【発明の詳細な説明】
シリコーン流体の除去方法
発明の要約
本発明は、表面からシリコーン流体又はシリコーン流体を含有する組成物を除
去する方法に関する。更に詳しくは、本発明は表面に、単糖エステル又は単糖エ
ステルを含んでなる組成物を適用することにより表面からシリコーン流体を除去
する方法に関する。
発明の背景
シリコーン流体は、工業的にそして家庭的に今日広く用いられておりそしてば
く大な数の工業製品がシリコーン流体を含んでいる。
シリコーン流体の大きな欠点の一つは、表面に一たび適用すると、それらが極
めて除去するのに困難なことである。更に、それらはそろそろと移動する傾向を
有し、すなわち移動しそして隣接表面にわたって拡がる傾向にある。例えば、室
の一つのすみにおける滑材の如きシリコーン流体の適用は、すぐに該室の表面、
例えば床、壁、家具の全面にわたってシリコーンフィルムの発生に至る。
化学的手段によりシリコーン流体を除去する公知方法は、ほとんどなくそして
大部分シリコーンの加水分解、すなわち比較的手粗い方法に基づく。
ノル,ウォルター:「Chemie and Technologie der Silicone」,Verag Chemi
e Gmbh ,第2版、1968,512頁において、洗剤溶液に基づく溶剤を組合わされた
高温での酸性加水分解が推賞されている。ヨーロッパ特許0199227 は、繊維、ヤ
ーン又はシース様繊維材料からシリコーンを除去する方法を開示しており、ここ
においてシ
ロキサン結合を可逆的に切断し得る界面活性平衡触媒、例えば硫酸およびリン酸
の有株エステル並びに有株アンモニウム化合物の水性溶液が、高温でそして高pH
又は極めて低いpHで用いられる。プロセスにおいて適用される活性物質は環境的
に望ましくない。
英国特許明細書1,267,509 は、ガラス表面例えば自動車の窓ガラスからシリコ
ーン−含有物質を除去するための組成物を開示しており、これは活性物質とし酸
化セリウムおよび有株洗剤又は界面活性剤を含有する。開示された組成物は、使
用するのに高価である。
ヨーロッパ特許公開0437216 は、長鎖分枝カルボンを長鎖分枝アルコールとの
1種又はそれ以上のモノエステルを含んでなるシリコーン−溶解剤を開示する。
そのようなエステルの使用は、環境的見地から望ましくない;何故なら長鎖分枝
化合物は徐々に生分解性であるということが十分知られているからである。
チェコスロバキア基礎発明者証264707は、表面の塗装を可能にするため熱可塑
性樹脂の表面から全型剥離シリコーン流体の除去のための強ブライン(水中20−
50w/w%NaCl)の使用を開示する。
最後に、以下の内容が言及されるべきである;すなわちトリクロロエチレンの
様な或る種の溶剤は、シリコーン流体を溶解可能であるが、これらの溶剤環境に
対し周知の不都合な効果を有するか、又はそれらを用いる人々に対し重大な危険
をもたらす。
従って、たとえ多数の方法が、表面からシリコーン液体又はフィルムを除去す
るために公知であるとしても、いずれの方法も広く適用することはできずそして
全てのそれらは、人々への危険、環境への危険、処理されるべき表面上での望ま
しくない影響に関し又は使用するのに高価であることの欠点を有する。
発明の簡潔な説明
驚くべきことに、以下の内容が見出された;すなわち或る種の単糖又は二糖モ
ノエステルが、多様の表面からシリコーン流体又はシリコーン流体を含有する組
成物を容易かつ有効に除去する能力を有する。
これらのエステルは、好ましくは0.001 −10%の濃度で、より好ましくは0.00
5 −8%の濃度で、特に0.01−5%の濃度で水性溶液中で適用され得る。除去又
は洗浄効果は、表面並びに除去されるべきシリコーン流体又はシリコーン−含有
組成物のタイプに応じ、機械的処理と共に又は機械的処理なしで得ることができ
る。
環境的理由により、C8〜C22の鎖長を有する直鎖脂肪酸の単糖又は二糖モノ
エステルを用いることが好ましい。より短い脂肪酸のエステルは、或る種のタイ
プのシリコーン流体に対し好ましい。
本発明方法には幾つかの利点があり、例えば温和な条件、しばしば室温下で簡
単でかつ容易な洗浄並びに活性化合物、すなわちモノエステルの低消費の利点で
ある。また、活性モノエステルは、皮膚および目に対し非刺激性でありそして非
毒性である。更に、活性モノエステルは極めてすみやかに生分解されそして低い
溶液毒性を示す。
本発明方法で適用されるエステルの効率、低毒性および非毒性および非刺激性
に起因する別の利点は、シリコーン流体に対する新たな適用範囲が可能となるこ
