輝度が低下するという問題がある。また、解像度の限界
は、個々の副画素の大きさによって左右されるため、1
画素を3つの副画素から構成すると、本来得られるべき
解像度の1/3の解像度までしか実現できないことにな
る。更に、個々の副画素の配置に位置誤差があると、色
ずれが生じることにもなる。
【0053】§2. 回折格子を用いた本発明のカラー
画像表示方法の概要 そこで、この回折格子を用いたカラー画像表示方法に本
発明を適用した実施例を以下に述べる。この実施例で
は、図13に示す回折格子パターンに代わって、図16
に示す回折格子パターンが用意される。図示の便宜上、
ここでは3×5=15通りのパターンしか示していない
が、実際には、10×32=320通りのパターンが用
意される。すなわち、色に関しては、波長425nm
(回折格子ピッチp=0.85μm)から、25nm刻
みで、波長650nm(回折格子ピッチp=1.3μ
m)に至るまで、合計10種類の単色光が用意され、輝
度(輝度値uまたはvで示される)に関しては、0/3
1,1/31,2/31,3/31,…,30/31,
31/31の合計32通りの階調が用意されている。
【0054】図17は、図16に示されている回折格子
パターンを一覧表にして示したものである。この一覧表
に示されている合計320通りのパターンの中から、所
定の2つのパターンを選択し、この選択した2つのパタ
ーンを表の下に示したように並べれば、この2つのパタ
ーンによって1画素Q1が表現されることになる(別言
すれば、個々のパターンがそれぞれ副画素Q11,Q1
2を構成することになる)。図17に示す例では、波長
λ3(475nm)の単色光が輝度(2/31)で副画
素Q11内に表示され、波長λ7(575nm)の単色
光が輝度(30/31)で副画素Q12内に表示されて
いる。このように、2つの副画素Q11,Q12の合成
色として表示される画素Q1の色は、図18に示すXY
Z表色系の色立体における所定の合成ベクトルCによっ
て示される色であり、このベクトルCが、ベクトル合成
式「C=u・λα+v・λβ」で表わされることは既に
述べたとおりである。
【0055】図17の一覧表に示されている320通り
のパターンの中から、2つのパターンを選択する組み合
わせは、同一パターンを重複選択することを許せば、3
20通り存在することになる。そして、これらの各組
み合わせは、それぞれ図18に示す色立体内の1点に対
応する合成色を示すことになる。既に述べたように、本
発明による方法では、XYZ表色系の色立体において、
点P(x,y,z)で示される画素色が与えられた場
合、この点Pの近傍にある合成色を1つ選択し、この選
択された合成色によって画素表示を行うことになる。具
体的には、図18において、点P(x,y,z)と所定
の合成色を示すベクトルCの矢印の先端との空間距離d
を計算し、この空間距離dが最小となる合成色を選択す
るか、あるいは、空間距離dが所定の許容誤差範囲E内
の1合成色を選択することになる。空間距離dを計算す
るには、具体的には、
【0056】
【数2】 なる幾何学的演算式を用いればよい。ここで、x,y,
zは、点P(x,y,z)の各座標値、xα,yα,z
αは、単色光ベクトルλαの矢印の先端点P(xα,y
α,zα)の各座標値、xβ,yβ,zβは、単色光ベ
クトルλβの矢印の先端点P(xβ,yβ,zβ)の各
座標値である。
【0057】§3. 回折格子を用いた本発明のカラー
画像表示方法の手順 続いて、回折格子を用いた本発明のカラー画像表示方法
の具体的な手順を、図19の流れ図に基づいて説明す
る。ここでは、RGB表色系によって表現された1画素
を、本発明による方法で表示する場合の手順を説明す
る。RGB表色系による表現では、1画素は三原色RG
Bそれぞれについての画素値(r,g,b)で表わされ
る。そこで、まずステップS1において、この画素値
(r,g,b)を入力する。ここでは、0≦r,g,b
≦1となるように規格化された画素値を入力している。
続いて、ステップS2において、このRGB表色系の画
素値(r,g,b)を、XYZ表色系の画素値(x,
y,z)に変換する。この変換は、前述したように、変
換式に基づいて一義的に行うことができる。なお、以下
の処理を、RGB表色系ではなくXYZ表色系で行う理
由は、既に述べたように、XYZ表色系においては、可
視波長域の単色光がすべて正の画素値によって表現でき
るため、必要な合成色を示す合成ベクトルCを得るため
のベクトル合成式「C=u・λα+v・λβ」の係数
u,vが必ず正になるからである(係数u,vが負にな
ると、負の面積をもった領域に回折格子を形成しなけれ
ばならなくなり、物理的に実現不可能になる)。
【0058】次に、ステップS3〜S7において、種々
のパラメータの初期値が設定される。まず、ステップS
3では、許容誤差範囲Eの初期値を0.1/31に設定
している。ここで述べる実施例では、空間距離dが最短
の合成色を求める方法ではなく、空間距離dが所定の許
容誤差範囲E未満であるという条件を満たす合成色を求
める方法を採っている。ステップS3では、この許容誤
差範囲Eの初期値が設定されることになる。続くステッ
プS4では、第1の単色光λαの初期値が650nmに
設定され、ステップS5では、第2の単色光λβの初期
