JPH09501821A - 標的分子の細胞内結合方法 - Google Patents

標的分子の細胞内結合方法

Info

Publication number
JPH09501821A
JPH09501821A JP6504609A JP50460994A JPH09501821A JP H09501821 A JPH09501821 A JP H09501821A JP 6504609 A JP6504609 A JP 6504609A JP 50460994 A JP50460994 A JP 50460994A JP H09501821 A JPH09501821 A JP H09501821A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
protein
sequence
cells
hiv
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6504609A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3832847B2 (ja
Inventor
エイ. マラスコ,ウェイン
エイ. ハッセルタイン,ウィリアム
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dana Farber Cancer Institute Inc
Original Assignee
Dana Farber Cancer Institute Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dana Farber Cancer Institute Inc filed Critical Dana Farber Cancer Institute Inc
Priority claimed from PCT/US1993/006735 external-priority patent/WO1994002610A1/en
Publication of JPH09501821A publication Critical patent/JPH09501821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3832847B2 publication Critical patent/JP3832847B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、望ましくない標的分子または標的抗原、好ましくはタンパク質を標的とし得ることによる方法に関する。この方法は、標的に結合し得る抗体の細胞内発現を包含する。DNA配列は、細胞に送達され、DNA配列は目的物の細胞において抗体を発現させるプロモーターに作動可能に連結した標的に結合し得る抗体の一部をコードする十分な数のヌクレオチドを含む。次いで、抗体は細胞内で発現し、そして標的に結合し、そのことにより正常な作用によって標的を分裂させる。

Description

【発明の詳細な説明】 標的分子の細胞内結合方法 本発明は、特定の分子の、好ましくはタンパク質の分子内結合方法に関する。 さらに詳細には、本方法は、所望の分子に特異的な抗体の細胞内発現、およびそ れに続く使用を包含する。 種々の異常は、タンパク質などの特定の分子の望ましくない発現の結果である ようである。例えば、多くの腫瘍は、neu、myc、ablなどの細胞性癌遺伝子の過 剰発現の結果であると考えられている。他の悪性腫瘍は、変化したレセプターが 発現した結果であると考えられている。ある病気は、ウイルスのタンパク質が望 ましくない細胞での発現により引き起こされる。例えば、ヒト免疫欠乏ウイルス (HIV)は、構造タンパク質および調節酵素を含むタンパク質をコードするウイル スが調製のために、哺乳動物細胞を用いる。ヒトT細胞白血病ウイルス1型また は2型(HTLV-1またはHTLV-2)は、ウイルスの発現の結果として、感染個体中に腫 瘍を生成する。タンパク質をコードするこのようなウイルスは、他の細胞に次々 と感染し得るビリオンの集合になり得る。 治療の方法は、望ましくないタンパク質を標的とする薬剤の開発、このような タンパク質(例えば、可溶性CD4)を細胞内で遮断する手段、および望ましくない タンパク質を発現する細胞を選択的に殺す薬物の使用を包含していた。 示唆されてきた他の治療方法は、遺伝物質を細胞中へ輸送することである。例 えば、レセプター介在遺伝子送達による、トランス核(transkaryotic)挿入、お よびレトロウイルス遺伝子輸送などのウイルスのシャトルベクターである。遺伝 子治療と広く呼ばれるこのような方法では、タンパク質が欠乏しているか、また は機能障害のタンパク質を産生するかのいずれかである細胞は、正常な遺伝子生 成物をコードしている細胞にDNAを挿入することにより、改善されることが望ま れる。 インビボでの遺伝子発現は、次のリポソーム中にカプセル化された非感染性、 非癌遺伝子性血漿DNAの直接注入[Nicolau,C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.80:1 068(1983)]、免疫リポソーム[Wang,C.Y.ら、Proc.Natl.Acad.Sci 84:7851( 1987)]、およびリポソーム/赤血球細胞膜ハイブリッド[Kaneda,Y.ら、Scienc e 243:375(1989)]の中で報告されている。種々のリン酸カルシウム沈殿遺伝子配 列からの発現が、次の腹腔内への直接注入[Benvenitsy,N.ら、Proc.Natl.Aca d.Sci 83:9551(1986);Felgner,P.L.ら、Nature 349:351(1991)]、または次 のトランス核の提供(implementation)[Seldon,R.F.ら、Science 242:714(1987 )]で報告されている。インビボにおける遺伝子標的化もまた、アシアロオロソム コイド/ポリシン複合体と、肝臓に対してのみ標的発現させ、次いで静脈内投与 するのに用いたプラスミドレセプター遺伝子との間の複合体に、レセプターを介 して遺伝子送達することにより達成された[Wu,G.Y.ら、J.Biol.Chem.263 :14621(1988)]。レトロウイルスの遺伝子転移が、ほとんどの細胞で、感染、安 定した組み込み、および発現の高い効率を提供することが報告されている[Ander son,W.F.,Science 226:401(1984)]。インビボでの遺伝子治療は、ADA遺伝子を 運搬する自己由来のリンパ球が血液中に再注入されたADA不全症の患者、および 腫瘍壊死因子(TNF)の遺伝子を運搬する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を再注入された、 前進性メラノーマ患者で開始された[Rosenberg,S.A.ら、N.Eng.J.Med.323: 570(1990)これらの論文の全ては、特に本明細書中に参考として援用されている] 。 ウイルスのインヒビターを連続して発現し、そしてウイルスの感染を阻害する 細胞の遺伝子改変が、提案されており、そして細胞内免疫化と呼ばれている。[B altimore,D.,Nature 335:395-196(1988)]。このゴールに向けて、いくつかのア プローチが試験され、これには、HIV-1特異的リボザイム[Sarver,N.ら、Scienc e 227:1222(1990)]、アンチセンスRNA[Posnansky,M.ら、J.Virol.65:532(199 1)]、tar誘引物(decoy)[Sullenger,B.A.ら、Cell 63:601(1990);Lisziewicz ,J.ら、VII Internat'l.Conf.AIDS 2:28(1991)]、優性ネガティブ変異体な ど[Buonocorelら、Nature 345:625-628(1990);Hasseloff,J.ら、Nature 334: 585-591(1988);VanderKrol,A.R.ら、Bio Techniques 6:958-976(1988);Mali m,M.H.ら、Cell 58:205-214(1989);およびTrono,D.ら、Cell 59:113-120(1 989)]を包含する。