とであり、すなわち、除去に対するシリコーン流体の抵抗性の故にこれまで不可
能であった適用が可能となった。新しい適用の例は、金型剥離剤、金属加工液と
して、又はビヒクル洗浄用である。従って、それがその機能を遂行した後、実質
的に完全なシリコーンの除去が必要である場合の全ての適用が、本発明に因り今
や可能である。
本発明は、表面からシリコーン流体又はシリコーン含有組成物を
実質的に除去する方法に関し、この方法は、次の工程:
a)有効量の一般式I
R−COO−X−OR1 (I)
(式中、Xはアノマー炭素原子に基−OR1を有しそして第一級ヒドロキシ基に
基R− COO−を有する単糖又は二糖部分を表わし;
R1は、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル又は次の基;
の一つを表わし;
ここにおいて、Yはメチレン又はエチレンを表わし;
そして、
Rは所望によりヒドロシキで置換された4〜24個の炭素原子を有する直鎖又は分
枝鎖アルキル、アルケニル、アルカジエニル又はアルカトリエニルを表わす)
で表わされる化合物又はその混合物を表面に適用し;次いで
b)所望によ表面を機械的処理に委ね;次いで
c)表面からシリコーン流体およびモノエステル化合物(1以上)を除去する
こと
を含んでなる。
シリコーンは、有機的に変性された石英の構造に類似した構造および交互のケ
イ素および酸素原子の骨格を有するポリオルガノシロキサンである。骨格は、炭
素をベースにした側鎖例えばメチルの導入を介して種々の方法で変性できる。ジ
メチルをベースにしたシリコーンは、分子の分離量および配置に応じて天然に流
体、樹脂又は
ゴム弾性である。シリコーン流体もまた、シリコーン油又は未硬化シリコーンと
して公知である。
シリコーン流体は、0.65〜2,000,000mm2/s(1mm2/s=1cs)の範囲内の
粘度に相当する2から1000以上のケイ素原子数を鎖中に有する線状ポリマーであ
る。同じ粘度を有する枝分れポリマーもまた、シリコーン流体として分類され;
これはまた時として揮発性シリコーンとしても言及されているポリオルガノシク
ロシロキサンに対しても適用される。各ケイ素原子は中間酸素原子を介して次に
連結している。ケイ素の自由原子価は、有機基、第一級メチル基で飽和されてい
るが、ときとしてフェニル、ビニル又はアミノ基で飽和される。
従って、シリコーン流体は、他の有機基、例えばポリグリコールを結合する手
段として、分子内に反応基例えばアミノを導入することにより変性され得るか、
又はそれらは種々の固体物質例えば種々のタイプのシリカエーロゲルおよびキセ
ロゲルおよび疎水性シリカと組み合せることができ、又は線状ポリマーおよびシ
クロポリマーを組み合せることができる。生成シリコーンコポリマー流体は、元
の流体の形質とは著るしく異なる性質を有するであろう。
シリコーン流体の例は、ポリジメチルシロキサン並びにポリアルキレンオキシ
ドとそのコポリマー;ポリジメチルシクロシロキサン、例えばそのテトラマーお
よびペンタマー、並びに例えばポリジメチルシロキサンとその混合物;ポリメチ
ルフェニルシスキサン;トリメチルポリシロキサン;およびステアロキシトリメ
チルシランワックスである。
シリコーン流体は、透明で、味がなくそして無臭の液体であり、この液体は生
理学的に適合でき、そしてそれらの粘度は広範囲の温度で事実上一定に保持され
る。シリコーン流体は、約−60℃〜約 3
00℃の温度範囲内で高度に安定であり、該シリコーン液体は低温度で流動可能で
ありそして秀れた絶縁性および低表面張力を有する。
更に、シリコーン流体は非常に望ましい性質、例えばはっ水性、減摩性、低揮
発性および良好なせん断安定性、すなわちシリコーン流体は高度の化学的不活性
および耐傾性に対する抵抗性を有する。
シリコーン流体の有利な性質は、それらをして極めて有用な物質としこれらの
物質は、エマルション、グリース、接着剤、シーラント、被覆剤および特殊薬品
の基礎を形成し得る。
従って、シリコーン流体は、多様の用途において、例えばプラスチック添加剤
、油圧流体、制振流体、消泡剤、はっ水剤、含浸剤、剥離剤、粒子および繊維処
理剤、化粧添加剤、艷出剤、滑材、界面活性剤および熱伝達媒体において有用で
ある。
本明細書および請求の範囲において、語句「シリコーン流体」は、約0.65〜2,
000,000mm2/sの範囲内に、好ましくは約0.65〜150mm2/sの範囲内に、又は約
150 〜10,000mm2/sの範囲内に又は約10,000〜1,000,000mm2/sの範囲内に、