値が425nmに設定される。更に、ステップS6で
は、第1の単色光λαについての輝度値uの初期値が
1.0に設定され、ステップS7では、第2の単色光λ
βについての輝度値vの初期値が1.0に設定される。
結局、このような初期設定では、図17に示す一覧表に
おいて、最も右側の列(λ10の欄)の最も下の行(3
1/31=1.0の欄)のパターンと、最も左側の列
(λ1の欄)の最も下の行(31/31=1.0の欄)
のパターンとの組み合わせが、最初の候補の合成色とな
る。
【0059】続くステップS8では、この合成色と、も
との画素値(x,y,z)で表現される色との色立体上
での空間距離dが計算され、ステップS9において、こ
の空間距離dがステップS3で設定した許容誤差範囲E
未満であるかどうかが判断される。なお、三次元空間に
おける空間距離dを計算し、d<Eであるか否かを判断
する代わりに、X軸方向に関する一次元の隔たりΔx、
Y軸方向に関する一次元の隔たりΔy、Z軸方向に関す
る一次元の隔たりΔzをそれぞれ別個に算出し、三次元
の許容誤差範囲Eの代わりに設定した一次元の隔たりに
関する誤差eを用いて、Δx<e、かつ、Δy<e、か
つ、Δz<eなる条件を満足していた場合には、誤差範
囲内と判断するようにしてもよい。
【0060】このステップS8における判断において、
誤差以上であった場合には、ステップS10からステッ
プS11へと進み、輝度値vが(1/31)だけ減らさ
れ、ステップS8からの処理が繰り返される。こうし
て、第2の単色光λβについての輝度値vが、初期値
1.0(31/31)から、30/31,29/31,
…と更新され、その都度、新たな合成色についての空間
距離dと許容誤差範囲Eとの比較が行われる。こうし
て、輝度値v=0になっても、誤差内の合成色が見つか
らなかったら、ステップS10からステップS12を経
てステップS13へと進み、今度は輝度値uが(1/3
1)だけ減らされ、ステップS7からの処理が繰り返さ
れる。こうして、第1の単色光λαについての輝度値u
が、初期値1.0(=31/31)から、30/31,
29/31,…と更新され、ステップS7〜S13の手
順が繰り返し実行される。
【0061】こうして、輝度値u=0になっても、誤差
内の合成色が見つからなかったら、ステップS12から
ステップS14を経てステップS15へと進み、今度は
第2の単色光λβの波長が25nmだけ増加し(λβ=
450nmとなる)、ステップS6からの処理が繰り返
される。こうして、第2の単色光λβが、初期値425
nmから、450nm,475nm,…と更新され、ス
テップS6〜S15の手順が繰り返し実行される。そし
て、λβ=λα=650nmになっても、誤差内の合成
色が見つからなかったら、ステップS14からステップ
S16を経てステップS17へと進み、今度は第1の単
色光λαの波長が25nmだけ減少し(λα=625n
mとなる)、ステップS5からの処理が繰り返される。
こうして、第1の単色光λαが、初期値650nmか
ら、625nm,600nm,…と更新され、ステップ
S5〜S17の手順が繰り返し実行される。
【0062】こうして、すべての合成色についての処理
が完了しても、なお誤差内の合成色が見つからなかった
ら、ステップS16からステップS18へと進み、許容
誤差範囲Eを(0.1/31)だけ増加させ、条件を緩
やかに設定しなおし、再びステップS4からの処理を繰
り返し実行する。このような手順によれば、最後には必
ずステップS9の条件を満足する合成色が見つかること
になり、そのときには、ステップS9からステップS1
9へと進み、その合成色を確定する。すなわち、その時
点での「u,λα,v,λβ」の値が確定することにな
り、XYZ表色系の画素値(x,y,z)で表現された
画素は、ベクトル合成式「C=u・λα+v・λβ」で
示される合成色で表示されることになる。
【0063】この手順で選択される合成色は、必ずしも
空間距離dが最小のものではなく、空間距離dが許容誤
差範囲E未満という条件を満たす合成色のうちの最初に
見つかったものにある。しかしながら、実用上は、空間
距離dが最小の合成色を見つける方法よりも、この手順
の方法の方がメリットが得られる。その第1の理由は、
ステップS3において、許容誤差範囲Eの初期値をある
程度緩く設定しておけば、この初期設定のままで合成色
が見つかる可能性が高くなり、320通りの全合成色
についてステップS8の演算を行う前に、選択すべき合
成色が見つかる可能性が高く、演算負担が軽減されるか
らである。そして第2の理由は、空間距離dが最小の合
成色よりも、より実用的に好ましい合成色が選択される
可能性があるからである。ステップS6,S7の初期設
定において、輝度値u,vの初期値は1.0であり、以
下徐々に0まで減少させてゆく方法を採っている。した
がって、輝度値のより大きな組み合わせが選択される確
率が高くなる。実用上は、多少空間距離dが大きくて
も、輝度値のより大きい合成色を選択した方が、より鮮
明な表示を行うことができる点で好ましいのである。
【0064】なお、ステップS1において入力される画
素値(r,g,b)の組み合わせは、現実的には有限個
である。たとえば、r,g,bのそれぞれを0〜31の
32階調で表現したとすれば、画素値(r,g,b)の