このようなアンチ センスRNAまたはリボザイムを用いる効果的な遺伝子阻害プロトコールの開発を 大きく妨害するのは、形質転換した細胞中でDNAテンプレートをコードするイン ヒビターの高い発現レベルを達成する能力であり、そして、これもまた、競合阻 害の性質のために優性ネガティブ変異体を用いるための可能性のある問題であり 得る。 所望の分子に対するインヒビターの高レベルの発現に達するのに用いられ得る 方法が望ましい。 これらの望ましくない分子を特異的に標的化し得、そして広く適用可能である 方法が望ましい。 細胞中に細胞毒性の化学物質を挿入しない方法が望ましい。 望ましくないタンパク質を標的化する敏速な手段を提供する方法が望ましい。 発明の要旨 望ましくない分子(標的分子または標的抗原と呼ばれることもある)、好まし くはタンパク質を標的し得る方法を最近発見した。この方法は、標的に結合し得 る抗体の細胞内発現を包含する。目的の細胞中で抗体を発現させ得るプロモータ ーに作動可能に連結した標的に、結合し得る抗体部分をコードする十分な数のヌ クレオチドを含むDNA配列(抗体カセット)は、細胞に送達される。その後、抗体 は細胞内で発現して標的に結合し、それによって、標的はその正常な作用が中断 される。一つの好ましい実施態様では、抗体カセットの「抗体遺伝子」 は、抗体のH鎖可変(VH)ドメインおよびL鎖可変(VL)ドメインをコードするcDNA を利用する。ここで、抗体は、翻訳時に、タンパク質などの標的物に結合し得る 一本のポリペプチド(一本鎖可変部フラグメント(sFv)と呼ばれる)を形成する、 2つの可変ドメインの架橋として適切なオリゴヌクレオチドにより、DNAレベル で接続され得る。抗体遺伝子は、作動可能な分泌配列をコードしていない。従っ て、発現した抗体は、細胞内に残存する。特定の好ましい実施態様では、細胞内 局在リーダーをコードするヌクレオチド配列もまた用いられる。 好ましい細胞標的物は、HIV感染細胞などのレトロウイルスに感染した細胞で あり、ここで、標的物はウイルスによりコードされたタンパク質である。例えば 、エンベロープ糖タンパク質およびgagタンパク質などの構造タンパク質に対す る抗体、および/またはtat、rev、nef、vpu、および/またはvpx調節タンパク質 に対する抗体を使用し得る。一つの好ましい実施態様では、抗体カクテル(すな わち、抗体の混合物)を用いて、種々のウイルス標的タンパク質を標的とする。 他の好ましい標的物は、貫膜成長因子レセプターなどの癌遺伝子、レセプター、 成長因子、膜結合グアニンヌクレオチド結合タンパク質などを包含する。 図面の簡単な説明 図1は、免疫グロブリンのH鎖およびL鎖遺伝子の可変部および定常部のクロ ーニングのためのPCRプライマーの位置を 示す。 図2は、エンベロープ糖タンパク質F105に対する広範囲の中和抗体Fv、sFv、 およびsFv-KDELの構造の概略図である。それぞれの鎖の3つの相補性決定領域(C DR)は、陰影を付けてある。 図3は、エンベロープ糖タンパク質に対する広範囲の中和抗体のFabフラグメ ントを発現するプラスミドでトランスフェクトしたCOS-1細胞のパルスチェイス を示すオートラジオグラムである。 図4は、細胞溶解液または培養培地から免疫沈降したタンパク質を示す12.5% SDS-ポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラフである。 図5は、形質転換細胞の免疫蛍光染色を示す。 図6Aおよび図6Bは、HIV-1糖タンパク質と共同沈降した、sFv 105(A)また はsFv 105-KDEL(B)を示すポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラムである 。 図7は、sFvまたはsFv-KDELを発現する細胞中でのシンシチウム形成の阻害を 示す。 図8は、細胞中でHIV-1糖タンパク質への特異的結合を示す局在配列を有する 一本鎖抗体のオートラジオグラムである。 図9は、特定の標的に対する一本鎖抗体が無関係のタンパク質とは共同沈降し ないことを示すオートラジオグラムである。 図10は、細胞内に保持されている抗tat抗体が、HIV-1糖 タンパク質と結合しないことを示すオートラジオグラムである。 図11は、sFvまたはsFv-KDELを発現する細胞内での感染HIV-1の産生を示す 。 図12は、SupT1細胞中でのシンシチウム形成によるウイルスカ価を示す。 図13は、誘導性プロモーターまたはCMVプロモーターのいずれかのコントロ ール下で、一本鎖抗体で安定して形質転換したSupT細胞を示すオートラジオグラ ムである。 図14は、抗体介在遺伝子転移の方法を示す。 図15は、抗体-ポリリジン複合体の合成を示す。 図16は、tatタンパク質の種々の濃度下のSupT HIV感染細胞中でのsFv F105 の発現を示すオートラジオグラムである。 図17Aから17Dは、HIV-1に感染し、そしてF105 sFvで安定して形質導入 したCD4 SupT細胞中でのgp120の発現のFACS分析を示す。 図18Aから18Dは、sFv F105で形質導入したHIV-1感染SupT細胞中での表 面CD4発現を示す。 図19は、SupTベクター(svector)細胞またはSupT sFv 105細胞をHIV-1に感染 させた後のシンシチウム形成を研究した結果を示す。 図20は、種々の濃度においてTatでトランスフェクトしたHIV-1 LTR-CATリポ ーターを含むプラスミドを発現する細胞のトランス活性化を示す。 図21は、3つの異なるtat抗体存在下でのtat活性を示す。 図22は、異なる抗体濃度における図21の抗体に対するtat活性を示す。 発明の詳細な説明 本発明は、特定の分子(標的分子)、好ましくは、望ましくないタンパク質など のタンパク質の標的化方法に関する。本方法は、特定の標的(例えば、標的タン パク質)と結合し得る抗体の細胞内発現を包含し、ここで好ましくは、抗体はそ の分泌をコードする配列を含んでいない。このような抗体は、標的と細胞内で結 合する。本明細書で用いたように、抗体という用語は、少なくとも、タンパク質 などの標的に選択的に結合し得る免疫グロブリンの部分を指す。抗体は、本明細 書中で抗体遺伝子と呼ばれる、標的と結合し得る抗体の部分をコードする十分な 数のヌクレオチドを含有するDNA配列から発現される。遺伝子は、目的の細胞中 の抗体を発現し得るプロモーターと作動可能に連結される。プロモーターは、当 該分野では周知であり、そして標的したい細胞型に依存して容易に選択され得る 。さらに、誘導性プロモーターの使用もまた当該分野では周知であり、それは、 いくつかの実施態様において好ましい。例えば、標的タンパク質の機能が、過剰 発現の結果である場合である。次いで、「プロモーターを作動させること」によ り、抗体の発現が選択的に得られ得る。抗体遺伝子およびプロモーターの全体の 配列は、抗体カセットとして 本明細書中に記載されている。このカセットは、遺伝子を細胞内に送達し得る、 以下に記載された多くの手段のいずれかにより細胞に送達される。 カセットは、細胞内で抗体を発現する。次いで、発現した抗体は、標的抗原に 結合し得る。このことにより、広く多様な有用な提要が可能である。 ほとんどのどんな種類の生物学的分子でも、抗原として用い得る。例えば、中 間代謝産物、糖質、脂質、オータコイド、およびホルモン、ならびに、高分子( 複合糖類、リン脂質など)、核酸(RNAおよびDNAなど)、およびタンパク質である 。当業者は、小分子および高分子の両方に特異的に結合する抗体を作成し得る。 例えば、免疫化の前に、当業者は小分子を用いて、一般的に小分子(ハプテンと 呼ばれる場合がある)を高分子(担体と呼ばれる場合がある)に結合させる。ハプ テン−担体複合体は、免疫原として作用する。このように、標的の広い範囲と特 異的に結合する抗体は公知である。好ましい標的分子には、タンパク質、RNA、D NA、およびハプテンを包含する。さらに好ましくは、標的はタンパク質である。 多くの癌遺伝子の過剰発現が、悪性の細胞形質転換に関連して報告されている 。例えば、mycの増幅は、COLO 320結腸癌腫細胞培養物、SKBR3胸部癌腫細胞株、 および肺癌腫細胞株で報告されている。N-mycの増幅は、神経芽細胞腫細胞株お よび網膜芽腫で報告されている。c-abl、c-myb、および他の癌遺伝子もまた、悪 性の性質転換に関連して報告されている。