JPH09512463A - 天然内皮下基質を利用した改善された血液接触表面並びにその製造及び利用方法 - Google Patents

天然内皮下基質を利用した改善された血液接触表面並びにその製造及び利用方法

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JPH09512463A JP7528421A JP52842195A JPH09512463A JP H09512463 A JPH09512463 A JP H09512463A JP 7528421 A JP7528421 A JP 7528421A JP 52842195 A JP52842195 A JP 52842195A JP H09512463 A JPH09512463 A JP H09512463A
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シー. ブルシュマン,ウィリアム
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Abstract

(57)【要約】 本発明は哺乳動物血管由来の改善された血管補てつ物に関する。この補てつ物はドナーの内皮を除去した動脈切片から組立てられている。本発明の重要な観点は、この血管補てつ物の血液界面を担うであろう内皮下細胞外基質の保存にある。血管切片をカルシウム沈着の傾向を抑えるために処理し、そして組織保存剤により固定する。本発明は小直径用途、例えば6mm以下の直径を必要とする動脈代用品にとって極めて有用である血管補てつ物をもたらす。

Description

【発明の詳細な説明】 天然内皮下基質を利用した改善された血液接触表面並びにその製造及び利用方法 発明の背景 1.発明の分野 本発明は人工血管及びその他の移植可能な器具の如き装置において利用するた めの改善された血液接触表面、及びこの血液接触表面の製造方法に関する。 2.関連技術の詳細 閉塞した又は負傷した動脈の代わりとなるヒト又は動物のドナーから取り出し た血管の利用は広く実施されている。新鮮な及び保存しておいた動脈同種異系移 植片は1950年代において動脈の代用品としてかなり利用されていた。当初の利用 は成功を収めていたかのように見えたが、同種異系移植片の利用は血栓症、狭窄 症及び動脈瘤の拡張の発生率の高さに基づき1960年までに大部分廃止されている 。他の種から取り出した血管を利用するその後の試みも同様に成功を収めていな い。動脈を、非血管系起源の組織、例えば自系又は異系線維組織管、ウシの尿管 、並びに小腸及び心膜より出来た移植片に置き替える試みもなされている。しか しながら、血管起源由来の上記の移植片と同様に、これらの非血管系生物移植片 は非常に限られた成功しか収めていない。 合成材料も血管代用品として一般的に利用されている。合成血管移植片ははじ め同種異系移植片移植のための代用品として1950年代において幅広く利用される ようになった。合成品は大型の血管、例えば大動脈、腸骨又は大腿の動脈等の代 用品としての成功を示して おり、そして今でもこれらの用途に効果的に採用されている。この移植のために 利用されている主な合成品はポリエチレンテレフタレート及び延伸膨張ポリテト ラフルオロエチレン(ePTFE)である。残念ながら、上記の生物移植片と同様、過 酷な小直径の用途、例えば冠状動脈バイパス又は膝窩動脈から遠方の末梢動脈バ イパスにおける合成品の性能は移植された生存自系血管のそれよりもかなり劣っ ている。 このような直径の小さい動脈の閉塞アテローム症疾患の処置における一般的な 手術は、同一の個体から取り出した生きた静脈の切片を動脈の閉塞領域のまわり にバイパスとして移植することにある。しかしながら、末梢動脈バイパスを必要 とする全患者の約1/4は、静脈瘤様腫脹、多分枝形成又は適当でない直径を理 由に使用に適さない伏在静脈を有している。このようなとき、これらの患者はバ イパスすることのできる何らかの代替材料を必要とする。更に、移植された静脈 自体は往々にしてアテローム症疾病の進行に感受性である。このアテローム症の 進行は動脈のそれと似ているが、ただし静脈は加速した速度で冒され、静脈移植 片不良をしばしば起こし、追加のバイパスを必要とする。このような理由のため 、小直径の用途においては自系伏在静脈に少なくとも匹敵するほどに機能する血 管代用品のニーズがある。 伏在静脈の利用の代用品を提供する試みにおいて、末梢血管代用品として非自 系血管組織が利用されている。これらの非自系組織の一部には、固定化されたヒ トの臍静脈、固定化されたウシの動脈及び冷凍保存したヒトの静脈が含まれる。 例えば、ヒトの臍帯の動脈及び静脈が、同種異系の生物補てつ物を作るためのDa rdikらに付与された米国特許第3,988,782 号において採用されている。この方法 は、成形用マンドレルの上に管を載せ、次いで硬化及びグルタルア ルデヒド固定処理にかけて低抗原性及び低血栓形成性の移植片を作ることを含む 。異種のウシ又はブタの動脈ベース補てつ物を作るのに利用されている特定の固 定工程はPederoに付与された米国特許第4,671,797 号に記載されている。Pedero は、受容側の血管の構造及び生物学的特徴に匹敵するそれを有する異種動脈生物 移植片を提供することを試みた。主としてコラーゲンより成る管を作るためにタ ンパク質分解酵素により消化したウシの動脈も非自系血管移植片として利用され ている。Rosenberg らに付与された米国特許第2,900,644 号、Sawyerに付与され た同第3,927,422 号、Schmitz らに付与された同第4,083,066 号、Miyataらに付 与された同第4,098,571 号、及びFraefel らに付与された同第4,383,832 号には 、酵素フィシン、トリプシン又はパパインを利用するかかる処理法が記載されて いる。ところで、これらの如き消化された動脈移植は下肢バイパス手術のために 利用したとき、高頻度の血栓による不良を示すことが認められた。 多くの特許及び公開物には血管代用のための血管起源組織のその他のタイプの 化学処理が記載されている。例えば、Lentz らに付与された米国特許第4,323,35 8 号及びDewanjeeに付与された同第4,553,974 号は不要な物質の除去及び/又は カルシウム沈着の防止の目的のための界面活性剤の利用を開示している。Brende l らに付与された米国特許第4,801,299 号には、移植するつもりの組織を、コラ ーゲンより主として成る無菌、非抗原性細胞外基質移植片が残るように細胞成分 を抽出する連続界面活性剤処理を介して調製する手段が記載されている。この方 法は、血管代用品のために使用したとき、内径0.5mm ほどの小さい移植片で高い 開存性を供する非免疫原性及び非血栓形成性の移植片を提供すると言われている 。Klement らに付与された米国特許第4,776,853 号も米国特許第4,801,299 号に 開示されているのと似たような界面活性剤抽出工程を採用している。 血栓症を起す及び/又はそれを阻害する正確なメカニズムは人工血液接触表面 を開発する試みにおいて特に関心がもたれる。血液接触材料に係る凝血メカニズ ムに関する数多くの学説がここ何年かで進展してきたにもかかわらず、このよう な学説に従って構築された装置は正常な血管構造体または経験的に選択された材 料と比べて劣ってしか機能しない。従来技術において達成されてきた限られた成 功は、非血栓形成能の自然のメカニズムを擬態する試みではなく、経験的な試み から得られている。 血管内において見い出せるような天然の血液接触表面は、その表面伝いの血液 の正常な通過の際に血栓症を防止するメカニズムをもっている。哺乳動物の動脈 の場合、直接血液接触表面は非血栓形成性の内皮細胞層より成る。この内皮細胞 層のすぐ外側には内膜の残り、即ち、基底膜及びその下に広がる糖タンパク担持 細胞外基質より成る内皮下基質、並びに内部弾性板がある。内膜層を覆っている のは平滑筋細胞及びエラスチンを含む中膜の多層構造体であり、そしてこの中膜 を覆っているのは線維芽細胞及び接続組織より成る最外層である外膜である。以 下に詳細に説明する通り、内皮下基質層及び中膜構造体は血管系が負傷したとき に止血を維持するために事実上血栓形成性であることが一般に受け入れられてい る。例えば、J.A.Madri ら、「The Collagenous Components of the Subendothe lium」Laboratory Invenstigations 43:303-315(1980) ; 及びT.Matsuda ら「A Hybrid Artifical Vascular Graft Based upon an Organ Reconstruction Model : Significance and Design Criteria of an Artificial Basement Membrane, 「ASAIO Transactions 34:640-643(1988)を参照のこと。 血管壁の構造学及び生化学の理解はこの10年の間に著しく成長してきたが、天 然の血管に機能を維持させる詳細なメカニズムの知識は非常に限られている。正 常な血管構造の効果的な機能に関連する主たる学説は無傷の血管内皮の必要性に 基づく。この学説の前提は、血液は健全で無傷な内皮細胞のみと接触しなければ ならないことにあり、そうでなければ血栓症が生ずるであろう。この仮説は、内 皮が、それと接触する血液に対して固有の凝血阻止効果を有することを示す多く の実験に由来する。内皮細胞は、硫酸ヘパラン/アンチトロンビンIII、硫酸デ ルマタン/ヘパリン補助因子II、トロンボモジュリン/プロテインC/プロテイ ンS、プロスタサイクリン及び組織タイププラスミノゲンアクチベータを含む、 凝血阻害又はフィブリン溶解性機能をもつ数多くの物質を合成する又は結合する ことが示されている。更に、内皮層の除去は、血栓形成性であることが示されて いる構造体を露出させてしまうということを実証する数多くの実験が行われてい る。 これらの所見及び、血管系において内皮が血液と接触する場所にあるというこ とに基づき、内皮は、全部ではないにしても、主として血管の抗血栓挙動を担っ ていることが広く認められている。例えばL.A.Erickson、「Regulation of Vasc ular Fibrinolysis」Blood Vessel Wall and Thrombosis 1:222-233(Ed.,R.Mach ovich,CRCPress 1988) ; R.G.Petty ら、「Endothelium-The Axis of Vascular Health and Disease」Journal of the Royal College of Physicians,London 23:92-102(1989); 及びR.E.Scharfら、「Thrombos is and Atherosclerosis: Re gulatory Role of Interactions Among Blood Components and Endothelium」Bl ut 55:131-144(1987)を参照のこと。この概念を裏付けるものとして、犬におい て頸動脈の代わりに用いられる自系及び同種異系静脈の双方の開存性は、血管 及びその内皮の生存率に依存することが更に示されている。例えばT.R.Weber ら 「Viable Vein Graft Preservation」Journal of Surgical Research 18:247-25 5(1975)を参照のこと。 この分野の主たる教示は内皮細胞が移植片の機能にとって重要であることを強 調しているが、内皮細胞無含有脈管表面の血栓形成能についてのいくつかの議論 中の研究がある。例えばM.R.Buchananら、「The Basement Membrane Underlying the Vasculer Endothelium Is Not Thrombogenic : In Vivo and In Vitro Stu dies with Rabbit and Human Tissus 」Thrombosis and Haemostasis 58:698-70 4(1987)において、血栓症は、血小板接着力により決定したとき、ウサギの動脈 中の内皮細胞の除去により上昇しないことが報告されている。この所見は内皮細 胞による基底膜表層への13−ヒドロキシオクタデカジン酸(13−HODE)の分泌に 由来すると仮定された。これらの発見の妥当性はJ.C.de Graafらにより論文「Pl atelet Adhesion to Subendothelial Structures Under Flow Conditions : No Effect of the Lipoxygenase Product 13-HODE」Thrombosis and Haemostastis 62:802-806(1989)において問題とされている。この研究は反対の所見、即ち、13 −HODEは抗血栓挙動に関係していないと報じ、そしてBuchananらにより上に観察 された血小板の反応性の欠如は、実際には内皮細胞の不完全な除去の相関的要素 ではないかという問題を提示した。