特に約10〜150mm2/sの範囲内に又は約150 〜10,000mm2/sの範囲内に又は10,
000〜700,000mm2/sの範囲内に粘度を有する直鎖又は分枝鎖ポリオルガノシロ
キサン化合物、ポリオルガノシロキサン化合物又はそれらのコポリマーを意味し
、ここにおいてケイ素原子の自由原子価はメチル基により完全に又は部分的に飽
和されている。メチル基で部分飽和される場合において、残りの自由原子価はア
ミノ、ファニルおよびビニル基から選ばれる基で飽和される。
本発明で用いられる語句「シリコーン含有組成物」は、シリコーン流体を含ん
でなる組成物に関する。
本発明で用いられる語句「表面」は、シリコーン流体又はシリコーン含有組成
物で処理に委ねられ得る全ての表面に関する。表面の
例は、あらゆる硬い表面、例えば金属、プラスチック、ゴム、板、ガラス、木、
紙、コンクリート、岩、大理石、石こうおよび所望により例えば塗料、エナメル
等で塗布されるセラミック材料であってよく;又はあらゆる軟かい表面、例えば
あらゆる種類の繊維(糸、繊維、植物繊維、ロックウール、毛等)、皮膚(ヒト
又は動物)、およびつめであってよい。
以下のように理解されるべきである;すなわち本発明方法を用いることにより
、シリコーン流体又はシリコーン含有組成物は完全に除去できるか又は実質的に
除去でき、すなわち清浄された表面は視覚検査により清浄な印象を与えおよび/
又は本発明方法を適用する前の表面上に存在するシリコーン流体又はシリコーン
含有組成物の量を比較して、ケイ素の実質的除去、例えば好ましくは少なくとも
70%、より好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも95%、特
に少なくとも98%の除去を示すアッセイに委ねることができる。
本発明方法の好ましい態様において、式I
(式中、Xは、アノマー炭素原子に基−OR1を有しそして第一級ヒドロキシ基に
基R− COO−を有する単糖部分を表わし;
R1は2〜6個の炭素原子を有するアルキル又は次の基
(式中、Yはメチレン又はエチレンを表わす)
の一つを表わし;そして
Rは4〜24個の炭素原子を有するアルキルを表わす)
で表わされる化合物を用いる。
式Iにおいてフルクトースは別として、全ての単糖において、−OR1で示され
る基は末端アノマー炭素原子に結合している。
親単糖並びに式Iの化合物は、α−形又はβ−形であってよい。α−形又はβ
−形のそれぞれの化合物の混合物はまた、本発明方法において適用され得る。
好ましくは、R1は水素又は直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、好ましくは未置
換アルキル基である。好ましくは、基R1は1,2,3又は4個の炭素原子を有
する。特異的で好ましい基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルお
よびブチル、最も好ましくはエチルおよびイソプロピルである。
Xは、ヘキソース又はペントース単位から成る単糖又は二糖部分である。部分
Xに対応する好ましい単糖又は二糖は、グルコース、フルクトース、リボース、
マンノース、ガラクトース、トレハロースおよびスクロースであり、最も好まし
い粉糖はグルコース、スクロースおよびガラクトースである。
式I中の部分R−COO −に相当する好ましい脂肪酸は、好ましくは6〜22個
の炭素原子、より好ましくは8〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪
酸である。そのような好ましい脂肪酸の例は、ヘキサン酸、ヘブタン酸、オクタ
ン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オ
クタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、シス−9−オクタデセン酸、シス,
シス−9,12−オクタデカジエン酸、シス,シス,シス−9,12,15−オクタデ
カトリエン酸および12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸
脂肪酸部分の最適鎖長の選択は、洗浄されるべき表面並びに除去されるべきシ
リコーン流体のタイプに依存しそして当業者の通常の
実験によって決定され得る。
本発明方法の他の好ましい態様において以下の化合物の内から選ばれる前記式
Iの化合物が用いられる:
エチル 6−O−ヘキサノイルグルコシド、エチル 6−O−ヘプタノイルグル
コシド,エチル 6−O−オクタノイルグルコシド,エチル 6−O−ノナノイ