RNA Tumor Viruses,Molecular Biology of Tumor Viruses 、第2版、487-543頁、第 12章、「ヒト癌遺伝子」、Weiss,R.ら編、(Cold Spring Harbor Laboratory(19 85))を参照のこと。 高レベルの多様な癌遺伝子もまた、腫瘍の再発の危険をもたらすことが報告さ れている。例えば、neu/c-erbB-2のレベルとヒト胸部癌の原因および経過との間 の相関関係が報告されている。Paterson,M.C.ら、Cancer Research 51:556-56 7(1991)を参照のこと;高レベルのmyc、int-2、およびhst-1もまた、胸部癌に関 与している。同様に、EGF、EGF-Rへのレセプターの上昇したレベルが、胸部癌と 関連することが示されている。Grimaux,M.ら、Int.J.Cancer 45:255-262(1990 )。これらの癌遺伝子および他の癌遺伝子の過剰発現もまた、他の癌と関連する として報告されている。 多くの癌遺伝子は、細胞増殖に含まれている遺伝子と幾分かの相同性を示す。 例えば、以下の表を参照のこと。 これらの癌遺伝子の大部分に対する抗体が報告されている。さらに、癌遺伝子 (oncと呼ばれる場合もある)の過剰発現に対 して、いくつかの癌遺伝子は、プロト-onc(正常タンパク質への正常遺伝子)から 細胞の悪性の形質転換を生じるようなonc(悪性の形質転換を引き起こし得るタン パク質の遺伝子)までの変異を起こす。例えば、12位、13位、および61位の残基 にあるras p21のコドンでras遺伝子が点変異により、種々の癌に関与する変異体 ras p21タンパク質が得られた。これらのras変異体の多くに対して特異的な抗体 が知られている。 同様に、ウイルスのタンパク質が発現すると、疾病を招き、その結果、病気お よび死ぬことすらあり得る。ウイルスは、RNAまたはDNAウイルスのいずれかであ り得る。例えば、RNAウイルスの一種であるレトロウイルスは、典型的には、3 つのサブファミリー、すなわち腫瘍ウイルス、泡沫状ウイルス亜科のウイルス、 およびレンチウイルスの1種の一部であると分類されている。腫瘍ウイルスによ る感染は、典型的には悪性疾患に関連する。コードされているウイルスのタンパ ク質には、gag、pol、およびエンベロープが包含される。ウイルスが、培養物中 の細胞を悪性形質転換し得るタンパク質をコードする癌遺伝子を含む場合がある 。レンチウイルスは、一般にゆっくりとした感染を生じ、そして長期の潜伏期間 の後に、慢性の消耗性疾患を引き起こす。遺伝子が、gag、pol、およびエンベロ ープ構造タンパク質をコードすることに加えて、遺伝子は、種々の調節タンパク 質をもコードする。ウイルスのRNAおよび/またはDNAは、細胞機構を引き継いて ウイルスにコードされるタンパク質を生成し得る。 例えば、HTLV-1は、成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の病因因子、つまりCD4' T細胞の攻撃的新生物であるレトロウイルスである[Poiesz,B.J.ら、Proc.Nat l.Acad.Sci.77:7415-7419(1980)]。このようなウイルスにより発現されるウ イルスのタンパク質により、細胞の形質転換が生じる。taxおよびrex遺伝子なら びに遺伝子生成物は、腫瘍形成に関して重要であると考えられる。従って、それ らは好ましいグループ分けの標的分子である。 HIVは、後天性免疫不全症候群(AIDS)および関連疾患などの免疫不全疾患の病 因因子であるHIV-1およびHIV-2を包含するレンチウイルスのファミリーを構成す る[Barre-Sinoussiら、Science 220:868-871(1983);Galloら、Science 224:500 -503(1984);Levyら、Science 225:840-842(1984);Popovicら、Science 224:49 7-500(1984)]。 エプスタイン・バールウイルスは、免疫抑制された個体におけるバーキットリ ンパ腫、鼻咽頭部癌、およびB-リンパ腫が選択されて発生するように、多くの腫 瘍と関連している[zur Hausen,H.,Science 254:1167-1173(1991)]。 B型肝炎ウイルスは、肝細胞癌と関連している[zur Hausen,Science,前出] 。特に、ウイルスのXオープンリーディングフレームが含まれているようである [同書]。従って、この領域、またはこの領域からの発現生成物を標的とする抗体 は、本発明の方法において好ましい。 パピローマウイルスは、肛門性器癌と関連している[同書]。 E6およびE7遺伝子がこれらのウイルスに含まれると考えられ、そして良好な標的 となる。 DNAプロウイルスなどの核酸に細胞内結合することにより、細胞へのウイルス の組込みを予防または阻害し得る。ウイルスのRNAへの結合により、ウイルスタ ンパク質の発現を妨害し得る。抗ヌクレオチド抗体は、広く研究され[Van Es,J .H.ら、J.of Immun.149:2234-2240(1992);Brigido,M.M.ら、J.of Immun .150:469-479(1993);Stollar,B.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4469 -4473(1986);Eilat,D.ら、J.of Immun.141:1745-1753(1988);Brigido,M.M .ら、J.of Immun.146:2005-2009(1991)]、そして抗体は同じ基本的な特徴を共 有している。 これらの抗体は、抗体を含むライブラリーをスクリーニングするために、RNA などのヌクレオチド配列を用いるなどの標準技術により、生成および/またはス クリーニングされ得る[Tsai,D.E.、J.of Immun.150:1137-1145(1993);Okano ,Y.ら、J.of Immun.149:1093-1098(1992);Tsai,D.E.、Proc.Natl.Acad .Sci.USA 89:8864-8868(1992)]。 好ましくは、抗体を選択および/または設計して、重要な核酸結合部位で標的 化および妨害をもし得る。例えば、霊長類免疫不全ウイルスのTAR成分である。 この核酸配列は、5'LTRに存在し、そしてウイルスタンパク質の発現を増強するt atに応答性である。 これらの癌遺伝子およびウイルスの標的タンパク質に細胞 内結合することにより、タンパク質の分裂の影響を減少または回避するこのよう なタンパク質の正常な機能を中断させ得る。 例えば、レセプタータンパク質、ウイルスのエンベロープタンパク質(例えば 、HIV gp160)などのさらにプロセスされたタンパク質と結合すると、タンパク質 の切断が著しく減少して活性成分になり得る。別の例として、キャプシドタンパ ク質(例えば、HIVキャプシドタンパク質)は、脂肪酸のミリスチン酸を添加する ことにより、共翻訳的に改変されている。ミリスチン酸は、細胞の内表面に付着 しているキャプシド前駆体タンパク質中に含まれているようである。HIVプロウ イルスでは、このウイルスが変化しているので、このミリスチン酸を付加し得ず 、プロウイルスは感染性ではない。ミリスチル化のプロセスの研究は、アミノ末 端から2位で、およびミリスチル化部位から6〜10アミノ酸以内のアミノ酸残基 でもグリシンが必要であることを示す。従って、これらの部位およびこの近くの 部位のタンパク質に結合する抗体は、ミリスチル化を中断し得る。 同様に、重要な外部ドメインを有するタンパク質に結合することにより、タン パク質の影響を妨げ得る。 他の実施態様では、機能障害レセプタータンパク質に結合することにより、悪 性形質転換などの細胞の機能障害を起こし得る望ましくない相互作用を遮断し得 る。 例えば、多くのタンパク質(表面レセプター、貫膜タンパク 質など)は、小胞体(ERと呼ばれる場合もある)-ゴルジ装置を通ってプロセスさ れる。このようなタンパク質の例には、neu、エンベロープ糖タンパク質(霊長類 レンチウイルス、例えばHIV-1またはHIV-2のエンベロープ糖タンパク質など)が 挙げられる。細胞のこのような領域に送達され得、そして特定のタンパク質に対 して特異的であり得る抗体を用いることにより、他の細胞の機能を中断させるこ となくこのようなタンパク質の機能を中断させ得る。