JPH09503671A - 不活性化ホルモン応答エレメントを有するデオキシリボ核酸 - Google Patents

不活性化ホルモン応答エレメントを有するデオキシリボ核酸

Info

Publication number
JPH09503671A
JPH09503671A JP7511985A JP51198595A JPH09503671A JP H09503671 A JPH09503671 A JP H09503671A JP 7511985 A JP7511985 A JP 7511985A JP 51198595 A JP51198595 A JP 51198595A JP H09503671 A JPH09503671 A JP H09503671A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
response element
seq
cystic fibrosis
cftr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7511985A
Other languages
English (en)
Inventor
エバート,カール・エム
ディトゥリオ,ポール
チェン,セン・ヒン
ミード,ハリー・エム
スミス,アラン・エドワード
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Genzyme Corp
Original Assignee
Genzyme Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Genzyme Corp filed Critical Genzyme Corp
Publication of JPH09503671A publication Critical patent/JPH09503671A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4712Cystic fibrosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメントと膜結合蛋白をコードしている核酸配列とからなるDNAを記載する。さらに該DNAを含有する治療組成物および細胞も記載する。本発明の他の態様は、対象に悪影響を与えないレベルで機能的な嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターが対象により産生されるように嚢胞性線維症を有する対象に有効量の該DNAを投与することを包含する嚢胞性線維症を有する対象の治療方法を包含する。さらに本発明は、細胞に悪影響を与えないレベルで各結合蛋白が産生されるように該DNAを細胞中に導入する方法、およびこの方法により製造される細胞に関する。本発明のさらなる他の態様は、ホルモン応答エレメントが機能的な種におけるホルモン応答エレメントの存在または不存在に関してDNAをアッセイする方法、および対象とする蛋白を産生するメスのトランスジェニック哺乳動物を選択的に育種する方法を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 不活性化ホルモン応答エレメントを有するデオキシリボ核酸関連出願 本願は、1990年3月5日出願の米国第07/488,307号の一部継続 出願である1990年9月27日出願の米国第07/589,295号の一部継 続出願である1990年11月15日出願の米国07/613,592号の継続 出願である1993年7月2日出願の同時係属出願米国第08/087,132 号に記載されている主題に関連する。さらに本願は、1992年12月2日出願 の米国第07/985,478号の一部継続出願である「嚢胞性線維症に対する 遺伝子治療」と題された1993年10月1日出願の同時係属出願である米国第 08/130,682号に記載されている主題、および1991年10月2日出 願の米国第07/770,204号の継続出願である1993年6月7日出願の 同時係属出願米国第08/088,416号に記載されている主題にも関する。 上記すべての同時係属特許出願の内容を参照により本明細書に取り入れる。本願 に示されていない言葉または用語の定義は同時係属出願において示されたものと 同じである。源が明示されていない本願実施例において使用されるすべての試薬 または材料、例えば、ΔF508 CFTR遺伝子およびCFTR抗体も同時係 属出願において説明されたものと同じである。発明の背景 嚢胞性線維症(CF)は、ヒトにおける最もありふれた致命的な遺伝子疾患で ある(ボート,ティー・エフ(Boat,T.F.)ら,「ザ・メタボリック・ベイシス・ オブ・インヘリッテッド・ディジージズ(The Metabolic Basis of Inherited D iseases)(スクイライバー,シー・アール(Scriver,C.R.)ら編,マクグロー− ヒル(McGraw-Hill),ニューヨーク(New York)(1989年))。米国におい て、2500人の乳児につき約1人が該疾患を有して誕生する。現在のところ、 米国には約30000人のCF患者がいる。現在の標準的な治療にもかかわらず 、平均生存年数はわずか26年である。肺の気道の疾患は罹患率の主要な原因で あり、死亡率のうちの95%の原因である。肺疾患の最初の発現は、しばしば、 咳であり、その後、進行性呼吸困難である。スタフィロコッカス(Staphylococc us)のコロニー形成、次いで、シュードモナス(Pseudomonas)を伴うコロニー 形成により、しつこい痰は化膿性となる。慢性気管支炎および気管支拡張症は現 在の治療により部分的に治療されるが、頻繁な肺疾患の再燃により経過は中断さ れる。疾患が進行するにつれ、患者の活力はどんどん弱まる。終期の肺疾患は、 低酸素血症、肺の高血圧、および肺性心により判明する。鼻および副鼻腔洞の上 部気道もCFにかかる。大部分のCF患者は慢性副鼻腔洞炎を生じている。鼻の ポリプは15〜20%の患者に起こり、生涯における2番目の10年間によく見 られる。CFにおいては胃腸の問題も頻発する。胎便イレウスにかかるかも知れ ない。吸収不良の徴候を生じる外分泌性膵不全はCF患者の大部分に存在する。 男性はほぼ画一的に受胎を起こさせるす能力に欠け、女性にいおては受胎能力が 低下している。 遺伝的および分子的分析により、CF関連遺伝子が21個の個々のcDNAク ローンの部分として単離され、その蛋白産物が推定された(ケレム,ビー・エス (Kerem,B.S.)ら(1989年)サイエンス(Science)第245巻:1073〜 1080頁;リオーダン,ジェイ・アール(Riodan,J.R.)ら(1989年)サイ エンス第245巻:1066〜1073頁;ロメンス,ジェイ・エム(Rommens,J .M.)ら(1989年)サイエンス第245巻:1059〜1065頁)。米国 第07/488,307号には、連続した鎖の中への該遺伝子の構築、機能性蛋 白としての該遺伝子の発現、およびCFが該遺伝子の変異によるものであるとい う確証が記載されている(グレゴリー,アール・ジェイ(Gregory,R.J.)ら(1 990年)ネイチャー(Nature)第347巻:382〜386頁;リッチ,ディ ー・ピー(Rich,D.P.)ら(1990年)ネイチャー第347巻:358〜36 2頁も参照)。同時係属特許出願にも、野生型であって変異バージョンでない当 該cDNAから発現される蛋白が、CFの特徴であると以前示されていた cAMPにより調節される塩化物チャンネルの欠損を補ったことを示す実験が開 示されている。 CF関連遺伝子の蛋白産物は嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンス レギュレーター(CFTR)と呼ばれている(リオーダン,ジェイ・アールら( 1989年)サイエンス第245巻:1066〜1073頁)。CFTRは、そ れぞれが6個のトランスメンブランセグメントおよび1個のヌクレオチド結合ド メインからなる2個の繰り返しエレメントから構成されている約1480個のア ミノ酸の蛋白である。該2個の繰り返しエレメントは、複数のホスホリレーショ ンされうる部位を含んでいる大型で極性の、いわゆるR−ドメインにより分けら れている。その推定ドメイン構造によると、CFTRは、多剤耐性(MDR)ま たはP−糖蛋白、ウシ・アデニルシクラーゼ、酵母・SET6蛋白ならびにいく つかの細菌・アミノ酸輸送蛋白を包含する1のクラスの関連蛋白のメンバーであ る(リオーダン,ジェイ・アールら(1989年)サイエンス第245巻:10 66〜1073頁;ハイド,エス・シー(Hyde,S.C.)ら(1990年)ネイチャ ー第346巻:362〜365頁)。この群の蛋白は、特徴的に、細胞内外への ポンピング分子に包含される。 CFTRは、サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼまたはプロテイン キナーゼCによるホスホリレーションに応答した上皮細胞から外側へのアニオン の流れを調節していると仮定されている(リオーダン,ジェイ・アールら(19 89年)サイエンス第245巻:1066〜1073頁;ウェルシュ(Welsh) 1986年;フリゼル,アール・エイ(Frizzell,R.A.)778778ら(198 6年)サイエンス第233巻:558〜560頁;ウェルシュ,エム・ジェイ(W elsh,M.J.)およびリートケ,シー・エム(Liedtke,C.M)(1986年)ネイチ ャー第322巻:467頁;リ,エム(Li,M.)ら(1988年)ネイチャー第3 31巻:358〜360頁;フワング,ティー−シー(Hwang,T-C.)ら(198 9年)サイエンス第244巻:1351〜1353頁)。 CFTR遺伝子の配列分析により種々の変異が明らかとなっている(カッティ ング,ジー・アール(Cutting,G.R.)ら(1990年)ネイチャー第346巻: 366〜369頁;ディーン,エム(Dean,M.)ら(1990年)セル(Cell)第 61巻:863〜870頁;およびケレム,ビー−エス(Kerem,B-S.)ら(19 89年)サイエンス第245巻:1073〜1080頁;ケレムビー−エスら( 1990年)プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ エンシズ・ユーエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第87巻:8447〜84 51頁)。集団に関する研究により、大部分の共通したCF変異、すなわち、C FTRアミノ酸配列の位置508におけるフェニルアラニンをコードする3個の ヌクレオチドの欠失(ΔF508)が、嚢胞性線維症のうちの約70%のケース に関連していることが示されている。この変異は、cAMPに応答した上皮細胞 の塩化物チャンネルの欠損を生じる(フリゼル,アール・エイら(1986年) サイエンス第233巻:558〜560頁;ウェルシュ,エム・ジェイ(198 6年)サイエンス第232巻:1648〜1650頁;リ,エムら(1988年 )ネイチャー第331巻:358〜360頁;クイントン,ピー・エム(Quinton ,P.M.)(1989年)クリニ・ケミ(Clin.Chem.)第35巻;726〜730 頁)。このことは、気道細胞におけるイオンおよび流体の輸送のバランスの崩壊 を導く。このことは、異常な粘膜分泌を引き起こし、最終的には肺の感染および 上皮細胞損傷を引き起こすと広く信じられている。 CFTR ΔF508ならびに他のCFTR変異種の生合成に関する研究(チ ェン,エス・エイチ(Cheng,S.H.)ら(1990年)セル第63巻:827〜8 34頁;グレゴリー・アール・ジェイら(1991年)モレ・セル・バイオロ( Moll.Cell Biol.)第11巻:3886〜3893頁)および局在化に関する研 究(デニング,ジー・エム(Denning,G.M.)