ルグルコシド、エチル 6−O−デカノイルグルコシド、エチル 6−O−ドデ
カノイルグルコシド、エチル 6−O−テトラデカノイルグルコシド、エチル
6−O−ヘキサデカノイルグルコシド、エチル 6−O−オクタデカノイルグル
コシド、エチル 6−O−エイコサノイルグルコシド、エチル 6−O−ドコサ
ノイルグルコシド、エチル 6−O−シス−9−オクタデセノイルグルコシド、
エチル 6−O−シス,シス−9,12−オクタデカジエノイルグルコシド、エチ
ル 6−O−シス,シス,シス−9,12,15−オクタデカトリエノイルグルコシ
ド、イソプロピル 6−O−ヘキサノイルグルコシド、イソプロピル 6−O−
ヘプタノイルグルコシド、イソプロピル 6−O−オクタノイルグルコシド、イ
ソプロピル 6−O−ノナノイルグルコシド、イソプロピル 6−O−デカノイ
ルグルコシド、イソプロピル 6−O−ドダカノイルグルコシド、イソプロピル
6−O−テトラデカノイルグルコシド、イソプロピル 6−O−ヘキサデカノ
イルグルコシド、イソプロピル 6−O−オクタデカノイルグルコシド、イソプ
ロピル 6−O−エイコサノイルグルコシド、イソプロピル 6−O−ドコサノ
イルグルコシド、イソプロピル 6−O−シス−9−オクタデカノイルグルコシ
ド、イソプロピル 6−O−シス,シス−9,12−オクタデカジエノイルグルコ
シド、イソプロピル 6−O−シス,シス,シス−9,12,15−オクタデカトリ
エノイルグルコシド、プロピル 6−O−ヘキサノイルグルコシド、プロピル
6−O−ヘプタノイルグルコシド、プロピル 6−O−オクタノイルグルコシド
、プロピル 6−O−ノナノイルグルコシド、プロピル 6−O−デカノイルグ
ルコシド、プロピル 6−O−ドデカノイルグルコシド、プロピル 6−O−テ
トラデカノイルグルコシド、プロピル 6−O−ヘキサデカノイルグルコシド、
プロピル 6−O−オクタデカノイルグルコシド、プロピル 6−O−エイコサ
ノイルグルコシド、プロピル 6−O−ドコサノイルグルコシド、プロピル 6
−O−シス−9−オクタデセノイルグルコシド、プロピル 6−O−シス,シス
−9,12−オクタデカジエノイルグルコシド、プロピル 6−O−シス,シス,
シス−9,12,15−オクタデカトリエノイルグルコシド、ブチル 6−O−ヘキ
サノイルグルコシド、ブチル 6−O−ヘプタノイルグルコシド、ブチル 6−
O−オクタノイルグルコシド、ブチル 6−O−ノナノイルグルコシド、ブチル
6−O−デカノイルグルコシド、ブチル 6−O−ドデカノイルグルコシド、
ブチル 6−O−テトラデカノイルグルコシド、ブチル 6−O−ヘキサデカノ
イルグルコシド、ブチル6−O−オクタデカノイルグルコシド、ブチル 6−O
−エイコサノイルグルコシド、ブチル 6−O−ドコサノイルグルコシド、ブチ
ル 6−O−シス−9−オクタデセノイルグルコシド、ブチル6−O−シス,シ
ス−9,12−オクタデカジエノイルグルコシド又はブチル 6−O−シス,シス
,シス−9,12,15−オクタデカトリエノイルグルコシド。
本発明方法において用いられるモノエステルは、米国特許5,191,071 において
記載される如く又は通常の製造方法により製造できる。米国特許5,191,071 は、
以下の内容を開示している;すなわち一般式Iのモノエステルは、酵素的エステ
ル化に対する基質として、末端アノマー炭素原子にヒドロキシ基に2〜6個の炭
素原子を有す
るアルキル基、フェニル又はアルキルフェニルを用いることにより、そして反応
に対する他の基質として遊離脂肪酸又はそのエステルを用いることにより極めて
高収率で糖エステルの酵素的合成により製造できる。反応生成物は、アノマー炭
素原子でヒドロキシ基でアルキル基を有するアルキル基を有する糖エステルであ
る。このプロセスを用いることにより、80%;好ましくは90%以上、更により好
ましくは95%以上の式Iの化合物を含有する調製品を製造することが可能である
。プロセスによって適用できる酵素は、エステル結合を形成できる酵素である。
この群の酵素は、ヒドロラーゼ、例えばエステラーゼ、およびリパーゼである。
プロセスによって適用される酵素は、可溶性の状態で使用でき又は酵素は所望に
より固定化できる。また、酵素は対象の特異的反応に関しそれらの反応性を最適
化するために、化学的方法又は遺伝的方法により修飾され得る。プロセスによっ
て用いられ得る特異的酵素の例は、ブタの膵臓リパーゼおよび例えばアスペルギ
ルス(Aspergillus)、リゾプス(Rhizopus)、シュードモナス(Pseudomonas)、エ