全組み合わせは、32通りである。そこで、この32
通の組み合わせのすべてについて、図19に示す手順
を実行し、それぞれについて、「u,λα,v,λβ」
の値を求める処理を行っておけば、図20に示すような
「(r,g,b)→(u,λα,v,λβ)変換テーブ
ル」を作成することができる。一旦、このような変換テ
ーブルを作成してしまえば、この変換テーブルを利用し
て、任意の画素値(r,g,b)について選択すべき合
成色(u,λα,v,λβ)を直ちに得ることができる
ので便利である。
【0065】§4. 回折格子記録媒体上の具体的な表
示態様 図21(a) は、本発明に係る方法によって、2画素分の
表示を行った状態を示す図である。画素Q1,Q2はい
ずれも2つの副画素から構成されている。画素Q1を構
成する第1の副画素Q11には、単色光λα1が輝度値
u1で表示されており、第2の副画素Q12には、単色
光λβ1が輝度値v1で表示されている。同様に、画素
Q2を構成する第1の副画素Q21には、単色光λα2
が輝度値u2で表示されており、第2の副画素Q22に
は、単色光λβ2が輝度値v2で表示されている。画素
Q1とQ2とで、第1の副画素と第2の副画素との配置
が左右入れ替わっているのは、図19に示した手順を実
行すると、第1の副画素に表示する単色光λαは、第2
の副画素に表示する単色光λβに比べて常に長波長側の
色(赤側)になるため、隣接する画素ごとに、λα,λ
βを入れ替えて全体的な色の均一性を確保するためであ
る。図21(b) は、画素Q1,Q2内に、実際に回折格
子パターンを割り付けた状態を示す図である。
【0066】図22は、本発明に係る方法による具体的
な表示態様の別な一例を示す図である。この例は、M行
N列の画素マトリックスからなるカラー画像を表示する
一態様を示すものである。ここでは、このM行N列に配
列された個々の画素について、それぞれRGB表色系に
おける画素値(r,g,b)が与えられているものとす
る。この実施例では、図22の右側に示すように、2行
2列からなる単位副画素配列を定義し、この単位副画素
配列を個々の画素に割り付けている。結局、1つの画素
は4つの副画素によって表現されることになる。画素値
(r,g,b)が与えられた1画素を本発明による方法
で表示するためには、まず、この画素値(r,g,b)
に対応する合成色(u,λα,v,λβ)を求める。こ
れは、図19に示す手順を実行してもよいし、図20に
示すテーブルを利用してもよい。
【0067】次に、得られた合成色(u,λα,v,λ
β)を、図23に示すようにして表示する。すなわち、
図の左上および右下の副画素には、合成色を構成する第
1の単色光λαを輝度値uで表示し、図の左下および右
上の副画素には、合成色を構成する第2の単色光λβを
輝度値vで表示するのである。もちろん、本発明による
方法では、少なくとも2つの副画素によって1画素を表
示することができればよいので、2行2列の単位副画素
配列の代わりに、たとえば、1行2列の単位副画素配列
を用いてもかまわないが、このように、2行2列の単位
副画素配列を用いると、画素の形状と副画素の形状を同
一にすることができる。なお、図23に示す例におい
て、第1の単色光λαを左上および右下に配置し、第2
の単色光λβを左下および右上に配置し、いわゆる「た
すき掛け」配置を採っているのは、前述したように、図
19に示した手順を実行すると、第1の単色光λαは、
第2の単色光λβに比べて常に長波長側の色(赤側)に
なるため、λα,λβを入れ替えて全体的な色の均一性
を確保するためである。
【0068】ところで、回折格子記録媒体では、複数の
画像を同一面上に重畳して記録することが可能である。
ここでは、このような重畳記録型媒体に本発明を適用し
た例を説明する。いま、図24に示すような画像1,画
像2が用意されている場合を考える。いずれの画像も、
7行7列に配された画素から構成され、個々の画素に
は、それぞれRGB表色系における画素値(r,g,
b)が与えられているものとする。いま、図24に太枠
で示した4行5列目の画素に着目し、画像1の着目画素
には画素値(r1,g1,b1)が与えられており、画
像2の着目画素には画素値(r2,g2,b2)が与え
られていたときに、回折格子記録媒体上で、この4行5
列目の画素をどのように表示すればよいかを考えてみ
る。
【0069】まず、RGB表色系で表現された画素値に
基づいて、それぞれ1つの合成色を選択する。ここで
は、画像1の着目画素の画素値(r1,g1,b1)に
対して、合成色(u1,λα1,v1,λβ1)が選択
され、画像2の着目画素の画素値(r2,g2,b2)
に対して、合成色(u2,λα2,v2,λβ2)が選
択されたとする。この場合、図22に示した例と同様
に、1つの画素に対して2行2列の単位副画素配列を定
義し、2つの合成色を、図25(a) に示すように表示す
るのである。すなわち、図の左上の副画素には、画像1
側の合成色を構成する第1の単色光λα1を輝度値u1
で表示し、図の右下の副画素には、画像1側の合成色を
構成する第2の単色光λβ1を輝度値v1で表示し、図
の右上の副画素には、画像2側の合成色を構成する第1
の単色光λα2を輝度値u2で表示し、図の左下の副画