例えば、sisおよびint-2に より生成されたPDGF-/2およびFGF様因子は、ERを通過する。これらの因子は、多 くの癌に関与する。従って、レセプターを標的とすることに加えて、それらに対 する抗体を用いて、成長因子を標的とし得る。 成長因子もまた、カルチノイド症候群腫瘍由来などの多くの他の悪性細胞によ り発現され、そしてこれらは別の標的となる。 この方法を用いてもまた、ある特定時間に望ましくない機能を中断もさせ得る 。例えば、MHCクラスIおよびクラスIIの分子は、抗原の免疫系認識において重 要である[Teyton,L.ら、The New Biologist 4:441-447(1992);Cox,J.H.ら、Sc ience 247:715-718(1990);Peters,P.J.ら、Nature 349:669-676(1991);Hacke tt,Nature 349:655-656(1991)]。しかし、特にMHCクラスII分子からのこのよう な免疫認識は、器官移植片などに問題を生じ得る[Schreiner,G.F.ら、Science 240:1032-1033(1988)]。従って、器官移植片でクラスII分子を 標的化することにより、宿主の免疫応答を低く調節(down reguatee)し得る。こ れらの分子は、好ましくはそれらのプロセシング経路において、異なった点で標 的化され得る。好ましくは、抗体遺伝子に対する誘導性プロモーターを使用する 。 従って、特定の標的を考慮することにより、この方法の多くの変法が、当業者 により設計され得る。 例えば、HIV-1エンベロープ遺伝子は、gp160と呼ばれる前駆体ポリ糖タンパク 質の合成を指示する。このタンパク質は、小胞体に入り込むような多重にN架橋 した糖を加えることにより改変される[Allan,J.S.ら、Science 228:1091-1094 (1985);Robey,W.G.,Science 228:593-595(1985);DiMarzo-Veronese,F.ら、S cience 229:1402-1405(1985);Willey,R.L.ら、Cell Biol.85:9580-9584(1988 )]。次いで、グリコシル化エンベロープタンパク質前駆体は、ゴルジ装置内で切 断され、外部糖タンパク質のgp120、および貫膜タンパク質のgp41からなる成熟 エンベロープタンパク質を生じる[Willey,Cell Biol.,前出;Stein,B.S.ら、 J.Biol.Chem.265:2640-2649(1990);Earl,P.L.ら、J.Virol.65:2047-205 5(1991)]。エンベロープ糖タンパク質複合体は、非共有相互作用を通してgp41に よりビリオンエンベロープおよび感染細胞膜に固着されている[DiMarzo-Verones e,Science,前出;Gelderblom,H.R.ら、Lancet ii:1016-1017(1985)]。gp120 部糖タンパク質がCD4レセプターへ結合した後、ウイルスおよび宿主細胞の膜の 融合により、ウイルスが進入し得る[S tein,B.S.,Cell 49:659-668(1987)]。gp120/gp41複合体の融合誘導ドメイン は、gp41のアミノ末端にあると考えられている。なぜなら、この領域が、他のウ イルスのタンパク質の融合誘導ドメインと相同な配列を示し[Gallaher,W.R., Cell 50:327-328(1987);Gonzalez-Scarano,F.,AIDS Res.Hum.Retrovir.3: 245-252(1987)]、そしてこの領域での変異が、ウイルスを不活性化し、そしてウ イルスの融合を防ぐからである[Kowalski,M.ら、Science 237:1351-1355(1987) ;Kowalski,M.ら、J.Virol.65:281-291(1991);McCune,J.M.ら、Cell 53:5 5-67(1988)]。 プロセスされたgp120およびgp41は、細胞表面に輸送され、そしてウイルスビ リオン(ウイルス粒子と呼ばれる場合もある)の一部として分泌されるが、切断さ れていないgp160は、分解するためにリソソームに送達される。通常の切断プロ セスは、比較的効果的ではない。このように、小胞体のルーメン中で新たに合成 したgp160に結合し、そしてゴルジ装置へのgp160の輸送を阻害する細胞内抗体を 用いる方法は、gp120およびgpo41を切断するのに利用可能なタンパク質の量を激 減させる。従って、生成されたウイルス粒子は、その表面のgp120およびgp41の 量が、大きく減少していた。HIV-1 gp160/120/41タンパク質についてのこの検討 は、他のエンベロープタンパク質およびプロセスされたタンパク質の代表例であ る。本明細書中に用いられているのと同じ技法は、本明細書中の開示に基づく公 知の技法により適用され得る。 さらに、免疫不全症ウイルスのエンベロープタンパク質は、疾患の他の局面と 関連していた[DeRossi,A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.83:4297-4301(1986)]。 例えば、細胞培養物のHIV感染は、典型的には急性および/または慢性感染を 生じる。両方の場合、ウイルスが生成され、そして細胞膜での発芽により放出さ れる。急性感染は、細胞の空胞化、およびシンシチウムの形成、およびその結果 の細胞溶解による明らかな細胞変性の効果により典型的に特徴付けられる[Laure nt-Crawford,Virol.185:829-839(1991)]。組織培養物中で、HIV-1の細胞変性 効果は、多核化巨大細胞(シンシチウム)形成および単細胞の溶解からなる。[Pop ovic,M.,Science 224:497-500(1984);Somasundarin, M.ら、J.Virol.61:31 14-3119(1987)]。シンシチウム形成は、感染細胞の表面上に発現したHIV-1エン ベロープタンパク質により、単独で媒介されている[Sodroski,J.ら、Nature 3 22:470-474(1986);Lifson,J.D.ら、Nature 323:725-728(1986)]。エンベロー プは、隣接した細胞上に存在するCD4レセプターに結合し、次いで、ウイルスの 侵入に関連する融合反応に類似の(agnalogous)融合反応を経て、並んだ膜が融合 して異核共存体が形成される。 gp41アミノ末端での数種の変異は、シンシチウム形成および単細胞溶解の両方 について減弱した感応ウイルスの複製を生じるので、単一細胞溶解もまた、エン ベロープ糖タンパク質により誘導される効率的な膜融合に依存する[Kowalski,M . L.ら、J.Virol.65,前出(1991)]。gp160前駆体のプロセシングをもたらすgp120 におけるアミノ酸の変化が、単細胞溶解を減少し得ること[Stevenson,M.ら、J .Viol.64:3792-3803(1990)]、および、単細胞溶解には、感染細胞中てのウイ ルスタンパク質の発現またはウイルスDNAのレベルに依存しない適切なCD4発現レ ベルが必要であることも報告されている[DeRossi,A.ら、Proc.Natl.Acad.Sc i,USA,前出]。 さらに、HIVエンベロープ糖タンパク質は、多くの他の個体により、関連の免 疫不全症感染個体の徴候を説明するのに関連していた。Siliciano,R.F.ら[Ce ll 54:561-575(1988)]は、CD4が介在するT細胞によるgp120の取り込みに厳密に 依存するプロセスにおけるgp120の存在下で、CD4+gp120特異的クローンのサブセ ットが、細胞溶解活性を示し、そして非感染自己由来CD4+T細胞を溶解すること を示した。gp120は感染細胞から放出され得るので、このCD4依存自己細胞溶解機 構は、AIDS患者のCD4+T細胞の十分な枯渇に寄与し得る。Kion,T.A.ら[Science 253:1138-1140(1991)]およびHoffman,G.W.ら[Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 8:3060-3064(1991)]は、自己免疫イディオタイプネットワークが、CD4+T細胞を 破壊する自己免疫抗体の発生を導くHIV-1感染において発達することを示した。 