JPH09501992A - 環境への悪影響を最小限にしたパルプ製造装置 - Google Patents

環境への悪影響を最小限にしたパルプ製造装置

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JPH09501992A JP7508114A JP50811495A JPH09501992A JP H09501992 A JPH09501992 A JP H09501992A JP 7508114 A JP7508114 A JP 7508114A JP 50811495 A JP50811495 A JP 50811495A JP H09501992 A JPH09501992 A JP H09501992A
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ブライアン エフ. グリーンウッド
ヨハン グリックセン
エルッキ キイスキラ
エスコ マッテルマキ
ジョセフ アール. フィリップス
ジャン ティー. リチャードセン
ロルフ リイハム
ジャルモ ソダーマン
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Abstract

(57)【要約】 回収ボイラーを有するセルローズパルプ工場から排出される廃液が最小限化される。漂白プラントおよび/またはプロセス流からの逸出余液が濃縮され、回収ボイラーで焼却される。回収ボイラーからの排煙に存在する粒子が取り除かれ、カリウムと塩素分とを含む塩、および硫黄化合物が含まれる灰分が得られる。灰分からカリウムと塩素分とを取り除き、一方硫黄含有化合物を回収ループへ戻す。その結果、硫黄、塩素分、およびカリウムの水準のバランスが取れる。硫黄は、普通、回収ボイラーへ入る直前の黒液流へ直接戻される。緑液は、メルトから製造される。緑液から金属を除くのが好ましい。その後で緑液の苛性化(例えば、静置沈降および/または濾過による)、および緑液の結晶化を行って水酸化ナトリウムを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】 環境への悪影響を最小限にしたパルプ製造装置 発明の背景および概要 環境をいかなる形でも実質的に汚染しないパルプ工場をつくることは、紙パル プ技術に携わる者の長年の切望であった。過去においてこのようなパルプ工場に 対して多くの提案がなされてきたが、望まれた目標は未だ達成されていない。例 えば、「閉鎖系の工場」は1970年代にオンタリオ州サンダーベイ(Thun der Bay)のグレートレイクフォレストプロダクツ社(Great La kes Forest Products Ltd.)で建設されたが、回収ボ イラーなどで塩素の蓄積による腐食の問題が起こった結果、工場を長期間閉鎖系 で運転する事は困難であった。これについては論文「グレートレイクフォレスト プロダクツ社の閉鎖サイクルの工場における漂白」(Pattyson et al:Pulp & Paper Canada、Vol.82,No.6、p p.113−122(1981))を参照されたい。このグレートレーク工場で は、漂白プラントからの廃液は、米国特許第4、039、372号に概述されて いるように、薬剤回収ルートに直接導入されている。 もっと最近では、パルプ工場の閉鎖系化は、酸性の廃液は蒸発させ、Eo漂白 プラント廃液は褐色原料洗浄機へ戻すことによって行うことができるものと、エ イチ ピー ディー およびジャコー ホイリー(HPD and Jaakk o Poyry)によって提唱されている。しかし、このアプローチも、漂白薬 剤の効果的な蒸発を行わせることが可能なプラスチック製落下液膜式蒸発器を採 用したにもかかわらず、朱だ成功しているとはいえず、最終的には成功するもの とも信じられていない。望ましくない薬剤が、Eo工程からの流れを褐色原料洗 浄工程へ導入することに由来して蓄積するからである。 本発明によれば、既存の技術のみを用い、複雑な付加的な機器やプロセスを今 後開発する必要がなく、パルプ工場からの汚染性廃液を本質的に減少させてゼロ にし、最少量の固体排出物とし(この固体にも環境に許容し得る方法で使用でき る可能性があるようにし)、かつNOx、SOxのガス生成物の発生も最少にし 、パルプ工場からの有意の汚染ガスとしては炭酸ガスが唯一のものとする方法お よび装置が提供される。 これらの有利な結果を達成することが可能となる本発明の基本点の一つは、漂 白廃液を薬剤回収ループとは別に完全に処理して、廃液を特に望ましい形に までにし、その後で望ましい形になった薬剤を回収ループへ導入することである 。本発明の別の顕著な点の一つは、薬剤回収ループで生成される白液を実質的に 完全に酸化し、次いでこれを漂白工程へ戻し、多種の薬剤処理シーケンスの間の 適当なバランスがとれるようにすることである。所望の結果を得ることを可能と する本発明の顕著なもう一つの点は、パルプ処理並びに薬剤回収を行うに必要な 二酸化硫黄、硫酸、苛性液または苛性代替液、および(使用することができるな らば)二酸化塩素の実質的に全てを、廃液、排ガスそれ自体から直接パルプ工場 自家内で製造することである。漂白プラント廃液の量を最小限にし、この処理を 実際的にする別の要因は、進歩した蒸解技術にあり、ここの脱リグニンでは、蒸 解工程から排出されたパルプは、・・・顕著な強度ロスなしに・・・低カッパー No.(例えば、24または以下)を有し、次いでこのパルプを酸素脱リグニン に掛けてカッパーNo.をさらに低く(例えば、14またはそれ以下にまでに) し、その後で漂白を行い、市場性が高いパルプ(例えば、ISO白色度88〜9 0のパルプ)を製造することができる。 環境に最小限の影響しか与えずして市場性が高いパルプを製造することが本発 明によって可能であるということは、パルプ技術における量子力学的な飛躍的進 歩というものであって、この望ましい結果を達成するという長年感じられていた 必要性を満たすことを可能とするものである。 本発明の態様の一つによれば、蒸解カン、漂白プラント、および回収ボイラー 並びに薬剤回収ループを有するセルローズパルプ工場から排出される廃液を最小 限化する方法が提供される。本方法は、以下の工程からなる。すなわち、(a) 漂白プラントからの廃液を、焼却に十分な高濃度まで(例えば、蒸発によって) 濃縮すること。(b)濃縮された漂白プラント廃液を焼却して、ナトリウム、硫 酸塩、炭酸塩、および塩化ナトリウムを含有する残渣を生成すること。(c)残 渣を浸出して浸出液を生成すること。および、(d)浸出液の少なくとも相当な 部分を、回収ボイラーに関連している薬剤回収ループへ供給すること。 また、本方法は以下の工程を備えていることが好ましい。すなわち、(e)蒸 解カンから黒液を取り出すこと。(f)黒液の固体濃度を焼却に十分な高濃度ま で高めること。(g)濃縮された黒液を回収ボイラーで焼却して、メルトを生成 すること。(h)メルトおよび回収ルートへ供給された浸出液を含む回収ルート 物中から白液および/またはNaOHを生成すること。(i)白液の少なくとも 一部を酸化すること。および、(j)漂白プラントでは苛性液の代わりに酸化さ れた白液を用いること。 また、本発明においてはパルプ工場からの逸出余液を回収し、回収された逸出 余液を蒸発し、工程(b)を行うために濃縮漂白プラント廃液へこの濃縮逸 出余液を添加することも考えられている。逸出余液は蒸発の前に清澄化されるの が普通である。また、漂白プラント廃液から濃縮して取り出された水を処理し、 次にこの処理された水を漂白プラント中および他の工場内プロセスで洗浄水とし て使用する付加的な工程を備えるのも好ましい。 また、漂白プラントの必要とする実質的に全ての苛性液(またはほぼ完全に酸 化された白液)、硫酸、および工場内プロセスに必要な二酸化硫黄を、パルプ工 場内自体のプロセス廃液およびガス流から生成し、これらを外部の供給源からは ほとんど得る必要をなくする付加的な工程があるのが好ましい。 浸出液を回収ループへ供給するに先だって、浸出液を結晶化工程にかけ、得ら れた結晶を洗浄することが好ましい。浸出液にも塩化ナトリウムが含まれるのが 普通であり、塩化物を含む浸出液は漂白プラントに必要な二酸化塩素を実質的に 全て製造するのにプラント内で使用される。一価を超える価数の金属は全て浸出 結晶から洗浄によって除かれるので、これらの金属は回収ループから分離され、 漂白プラントから排出される。 