ら(1992年)ジャーナル・オブ ・セル・バイオロジー第118巻:551〜559頁)により、多くのCFTR 変異蛋白は正しくプロセッシングされず、結果として、原形質膜に送達されない ということが示されている(グレゴリー,アール・ジェイら(1991年)モレ ・セル・バイオロ第11巻:3886〜3893頁)。これらの結論は、CFT R ΔF508を発現している細胞におけるcAMPにより刺激されるCl-チ ャンネルの検出に失敗した初期の機能に関する研究と矛盾しない(リッ チ,ディー・ピー(Rich,D.P.)ら(1990年)ネイチャー第347巻:358〜 363頁;アンダーソン,エム・ピー(Anderson,M.P.)ら(1991年)サイエ ンス第251巻:679〜682頁)。 現在に至るまで、CF治療の主な目的は、感染の抑制、粘膜クリアランスの促 進、および栄養状態の改善であった(ボート,ティー・エフ(Boat,T.F.)ら「ザ ・メタボリック・ベイシス・オブ・インヘリテッド・ディジージズ(The Metabo lic Basis of Inherited Diseases)」中(スクイライバー,シー・アール(Scri ver,C.R.)ら編,マクグロー−ヒル(McGraw-Hill),ニューヨーク(1989年 )))。意図的な抗生物質の使用および胸部打診を用いるポスチュラル・ドレイ ネージ(postural drainage)のプログラムは治療の頼みの綱である。しかしな がら、疾病が進行するにつれ、頻繁な入院が必要となる。栄養投与規則は膵臓酵 素および脂溶性ビタミンを包含する。時々、気管支拡張剤が使用される。コルチ コステロイドが炎症の抑制に用いられているが、それらは重大な副作用を生じ、 それらの有益性は不確実である。極端なケースにおいては、時々、肺移植が試み られる(マーシャル,エス(Marshall,S.)ら(1990年)チェスト(Chest) 第98巻:1488頁)。 CFに対する新たな治療法を開発する努力の大部分は、肺の合併症に焦点を絞 ってきた。CFの粘膜は、溶解した好中球由来の高濃度のDNAからなるので、 1のアプローチは組み換え型ヒト・DNaseの開発であった(シャク,エス(S hak,S.)ら(1990年)プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー ・オブ・サイエンシズ・ユーエスエイ第87巻:9188頁)。予備的な報告は 、エアロゾル化した酵素が粘膜の粘度の低下に有効であるかもしれないというこ とを示唆した。このことは、気道の障害物のクリーニングに、さらにおそらくは 感染の減少に役立ちうるものであった。好中球由来の過剰なエラスターゼにより 引き起こされるダメージを制限する試みにおいて、プロテアーゼ阻害剤が試験さ れた。例えば、ヒト・血漿より精製されたα−1−アンチトリプシンがエアロゾ ル化され、CF患者の肺に酵素活性が送達された(マクエルバニー,エヌ(McElv any,N.)ら(1991年)ザ・ランセット(The Lancet)第337巻: 392頁)。別のアプローチは、好中球由来のオキシダントの作用を阻害する薬 剤の使用であろう。生化学的パラメーターはうまく測定されたが、これらの治療 の長期間の有益な効果は確立されていない。 異なる理論的根拠を用いて、他の研究者は薬理学的要因を用いてCF気道にお いて異常に低下した塩化物分泌および上昇したナトリウム吸収を逆行させようと した。気道上皮による欠損した電解質輸送は、呼吸器の分泌物および粘膜の組成 を変化させると考えられている(ボート,ティー・エフ(Boat,T.F.)ら「ザ・メ タボリック・ベイシス・オブ・インヘリテッド・ディジージズ(The Metabolic Basis of Inherited Diseases)」中(スクイライバー,シー・アール(Scriver, C.R.)ら編,マクグロー−ヒル(McGraw-Hill),ニューヨーク(1989年)); クイントン,ピー・エム(1990年)FASEB J.第4巻:2709〜2 717頁)。それゆえ、電解質輸送における異常を修正する目的の薬理学的治療 は有益でありうる。薬剤アミロライドのエアロゾル化バージョンを用いる試みが 進行中である。アミロライドはナトリウムチャンネルを阻害することによりナト リウム吸収を阻害する利尿剤である。初期の結果は、該薬剤は安全であり、肺機 能試験により測定されたように疾病進行速度をわずかに変化させることを示すも のである(クノウルズ,エム(Knowles,M.)ら(1990年)ニュー・エングラ ンド・ジャーナル・オブ・メディシン(N.Eng.J.Med.)第322巻:1189〜 1194頁;アッペ,イー(Appe,E.)(1990年)アメリカン・レビュー・レ スピレ・ディジ(Am.Rev.Respir.Dis.)第141巻:605頁)。ATPまたは UTPのごときヌクレオチドは、気道上皮におけるプリン作用性受容体を刺激す る。結果として、それらは、CFTR塩化物チャンネルとは異なる1のクラスの チャンネルを開ける。インビトロ研究は、ATPおよびUTPが塩化物分泌を剌 激しうることを示している(ノウルズ,エムら(1991年)ニュー・イングラ ンド・ジャーナル・オブ・メディシン第325巻:533頁)。インビボにおい て分泌を刺激するヌクレオチドの能力を試験するための予備的な試行が行われて いる。治療法の発達にもかかわらず、嚢胞性線維症は致命的な疾病のままであり 、根本的な欠損を治す現在の治療法はない。しかしながら、2つの一般的なアプ ロ ーチが実行可能であることが分かるかもしれない。これらは:1)野生型蛋白を 患者に送達してその欠損している蛋白を増加させるための蛋白置換療法、および ;2)野生型のCF関連遺伝子のコピーを送達するための遺伝子置換療法である 。最も生命を脅かすCFの徴候は肺の合併症を包含するため、上部気道上皮細胞 は治療のための適当な標的である。 野生型cDNAをCF患者由来の上皮細胞中に導入し、塩化物イオン輸送の著 しい欠損の相補を示すことにより、遺伝子治療の実行可能性が確立された(リッ チ,ディー・ピーら(1990年)ネイチャー第347巻358〜363頁)。発明の概要 本発明は、少なくとも一部には、培養細胞におけるCFTRの過剰発現がG2 /M境界における増殖停止を引き起こすという知見、およびオスのトランシジェ ニックウサギにおける選択的致死性に基づく。オスのトランスジェニックウサギ の致死性はCFTR cDNAにおけるステロイドホルモン応答性エレメントの 活性化の結果である。ステロイドホルモン応答エレメントは、オスのトランスジ ェニックウサギの胎児の発達の間に活性化される。活性化されたホルモン応答エ レメントはCFTR cDNAの転写を刺激する。よって、オスのウサギの胎児 の発達の間において、ある組織ではCFTR発現が不適当に増大し、最終的に死 に至る。応答エレメントの活性化は循環ステロイド、例えばアンドロゲンによる 。CFTR cDNAにおけるステロイドホルモン応答エレメントの不活性化は この問題に対する解決策を提供する。 本発明は、少なくとも1つの不活性化された、アンドロゲン応答エレメントの ごときホルモン応答エレメントとイオンチャンネルのごとき膜結合蛋白をコード している核酸配列とからなるDNAに関する。本発明の1の具体例において、膜 結合蛋白はCFTRであり、アンドロゲン応答エレメントは、先にそれが機能的 であった少なくとも1つの種において不活性化されているCFTRコーディング 領域中の配列である。本発明の他の態様は、嚢胞性線維症(CF)にかかってい る細胞のごとき細胞、哺乳動物の胚、および上記DNAを有する哺乳動物を包含 する。 さらに本発明は、CFを有する対象を治療するための治療組成物に関する。該 治療組成物は、少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメントとCFTRを コードしている治療上有効量の核酸配列とからなるDNAおよび医薬上許容され る担体を含有する。 さらに本発明はCFを有する対象の治療方法に関する。該方法は、少なくとも 1つの不活性化ホルモン応答エレメントとCFTRをコードしている核酸配列と からなるDNAを用意し、次いで、対象に悪影響を及ぼさないレベルで機能的な CFTRが対象により産生されるようにCFを有する対象に有効量のDNAを投 与することを包含する。 本発明のもう1つの態様は、細胞中へのDNAの導入方法である。該方法は、 膜結合蛋白をコードしている核酸配列からなるDNAを選択し、該DNAを細胞 中に導入し、細胞に悪影響を及ぼさないレベルの該膜結合蛋白を発現させること からなる。また本発明は、この方法により製造された細胞に関する。さらにもう 1つの本発明の態様は、細胞に悪影響を及ぼさないレベルのCFTRを産生する CFにかかった細胞である。 本発明のさらにもう1つの態様は、ホルモン応答エレメントが機能的である種 におけるホルモン応答エレメントの存在または不存在に関してDNAをアッセイ する方法である。該方法は、哺乳動物の胚中にDNAを導入し、哺乳動物の胚か ら発達したオスまたはメスの哺乳動物の死亡率に対する該DNAの影響を調べ、 次いで、死亡率に対する効果とホルモン応答エレメントを有する核酸配列からな るDNAの存在または不存在とを関連づけることを包含する。 また本発明は、対象とする蛋白を産生するメスのトランスジェニック哺乳動物 を選択的に育種する方法に関する。該方法は、少なくとも1つのアンドロゲン応 答エレメントおよび対象とする蛋白をコードしている核酸配列からなるDNAを 哺乳動物の胚中に導入し、該胚を妊娠したメスの哺乳動物中に移植し、次いで、 アンドロゲン応答エレメントの有害な効果によりメスのトランスジェニック哺乳 動物が出産時に生存しておりオスのトランスジェニック哺乳動物が出産時に生存 していないように移植胚に懐胎期間を経過させることを包含する。図面の簡単な説明 図1は、哺乳動物特異的発現ベクターの構造を示す。略号:S,SalI;R, EcoRI;N,NotI。 図2A〜2Cは、BTS細胞中およびウサギ・胚中への導入用のCFTR c DNAを含んでいるベクター構築物を図式的に示したものである。 図3は、BTS細胞をトランスフェクションするのに用いたプラスミドpCM V−CFTR−936cの地図である。 図4は、CFTRの過剰発現に用いたBTS細胞系の図式である。 図5は、CFTR cDNAでトランスフェクションされ33℃で11日間増 殖したBTS細胞中のCFTR DNA、RNAおよび蛋白レベルを示すグラフ である。 図6は、33℃(機能的大T抗原に関する許容温度)におけるBTS−親およ びBTS−CFTR細胞の増殖曲線を示すグラフである。39℃において、BT S−親およびBTS−CFTRは同様の速度で増殖する。温度を33℃にシフト すると、BTS−CFTR細胞は増殖を続けるが、増殖速度は低い。対照的に、 BTS−CFTR細胞は、33℃にシフトしてから5日以内に増殖を停止する。 図7は、BTS−親およびBTS−CFTR細胞由来のDNAのサイトフルオ ログラフィック(cytofluorographic)分析を示す。BTS−親細胞は対数増殖 と矛盾しない特性を示す。対照的に、BTS−CFTR細胞は、細胞周期のG2 段階において細胞数が増加し、CFTR発現によりG2段階においてBTS−C FTR細胞が停止すること示唆する。 図8は、BTS−親、BTS−CFTR、およびBTS−G551D変異株の 増殖曲線を示すグラフである(G551D変異は、翻訳前にプロセッシングされ て原形質膜に送達されるがそのCl-チャンネル活性が重大に欠損しているCF TR変種を合成する)。BTS−CFTR細胞とは異なり、BTS− G551D細胞は許容温度において増殖を続けるが、BTS−親細胞よりも増殖 速度がわずかに小さい。 図9は、33℃で5日間目のBTS−親、BTS−G551D、およびBTS −CFTR細胞に対するCl-インジケーター染料SPQハライド流出アッセイ を用いる単一細胞ハロゲン化物アッセイの結果を示す。