この自己免疫メカニズムは、gp120とクラスII MHC分子との間で配列が相同であ るので発達する[Young,J.A.T,Nature 333:215(1988)]。抗原の刺激に対する CD+T細胞増殖に及ぼすgp120の免疫抑制の影響が示された[Hoxie,J. A.ら、Science 234:1123-1127(1986);Diamond,D.C.ら、J.Immunol.141:371 5-3717(1988);Gurley,R.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1993-1997(1989 );Crise,B.ら、J.Virol.66:2296-2301(1992)]。これらの研究は、HIV-1など の免疫不全疾患が、CD4+T細胞損失に依存しない抗原認識を制限された主な組織 移植調和複合体IIに影響を及ぼし得ることを示唆する。げっ歯類のニューロンに おいて、gp120が、細胞内でのカルシウムおよび神経毒性の増加を引き起こし[Dr eyer,E.B.ら、Science 248:364-367(1990)]、核エンドヌクレアーゼの活性化 により媒介され得る影響の原因となることを示した。さらに、T細胞の死、また はアポプトシスを誘発する活性化もまた、インビボで生じ、そしてAIDSに導くCD 4+T細胞の進行性の枯渇を説明することが提案された[Groux,H.ら、J.Exp.Med .175:331-340(1992);Meyaard,L.ら、Science 257:217-219(1992)]。インビト ロおよびインビボにおいて、可溶性gp120は、非感染細胞上のCD4レセプターと相 互作用し得、不稔細胞を活性化し、このようにアポプトシスを誘発する[Mcconke y,D.J.ら、Immunol.Today 11:120-121(1990);Pinching,A.J.ら、Immunol.To day 11:256-259(1990);Newe11,M.K.ら、Nature 347:286-289(1988)]。エンベロ ープ糖タンパク質が、T細胞抗原レセプターの可変β領域のみに結合する超抗原 として作用し得、それによってこのようなT細胞の強い刺激および拡張を誘発し 、その後欠失またはアネルギーを招く。Pantaleo,G.ら、N.Eng.J.of Med.23 8:327-335(1993)。 従って、gp120の量が減少することにより、AIDSに関連する影響は軽減され得、 そして遅延し得る。 本明細書中で、より詳細に議論されているように、標的物(例えば、エンベロ ープ糖タンパク質に対する抗体、またはHIV tatタンパク質に対する抗体)に対す る抗体の細胞内発現により、細胞で標的物(例えば、それぞれエンベロープ糖タ ンパク質、またはtatタンパク質)に結合し、そしてさらなるプロセシングを妨げ る抗体を生ずることを確証した。本発明の方法は、特異性が高く、そして細胞の 機能に不利な影響を及ぼさない。従って、この抗体に結合するタンパク質の能力 をなくす単一点変異を含む変異エンベロープタンパク質は、タンパク質を構成的 に発現する細胞で正常にプロセスされる。同様に、他のタンパク質に対する一本 鎖抗体は、エンベロープタンパク質のプロセシングに影響を及ぼさない。従って 、本発明の方法論は、特定のタンパク質に特異的な抗体を用いることを可能にし 、そして特異的な疾患に対して作られ得るプロセスになる。さらに、この方法論 は予防的に用いられ得る。標的物(例えば、HIV LTR)により特異的に活性化され るプロモーターの制御下で抗体をさらに有し得、それにより標的物が存在する場 合に、抗体を向けるのみである。誘導性プロモーターの他の型は当該分野で公知 であり、そして選択され得、そして本発明の開示に基づいて使用され得る。 本発明の抗体の使用では、他のタンパク質のプロセシングに影響を及ぼさない 。例えば、HIVエンベロープ糖タンパク質 に対する抗体は、他のエンベローブ糖タンパク質に結合せず、そしてこのような タンパク質のプロセシングを妨げない。例えば、無関係のエンベロープ糖タンパ ク質(ブンヤウイルスエンベロープ糖タンパク質など)のプロセシングは、影響を 受けない。例えば、構成的に抗体を発現する細胞を生成するエンベロープタンパ ク質に対する抗体を細胞内送達することによる、本発明の方法下の細胞は、親の 細胞由来のウイルスと比べると、生成したウイルス粒子の活性が1,000〜10,000 倍減少することを示した。 多くの他の部位が標的化され得る。例えば、膜レセプターの細胞質側を標的化 することである。それは、シグナルの導入が起こる細胞質尾部を通じてである[L uttrell,L.M.ら、Science 259:1453-1457(1993);Epstein,R.J.ら、Proc.N atl.Acad.Sci USA 89:10435-10439(1992)]。例えば、neu/erbB-2レセプターま たはGタンパク質レセプターを用いて、ループまたは細胞質尾部を標的化し得、 それにより、このようなシグナル導入を妨げる。例えば、リン酸化アミノ酸に対 するなどの活性化レセプターに対する抗体を用いるのが好ましい。従って、標的 レセプターのプールが減少し得る。 抗体は、標的物(例えば、タンパク質)に特異的に結合し、従って、タンパク質 と複合体を形成もする他の分子と効果的に競合し得る。本発明の抗体が他の分子 とうまく競合し得ることを保証するために、抗体は、標的に対する完全抗体(す なわち、定常部および可変部を有する)の少なくとも75%の結合 有効性を保持しなければならない。より好ましくは、抗体は、完全抗体の少なく とも85%の結合有効性を有する。さらにより好ましくは、抗体は、完全抗体の少 なくとも90%の結合有効性を有する。さらにより好ましくは、少なくとも95%の 結合有効性を有する。 以下で述べるように、タンパク質、RNA、DNA、ハプテン、リン脂質、炭水化物 などを含む広範囲の標的分子に広く適用可能な方法を開発した。 標的分子は、広い範囲の宿主に存在し得る。例えば、動物、鳥、および植物で ある。好ましくは、標的物は、ヒトを含む動物である。さらに好ましくは、種は 、ニワトリ、ブタ、雄ウシ、雌ウシ、ヒツジなどの産業上重要性を有する種であ る。最も好ましくは、種はヒトである。 抗体は、ほとんど無限数の外来分子を認識する能力を有しているが、現実に、 抗体は細胞の外部の構造を認識する[Winter,G.ら、Nature 349:293(1991)]。抗 体は一旦合成されると、体液中に分泌されるか、または細胞外膜に結合したまま である[Klein,Immunology,Blackwell Scientific Publications,Cambridge, MA 1990]。細胞内で標的物と特異的に結合する能力を保持している抗体を発現さ せる手段を見出した。 従って、特定の標的物に対する特異性は、免疫系それ自体を用いることにより 得られ得る。抗体を作るために、標的物、またはそれらの抗原部分、またはハプ テン-担体複合体を用い る。これは標準技法により達成され得る。 例えば、抗原の結合領域または可変部は、鎖のアミノ末端にある可変H(VH)ド メインおよび可変L(VL)ドメインの相互作用により形成される。完全な結合部位 を含む最小のフラグメントは、Fvと呼ばれ、そしてVHおよびVLドメインのヘテロ ダイマーである。しかし、完全結合部位なしでの結合を得ることは可能である。 例えば、H鎖結合ドメイン(dAbs、単一ドメイン抗体とも呼ばれる)のみを用いる 抗原結合活性を得られ得る。前記のように、本発明においては、抗体フラグメン トが親抗体に比べて十分な結合能力を保持する限り、このような抗体フラグメン トをコードする遺伝子を使用し得る。好ましくは、少なくとも、少なくともVHお よびVLドメインのヘテロ二量体(Fv)を用いる。 X線結晶学による抗体フラグメントの三次元構造の測定から、可変ドメインが 、密接にパックされたβシートの9つの鎖から構成される特性構造中にそれぞれ 畳み込まれていることが理解された。この構造は、VHおよびVLドメインでの配列 の変化にも関わらず維持されている[Depreval,C.ら、J.Mol.Biol.102:657(19 76);Padlan,E.A.,Q.Rev.Biophys.10:35(1977)]。抗体の一次配列データ の分析により、可変部配列の2つのクラスの存在を証明した。