漂白プラントからは、酸の廃液とアルカリの廃液の両方が排出されることがあ るが、この場合これら異なる廃液は最初は別々に蒸発(または他のやり方で濃縮 )し、次いでこれらを一緒にして、焼却前の最終蒸発(濃縮)にかけることが望 ましい。漂白プラントに対する漂白シーケンスを代表的に挙げると、一つはDE oPDnD(nは二つの二酸化塩素工程の間の中和工程を表す)であり、もう一 つの代表的漂白シーケンスはAZEoPZPであるが、他の漂白シーケンスもい ろいろ使用することが可能である。 また、本発明は、セルロース化学パルプの製造に由来する漂白プラント廃液か ら化学薬剤を回収する方法も包含し、この方法は、以下の工程、すなわち、(a )漂白プラントからの廃液を、(例えば、蒸発によって)濃縮し、濃縮された廃 液を生成すること、(b)濃縮された廃液を焼却して、残渣を生成すること、( c)残渣を処理して、ナトリウム、硫酸塩、炭酸塩、および/または塩化ナトリ ウムを回収すること、および、(d)回収されたナトリウム、硫酸塩、炭酸塩、 およびNaClを化学セルロースパルプの製造に使用すること、によって化学セ ルロースパルプの製造に由来する漂白プラント廃液から薬剤を回収することを含 む。 また、本発明は、パルプ工場でセルロース化学パルプを製造する方法であって 、二酸化硫黄、硫酸、および苛性液を必要とし、プロセス廃液とガス流とを有す る方法において、上記プロセス廃液とガス流とから、パルプ工場内で直接的に化 学パルプを効果的に製造するに必要とする全ての硫酸、二酸化硫黄、および苛性 液(または苛性代替液)を生成し、硫酸、二酸化硫黄、および苛性液を外部の供 給源から得る必要を実質的になくする方法を含むものである。 本発明の別の態様によれば、廃液の排出は最小限である化学パルプ製造装置が 提供される。本装置は、蒸解カン、蒸解カンに操作上連結されている薬剤回収ル ープ(回収ボイラーを含む)、少なくとも一本の廃液ラインを備えている漂白プ ラント、漂白プラントからの廃液ラインに接続されている濃厚廃液を得るための 濃縮手段(例えば、蒸発器)、蒸発手段からの濃厚廃液を焼却して、残渣を生成 する焼却炉、および、焼却炉残渣からナトリウム、NaCl、炭酸塩、および/ または硫酸塩を回収し、これらの回収された薬剤の少なくともある部分は回収ル ープへ供給する手段を備えるものである。また、水が漂白プラント廃液から回収 されるが、これは工場内の他の所で使用される。 蒸発器手段は、金属/プラスチック積層体を有する多段落下液膜式蒸発器が好 ましい。このような蒸発器は、商標「Zedivap」なる名前でフィンランド 、ヘルシンキのアールストローム社(A.Ahlstrom Corporat ion)、およびジョージア州ロスウェル(Roswell)のアールストロー ムリカバリー社(Ahlstrom Recovery Inc.)から入手可 能で、1992年11月12日に出願の同時係属出願第07/974、060号 (これは1991年11月18日に出願のフィンランド特許出願第915424 号に対応しているので、この開示内容を本明細書の参考文献として引用する)に 記載されている。他の形式の蒸発器も、例えば、脱塩用の蒸発器も使用可能であ るが、「Zedivap」蒸発器が特に有利であり、これを使うことによって漂 白プラント廃液の蒸発プロセスが実用的になる。更に、これら蒸発手段では、多 段の金属/プラスチック積層体蒸発器と焼却炉との間に濃縮器を備えても差し支 えない。 本発明の更に別の態様によれば、以下の装置が提供される。すなわち、化学セ ルロースパルプを漂白し、漂白の間に廃液を排出する漂白プラント、漂白プラン ト廃液を濃縮(例えば、蒸発)して濃厚廃液を得る手段、濃厚廃液を焼却して、 残渣を生成する焼却炉、残渣を処理してナトリウム、硫酸塩、NaCl、および /または炭酸塩を回収する手段、および回収されたナトリウム、硫酸塩、NaC l、および/または炭酸塩を化学セルロースパルプの製造の際の漂白に使用する 手段を含む装置である。 また、本発明は以下の装置も提供するものである。すなわち、パルプ工場中か ら排出される全ての廃液を処理してしまうことにより、廃液はパルプ工場から外 部の環境へは一切排出されないようにする手段、およびパルプ工場からの全ての ガス状排出物を処理してしまって、 SOxおよびNOxの量を最小限とし、主 要な悪影響ガスとしては炭酸ガスが唯一のものとする手段を含む装置である。 本発明の更に別の態様によれば、次の方法が提供される。すなわち、細砕セ ルロース繊維材をカッパーNo.約24またはそれ以下に蒸解すること、蒸解さ れたパルプをカッパーNo.約14またはそれ以下になるように酸素脱リグニン を行うこと、酸素脱リグニンされたパルプを漂白し、漂白廃液を得ること、漂白 廃液を濃縮して(例えば、蒸発して)濃厚廃液を得ること、濃厚廃液を焼却して 、残渣を得ること、残渣を処理して、蒸解、酸素脱リグニン、および/または漂 白工程に用いられる薬剤を該残渣から回収すると共に水をも回収することを含む 方法である。 上記の方法手順の別法として、漂白プラントに対し二酸化塩素製造用の化学プ ラントが付設されている工場においては、廃液を最小限にする方法には以下の工 程を含めることができる。すなわち、これらの工程とは、(a)漂白プラントか らの廃液を、焼却に十分な高濃度まで濃縮すること、(b)濃縮された漂白プラ ント廃液を焼却して、ナトリウム、硫酸塩、塩化ナトリウム、および炭酸塩を含 有する残渣を生成すること、(c)工程(b)からの残渣を硫酸とともに蒸留し てガス状塩化水素と残留残渣を生成すること、(d)工程(c)からのガス状塩 化水素を二酸化塩素製造用の化学プラントに使用すること、および、(e)工程 (c)からの残留残渣を回収ループへ送ることである。 回収ループには回収ボイラーが含まれるのが好ましく、工程(e)は、残留残 渣を回収ボイラーへ直接か、もしくは先ず蒸発器へ送り、次いで回収ボイラーへ 送るように行われる。また、残留の残渣を処理して、工程(e)の実施に先だっ て重金属および遷移金属を除去することも差し支えない。また、工場には硫化水 素およびメチルメルカプタンガスを含む非凝縮性のガス系があるのが普通であり 、次の工程が設けられる。すなわち、これらの工程とは、(f)非凝縮性のガス 系の非凝縮性のガスを燃焼し、ガス状二酸化硫黄を生成すること、(g)ガス状 二酸化硫黄を硫酸へ転化すること、および(h)工程(g)からの硫酸を工程( c)に使用することである。工程(g)は湿式硫酸法(WA)で行うのが好まし い。工程(f)と(g)との間に、更に工程(i)を設けてもよい。工程(i) とは工程(f)からのガス状二酸化硫黄を亜硫酸ナトリウムと水と反応させて、 濃厚重亜硫酸ナトリウムを生成させ、この濃厚重亜硫酸ナトリウムを触媒の存在 下に加熱して、濃縮された形のガス状二酸化硫黄を再生するものであり、この工 程(i)からの濃縮された形のガス状二酸化硫黄を工程(g)で使用する。工程 (i)はRESOXプロセスとして知られている。 工程(a)は、上記の金属/プラスチック積層体を有する多段の落下液膜式蒸 発器を用いて、漂白プラントからの廃液を蒸発することによって行うのが普通で ある。 セルロースパルプ工場の漂白プラントが塩素型でないプラントの場合は、廃液 を最小限にする方法は、次の工程を取ることになる。すなわち、これらの工 程とは、(a)非塩素系漂白プラントからの廃液で、塩素をほとんどあるいは全 く含まない廃液を、回収ボイラーでの燃焼に十分な高濃度まで濃縮すること、( b)濃縮された非塩素系漂白プラント廃液を回収ボイラーへ直接送ること、およ び(c)非塩素系漂白プラント廃液を回収ボイラーで燃焼させることである。 また、本方法は、漂白プラントからの廃液を、回収ボイラーでの焼却に十分な 高濃度まで濃縮し、次いで濃縮された漂白プラント廃液を直接的に回収ボイラー で焼却することによって廃液を最小限にする方法を包含する。焼却の際、ナトリ ウムと、カリウムと、それから塩素分とを含有する塩を含む粒子、および硫黄化 合物を含有する排煙が生成する。次に、排煙からの粒子の大部分を、塩素含有の 塩を含み、ナトリウム塩、カリウム塩と硫黄化合物とを含有の灰分として捕集す る。灰分は所望ならば系から追い出して(つまり、下水に流して)も差し支えな い。カリウムと塩化物は灰分から取り出されるが、硫黄含有化合物(およびいく らかの炭酸化合物)は、回収ループへ戻され(例えば、黒液が回収ボイラーへ入 る直前に硫黄化合物が、濃縮された黒液と混ぜられ)、白液のような蒸解薬剤を 生成するために用いられ、工場内の硫黄、塩化物、およびカリウム分のバランス が取られる結果となる。