ンテロバクテリウム(Enterobacterium)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)
、ゲオトリシウム(Geotricium)、ペニシリウム(Penicillium)、ムコーム(Muco
r)、カンジダ(Candida)、およびフミコラ(Humicula)の菌株から得られる微生
物リパーゼである。好ましい菌株の例は、ムコールマイヘイ(Mucor Miehei)、
カンジダアンタルクチカ(Candida antarctica),DSM3855,DSM3908およびDSM
(ブダペスト条約に従いそれぞれ1986年9月29日、1986年12月8日および1986年
12月8日にドイッチェザンムルグフォンマイクロオルガニズメンに寄託された)
、シュドモナスセパシア(Pseudomonas cepacia),DSM3959(1987年1月30日に寄
託)、およびフミコララヌギノサ(Humicola lanuginosa),DSM3819およびDSM410
9(それぞれ1986年8月13日および
1987年5月4日に寄託された)である。別のリパーゼが、フミコラブレビスポラ(
Humicola brevispora)、ブレビス(brevis)var.サーモイデ(thermodea)および
インソレンス(insolens)から得ることができこれらの菌株は、それぞれ1987年
5月4日、1987年5月4日そして1981年10月1日にNOs.4110,4111および1800
のもとでDSM に寄託された。追加のリパーゼは次の菌株から得ることができ、こ
の菌株は次の示された寄託番号:カンジダアンタルクチカ(Candida antarctica)
:CBS 5955,ATCC 34888,NRRL Y-8295,CBS 6678,ATCC 28323,CBS 6821 and
NRRL Y-7954);カンジダツクバエンシス(Candida tsukubaensis):CBS 6389,AT
CC 24555 and NRRL Y-7792;カンジダアウリクラリエ(Candida auriculariae):
CBS 6379,ATCC 24121 and IFO 1580; カンジダフミコラ(Candida humicola):C
BS 571,ATCC 14438,IFO 0760,CBS 2041,ATCC 9949,NRRLY-1266,IFO 0753
およびIFO 1527およびカンジダホリオラム(Candida foliorum):CBS 5234 and A
TCC 18820のものでセントラルブユーロフォールジーメルクルテレン(CBS)、アメ
リカンタイプカルチュアコレクション(ATCC)、アグリカルチュラルリサーチカ
ルチュアコレクション(NRRL)およびインスティチュートオブファーメンテーシ
ョン、大阪(IFO)から公衆に対し自由に入手可能である。
プロセスは、一般式HO−X−OR1(式中、XおよびR1は各々先に定義した意味
である)のグリコシドを、一般式R−COOR2(式中、R2は水素又は低級アルキル
を表わす)の酸又はそのエステルを、酵素の存在下で単に混合することによって
行うことができ、そして所望により反応は酵素が所望の活性を示中溶剤中で行う
ことができる。好ましくは、溶剤は添加されない。もしも有機溶剤を用いる場合
、酵素に対し有害な作用を与えるべきでない。そのような溶剤の例は、ケトン類
、炭化水素類およびエーテル類である。好ましい
溶剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよび2−ブタノンである。好ましくは
、反応する媒は、非水性であるか又は適用される酵素の良好な反応性および寿命
を確保するのに必要とされるのに近い量のみを含む。好都合には、反応温度は20
〜 100℃の範囲内、好ましくは約30〜80℃の範囲内にある。好ましくは、反応は
低圧で、好ましくは約0.05バール未満で行なわれる。
本発明方法で用いられるモノエステルは、希水性溶液中のみで、すなわち活性
成分のみとしてそしてビルダー又は他の成分なしで用いることができる。一定の
条件下、例えば粒子除去を助成するため又は洗浄されるべき表面上に粒子が再付
着することを防げるため、当業者に公知の他の洗剤成分を用いてモルエステルを
製剤化することが好ましい。
本発明の好ましい態様において、モノエステルは水性溶液中、好ましくは約10
0ppm〜約100,000ppmの濃度で、より好ましくは約500ppm〜約80,000ppmの濃度で