SPQ蛍光の変化を、B TS−CFTR細胞(n=11、nは細胞数)、BTS−親(n=15)、BT S−G551D,クローンB43(n=30)、BTS−G551D,クローンB 91(n=11)およびBTS−G551D,クローンA46(n=28)に関 して示す。0分目に浴溶液中のCl-をNO3 -に置換した。4分後(矢印)、2 0μMのフォルスコリンおよび100μMのIBMXを用いて細胞を刺激してc AMPの細胞内レベルを増加させた。データは、蛍光の平均値士標準偏差(SE M)である(F0,イオン置換2分前のCl-存在下において測定された平均蛍光 )。野生型CFTRの発現は、BTS細胞においてcAMP依存性Cl-チャン ネルを付与する。変種G551Dは、測定可能であるがそれにもかかわらず重大 に欠損したCl-チャンネル活性を示す。 図10は、サザンブロット分析による陽性のトランスジェニックウサギの同定 を示す。バンドIはウサギ・β−カゼインDNAであり、バンドII、IIIおよびI VはCFTR DNAである。レーン6は対照ウサギであり、レーン1から5ま では5匹の創始者ウサギの結果を示す。レーン7は10コピーのCFTR DN Aについて得られたシグナルを示す。ベータスコープ(Betascope)603アナ ライザーを用いてコピー数を定量した。系統内の導入遺伝子のコピー数は1ない し10の間を変動した。 図11は、モノクローナル抗体mAb24−1を用いるトランスジェニックウ サギの乳中のCFTRの検出を示す。レーン1は、トランスジェニックウサギ# 14からの50μlの乳を含み、レーン2は対照ウサギからの50μlの乳、そ してレーン3はCFTRトランスジェニックマウス(ディトゥリオ,ピー(DiTu llio,P.)ら(1992年)バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)第10巻 (1):74〜77頁)からの50μlの乳を示す。 図12は、野生型CFTRの発現は、メスのトランスジェニックウサギにおい て致命的でなくオスのトランスジェニックウサギにおいては致命的であるという ことを示すデータを示した表である。また該表は、グリコシレーションされてい ないCFTR変種の発現は、メスのトランスジェニックウサギにおいて致命的で なくオスのトランスジェニックウサギにおいては致命的であるが効力は低かった ことを示すデータも示す。オスのウサギにおいて観察された選択的致命性は、F 1世代においても明らかであったが表現率は低かった。 図13は、G551D−CFTRを有するトランスジェニックウサギの生存率 を示す表である。G551D変異は、翻訳前にプロセッシングされて原形質膜に 送達されるがそのCl-チャンネル活性が重大に欠損しているCFTR変種の合 成を引き起こす。G551D−CFTR導入遺伝子を有する創始者動物において は致命性は観察されなかった。それゆえ、トランスジェニックウサギにおいて観 察されたオスの致死性は、野生型CFTRのCl-チャンネル活性の結果である 可能性が最も強い。 図14は、アンドロゲン応答エレメントに対応するヒト・CFTRをコードし ている核酸からの代表的なコンセンサス配列を示す。発明の詳細な説明 本発明は、少なくとも1つの不活性化されたアンドロゲン応答エレメントのご ときホルモン応答エレメントとイオンチャンネルのごとき膜結合蛋白をコードし ている核酸配列とからなるDNAに関する。本発明の1の具体例において、膜結 合蛋白はCFTRであり、アンドロゲン応答エレメントは、それが先に機能的で あった少なくとも1つの種において不活性化されているCFTRコーディング領 域中の配列である。本発明の他の態様は、嚢胞性線維症(CF)にかかっている 細胞のごとき細胞、哺乳動物の胚、および上記DNAを有する哺乳動物を包含す る。 用語「DNA」は、当該分野で認識されている用語であり、デオキシリボヌク レオチドをいう。DNAは、1本鎖または2本鎖のゲノムまたはコピーDNA( c DNA)をいうものとする。DNAは、生のDNA、プラスミド、またはウイル ス中に封入された形態であってよい。 用語「膜結合蛋白」は、トランスメンブラン蛋白、膜周辺蛋白、および膜内在 性蛋白を包含するものとする。膜結合蛋白の例は、膜ステロイドホルモン受容体 のごとき受容体、ウイルス糖蛋白、および輸送体を包含する。膜結合蛋白の他の 例は、イオンチャンネル、特に、CFTRのごとき塩化物イオンチャンネルを包 含する(CFTRをコードする核酸配列を配列番号:1に示す (この配列は、グ レゴリー,アール・ジェイら(1990年)ネイチャー第347巻:382〜3 86頁に示された配列に対応している))。CFTRのアミノ酸配列を配列番号 :2に示す)を包含し、CFTRは、CFにかかっている細胞に導入された場合 、CF徴候を減少および/または改善し、機能的なイオンチャンネルを生じるか またはイオン輸送を媒介する。トランスメンブラン蛋白は膜を越えて伸長してい る。膜周辺蛋白は、一般的には、例えば、他の膜結合蛋白との相互作用により膜 の1の面または他の面に結合している。膜の中に挿入された脂肪酸鎖との結合に より、または膜の中に挿入された脂肪酸鎖に結合するオリゴサッカライドへの結 合により膜周辺蛋白も膜と結合しうる。膜内在性蛋白は、一般的には、膜中の脂 肪酸鎖に結合しているトランスメンブラン蛋白である。 用語「膜」は、細胞において通常見いだされる、通常には膜結合蛋白が結合し ている脂質膜を包含する。例えば、CFTRは、通常には、細胞の原形質膜中に 存在する。しかしながら、本発明の他の膜結合蛋白は、通常、小胞体膜、ゴルジ 体、または別の細胞オルガネラを封入している膜に結合している。 用語「ホルモン応答エレメント」は当該分野において認識されており、不活性 化の前に、少なくとも1つの種においてホルモン活性化に応答して遺伝子の転写 を調節するDNA領域を包含するものとする。典型的には、ホルモン応答エレメ ントは長さ約10ないし約40ヌクレオチドであり、より典型的には長さ約13 ないし20ヌクレオチドであって、ステロイドホルモンのごとき特別なホルモン がその細胞内受容体に結合して受容体のコンホーメーション変化を引き起こし、 その変化によりホルモン応答エレメントに対する受容体の親和性が増大し、ホル モン受容体エレメントへの結合が可能になる場合に活性化されうる。次いで、ホ ルモン応答エレメントへの受容体結合は、種々の遺伝子の転写を刺激する(ある いは、いくつかの場合には抑制する)。ステロイドホルモン受容体が細胞の原形 質膜上に存在しうることも知られている。本発明のホルモン応答エレメントは、 ステロイドホルモン、特に、テストステロンおよびアンドロステロンのごときア ンドロゲンにより活性化されうる。これとは別に、ホルモン応答エレメントは、 グルココルチコイドまたはエストロゲンの代謝産物によっても活性化されうる。 ホルモン応答エレメントのコンセンサス配列はCFTRをコードしているDNA に存在し、ヌクレオチド2988から3002まで (配列番号:3)(シー(See)ら(1992年モレ・エンドクリノロ(Mol.End ocrinol.)第6巻:2229〜2235頁)、 ヌクレオチド365から399まで (配列番号:4)(クレセンス,エフ(Claessens,F.)ら(1990年)モレ・ セル・エンドクリノロ(Mol.Cell Endocrinol.)第74巻:203〜212頁)、 ヌクレオチド2331から2344まで (配列番号:5)、 ヌクレオチド2911から2926まで (配列番号:6)、 ヌクレオチド3997から4014まで (配列番号:7) を包含する。本発明ホルモン応答エレメント、特に、オスまたはメスに特異的な ホルモンにより活性化されるホルモン応答エレメントをオスまたはメスに特異的 な蛋白をコードしている核酸配列に作動可能に結合して、反対の性の生殖器官に おけるオスまたはメスに特異的な蛋白の発現の効果を研究することができる。例 えば、アンドロゲン応答エレメントをウテログロビン(卵巣のごときメスの生殖 組織において発現される蛋白)をコードしている遺伝子に作動可能に結合するこ とができる。かかる構築物を哺乳動物の胚中に導入し、妊娠しているメス中に胚 を再移植することができる。次いで、かかる胚から発達したオスのトランスジェ ニック哺乳動物の雄性生殖器官に対する効果を研究することができる。 用語「不活性化」は、少なくとも1つの種においては機能的であるホルモン応 答エレメントを機能的でなくすることを包含するものとする。例えば、ホルモン 応答エレメントのヌクレオチド配列の変更、ヌクレオチド付加、欠失、または置 換によりホルモン応答エレメントの不活性化を起こすことができる。しかしなが ら、ホルモン応答エレメントが膜結合蛋白のコーディング配列中に存在する場合 には、ホルモン応答エレメントの不活性化は膜結合蛋白の通常の局在化および機 能を有意に妨害してはならない。ホルモン応答エレメントのヌクレオチド配列の 変更による不活性化は、膜結合蛋白のアミノ酸配列における対応アミノ酸の変化 を引き起こし得るが、必ずしも引き起こすのではない。ヌクレオチド配列の変更 が変化したアミノ酸配列を生じるる場合、そのアミノ酸変化は膜結合蛋白の通常 の局在化および機能を有意に妨害してはならない。オリゴヌクレオチドによる突 然変異によるヌクレオチド欠失、付加、または置換によるホルモン応答エレメン トの変更方法は当業者によく知られており、当業者により通常に使用されている 。サムブルック,ジェイ(Sambrook,J.)ら,モレキュラー・クローニング:ア・ ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(コー ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Lab oratory Press)1989年。 用語「嚢胞性線維症にかかっている細胞」は、自然界に存在している場合、正 常または変異形態のCFTRを有する嚢胞性線維症(CF)に関連した細胞;自 然界に存在している場合、正常または変異形態のCFTRを有していないが嚢胞 性線維症に関連することによりその正常な機能が損傷を受けている細胞;または 自然界に存在している場合、正常または変異形態のCFTRを有していないが、 正常または変異形態のCFTRを発現するように操作された細胞を包含するもの とする。自然界に存在している場合、CFTRを有している細胞の例は、CFに 冒されている者の鼻および肺上皮のごとき気道上皮細胞を包含する。通常は変種 CFTRを含まないが変種CFTRを発現するように操作されうる細胞の例は、 BTS細胞、一細胞の哺乳動物胚、3T3線維芽細胞、C127、およびCOS −7細胞を包含する。CFTRΔ508のごとき変種CFTRの発現をコードし 指令する核酸でこれらの細胞をトランスフェクションすることができる。例えば 、1992年8月26日出願のUSSN935,603の実施例15参照。嚢胞 性線維症にかかった細胞中にDNAを導入する本発明方法を用いて、嚢胞性線維 症にかかっていると見なされていない細胞中にDNAを移行させることもできる ということが理解されるべきである。細胞は、本発明DNAの導入による所望の 効果を提供するいかなる細胞であってもよい。 用語「胚」は、少なくとも1個の細胞からなる受精した胚を包含するものとす る。用語「哺乳動物」は当該分野において認識されており、マンマリア(Mammal ia)のクラスの動物を包含するものとする。哺乳動物の例は、ヒト、イヌ、ネコ 、ウマ、ウシ、ヤギ、ラット、およびマウスを包含する。 さらに本発明は、嚢胞性線維症を有する対象を治療するための治療組成物に関 する。該治療組成物は、少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメントと嚢 胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターとをコードする核 酸配列および医薬上許容される担体からなる。 用語「対象」は、CF感受性生物、例えば哺乳動物を包含するものとする。対 象の例は、ヒト、イヌ、ウマ、ウシ、ヤギ、ラットおよびマウスを包含する。さ らに用語「対象」はトランスジェニック種を包含する。 