もちろん、回収ボイラーには従来的やり方に従って濃厚 黒液を供給し、得られたメルトを白液製造用に使用することも差し支えない。さ らに、苛性化処理に先だって緑液から遷移金属を除去することも可能で、この場 合遷移金属を取り除いた緑液に結晶化を行い、苛性化緑液に加えて水酸化ナトリ ウムを製造することができる。水酸化ナトリウムは酸素脱リグニン化や漂白プラ ントで用いられる。逸出余液は、漂白プラント廃液と一緒に直接的に回収ボイラ ー中で濃縮、燃焼することが可能である。 以上に記載の手順においては、水(液の流れ)を適当に管理し、きれいな液は それが必要とされるプロセスのみに使うように取って置き、絶対的にきれいな水 が必要でない場合はその使用を最小限に押さえることがきわめて望ましい。パル プ工場では液の流れについては少なくとも第一ループ、第二ループ、第三ループ とあるのが普通であり、各ループは汚れの程度は顕著に異なり、汚れの程度は第 一ループから第三ループに上がるにつれて次第に増加する。汚れの最も少ない液 の使用を最小限にするのは、次の工程によって達成される。すなわち、これらの 工程とは、(a)少なくとも第一ループおよび第二ループで汚れの程度を検出す ること、(b)第一ループの汚れの程度が所定の水準を超えた時には第一ループ から第二ループへ汚れた液を少し抜き出し、汚れの程度が小さな液を第一ループ 液に入れること、(c)第二ループの汚れの程度が所定の水準を超えた時には第 二ループから第三ループへ汚れた液を少し抜き出し、汚れの程度が小さな液を第 二ループ液に入れること、そして、(d)上記ループ からの最も汚れた液を精製して、汚れの少ない液を作り出し、これを少なくとも 上記工程(b)への添加液とすることである。 上記の液流れ管理法は、前記の方法に限定されるものではなく、どのようなパ ルプ工場においても実施することができる。この方法の典型的な用い方は次の通 りである。すなわち、漂白プラントからの廃液を最も汚れた液と一緒に混ぜて、 合併廃液流を形成し、この合併廃液流を蒸発させて、きれいな液と更に汚れが濃 縮された液とし、きれいな液は、上に記載の工程で汚れの少ない液として使用し 、更に汚れが濃縮された液は更に処理して液から汚れの成分を回収(例えば、焼 却し、焼却残渣などから前に記載したように薬剤を回収)する。また、パルプ工 場には第四ループが含まれることが普通であり、第三ループでの汚れの程度を検 出し、これが所定の水準を超えた時には第三ループから第四ループへ汚れた液を 少し抜き出し、汚れの程度が小さな液を第三ループ液に入れる。また、第四ルー プでの汚れの程度を検出するのが好ましく、これが所定の水準を超えた時には第 四ループから上に記載の精製工程へ汚れた液を抜き出す。パルプ工場内から回収 される逸出余液は、第四ループへ導入して差し支えない。また、ループには、液 を冷却する工程を設けるのが好ましく、特に、ループから汚れ成分を分離しこれ ら分離された汚れ成分をより汚れたループへ送るループの少なくともどこかのル ープには、液を冷却する工程を設けるのが好ましい。第一ループからの汚れた液 の一部は第三ループへ直接送っても差し支えない。 また、本発明は蒸解カン、漂白プラント、および少なくとも第一、第二、およ び第三ループの液流を備えたセルロースパルプ工場で液流を管理する装置を包含 する。液流を内部に有する各ループは、顕著に異なる濃度の汚れ成分を有するが 、この汚れ成分の濃度は第一ループから順次第三ループへと次第に増加する。こ の水管理装置は、少なくとも第一ループおよび第二ループで汚れの程度を検出す る手段;一のループから別の、より汚れたループへ汚れた液を少し抜き出すため の、検出手段によって制御されるバルブ手段;およびループからの汚れた液(普 通最も汚れた液)を精製して汚れの程度の小さい液を製造する手段を備える。こ の装置では、液を冷却する手段を各ループに備えてもよい。また、少なくとも一 個のループには、ループからの廃棄流を分離し、この廃棄流を別の、より汚れた ループへ排出する手段を設ける。 本発明の主な目的は、汚染液の環境への排出を実質的にゼロにし、ガス状排出 物も最小限の量で、しかも固形廃棄物の量も最小限であるセルロース化学パルプ 製造法とその装置を提供することである。本発明のこの目的および他の目的は、 本発明の詳細な説明をよく吟味し、添付の特許請求の範囲を読めば一層明白とな ろう。 図面の簡単な説明 図1は、本発明の例示的システムの最も基本的な構成要素、および本発明の例 示的方法の実施を示す概要図である。 図2Aおよび図2Bは、図1のものと同じフローシートであるが、その中の幾 つかの特定のプロセスをより詳細に示したものである。 図3Aおよび図3Bは、図1および図2のシステムと同じ概念に基づく本発明 の別法のシステムの概要であるが、特定の漂白プラント工程などについて漂白プ ラント廃液の処置に関する異なる詳細を示すものである。 図4は、図2と同様な図であるが、簡略化してあり、本発明の別の態様に従っ て、漂白プラントからの濃縮された廃液の別法の例示的処理を示すものである。 図5は、図4と同様な概略図であるが、漂白プラントが非塩素系漂白プラント である場合の、漂白プラント廃液処理についてのさらに別の変形を示すものであ る。 図6は、図2Aのシステムの一部の概略図であるが、ガスの一部改変処理を、 硫酸の製造を含んで示すものである。 図7は、パルプ工場における水(液)流れを管理し、最もきれいな液はそれが 必要とされるプロセスのみに使うように取って置き、きれいな水が必要でない場 合はその使用を最小限に押さえ、従って目標である「ゼロ排出」の達成を最適化 するために、本発明の例示的な方法を実施する本発明の例示的な装置を示す概略 図である。 図8は、図4および図5のものと同じ概要図であるが、本発明の付加的または 別法的詳細特徴を示すものである。 図面の詳細な説明 図1に示される例示的なシステムには、例えばカミヤTM式連続蒸解カンのよう な従来的蒸解カン10が備えられ、これに広葉樹または針葉樹チップ、または他 の細砕セルロース材が供給される。蒸解カン10では原木チップは、従来的な温 度、圧力で蒸解薬剤で処理され、例えば、クラフトパルプのような化学セルロー スパルプが生成され、次いで工程11で酸素脱リグニンされるのが好ましい。本 発明によれば、パルプを脱リグニンするに当たっては蒸解カン10から排出され る時パルプが最小のカッパーNo.を有するのが望ましい。例えば、カミヤEM CCTM蒸解カンおよび蒸解法を用いるとカッパーNo.約24以下が得られる。 酸素脱リグニン工程11ではカッパーNo.は約14以下、好ましくは約10以 下に下げられる。 酸素脱リグニンの後、パルプは漂白プラント12へ進み、複数の異なる漂白工 程で漂白が行われる。使用される特定的な漂白工程はいろいろ変わり得るが、処 理される特定のセルロース材にも依存する。漂白工程12の後、パルプは貯槽に 蓄えてもよく、さらに後段の処理工程13に送ってもよい。例えば、パルプを乾 燥し、次いで製紙工場へ出荷することもできる。 従来のように、蒸解カン10(またはこれに関連するブラウン ストック ウ ォシャー、すなわち、褐色材洗浄機)から黒液が抜き出され、蒸発装置14へ送 られる。黒液に対して、米国特許出願第4、929、307号(この開示内容を 本明細書の参考文献として引用する)に示されるような熱処理を、好ましくは常 圧より高い圧力で、約30〜90分間240℃以上で加熱することによって行う のも好ましい。熱処理15によって追い出される硫黄含有ガスは、1991年1 1月5日に出願の同時係属出願第07/788、151号に示されるように処理 され、例えば、工程16で高硫化度の液を製造することができる。この際、17 のところに概略示されているように燃料ガス(例えば、主としてメタン)が生成 するが、これによって18と汎示してあるように動力の発生が可能である。 工程15での処理の後、黒液は最終的には従来的回収ボイラー19へ送られる (所望ならば途中に蒸発工程を介在させてもよい)。回収ボイラー19から生成 されるスチームは、図1では20と汎示してあるが、パルプ工場内でいろいろな プロセスに使用される。回収ボイラー19から排出されるガスには二酸化硫黄が 含まれるが、これは従来技術に従い硫酸の製造の原料として使用することができ る。図1の21のところに示されるように、二酸化硫黄および(SO2から製造 された)硫酸とは工場内の必要な場所で使用することができる。例えば、二酸化 硫黄は、二酸化塩素漂白(もしこれを使っているならば)の最終工程、およびト ール油プラントに対する耐塩素剤として使用される。