このもう1つの解釈はJ.Aznar-Salatti らの 「Platelet Adhesion to Exposed Endothelial Cells Extracellular Matrixes Is Influenced by the Method of Preparation」Arteriosclerosis and Thrombo sis 11:436-442(1991)の、内皮細胞の除去の程度が血小板活性の度合いと相関す ることが示されたという発見と一致する。内皮細胞除去の度合いが高いと、血小 板の反応性の度合いは高まる。最後に、M.Richardsonら、「Wound Healing in t he Media of the Normolipemic Rabbit Cartoid Artery Injured by Air Drying or by Balloon Catheter Deendothelialization」American Journal of Pathol ogy 137:1453-1465(1990)は、前掲のBuchananらに利用されている内皮のエアー 除去が、血小板堆積の遅延化のみを供し(消失させるのではない)、そしてこの 血小板相互作用は血管表面が再び内皮により覆われるまで存続することを示した 。 天然の血管機能及び血小板反応性のこのような所見に基づき、天然の血管構造 に類似の血栓抵抗性の最良の合成血液接触具は、内皮細胞の血液接触表面を必要 とするであろうと仮定された。従って、内皮層が含まれている又は展開している 補てつ物表面、そして特に血管移植片を提供する試みがなされている。例えば、 Carabasiらに付与された米国特許第4,883,755 号;Smith に付与された同第4,96 0,423 号;及びTurinaらに付与された同第4,804,381 号及び同第4,804,382 号; Bellに付与された同第4,539,716 号及び同第4,546,500 号;並びにMullerらに付 与された同第5,037,378 号には、抗血栓性を供するために血管界面の生存内皮細 胞被覆を成し遂げる手段が記載されている。これらの手法には、内皮細胞被覆(S mith)、他の細胞との内皮細胞の組合せ(Bell;Turinaら)、内皮細胞の付着性 を高めるためのエラスチン誘導ペプチド(Smith)、又は移植片表面に内皮細胞を 適用するための単純な物理学的手段(Mullerら)が含まれる。 内皮は血管の活発な抗血栓挙動の源として広く認識されているが、血管移植片 において非自系内皮を利用することは、非自系細胞の免疫学的認識により起こる 血栓による不良を生じうる。例えば、M.A.Galumbeck ら「Inhibition of Vessel Allograft Rejection by Endothelial Removal : Morphologic and Ultrastruc tural Change s 」Annals of Surgery 206:757-764(1987)においては、大腿動脈及び大腿静脈 の移植片を、内皮細胞を伴って及び伴わないで、同種異系ラットに移植している 。コントロールのグループには自系移植片を受容させた。内皮が完全なままの同 種異系血管移植片は不良となり、一方内皮を除去したものは開存性のままである ことが認められた。これらの結果は、同種異系内皮の存在により付与される抗血 栓能は受容側のその細胞に対する免疫反応に負けることを示唆する。従って、非 自系血管の有用性は、この発見から生ずる理論的ジレンマによって制約を受ける ように思われる。即ち、脈管の機能についての現在の理解は、移植された血管の 内皮は抗血栓機能を確実なものとするために無傷でなくてはならないが、しかし ながらこの同一の非自系内皮の存在がホストの免疫応答に由来する血栓を招いて しまいうる、ということを規定する。 小直径の用途において、又は冠状バイパスの如きの感受性な領域に使用する移 植片においては、ささいな血栓の発生でさえも非常に重大な問題となる。上記の 移植片全般にとって問題となる開存性能に加えて、上記の移植片はいづれも小直 径の移植片の用途の開存性の問題を適切に処理し始めていない。現存の移植片に 勝る上記の移植片の高い性能は、生体内移植研究では実証されていないことに注 目すべきである。 上述の従来技術に対比して、本発明の主たる目的は小直径の血管移植片を必要 とする用途を含む、現存の人工構造物よりも血栓形成性の低い改善された血液接 触表面を提供することにある。 本発明の別の目的は、容易に製造及び使用されうる人工血液接触表面を提供す ることにある。 本発明の更なる目的は、血液と天然血管構造体との相互作用を支配する以前ま でわかっていないメカニズムを特定すること、更には 一式の改善された血液接触構造体並びにその製造及び使用方法を提供するために そのメカニズムを利用することにある。 本発明のこのような目的及びその他の目的は以下の説明を再吟味することで明 らかとなるであろう。 発明の概要 本発明は人工血管、並びにその他の移植可能な器具、人工器官、輸血装置及び 類似の装置における使用のために適切な改善された血液接触表面に関する。 従来技術の受容された学説及び教示に反して、哺乳動物の血管における内皮下 基質は、内皮細胞から適正に分離されると、主要な血液接触表面として採用した とき、実質的に非血栓性を示す。この低下した血栓形成能は内皮細胞層自体のそ れに近い。実質的に非血栓性な表面であることに加えて、内皮下基質はホストの 免疫応答を誘発しにくく、それ故人工又は移植された血管及びその他の血液接触 器具を提供しようとする事実上全ての従来の試みよりも実質的に改善された血液 接触表面となる。 本発明は改善された血液接触表面であり、それは装置における利用のためにそ れを仕上げる一連の処理工程を通じて形成される。本発明を実施するための一般 的な計画は以下の通りである。まず、天然のドナー動脈を採用し、数多くの内皮 細胞剥離技術の一つを利用して適当な血液接触表面を作ることである。得られる 血液接触表面は保存内皮下基質層をもつ天然血管より成る。所望するなら、改善 された性能のために追加の処理工程、例えば移植片の潜在的なカルシウム沈着を 最小限とする脈管処理及び/又は血管固定を採用してよい。最後に、周囲の組織 の内成長から保護し、且つ適宜この血管を強化するために血管をさや内で保護す る。細胞に対して不透過性 であることに加えて、このさやはイオンから高分子に至るサイズの範囲の分子に 対して透過性である。 本発明における直接血液接触表面としての内皮下基質の利用は背景の章におい て上述した従来の補てつ物の血液接触表面の欠点を回避せしめる。第1に、移植 片拒絶及びその他の免疫合併症は、内皮細胞層のないドナーの内皮下基質を利用 することによって低下又は除去されうる。第2に、人工移植片の製造において、 本発明における保存された天然の内皮下基質層の利用は現状の有用な補てつ移植 片よりも血栓形成しにくい。このことは、本発明を、直径の小さい移植片及び凝 血の危険性に対して非常に感受性であるその他の用途において利用できるように する。その結果、本発明は他の補てつ具よりもはるかに耐血栓性である血管代用 品を提供する。 本発明の向上した耐血栓性は、内皮の下に見い出せる細胞外基質層に横たわる 動脈の中にある天然のメカニズムに由来するものと信じられている。本発明の保 存動脈により提供される改善された開存性は、内皮下基質層の保存に関与する。 従って、本発明は、支持体及びこの支持体に付着したドナー内皮細胞を実質的に 含まない保存内皮下基質層を含んで成る血液接触層を含んで成る血液接触表面で あり、ここでこの内皮下基質は主要な血液接触表面を担っている。 本発明は血管及び類似の器具に特に応用可能であるが、それは実質的に非血栓 性の血液接触表面が提供されなければらない数多くの領域に適用できうる。本発 明に従って製造できうるその他の器具の例には、限定することなく、とりわけ心 弁、人工心臓、及び人工器官、例えば移植可能人工腎臓が含まれる。 図面の説明 本発明の実施は、添付図面を一緒に考慮しながら以下の説明によ り明らかとなるであろう。 図1は哺乳動物の動脈の透視断面図である。 図2は哺乳動物の動脈の縦軸伝いの断面図である。 図3は本発明の態様の一つの縦軸伝いの断面図であり、ここで図2の構造体か らは内皮細胞層が除去されている。 図4は動脈の保存内皮下表面の走査電子顕微鏡写真である。 図5は、内皮下基質がポリマー製のさやの内に封じ込められている、図3の構 造を有する本発明の人工血管の別の態様の断面図である。 図6は図5に示した本発明の態様の別の図である。 発明の詳細な説明 本発明は人工血管及びその他の血液接触器具において利用するものの如き改善 された血液接触表面に関する。 まず最初に、図1及び2は典型的な哺乳動物動脈(10)の構造を示す。動脈( 10)の構造体は、内皮細胞(ECs)の最内層(12)、基底膜及びその他の細胞外 基質成分より成る内皮下基質層(14)、並びに内部弾性板層(16)を有する内膜 層より成る。内膜の外側には平滑筋細胞(SMCs)(20)より成る中膜層(18)があ り、そして最後に線維状接続組織又は外膜層(22)がある。 上述の「発明の背景」の章において説明した通り、正常な血流の際、内皮細胞 層は血液接触表面を担い、従って非血栓性でなくてはならない。一方、血管が負 傷したときは、血管からの血液漏出を防ぐために血栓が生じることは重要である 。これに関連して、内皮細胞層の下の構造体は、その内皮層のどこで傷ついても 凝血を促進させるよう血栓性であることが一般に認められている。 驚くべきことに、内皮細胞層(12)の真下の内皮下基質層(14) もそれ自体では実質的に非血栓性であることが発見された。例えば、内皮をはい だグルタルアルデヒド固定化血管を動脈代用品として生体内に適用すると、それ は適正に機能を維持するのみならず、保存内皮下基質層のない合成血管のそれよ り優れた態様で機能を維持することが示された。更に、この合成血管の保存内皮 下基質層は自系内皮の集密層を有する合成血管のそれより優れた機能を発揮する 。内皮下基質層の非血栓特性は、内皮下基質層が負傷したとき又は保存血管から 取り除かれたとき、その性能が合成移植片のそれとほぼ等しいレベルにまで低下 するという事実により実証される。このような結果は、適正に処理及び保存され た内皮下基質層が、合成又は天然由来の血管上の内皮層の欠如を補うことができ ることを実証する。本明細書における「保存内皮下基質層」なる語は、内皮下基 質層であって、その基質を化学的に安定化し、それにより内皮下基質層を直接血 液接触表面として保存させるように固定溶液、例えばグルタルアデルヒドにより 処理された層を意味する。 従って、本発明は直接血液接触表面として保存された内皮下基質層を利用し、 そしてこれによって合成血管移植片及び天然由来の血管の双方に有用な実質的に 非血栓性の血液接触表面を作り上げることで従来技術の上記の数多くの欠点を解 決する。例えば生物材料から血管移植片を構築することにおいて、内皮細胞層の ないドナーの内皮下基質の利用は移植拒絶及びその他の免疫合併症を軽減する又 は消失させることができる。例えば人工移植片の製造においては、合成血管の主 要な血液接触表面としての保存天然内皮下基質層の利用は、合成材料より成る又 は天然血管に由来する現状有用な補てつ移植片よりも血栓発生しにくい。このこ とは、かかる移植片を小直径移植片を必要とする状況、例えば末梢バイパス、冠 状バイパス用途、又は凝血の危険性に対して同様に感受性であるその他の状況に おいて使用できるようにする。 血管移植片において使用するための本発明の血液接触表面を調製するのに2通 りの方法論が利用される。一つの方法論は移植片のために天然の血管組織を利用 することで血液接触表面を調製する。他の方法論は移植片として利用するための 合成材料の上に内皮下基質層を適用することで血液接触表面を調製する。 天然のドナー動脈を採用するとき、本発明は適切な血液接触表面を作り上げる ためにいくつかの内皮細胞剥離技術の一つを利用する。一つの任意的な工程をド ナー動脈の潜在的なカルシウム沈着を抑えるために採用してよい。次に、内皮下 基質層を保存し、そして移植片を滅菌にかける。保存後、図3に示している得ら れる血液接触表面は、残留中膜層(18)及び外膜層(22)、内部弾性板層(16) 、並びに直接血液接触表面を担う保存内皮下基質層(14)を有する天然血管より 成る。 所望するなら、ドナーの血管の外径は、より良い取扱い特性を有し、しかも本 発明の改善された開存性能を保持する薄壁移植片を供するために小さくしてよい 。ドナーの血管の外径を小さくする好適な方法は、タンパク質分解酵素を用いて 血管の壁の外面から血管組織層を消化することにある。この処理における使用に とって適切な酵素には、限定することなく、例えばコラゲナーゼ、パパイン、ト リプシン、キモトリプシン及びエラスターゼが含まれる。この処理の際、内皮下 基質層を含むドナーの血管の内部はタンパク質分解酵素の作用から保護されてい る。 血管移植のために合成材料を採用するとき、内皮下基質層をドナー組織から単 離し、合成基質の内面に適用し、そして保存してよい。得られる保存内皮下基質 層は合成材料より成る血管移植片における直接の血液接触表面を担う。これらの 処理及び態様はそれぞれに 以降により詳しく説明する。 