素には、画像1側の合成色を構成する第2の単色光λβ
2を輝度値v2で表示するのである。しかも、画像1側
の合成色を表示するための左上および右下の副画素につ
いては、格子線配置角度を0°とし、画像2側の合成色
を表示するための右上および左下の副画素については、
格子線配置角度を45°とする。
【0070】図25(b) は、配置角度が0°の回折格子
と配置角度が45°の回折格子の回折格子パターンの相
違を示す図である。このように、格子線の配置角度が異
なる回折格子は、回折光が観測できる幾何学的な条件が
互いに異なる。したがって、同一媒体上に、配置角度0
°の回折格子と配置角度45°の回折格子とを混在させ
ておくと、たとえば、媒体をある幾何学条件(たとえ
ば、視線に対する媒体の角度を所定角度においた状態)
で観察したときには、配置角度0°の回折格子からの回
折光のみが観測され、この同じ媒体を別な幾何学条件で
観察したときには、配置角度45°の回折格子からの回
折光のみが観測される。
【0071】いま、この媒体を、配置角度0°の回折格
子からの回折光のみが観測されるような幾何学条件で観
察している状態を考えると、図25(a) に示した単位副
画素配列の中では、左上の副画素と右下の副画素だけが
観測されることになる。これらの副画素は、いずれも画
像1側の合成色を示す副画素であるため、画像1側の画
素色が呈示されることになる。一方、この媒体を、配置
角度45°の回折格子からの回折光のみが観測されるよ
うな幾何学条件で観察している状態を考えると、図25
(a) に示した単位副画素配列の中では、右上の副画素と
左下の副画素だけが観測されることになる。これらの副
画素は、いずれも画像2側の合成色を示す副画素である
ため、画像2側の画素色が呈示されることになる。結
局、同一の媒体でありながら、ある条件で観察すると画
像1が表示され、別な条件で観察すると画像2が表示さ
れることになる。
【0072】一般に、複数n枚のカラー画像を重畳表示
する場合には、2つの副画素からなる組をn組集めるこ
とにより1つの画素を構成し、各組ごとに回折格子の格
子線配置角度を変え、各組ごとに異なるカラー画像を割
り当てるようにすればよい。
【0073】§5. 回折格子記録媒体の作成装置 ここでは、上述した回折格子記録媒体を作成する装置の
一例を、図26に示すブロック図に基づいて簡単に説明
しておく。カラー画像生成部1は、グラフィックスアプ
リケーションソフトウエアなどを搭載したコンピュータ
によって構成され、RGB表色系による三原色の画素値
が定義された多数の画素の集合としてカラー画像を作成
する機能を有している。一方、カラー画像入力部2は、
スキャナ装置などにより構成され、紙面上に描かれたカ
ラー原稿やカラーフィルムなどから、カラー画像を入力
する機能を有する。いずれの装置を用いた場合であって
も、結果的に、32階調のRGB画素データが用意でき
る。
【0074】こうして用意されたRGB画像データは、
変換処理部3に与えられる。変換処理部3は、個々の画
素のもつ画素値(r,g,b)を、所定の合成色(u,
λα,v,λβ)に変換する処理を行う。この変換処理
は、実際には、変換テーブル4を引く単純な処理にな
る。変換テーブル4は、図20に示すようなテーブルで
あり、変換テーブル生成部5によって予め作成してお
く。変換テーブル生成部5は、図19に示す手順を実行
することにより、変換テーブル4を作成する機能を有す
る。
【0075】変換処理部3によって、個々の画素には特
定の合成色(u,λα,v,λβ)が対応づけられた状
態になる。パターン合成部6は、これら個々の画素につ
いて、所定の画素パターンを割り付ける処理を行う。画
素パターンファイル7には、図16に示すような種々の
回折格子画素パターンが用意されている。実際には、図
17の一覧表に示すように、合計320通の画素パター
ンが画素パターンファイル7内に用意される。特定の合
成色(u,λα,v,λβ)が定まると、(u,λα)
の組み合わせにより1つの画素パターンが選択され、
(v,λβ)の組み合わせによりもう1つの画素パター
ンが選択される。結局、1つの画素について、2つの画
素パターンが選択されることになる。パターン合成部
は、こうして選択された2つの画素パターンを副画素と
して割り付ける処理を行う。
【0076】個々の画素パターンは、回折格子パターン
であるから、パターン合成部6が出力するデータは、回
折格子パターンデータとなる。この回折格子パターンデ
ータは、データフォーマット変換装置8を介して、電子
ビーム描画装置9に与えられる。データフォーマット変
換装置8は、パターン合成部6で作成された回折格子パ
ターンデータのデータフォーマットを、電子ビーム描画
装置9が取り扱えるデータフォーマットに変換する処理
を行う装置である。電子ビーム描画装置9は、半導体マ
スクなどの作成に利用されている一般的な描画装置であ
り、電子ビームを用いて回折格子パターンを所定の媒体
上に描画し、回折格子原版10を作成する。この回折格
子原版10を用いて、プレス装置11による印刷の手法
により、多数の回折格子記録媒体12を作成することが
できる。
【0077】図17の一覧表に示す例では、波長λのス
テップを25nmおきに設定しているが、このステップ
は、電子ビーム描画装置9による描画解像度を考慮して