嚢胞性線維症(CF)はよく知られた病状である(例えば、ボート,ティー(B oat,T.)ら,「ザ・メタボリック・ベイシス・オブ・インヘリテッド・ディジー ズ(The Metabolic Basis of Inherited Disease)」(シー・スクライバー(C.S criver)、エイ・ボーデ(A.Beaudet)、ダブリュ・スライ(W.Sly)およびディ ー・バレ(D.Valle)編、マクグロウ・ヒル,ニューヨーク(McGraw Hill,New York) ,1989年)中,2649〜2860頁,システィック・フィブロシス(Cystic fibrosis)参照)。CFは、幼児、小児、青少年、および高齢でない成人の病気 であり、外分泌腺、特にそれらの分泌粘膜にかかわっている。CF関連徴候は多 種多様であり、例えば、膵不全、慢性肺疾患、異常に高い汗の電解質レベル、お よびいくつかの場合には肝硬変を包含する。 用語「治療上有効量」は、対象の徴候を有意に減少または除去するのに十分ま たは必要な量を包含するものとする。治療すべき徴候のタイプおよび重さ、対象 の体重および/または年齢、対象が以前受けていた薬物、および選択したDNA 投与経路のごとき因子に基づいて該量を決定することができる。適当な「有効量 」の決定は当業者の範囲内である。 用語「医薬上許容される担体」は、該DNAと同時投与でき、DNAにその意 図された機能を発揮させる、例えば、対象に悪影響を及ぼさないレベルのCFT Rのごとき膜結合蛋白を発現させる物質を包含するものとする。かかる担体の例 は、溶媒、分散媒、遅延剤(delay agents)等を包含する。医薬上活性のある物 質に対するかかる媒体および薬剤の使用は当該分野においてよく知られている。 DNAに適合するいかなる慣用的な媒体および薬剤であっても本発明に関して使 用することができる。本発明DNAを単独で投与することができ、あるいは医薬 上許容される担体中に入れて投与することができる。 さらに本発明は、少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメント嚢胞性線 維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターとをコードする核酸配列 からなるDNAを用意し、次いで、効量の該DNA嚢胞性線維症を有する対象に 投与することによる、嚢胞性線維症を有する対象の治療方法に関する。嚢胞性線 維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターが対象に悪影響を及ぼさ ないレベルで対象により産生されるように該DNAを投与する。 意図された機能を発揮させる、例えば、対象に悪影響を及ぼさないレベルでの CFTRのごとき膜結合蛋白を発現させる投与経路を通じて対象に本発明DNA を投与することができる。使用可能な投与経路の例は、注射(皮下、静脈内、非 経口、腹腔内等)、腸内、経皮、および直腸を包含する。CF治療に特に有用な 投与経路は、呼吸器系を通じて行うもの、例えば、鼻、気管支もしくは肺内への DNA滴下、あるいはエアロゾル化したDNA含有溶液の吸入による。投与経路 によっては、DNAに悪影響を及ぼす天然の条件からDNAを守るための物質で DNAを被覆あるいはこれにDNAを含有させて、その意図された機能を発揮さ せることができる。DNAの投与を単位用量ごとに、しかもCF関連徴候を有意 に減少または除去する効果のある時間間隔をおいて行う。例えば、数回に分けた 用量を毎日投与してもよく、あるいは治療状況の切迫により指示される場合には 比例して用量を減じてもよい。 用語「産生」は、対象細胞におけるCFTRの発現を包含するものとする。用 語「対象に悪影響を及ぼさないレベル」は、対象の正常な身体機能を有意には妨 害しないCFTR量を包含するものとする。好ましくは、嚢胞性線維症を有する 対象に対して有益なレベル、例えば、CF関連徴候を減少させるレベルでCFT Rが産生される。 さらに本発明は、細胞中へのDNAの導入方法に関する。該方法は、膜結合蛋 白をコードする核酸配列からなるDNAを選択し、該DNAを細胞中に導入し、 次いで、細胞に悪影響を及ぼさないレベルで該膜結合蛋白を産生させることを包 含する。1の具体例において、膜結合蛋白はCFTRであり、細胞はCFにかか っている細胞である。 用語「導入」は、細胞中へのDNAの挿入を包含するものとする。DNAを細 胞中に導入するいくつかの方法はよく知られており、当業者により通常に行われ ている。細胞中へDNAを挿入するよく知られた方法の例は、リン酸カルシウム によるDNAトランスフェクション、エレクトロポレーション、細胞中へのマイ クロインジェクション、例えば、トランスジェニック哺乳動物を得るための哺乳 動物胚へのマイクロインジェクション、およびウイルスによる細胞へのDNA送 達、例えば、レトロウイルスベクターもしくはアデノウイルスに基づくベクター を用いる送達を包含する。例えば、1992年12月2日出願の米国第07/9 85,478号参照。 用語「細胞に対して悪影響を及ぼさないレベル」は、細胞の正常な機能を有意 には妨害しないCFTR量を包含するものとする。正常な細胞機能の妨害は、例 えば、細胞に毒性のある様式で正常な細胞プロセスの速度または数を減少または 増加させるレベルの膜結合蛋白の産生を包含する。例えば、イオンチャンネルが 過剰発現されうる場合、正常な細胞内イオン勾配が壊され、チャンネル特異的な 異常なイオンの流入または流出が起こる。カルシウムまたは塩素のごときイオン の異常な流入は細胞に対して毒性でありうる。 本発明のもう1つの態様は、ホルモン応答エレメントが機能的である種におけ るホルモン応答エレメントの存在または不存在に関してDNAをアッセイする方 法である。該方法は、哺乳動物胚中へDNAを導入し、哺乳動物胚から発達した オスまたはメスの哺乳動物の死亡率に対するDNAの影響を調べ、次いで、ホル モン応答エレメントを有する核酸配列からなるDNAの存在または不存在と死亡 率への影響とを関係づけることを包含する。 用語「哺乳動物胚から発達したオスまたはメスの哺乳動物の死亡率に対するD NAの影響を調べる」は、遺伝子操作された哺乳動物胚から発達したオスもしく はメスのトランスジェニック哺乳動物、あるいはオスもしくはメス両方のトラン スジェニック哺乳動物が生きて生まれるか死んで生まれるかを確認することを包 含する。哺乳動物が生きて生まれても生後間もなく死亡する場合、本発明目的の ために誕生時に死亡しているものと見なす。 用語「ホルモン応答エレメントを有する核酸配列からなるDNAの存在または 不存在と死亡率への影響とを関係づける」は、メスまたはオスにおいて主として 存在するホルモンにより活性化(または抑制)されるDNA中のホルモン応答エ レメントの存在と胚から発達した一方の性の哺乳動物の死亡とを関係づけること 、オスおよびメス両方において存在するホルモンにより活性化(または抑制)さ れるホルモン応答エレメントの存在と両方の性の死亡とを関係づけること、ある いは、DNA中のホルモン応答エレメントの存在と両方の性の生存率とを関係づ けることを包含する。 本発明のさらにもう1つの態様は、対象とする蛋白を産生するメスのトランス ジェニック哺乳動物を選択的に育種する方法である。該方法は、少なくとも1つ のアンドロゲン応答エレメントおよび対象蛋白をコードしている核酸配列からな るDNAを哺乳動物胚中に導入し、その胚を妊娠したメスの哺乳動物中に移植し 、次いで、アンドロゲン応答エレメントの悪影響によりメスのトランスジェニッ ク哺乳動物が誕生時に生きておりオスのトランスジェニック哺乳動物が誕生時に 生きていないように移植された胚に懐胎期間を経過させることを包含する。 用語「トランスジェニック哺乳動物」は、外来DNAセグメントが導入される ように、細胞、例えば生殖系細胞または体細胞が遺伝子操作されている哺乳動物 を包含する。トランスジェニック細胞の例は、トランスジェニックウシ、ヒツジ 、ヤギ(エバート,ケイ(Ebert,K.)ら,(1991年)バイオ/テクノロジー (Bio/Technology)第9巻:835頁)、ブタ、ウサギ、ラット、およびマウス (ディトゥリオ,ピー(DiTullio,P.)ら(1992年)バイオ/テクノロジー第 10巻:74頁;ゴードン,ケイ(Gordon,K.)ら,(1987年)バイオ/テク ノロジー第5巻:1183頁)を包含する。 用語「対象とする蛋白」は、人が研究または商業的生産を所望する蛋白を包含 するものとする。トランスジェニック哺乳動物により、好ましくはメスのトラン スジェニック哺乳動物の乳中に対象とする蛋白を産生させることができる。対象 とする蛋白の例は、人の医薬品を包含する。かかる医薬品の例は、インスリン、 長期作用性組織型プラスミノゲンアクチベーター、抗スロンビンIII、α−1− 抗トリプシン、可溶性CD4、インターロイキン−2、免疫グロブリン、CFT R、および凝血因子VIIIならびにIXを包含する。 用語「アンドロゲン応答エレメントの悪影響」は、アンドロゲンにより媒介さ れるオス特異的毒性を包含するものとする。例えば、オス特異的ホルモンが遺伝 子の過剰発現または寡少発現を媒介するようにするためだけに、導入されたDN Aが、オス特異的ホルモンによって活性化される転写エンハンサー型のエレメン トを含んでいてもよい。 さらに本発明を以下の実施例により説明するが、実施例はさらなる限定を行う ものではない。本願全体において引用されたすべての参考文献(文献、付与され た特許、公開された特許出願、および同時係属特許出願)の内容を、参照により 本願に取り入れる。 実施例 実施例1:DNA構築物の生成グリコシレーションされたCFTRを含む構築物の生成 乳中にCFTRを分泌することのできるトランスジェニックウサギを得るため に用いる17.8kbのDNA構築物を図1に示す。該構築物は、内部潜在性細 菌プロモーターを不活性化するために(該プロモーターは不活性化されないとc DNAを不安定にする(チェン,エス・エイチ(Cheng,S.H.)ら(1991年) セル(Cell)第66巻:1027〜1036頁))、残基936における点突然 変異を有するCFTR cDNAの全長にわたるコピーをヤギ・β−カゼイン遺 伝子のエキソン2とエキソン7との間に挿入したものである。該β−カゼイン遺 伝子は、所望遺伝子、例えば、CFTRまたは他の膜結合蛋白を乳腺中に発現さ せる乳腺特異的プロモーターを含んでいる。代用できる他の乳特異的プロモータ ーは、α−カゼイン、小麦酸性蛋白、およびβ−ラクトグロブリンのプロモータ ーのごときよく知られたプロモーターを包含する。 最も好ましい構築物は、当該分野において説明されているような遺伝子に典型 的に結合した1つまたはそれ以上のエンハンサーエレメントを含むであろう。次 いで、慣用的な組み換え法を用いてかかるプロモーター/エンハンサーを対象と する膜結合蛋白のコーディング配列と結合させる。かかるコーディング配列はc DNA、部分的もしくは全体的なゲノムDNAのいずれであってもよいが、より 好ましくは、トランスジェニック系におけるより高い発現レベルが示されている 後者の2種のカテゴリーである。より詳細には、pMT−CFTR(チェン,エ ス・エイチら,(1990年)サイエンス第253巻:202〜205頁)由来 の4.5kbのSalI−SalIフラグメントをCAS1441のXho部 位中に組み込む。初期の研究によりヤギ・カゼイン遺伝子が特徴づけられ、それ が組織特異的様式でトランスジェニックマウスおよびヤギの両方の乳における多 くの遺伝子産物の合成を指令していることが示された(デンマン,ジェイ(Denma n,J.)ら(1991年)バイオ/テクノロジー第9巻:835〜838頁;エバ ート,ケイ・エム(Ebert,K.M.)ら(1991年)バイオ/テクノロジー第9巻 839〜843頁)。欠失部分はエキソン2のTaqI部位からエキソン7のP puMI部位まで伸長している。 