超可変部配列およ びフレームワーク配列[Kabat,E.A.ら、Sequences of Protein of Immunological Interests ,第4版、U.S.Dept.Health and Human Services(1987)]。フレー ムワーク配列は、VHおよ びVLドメインの正確なβシートの折り畳み、および共にドメインをもたらす鎖間 相互作用の原因である。それぞれの可変ドメインは、ループとして現れる3つの 超可変部配列を含む。可変部の6つの超可変部配列、つまり抗原結合部位を形成 する3つのVH由来および3つのVL由来の超可変部配列は、相補性決定領域(CDR) と呼ばれる。 目的のVHおよびVL鎖の両方に対する可変部遺伝子をクローニングすることによ り、これらのタンパク質を細菌中で発現し、そしてそれらの機能を迅速に試験し 得る。1つの方法は、このような遺伝子のPCR増幅のためのテンプレートとして ハイブリドーマmRNAまたは脾臓のmRNAを用いることによる[Huseら、Science 246 :1276(1989)]。従って、抗体を容易にスクリーニングして、抗原への十分な結合 親和力を有することを保証し得る。結合親和力(Kd)は、少なくとも約10-7l/M、 さらに好ましくは、少なくとも約10-8l/Mであるべきである。 図1は、免疫グロブリン遺伝子およびPCRプライマーの位置を示す。L鎮およ びH鎖の免疫グロブリン遺伝子は、表示したV、D、およびJセグメントならび に定常部で示されている。CDR領域もまた描かれている。PCR増幅のためのプライ マーは、FvおよびFab遺伝子増幅の両方について示されるように、RNAまたはゲノ ムDNAであり得る。 1つの好ましい実施態様では、L鎖およびH鎖をコードする遺伝子は、一本鎖 抗体(sFv)を生成するリンカーをコードする。sFvは、時々細胞内で起こる還元条 件下でさえも適切に折 り畳まれる。sFvは、典型的には、配列VH-リンカー-VL、またはVL-リンカー-VH を有する単一ペプチドを含む。このリンカーは、H鎖およびL鎖が適当な立体配 座配向で互いに結合し得るように選択される。例えば、Huston,J.S.ら、Method s in Enzym.203:46-121(1991)を参照のこと。これは、本明細書中にに参考とし て援用されている。従って、リンカーは、天然のFvの立体配座にねじれのない可 変ドメインへの融合点の間に3.5nmの距離にわたり得るべきである。リンカーを 構成するアミノ酸残基は、この間隔を補い得るものでなければならず、そして5 アミノ酸またはそれより大きいべきである。選択したアミノ酸もまた、選択され る必要があるので、リンカーは親水性であり、抗体の中へと埋まり込まない。好 ましくは、リンカーは、少なくとも約10残基の長さであるべきである。さらによ り好ましくは、約15残基であるべきである。リンカーは、短すぎるべきではない が、長すぎて結合部位で立体的に妨害し得るべきでもない。従って、リンカーは 、好ましくは、25残基またはそれより短いべきである。リンカー(Gly-Gly-Gly-G ly-Ser)3(配列番号:1)は、十分な適応性を提供するので、多くの抗体に広く適 用可能である好ましいリンカーである。他のリンカーは、 を包含する。あるいは、あらゆる配列が使用され得、そして変異誘発により、リ ンカー内のアミノ酸をランダム化し得るが、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)3(配列番号 :1)リンカーなどの15マーを使用し得る。次いで、ベクターを示すファージで 、異なるリンカーを有する抗体を取り出し、そして生成した最も高い親和性の一 本鎖抗体をスクリーニングし得る。 好ましくは、この遺伝子は、可変鎖に対する正常なリーダー配列をコードしな い。抗体がリーダー配列をコードしないことが好ましい。好ましくは、抗体の結 合部分をコードするヌクレオチドは、抗体の分泌物の配列(すなわち、細胞から 分泌される抗体を生じる配列)をコードしない。このような配列は、定常部に含 まれ得る。好ましくは、抗体の完全な定常部をコードするヌクレオチドもまた用 いられない。さらに好ましくは、この遺伝子は、定常部の6個未満のアミノ酸を コードする。 上記のように、この免疫系は、標準の免疫学的技法によって、特定の分子(例 えば、標的タンパク質)に結合する抗体を調製し得る。例えば、タンパク質、ま たはその免疫学的フラグメント、またはこのようなタンパク質に基づいて化学的 に合成されたペプチドを用いる。所望であれば、これらのい かなる配列も、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合し得、そして動 物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、およびハムスター)において抗体を生じ るために用いられ得る。その後、これらの動物を屠殺し、それらの脾臓を得る。 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞を形成するための標準的な融合技法 を用いることによって製造される。Kohler,G.ら、Nature 256:495(1975)を参照 のこと。これは、典型的に、抗体産生細胞(すなわち、脾臓)と、不朽化細胞株 (例えば、ミエローマ細胞)とを融合して、ハイブリッド細胞を製造することを 包含する。 抗体を調製するための他の方法は、インビトロでの免疫化技法、例えば、脾臓 細胞(例えば、ネズミの脾臓細胞の培養物)を用い、抗原を注入し、次いで、こ の抗原に対して生成する抗体についてスクリーニングすることによる。約1μg/m lの抗原を用いることが好ましいが、この方法では、0.1μgと同程度少量の抗原 が用いられ得る。インビトロでの免疫化に対しては、脾臓細胞(例えば、マウス の脾臓細胞)を採取し、そして、典型的には約1μg/mlの濃度の所望の抗原を加 えた培地中で、所望の量(例えば、1×107細胞/ml)でインキュベートする。そ の後、フィルター免疫プラークアッセイの結果に依存するいくつかのアジュバン トの1つを細胞培養物に加える。これらのアジュバントとしては、N-アセチルム ラミル-L-アラニル-D-イソグルタミンが包含される[Boss,Methods in Enzymolo gy 121:27-33(1986)]。ネズミチフス菌のマイ トゲン(mytogen)[Technical Bulletin,Ribi ImmunoChem.Res.Inc.,Hamilton ,Montana]または従来の技法により生成され得る[Borrebaeck,C.A.K.,Mol. Immunol.21:841-845(1984);Borrebaeck,C.A.K.,J.Immunol.136:3710-37 15(1986)を参照のこと]または市販により、例えは、Hannah Biologics,Inc.ま たはRibi ImmunoChem.Research Inc.から得られるT細胞状態。これらの脾臓細 胞は、抗原と共に4日間インキュベートされ、次いで採取される。 次いで、インビトロで免疫化されたマウスの脾臓細胞の単一細胞の懸濁液は、 例えば、ミクロフィルタープレート(例えば、Millipore,Corp.から入手可能) における抗原−ニトロセルロース膜上でインキュベートされる。生成した抗体は 、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された第2抗体(例えば、ウサギ抗マウス IgA、IgG、およびIgM)のような抗体に対する標識を用いて検出される。分泌さ れた抗体のイソタイプを決定する際、ビオチニル化ウサギ抗マウスH鎖特異的抗 体(例えば、Zymed Lab.,Inc.から入手可能)には、次いで西洋ワサビペルオキ シダーゼ−アビジン試薬(例えば、Vector Lab.から入手可能)が用いられ得る 。 酵素反応の不溶産物は、膜上で青色のプラークとして可視化される。これらの プラークは、例えば、25倍の倍率を用いて数えられる。このマイクロフィルター プラークのニトロセルロース膜は、種々の抗原を容易に吸収し、そして洗浄工程 に用いられる濾過単位は、プラークアッセイを促進するため に好ましい。 次いで、目的の抗体を見つけるための標準的な技法によって、抗体をスクリー ニングする。