天然内皮下基質の調製及び利用 移植片の作製のための出発材料は、脊椎動物の種、好ましくは哺乳動物の種、 例えば、限定することなく、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ又は霊長類、例えばヒト の起源から獲得されるドナー動脈切片である。同様に鳥類起源も使用できうる。 血管は四肢を無傷のまま凍結することにより又は適当なサイズの血管を直ちに切 り取ることにより得られうる。もし四肢切片を最初に凍結するなら、四肢はまず 解凍しなければならない。解凍したら、血管を四肢から切除して、そして4℃の 処理用生理学的pHの食塩水緩衝液の中に入れる。適当な食塩水溶液には任意の数 の生理学的平衡塩溶液、例えば、限定することなく、ダルベッコのリン酸緩衝食 塩水、アールの平衡塩溶液、ハンクスの平衡塩溶液(HBSS)又はリン酸緩衝食塩 水(PBS)が含まれる。 処理は、血管からの外生外膜組織の切除及びポリマー製縫合材料による任意の 枝状切片の結紮を必要とする。これらの段階を踏んで血管切片は内皮細胞層を除 去する更なる処理の用意が整う。 内皮下基質層からの内皮細胞層の除去は、内皮下基質層の非血栓特性を保持さ せるために慎重に行わなければならない。過度に苛酷な技術、例えば界面活性剤 剥離の利用は内皮下基質層を傷つけてしまうことが見い出された。 内皮下基質層に悪影響を及ぼすことなく内皮細胞層を除去する多くの比較的簡 単な試薬及び方法がある。内皮下基質層は例えば温和な化学剥離溶液、例えば水 酸化アンモニウム(NH4OH)により処理してよい。一つのかかる処理は血管腔を約0 .01M〜約 0.5M、好ましくは約0.25Mの濃度の水系NH4OH 溶液の中で約30秒〜 約60分インキュベートし、次いで血管腔に緩衝溶液をフラッシングすることを含 みうる。好適な態様において、この処理は血管腔の中に約0.25Mの濃度のNH4OH 溶液を約3〜5分注入しておくことを含む。この内皮細胞層除去から得られる構 造体を図3に示す。 内皮細胞除去のための別の適当な技術は管腔表面の風乾の利用である。一つの 考慮される風乾処理は、血管腔に残留物質を除去するため緩衝液をフラッシング し、次いで内径4mmの血管に対しては約5〜約10分間にわたり約500 〜約 2,000 cc/min の流速で風乾することを包括する。流速は内径4mmの血管に対しては約 1,000/minであることが好ましい。風乾の後、血管腔に内皮細胞を除去するた め緩衝液をフラッシングし、次いで更なる処理の前に内皮下基質層を再水和させ ておく。 本発明の別の態様において、内皮細胞は、動脈を一連の凍結−融解サイクル( 好ましくは2サイクルより多く)にかけ、次いで動脈腔に適当な溶液、際えばハ ンクスの平衡塩溶液(HBSS)(1.3mMのCaCl2,5mMのKCl,0.3mMのKH2PO4,0.5m MのMgCl2,0.4mMのMgSO4,138mMのNaCl,4mMのNaHCO3,0.3mMのNaHPO4,5.6mM のグルコース)をフラッシングすることにより除去される。 内皮下基質表面が上記の通りにして内皮細胞除去により調製されたら、移植し た血管組織のカルシウム沈着を防止又は最小限とする処理工程を採用してよい。 この技術は主に脂質成分を抽出する溶媒溶液を利用する。一つの効果的な処理は 、動脈を例えば2:1の容量:容量の比のクロホルムとメタノール(CHCl3/CH3O H)の溶液の中に約15〜約60分間浸しておくことを含み、約20〜約40分の処理時間 が好ましい。次いで動脈を溶媒溶液から取り出し、そして食塩水溶液への浸漬を 介して再水和させる。再水和させたら、移植片を下記のようにして保存する。ク ロロホルム/メタノール処理は内皮下基質を損傷せず、しかも移植した後の動脈 のカルシウム沈着を抑制す る。当業者に周知のその他のカルシウム沈着防止処理も同様に採用できることが 知られている。 再水和の後、内皮下基質層を保存し、免疫原性を下げ、且つ血管切片を滅菌す るために動脈を加圧固定する。この固定は、移植片として適当な直径を供するチ ューブ内に動脈を入れることにより成し遂げられる。次いで動脈の管腔の中に固 定溶液、例えば適当な緩衝液中の約0.1 〜2.5%の濃度のグルタルアルデヒドを 、使用した固定剤の濃度に依存して約1〜約72時間にわたり約20.7kPa 〜約34.5 kPa の圧力において充填しておく。直径を担う適当なチューブには、限定するこ となく、ePTFE 血管移植片、例えばW.L.Gore & Associates,Inc.,(アリゾナ 州、フラグスタッフ)より商標GORE-TEX(登録商標)血管移植片で入手できるも のが含まれる。グルタルアルデヒドに加えて、適当な固定剤には、限定すること なく、ホルムアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、エタノール及びポリエポキシ 化合物が含まれる。適当な緩衝剤には、限定することなく、N−2−ヒドロキシ エチルピペラジン−N′−エタンスルホン酸(HEPES)、酢酸塩、2(N−モルホ リノ)エタンスルホン酸(MES)、3−〔N−モルホリノ〕プロパンスルホン酸(MO PS)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、リン酸塩、等が含まれる。好適な 態様においては、動脈を20mMのHEPES 緩衝液中の約 0.5%より大きい濃度のグル タルアルデヒドの中で最低約2時間加圧固定する。その他の適当な滅菌剤、例え ばホルムアルデヒドも、無菌を確実なものとするためにグルタルアルデヒドに加 えて使用してよい。固定の後、動脈をすすぎ、そして無菌生理食塩溶液の中で約 4℃にて移植又は更なる使用まで保存しておく。作製した内皮下基質層の代表的 な走査電子顕微鏡写真を図4に示す。 前述した通り、本発明に関する血管の処理において採用した2つ の工程は:1)血管の表面からのドナー内皮の除去;及び2)有機溶媒を利用す る血管全体の主に脂質成分の抽出;である。驚くべきことに、これらの処理工程 は、本発明の血管態様の機能を、元来想像していたものを超えて改善せしめるこ とができることが発見された。 前述の通り、ドナー内皮の除去はその下にある内皮下基質を露出させ、そして これらのドナー細胞に対する受容側の急性免疫応答を阻止させる。この段階は好 ましくは温和な化学剥離溶液、例えば水酸化アンモニウム(NH4OH)の利用を介し て成し遂げられる。しかしながら、本発明の態様を開発する際、この処理はもと の内皮細胞を単に除去する効果に勝る付加的効果を有することが発見された。そ の他の方法、即ち風乾又は凍結−融解サイクルにより内皮細胞が除去された血管 は、NH4OH 処理を介して細胞の除去されたものに比べて低い開存性能を示した。 更に、風乾又は凍結−融解を介して内皮の除去された血管は、その血管をNH4OH 抽出に更に委ねたとき、開存性試験において改善された性能を示す。 有機溶媒抽出処理は本発明の組織ベース移植片、特にグルタルアルデヒドで固 定したものの鉱化を阻害することを意図する。上記の塩基処理効果の発見と同様 に、クロロホルム及びメタノール(CHCl3/CH3OH)抽出に委ねた血管は、この処理 に委ねていない血管に勝る改善された開存性能を供した。この処理の予測してい なかった開存性の向上は鉱化過程とは独立しているものと認めることができ、そ の理由はその効果が鉱化にとって十分な移植期間を経る前に観察されるからであ る。 本発明の発明品への上記の2通りの処理の開存性効果を個別に評価した。しか しながら、好適な実施方法は、本発明の態様を作るためにこれら2通りの処理の 双方を利用することである。各処理は開 存性機能に寄与し、そしてその組合せは累積的、おそらくは相乗的であると信じ られている。 本発明においては、図5及び6に示す複合体(28)を形成するよう、処理した ドナー動脈を合成材料製のさや(26)で包むことが好ましい。さやのために適当 な材料には、限定することなく、とりわけポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、 ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、フッ化エチレンプロピレンコポ リマー(FEP)及び上記の組合せが含まれる。処理したドナー動脈の非血栓特性の 維持を補助することがさやの主要機能である。これは、ドナー動脈からホストの 細胞を排除し、同時に処理動脈に至る及びそれからの生物学的物質のさやの厚み を横断するバルクフローを可能にすることによって成し遂げられる。理想的なさ や材料は、細胞に対して不透過性でありながら、高分子に対して透過性なもので ある。「高分子」なる語は、限定することなく、例えば約2,000,000MW を含めこ れに至るまでの分子量を有する分子を含むものと解される。さやにとって好適な 材料は微多孔質の材料であり、微多孔質ePTFE が最も好ましい。 さやの厚みを通る細胞通過を阻止するのに有効な気孔サイズは壁自体の厚み及 びさやの外面と内面とを連絡せしめる気孔のくねり性に依存する。薄いさや構築 体(厚さ約10〜20μm)中の規則的な均質な気孔の場合、気孔は直径約 3.0μm 未満となるように選定せねばならない。この値は、まっすぐで均質な気孔を通る 線維芽細胞の移動限界が約5〜8μmであり、そしてまっすぐで均質な気孔を通 る白血球侵入の限界が約3〜5μmであるBoydenチャンバーアッセイ(chamber a ssay)に基づく。(A.Albini ら、「Fibroblast Chemotaxis」Collagen Related R esearch ,5:283-296,(1985);W.Morzyckiら、「Tumour Necrosis Factor-alpha but not Interleukin-1 Induces Polymorphonuclear Leucocyte Migration through Fibroblast Layers by a Fibroblast-Dependent Mechanism」Immunology,74:107-113(1991))。より 厚く、よりくねりがある、又は層状の構造の場合、個々の気孔は多少大きくても よく、なお層を横切る細胞通過の有効なバリヤーを担いつづけることができる。 ePTFE 又は類似のフィブリル化さやに関して、このさやの気孔サイズはさや材 料のフィブリルの長さに直接関連する。フィブリルの長さは、さやを介する細胞 接近を抑え、しかも高分子の透過性を維持する気孔を形成するように選定すべき である。細胞の内成長に対する抵抗性を規定するうえで、無細胞アッセイ法が開 発されている。3.0μmがまっすぐな気孔の細胞透過性の下限界を示すという公 開の値を基礎として、所定のさやが直径3μmの粒子を排除するかどうかを機械 的に決定するためにこの直径の微小球を使用した。その結果、3μmの微小球を 排除する任意のさや材料は、さやを横断する細胞移動を効果的に阻止するであろ う。 本発明において、さやの特性は、上記の透過性及び細胞排除特性に加え、処理 したドナー動脈に機械特性を供するように選定できる。当業者は、各血液器具用 途にとって、最低限の機械的保全性要件があることを認識しているであろう。一 つの最低限の要件は、器具が、所定の用途の意図している期間の間血圧により強 いられる力に耐えることにある。従って、その形態は、破裂又は脈瘤形成するこ となく血圧により誘発されるフープ応力に耐えるものでなければならず、そして 同様に破裂、過剰な縫合穴拡張又は疑似脈瘤形成することなく吻合において誘発 される応力に耐えるものでなければならない。このような最低限の機械的要件に 加えて、さやは、それが包むことを意図している血管組織がないときでさえも、 血管代用品として機械的に働くのに十分な強度のあるものであることが好ましい 。この態様においては、合成さやはドナー血管組織まわりに配置されており、か くしてその支持体はドナー組織及び合成さやにより供されるものの複合体である 。図5及び6は内皮下基質層(14)、残留中膜層及び外膜層(24)、これらの層 を包んでいるさや(26)を有し、複合体(28)を一緒に形成している本複合構造 体を示している。生物学的組織の強度をその用途に必要なそれより弱めてしまい うる分解処理にその組織は委ねられるが、この合成品は適当なポリマー及び組立 を選定すると、その処理に耐えることができるようになる。 さやを構築する一つの方法は、マンドレルを多層のePETF フィルム、例えば双 方共Goreに付与された米国特許第3,953,566 号及び同第4,187,390 号(それぞれ は引用することで本明細書に組入れる)に記載のもので包み、そしてこのフィル ム及びマンドレルを約 380℃で約10〜20分加熱することによりフィルム同志を接 着させ合うことにより構築するものである。このフィルムチューブをマンドレル から外し、そして調製しておいた組織移植片をポリマーチューブの管腔の中に設 置した。その材料又は材料の組合せは、選定の材料の物理特性に適する温度及び 時間を利用して同様に組織チューブに適用してよい。 さや材料を製造するその他の方法は、処理した動脈をマンドレルの上に置き、 そしてその動脈を多層のePTFE 及びFEP 複合フィルムで包み、そしてそのフィル ム層を瞬時にFEP フィルムの融点を超える温度、即ち約271℃に加熱して血管の 外面上のフィルムラップ同志を融着させることを含む。