、特に約1,000ppm〜約50,000ppmの濃度で適用される。
もう一つの面において、本発明は表面からシリコーン流体又はシリコーンエラ
ストマー又はシリコーン含有組成物を実質的に除去することのできる式Iのモノ
エステルを含んでなる洗浄組成物に関する。そのような洗浄組成物は、有効量の
式Iの化合物および水および所望により1以上のビルダー、界面活性剤および/
又は添加剤を含んでなる。洗浄組成物のpHは好ましくは中性又は中性に近く、例
えば8以下であり、これによりアルカリ又は高アルカリ洗浄組成物の通常の危険
は避けられ得る。
式Iの化合物を含んでなる洗浄組成物は、あらゆる好都合の形態、例えば粉末
又は液体であってよい。
液体および粉末洗浄組成物は、“Frame formulations for liqui
d/powder heavy-duty detergents”(J.フォルベ:Surfactantsin Consumer P
roducts.Theory,Technology and Application,Springer-Verlag 1987)に準
じて、非イオン界面活性剤の全て又は一部(例えば50%)を式Iの化合物で置換
することにより調合できる。従って、液体洗浄組成物は式Iの化合物に加えて、
アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性
剤、泥制御剤、起泡増進剤、酵素、ビルダー、配合助剤、キレート化剤、耐蝕剤
、蛍光増白剤、安定剤、布帛柔軟剤、芳香剤、染料および水を含んでもよい。
同様に、粉末洗浄組成物は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチ
オン界面活性剤、両性界面活性剤、泥制御剤、起泡増進剤、キレート化剤、イオ
ン交換剤、塩基性物質、補助ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、漂白安定剤、布帛
柔軟剤、抗再付着剤、酵素、蛍光増白剤、耐蝕剤、芳香剤、染料および青味剤、
配合助剤、充てん剤および水を含んでなることができる。
以下の内容は注目すべきである;すなわち本発明の洗浄組成物は、洗浄プロセ
スにおいて通常適用されるあらゆるpHおよびあらゆる温度で有用であろう。従っ
て、本発明方法は、好ましくは約5℃〜約 100℃のあらゆる温度で、より好まし
くは約70℃以下の温度で好ましく適用できる。或る表面から、或るタイプのシリ
コーン流体又はシリコーン含有組成物を実質的に除去するため、本法を室温以上
で適用することが好都合であろう。最適又は最適に近い温度の決定は、当業者に
日常の実験した事業である。また、本発明方法はあらゆるpHで適用できる。しか
し、安定性および環境上の理由により本法を中性又は中性に近いpHで適用するこ
とが好都合であろう。自動車修理業において必らずみられる問題は、シリコーン
流体をベースとするラッカーシーラントで処理された車を修理することである。
適用される塗用の新しい層は、均一に拡がらずに、シリコーンに起因して小さな
穴を残すであろう。その結果、完全な表面が得られる前に、4〜6回の連続塗装
操作がなされなければならない。
ありふれた問題が、シリコーンをベースにした接合充てん剤が広く適用される
建設業おいて経験されている。充てん剤が適用される隣接表面の予期しない汚染
物は、直ちに除去されない場合、例えばナイフを用いてがまんしてこすり取りそ
して湿布を用いて力強くこすることを要求する。その時でさえ、表面を完全に洗
浄することは通常可能でない。
また、シリコーン流体の流出は、除去するため、集中的にこすって取り除くこ
とが必要でありそしてしばしば汚染された表面を十分に洗浄することは、簡単に
は可能でない。
本発明は、前記特徴の問題を解決できると信じられている方法を提供する。
従って、以下の内容が企図されている;すなわち、本発明方法は石油化学産業
、農薬産業、食品産業、染剤産業、タイヤ産業において、汚水処理において、化
粧産業、医薬産業、繊維産業、皮革産業、プラスチック産業、金属産業において
、建設業においておよび表面および塗装産業において有用である。
更に、以下の内容が企図される;すなわち本発明方法はシリコーン含有毛ケア
製品、皮膚ケア製品、防臭剤、装飾化粧品、経口衛生製品、軟化製品、はっ水製
品、脱泡製品、接着促進製品、縫糸滑剤、ラッカー添加剤、熱安定性塗料、機能
塗料、耐蝕保護製品、コイル塗装製品、シリコーンアルキド樹脂、印刷インキ、
フーゼル油、剥離剤、医薬製品、溶接添加剤、自動車艷出剤に対し有用であり;