設定するのが好ましい。回折角度φ=30°の1次回折
光については、波長で25nmの差は、回折格子ピッチ
では50nmの差に相当するので、電子ビーム描画装置
9は、この50nmのピッチ差を十分に描画しうるだけ
の解像度を有している必要がある。現在、一般的に用い
られている電子ビーム描画装置は、この程度の解像度を
備えているのが普通である。より解像度の高い電子ビー
ム描画装置を用いる場合には、波長λのステップをより
細かく設定し、より多数の合成色を用意するようにすれ
ば、より品質の高い色表現が可能になる。
【0078】§6. 波長可変レーザを用いたディスプ
レイへの応用 これまでの実施例では、回折格子記録媒体上にカラー画
像を表示する場合に本発明を適用した例を述べてきた
が、本発明は、カラー画像の表示分野一般に広く適用可
能なものである。ここでは、波長可変レーザを用いたデ
ィスプレイへの応用例を述べる。
【0079】図27は、従来用いられている一般的なレ
ーザを用いたディスプレイ装置の基本構成図である。こ
のディスプレイ装置の構成要素は、レーザ21,22,
23、光変調器24,25,26、反射鏡27およびダ
イクロイックミラー28,29、反射鏡30、ガルバノ
メータ31、リレーレンズ32,33、回転多面鏡3
4、反射鏡35、スクリーン36である。レーザ21,
22,23は、それぞれ三原色RGBの波長のレーザビ
ームを発生し、これら3本のレーザビームは、それぞれ
光変調器24,25,26を通って、反射鏡27および
ダイクロイックミラー28,29で合成される。こうし
て合成された多色光レーザビームは、反射鏡30、ガル
バノメータ31、リレーレンズ32,33、回転多面鏡
34、反射鏡35を経て、スクリーン36上に照射され
る。ここで、ガルバノメータ31は図の矢印の方向に回
転するため、スクリーン36上のスポットが垂直走査さ
れ、回転多面鏡34も図の矢印の方向に回転するため、
スクリーン36上のスポットが水平走査される。こうし
て、スクリーン36上には、二次元カラー画像が表示さ
れることになる。
【0080】このようなディスプレイ装置では、やはり
RGBの三原色によって1画素を表現することになるた
め、解像度の低下や色ずれなどの問題が生じることにな
る。この装置に本発明を適用すれば、図28に示すよう
なディスプレイ装置を構成することができる。この装置
は、図27に示す従来装置における光源部周辺の構成要
素を置換したものであり、光源部周辺は、波長可変レー
ザ41と、波長変調器42と、強度変調器43と、制御
装置44と、によって構成されている。
【0081】波長変調器42は、与えられた波長変調信
号に基づいて、波長可変レーザの発振波長を制御する機
能を有する。波長変調操作としては、所定の可視波長域
にわたって連続的に波長を変化させる変調操作ができれ
ば理想的であるが、離散的ないくつかの波長を選択する
変調操作ができれば十分である。たとえば、図17の一
覧表に示された10種類の波長値λ1〜λ10(425
nm〜650nm)のうちのいずれか1つを選択できる
ような構成になっていれば、前述した回折格子記録媒体
の実施例とほぼ同様のカラー画像表示が可能になる。い
ずれにしても、この波長可変レーザ41および波長変調
器42は、単色光をビーム状にして発生させる機能をも
った単色光光源を構成することになる。
【0082】強度変調器43は、波長可変レーザ41で
発生したレーザビームの強度を連続的にもしくは離散的
に変調する機能をもった装置であり、レーザビームは、
強度変調信号で指示された強度でこの強度変調器43か
ら出力されることになる。このレーザビームは、反射鏡
30以降の光学系を通って、最終的にスクリーン36に
スポットとして照射されることになるが、これらの光学
系の構成は、前述した従来のディスプレイ装置のものと
同じである。ただ、従来装置では、スクリーン36に照
射されるビームは多色光であったのに対し、この装置で
は、単色光ビームがスクリーン36に照射されることに
なり、スクリーン36上に形成されるスポットは単色光
のスポットになる。なお、このように、光学系を通るビ
ームは単色光になるので、この装置では、高価な回転多
面鏡34の代わりに、安価な回折格子を代用することも
可能である。
【0083】制御装置44は、波長変調器42に対して
は波長変調信号(波長を指定する信号)を与え、強度変
調器43に対して強度変調信号(強度を指定する信号)
を与える機能を有する。
【0084】いま、第1の瞬間に、波長変調信号とし
て、所定の波長λαを示す信号を与え、同時に、強度変
調信号として、所定の強度uを示す信号を与えたとすれ
ば、その時点において、スクリーン36上には、波長λ
αの単色光が強度uで照射されて第1のスポットが形成
される。続いて、第2の瞬間に、波長変調信号として、
所定の波長λβを示す信号を与え、同時に、強度変調信
号として、所定の強度vを示す信号を与えたとすれば、
その時点において、スクリーン36上には、波長λβの
単色光が強度vで照射されて第2のスポットが形成され
る。このように時分割により2つのスポットを形成し、
第1のスポットを第1の副画素、第2のスポットを第2
の副画素とすれば、これまで述べてきた実施例と同様
に、スクリーン36上には、2つの副画素からなる画素