図2に関して説明すると、マニアティス,ティーら,モレキュラー・クローニン グ:ア・ラボラトリー・マニュアル(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラ トリー・プレス,ニューヨーク,1982年)により記載されたようにして、サー ネンヤギ(Saanen goat)のDNAをMboIで部分消化することにより得られ たDNAフラグメントをEMBL3ファージ中に組み込むことにより、ヤギ・ゲ ノムDNAライブラリーを構築した。マニアティス,ティーら,モレキュラー・ク ローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(コールド・スプリング・ハーバー ・ラボラトリー・プレス,ニューヨーク,1982年)により記載されたようにし て、1.2x106個の組み換え型ファージからなる該ライブラリーを、マウス・ ベータカゼイン全cDNAをコードしている1.5kのHindIII/TthIII 1DNAフラグメントを用いてスクリーニングした。3−7、3−8、および3 −11と命名された3つのプラークが、高い緊縮性条件下において最強のハイブ リダイゼーションシグナルを示し、それぞれを3ラウンドのプラーク精製に供し た。制限酵素分析およびサザンブロッティング分析により、組み換え型ファージ 3−7および3−8中の挿入物はファージ3−11に含まれる18.5kbの挿 入物のサブフラグメントであることが明らかになった。それゆえ、乳腺特異的発 現ベクターの構築に用いたすべてのDNAフラグメントは、図2Aに示すクロー ン3−11由来であったことになる。修飾ポリリンカーを用いてすべてのサブク ローンをpUCまたはpUC誘導体中に構築した。 乳腺特異的発現ベクターを構築するために、ヤギ・ベータカゼイン遺伝子のS alI部位からエキソン2に至る全上流(5'部分)領域およびエキソン7か らSalI部位に至る全下流(3'領域)領域を用いて乳腺への発現を指令した 。β−カゼイン遺伝子の5'末端を処理加工するために、クローンBc106の エキソン2のTaqI部位をBamHI制限ウイルスと置き換えてプラスミドB c150(図2A)を得た。サブクローンBc104、Bc147、およびBc 103を順次付加することによりヤギ・β−カゼイン遺伝子の利用可能な5'領 域全体を構築した(図2A)。制限酵素による分析によりサブクローンBc14 7の方向を確認した。Bc113と命名された最終ベクターは5'末端にSal I部位および3'末端にBamHI部位を有する。次いで、下流のBamHI部 位をXhoI部位に交換してBc114を得た。 ヤギ・β−カゼイン遺伝子の3'末端を、5'末端と同様の方法で構築した。1 .8kbのBc108クローン(図2A)をPpuMIで消化してBamHIリ ンカーを付加した。処理加工されたクローンBc108から得たBamHI/H indIIIフラグメントを、ヤギ・β−カゼイン遺伝子の末端の3'フランキング 領域(flanking region)を有するベクターBc109中に結合させた。Bc1 08由来の4.4kbのHindIIIフラグメントを付加することにより3'末端 全体を完成し、これを修飾Bc109ベクター中に組み込んで方向に関してスク リーニングした。その新たなベクターはBc118と命名され、それはEMBL クローン3−11のエキソン7からポリAシグナルを経て5kb下流のSalI 部位までのβ−カゼインの3'領域全体を含んでいた。次いで、Bc118の5' 側のBamHI部位においてXhoI部位を導入し、Bc118の3'側のSa lI部位においてNotI部位を導入してベクターBc112を得た。 ベータカゼインCFTRベクター(Bc8)を構築するために従った全クロー ニング工程を図2Bおよび2Cに示す。利用可能なすべての上流および下流配列 を含んでいるヤギ・β−カゼインベクターを構築するために、唯一のSacII部 位を有する1.7kbのXhoIからSalIまでのスタッファーフラグメント (stuffer fragment)をBc114およびBc122のXhoI中に組み込んで 、ベクターBc143およびBc114をそれぞれ得た。Bc143由来の SalIからSacIIまでのフラグメントをBc114のSalIからSacII までのカット中に組み込むことにより完全なベクターを作ってプラスミドBc6 を得た。BamHI消化によりスタッファーフラグメントをプラスミドから除去 し、唯一のXhoI部位を挿入してベクターBc145を得た。5'および3'β −カゼイン配列を含んでいるBc145由来のSalIからNotIまでのフラ グメントをコスミドクローンCAS1438中にサブクローン化してコスミドC AS1441を得た。CAS1438は、処理加工されたSalIならびにNo tI部位およびウシ・α−カゼイン遺伝子由来の21kbの5'フランキング配 列を含むpHC79中に構築されたコスミドベクターである(ミード,エイチ(M eade,H.)ら,バイオテクノロジー(Biotechnology)第8巻:443〜445頁 (1990年))。CAS1441をXhoIで消化し、pMT−CFTR由来 の4.5kbのSalIフラグメントに結合することにより発現ベクターBc8 が構築された(グレゴリー,アール・ジェイ(Gregory,R.J.)ら(1991年) モレ・セル・バイオロ(Mol.Cell Biol.)第11巻:3886〜3893頁;グ レゴリー,アール・ジェイら(1990年)ネイチャー第347巻:382〜3 86頁)。制限酵素分析によりCFTR cDNAの方向を確認した。マイクロ インジェクション用のフラグメントを得るために、ベクターBc8をSalIお よびNotIで消化して、精製用にベクターのベータカゼインCFTR部分を遊 離させた。最終マイクロインジェクションフラグメントは、4.2kbの5'フラ ンキング配列、エキソン1、イントロン1、エキソン2の一部、4.5kbのC FTR cDNA、エキソン7の一部、イントロン7、エキソン8、イントロン 8、エキソン9、および5.3kbの3'フランキング配列を含んでいた。グリコシレーションされておらず機能的でない変種CFTRを含んでいる構築物 の生成 グリコシレーションされておらず機能的でない変種CFTRを製造するための 乳腺発現ベクターを構築するために、β−カゼインクローニングベクターを修飾 し、より小型のコスミドベクター中に組み込んでマイクロインジェクションフラ グメントの単離を容易にした。CAS1441の5'SalI部位をNotI部 位に変換してベクターCAS1457を得た。ベクターCAS1457をNot Iで消化して3'フランキング領域を有するヤギ・β−カゼインプロモーターを 単離し、これをコスミドスーパーコス(Supercos)(カリフォルニア州ラジョラ (LaJolla)のストラタジーン(Stratagene)社製)中に組み込んだ。その新た なβ−カゼインクローニングベクターをBc157と命名した。 Bc157をXhoIで消化し、pMT−N894由来のSalIフラグメン ト900QをXhoI部位中に組み込んだ。制限酵素分析およびDNAシークエ ンスによりcDNAの方向をチェックした。この新たな乳腺発現ベクターを、ト ランスジェニックウサギの乳へのグリコシレーションされていないCFTR変種 の直接発現に用い、この新たな乳腺発現ベクターをBc36と命名した。 Bc36ベクターをNotIで消化してすべての細菌配列を除去し、フラクショ ンをマイクロインジェクション用に調製した。機能的でないCFTR変種をプラ スミドpMT−G551DからSalIフラグメントとして単離し、Bc157 のXhoI部位中に組み込んだ。その新たな発現ベクターをBc59と命名し、 制限酵素分析により方向をチェックした。NotI消化によりβ−カゼインCF TRトランスジーンをBc59から切り出し、マイクロインジェクション用に調 製した。 実施例2:発現系第1の発現系:BTS細胞 CFTR発現の効果を研究するために用いた第1の発現系はBTS(SV40 大T抗原遺伝子のts58アリールでトランスフェクションされたBCS−40 サル・細胞)細胞系(ササキ,アール(Sasaki,R.)およびイクラ・ケイ(Ikura, K.)ら編,「アニマル・セル・カルチャー・アンド・プロダクション・オブ・バ イオロジカルズ(Animal Cell Culture and Production of Biologicals)」( ク ルワー・アカデミック・パブリッシャーズ(Kluwer Academic Publishers)19 91年)251〜258頁)であった。CFTR cDNA、neo遺伝子、お よびSV40複製開始点を含むプラスミド(図3に示すpCMV−CFTR−9 36c、pRc/CMVの地図参照(より詳細なpCMV936cの構造に関し てはインビトロジェン・コーポレイション(Invitrogen Corporation)の199 2年のカタログ参照))を用いて温度感受性SV40大T抗原を発現するサル・ 腎臓細胞系を39℃において安定にトランスフェクションした。安定な細胞系を G−418選択により単離し、非許容温度(39℃)においてエクスパンドした (図4、段階I)。細胞系を機能的な大T抗原に関する許容温度(33℃)にシ フトダウンした。これを図4の段階IIとして示す。許容条件下において、組み込 まれたDNA複製物を染色体から切り出し、高コピー数(細胞1個あたり100 0コピーまで)になるまで増幅した。培養中の大部分の細胞が増幅を受けた(「 アニマル・セル・カルチャー・アンド・プロダクション・オブ・バイオロジカル ズ」(クルワー・アカデミック・パブリッシャーズ)中、セディビー,ジェイ・ エム(Sedivy,J.M.),251〜258頁)。BTS細胞を33℃で11日間増殖 させた。蛋白溶解物、全RNAおよびゲノムDNA試料を毎日単離した。約10 μgのゲノムDNAをEcoRIで消化し、1%アガロースゲルにより電気泳動 を行い、ナイロン膜に移し、次いで、1.4kbのランダムにプライムされたp MT−CFTRフラグメントとハイブリダイゼーションさせた。グアニジニウム 法により全RNAを単離し、1%アガロース/10%ホルムアミドゲルにより電 気泳動を行い、ナイロン膜に移し、次いで、pMT−CFTR由来の1.4kb のEcoRI−EcoRIフラグメントとハイブリダイゼーションさせた。ホス ホイメージャー(phosphoimager)を用いてDNAおよびRNAを定量した。蛋 白溶解物(20μg)を4〜15%のディアッキゲル(Diacchi gel)による電 気泳動に供し、インモビロン(immobilon)に移し、次いで、ECL検出法を用 いて抗CFTR(24−1)抗体とともにイムノブロッティングした。図5に示 すように、許容温度へのシフトから3日以内に組み込まれたcDNA(CFTR 発現遺伝子)が100コピーにまで増幅される。これに伴いCFTR RNAおよび蛋白レベルは100倍に増加した。CFTR発現は5日目までに最 大濃度に達した。CFTR蛋白の誘導は一時的であり、7日目と8日目の間に劇 的に減少した。この発現特性は、BTS系において発現される他の蛋白には見ら れないものであった。DNAおよびCFTR発現は33℃でのインキュベーショ ン後、時間とともに減少した。しかしながら、DNAコピー数およびRNA濃度 の減少はより遅くに起こり、観察されたCFTRの減少よりは減少しなかった。 これらの結果は、CFTR発現はBTS細胞において不安定であり、ダウン−レ ギュレーション(down-regulation)の主な点は蛋白発現レベルにおけるもので あることを示唆する。 図6は、BTS−親およびBTS−CFTR細胞に関する33℃における増殖 曲線を示すグラフである。60mmのディッシュに細胞を2x105の密度でプ レーティングした。トリプシンを用いて細胞を収穫し、ヘモサイトメーター(he mocytometer)を用いて計数した。レプリカしたプレートからの3系において計 数を行った。図6に示すデータは平均値±標準偏差を表す。BTS−親およびB TS−CFTRは39℃においては同様に増殖する。33℃にシフトさせるとB TS−親細胞は速度は低下するものの増殖を続ける。