および/又はそのような製品の調製又は製造において用いられるシリコーン流体
の除去に対して有用である。
次のように考えられている;すなわち本発明方法はまたシリコーンエラストマ
ー又はシリコーン樹脂(半硬化又は硬化シリコーン)又はそのような物質を含ん
でなる組成物を除去するため有用であることが判明する。
本発明は、また更に次の実施例により説明され、この実施例はいかなる場合も
本発明の範囲を制限するものではない。
例1
顕微鏡で使用するための対物ガラスを通常のシリコーン含有実験用コックスト
ッパー(cockstopper)グリースを用い潤滑油を差した、しかる後それをエチル
−6−O−デカノイルグルコシドの 0.5%水性溶液で充てんした実験用超音波清
浄浴中にそれを装入した。超音波を5分間作動させその間シリコーン層は小滴に
濃縮しこれは最後にガラススライドに残りそして浴の表面に生じた。
例2
球状の実験フラスコを加熱するために用いたシリコーン液体(ダウコウニング
社より供給、ブランド名DC200,100mm2/sの粘度を有する)で汚染した真空蒸
留用の球状実験フラスコを、エチル−6−O−デカノイルグルコシドの10%水性
溶液中で浸軟した布でこすった。
フラスコを水道水ですすぎそして最後にきれいな布でふき乾燥させた。その結
果、フラスコ表面は完全にきれいになった。
同様の手順を用い、同じシリコーン流体が流れたビニル床を清浄にするために
用いた。再たび、床は視覚検査により評価して完全にシリコーンは除去された。
例3
回転ドア用の金属フレーム中のガラスを安定化させるために用い
られるシリコーン目地材の4日経過した偶発的スポットを、ガラスに水迫水のエ
チル−6−O−デカノイルグルコシド 0.5%溶液を噴霧し、次いで清浄布でふく
ことによりガラスから効率的にかつ容易に除去した。
例4
台所テーブルを汚染したシリコーン目地材および数ケ月経たよごれを、エチル
6−O−ココナッツ脂肪族アシルグルコシドの10%溶液中で浸軟した布を用いて
こすり、引き続き洗浄は湿った布でふくことにより容易に除去した。
例5
インシュリン用の洗浄フラスコに対して用いられる洗浄機を、内側をシリコー
ン処理したアンプルを洗浄するために時々用いた。これは洗浄機内側表面上にシ
リコーンを残し、これは次の多くの洗浄サイクルにおいて非シリコーン処理フラ
スコに移される。その結果、フラスコ上のラベルは落ちる。通常、シリコーン油
が除去される前に5〜6回の洗浄サイクルを必要とする。
シリコーン化アンプル用に用いられるシリコーン流体は、ワッカー−ケミ−Gm
bH,ミュンヘン,ドイツより供給されるワッカーシリコーン流体エマルションE
2(非反応媒質−粘度の35%分散(2000−7500mpa /s)であった。これは、ア
ンプル上に1%の固形分で適用された。
幾つかの試験において、エチル−6−O−デカノイルグルコシドの 0.2%溶液
を用いて単一洗浄サイクルにより、完全に機械はきれいにされたことが判明した
。
例6
金属表面からシリコーン油の除去
本発明方法の洗浄効果を実証するため以下の実験を行った。
材料および方法:
−15個のステンレス鋼ディスク(タイプ18/8−Cr/Ni)、各々直径60mmであり
そして3mmの厚さを有するマットを同等の外観および性能のため選択した。
−シリコーン流体:PDMS(ジメチルシラン、ワッカーケミーから入手、タイプワ
ッカーAK350,350CP)。
−予備洗浄剤:デコネックス(ボルネルケミー)。
−脱イオン水。
−カロマメーター(ミネソタCR300 、測定ヘッド8mm)。
15個のディスクを、デコネックス(Deconex)20%中室温で一夜洗浄にした。ディ
スクを温水道水で洗浄し、引いで脱イオン水ですすぎそしてきれいなタオルで乾
燥させた。ディスクを約60分間放置して平衡状態に置いた。各ディスクを釈量し
そして反射率をクロマメーターを用い平均3回の測定をして測定した。ディスク
を、約1時間以内に直径約35−40mmに移動せしめられる、水平に置かれたディス
クの中央に6滴のシリコーン流体を適用することにより汚した。汚したディスク
を釈量し次いで反射率を測定した(3回の測定の平均)。5個の1000lのビーカ
ーを、試験すべき洗浄又は洗剤溶液 800mlで各々充てんし次いで室温で磁気撹拌
器上に置いた。3個のディスクを各ビーカー内に浸漬し次いで激しい環境下に5
分間保った。ディスクをビーカーから除去し、乾燥しそして1時間平衡化せしめ
、ついで釈量し次いで反射率を測定した(3回の測定の平均)。
次の化合物を試験した:
A:エチル 6−O−デカノイルグルコシド