が表示されることになる。そこで、各画素位置の走査時
にタイミングを合わせて、その画素に表示すべき合成色
を実現するための所定の波長変調信号および強度変調信
号を適宜与えるような制御を行えば、スクリーン36上
に所望のカラー画像を表示することが可能になる。
【0085】§7. カラープリンタへの応用 最後に本発明をカラープリンタへ応用した実施例を述べ
ておく。図29は、この本発明に係るカラープリンタの
基本構成図である。このカラープリンタは、インキ保持
部51と、インキ付着部52と、制御装置53と、を有
する。インキ保持部51には、複数のインキが保持され
ている。これらのインキは、所定の可視波長域内に離散
的な波長分布をもって定義された複数の単色光にそれぞ
れ対応している。図示の例では、波長425nm,45
0nm,475nm,…,625nm,650nmの離
散的な10種類の単色光のそれぞれに対応した10種類
のインキが用意されている。
【0086】もっとも、レーザ光や回折格子からの回折
光とは異なり、通常用いられているインキからの反射光
を利用したのでは本発明は実現できない。本発明をカラ
ープリンタへ応用するには、蛍光性あるいは燐光性をも
ったインキを用いることになる。したがって、インキ保
持部51内に用意する複数のインキは、一応、特定の波
長に対応したスペクトル特性をもったインキであればよ
い。たとえば、「波長500nmに対応したインキ」と
しては、理想的には「波長500nmの線スペクトルの
蛍光が得られるインキ」を用いるのが好ましいが、実用
上は、「蛍光スペクトルのピーク位置がほぼ500nm
の位置にくるようなインキ」を用いればよい。要する
に、本明細書において、「単色光に対応したインキ」な
る文言は、「そのインキを観察したときに得られるスペ
クトルのピーク位置がほぼその単色光位置にくるような
インキ」の意味である。
【0087】インキ付着部52は、このインキ保持部5
1内に保持されている複数のインキのうち指定されたイ
ンキを、所定の表示面54(通常は紙面)の指定位置
に、指定された密度もしくは面積で付着させる機能を有
する。制御装置53は、このインキ付着部52に対し
て、インキの指定、位置の指定、密度もしくは面積の指
定を行う。
【0088】いま、制御装置53によって、所定のイン
キλα1を、表示面54上の副画素Q31の位置へ、面
積u1で付着させるような第1の制御信号を与えたとす
ると、図示のように、副画素Q31内の所定の面積から
なる表示領域にインキλα1の層が形成される。続い
て、制御装置53によって、所定のインキλβ1を、表
示面54上の副画素Q32の位置へ、面積v1で付着さ
せるような第2の制御信号を与えたとすると、図示のよ
うに、副画素Q32内の所定の面積からなる表示領域に
インキλβ1の層が形成される。ここで、この副画素Q
31,Q32によって、画素Q3を構成するようにすれ
ば、画素Q3には、ベクトル合成式「u1・λα1+v
1・λβ1」で表わされる合成色が表示されることにな
る。もっとも、前述したように、λα1およびλβ1は
完全な単色光波長にはならないので、本発明の基本原理
に基づく色表現が正確に行われるわけではないが、実用
上は大きな問題にはならない。
【0089】上述した画素Q3では、インキを付着させ
る面積によって発光輝度の制御を行っているが、インキ
を付着させる密度によって輝度制御を行った例を画素Q
4として示す。この画素Q4の表示を行うには、制御装
置53によって、所定のインキλα2を、表示面54上
の副画素Q41の位置へ、密度u2で付着させるような
第1の制御信号を与えるとともに、所定のインキλβ2
を、表示面54上の副画素Q42の位置へ、密度v2で
付着させるような第2の制御信号を与えればよい。イン
キは、副画素Q41,Q42の全領域内に付着される
が、密度はそれぞれ異なったものとなる。
【0090】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、1画素を
2種類の単色光によって表現することによりカラー画像
表示を行うようにしたため、従来の三原色を用いた表示
に比べて、表示輝度および解像度を向上させることがで
き、また、色ずれの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CRTなどのディスプレイ装置へカラー画像を
表示する場合に一般に利用されているRGB表色系の色
立体を示す図である。
【図2】可視波長域の単色光を正の画素値によって表現
することができるXYZ表色系の色立体を示す図であ
る。
【図3】図2に示すXYZ表色系を二次元平面上に表現
したXY色度図である。
【図4】図3に示すXY色度図において、スペクトル閉
曲線S上の所定の2点に相当する2つの単色光を合成す
ると、その2点を結ぶ線分L上の色が表現できる原理を
示す図である。
【図5】一方の単色光を固定した場合の色表現方法を示
すXY色度図である。
【図6】人間の眼球内の錐体の分光感度特性を示す図で
ある。
【図7】2つの単色光の合成によって色表現を行う原理
を、XYZ表色系におけるベクトル合成として説明する
ための図である。
【図8】離散分布した有限個の単色光の組み合わせによ
る色表現方法を示すXY色度図である。