本発明によれば、十分な量 の二酸化硫黄と硫酸とがブロック21から得られるので、パルプ工場の必要量を 満足し、外部供給源からの薬剤を必要としない。もちろん、 薬剤の回収と消費とが、完全にバランスすることは期待することはできないけれ ども、本発明によればその差は各々数パーセント以内であることを期待していい 。もちろん、過剰な薬剤があれば販売できるし、少なければ購買で賄える。 従来のように、回収ボイラー19からのメルトは、図1の参照数字22に示さ れるように緑液を生成するのに使われる。次いで、緑液は、図1の参照数字23 に汎示されるように白液を製造するのに最終的に使われるのが好ましい。別法と して、あるいは付加的に、緑液を結晶化工程にかけたり、あるいは他の処理にか け、実質的に硫黄を含まない水酸化ナトリウムを製造することも可能であり、こ の方法については1992年7月27日に出願の同時係属出願第07/918、 855号(弁理士書類番号30−199)に開示されているので、この開示内容 を本明細書の参考文献として引用する。 メルトの硫黄濃度は、回収ボイラー19から排出されるメルトの一部分をパル プ工場の含硫黄ガスと接触させることによって調節することができる。また、含 硫黄ガスのメチルメルカプタンとジメチルサルファイドとは、メルトとの接触に 先だって、または回収ボイラー19からの灰分との接触に先立って、エテンと硫 化水素とに熱分解することができる。メルトから製造される白液については硫化 度の制御および/または増強が行われる。これらの技法についてはフィンランド 特許出願第914585号および第914586号(両者とも1991年9月2 7日に出願)に開示されている。 白液の一部はライン24を経て蒸解カン10へ返送され、本発明によれば、薬 剤のバランスが図られるが、23からの白液の一部を従来的方法または既知の方 法で工程25のところで酸化し、次いで酸素脱リグニン工程11で使用すること が極めて望ましい。「無泡膜通気」と名付けられた既知の酸化法については19 91年4月版「WATER/Engineering & Managemen t」のページ18〜19に所載のミカエル セメンス(Michael Sem mens)の論文に記載されている。また、25からの酸化された白液の一部は 、第二酸化工程26・・・例えば、1992年7月9日に出願の同時係属出願第 07/910、874号に示されている工程(この開示内容を本明細書の参考文 献として引用する) ・・・にかけ、白液内の硫黄の形のものをすべて酸化する のが好ましい。次いで、得られたほぼ完全に酸化された白液を漂白プラント12 へ戻し、漂白プラント12の苛性液の代わりに用いる。本発明によれば、酸化さ れた白液を十分な量で製造し得るので、漂白プラント12で必要な苛性液の面倒 はすべて見られるから、外部の供給源から苛性液を入れる必要はない。 また、本発明によれば、漂白プラント12からの廃液・・・第一漂白工程から 来るライン27中の酸廃液や第二漂白工程から来るライン28中のアルカリ 廃液・・・は、例えば、蒸発器工程29、30へそれぞれ流すことによって濃縮 される。工程29、30を構成する蒸発器は、低価格な、金属/プラスチック積 層体を有する落下液膜式蒸発器で、例えば、商標「Zedivap」なる名前で フィンランド、ヘルシンキのアールストローム社およびアールストロームリカバ リー社から販売のものが好ましい。このような積層膜は普通アルミニウム(また は黄銅または銅)とプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ま たはポリエステル)から出来ており、各層の厚さは100μm以下である。例え ば、アルミニウムの層の厚さは、9〜18μmでポリエステルの厚さは12〜2 5μm位である。金属箔の上にプラスチック薄膜を押し出すことによって積層膜 が形成される。熱交換器は二枚の長方形積層板を、例えば、接着結合で互いに貼 り付けることによって形成される。また、積層板は端の結合線間で点状接合によ り互いに接続すことができる。パルプ工場液はプラスチック層側でも金属層側で もどちらでも流すことができる。このような蒸発器の表面構造については、19 92年11月12日に出願の同時係属出願第07/974、060号(これは1 991年11月18日に出願のフィンランド特許出願第915424号に対応し ているので、この開示内容を本明細書の参考文献として引用する)に開示されて いる。しかし、従来的な脱塩用蒸発器も代わりに使用可能である。 ライン27とライン28とに酸とアルカリの廃液がある場合には、廃液が蒸発 器29、30で濃縮される前までにはこれらの液を混ぜることは望ましくない。 混ぜると激しい発泡問題が起こる恐れがある。もし発泡問題が解決することがで きるならば、蒸発器29、30の手前でライン27、28を一緒にして差し支え ない。 工程29、30の後、より濃縮された廃液が濃縮器31へと流れる。これは直 列に並んだ高効率蒸発器工程群で、焼却可能な程度の濃度まで廃液を濃縮する。 例えば、ライン27と28の廃液は、固形分0.2〜0.5%程度とすると、蒸 発器29、30で約10〜30%の固形分まで濃縮され、次いで濃縮器31で約 50〜60%の濃度まで濃縮される。 漂白プラント廃液の濃縮は、蒸発のほかに別の方法によっても達成することが できる。例えば、従来的な限外濾過、逆浸透、凍結結晶化、またはこれらの方法 を互いに組み合わせた方法、および/または蒸発と組み合わせた方法が、十分に 高濃縮の廃液を生成するのに用いることができる。 濃縮器31などで得られた濃厚廃液は焼却炉32へ供給され、ここで燃焼され 、残渣が生じる。焼却は多くの従来的または既知の方法、例えば、スラグ燃焼や ガス化(循環流動床ガス化など)によって行われる。 焼却炉32からの残渣から得られる貴重な薬剤成分は最終的には回収ループ (すなわち、構成要素14、15、19、22、23など)へ戻される。残渣の 貴重な薬剤成分、例えば、ナトリウム、硫酸塩、および炭酸塩を効果的に回収す るためには、図1の33のところに示されるように、従来的浸出装置において残 渣に対して浸出を行うのが好ましい。浸出工程33からの浸出液は結晶化工程( 例えば、凍結結晶化;米国特許第4,420,318号、第4,505,728 号および第4,654,64号を参照のこと)にかけ、34のところに示される ように結晶を洗浄するのが好ましい。浸出および結晶化それ自体(回収ループ内 ではあるが)は、デービス(Davis)らの論文「閉鎖系サルファイト工場に おける薬剤回収」、TAPPI Journal、Vol.66,No.7,J uly、1983に記載されているように既知である。 工程34から得られる、結晶化され、洗浄された浸出物(または少なくともそ の一部)は・・・ライン35を経て・・・回収ループ、例えば、回収ボイラー1 9のすぐ手前へ供給される。そんな手順で、ライン27、28中の漂白プラント 廃液からの貴重な薬剤成分が回収ループへ回収される。洗浄によって、一価より 大きい価数の金属、例えば、カルシウムやマグネシウムが分離され、これらは、 ・・・図1の36に示されるように埋め立てに使われたり、さらに処理すること ができる。36のところの固形物は、図1のパルプ工場から排出される実質上唯 一の固形廃棄物であり、焼却炉32の残渣のうちの約5%を占めるにすぎない。 他の95%は他(例えば、回収ループ)で用いられる。 焼却炉32からの残渣も、普通塩化ナトリウムを含有し、その塩素分も・・・ 図1の点線のライン37とボックス38で示されるように・・・二酸化塩素や塩 化ナトリウムを生成するのに使われる。この状況では工程34からの浸出物の一 部は二酸化塩素製造工程38へ流れ、残りはライン35を経て回収ループへ戻さ れる。 多くのパルプ工場では、新しくとも古くても、逸出余液の量は廃液量全体の相 当なパーセントを占めるものである。逸出余液が工場からの廃液(ライン27、 28の漂白プラント廃液を含む)の33%にもなることも珍しくはない。もちろ ん、そのような逸出余液が環境へ漏洩することが許されたら、低排出またはゼロ 排出という目標が実現されないことになろう。従って本発明では・・・好ましく はパルプ工場全体からの・・・逸出余液が、図1の39のところに概略的に示さ れるように、従来的ドレン回収系を用いて回収される。これらの逸出余液は次い で清澄槽40で清澄化され、逸出余液貯槽40’を経て蒸発器工程41に送られ る。