FEP をコートしたePTFE フィルムは次の処理を含む工程により作られる: a)通常は膜又はフィルム状の多孔質PTFE支持体を、好ましくはFEP 又はその 他の熱可塑性ポリマーのフィルムである別の層と接触 させ; b)処理(a)において得られた組成物を前記熱可塑性ポリマーの融点より高 い温度に加熱し; c)前記熱可塑性ポリマーの融点より高い温度に維持しながら処理(b)の加 熱組成物を延伸し;そして d)処理(c)の生成物を冷却する。 その他のさや構築法は、引用することで本明細書に組入れるGoreに付与された 米国特許第3,593,566 号に従い一軸延伸により構築した管状のePTFE 組立てであ る。処理した血管をこのようにして構築したePTFE チューブの中に挿入する。さ やのその他の形態と同様、この管状形態は高分子の通過に対して透過性であるが 、しかし細胞は通過させないものでなくてはならない。 さやの構築は、引用することで本明細書に組入れる1994年4月29日提出のBruc hmanらの米国特許出願、題名「Cell Excluding Sheath For Vascular Grafts 」 USSN 08/235,045 号に記載されている。 さやの透過特性は、処理した動脈からさやを外し、次いで既知サイズのマーカ ー、例えばデキストラン及びポリスチレン微小球により試験することによって評 価できる。例えば、フルオレセイン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)によ りラベルした約2,000,000MW の平均分子量を有するデキストランをさやの高分子 通過能力を試験するために用いることができる。さやの細胞透過性は例えば懸濁 物中で固形分約 2.5%の濃度を有する約 3.0μmの直径のポリスチレン微小球(P olysciences,Inc.,Warrington,PA)により試験することができる。 さやを着色マーカーにより透過性について試験するとき、そのマーカーは明瞭 な可視色を供するのに十分な濃度で水溶液又は懸濁物 として懸濁する。このマーカー溶液の化合物の好適な濃度は約0.2mg のデキスト ラン/mlの溶液及び約0.02mlの微小球/mlの懸濁液で、後者は約 4.5×107のビ ース/mlの懸濁液である。さやの透過性の評価は約23℃で行う。必要ならば、さ やは、それを水に対して透過性とすることによって透過試験の準備を整えておく 。例えば、ePTFE より構築したさやは 100%のエチルアルコールにより濡らし、 次いで試験前にアルコールを除去するために水でフラッシングする。 高分子に対するさやの透過性を試験するため、デキストラン試験溶液をさやの 管腔に注入し、そして注射器を利用して約20.7kPa に加圧する。注射器の内容物 をさやに押し込み、そしてさやの壁をしみ出る液体を集め、そして有色デキスト ランの形跡について白色の背景に対して目視検査する。 さやの細胞透過性を試験するための準備において、懸濁液中の微小球の数を適 当な計測装置、例えばヘマサイトメーターを用いることにより決定する。次いで さやの細胞透過性を、そのさや材料に微小球含有懸濁液を注射器を用いて約20.7 kPa にて押し込むことにより試験する。注射器に水を再充填し、そしてこの水も 約20.7kPa にてさやに押し込む。さやの壁をしみ出る液体を集め、そして約300 gの遠心分離に約10分かける。上澄液をデカンテーションして捨て、そして微小 球のペレットを既知容量の水に再懸濁する。再懸濁したペレットの中の微小球の 数を計測し、そして元の懸濁液と比較する。さやをしみ出る微小球の数は、さや の管腔に導入した数のパーセンテージとして表わす。 本用途にとって適当なさやは、約20.7kPa 以下の圧力において 2,000,000MWの デキストランを通過させ、さやをしみ出る溶液が白色の背景に対して観察された ときに目に見えるほど着色されているも のとなるようにするものであらう。更に、このさやは約20.7kPa において約 5.0 %より多くの 3.0μmの微小球を通過させないようなものであろう。 前述した通り、本発明の重要な要素は、血液接触表面としての保存内皮下基質 層の利用である。本発明は、保存内皮下基質層をもとの位置のままに残し、そし て組織にこの層をそのまま移植することによって好適に実施される。別の態様は 、保存する前にドナーの心臓血管組織の表面から内皮下基質層を除去しておき、 次いで合成表面に内皮下基質層を再付着させることである。次いで、合成表面上 のこの内皮下基質層に対して前述のカルシウム沈着防止及び保存処理を施す。こ の場合、この合成成分は補てつ物のために必要な機械的な支持の全てを司る。 合成支持体層に内皮下基質層を適用する工程における第1の処理はドナーの組 織からの内皮の除去である。次いで内皮下基質層を例えばメスの刃を用いてドナ ーの組織から機械的に除去する。内部弾性板の上層の細胞外基質層のみを除去す る。無傷の内部弾性板層はドナーの組織に付着したままにしておく。 合成支持体層への内皮下基質層の付着のためのいくつかの方法が可能である。 合成支持体への内皮下基質層の一つの好適な付着方法は、合成支持体の上に得ら れた内皮下基質層を機械的に捕促させることである。これは例えば、ウシの大動 脈の管腔表面に由来する内皮下基質層をHBSSの中に懸濁することにより成し遂げ られる。ePTFE 血管移植片を注射器継手(フィッティング)の上に取り付けた後 に 100%のエタノールで濡らし、そして内皮下基質懸濁物を含む溶液を注射器圧 を利用して微多孔質移植片の隙間に押し入れる。その溶液がその移植片に押し入 れられると、内皮下基質の断片は移植片の隙間の中及びその表面上に捕促されて 残る。 上記の任意の方法により調製した内皮下基質層は数多くの細胞外基質成分を含 む。免疫細胞化学アッセイを利用し、この内皮下基質層は、例えば硫酸コンドロ イチンプロテオグリカン類、フィブロネクチン、I型コラーゲン、IV型コラーゲ ン、III型コラーゲン、エラスチン、グルコサミノグリカン担持プロテオグリカ ン類を含むことが決定された。 本発明に従って作った血管の構造 本発明の範囲を限定するつもりでなく、以下の実施例は本発明をどのようにし て実施及び使用するかを説明する。以下の実施例の実験結果を実施例の章の最後 の表1においてまとめている。 実施例 例1 本例は、本発明の保存内皮下基質層を有する動脈由来の血管移植片が、内皮下 基質層を欠くコントロールの動脈由来の血管移植片と比べて改善された開存性を 有することを実証する。 数対の頸動脈切片をドナーのグレイハウンド犬から取り出し、15%のジメチル スルホキシド/ハンクスの平衡塩溶液(DMSO/HBSS)を含むバイアルに入れ、そ して次の処理まで液体窒素下で凍結保存した。処理のとき、各バイアルを37℃の 湯浴の中に融解するまで浸しておいた。各対の動脈をバイアルから取り出し、標 準食塩水の中ですすぎ、そして手動での切開により外膜を除去した。各対のうち の一方の動脈を内皮下基質層の剥離のために選び、そしてコントロール移植片を 担う。各対の他方の動脈は内皮下基質層が無傷で保存されるように処理し、そし て本発明の移植片を担う。 内皮下剥離手順は、コントロール動脈切片の一端を止血鉗子で握み、そして鋭 利な先端を有するシリンダー状の押し出しポリテトラフルオロエチレン(PTFE) 全体を管腔に押し付けて血管全体にわた って下方向に強制的に引き降ろすことにより実施した。内皮下基質層の崩壊及び 除去を確実にするためにこの手順を数回繰り返した。保存内皮下基質層を有する 本発明の血管切片は、残留ドナー内皮がないことを確実にするためにその管腔表 面を気流(約1000cc/min)に5分間曝露しておいた。気流にかけた動脈の代表 的なサンプルの走査電子顕微鏡(SEM)観察は、天然内皮のほぼ完全な消失及び内 皮下基質層の維持を確証せしめた。本発明の目的にとって、内皮下基質層からの 約80%より多くの天然内皮の除去が、内皮下基質層を実質的にドナー内皮細胞を 含まないものにするものであると考えられると解される。次に、コントロール及 び本発明の血管の双方の対を3−0号絹製縫合糸を用いて有刺継手(barbed fitt ing)に取り付け、そして薄壁の 3.0mmのGORE-TEX(登録商標)血管移植片(W.L.G ore & Associates,Inc.,Flagstaff,AZ)スリーブ内に収納し、約 2.5mmの最終 内径を供した。血管の組を食塩水ですすぎ、0.2Mのソレンソンのリン酸緩衝液( pH7.0〜7.2)中の 2.5%のグルタルアルデヒドに浸し、そしてその溶液を管腔の 中に27.6kPa の圧力で2時間押し込んだ。無菌技術を利用しながら、ePTFE スリ ーブを外し、動脈切片の先端をトリーミングし、血管を無菌標準食塩水でよくす すぎ、そして移植まで無菌標準食塩水の中で4℃で保存した。 これらのコントロール及び本発明の移植片を6匹の成犬グレイハウンドの腕動 脈の中に試験対として移植した。各対の一方の移植片を犬の一方の腕動脈に移植 し、各犬において血管の直接対比ができるようにした。2.5mmの内径を有する長 さ2.5cmの血管移植片は、成犬グレイハウンド受容体の天然腕動脈に合う良好な 直径である。標準の端々吻合(end-to-end)外科技術を移植のために利用し、そし て犬に抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投与しなかった。移植の経過は対照血管造 影法及び二重超音波検査を利用して追跡した。手術後 2週目において、各腕移植片対を外科的に露出させ、そして移植位置から距離を 置いて動脈を切開することにより開存性の試験をした。保存内皮下基質層を有す る本発明の移植片は6例のうちの6例(6/6)において開存していることが確 認され、一方崩壊した内皮下基質層を有するコントロール移植片は6例のうちの 1例(1/6)のみにおいて開存していた。まとめると、本発明の移植片は、保 存内皮下基質層が、内皮下基質層を欠くコントロール移植片と比べて改善された 開存性を供することを実証する。 例2 本例は、本発明の内皮下基質層のクロロホルム及びメタノールの溶液による処 理は、移植片の内皮下基質層の保存に影響を及ぼすことなく、移植後の移植片の カルシウム沈着を低下させることを実証する。 雌牛由来の末梢足動脈を屠殺所から入手し、そして処理するまで−20℃で凍結 保存しておいた。融解後、約2〜3mmの内径を有する末梢動脈を見きわめ、そし て動物から切除した。外膜を切開により除き、枝を縛り、そして血管切片を有刺 継手に取り付けた。ドナー内皮がないことを確実にするため、各血管切片の管腔 を気流で約5分間風乾し、次いでHBSSの中で簡単にすすいだ。各血管切片を半分 に切った。この切片の半分を任意的に本発明移植片に割り当て、そしてもう半分 をコントロール移植片に割り当てた。次いで本発明移植片をクロロホルム及びメ タノール(CHCl3/CH3OH ; 2:1 v:v)の溶液に室温で約30分間浸した。次 いで本発明移植片を約30分標準食塩水中で再水和し、約 2.5mmの最終内径を供す るように商業的に入手できる 3.0mmの薄壁GORE-TEX(登録商標)血管移植片(W.L .Gore & Associates,Inc.,Flagstaff,AZ)にそで通しして、そして 0.2Mのソ レンソンのリン酸緩衝液(pH7.0)中の 2.5%のグルタ ルアルデヒド溶液を27.6kPa で2時間灌流した。固定後、スリーブを外し、血管 切片の先端をトリーミングし、そしてその切片を残留グルタルアルデヒドを除く ために全部で30分間かけて500mlの無菌食塩水(2回交換)の中ですすいだ。処 理した動脈切片を移植するまで無菌標準食塩水の中で保存しておいた。コントロ ールの動脈切片も同様に処理したが、ただし CH3Cl3/CH3OH 抽出にはかけなか った。 本発明及びコントロールの移植片を成犬グレイハウンドの腕動脈の中に試験対 として移植し、ここで一方の腕動脈には本発明の抽出ウシ試験移植片を受容させ 、そして反対側の動脈には無抽出コントロール移植片を受容させた。長さ 2.5cm の移植片を標準の端々吻合外科技術を利用して移植した。抗凝血剤又は抗血小板 剤は全く投与しなかった。各犬を、ドップラー超音波二重スキャナーを用い、最 初の2週間は毎日、そしてその後は毎週一回追跡した。開存性の状態を確認する ために対照血管造影を定期的に利用した。移植片を術後 393日目で露出させ、そ して移植位置から距離を置いて動脈を切開することにより開存性を試験した。両 移植片共開存していることが見い出された。コントロールの無抽出ウシ移植片は 重度に鉱化しており、切開後の管腔上に縦長の亀裂があることが認められた。本 発明の抽出ウシ試験移植片には、顕著な、又は顕微鏡観察されるようなカルシウ ム沈着がなかった。従って、クロロホルム及びメタノール処理は移植片壁のカル シウム沈着を、内皮下基質層の保存に影響を及ぼすことなく、抑制した。 例3 本例は、移植片のカルシウム沈着を防止又は抑制するためにクロロホルム及び メタノールの溶液で処理した本発明の保存内皮下基質層を有するドナー動脈が、 コントロールePTFE 移植片と比べて改善 された開存性を供することを実証する。 直径2〜3mmの末梢足動脈を雌牛から獲得し、そして例2に詳述のクロロホル ム及びメタノール抽出した本発明の移植片と同様に処理した。これらの移植片を 、コントロール移植片として内径 2.5mmの30μmのGORE-TEX(登録商標)延伸膨 張PTFEチューブ(W.L.Gore & Associates,Inc.,Flagstaff,AZ)を用いて試験対 としてグレイハウンドの腕動脈の中に移植した。 