【図9】XYZ表色系で表現された所定の画素色P
(x,y,z)とベクトル合成色との色立体上での空間
距離を示す図である。
【図10】本発明に係るカラー画像の表示方法の概要を
説明する図である。
【図11】一般的な回折格子Gを観察する状態を示す側
面図である。
【図12】回折格子形成領域Vの面積が異なる複数の回
折格子パターンの一例を示す図である。
【図13】回折格子形成領域の面積および格子線ピッチ
が異なる複数の回折格子パターンの一例を示す図であ
る。
【図14】図13に示す回折格子パターンを用いて、実
際にカラー画像表示を行う場合の割付態様を示す図であ
る。
【図15】図14(a) に示す割付態様に基づいて、媒体
上に実際に回折格子パターンを割り付けた状態を示す図
である。
【図16】回折格子を用いたカラー画像表示方法に本発
明を適用する場合に用意する回折格子パターンの一例を
示す図である。
【図17】図16に示されている回折格子パターンを一
覧表にして示した図である。
【図18】XYZ表色系で表現された所定の画素色P
(x,y,z)とベクトル合成色との色立体上での空間
距離とその算出方法を示す図である。
【図19】本発明に係る方法において、RGB表色系で
表現された画素値(r,g,b)に基づいて、その近傍
の合成色(u,λα,v,λβ)を選択する処理の手順
の一例を示す流れ図である。
【図20】図19に示す処理を行うことにより得られた
(r,g,b)→(u,λα,v,λβ)変換テーブル
を示す図である。
【図21】本発明に係る方法によって、2画素分の表示
を行った状態を示す図である。
【図22】本発明に係る別な表示態様の一例を示す図で
ある。
【図23】図22に示す表示態様により、1画素分の表
示を行った状態を示す図である。
【図24】本発明において、複数の画像を同一面上に重
畳して記録する方法を説明する図である。
【図25】図24に示す方法により、1画素分の表示を
行った状態を示す図である。
【図26】本発明に係る方法により回折格子記録媒体を
作成する装置の一例を示すブロック図である。
【図27】従来用いられている一般的なレーザを用いた
ディスプレイ装置の基本構成図である。
【図28】図27に示すディスプレイ装置に本発明を適
用した実施例の基本構成図である。
【図29】カラープリンタに本発明を適用した実施例の
基本構成図である。
【符号の説明】
1…カラー画像生成部 2…カラー画像入力部 3…変換処理部((r,g,b)→(u,λα,v,λ
β)) 4…変換テーブル 5…変換テーブル生成部 6…パターン合成部 7…画素パターンファイル 8…データフォーマット変換装置 9…電子ビーム描画装置 10…回折格子原版 11…プレス装置 12…回折格子記録媒体 21,22,23…レーザ 24,25,26…光変調器 27…反射鏡 28,29…ダイクロイックミラー 30…反射鏡 31…ガルバノメータ 32,33…リレーレンズ 34…回転多面鏡 35…反射鏡 36…スクリーン 41…波長可変レーザ 42…波長変調器 43…強度変調器 44…制御装置 51…インキ保持部 52…インキ付着部 53…制御装置 54…表示面(紙面) C…合成色を示すベクトル d…色立体内での空間距離 G…回折格子 P…色立体内の点 P11〜P15…回折格子パターン p…格子線ピッチ Q…色立体内の点 Q1,Q2,Q3,Q4…画素 Q11,Q12,Q13,Q21,Q22,Q31,Q
32,Q41,Q42…副画素 S…スペクトル閉曲線 V…回折格子形成領域 u,v,u1,v1,u2,v2…ベクトル合成式の係
数、輝度値、濃度値、強度値 λα,λα1,λα2…第1の単色光、第1の単色光の
波長、第1の単色光を示すベクトル λβ,λβ1,λβ2…第2の単色光、第2の単色光の
波長、第2の単色光を示すベクトル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の画素からなるカラー画像を表示す
    る方法において、 個々の画素を、少なくとも2つの副画素によって表現
    し、第1の副画素には第1の単色光λαを第1の輝度も
    しくは濃度uで表示し、第2の副画素には第2の単色光
    λβを第2の輝度もしくは濃度vで表示し、個々の画素
    ごとに、用いる単色光およびその輝度もしくは濃度をそ
    れぞれ独立して設定することを特徴とする単色光を用い
    たカラー画像の表示方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表示方法において、 可視波長域の単色光を正の画素値によって表現すること
    ができる三原色表色系を定義し、この三原色表色系で個
    々の画素を表現したカラー画像を用意する段階と、 前記三原色表色系の色立体内において、任意の単色光λ
    αを示すベクトルλαと任意の単色光λβを示すベクト
    ルλβとを用いたベクトル合成式「u・λα+v・λ
    β」によって示される種々の合成色のうち、前記カラー
    画像を構成する個々の画素のもつ画素色と同一位置もし
    くは近傍位置を占める合成色を、当該画素に対応づける
    段階と、 前記カラー画像を構成する個々の画素について、それぞ
    れ対応づけられた合成色を示すベクトル合成式の各因数