工程41の蒸発器はZedivapTM蒸発器であるのが好ましい。蒸発器4 1からの濃縮された逸出余液は次いで蒸発器29からの濃縮された廃液と一緒に されて、濃縮器31へと送られる。 もちろん、蒸発器工程29、30、41からはすべて水が生成する。この水 は、濃縮作用中に漂白プラント廃液から取り除かれたものである。蒸発器工程各 々29、30、41からの水は、水処理設備42へ送られ、ここで処理され、水 が他の目的に使われても有害な成分が含まれていないようにする。この水の「回 収」も本発明の方法および装置の大きな有利な点である。この水の一部は、次い でライン43を経て、漂白プラント12へ戻され、漂白プラント12の中で工程 の一から他へと向流的にパルプに流れる洗浄液として用いられる。一方、この水 の他の部分はライン44へ送られ、供給水として回収ボイラー19へ送られ、2 0のところでプロセススチームが生成される。 図2は、図1と同じ基本システム、同じ基本方法を実施する方法を示すが、多 くの構成要素についてより詳細に示すものである。図2の表示では、図1のもの に対応する構成要素は同じ参照数字をもって示される。 図2の表示では、原木ヤード45に蒸解カン10および従来的廃材燃料ボイラ ー46がつながって示されている。褐色材洗浄工程47も蒸解カン10の後に示 され、スクリーン室48はプレス49と一緒に作用し、また、プレス49は清澄 槽40に連結されている。酸素脱リグニン工程11の下流にはさらに洗浄工程5 0があり、これは次いで漂白プラント12の第一工程51へ連結している。図2 に示されている態様において、第一漂白工程51は100%二酸化塩素工程であ る。第二工程52はEop工程で、苛性液の源は26からの酸化された白液によ って供給される。第三漂白工程53は、中性二酸化塩素工程である。すなわち、 源26からの酸化された白液(つまり苛性液)は、パルプ酸性度を中和するため に工程53の塔の頂部へ添加される。第四工程54は最終の二酸化塩素工程であ る。製造工程38からの二酸化塩素は各々工程51、53、および54へと供給 され、一方水処理プラントの42からの洗浄水の一部は、第四工程54へと入る 。 図2の再処理工程13には「ウェットエンド」55とドライヤー56とが備え られ、ドライヤーは貯蔵設備57’へ連結することができる。 回収系の一部として、他の従来的構成要素も図2に示されている。例えば、緑 液清澄槽57、緑液を苛性化するためのスレーカー58であり、そして、マッド フイルター59、プレコートフイルター60、石灰キルン61を含むマッド処理 要素などである。 漂白プラント廃液を処理する構成要素に関連するものとしては、滓材工程63 があり、これには結晶化および洗浄工程34からの一価より大きい価数の金属や 廃材燃料ボイラー46からの飛灰が供給される。滓材工程63からのものは、埋 め立て64へ送っても、あるいは処理してそこから薬剤を回収してもよく、その 中の薬剤は環境に許容し得るやり方で用いることができる。 また、図2には、水処理プラント42からの水を処理するための選択的オゾ ン処理工程65が示されている。プラント42からの水は、先ずオゾン処理され 、その後で回収ボイラー19へ供給する供給水源66へ流れる。該回収ボイラー はドライヤー56からも水を受ける。ウェットエンド55からの水は、水処理プ ラント42へ送ってもよく、あるいは第二漂白工程52と第三漂白工程53との 間の境目に送ってもよい。 図3は本発明のもう一つの別法のシステムを示すものである。図3のシステム と図1、図2のそれとの主要な差に一つは、提供される特定の漂白シーケンス、 つまりAZEoPZP漂白シーケンスである。図3では図1および図2のものと 対応する構成要素は、頭に「1」をつけただけの同じ参照数字で示すものとする 。また、図3では、図1や図2のように単に各構成要素をブロック図で示すので はなく、系に用いられる多くの構成要素を概略的に図形で示す。 蒸解カン110は、ニューヨーク州グレンフォール(Glens Falls )のカミヤ社(Kamyr,Inc.)販売のEMCCTM蒸解カンのような、浸 透槽68を含む二槽式加圧システムの一部と考えてよい。圧力デフューザー69 、もしくは同じような褐色材洗浄機を蒸解カン110の下流に備えるのもよく、 洗浄機は高密度貯槽147へ、次いで褐色材スクリーン室148へ連結されてい る。酸素脱リグニン反応器111は、後段酸素洗浄工程150に連結され、次い で第一漂白工程70へ、この場合酸「A」工程へ連結される。漂白プラント11 2の第二工程は第一オゾン工程71であり、洗浄72の後にEo工程152が設 けられる。Eo工程152の後には第一過酸化工程73があり、次いで第二オゾ ン工程74、それから第二過酸化工程75があり、高密度貯槽157’に連結さ れる。 図3の態様では酸漂白プラント廃液ライン127は、図1および図2の態様の ものと同じようにZedivapTM蒸発器工程129に接続される。これは次に 濃縮器131、焼却炉132、浸出工程133、それから結晶化並びに洗浄工程 134に接続される。しかし、アルカリ廃液ライン128は蒸発器には連結され ず、その代わり回収ループ、典型的には緑液溶解タンク122へ連結される。ま た、ライン128のアルカリ廃液の一部は苛性化に使用してもよく、例えば、工 程158に連結される。しかし、大部分のアルカリ廃液は後段酸素洗浄工程へ添 加されることになろう。 図1〜図3のパルプ工場は、廃液の排出が実質的にゼロであるに加えて、大気 汚染も極めて少ない。二酸化硫黄およびその他の硫黄化合物は回収ボイラー19 、119から回収され、煙突も電気集塵機も煙道に設けられている。また、回収 ボイラー19、119並びに他の構成要素、例えば、焼却炉32、132もNOx 排出が最少になるように運転される。従ってパルプ工場からの主要な汚染ガス は二酸化炭素だけとなる。 図4は、図2Aおよび図2Bと同様なシステムを概略示すものであるが、簡略 化してあり、漂白プラント廃液蒸発からの濃縮された液を処理する別法の技法を 示すものである。図4の態様では、図2Aおよび図2Bの態様のものに対応する 構成要素は、頭に「2」を付けただけの同じ二桁の参照数字をもって示される。 大部分の構成要素については詳細には示さない。図1および図2の態様に関して すでに説明済みであるからである。 図4の態様では、漂白プラント212は、二酸化塩素が漂白薬剤として使用さ れる工程を少なくとも一つ含むプラントである。漂白プラント212からの廃液 はライン81を流れ、蒸発器229、230、241(これは単一直列の金属/ プラスチック積層体蒸発器を複数段設けたものでよい)へ至り、濃縮された廃液 はライン82を焼却炉232へ至る。濃縮された漂白プラント廃液を焼却すると 、ナトリウム、硫酸塩、塩化ナトリウム、および炭酸塩、並びに重金属、遷移金 属を含む残渣が得られる。上記のナトリウム、硫酸塩、および炭酸塩は、普通は Na2SO4、Na2CO3の形である。残渣はライン83に送られ、塩回収工程8 4へ至る。 塩回収工程84では、残渣は硫酸(どの源からのものでもよいが、好ましい源 の一つは図6に関して後で述べる)と一緒に蒸留されると、ガス状塩化水素(H Cl)と残りの残渣が得られる。この蒸留反応で、塩化ナトリウムが硫酸と反応 すると、硫酸ナトリウムも沈殿として生成する。 塩回収工程84からのガス状HClは、二酸化塩素を製造する化学プラント8 5に使われる理想的な薬剤である。化学プラント85における二酸化塩素の製造 は従来的であって、このプラント85は、顕著な補助的機器なしに漂白プラント 212の需要を満たすに足る二酸化塩素を製造する能力がある。 塩回収装置84で沈殿する硫酸ナトリウムは、残りの残渣と一緒の合わされ、 最終的には回収工程へ向けられる。塩回収工程84内で、従来的処理を行い、重 金属および遷移金属を金属水酸化物の形で取り除くことが好ましい。除いた金属 水酸化物は滓材処理工程263へ送られる。上記金属除去後の、残りの残渣中の 硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムは、次いで回収ループへ送られる。例えば 、これがスラリーの形で高濃度が必要ならば蒸発工程214へ送られ、そうでな ければ直接回収ボイラー219へ送られる。 漂白プラント廃液に対するもう一つの別法の処理が図5に示される。図5にお いては、図4の態様のものに対応する構成要素は、同じ参照数字をもって示され る。