本例におけるコントロールのために用いた内径 2.5mmのePTFE チューブは、引 用することで本明細書に組入れるGoreに付与された米国特許第3,953,566 号に教 示の通り、CD123 微粉末PTFE樹脂(ICI Americas)より構築された。これらのチュ ーブを約30μmの平均フィブリル長となるように伸長により延伸膨張した。最終 チューブは約 2.5mmの内径及び約0.33mmの壁厚を有した。 上記の通りに製造した多孔質延伸膨張PTFEチューブのフィブリルの長さは、延 伸方向においてフィブリルにより接続された結節間の10回の測定値の平均として 本明細書において定義する。10回の測定は以下のようにして行なう。第1に、サ ンプル表面の代表的な部分の顕微鏡写真を、写真の縦方向においてフィブリルが 連続して少なくとも5本示されるのに適当な倍率で作製する。顕微鏡写真の縦方 向を横断する2本の平行線を引いてその写真を3等分の領域に分割し、それらの 線は延伸方向及びフィブリルの配向方向に対して平行な方向に引かれる。左側か ら右側にかけて測定して、写真の上部の線分に沿って、写真の左端付近の線分と 交差する最初の結節から始め、線分と交差する連続している結節へと続けてフィ ブリル長の5回の測定を行った。別の線分に沿って更に5回の測定を、写真の右 手側の線分を交差する最初の結節から始め、右側から左側に向って行った。この 方法により得た10回の測定値を平均して、この材料の フィブリル長を得た。 一方の腕動脈には抽出ウシ発明移植片を受容させ、そして他方の動脈は30μm のePTFE コントロール移植片を受容させた。長さ 2.5cmの移植片を標準の端々吻 合外科技術を利用して移植した。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投与しなかった 。各犬を、ドップラー超音波二重スキャナーを利用して、術後の最初の2週間は 毎日、そしてその後は毎週一回追跡した。不明瞭な超音波結果の場合には開存状 態を確認するために対照血管造影も採用した。1ケ月目において、抽出ウシ発明 移植片は5例のうち3例(3/5)において開存しており、そして合成ePTFE コ ントロール移植片は5例のうち1例(1/5)が開存していることが見い出され た。まとめると、内皮下基質層の保存並びにクロロホルム及びメタノール処理に よるカルシウム沈着の抑制はコントロールePTFE 移植片と比べて改善された開存 性を供する。 例4 本例は、本発明の保存内皮下基質層を有するドナー移植片が保存内皮を有する 商業的に入手できる移植片と比べて改善された開存性を供することを実証する。 直径4〜5mmの末梢足動脈を雌牛から獲得し、そしてクロロホルム及びメタノ ール抽出した本発明の移植片に対して例2に記載の通りに処理したが、ただしそ れらは約 5.0mmの最終内径を供するように6mmのスリーブチューブの中でグルタ ルアルデヒドにより加圧固定した。この処理の結果得られた物は、内皮細胞は有 さないが、無傷の保存内皮下基質層を有する移植片である。これらの発明移植片 を、コントロール移植片を担うBiocor Industria E Pequisas LTDA(ブラジル) より製造されたウシ由来の商業的に入手できる 5.0mmの移植片と移植研究におい て比較した。Biocor移植片はグルタルア ルデヒド固定にもかけたが、しかしSEM 観察では、移植片の管腔表面上に存在し ている均質なドナー内皮が示された。使用前に、双方の移植片を無菌食塩水を何 回か交換して洗い、そして移植するまで無菌標準食塩水の中で冷蔵保存した。 標準の端々吻合外科技術を利用し、長さ 4.0cmの双方の移植片を6匹の成犬グ レイハウンドの大腿動脈に試験対として移植した。各犬の一方の大腿動脈にはBi ocorウシ移植片を移植し、そして反対側の動脈には上記の通りに処理した発明移 植片を受容させた。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投与しなかった。各犬を、ド ップラー超音波二重スキャナーを用い、最初の2週間は毎日、そしてその後は毎 週一回追跡した。対照血管造影も不明瞭な超音波結果の場合の開存状態を調べる ために採用した。1ケ月目において、内皮細胞のない無傷の内皮下基質層を有す る抽出ウシ発明移植片は6例のうち3例(3/6)において開存しており、一方 無傷の内皮を有するコントロールのBiocorウシ移植片は6例のうち0例(0/6 )において開存していた。まとめると、発明移植片の保存内皮下基質層は、保存 内皮細胞層を有する商業的に入手できる生物移植片と比べて改善された開存性を 供する。 例5 本例は、本発明の保存内皮下基質層を有するドナー移植片は、汎用の界面活性 剤処理により内皮細胞層の除去されたドナー移植片と比べて改善された開存性能 を供することを実証する。 一対の動脈をドナー犬から取り出し、15%のDMSO/HBSSに入れ、そして液体窒 素の中で保存した。処理のため、移植片対を融解し、HBSSの中ですすぎ、そして 切開により外膜を除去した。その対の一方の血管を本発明に開示の通りに処理し て、保存内皮下基質層を有するドナー移植片とした。他方の血管は引用すること で本明細書に 組入れるKlement らに付与された米国特許第4,776,853 号の教示に従い、且つ以 下に概略してある通りに処理して、移植片から内皮細胞層の除去されたドナー移 植片にした。 本発明の発明移植片は、動脈切片を0.25MのNH4OH の中に1分入れてドナー内 皮が確実に失われるようにし、次いでHBSSの中ですすぐことにより調製した。次 の処理において、動脈切片をCHCl3/CH3OH(2:1 v:v)の溶液の中で約30 分浸漬して移植後のカルシウム沈着が阻害されるようにした。この処理の際、管 腔を定期的に新鮮な溶液でフラッシングした。移植片切片をHBSSの中で再水和さ せ、3.0mmの薄壁GORE-TEX(登録商標)血管移植片(W.L.Gore & Associates,Inc .,Flagstaff,AZ)でそで通ししてその後の加圧固定処理の際に管腔が約2.5mm に保たれるようにし、次いで有刺継手に取り付けた。次いで移植片血管を 0.2M のソレンソンのリン酸緩衝液(pH7.0〜7.2)中の0.25%(v/v)のグルタルアル デヒドを用いて27.6kPa の圧力において2時間加圧固定した。加圧固定後、動脈 移植片切片をスリーブから抜き出し、そして0.25%のグルタルアルデヒド溶液の 中で更に8〜24時間固定した。最終処理において、動脈移植片切片をグルタルア ルデヒド溶液から取り出し、標準食塩水の中で数回すすぎ、そして滅菌標準食塩 水の中で4℃で使用時まで保存した。 コントロール移植片は融解ドナー動脈対の他方の切片を用い、そしてKlement らに付与された米国特許第4,776,853 号のExample 1に記載の方法にかけること によって調製した。詳しくは、大動脈片をまず10mMのトリス緩衝液の中で4℃で 24時間インキュベートし(容量で 100:1の溶液:血管)、次いで1%のトリト ンX−100 界面活性剤の中で4℃で24時間(同じ容量比)インキュベートした。 次に切片を 100:1の容量の精製無菌水で3回洗い、そしてHBSS/ 10mMのHEPES 及び50U/mlのペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)の中で37 ℃で45分ゆらしながらインキュベートした。更なる加工処理において、その切片 をRNase A 及びDNase I(共にSigma Chemical Company,St.Lonis,MO より獲得 )酵素処理に 4.5時間ゆらしながらかけ、そして精製水の中で再び洗った。次い でその切片を1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液の中で24時間室温でイン キュベートし、そして100:1の容量の精製無菌水の中で(3回交換)24時間か けて洗った。血管を 100U/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを有するHBSS /10mMのHEPES の中で4℃で使用時まで保存した。このコントロール移植片の処 理は実質的に全ての内皮細胞を除去する。 各説明の一血管を成犬グレイハウンドの腕動脈に移植し、ここで一方の腕動脈 には上記の通りに処理した発明移植片を受容させ、そして反対側の腕動脈には上 記のコントロール移植片を受容させた。長さ 2.5cmそして直径 2.5mmの移植片を 標準の端々吻合外科技術を利用して移植した。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投 与しなかった。犬を、ドップラー超音波二重スキャナーを用い、術後の最初の2 週間は毎日、そしてその後は毎週一回追跡した。コントロール移植片は術後4日 目までに閉塞しており、一方本発明の発明移植片は開存のままとなっていること が見い出された。これは術後14日目での対照血管造影により更に立証された。移 植片を移植後1ケ月目において取り出し、そして移植片の開存状態は移植位置か ら距離を置いてホストの動脈を切断し、そして血流を検定することにより立証さ れた。発明移植片は1ケ月目において広く開存状態であり続け、そして血栓沈着 物がほとんどないことが見い出された。コントロール移植片は、より初期に立証 された通り、閉塞しており、そして吻合は有機組織で充填されていることが見い 出され、長期間の閉塞が示 唆された。従って、内皮細胞層を除去するためのコントロール生物移植片の上記 の界面活性剤処理は、保存内皮下基質層を有する発明移植片に関して観察された 改善された開存性能と比べ、開存性に対してネガティブな効果を有する。 例6 上記の例5に加え、本例は、脱内皮界面活性剤で処理したドナー移植片の開存 性能を本発明の保存内皮下基質層を有するドナー移植片の開存性能と比較する追 加の実験を示す。本実験においては、同種異系動脈を4匹の成犬グレイハウンド の大腿動脈に移植した。移植するつもりの動脈対はドナー犬から獲得した頸動脈 とした。各対の一方の動脈を発明移植片として選び、そして上記の例5における 発明移植片について詳述した通りに処理したが、ただし移植片は内径4.0mm 及び 長さ4.0cm のものとした。他方の動脈はコントロール移植片として選び、そして 上記の例5に記載のコントロール移植のように処理した。これらの移植片対を各 犬の大腿動脈に片側に一つづつ移植し、これにより各犬は2つの移植片タイプの 直接対比がなされるようにしてある。1ケ月目に、移植片を外科的に露出させ、 そして移植位置から距離を置いて動脈を切開することにより開存性について試験 した。発明移植片の4例のうちの4例(4/4)は開存のままであり、一方コン トロール移植片の4例のうち2例(2/4)が開存していることが見い出された 。コントロール移植片は、除去の際に移植片が裂けた場合、4例のうち2例(2 /4)において機械保全性が失われていることが更に見い出された。移植片の壁 は移植時よりもはるかに弱まっていることが見い出された。即ち、生物移植片の 界面活性剤処理は発明移植片により観察された改善された開存性と比べ、開存性 に対してネガティブな効果を有する。 例7 非イオン性界面活性剤トリトンX−100 は数多くの特許及び公開物において動 脈処理の加工処理に利用されている。例えば、Brendel らに付与されている米国 特許第4,801,299 号及びKlement らに付与された同第4,776,853 号を参照のこと 。本発明におけるその有効性を以下の通りにして試験した。 末梢足動脈を上記の例2に記載の通りにして雌牛から獲得した。そのサイズは 約2〜3mmの内径を供するように選んだ。切開後、血管の管腔表面を風乾してド ナー内皮の除去を確実とした。動脈をプールし、次いで試験血管グループ又はコ ントロール血管グループへとランダムに割り当てた。試験血管は1%のトリトン X−100 の中で42時間抽出した。コントロール血管はトリトンX−100 界面活性 剤で抽出しなかった。双方の血管を以下の各溶液の中で2時間すすいだ:食塩水 、12%のエタノール、そして再び食塩水。双方の血管を有刺継手に装着し、3mm のePTFE チューブでそで通しして 2.5mmの最終内径となるようにし、そして 0.2 Mのソレンソンのリン酸緩衝液(pH7.0)中の 2.5%のグルタルアルデヒド溶液で 2時間、27.6kPa の圧力において加圧灌流した。固定後、血管を滅菌食塩水中で すすぎ(2回交換)、そして移植に必要とされるまで4℃で無菌標準食塩水の中 で保存した。コントロール移植片を発明移植片と同様に処理したが、ただしトリ トンX−100 内皮細胞抽出工程は抜きとした。 標準端々吻合外科技術を利用し、長さ 2.5cmの双方の移植片タイプを試験対と して7匹の成犬グレイハウンドの腕動脈に移植した。各犬の一方の腕動脈にはト リトンX−100 試験移植片を受容させ、そして反対側の動脈には無抽出コントロ ール移植片を受容させた。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投与しなかった。各犬 を、ドップラー超音波二重スキャナーを用い、最初の2週間は毎日、そしてその 後は毎週一回追跡した。