目的の抗体を含む培養物は、培養され、そして誘発され、そしてそ の上清はフィルター(例えば、0.45μmフィルター)を通し、次いでカラム(例 えば、抗原アフィニティーカラムまたは抗tagペプチドカラム)に通される。結 合親和性は、ミニゲル濾過技法を用いて試験される。例えば、Niedel,J.,Biol .Chem.256:9295(1981)を参照のこと。例えば、抗ウサギIgGと結合した磁性ビ ーズを用いてウサギ抗tagペプチド抗体によって結合した125I-標識抗原から遊離 の125I-標識抗原を分離するラジオイムノアッセイのような第2のアッセイもま た用いられ得る。好ましい代替法においては、例えば、バイオセンサーベースの 分析システム(例えば、Pharmacia Biosensor ABから入手可能な「BIAcore」) を用いて、「on」速度および「off」速度を測定し得る[Nature 361:186-187(199 3)を参照のこと]。 インビボでの方法が典型的に約50μgの抗原/マウス/注入物を必要とし、そ して通常インビボでの方法に対する一次免疫化後の2回のブーストが存在するの で、この後者の技法が、好ましい。 あるいは、標的タンパク質に対する公知の抗体が用いられ得る。このように、 所望の標的タンパク質に対する抗体が得られ得る。その後、抗体の少なくとも抗 原結合部分に対する遺伝子は、以下に記載のように合成される。好ましくは、こ の遺伝子は、通常のシグナルペプチド配列を含まない。いくつかの好ましい実施 態様においては、細胞内の局在配列(例えば、小胞体、核、核小体などの配列) もまたコードされる。ERの通常の抗体分泌系(例えば、小胞体、ゴルジ装置)に おける発現を必要とする場合には、リーダー配列が用いられるべきである。特定 の位置においてこのような抗体を保持するためには、KDEL配列のような局在配列 が用いられ得る。いくつかの実施態様においては、好ましくは抗体の遺伝子はま た、機能的な分泌配列をコードしない。 抗体遺伝子は、公知の技法を用いることにより本明細書の開示内容に基づいて 調製され得る。 これらのいかなる抗体を用いても、VHおよびVL遺伝子を構築し得る。例えば、 上記のインビトロでの免疫化技法、または従来のインビボでの免疫化のいずれか によって免疫化されたネズミの脾臓細胞から、および、すでに生成されたまたは 市販されているハイブリドーマ細胞株から、VHおよびVLライブラリーを製造する ことである。市販のVHおよびVLライブラリーもまた用いられ得る。1つの方法と しては、脾臓細胞を用いて、cDNAによる合成に用いられるmRNAを得ることが包含 される。二本鎖cDNAは、PCRを用いることによって、変性N末端V領域プライマー およびJ領域プライマー、または、VHファミリー特異的プライマー(例えば、マ ウス-12、ヒト-7)を有する可変部を増幅することによって製造され得る。 例えば、HIV-1(例えば、F105)のエンベロープ糖タンパク質 に対する、広範囲の中和抗体のVHおよびVLドメインの遺伝子[Olshevskyら、J.V irol.64:5701-5707(1990);Thaliら、J.Virol.65:6188-6193(1991);およびPo snerら、J.Immunol.146:4325-4332(1991)]は、クローン化され、そして配列決 定され得る。この第1の鎖のcDNAは、公知の手順に従ってオリゴdTプライミング およびMoloneyのネズミ白血病ウイルス逆転写酵素を用いることによって、全RNA から合成され得る。次いで、この第1の鎖のcDNAは、PCR反応を行うために用い られる。典型的なPCR条件(例えば、25から30サイクル)を用いることにより、 免疫グロブリン遺伝子のcDNAが増幅される。次いで、DNA配列分析が行われる。[ Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5463-5467(1977)]。 H鎖のプライマーの対は、前方向のVHプライマーおよび逆方向のJHプライマー (これらはそれぞれ、クローニングに都合の良い制限部位を含んでいる)からな る。例えば、免疫グロブリン上のKabatデータベース[Kabatら、前出]が、7つの 別個のヒトVHファミリーにおいて見い出されるアミノ酸およびコドン分布を分析 するために用いられ得る。このことから、35個の塩基対の普遍的な5'VHプライマ ーが設計される。以下のようなプライマーが用いられ得る: (配列番号:9)。これは、2つの位置における2つの異なるヌクレオチドに変 性し、そしてFRI配列の5'末端にアニールする。5'NotI部位(左側の下線部分) のような制限部位は、増 幅されたDNAをクローニングするために導入され得、そしてVH遺伝子に対する第 1のコドンの5'に存在する。同様に、中間のXhoI部位のような第2の制限部位も 同様に導入され得る(右側の下線部分)。 同様に、66塩基対JH領域オリゴヌクレオチドは、例えば、以下のようなH鎖可 変部遺伝子の3'末端で逆方向からのプライミングのために設計され得る: ライマーは、リンカー(例えば、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)3(配列番号:1)相互交換 (Interchange)リンカー)をコードする45個のヌクレオチド配列をさらに含む。 このプライマーは、6個のヒトJH領域ミニ遺伝子のヌクレオチド配列に基づく各 位置で2個のヌクレオチドを有する2個の変性位置を含む。制限部位が用いられ 得、例えば、BspEI部位(左側の下線部分)は、重なる前方向へのVκプライマー との付着末端の結合のための相互交換リンカー中に導入される。中間のBsTEII部 位(右側の下線部分)はまた、さらなるリンカー交換手順のために導入される。 45個のヌクレオチド相互交換リンカーを用いた同様の方法は、69個のヌクレオ チドのヒトVκプライマーの設計に組み込まれる。4つのファミリーのヒトVκ遺 伝子が存在する。5'Vκプライマー FRI配列の5'末端にアニールする)は、3箇所(それぞれ2つのヌクレオチド) において変性する。相互交換リンカーの一部は、逆方向のJHプライマーによる付 着末端クローニングのためのBspEI部位を含み、他の制限部位もまた用いられ得 る。中間のSacI部位(右側の下線部分)もまた、さらなるリンカーの交換手順を 行うために同様に導入され得る。 逆方向の47個のヌクレオチドCκプライマー(Kabatの109位 (配列番号:12)は、κ鎖(Kabatの109位〜113位)の定常部に相補的であるように 設計される。このプライマーは、κ定常部の5'の最末端にアニールする。このプ ライマーは、2つの終止コドンを生じる中間のMluI部位(右側の下線部分)を含 む。さらに、多数の制限部位(例えば、Bam HI XhoI/XbaI(左側の下線部分))は 、縦列終止コドンの後に導入され得る。同様の逆方向のヌクレオチドCκプライ マー(例えは、59個のヌクレオチドプライマー)はまた、特定の細胞内の部位に 対するシグナル(例えば、カルボキシ末端の小胞体保持シグナル)Ser-Glu-Lvs- Asp-Glu-Leu(配列番号:13)(SEKDEL)、 に設計され得る。同様の多数の制限部位(Bam HI XhoI/XbaI)は、縦列終止コドン の後に、導入され得る。 一次ヌクレオチド配列は、H鎖遺伝子とκ鎖遺伝子との両方について決定され 、そして生殖系列遺伝子が決定される。次いで、PCRプライマーがVH71-4生殖系 列遺伝子のリーダー配列に基づいて設計され得る。例えば、VH71-4リーダープラ イ は、5'NcoI部位(下線部分)を含む。このリーダープライマー(P-L)は、PCR増幅 実験のための第2のJHプライマーと共に用いられる。35個の塩基対のJH領域のオ リゴヌクレオチドは、H鎖の可変部遺伝子の3'末端での逆方向へのプライミング の (配列番号:16)を含むように設計される。このプライマーは、各位置において2 個のヌクレオチドを有する2個の変性部分を含む。J領域の最後のアミノ酸を決 定するコドンのBssH II部位(左側の下線部分)3'および該コドンのすぐ隣接部 分では、VH遺伝子の3'末端において都合の良いクローニングが行われる。中間の BstE II部位(右側の下線部分)もまた、導入される。この配列は、VL配列を増 幅するために用いられる。