この実施態様においては漂白プラント(212)は非塩素系の漂白プラント (例えば、Z,P,およびE工程を使用するプラント)であり、底部から排出さ れライン81を流れてくる廃液は・・・蒸発器229、230、241で濃縮し た後・・・ライン86を経て直接回収ボイラー(219)へ送るこ とができる。これをさらに処理する必要はない。このような廃液には塩素があっ てもほんの少しかあるいは全くないので、濃縮しさえすれば、回収ボイラー21 2へ直接送ってよいのである。 図6は、パルプ工場で集められた非凝縮性ガスの処理を概略的に示すもので、 該非凝縮性ガスは、図4の塩回収工程84で使われる硫酸を製造するのに使われ る。図6においては、図2Aの態様のものに対応する構成要素は、頭に「2」を 付けた同じ参照数字をもって示される。 図6ではNCG工程88は、従来的非疑縮性ガス系であり、旧式のクラフトパ ルプ工場に関連して発生する悪臭ガス発生源である硫化水素、メチルメルカプタ ン、ジメチルサルファイド、および他の硫黄含有ガスを回収するために用いられ る。これらのガスは、蒸解カン、洗浄機、蒸発器、回収炉、石灰キルン261等 々から発生する可能性がある。 本発明によれば、工程88からの非凝縮性ガスの流れの一つを石灰キルン26 1へ直接送ってよく、ここで燃焼して二酸化硫黄を含むガスを得て、さらに従来 的に(図6中の「PRCTP」で)処理される。第二の流れはRESOX工程8 9へ送ってよい。RESOX工程89では、フィンランド、ヘルシンキのアール ストローム社の販売によるRESOXプロセスが使用される。この商業的プロセ スでは、NCGガス(硫化水素、MM、DMSなどなど)は洗浄塔へ入り、硫化 水素は従来的な洗浄塔または吸収塔で白液に吸収される。かくして得られた高硫 化度の白液がパルプ処理に用いられる。吸収されなかったガスは冷却凝縮器で凝 縮され、水分が取り除かれ、ガスが液化する。次いでガスは焼却に回され、二酸 化硫黄、水、および二酸化炭素ガスを生成する。このガス混合物は、従来的な洗 浄塔または吸収塔にて苛性ソーダと亜硫酸ナトリウムとの溶液で洗浄され、二酸 化硫黄は亜硫酸ナトリウムと反応し、重亜硫酸ナトリウムを生成する。次にこの 重亜硫酸ナトリウムと水を蒸発器の中で加熱し、亜硫酸ガスと水のオフガスと、 亜硫酸ナトリウム水溶液とを生成させる。亜硫酸ナトリウム分は、洗浄塔の苛性 流へ戻して、あるいはパルプ化薬剤の源として循環される。 また、次に工程89からの二酸化硫黄と水のオフガスは、WSA工程90へ送 ってよく、ここでガスは凝縮され、水と二酸化硫黄の流れが生じる。二酸化硫黄 の一部は工場のために利用することができる。工程90の二酸化硫黄と水のオフ ガスの残りは、硫酸(H2SO4)に転化され、ライン91を塩回収工程84へと 送られる。 かくしてWSA工程90で、デンマークのリングビィ(Lyngby)のハル ダー・トプソー社(Haldor Topsoe A/S)の販売になるWSA プロセスが行われる。このプロセスは、ベンディクセン(Bendixe n)とショウビィ(Schouby)著の1987年テキサス、ヒューストンの 「サルファー87」で発表された「トプソーWSA−2プロセスによる亜硫酸オ フガスからの硫酸の製造」という題の論文に記載されている(この論文を本明細 書の参考文献として引用する)。 WSA工程90ではRESOX工程89からの、濃縮された亜硫酸ガス含有ガ スを用いるのが好ましいが、WSA工程中に二酸化硫黄が生成する燃焼装置があ れば、ガスは図6の点線92を経てNCG装置88から直接WSA工程90へ入 り、この時は工程89は使用されないか、もしくはなしで済ます。 図8の態様では、図4に示されるような全システムは示されず、図4と図5と の態様の変形の部分のみが示され、同じ参照数字は、図4と図5と同じ構造のも のを示すために用いられる。 図8の態様の主な特徴は、蒸発器229、230、241の後、濃縮された液 (例えば、少なくとも濃度約50%で、所望ならば、もしくは必要ならば、さら に濃縮する装置などが蒸留と一緒にあるいはその後で用いられる)がライン86 から直接回収ボイラー219へ供給されることである(もし適当ならば、この流 れの一部または全部を蒸発器214へ向けてもよい)。濃縮された廃液は、回収 ボイラーで直接燃焼され、粒子を含む排煙が生成する。流れ86も工場のプロセ ス液流からの逸出余液を含んでいるのが好ましいが、この逸出余液は239のと ころに貯えられ、240のところで清澄化され、蒸発器229などへ送られる。 回収ボイラー219での燃焼によって、粒子を含む排煙が生成するが、該粒子 は電気集塵機、サイクロン分離器などで除かれる。除去された粒子は約80〜9 0%がナトリウム塩で、他に含カリウム塩並びに含塩素塩、および硫黄化合物を 含む。除去された粒子は塩処理装置340で処理され、ここでカリウム、塩素な どの成分が除かれ、硫黄化合物を含む残渣は、回収ボイラー219へ入る黒液流 へ戻され、メルトの一部分となり、最終的には緑液を製造するのに使われる。塩 処理装置340として使用できるのは、例えば、PULP ANDPAPER MAGAZINE OF CANADA、Vol.75、No.4,1974に 「クラフト回収システムからの塩化ナトリウムの除去」の題名でモイ(Moy) らがハーマッククラフトミル(Harmac Kraft Mill)からのN aCl回収に対してマタミランブロデル社(MacMillan Blodel Ltd.)システムを説明した論文に記載の形式のものである。 図8の一部改変システムが、図4および図5のものと異なるもう一つの点は、 回収ボイラー219と苛性化装置258との間に金属除去処理装置341を設け たことである。金属除去装置341にはMn,Fe,Zn,Co,およびC u除去のための装置が含まれる。258での緑液苛性化、および酸素脱リグニン および漂白プラント用の水酸化ナトリウムを製造するための、257での結晶化 は、ともに341での金属除去工程によって促進され、その特長を用いることに よってシステムの多くの部分で薬剤の消費量が削減される。(258のところか らの緑液は白液を製造するのに用いられ、257のところの硫黄分が高く、結晶 化されなかった液は、硫化度を分割して蒸解する方法に使用することが可能であ る)。ここで用い得る代表的な方法は、濾過、静置沈降、またはこれらの組み合 わせである。代表的な濾過機としては、プレナー、ソケット、またはプレコート フイルターが挙げられるが、後者が、プレコート剤として石灰マッドを用いて使 われるのが普通である。 工場からの排出を最小限にする確率を最大にすることを可能とする重要な点は 、パルプ工程に存在する水(液)流の管理を好適に行うことである。 最もきれいな液はそれが必要とされるプロセスのみに使われ、きれいな水が必要 でない場合はその使用を最小限に押さえれば、「ゼロ排出」を達成できる確率が 向上する。図7はカスケード式の水管理システムを示すが、これは、最もきれい な液をそれが必要とされるプロセスのみに使うように取って置き、一方きれいな 水が必要でない場合はその使用を最小限に押さえる本発明の水管理法を、カスケ ード原理に従って行うものである。この態様の構造で、図4の構造に対応する構 造は同じ参照数字で示される。これまで示されなかった構造は「94」から始ま る二桁の数字で示すか、あるいは「3」で始まる三桁の参照数字で示すものとす る。 図7に示される例示的態様においては、冷却塔93に接続される冷却水ループ 94(図6も参照のこと)は、パルプ工場の主要ループの一つである。工場の第 一ループ95はシール水ループ(回路)95であり、これと運転上連結している のは第二の、冷却水、ループ94、第三の、かなり汚れた、ループ96、それか ら・・・本態様では・・・第四の、最も汚れた、ループ97であり、この最も汚 れたループは、工場全体の内部にある逸出余液回収システム239を包含して差 し支えない。第一ループから第四ループまで、ループ内の水(液)の汚れ度は次 第に増加し、顕著に異なって行く。第一の、シール、ループ95が最も汚れが少 なく、第四の、ループ97が最も汚れが大きい。 各ループ94〜97に付いているのは、汚れ度監視手段、典型的には伝導度記 録/制御/検出器(普通CRCとして知られる)である。例えば、CRC98は 第一ループ95で三方弁99に付いている。このような検出器の形式は、例示す ると、ネバダ州カーソンシティ(Carson City)のTBIから市販の モデル461であり(米国特許第4、118、663号に一般的記載あり)、こ れは従来的制御器(コンピュータ)に接続され、伝導度測定値に応 じて制御が行われる。