対照血管造影も問題のある超音波結果の場合に開存状態 を調べるために採用した。術後3週目において、界面活性剤抽出試験移植片の7 例のうち0例(0/7)が開存しており、一方無抽出コントロール移植片は7例 のうち5例(5/7)において開存していた。従って、生物移植片のトリトンX −100 抽出は本発明の開存性能に対してネガティブな効果をもたらした。 例8 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は非共有結合を破綻することによりタンパク質 を変性させる陰イオン界面活性剤である。SDS の利用は移植するつもりのいくつ かの組織調製品において述べられている。例えば、Brendel らに付与された米国 特許第4,801,299 号;Klement らに付与された同第4,776,853 号;Lentz らに付 与された同第4,323,358 号;及びDewanjeeに付与された同第4,553,974 号がある 。本発明の開存性能に及ぼすSDS の効果を本例において実証する。 数対の頸動脈切片をグレイハウンド犬から獲得し、そして内皮細胞を例1の通 りに除去した。次いで動脈切片を15%のDMSO/HBSSの中で凍結保存した。融解後 、外膜を除去し、そして各対の一方の動脈をSDS 抽出による試験のために選んだ 。各対由来の他方の動脈はコントロール動脈を担った。試験切片を有刺継手上に 装着し、水中の4%(w:v)のSDS を充填し、そしてこの溶液に浸しながら27 .6kPa に加圧した。この試験切片を約 100mlのSDS 溶液の中に浸しながら20時間 抽出した。試験切片の管腔の中の溶液は抽出の最初の3時間にわたって1時間毎 に交換した。抽出後、試験切片を蒸留水でよくすすいで残留SDS を除去した。次 に試験及びコントロール動脈切片の双方を 3.0mmのePTFE チューブに入れて約 2 .5mmの最終内径となるようにし、そして有刺継手を再び取り付けた。次いで動脈 切片の双方をソレンソンのリン酸緩衝液(pH7.0)中の 2.5%のグル タルアルデヒドにより27.6kPa の圧力において2時間灌流した。固定後、双方の 切片を無菌標準食塩水の中ですすぎ(2回交換)、そして移植のために必要とさ れるまで4℃において無菌標準食塩水の中で保存した。従って、この無抽出コン トロール移植片はSDS 抽出処理を除き、試験移植片と同じようにして調製した。 試験及びコントロール動脈の開存性能を移植研究において比較した。標準の端 々吻合外科技術を利用し、長さ 2.5cmの双方の移植片を5匹の成犬グレイハウン ドの腕動脈の中に試験対として移植した。各犬の一方の腕動脈にはSDS 抽出試験 移植片を受容させ、そして反対側の動脈にはSDS 抽出抜きで処理した無抽出コン トロール移植片を受容させた。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投与しなかった。 各犬を、ドップラー超音波二重スキャナーを用い、最初の2週間は毎日、そして その後は毎週一回追跡した。定期的な対照血管造影も開存状態を確認するために 利用した。5例のうちの4例(4/5)において、SDS 抽出試験移植片は術後1 日目において閉塞していた。3ケ月目において、無抽出コントロール移植片の5 例のうち4例(4/5)は開存しており、一方SDS 抽出試験移植片の5例のうち 1例(1/5)のみが開存性していた。6ケ月目においては、無抽出コントロー ル移植片の5例のうち3例(3/5)が開存しており、一方SDS 抽出試験移植片 の5例のうち0例(0/5)が開存していた。まとめると、試験移植片のSDS 抽 出は本発明に従って調製した移植片の開存性能に対してネガティブな効果を有し た。 例9 タンパク質分解酵素フィシンをドナー組織の潜在的に免疫原性である部分を消 化するために用いた。組織、特に移植するつもりである血管を処理するためのこ の酵素の利用は商業ベースで実施されており、そして以下の米国特許に記載され ている。即ちRosenberg に 付与された第2,900,644 号;Sawyerに付与された第3,927,422 号;Fraefel らに 付与された第4,383,832 号;Miyataに付与された第4,098,571 号;及びSchmitz に付与された第4,083,066 号である。本発明に従って調製したドナー動脈組織に 対するフィシン消化の効果を本例において実証する。 数対の頸動脈切片をドナーグレイハウンド犬から取り出し、15%のDMSO/HBSS を含むバイアルに入れ、そして次の処理まで液体窒素下で凍結保存した。処理の 際、各バイアルを37℃の湯浴の中で融解し、標準食塩水の中ですすぎ、そして切 開により外膜を除去した。各対の一方の動脈を試験グループに割り当て、そして 他方の動脈をコントロールグループに割り当てた。 フィシン処理した試験動脈切片はリン酸−クエン酸緩衝液(pH7.4)中の1%の フィシン溶液の中での37℃で3時間のインキュベーションにより処理した。次い で動脈切片を1%の亜塩素酸ナトリウムの中に18時間入れて任意の吸着フィシン を失活させ、次いで標準食塩水中ですすいだ。次いで試験及びコントロール動脈 切片を 3.0mmのePTFE チューブでそで通しし、有刺継手を取り付け、そしてその 切片を 0.2Mのソレンソンのリン酸緩衝液(pH7.0)中の 2.5%のグルタルアルデ ヒドにより27.6kPa で2時間加圧固定した。固定後、双方の切片を滅菌食塩水の 中ですすぎ(2回交換)、そして移植のために必要とされるまで無菌標準食塩水 の中で4℃で保存した。未処理のコントロール移植片は、フィシン及び亜塩素酸 ナトリウム処理を除き、試験移植片と同じようにして調製した。 これらの血管対を9匹の成犬グレイハウンドの腕動脈に移植した。各対は一匹 の犬の腕動脈に移植し、その犬における2通りの処理の直接対比ができるように した。長さ 2.5cmの移植片対を標準の端々吻合外科技術を利用して移植した。各 犬に 150U/kgのナトリウ ムヘパリンを、第一動脈をクランピングする前に与えた。移植後、全ヘパリン用 量を硫酸プロタミンに置き換えた。術後2週目において、各腕移植片対を外科的 に露出させ、そして移植位置から距離を置いて動脈を切開することにより開存性 を試験した。フィシン処理した試験移植片は9例のうち0例(0/9)が開存し ており、一方未処理のコントロール移植片は9例のうち5例(5/9)が開存し ていた。即ち、血管の酵素処理は開存性を破綻させるネガティブな効果を供した 。 例10 ある状況においては、ドナー血管の外径を小さくすることが所望される。本例 は、より良い取扱い特性を有し、しかも本発明の保存内皮下基質層の改善された 開存性能を保持している薄壁移植片を提供するための、血管の外径を小さくする ようドナー血管の外部組織層をタンパク質分解酵素を用いて消化する加工処理を 示す。 雌牛の末梢肢を屠殺所から入手し、そして処理するまで−20℃で凍結保存した 。足を温水に浸すことにより融解後、正中動脈(前足)及び背側中足動脈(後足 )を切除し、そしてHBSSの中で血液をすすぎ洗いした。動脈を任意にコントロー ルグループ及び発明グループに分けた。切開によって動脈から外膜を除去し、そ して側枝を結紮した。内皮細胞を約5分間の気流、それに続くHBSS中での簡単な すすぎにより動脈の管腔表面から除去した。コントロール動脈を 0.2Mのトリス 緩衝液(pH7.5)の中に入れ、そして37℃で約6時間インキュベートした。発明動 脈をカルシウム・マグネシウム非含有HBSS中のエチレンジアミン四酢酸(EDTA; 5mg/ml)で充填し、末端を封じ、そして33ユニット/mlのコラゲナーゼを含む 0.2Mのトリス緩衝液(pH7.5)の中に浸した。次いで本発明動脈をコラゲナーゼ 溶液の中で37℃で約6時間インキュベートした。この処理の効果は 、内皮下基質層をそのまま残しながら動脈から外膜及び中膜部分を酵素的に除去 することにあった。インキュベーション後、コントロール及び発明動脈の双方を HBSSの中ですすぎ、有刺注射器継手上に取り付け、そして 3.5mmのGORE-TEX(登 録商標)血管移植片(W.L.Gore & Associates,Inc.,Flagstaff,AZ)でそで通し した。0.2Mのソレンソンのリン酸緩衝液(pH7.0〜7.5)中の 2.5%のグルタルア ルデヒドを用いて動脈を約27.6KPa において2時間加圧固定し、内径約2〜3mm の最終移植片を得た。固定後、動脈を無菌標準食塩水の中ですすぎ、そして使用 時まで無菌標準食塩水の中で4℃で保存した。GORE-TEX(登録商標)血管移植片 スリーブをそのままにしておいて動脈をそれぞれ移植した。 標準の端々吻合外科技術を利用し、一本のコントロール及び一本の試験移植片 を試験対として6匹のグレイハウンド犬の腕動脈に移植し、犬における移植片の 機能の直接対比が比較できるようにした。術後2週目において、コラゲナーゼ処 理した発明動脈の6例のうち3例(3/6)は開存しており、そして擬似消化(m ock digested)コントロール動脈の6例のうち2例(2/6)が開存していた。 従って、コラゲナーゼによる動脈中層の除去は、内皮下基質層がコラゲナーゼに より保護され、その結果保存されている限り、開存性を損うことがない。 例11 本発明の一態様おいて、内皮下基質層をドナー血管から取り除き、そして合成 材料製の人工血管の表面に適用して保存せしめた。本例はかかる補てつ物の開存 性能を示す。 商業的に入手できる4mm GORE-TEX(登録商標)血管移植片(W.L.Gore & Associa tes,Inc.,Flagstaff,AZ)をドナー雌牛大動脈由来の内皮下基質層の付加を通 じて改質せしめた。ドナー血管を屠殺所 から入手し、そして例2に前述したようにして使用時まで凍結した。縦方向切開 により切り開いた後、血管内膜表面をペーパータオルで静かにこすり、凍結融解 サイクルの後に残っている内皮細胞の除去を確実とした。次いで、メスの刃を用 い、ドナー血管の内膜表面を、内部弾性板を突き刺さないように気をつけながら 注意深くかき落とした。約 5.0cmの雌牛大動脈からこのようにして得た内皮下基 質を一本の 4.0mm× 5.0cmの発明移植片のために用いた。雌牛大動脈からのかき 落し物を約50mlのHBSSの中に懸濁し、そしてバーチ(Verti)−剪断ミキサーによ る約60秒のホモジナイゼーションにかけた。ホモジナイズした内皮下基質層を約 10分間放置して大きな塊を沈降させ、そしてホモジナイズ品の残りをデカンテー ションした。この懸濁物を使用の準備ができるまで注射器の中に入れておいた。 GORE-TEX(登録商標)血管移植片(W.L.Gore & Associates,Inc.,Flagstaff,A Z)を有刺継手上に取り付けた。ePTFE 血管移植片を 100%のエタノールで濡らし 、次いでエタノールをHBSSと交換した。内皮下基質層のかき落し物を含む注射器 からの試料の一部を移植片の気孔を通して押し込み、移植片の表面上に内皮下基 質を載せた。次いで内皮下基質層を保存させ、且つ無菌を確実なものとするため に、この移植片を 2.5%のグルタルアルデヒド溶液の中に2時間浸した。この移 植片を複数回の無菌食塩水の交換によりすすぎ、そして移植するまで無菌食塩水 の中で4℃で保存した。 本発明移植片を一頭の成犬グレイハウンドの頸動脈に移植した。内径 4.0mmの 移植片は犬の天然頸動脈に合う良好な直径であり、そして移植のために標準の端 々吻合外科技術を利用した。抗血小板剤は犬に全く投与せず、手術期間中のみ 1 00U/kgのヘパリンを投与した。移植の経過を対照血管造影及び二重超音波検査 を利用して追跡した。移植1ケ月目において、本発明移植片を外科的に露出させ 、そして移植位置から距離を置いて動脈を切開することにより開存性について試 験した。本発明移植片は開存していた。 例12 本例は、内皮下基質層の保存の前の脱内皮された同種異系動脈の管腔の水酸化 アンモニウム処理が、水酸化アンモニウムにより処理していない動脈と比べて改 善された開存性を示すことを例示する。 数対の頸動脈切片をドナーグレイハウンド犬から取り出し、HBSS中の15%のDM SOを含むバイアルに入れ、そしてその後の処理まで液体窒素下で凍結保存した。 処理の際、各バイアルを37℃の湯浴の中に融解するまで浸しておいた。各対の動 脈をバイアルから取り出し、標準食塩水の中ですすぎ、そして手動切開により外 膜を除去した。その血管を3−0号の絹製縫合糸を用いて有刺継手上に取付け、 そして約 2.5mmの最終内径を供するように 3.0mmの薄壁GORE-TEX(登録商標)血 管移植片(W.L.Gore & Associates,Inc.,Flagstaff,AZ)スリーブに収納した。 次に各対の両血管を気流(約1000cc/min)に5分間曝露して凍結保存−融解サ イクル後に残っている全ての内皮を除き、そして再びHBSSをフラッシングした。 気流にかけた動脈の代表的なサンプルの走査電子顕微鏡(SEM)観察は、天然内皮 のほとんどの消失、例えば80%より多くの消失、及び内皮下基質層の維持を確証 せしめた。各対の一方の動脈をNH4OH 処理のために選び、そして本発明移植片を 担った。これらの発明移植片それぞれを0.25MのNH4OH 溶液の中に1時間入れて おいた。各対の他方の動脈はコントロール移植片を担うように選び、そしてNH4O H 処理工程を除き同様に処理した。 