B:エチル 6−O−ドデカノイルグルコシド
C:エチル 6−O−ココナッツ脂肪族アシルグルコシド
D:商標名「Plantaren 600」(ヘンケルKGaA,ジュセルドルフ,
ドイツ国より製造)のもとで市販されているC12−C14アルキルポリグリコシド
(DP1,4)。
E:商標名「APG225LIP」(ヘンケルKGaA,ジュセルドルフ,ドイツ国より製造
)のもとで市販されているC8−C10アルキルポリグルコシド(DP1,6)。
F:商標名「BRIJ52」(ICIケミカルズおよびポリアーズ社、ミッデルポラフ,
クリーブランド,米国より製造)のもとで市販されているC16−アルキルエーテ
ルエトキシラート(C6EO2)[AEO ]。
G:商標名「RBS35 」(ビーアンドベルステン,デンマーク国より市販、カタロ
グNo.27000;カールロースGmbH+Co.,カールスルーレ,ドイツ国より製造)の
もとで市販される通常の実験室用洗浄剤。
試験すべき化合物の一つを各々含有する洗浄組成物を、対象のエチルグリコシ
ドを60℃に加熱し、該エステルを煮沸脱イオン水と混合し次いで冷脱イオン水を
用い最終希釈を行うことにより製造した。
化合物D,E,FおよびGは、比較化合物である。各々の化合物を種々の濃度
、すなわち最適洗浄効果を与える最小濃度を決定するため洗浄又は洗剤溶液中の
活性化合物の濃度(w/w%)で試験した。
洗浄効果は、汚染されたディスクおよび洗浄されたディスクの反射率測定にお
ける差異によって表わされる、何故なら本発明方法を適用後金属ディスク上に存
在するシリコーンの量は余りに少なすぎてディスクを希釈することによっては測
定することができなかったからである。
洗浄効果は「光反射の回復率%」として表わされる。
結果を表1に示す。
データより、次の内容を結論づけることができる;すなわち化合物AおよびB
(それぞれ、エチル 6−O−デカノイルグルコシドおよびエチル 6−O−デ
カノイルグルコシド)は、公知の通常の洗浄組成物DおよびE(プラタレンおよ
びAPG225)と同等の良好な洗浄効果を有するが、しかしより効率的(同等の良好
な効果を得るために要求される最低用量)、より経済的であるか又はより環境に
優しいものである。
例7
ガラスおよびプラスチック表面からシリコーン油の除去
ガラスおよびプラスチック表面に対する本発明方法の洗浄効果を実証するため
、次の実験を行った。
材料および方法:
−各々直径60mmを有しそして厚さ4mmを有する、15個のフロートガラスディスク
を、同等の外観および性能に対して選択した。
−各々直径60mmを有しそして厚さ4mmを有する、15個のPPMMAアクリルディスク
を、同等の外観および性能に対して選択した。
以下の例外を除き例6で記載した如き方法であった:
1.ディスクを汚染前デコネックス(Deconex)20%中で10分間洗浄した。
2.ガラスおよびアクリルディスクは透明であったので、反射率は背景として
標準の白色紙を用いて測定した。
次の化合物を試験した:
B:エチル 6−O−ドデカノイルグルコシド
G:商標名「RBS35 」(ビーアンドベルステン、デンマーク国より市販、カタロ
グNo.27000;カールロースGmbH+Co.,カールスルーレ,ドイツ国より製造)の
もとで市販された通常の実験室用洗浄剤。
洗浄効果は、「シリコーンの除去重量%」として表わされる。
結果を表2に示す。
データから次の内容が結論できる;すなわち化合物B(エチル6−O−ドデカ
ノイルグルコシド)は、公知の通常の洗浄組成物G(RBS35)の同様に良好な洗浄
効果を有するが、しかし少なくとも10倍より有効であり(同様に良好な効果を得
るために要求されるより少ない最少用量)そして同様に、エチル 6−O−ドデ
カノイルグルコシドは化合物G(RBS35)よりもアクリルプラスチックに対しより
良好な洗浄効果を有しそしてはるかにより有効である(少なくと
も20倍)。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AU,
BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,EE,F
I,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MN,MW,
NO,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,T
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