CRC98は、ループまたは回路95を流れる液の汚れ度 を監視し、所定の水準より高くなると、より汚れた方のループの一つ以上に液を 排出するようにする。 また、ループ95は普通は分離デバイス300を備え、これは水回路95(ま たは分離デバイスが置かれている他のループ)から乾燥固形分、金属、塩、繊維 分、または滓を分離することができる。デバイス300としては、限外濾過、逆 浸透、膜濾過または繊維濾過法などがあり、工場やループ95の具体的な位置に 依存して用いられる。デバイス300にはそれから出ている「受入」ライン30 1と「排除」ライン302がある。ライン302は弁99からの排出ライン30 4に接続され、主ライン303を形成し、このラインは・・・この場合・・・第 三ループ96へ液を供給する。分離デバイス300からの汚れが少ない水はライ ン301を流れ、冷却器305に至り、ここで周囲の環境または他の冷却源との 熱交換によってその温度が下げられ、次いでさらに三方弁306まで送られる。 弁306もCRC98によって制御され、汚れの程度が第一ループ95で高すぎ る場合は汚れた液の一部を弁306からライン307へ、第二の、冷却水、ルー プ94へ排出することができる。ライン307を通じての排出は、ライン304 中の弁99を通じての排出に加えて行うこともできるし、その代わりに行うこと もできる。 冷却水ループ94にも普通、冷却熱交換器308、並びに三方弁310を制御 するCRC309が備えられ、該弁には排出導管311が取りつけられている。 CRC309は、ループ94中の水の汚れ度を監視し、所望の水準よりくなると 、弁310が制御され、汚れた液の一部がライン311を経て第三ループ96へ 排出される。 第三ループ96にも、弁313が付いたCRC312が備えられている。弁3 13には、デバイス300のような分離デバイス314が付いている(もっとも 、この分離デバイスは、異なる「排除物」を分離し、ループ96の水の特性に左 右される、異なる方法を用いるものかも知れないが)。デバイス314は、汚れ 液排出ライン315を有し、このラインは主ライン316へ連なり、主ラインも 弁313からの排出ライン317へ接続されている。分離デバイス314からの 「受入」製品は冷却器318へ流れる。CRC312は、ループ96中の汚れ度 を監視し、所望の水準より高くなると、弁313が制御され、汚れた液の一部が ライン317へ排出され、その液は結局は、第四ループ97に行き着くことにな る。 第四ループ97には三方弁320が接続されたCRC319が備えられている 。弁320には、今度はデバイス300のような分離デバイス321が付いてい る。分離デバイス321からの汚れ液排出ライン322は、弁320から の排出ライン323と結合し、主ライン324を形成し、この主ラインは漂白プ ラント廃液ライン81に連なる。分離デバイス321からのきれいな製品は冷却 器325へ流れ、今度は弁326などへ繋げることができる。弁の先は逸出余液 回収システム239へ向けることができる。この回収システムはライン327に よって弁320への入口に連結されている。 漂白プラント廃液並びに第四ループ97からの最も汚れた液(ライン324を 経て)を共に含むライン81は、好ましくは金属/プラスチック積層体多段蒸発 器である蒸発器229、230、241へ接続することができる。蒸発器229 などによって濃縮された廃液が得られるが、この廃液は焼却炉232へ送られた り、(図4や図5に対して上記されたような)同様な処理をするために送られた りする。一方、ここからのきれいな水(液)はライン330へ流れる。選択的な 水処理プラント242(図7では点線で示され、図4では構造242、図1およ び図2では構造42に対応するもの)を設けて、ライン330中の水を処理して 、その後でこの水を漂白プラント212へ戻したり、あるいは他の用途に使用す ることもできる。 各ループ94〜97に対し、汚れた液が抜き出されたら、その液を少なくとも 一部分は補わなければならないのはもちろんである。そうしなければ、液が減っ てループが成り立たなくなってしまう。第二ループ94に対しては、これは、普 通は弁306に連結されたライン307を経る排出を利用することによって達成 される。弁306は・・・図7に概略示されるように・・・CRC309および /またはCRC98によって制御され、補給水をループ94へ供給することがで きる。 第一ループ95への補給水は、きれいな水を含んでいる、ライン330の枝分 かれであるライン331によって行われるのが普通である。しかし、ループ94 〜97のいずれに対しても必要なことは、汚れた液の放出は、より汚れの少ない 液で補えばよいということは勿論である。もっとも、シールループ95に対して は、ライン330からきれいな水を入れることが望ましい。また、図7には、そ れそれループ96、97に液を補給目的に供給する分枝ライン332と333が 示されている。もっとも、これらのラインへの補給液の量はかなり低流量である 。これらには前のループのラインから液が供給されるからである(つまり、ルー プ96にはライン303とライン311の両方から液が供給され、一方ライン9 7には逸出余液貯留槽239とライン316との両方から液が供給される)。ル ープ96およびループ97に対する補給液の大部分は、前のループ(複数を含む )から供給されることになるから、きれいな液のライン330から補給液を、分 枝ライン332と333を通じて供給する必要があるにしても、それは最小限の 量であろう。 従って、図7に示されるようなシステムを用いることによって、最もきれいな 水は、必要とされる場合のみに取って置くことができ、しかも工場内の液の回路 の全てにわたって十分な水の量が確保されていることが分かるであろう。 従って、本発明によって、セルロースパルプ工場からの廃液を絶対的に最小限 化する効果的な方法および装置が提供されたことが分かるであろう。本発明につ いては、最も実際的でかつ好ましい態様であると現在考えられたものを本明細書 に示し、かつ説明したものであるので、多くの部分的改変点が本発明の範囲内で 当業者には明らかになろう。従って、本発明の特許請求の範囲については、すべ ての等価の方法および装置を含むように最も広く解釈すべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 グリーンウッド ブライアン エフ. アメリカ合衆国、ニューヨーク州 12801 ―3686、グレンス フォールス、リッジセ ンター(番地なし) カミヤー インコー ポレーテッド内 (72)発明者 グリックセン ヨハン フィンランド国、ヘルシンキ、カーヒュラ エー.アールストローム コーポレーシ ョン内 (72)発明者 キイスキラ エルッキ フィンランド国、カーヒュラ、エー.アー ルストローム コーポレーション内 (72)発明者 マッテルマキ エスコ フィンランド国、ヴァーカス、カーヒュ ラ、エー.アールストローム コーポレー ション内 (72)発明者 フィリップス ジョセフ アール. アメリカ合衆国、ニューヨーク州 12801、 グレンス フォールス、リッジセンター (番地なし) カミヤー インコーポレー テッド内 (72)発明者 リチャードセン ジャン ティー. アメリカ合衆国、ニューヨーク州 12801、 グレンス フォールス、リッジセンター (番地なし) カミヤー インコーポレー テッド内 (72)発明者 リイハム ロルフ アメリカ合衆国、ジョージア州 30077、 ロズウェル、マンセル コート 30 (72)発明者 ソダーマン ジャルモ フィンランド国、ヘルシンキ、カーヒュ ラ、エー.アールストローム コーポレー ション内 (72)発明者 ウィクルンド カール ジー. フィンランド国、ボナッスンド、カーヒュ ラ、エー.アールストローム コーポレー ション内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.蒸解カン、漂白プラント、並びに粒子を含む排ガス及び蒸解薬剤を製造する に使われるメルトを発生する回収ボイラーを含む硫黄含有薬剤回収ループを有す るセルローズパルプ工場から排出される廃液を最小限化する方法において、以下 の諸工程、すなわち、 (a)漂白プラントからの廃液を、回収ボイラーでの焼却に十分な高濃度まで 濃縮する工程、 (b)濃縮された漂白プラント廃液を回収ボイラーで焼却して、ナトリウム、 カリウム含有の塩、並びに塩素含有塩を含有する粒子、および硫黄化合物を含有 する排ガスを発生させる工程、 (c)工程(b)からの排ガスからの粒子の大部分を除去して、塩素分を含有 する塩を含む、ナトリウム塩およびカリウム塩並びに硫黄化合物を含む灰分を生 成させる工程、および (d)工程(c)からの灰分からカリウムおよび塩素分を除き、一方灰分の硫 黄含有化合物を回収ループへ戻し、工場中の硫黄、塩素、およびカリウムの水準 のバランスを取る工程、 を包含する、セルローズパルプ工場から排出される廃液を最小限化する方法。 