    「u,λα,v,λβ」を参照して、第1の副画素に表
    示する第1の単色光λαおよびその輝度uと、第2の副
    画素に表示する第2の単色光λβおよびその輝度vとを
    決定する段階と、 を有することを特徴とする単色光を用いたカラー画像の
    表示方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の表示方法において、 ベクトル合成式「u・λα+v・λβ」におけるベクト
    ルλα,λβに相当する単色光として可視波長域内に有
    限個の単色光を定義するとともに、ベクトル合成式「u
    ・λα+v・λβ」における係数uおよびvの採るべき
    値として有限個の離散値を定義し、これら有限個の単色
    光および離散値に基づいて有限個の合成色を定義し、 前記有限個の合成色のうち、カラー画像を構成する画素
    のもつ画素色と同一位置もしくは近傍位置を占める合成
    色を選択し、選択した合成色を当該画素に対応づけるよ
    うにしたことを特徴とする単色光を用いたカラー画像の
    表示方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の表示方法において、 選択された合成色を示すベクトル合成式「u・λα+v
    ・λβ」に基づいて、単色光λαの波長に応じたピッチ
    の回折格子を係数uに応じた表示領域内に配置した第1
    の副画素と、単色光λβの波長に応じたピッチの回折格
    子を係数vに応じた表示領域内に配置した第2の副画素
    と、を用意し、これらの副画素によって該当画素の表現
    を行うようにしたことを特徴とする単色光を用いたカラ
    ー画像の表示方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の表示方法において、 選択された合成色を示すベクトル合成式「u・λα+v
    ・λβ」に基づいて、単色光λαの波長をもったビーム
    を係数uに応じた強度で所定の表示面上に照射したとき
    のスポットとして現れる第1の副画素と、単色光λβの
    波長をもったビームを係数vに応じた強度で所定の表示
    面上に照射したときのスポットとして現れる第2の副画
    素と、を形成し、これらの副画素によって該当画素の表
    現を行うようにしたことを特徴とする単色光を用いたカ
    ラー画像の表示方法。
  6. 【請求項6】 複数の画素からなるカラー画像を表示し
    た媒体において、 個々の画素が、少なくとも2つの副画素によって表現さ
    れ、第1の副画素には第1の単色光λαが第1の輝度も
    しくは濃度uで表示され、第2の副画素には第2の単色
    光λβが第2の輝度もしくは濃度vで表示され、用いら
    れている単色光およびその輝度もしくは濃度が、個々の
    画素ごとにそれぞれ独立していることを特徴とする単色
    光を用いたカラー画像の表示媒体。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の表示媒体において、 個々の副画素内に、単色光を発する性質をもった表示領
    域を定義し、この表示領域の面積によって表示すべき単
    色光の輝度を調節するようにしたことを特徴とする単色
    光を用いたカラー画像の表示媒体。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の表示媒体において、 個々の副画素内に、所定の面積をもった表示領域を定義
    し、この表示領域内に、表示すべき単色光に応じたピッ
    チの回折格子を形成したことを特徴とする単色光を用い
    たカラー画像の表示媒体。
  9. 【請求項9】 複数の画素からなるカラー画像を表示す
    る装置において、 所定の可視波長域にわたって波長を連続的にもしくは離
    散的に変調させることができ、単色光をビーム状にして
    発生させる機能をもった単色光光源と、 この単色光光源で発生した単色光の強度を連続的にもし
    くは離散的に変調する機能をもった強度変調器と、 この強度変調器によって変調された単色光ビームを所定
    の表示面に照射し、この表示面上に単色光ビームのスポ
    ットを形成し、このスポットを前記表示面上で走査する
    ことにより、前記表示面上にスポットからなる多数の画
    素を形成するビーム走査装置と、 前記単色光光源に所定の波長指定信号を与えることによ
    り、発生させる単色光波長を指定する波長変調制御と、
    前記強度変調器に所定の強度指定信号を与えることによ
    り、単色光ビームの強度を指定する強度変調制御と、を
    行う機能をもった制御装置と、 を備え、 前記制御装置が、第1の単色光波長と第1の強度とを指
    定する第1の制御と、第2の単色光波長と第2の強度と
    を指定する第2の制御と、を実行することにより、前記
    表示面上に1つの画素が形成されるようにしたことを特
    徴とする単色光を用いたカラー画像の表示装置。
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