対照的に、BTS−CFT R細胞の増殖は33℃へのシフト後5日以内に停止する。細胞増殖特性の試験に より、細胞の増殖停止における高いCFTR発現との相関関係が明らかとなった 。 図7は、CFTR発現細胞のサイトフルオログラフ分析(cytofluorographic analysis)を示す。BTS−親およびCFTR系を33℃で5日間増殖させ、E DTA存在下において収穫し、エタノールで固定した。7−AADを用いてDN Aを染色し、DNA含量をサイトフルオログラフィーにより分析した。BTS− 親細胞は、対数期の増殖と矛盾しない特性を示した。対照的に、細胞周期のG2 段階におけるBTS−CFTR細胞数の増加があり、CFTR発現によりG2に おいてBTS−CFTRが停止することを示唆した。しかしながら、CFTRの G551D変種形態は33℃において増殖停止しなかった。CFTRのG551 D変種形態をBTS細胞中に導入した。蛋白発現は温度により誘導さ れうる。細胞の計数を図7について上で説明したように行った。図8におけるグ ラフにより示されるように、BTS−CFTR G551D細胞は許容温度にお いて増殖を続けたが、BTS−親細胞よりわずかに増殖速度が低かった。 新たに得られた細胞系におけるCFTRの機能性を確認するために、Cl-イ ンジケーター染料SPQを用いる単一細胞膜ハライド透過性アッセイ(a singlec ell membrane halide permiability assay)(チェン,エス・エイチら(199 1年)セル第66巻:1027〜1036頁)を使用した。このアッセイにおい て、SPQ蛍光の変化速度の増加はハライド透過性を反映する。BTS−CFT R(n=11、nは細胞数)、BTS−親(n=15)、BTS−G551D, クローンB43(n=30)、BTS−G551D,クローンB91(n=11 )およびBTS−G551D,クローンA46(n=28)に関するSPQ蛍光 の変化を図9に示す。0分目において浴の溶液中のCl-をNO3 -に置き換えた 。4分後(矢印)、20μMのフォルスコリン(forskolin)および100μM のIBMXで細胞を刺激して細胞内cAMPレベルを上昇させた。データは、時 間tにおける蛍光(Ft)の平均値±標準偏差からベースライン蛍光(F0、イオ ン置換前2分間Cl-存在下において測定した平均蛍光)を差し引いたものであ る。野生型CFTRの発現はBTS細胞においてcAMP依存性Cl-チャンネ ルを与える。変種G551Dは測定可能であるが重大に欠損したCl-チャンネ ル活性を示す。第2の発現系:トランスジェニックウサギ 150ユニットのプレグマント・メアーズ・シーラム・ゴナドトロピン(Preg nant Mare's Serum Gonadotropin)(PMSG)、次いで、72日後に150ユ ニットのヒト・絨毛性ゴナドトロピンIV(HCG IV)を筋肉内注射することに より26匹のメスのニュージーランド・ホワイト(New Zealand White)ドナー ウサギにおいて過剰排卵を誘発した。試験済みのオスに対してメスを少なくとも 2回交配させた。精管切除したオスに対して54匹の受容者メスを少なくとも2 回交配させ、ドナーウサギの排卵と同調させるために150ユニットの HCG IVを注射した。交配から19時間後、1.5ccのアセプロマジン/ケ タミン(1mg/ml/10mg/ml)の筋肉内注射によりドナーウサギを麻 酔し、腹の中央部を剃毛し、ベタジン(Betadine)で拭いて洗浄し、ベタジン溶 液を噴霧し、次いで、手術の準備をした。滅菌した外科用具を用いて腹の中央部 の切開を行った。輸卵管を外在化させ、滅菌したリン酸緩衝化セイラインを用い て受精した単一細胞胚をそこから洗い流して集めた。上記のごとくヤギ・β−カ ゼインプロモーターの下流に組み込まれた野生型CFTR cDNA、グリコシ レーションしていないCFTR cDNAの変種、またはCFTR変種G551 D cDNAのいずれかをドナー胚にマイクロインジェクションし、脇腹の切開 により受容者ウサギの両方の輸卵管に再移植した。誕生後最初の1週間の間、P CR分析用に、耳から小片を切り取ることにより子孫からの組織を集めた。 得られた子孫の耳からのDNAのサザンブロット分析によりトランスジェニッ クウサギを同定した。簡単に説明すると、各創始者ウサギ由来の約15μgのゲ ノムDNAをEcoRIで消化し、1%アガロースゲルにより分離し、マグナグ ラフナイロン(magnagraph nylon)(フィッシャー・サイエンテイフィック(Fi sher Scientific)社製)に移し、次いで、ヤギ・β−カゼインcDNAのエキ ソン7由来の384bpのPvuII−PvuIIフラグメント(ヨシムラ,エム(Y oshimura,M.)ら(1986年)ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nuc.Acids Res.)第14巻:8224頁)および4.5kbのpMT−CFTRのSalI −SalIフラグメントとハイブリダイゼーションさせた。ベータスコープ60 3アナライザー(Betascope 603 analyzer)を用いてコピー数を定量した。図1 0は、陽性の創始者動物由来のDNAを示す。バンドIはウサギ・β−カゼイン DNAであり、バンドII、IIIおよびIVはCFTR DNAである。レーン6は 対照ウサギであり、レーン1から5までは5匹の創始者トランスジェニックウサ ギの結果を示す。レーン7はベータスコープ603アナライザーを用いて観察さ れたシグナルを示す。かかる分析は、系中のトランスジーン(transgene)のコ ピー数が1ないし10の間を変動したことを示す。オスのトランスジェニックウサギにおけるCFTR発現の観察された致命性 野生型CFTR cDNAまたはCFTR cDNAのグリコシレーションさ れていない変種を含む構築物を注射された胚から発達したオスのトランスジェニ ックウサギは死産であるかまたは生後まもなく死亡した。図12は、オスのトラ ンスジェニックウサギにおけるCFTR発現の致死性を示す表である。「死亡」 の欄は、死産または生後まもなく脂肪した動物を表す。図12に示すように、野 生型CFTRトランスジーンを有するオスの創始者ウサギすべてが生きていなか った。さらにオスのウサギにおいて観察された選択的致死性はF1世代において 明らかであったが表現率は低かった。また、グリコシレーションされていない変 種を有するトランスジェニックウサギは、創始者およびF1動物において選択的 なオスの致死性を示したが潜在能力は低かった。野生型CFTR cDNAまた はCFTR cDNAのグリコシレーションされていない変種を有するオスのウ サギにおいて観察された選択的致死性とは対照的に、CFTR変種G551D cDNAを有するオスのトランスジェニックウサギは生きて誕生した。図13参 照。G551D変異は翻訳後プロセッシングされて原形質膜に送達されるがその Cl-チャンネル活性が選択的に欠失している変種の合成を引き起こす。現在に 至るまで、G551Dトランスジーンを有する創始者動物においては致死性は観 察されておらず、そのことは、トランスジェニックウサギにおいて観察されたオ スの致死性は野生型CFTRのCl-チャンネル活性の結果であるという結論を 導く。メスのトランスジェニックウサギの乳におけるCFTRの産生 創始者ウサギを育種して乳を分泌させるトランスジェニックなメスを得た。か かる動物から乳を集め、PBSで10倍希釈し、RIPA(50mM Tris −HCl[pH7.5]、150mM NaCl、1% TritonX−10 0、1%デオキシコール酸ナトリウムおよび0.1%ドデシル硫酸ナトリウム) 緩衝液で処理して膜蛋白を可溶化させた。ウサギにオキシトシンを注射し、5分 後に吸引ドライブを用いて搾乳した。簡単に説明すると、モノクローナル抗体m Ab24−1(1993年8月27日出願の米国第08/114,950号)を 用いる免疫沈降、次いで、洗浄された免疫沈降物を[γ32P]ATP存在下にお いてプロテインキナーゼA(PKA)でインビトロにおいてリン酸化処理するこ とによりCFTRの存在に関して試料を試験した(グレゴリー,アール・ジェイ ら(1990年)ネイチャー第347巻:382〜386頁;チェン,エス・エ イチら(1990年)セル第63巻:827〜834頁)。より詳細には、細胞 溶解物の調製、抗CFTR抗体を用いる蛋白の免疫沈降、1次元ペプチド分析お よびSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の方法は、チェンらにより記載され ているごときものであった(チェン,エス・エイチら(1990年)セル第63 巻:827〜834頁;チェン,エス・エイチら(1991年)セル第66巻: 1027〜1036頁)。キナーゼ緩衝液(50mM Tris−HCl,pH 7.5、10mM MgCl2および100μg ml-1ウシ・血清アルブミン) 中最終体積50μlとしてプロテインキナーゼAおよび[γ32P]ATP(10 μCi)とともに30℃で60分インキュベーションすることによりCFTR含 有免疫沈降物のインビトロでのリン酸化を行った。 図11は、ウサギ#14、対照ウサギ、およびCFTRトランスジェニックマ ウス(ディトゥリオ,ピー(DiTullio,P.)ら(1992年)バイオ/テクノロジ ー第10巻(1):74〜77頁)の乳からの試料のポリアクリルアミドゲルを 示す。レーン1はトランスジェニックウサギ#14からの乳50μlを含み、レ ーン2は対照乳50μlを含み、レーン3はCFTRトランスジェニックマウス からの乳50μlを含む。CFTRの位置を右余白に示す。露出時間は−70℃ において30分であった。結果からわかるように、トランスジェニックウサギの 乳中のCFTR発現レベルは低い。検出可能なCFTRがウサギ#14において 観察されただけであった。トランスジェニックマウスにおけるCFTR量の評価 に基づくと、ウサギ#14の乳1mlにつき約0.01〜0.1μgのCFTRが 存在する。 実施例3:アンドロゲン応答エレメントに対応するヒト・CFTR cDNAに おけるコンセンサス配列の同定 アンドロゲン応答エレメントに関するコンセンサス配列を公表された報告(ロ シェ,ピー・ジェイ(Roche,P.J.)ら(1992年)モレキュラー・エンドクリ ノロジー(Mol.Endocrinol.)第6巻:2229〜2235頁;クレセンス,エフ (Claessens,F.)ら(1990年)モレ・セル・エンドクリノロジー(Mol.Cell Endocrinol.)第74巻:203〜212頁)から導出した。ジェネティクス・ コンピューター・グループ・シークエンス・アナリシス・ソフトウェアパッケー ジ(Genetics Computer Group sequence analysis software package)からのベ イスフィットアナリシス(basfit analysis)またはマックベクター(MacVector )用のIBI配列分析ソフトウェアを用いてアンドロゲン応答エレメント配列を ヒト・CFTR cDNAと併置し、CFTRコンセンサス配列を決定した。図 14は、アンドロゲン応答エレメントに対応するヒト・CFTR cDNAにお けるコンセンサス配列の例を示す。アンドロゲンのごときステロイドホルモンは 、特異的な細胞内受容体(次いで、ステロイドホルモン応答エレメントと相互作 用する)に結合することにより転写を調節する。かかるエレメントは、転写エン ハンサーの特性を有するシス作用性(cis-acting)DNA配列である。ヒト・C FTRのコーディング配列に存在するいくつかのかかるエレメントは、「ホルモ ン応答エレメント」の定義下で上記されている。これらのエレメントは、アンド ロゲンに応答して、胎児の発達の間においてある種の組織でのCFTR発現を不 適当に増大させうる。 実施例4:ヒト・CFTR cDNAにおけるホルモン応答エレメントの存在の 確認 アンドロゲン応答エレメントに対応するヒト・CFTR cDNAにおけるコ ンセンサス配列はアンドロゲン応答エレメントであることを確認するために、別 の実験を行うことができる。