再びこの数対の血管をHBSSですすぎ、0.2Mのソレンソンのリン酸緩衝液(pH7. 0〜7.2)中の 2.5%のグルタルアルデヒドに浸し、そしてその管腔の中にこの溶 液を27.6kPa で2時間押し込んでおいた 。無菌技術を利用し、ePTFE スリーブを除去し、動脈切片の先端をトリーミング し、血管を無菌標準食塩水の中でよくすすぎ、そして移植するまで無菌標準食塩 水の中で保存した。 これらのコントロール及び発明移植片を試験対として9匹の成犬グレイハウン ドの腕動脈に移植した。各対を同一の犬の腕動脈に移植し、各犬において血管の 直接対比が成されるようにした。長さ2.5cm、内径 2.5mmの血管移植片は成犬グ レイハウンド受容体の天然腕動脈に合う良好な直径であった。移植のために標準 の端々吻合外科技術を利用し、そして抗凝血剤又は抗血小板剤は犬に全く投与さ れなかった。各犬をドップラー超音波二重スキャナーを用い、最初の2週間は毎 日、そしてその後は毎週一回追跡した。対照血管造影も開存状態を確認するため に定期的に採用した。 術後2ケ月目において、NH4OH 処理した発明移植片は9例のうち4例(4/9 )において開存していることが確認され、一方コントロールの未処理移植片は9 例のうち1例(1/9)において開存していた。まとめると、本発明移植片は、 NH4OH 処理が、未処理の同種異系コントロール血管と比べ、たとえ双方ともドナ ー内皮が除去されているにしても、同種異系動脈移植体において改善された開存 性を供することを実証している。 例13 本例は、内皮下基質層を保存する前に脱内皮されたドナー動脈のクロロホルム 及びメタノール処理が、クロロホルム及びメタノールにより処理していない動脈 に比べて改善された開存性を示すことを例示する。 ウシの足切片を屠殺所から入手し、そして処理するまで−20℃で凍結保存した 。その足を温水の中に浸すことによって融解後、正中動脈(前足)及び背側中足 動脈(後足)を切除し、そしてHBSSの中 で血液をすすぎ落とした。約2〜3mmの内径を有する動脈切片を見きわめ、切開 により外膜を除去し、枝を結紮し、そして血管切片を有刺継手の上に取り付けた 。ドナー内皮の消失を確実とするため、各血管切片の管腔を約1000cc/min の気 流で約5分間風乾し、次いでHBSSにより簡単にフラッシングした。この切片の半 分を任意的に発明移植片に割り当て、そしてもう半分をコントロール移植片とし た。発明移植片をクロロホルム及びメタノール(CHCl3/CH3OH ; 2:1 v:v )の溶液に室温で約30分浸しておいた。発明移植片からこの溶媒を蒸発させ、そ してこの移植片を標準食塩水の中で約30分再水和させた。次いでこの血管を約2. 5mm の最終内径となるように商業的に入手できる3.0mm の薄壁GORE-TEX(登録商 標)血管移植片(W.L.Gore & Associates,Inc.,Flagstaff,AZ)にそで通しし、 そして 0.2Mのソレンソンのリン酸緩衝液(pH7.0)中の 2.5%のグルタルアルデ ヒド溶液により27.6kPa で2時間灌流した。固定後、スリーブを外し、血管切片 の先端をトリミングし、そして切片を 500mlの滅菌食塩水(2回交換)の中で全 部で30分すすいで残留グルタルアルデヒドを除去した。処理した動脈切片を移植 するまで無菌食塩水の中で4℃で保存した。コントロール動脈切片を、CHCl3/C H3OH 抽出にかけないことを除き、同様にして処理した。 本発明及びコントロール移植片を試験対として8匹の成犬グレイハウンドの腕 動脈に移植し、各犬の一方の腕動脈には本発明抽出移植片を受容させ、そして反 対側の動脈には無抽出コントロール移植片を受容させた。長さ2.5cm の移植片を 標準の端々吻合外科技術を利用して移植した。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投 与されなかった。各犬をドップラー超音波二重スキャナーを用いて最初の2週間 は毎日、そしてその後は毎週一回追跡した。対照血管造影も開存状態を確認する ために定期的に採用した。術後1ケ月目において、C HCl3/CH3OH 抽出にかけた本発明移植片は8例のうち5例(5/8)において開 存していることが確認され、一方コントロール移植片は8例のうち1例(1/8 )において開存していた。即ち、クロロホルム及びメタノール処理はコントロー ルに比べて本発明移植片の改善された開存性をもたらした。 例14 本例は、例13に記載の2.5mm の最終内径の移植片と比較した4.0mm の最終内径 を有するドナー動脈を用いての、例13において前述したクロロホルム及びメタノ ール処理による改善された開存性を実証する。 直径4〜5mmの末梢足動脈を雌牛から獲得し、そして例13に記載の通りに処理 したが、ただしそれらは約4.0mm の最終内径を供するように5.0mm のスリーブチ ューブの中でグルタルアルデヒドにより加圧固定した。ここでも、発明及びコン トロール切片をクロロホルム及びメタノール抽出処理を除き、同じようにして処 理した。 標準の端々吻合外科技術を利用して、長さ4.0cm の双方の移植片を試験対とし て7匹の成犬グレイハウンドの大腿動脈に移植した。各犬の一方の大腿動脈には 無抽出コントロール移植片を移植し、そして反対側の動脈には本発明の抽出移植 片を受容させた。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く投与しなかった。各犬ともドッ プラー超音波二重スキャナーを用いて最初の2週間は毎日、そしてその後は毎週 一回追跡した。問題のある超音波結果の場合には開存状態を決定するために対照 血管造影も採用した。1ケ月目において、本抽出発明移植片は7例のうち5例( 5/7)において開存しており、一方無抽出コントロール移植片は7例のうち2 例(2/7)において開存していた。例13と同様、CHCl3/CH3OH 有機溶媒によ る抽出は改善された開存性をもたらした。 例15 以下の例は2通りの例の実験において犬の動脈移植片として用いた豚の動脈の 性能を例示する。第1の実験においては、1組の試験脱内皮豚動脈をグルタルア ルデヒド処理のみによって処理した。第2の実験においては、別の組の発明脱内 皮豚動脈を例12及び13に記載の通りにして本発明に従って処理し、次いで本例の 第1実験において採用するグルタルアルデヒド処理にかけた。この2通りの実験 においては、双方の組の豚動脈を同一の直径のePTFE移植片と比較している。 第1の実験においては、内径約2〜3mmの頸動脈切片を豚から獲得し、HBSS中 の15%のDMSOのバイアルに入れ、そして処理するまで−70℃で凍結した。温水に 浸すことによって融解後、各血管の外膜を切開により除去した。各切片を約2.5m m の最終固定化内径を供するように3.0mm のスリーブの中に挿入した。この外ス リーブの中に収められている血管を有刺継手の上に取り付けた。上記の凍結保存 −融解サイクルの後にドナー内皮がないことを確実とするため、各血管の管腔を 約1000cc/min の気流で5分間風乾し、次いでHBSSで簡単にフラッシングした。 血管に 4.4g/リットルのNaCl及び 2.6g/リットルのMgCl26H2Oを含む20mM のHEPES 中の0.25%(v:v)のグルタルアルデヒド溶液を2時間27.6kPa にお いて灌流させた。加圧固定の後、スリーブを外し、そして試験移植片を0.25%の グルタルアルデヒド溶液の中に更に8〜24時間入れておいた。グルタルアルデヒ ド処理から取り出した後、この移植片をよくすすぎ、そして少なくとも24時間4 ℃において標準食塩水の中で保存した。外科挿入の前、各移植片を30U/mlのヘ パリンを含む食塩水溶液に少なくとも8時間入れ換えておいた。 移植の際、処理したブタの試験動脈移植片それぞれを長さ2.5cmにトリミング した。これらの移植片の一方を7匹の成犬グレイハウンドの一方の腕動脈の中に 移植した。各犬の反対側の腕動脈においては、コントロール移植片を移植した。 コントロール移植片は例3に記載の2.5cm の長さの2.5mm のePTFE チューブとし た。即ち、2つの移植片タイプを一匹の犬の中に試験対として移植した。移植片 は標準の端々吻合外科技術を利用して移植した。抗凝血剤又は抗血小板剤は全く 投与しなかった。各犬をドップラー超音波二重スキャナーを用い、最初の2週間 は毎日、そしてその後は毎週一回追跡した。対照血管造影も開存状態を確認する ために定期的に採用した。術後1ケ月目において、処理したブタの移植片は7例 のうち1例(1/7)において開存しており、一方コントロールePTFE 移植片は 7例のうち0例(0/7)が開存していた。 本例の第2の実験においては、ブタ動脈を第1の実験のそれと同じように処理 したが、ただし例12及び13にそれぞれ前述した本発明の処理に更にかけた。本発 明ブタ移植片をそれぞれHBSS中の15%のDMSOのバイアルにまず保存し、そして処 理するまで液体窒素下で凍結保存した。外膜の除去後、各移植片を0.25MのNH4O H 溶液の中に約3分入れておき、そして例12に記載の通りにしてHBSSの中ですす いだ。例13と同様に、発明移植片をクロロホルム及びメタノール(CHCl3/CH3OH ; 2:1 v/v)の溶液の中で室温で約30分浸しておいた。移植片から残留ク ロロホルム及びメタノール溶媒を蒸発させた後、抽出した移植片それぞれをHBSS の中で約30分再水和させ、そして固定後約2.5mm の最終直径を供するように直径 3.0mm のスリーブの中に入れた。次いで血管に 4.4g/リットルのNaCl及び 2.6 g/リットルのMgCl2・6H2Oを有する20mMのHEPES 緩衝液の中の0.25%(v:v )のグルタルアルデヒド溶液を2時間27.6kPa で灌流 させる。加圧固定後、スリーズを外し、そして移植片を0.25%のグルタルアルデ ヒド溶液の中に更に8〜24時間入れておいた。本例の第1の実験と同様に、これ らの移植片をよくすすぎ、そして標準食塩水の中で4℃で少なくとも24時間保存 し、次いで30U/mlのヘパリンを含む食塩水溶液に少なくとも8時間入れ換えて おいた。 本例の第1の実験と同様に、本発明ブタ移植片を成犬グレイハウンドにコント ロールePTFE 移植片との対比において試験対として移植した。腕での対の対比を 7匹の動物において行った。各犬をここでもドップラー超音波二重スキャナーで 追跡し、そして毎週一回対照血管造影にかけた。術後1ケ月目において、本発明 ブタ移植片は7例のうち4例(4/7)において開存しており、一方コントロー ルePTFE 移植片は7例のうち1例(1/7)において開存していた。本例は、本 発明の処理により供される増大した開存性能を例示することを担う。 本発明の特定の態様を本明細書の中で例示及び説明してきたが、本発明はかか る例示及び説明に限定されるべきものではない。変更及び改良は請求の範囲にお ける本発明の一部に組込まれ、且つ具体化されうることが明らかである。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年1月25日 【補正内容】 請求の範囲 1.血液接触材料であって: 支持体; 前記支持体に取り付けられた、ドナーの内皮細胞を実質的に含まない保存内皮 下基質層を含んで成る血液接触層; を含んで成り、ここで前記保存内皮下基質層は主要な血液接触表面を司ってい る、前記血液接触材料。 2.前記保存内皮下基質が硫酸コンドロイチンプロテオグリカン類、フィブロ ネクチン、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、グルコサミノ グリカン担持プロテオグリカン類及びエラスチンより成る群のうちの少なくとも 一種のタンパク質を含む、請求項1記載の血液接触材料。 3.前記の主要な血液接触表面が以下の工程: 内皮細胞層が付着した内皮下基質層の供与; 内皮細胞を実質的に含まない血液接触表面を生成するための前記内皮下基質層 からの内皮層の剥離; を通じて形成される、請求項1記載の血液接触材料。 4.剥離溶液による処理によって前記内皮下基質層から内皮層を剥離すること を更に含んで成る、請求項3記載の血液接触材料。 5.前記剥離溶液が水酸化アンモニウムである、請求項4記載の血液接触材料 。 6.前記内皮層を凍結−融解処理することにより内皮層を剥離することを更に 含んで成る、請求項3記載の血液接触材料。 7.前記内皮層を風乾処理することにより内皮層を剥離することを更に含んで 成る、請求項3記載の血液接触材料。 8.前記支持体が外側と内側とを有するドナー由来の管状血管を 含んで成り;そして前記血液接触表面が前記管状血管の内側を占めている;請求 項1記載の血液接触材料。 9.前記管状血管が動脈である、請求項8記載の血液接触材料。 10.前記管状血管が静脈である、請求項8記載の血液接触材料。 11.前記血管がカルシウム沈着を抑えるように処理されている、請求項8記載 の血液接触材料。 12.前記内皮下基質層が内皮下基質層を保存させるために固定剤により処理さ れている、請求項8記載の血液接触材料。 13.前記血管の外側がポリマー製さやにより包まれており、このさやは高分子 に対しては透過性であるが、細胞内成長に対しては抵抗性である、請求項8記載 の血液接触材料。 14.