2.工程(d)が、硫黄含有化合物を、回収ボイラーへ入る直前の黒液へ直接戻 すことによって行われることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 3.更に、次の諸工程、すなわち、 (e)蒸解カンから黒液を取り出す工程、 (f)黒液の固体濃度を焼却に十分な高濃度まで高める工程、 (g)濃縮された黒液を回収ボイラーで焼却して、メルトを生成する工程、 および、 (h)メルトおよび回収ルートへ供給された残留の灰分を含む回収ルートにあ る物質中から白液および/または実質的に硫黄を含まないNaOHを生成する工 程、 を包含することを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 4.工程(h)が、少なくとも部分的には、メルトから緑液を製造し、緑液に結 晶化を行ってNaOHを生成させ、そしてNaOHを漂白プラントへ送ることに よって行われることを特徴とする請求の範囲3記載の方法。 5.工程(a)が、漂白プラントからの逸出余液を濃縮し、濃縮された逸出余液 が、引き続いて濃縮された漂白プラント廃液と一緒に処理されることによって行 われることを特徴とする請求の範囲3記載の方法。 6.工程(a)が、蒸発および濃縮操作を用い、少なくとも約50%の固形分濃 度を有する廃液を生成することによって行われることを特徴とする請求の範囲5 記載の方法。 7.回収ボイラーメルトから緑液を製造し、緑液から金属を取り除き、次いで金 属を含まない緑液を苛性化する工程を更に包含することを特徴とする請求の範囲 1記載の方法。 8.苛性化された緑液に付け加えて、金属を含まない緑液に結晶化を行いNaO Hを製造し、このNaOHを漂白プラントへ送る工程を更に包含することを特徴 とする請求の範囲7記載の方法。 9.工程(d)が、硫黄含有化合物を、回収ボイラーへ入る直前の黒液へ直接戻 すことによって行われることを特徴とする請求の範囲7記載の方法。 10.金属を取り除く前記工程が、濾過、静置沈降、または濾過と静置沈降との 組み合わせによって行われることを特徴とする請求の範囲7記載の方法。 11.プロセス液の流れを有し、そして蒸解カン、漂白プラント、および粒子を 有する回収ボイラー排ガスを含む硫黄含有薬剤回収ループを備えるセルロースパ ルプ工場から排出される廃液を最小限化する方法において、以下の諸工程、すな わち、 (a)工場のプロセス液流からの逸出余液を捕集する工程、 (b)少なくとも工程(a)からの捕集された逸出余液を含む工場廃液を濃縮 し、焼却に十分な高濃度までにする工程、 (c)工程(b)からの濃縮された廃液を焼却して、少なくともある程度硫黄 を含む残渣を生成させる工程、および (d)少なくともある程度硫黄を含む残渣の少なくとも一部を薬剤回収ループ へ戻し、蒸解カンに用いる白液の製造に用いる工程、 を包含する、セルロースパルプ工場から排出される廃液を最小限化する方法。 12.工程(c)が、廃液を回収ボイラー中で直接焼却して、ナトリウム、カ リウムを含む塩、並びに塩素分含有塩を含む粒子、および硫黄化合物を含有する 排ガスを発生することによって行われ、更に、次の諸工程、すなわち、(e)排 ガスからの粒子の大部分を除去して、塩素分を含有する塩を含む、ナトリウム塩 およびカリウム塩並びに硫黄化合物を含有する灰分を生成させる工程、および( f)工程(e)の灰分からのカリウムおよび塩素分を除去し、一方灰分の硫黄含 有化合物を回収ループへ戻し、工場中の硫黄、塩素分、およびカリウムの水準の バランスを取る工程を包含することを特徴とする請求の範囲11記載の方法。 13.工程(f)が、硫黄含有化合物を、回収ボイラーへ入る直前の黒液へ直接 戻すことによって行われることを特徴とする請求の範囲12記載の方法。 14.工程(b)の実施に先立って、捕集された逸出余液の清澄化を行う工程( e)が更に包含されることを特徴とする請求の範囲11記載の方法。 15.工程(c)が、回収ボイラーとは異なる焼却炉中で行われ、この工程で硫 酸塩、塩化ナトリウム、および炭酸塩を含有する残渣が生成され、更に、次の諸 工程、すなわち、(e)残渣を硫酸と一緒に蒸留してガス状塩化水素と、残留の 残渣とを生成させる工程、および(f)薬剤プラントにおいて工程(e)からの ガス状塩化水素を用いて漂白プラントに使われる二酸化塩素を製造する工程を包 含し、この工程(d)は、少なくとも部分的には、工程(e)からの残留の残渣 を回収ループへ送ることによって行われることを特徴とする請求の範囲11記載 の方法。 16.工程(c)が、回収ボイラーとは異なる焼却炉中で行われ、この工程でナ トリウム、硫酸塩、および炭酸塩を含有する残渣が生成され、更に、次の工程、 すなわち、(e)残渣を浸出して浸出液を生成させる工程を包含し、この工程( d)は、少なくとも部分的には、少なくとも実質的な部分の浸出液を薬剤回収ル ープへ供給することによって行われることを特徴とする請求の範囲11記載の方 法。 17.蒸解カン、漂白プラント、および粒子を有する回収ボイラー排ガスを含む 硫黄含有薬剤回収ループを有するセルローズパルプ工場から排出される廃液を最 小限化する装置において、 以下の諸手段、すなわち、 (a)漂白プラントからの廃液を、回収ボイラーでの焼却に十分な高濃度ま で濃縮する手段、 (b)濃縮された漂白プラント廃液を回収ボイラーへ、そこでの焼却目的に供 給して、ナトリウム、カリウム含有の塩、および塩素分含有塩を含有する粒子、 並びに硫黄化合物を含有する排ガスを発生させる手段、 (c)工程(b)からの排ガスからの粒子の大部分を除去して、塩素分を含有 する塩を含み、カリウム塩および硫黄化合物を含む灰分を生成させる手段、 および (d)手段(c)の灰分からのカリウムおよび塩素分の少なくともある程度の 量を取り除き、一方灰分の硫黄含有化合物の大部分を回収ループへ戻し、工場中 の硫黄、塩素分、およびカリウムの水準のバランスを取る工程、 を備えた、セルローズパルプ工場から排出される廃液を最小限化する装置。 18.前記の手段(d)が、硫黄含有化合物を、回収ボイラーへ入る直前の黒液 へ戻す手段を備え、その際前記の手段(a)が、約100ミクロン未満の厚さを 有する金属/プラスチック積層体で構成された複数の蒸発器を備えたことを特徴 とする請求の範囲17記載の装置。 19.蒸解カン、漂白プラント、および回収ボイラーを含む硫黄含有薬剤(蒸解 薬剤を製造するのに使われるメルトを含む)回収ループを有するセルローズパル プ工場から排出される廃液を最小限化する方法において、 以下の諸工程、すなわち、 (a)漂白プラントからの廃液を、焼却に十分な高濃度まで濃縮する工程、 (b)濃縮された漂白プラント廃液を焼却して、回収ループへ最終的には戻さ れる硫黄含有薬剤を生成させる工程、 (c)回収ボイラーメルトから緑液を製造する工程、 (d)緑液から金属を取り除く工程、および (e)金属を含まない緑液を苛性化する工程、 を包含する、セルローズパルプ工場から排出される廃液を最小限化する方法。 20.工程(d)が、濾過、静置沈降、または濾過と静置沈降との組み合わせに よって行われることを特徴とする請求の範囲19記載の方法。 21.工程(e)からの、捕集され清澄化された逸出余液の一部を廃材燃料ボイ ラーで直接燃焼する工程(f)を更に包含することを特徴とする請求の範囲14 記載の方法。 22.工程(b)が、各約100ミクロン未満の厚さを有する金属/プラスチッ ク積層体で構成された落下液膜式蒸発器を使用する蒸発によって行われることを 特徴とする請求の範囲14記載の方法。 23.前記の手段(d)が、硫黄含有化合物を、回収ボイラーへ入る直前の黒液 流へ戻す手段を備えることを特徴とする請求の範囲17記載の装置。 24.更に、苛性化された緑液に付け加えて、金属を含まない緑液に結晶化を行 い水酸化ナトリウムを製造し、水酸化ナトリウムを漂白プラントへ送る工程を包 含することを特徴とする請求の範囲19記載の方法。
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