例えば、ヒト・CFTR cDNAを哺乳動物発現 ベクター(例えばカリフォルニア州サンディエゴのインビトロジェン(Invitrog rn)社のpREP4)中に組み込み、ZR−71細胞(ロシェ,ピー・ジェイら (1992年)モレキュラー・エンドクリノロジー第6巻:2229〜2235 頁)またはDDT−MF−2細胞(ATCC CRL 1701)(インビトロ (InVitro)第19巻:929〜936頁)のごときアンドロゲン応答細胞系中 にトランスフェクションすることができる。次いで、トランスフェクションされ た細胞をテストステロンで処理し、CFTR発現の増大に関してアッセイするこ とができる。アンドロン処理に応答したCFTR発現の増大は、CFTR cD NAにおけるアンドロゲン応答エレメントの存在を示す。 ホルモン応答エレメントに対応しているヒト・CFTR cDNAにおけるコ ンセンサス配列がホルモン応答エレメントであることを確認するために行うこと のできるもう1つの実験は、ホルモン受容体がヒト・CFTR cDNAにおけ る推定上のホルモン応答エレメントに結合するかどうかを調べることである。C FTR cDNAの重複フラグメントを単離するゲルにより、および移動度変化 アッセイ(moobility shift assay)(ロシェ,ピー・ジェイら(1992年)モ レキュラー・エンドクリノロジー第6巻:2229〜2235頁)においてフラ グメントを用いて、かかる実験を行うことができる。CFTRcDNAへのホル モン受容体の結合は、ホルモン受容体エレメントを有するDNAのポリアクリル アミドゲル上での電気泳動度の変化を引き起こすであろう。それゆえ、ホルモン 受容体エレメントを有するCFTR cDNAフラグメントを検出することがで きる。 実施例5:ヒト・CFTR cDNAにおけるホルモン応答エレメントの不活性 化 CFTR cDNAに存在する応答エレメントのヌクレオチド配列の変更によ りホルモン応答エレメントの不活性化を引き起こすことができる。部位特異的突 然変異を用いて、CFTR cDNAに存在するホルモン応答エレメントにおい てヌクレオチド欠失、付加、または置換のごときヌクレオチドの変更を引き起こ すことができる。かかる方法は、特に、1つまたはそれ以上の変異を有するオリ ゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(オリゴヌ クレオチド媒介変異)を包含する。サムブルック,ジェイら,モレキュラー・クロ ーニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(コールド・スプリング・ハーバーラ ボラトリー・プレス(1989年))。例えば、部位特異的突然変異を用いてヒ ト・CFTR cDNAのヌクレオチド2988から3002まで(5'GTT ACATTCTGTTCT3')(配列番号:3)を(5'GCTGCATTCC GTGCT3')に変異させることができる。CFTR cDNAにおけるホル モン応答エレメントのヌクレオチド配列の変更が完成したならば、cDNAを肺 表面活性物質プロモーター構築物(lung surfactant promoter construct)(肺 SPC)(ホイトセット,ジェイ・エイ(Whitsett,J.A.)ら(1992年)ネイ チャー・ジェネ(Nature Gen.)第2巻:13〜20頁)中に組み込んで、ホル モン応答エレメントが不活性化されたことを確認することができる。この肺SP Cプロモーターは、CFTR cDNAの発現を指令している場合以外は厳格に 調節されている組織特異的プロモーターとして特徴づけられている。SPC−C FTRトランスジーンを有するトランスジェニックマウスの試験において、おそ らくはアンドロゲン応答エレメントの存在による高レベルのヒト・CFTRが検 出されている(ホイトセット,ジェイ・エイら(1992年)ネイチャー・ジェ ネ第2巻:13〜20頁)。アンドロゲン応答エレメントが変異しているSPC −CFTRトランスジーンを有するトランスジェニックマウスは試験において発 現を示さず、アンドロゲン応答エレメントの不活性化が確認されるはずである。 別法として、同じCFTR cDNAを実施例1記載のヤギ・β−カゼインベク ター中に組み込み、ウサギ・胚中にマイクロインジェクションすることもできる 。正常なオスの子孫の誕生により、cDNA中のアンドロゲン応答エレメントが 不活性化されていることが確認されるであろう。CFTR cDNA中のホルモ ン応答エレメントの不活性化を確認するさらにもう1つの方法は上記実施 例4にある。簡単に説明すると、例えば、アンドロゲン応答エレメントを含んで いるCFTR cDNAを哺乳動物発現ベクターに組み込み、アンドロゲン応答 細胞系中にトランスフェクションすることができる。次いで、該細胞系をテスト ステロンのごときアンドロゲンで処理し、CFTR発現についてアッセイするこ とができる。CFTR発現を、アンドロゲン処理された既知アンドロゲン応答エ レメントをでトランスフェクションされたアンドロゲン応答細胞におけるCFT R発現と比較することができる。アンドロゲン処理された既知アンドロゲン応答 エレメントでトランスフェクションされたアンドロゲン応答細胞におけるCFT R発現と比較して、変異したアンドロゲン応答エレメントを有するCFTR c DNAでトランスフェクションされたアンドロゲン応答細胞系におけるCFTR 発現の減少が見られるならば、アンドロゲン応答エレメントが不活性化されたこ とが示される。均等物 当業者は、日常的な実験以上の実験を用いずに、本明細書記載の発明の特別な 具体例の多くの均等物を認識し、あるいは確認することができよう。かかる均等 物は以下の請求の範囲に包含されると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT, LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK ,TJ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 チェン,セン・ヒン アメリカ合衆国02181マサチューセッツ州 ウェルズリー、ウォール・ストリート50番 (72)発明者 ミード,ハリー・エム アメリカ合衆国02158マサチューセッツ州 ニュートン、グラスミア・ストリート62番 (72)発明者 スミス,アラン・エドワード アメリカ合衆国02030マサチューセッツ州 ドーバー、ミル・ストリート1番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメントと膜結合蛋白をコード している核酸配列とからなるDNA。 2.少なくとも1つのホルモン応答エレメントが膜結合蛋白をコードしている 核酸配列において存在する請求項1のDNA。 3.膜結合蛋白が嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレー ターである請求項1のDNA。 4.膜結合蛋白が嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレー ターである請求項2のDNA。 5.ホルモン応答エレメントがステロイドホルモン応答エレメントである請求 項1のDNA。 6.ホルモン応答エレメントがグルココルチコイドホルモン応答エレメントで ある請求項1のDNA。 7.ステロイドホルモン応答エレメントがアンドロゲン応答エレメントである 請求項5のDNA。 8.ホルモン応答エレメントがヌクレオチド配列2988から3002まで( 配列番号:3)、365から399まで(配列番号:4)、2331から234 4まで(配列番号:5)、ヌクレオチド2911から2926ま(配列番号:6 )、およびヌクレオチド3997から4014まで(配列番号:7)からなる嚢 胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターをコードしている ヌクレオチド配列由来のヌクレオチド配列の群から選択される請求項4のDNA 。 9.ホルモン応答エレメントがヌクレオチド配列2988から3002まで( 配列番号:3)、365から399まで(配列番号:4)、2331から234 4まで(配列番号:5)、ヌクレオチド2911から2926ま(配列番号:6 )、およびヌクレオチド3997から4014まで(配列番号:7)からなる嚢 胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターをコードし ているヌクレオチド配列由来のヌクレオチド配列の群から選択されるアンドロゲ ン応答エレメントである請求項4のDNA。 10.ホルモン応答エレメントがヌクレオチド置換により不活性化される請求 項1のDNA。 11.ホルモン応答エレメントがヌクレオチド付加により不活性化される請求 項1のDNA。 12.ホルモン応答エレメントがヌクレオチド欠失により不活性化される請求 項1のDNA。 13.請求項1のDNAを含む嚢胞性線維症にかかっている細胞。 14.請求項1のDNAを含む哺乳動物の胚。 15.請求項1のDNAを含む哺乳動物。 16.少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメントと嚢胞性線維症トラ ンスメンブランコンダクタンスレギュレーターをコードしている核酸配列とから なる治療上有効量のDNA;および 医薬上許容される担体 からなる、嚢胞性線維症を有する対象を治療するための治療組成物。 17.ホルモン応答エレメントがステロイドホルモン応答エレメントである請 求項16の治療組成物。 18.ステロイド応答エレメントがアンドロゲン応答エレメントである請求項 17の治療組成物。 19.ホルモン応答エレメントがヌクレオチド配列2988から3002まで (配列番号:3)、365から399まで(配列番号:4)、2331から23 44まで(配列番号:5)、ヌクレオチド2911から2926ま(配列番号: 6)、およびヌクレオチド3997から4014まで(配列番号:7)からなる 嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターをコードしてい るヌクレオチド配列由来のヌクレオチド配列の群から選択される請求項17の治 療組成物。 20.アンドロゲン応答エレメントがヌクレオチド配列2988から3002 まで(配列番号:3)、365から399まで(配列番号:4)、2331から 2344まで(配列番号:5)、ヌクレオチド2911から2926ま(配列番 号:6)、およびヌクレオチド3997から4014まで(配列番号:7)から なる嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターをコードし ているヌクレオチド配列由来のヌクレオチド配列の群から選択される請求項18 の治療組成物。 21.少なくとも1つの不活性化ホルモン応答エレメントと嚢胞性線維症トラ ンスメンブランコンダクタンスレギュレーターをコードしている核酸配列とから なるDNAを用意し; 機能的な嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーターが対 象に悪影響を及ぼさないレベルで対象により産生されるように治療上有効量の該 DNAを嚢胞性線維症を有する対象に投与することからなる、嚢胞性線維症を有 する対象の治療方法。 22.膜結合蛋白をコードしている核酸配列からなるDNAを選択し; 該DNAを細胞中に導入し;次いで、 細胞に悪影響を及ぼさないレベルの膜結合蛋白を産生させることからなる、細 胞中にDNAを導入する方法。 23.膜結合蛋白が嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレ ーターであり、細胞が嚢胞性線維症にかかっている細胞である請求項22の方法 。 24.請求項22の方法により製造される細胞。 25.細胞に悪影響を及ぼさないレベルで嚢胞性線維症トランスメンブランコ ンダクタンスレギュレーターを産生する嚢胞性線維症にかかっている細胞。 26.DNAを哺乳動物の胚中に導入し; 該哺乳動物の胚から発達したオスおよびメスの哺乳動物の死亡率に対する該D NAの影響を調べ;次いで、 死亡率に対する影響とホルモン応答エレメントを有する核酸配列からなるDN Aの存在または不存在とを関係づけることからなる、ホルモン応答エレメントが 機能的である種におけるホルモン応答エレメントの存在または不存在に関し てDNAをアッセイする方法。 27.少なくとも1つのアンドロゲン応答エレメントと対象とする蛋白をコー ドしている核酸配列とからなるDNAを哺乳動物の胚中に導入し; 該胚を妊娠したメスの哺乳動物中に移植し;次いで、 アンドロゲン応答エレメントの悪影響により、メスのトランスジェニック哺乳 動物が誕生時に生きておりオスのトランスジェニック哺乳動物が誕生時に生きて いないように移植された胚に懐胎期間を経過させることからなる、対象とする蛋 白を産生するメスのトランスジェニック哺乳動物を選択的に育種する方法。 28.妊娠したメスの哺乳動物が偽妊娠している請求項27の方法。 29.対象とする蛋白が膜結合蛋白である請求項27の方法。 30.膜結合蛋白が嚢胞性線維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレ ーターである請求項29の方法。