前記さやの材料がポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレ ート、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン及 びシロキサンより成る群のうちの少なくとも一種から選ばれる、請求項13記載の ポリマー製さや。 15.前記さやが延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含んで成る、請求項13 記載のポリマー製さや。 16.前記血管の少なくとも一部が平滑筋細胞を含んで成る、請求項8記載の血 液接触材料。 17.前記管状血管の外部を、その血管の外径を小さくし、しかもその内皮下基 質層が酵素作用から保護されるように酵素的に除去する、請求項8記載の血液接 触材料。 18.前記管状血管が動脈である、請求項17記載の血液接触材料。 19.前記管状血管が静脈である、請求項17記載の血液接触材料。 20.前記血管がカルシウム沈着を抑えるように処理されている、請求項17記載 の血液接触材料。 21.前記内皮下基質層がその内皮下基質層を保存させるために固 定剤により処理されている、請求項17記載の血液接触材料。 22.前記血管の外側がポリマー製さやにより包まれており、このさやは高分子 に対しては透過性であるが、細胞内成長に対しては抵抗性である、請求項17記載 の血液接触材料。 23.前記のさやの材料がポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタ レート、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン 及びシロキサンより成る群のうちの少なくとも一種から選ばれる、請求項22記載 のポリマー製さや。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AM,AT,AU,BB,B G,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK ,EE,ES,FI,GB,GE,HU,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,L V,MD,MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ, TT,UA,UZ,VN (72)発明者 スウィッツァー,アニタ ジェイ. アメリカ合衆国,アリゾナ 86018,フラ ッグスタッフ,ピー.オー.ボックス 2876,スプリング バレー ロード(番地 なし)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.血液接触表面であって: 支持体; 前記支持体に取り付けられた、ドナーの内皮細胞を実質的に含まない保存内皮 下基質層を含んで成る血液触層; を含んで成り、ここで前記保存内皮下基質層は主要な血液接触表面を司ってい る、前記血液接触表面。 2.前記保存内皮下基質が硫酸コンドロイチンプロテオグリカン類、フィブロ ネクチン、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、グルコサミノ グリカン担持プロテオグリカン類及びエラスチンより成る群のうちの少なくとも 一種のタンパク質を含む、請求項1記載の血液接触表面。 3.前記表面が以下の工程: 内皮細胞を実質的に含まない血液接触表面を生成するための前記内皮下基質層 からの内皮層の剥離; を通じて形成される、請求項1記載の血液接触表面。 4.剥離溶液による処理によって前記内皮下基質層から内皮層を剥離すること を更に含んで成る、請求項3記載の方法。 5.前記剥離溶液が水酸化アンモニウムである、請求項3記載の方法。 6.前記内皮層を凍結−融解処理することにより内皮層を剥離することを更に 含んで成る、請求項3記載の方法。 7.前記内皮層を風乾処理することにより内皮層を剥離することを更に含んで 成る、請求項3記載の方法。 8.前記支持体が外側と内側とを有する管状血管を含んで成り;そして前記血 液接触表面が前記管状血管の内側を占めている;請求 項1記載の血液接触表面。 9.前記管状血管が動脈である、請求項8記載の血液接触表面。 10.前記管状血管が静脈である、請求項8記載の血液接触表面。 11.前記血管がカルシウム沈着を抑えるように処理されている、請求項8記載 の血液接触表面。 12.前記内皮下基質層が内皮下基質層を保存させるために固定剤により処理さ れている、請求項8記載の血液接触表面。 13.前記血管の外側がポリマー製さやにより包まれており、このさやは高分子 に対しては透過性であるが、細胞内成長に対しては抵抗性である、請求項8記載 の血液接触表面。 14.前記さやの材料がポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレ ート、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン及 びシロキサンより成る群のうちの少なくとも一種から選ばれる、請求項13記載の ポリマー製さや。 15.前記さやが延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含んで成る、請求項13 記載のポリマー製さや。 16.前記血管の少なくとも一部が平滑筋細胞を含んで成る、請求項8記載の血 液接触表面。 17.前記管状血管の外部を、その血管の外径を小さく、しかもその内皮下基質 層が酵素作用から保護されるように酵素的に除去する、請求項8記載の血液接触 表面。 18.前記管状血管が動脈である、請求項17記載の血液接触表面。 19.前記管状血管が静脈である、請求項17記載の血液接触表面。 20.前記血管がカルシウム沈着を抑えるように処理されている、請求項17記載 の血液接触表面。 21.前記内皮下基質層がその内皮下基質層を保存させるために固定剤により処 理されている、請求項17記載の血液接触表面。 22.前記血管の外側がポリマー製さやにより包まれており、このさやは高分子 に対しては透過性であるが、細胞内成長に対しては抵抗性である、請求項17記載 の血液接触表面。 23.前記のさやの材料がポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタ レート、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン 及びシロキサンより成る群のうちの少なくとも一種から選ばれる、請求項22記載 のポリマー製さや。 24.前記さやが延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含んで成る、請求項22 記載のポリマー製さや。 25.前記血管の少なくとも一部が平滑筋細胞を含んで成る、請求項17記載の血 液接触表面。 26.血液接触表面を製造する方法であって: 内皮下基質層に付着した内皮細胞を含んでいるドナーの血管を用意する; 内皮細胞を除去し、しかも内皮下基質層はそのまま残るように前記血管を処理 する; 前記内皮下基質層を保存させるために前記血管を処理する; 器具における直接血液接触表面として前記内皮下基質層を利用する; ことを含んで成る方法。 27.前記血管の外径を小さくするように前記ドナーの血管を処理することを更 に含んで成る、請求項26記載の方法。 28.タンパク質分解酵素により前記血管の外径を小さくし、しかもこのタンパ ク質分解酵素から前記内皮下基質層を保護するために前記ドナー血管を処理する ことを更に含んで成る、請求項27記載の方法。 29.前記血管の外径を小さくするために、前記ドナー血管をコラ ゲナーゼ、パパイン、トリプシン、キモトリプシン及びエラスターゼより成る群 から選ばれる少なくとも一種のタンパク質分解酵素により処理することを更に含 んで成る、請求項28記載の方法。 30.人工血管を含んで成る器具として前記内皮下基質層を採用し、そして前記 血管の外側をさやで包む; ことを更に含んで成る請求項26記載の方法。 31.前記人工血管に至る及びそれからの、前記さやの厚みを横断する高分子の 通過を可能とし、しかも移植されたときに前記人工血管のまわりの組織からの細 胞の内成長に抵抗する材料を含んで成るさやを採用することを更に含んで成る、 請求項30記載の方法。 32.カルシウム沈着を防ぐために前記血管を処理することを更に含んで成る、 請求項26記載の方法。 33.カルシウム沈着を防ぐために前記血管をクロロホルム及びメタノールの溶 液により処理することを更に含んで成る、請求項32記載の方法。 34.前記内皮下基質層を保存させるために前記血管を固定溶液により処理する ことを更に含んで成る、請求項26記載の方法。 35.前記内皮下基質層を保持させるために前記血管をエタノール溶液により処 理することを更に含んで成る、請求項34記載の方法。 36.前記内皮下基質層を保存させるために前記血管をグルタルアルデヒド溶液 により処理することを更に含んで成る、請求項34記載の方法。 37.直接血液接触表面を製造する方法であって: 内皮下基質層に付着した内皮細胞層を含む天然血液接触表面を用意する; 前記内皮下基質層がそのまま残るようにこの内皮下基質層から内皮細胞層を剥 離する; 前記内皮下基質層を保存させるために前記血液接触表面を処理する; 直接血液接触表面として、内皮細胞を実質的に含まない保存内皮下基質層を採 用する; ことを含んで成る方法。 38.人工血管の直接血液接触表面として保存内皮下基質層を採用する;そして 前記人工血管をさやで包む; ことを更に含んで成る請求項37記載の方法。 39.高分子に対して透過性であるが、細胞内成長に対しては抵抗性である多孔 質ポリテトラフルオロエチレン材料をさやとして用意することを更に含んで成る 、請求項38記載の方法。 40.カルシウム沈着を防ぐために前記血管を処理することを更に含んで成る、 請求項37記載の方法。 41.カルシウム沈着を防ぐために前記血管をクロロホルム及びメタノールの溶 液により処理することを更に含んで成る、請求項40記載の方法。 42.前記内皮下基質層を保存させるために前記血管を固定溶液により処理する ことを更に含んで成る、請求項37記載の方法。 43.前記内皮下基質層を保存させるために前記血管をエタノール溶液により処 理することを更に含んで成る、請求項42記載の方法。 44.前記内皮下基質層を保存させるために前記血管をグルタルアルデヒド溶液 により処理することを更に含んで成る、請求項42記載の方法。 45.前記血管の外径を小さくするために前記ドナー血管を処理することを更に 含んで成る、請求項37記載の方法。 46.タンパク質分解酵素により前記血管の外径を小さくし、しか もこのタンパク質分解酵素から前記内皮下基質層を保護するために前記ドナー血 管を処理することを更に含んで成る、請求項45記載の方法。 47.前記血管の外径を小さくするために、前記ドナー血管をコラゲナーゼ、パ パイン、トリプシン、キモトリプシン及びエラスターゼより成る群から選ばれる 少なくとも一種のタンパク質分解酵素により処理することを更に含んで成る、請 求項46記載の方法。 48.患者に直接血液接触表面を供与する方法であって: ドナーに由来し、且つ内皮細胞を実質的に含まない内皮下基質層を用意する; 移植可能器具に前記内皮下基質層を取り付ける、ここでこの内皮下基質層は前 記器具において直接血液接触表面を構成する; 前記内皮下基質層を保存する;そして 前記器具を前記患者に移植する; ことを含んで成る方法。 49.前記内皮下基質層を保存させるために前記器具を固定溶液により処理する ことを更に含んで成る、請求項48記載の方法。 50.前記内皮下基質層を保存させるために前記器具をエタノール溶液により処 理することを更に含んで成る、請求項49記載の方法。 51.前記内皮下基質層を保存させるために前記器具をグルタルアルデヒド溶液 により処理することを更に含んで成る、請求項49記載の方法。 52.改善された開存性能を有する直接血液接触表面を製造する方法であって: 内皮下基質層に付着した内皮細胞層を含んでいる天然血液接触表面を用意する ; 前記内皮下基質層がそのまま残るように前記内皮下基質層から前 記内皮細胞層を剥離する; 開存性を改善するために前記内皮下基質層を処理する; 前記内皮下基質層を保存するために前記内皮下基質層を処理する; 直接血液接触表面として、内皮細胞を実質的に含まない保存内皮下基質層を採 用する; ことを含んで成る方法。 53.開存性を改善するために前記内皮下基質層を水酸化アンモニウム溶液によ り処理することを更に含んで成る、請求項52記載の方法。 54.開存性を改善するために前記内皮下基質層をクロロホルム及びメタノール の溶液により処理することを更に含んで成る、請求項52記載の方法。 55.人工血管であって、 ドナーの血管から抽出され、且つ保存された天然内皮下基質層、ここでこの保 存内皮下基質層は直接血液接触表面を司る;及び 前記保存内皮下基質層を包むさや、ここでこのさやは細胞内成長を防ぎ、しか もこのさやの厚みを高分子が通過できるものである; を含んで成る人工血管。 56.前記さやが高分子に対して透過性であり、且つ細胞内成長に対して抵抗性 である多孔質ポリマーを含む、請求項55記載の人工血管。
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