JP7511985A 1993-10-13 1994-10-11 不活性化ホルモン応答エレメントを有するデオキシリボ核酸 Pending JPH09503671A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/135,809 US5688677A (en) 1993-10-13 1993-10-13 Deoxyribonucleic acids containing inactivated hormone responsive elements
US08/135,809 1993-10-13
PCT/US1994/011504 WO1995010606A1 (en) 1993-10-13 1994-10-11 Deoxyribonucleic acids containing inactivated hormone responsive elements

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09503671A true JPH09503671A (ja) 1997-04-15

Family

ID=22469784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7511985A Pending JPH09503671A (ja) 1993-10-13 1994-10-11 不活性化ホルモン応答エレメントを有するデオキシリボ核酸

Country Status (6)

Country Link
US (1) US5688677A (ja)
EP (1) EP0723587A1 (ja)
JP (1) JPH09503671A (ja)
AU (2) AU7974194A (ja)
CA (1) CA2172271A1 (ja)
WO (1) WO1995010606A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19907099A1 (de) * 1999-02-19 2000-09-07 Theragene Biomedical Lab Gmbh Hormon-Hormonrezeptorkomplexe und Nukleinsäurekonstrukte und ihre Verwendung in der Gentherapie
US20030082606A1 (en) * 2001-09-04 2003-05-01 Lebo Roger V. Optimizing genome-wide mutation analysis of chromosomes and genes
WO2004007753A2 (en) * 2002-07-17 2004-01-22 Bristol-Myers Squibb Company Transgenic non-human mammals expressing a reporter nucleic acid under the regulation of androgen response elements
US20070065830A1 (en) * 2002-09-04 2007-03-22 Children's Hospital Medical Center Of Akron, Inc. Cloning multiple control sequences into chromosomes or into artificial centromeres
US7866342B2 (en) 2002-12-18 2011-01-11 Vapor Technologies, Inc. Valve component for faucet
US8555921B2 (en) 2002-12-18 2013-10-15 Vapor Technologies Inc. Faucet component with coating
US7866343B2 (en) 2002-12-18 2011-01-11 Masco Corporation Of Indiana Faucet
US8220489B2 (en) 2002-12-18 2012-07-17 Vapor Technologies Inc. Faucet with wear-resistant valve component
US20070026205A1 (en) 2005-08-01 2007-02-01 Vapor Technologies Inc. Article having patterned decorative coating

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69034115T2 (de) * 1989-08-22 2004-07-15 Hsc Research Development Corp., Toronto Cystic fibrosis gen
US5240846A (en) * 1989-08-22 1993-08-31 The Regents Of The University Of Michigan Gene therapy vector for cystic fibrosis
US6001588A (en) * 1990-01-10 1999-12-14 Hsc Research Development Corporation Introns and exons of the cystic fibrosis gene and mutations thereof
AU3467193A (en) * 1991-12-17 1993-07-19 Regents Of The University Of California, The Gene therapy for cystic fibrosis transmembrane conductance regulator activity (CFTR)
US5858784A (en) * 1991-12-17 1999-01-12 The Regents Of The University Of California Expression of cloned genes in the lung by aerosol- and liposome-based delivery

Also Published As

Publication number Publication date
CA2172271A1 (en) 1995-04-20
WO1995010606A1 (en) 1995-04-20
US5688677A (en) 1997-11-18
EP0723587A1 (en) 1996-07-31
AU7974194A (en) 1995-05-04
AU7617698A (en) 1998-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7128190B2 (ja) ウィルソン病を処置するための遺伝子療法
US7019193B2 (en) Treatments using transgenic goat produced antithrombin III
Yagi et al. A role for Fyn tyrosine kinase in the suckling behaviour of neonatal mice
DE60132169T2 (de) Humaner c1 inhibitor hergestellt in der milch transgener säugetiere
DK2141985T3 (en) Transgenetic pig model of cystic fibrosis
JPH09509839A (ja) トランスジェニック動物内でのフィブリノーゲンの製造
JP2014121337A (ja) トランスジェニック哺乳動物の乳汁に産生されるc1インヒビター
US8618352B2 (en) Transgenic porcine models of cystic fibrosis
US8912386B2 (en) Transgenic pig model of cystic fibrosis
WO2014042251A1 (ja) 遺伝子ノックイン非ヒト動物
JP4292401B2 (ja) 体重または摂食量の調節に関与するヒスタミン受容体h3遺伝子の利用
JPH09503671A (ja) 不活性化ホルモン応答エレメントを有するデオキシリボ核酸
Swanson et al. High level expression of human apolipoprotein AI in transgenic rats raises total serum high density lipoprotein cholesterol and lowers rat apolipoprotein AI
US5789654A (en) Transgenic animals deficient in endogenous β3 -adrenergic receptor and uses thereof
US6437215B1 (en) SR-BI and ApoE knockout animals and use thereof as models for atherosclerosis and heart attack
US20100251396A1 (en) Transgenic mice expressing human formyl peptide receptor
JP2002512021A (ja) トランスジェニックヒツジから得られるヒト胆汁酸塩−刺激リパーゼ(bssl)
JP2002534077A (ja) トランスジェニック動物における分泌型ヒトアルファ−フェト蛋白質の発現
JPH03504560A (ja) 多薬剤耐性を試験するためのトランスジェニック動物
JPH10502816A (ja) α−ラクトアルブミン遺伝子構造物
JPH08511688A (ja) Ec−sodの形質転換生産
WO2018120610A1 (zh) 一种Leg1蛋白、Leg1基因及其应用和药物
AU7871300A (en) Atp-binding cassette transporter (abc1) modified transgenic mice
WO2006016692A1 (ja) ノックアウト非ヒト動物
JPWO2006070718A1 (ja) 全胆汁酸プール量の増減に伴う疾患又は脂質代謝性疾患に対する薬剤及び、それら薬剤のスクリーニング方法