次いで、P-L(リーダープライマー)およびPリンカー (逆方向のプライマー)およびP-K(V2プライマー)およびP-CKプライマー(逆方 向のCKプライマー)によって増幅されるフラグメン トは、発現ベクター(例えば、pRc/CMV(Invitrogen))にクローン化され、得られ た組換え体は、プロモーター(例えば、CMVプロモーター)の制御下に、シグナ ルペプチド、VH鎖間リンカー、およびVL配列を含む。当業者は、選択される細胞 株(例えば、哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞)において遺伝子を発現する他の プロモーターを容易に選択し得る。 この一本鎖の抗体は、多くのいかなる公知の手段によっても、本明細書の開示 内容に基づいて調製され得る。例えば、VH/JH-ICLおよびICL-Vκ/CIc PCRフラグ メントは、Not I/Bsp EIおよびBsp EI/Xba Iでそれぞれ切断され、そして、宿主 としてSUREバクテリア(Strategy)を用いてプラスミド(例えば、pSL1180(Pharma cia))中にクローン化される。得られるsFvは、切断した制限酵素であり、そし てNot I/Bgl IIフラグメントは、pET発現ベクターにおいてpelBシグナルペプチ ドの3'に存在するNot I/Bam HI部位にクローン化される。得られるプラスミドは 、次いで、適切な宿主(例えば、BL21(DE3))中に形質転換される。プラスミドフ ラグメントは、0.2mMのIPTGによる24℃でのインキュベーションの適切な時間の 後(例えば、2〜4時間後)に得られ、そしてその標的との結合能力(例えば、gp1 20の結合活性)を標準的な技法(例えば、gp120(American Biotechnology,Inc.) でコートしたELISAプレート(Dynatech Labs)を用いたELISA)、およびアルカリホ スファターゼで結合したアフィニティーカラムで精製したヤギ抗ヒトκ鎖抗体に よる検出によって、試験される。sFv結合gp120は、可溶性 CD4によってブロックされ、そしてgp120アフィニティーカラム(Affi-Gel,BioRa d,Inc.)に吸着し、それから溶出される。 VH 71-4リーダーおよびJH-BssH IIプライマーは、リーダーペプチドおよび再 配列されたH鎖遺伝子を含む、イントロンを含まないフラグメントのPCR増幅に 用いられる。このフラグメントは平滑化され、そしてプラスミド(例えば、pSL11 80)におけるEco RV部位の前方向にクローン化される。次いで、Nco I/Bst EIIフ ラグメントを得、そしてBst EII/Sph Iフラグメント(例えば、Nco I/SpH Iで切 断したpSL1180による3つの小片の結合におけるpSL1180由来のF105 sFv)と組み 合わせてVH 71-4/SCAを生じる。カルボキシル末端のSEKDEL配列を含有するVH 71 -4 SCAが、平滑化され、そしてpSL1180においてEco RV部位へ前方向にクローン 化されたICL-Vκ-SEKDEL PCR産物を用いることによって、構築され得る。このフ ラグメントは、Bsp EI/Xba I切断によって取り出され、そしてNco I/Xba Iで切 断したpSL1180による3部分の結合においてVH 71-4/SCAのNco I/Bsp EIフラグメ ントと組み合わされてVH 71-4/KDELを製造する。pRC/CMV(Invitrogen)へのクロ ーニングの前に、Eco RIのHind IIIへの変換リンカーは、2つの一本鎖抗体を含 む、Eco RI切断pSL1180に導入される。次いで、両方の一本鎖抗体由来のHind II I/Xba Iフラグメントが得られ、そしてHind III/XBa I切断pRC/CMV中にクローン 化されて、pRC/SCAおよびpRC/KDELが製造される。 1つの広範囲の中和抗体であるF105のFv、sFv、およびsFv -KDELの構造の概略図である図2を参照のこと。各鎖の3つの相補性決定領域(CD R)は、陰影をつけている。 同様の方法は、実質的には、いかなる他の抗体を調製するためにも用いられ得 る。例えば、mRNA精製、一本鎖cDNA合成、および上記のVHおよびJH変性プライマ ーを用いたPCR増幅を用いて、約350bp産物が、tatおよび抗tatハイブリドーマ細 胞株に対して免疫化された脾臓細胞から得られ得る。H鎖に対して記載されてい るように、同様の技法を用いて、320bp Vκ遺伝子産物が、上記のようなVκおよ びJκ変性プライマーを用いて、tatおよび抗tatハイブリドーマ細胞株に対して 免疫化された脾臓細胞から得られ得る。得られると、VHおよびVLドメインは、sF v、Fv、またはFabフラグメントを構築するために用いられ得る。 好ましい標的は、タンパク質が典型的に生成される小胞体によってプロセスさ れる場所である。 しかし、より大きな割合の細胞内の特異性が望まれる場合がある。例えば、核 タンパク質、RNA、DNA、あるいは、引き続きプロセスされる細胞タンパク質また は核酸を標的することを伴う。例えば、ウイルスでコードされたタンパク質(例 えば、レンチウイルス構造タンパク質)については、典型的に細胞質で発現する 。一方、調節タンパク質は、核の中または近くで発現し得る。従って、好ましく は、このような標的に対する局在配列を用いる。このような抗体は、細胞内に送 達され得、そしてそこで発現し得、そして標的タンパク質に 結合する。 局在配列は、経路を定めるシグナル、選別シグナル、保持またはサルベージシ グナルおよび膜トポロジー−移動終止シグナルに分けられる。[Pugsley,A.P., Protein Targeting,Academic Press,Inc.(1989)]。例えば、特定の位置に対す る抗体を示すために、特定の局在配列が用いられ得る。例えば、以下に示すシグ ナルが挙げられる: ミリストレーション(Myristolation)配列は、原形質膜に対する抗体を示すため に用いられ得る。表Iは、公知のN-ミリストイルタンパク質のアミノ末端配列お よびそれらの細胞下の位置を示す。さらに、以下の表1に示すように、ミリスト レーション配列は、異なる細胞下位置(例えば、核領域)に対する抗体を示すた めに用いられ得る。局在配列は、細胞小器官(例えば、ミトコンドリアおよびゴ ルジ装置)に対する抗体を示すために用いられ得る。配列 抗体を示すために用いられ得る(Pugsley、前出)。Tangら、J.Bio.Chem.207:10 122(ゴルジ装置に対するタンパク質の局在化に関する)を参照のこと。例えば 、tatが、感染した細胞について核領域および核小体領域に位置することは公知 である。従って、tat抗体が細胞の核および/または核小体領域を標的とするこ とが好ましい。この抗体は細胞質中で合成されるべきなので、リーダー配列を有 さない。核および/または核小体領域を標的とするためには、局在配列を必要と する。好ましい核標的化配列はSV40であり、そして好ましい核小体標的化領域は tat核小体シグナルである。例えば、SV40核局在シグナルを有するtat抗体、例え ば一本鎖抗体は、tatと結合し、そして免疫グロブリンのリーダー配列を有する 上記抗体と比較するとき80%を越える程度までtat活性を低減し得るこ とを示している。これは異なる細胞分画、例えばER、に対する抗体を示す。好ま しくは、ウイルス、例えばHIVにおいては、調節タンパク質(例えば、tatおよび rev)は核領域および核小体領域で標的とされるのに対し、構造タンパク質は細 胞質(例えば、エンベロープおよびgag)で標的とされる。さらに好ましくは、r ev核小体配列 を用いてrevを標的とする。例えば、HTLV-1またはHTLV-2のtaxもまた、好ましく は、核または核小体において見い出される。可能であるなら、所望の位置に対す る抗体を示す標的タンパク質の局在シグナルを用いることが好ましい。例えば、 HIV-1 tatタンパク質は核小体局在シグナル(これは好ましく用いられる)を有 する。 局在配列を用いることによって、通常見られない細胞内の領域で、発現する抗 体および/または保持される抗体を有し得ることが示された。例えば、発現後に 、ER中にtat抗体を保持した。同様に、細胞質において、抗HIVエンベロープおよ び抗tat抗体を発現させた。 一本鎖抗体が通常見られない細胞内領域で発現し得ることを示すために、細胞 質中で抗体を発現させた。例えば、さらなる局在シグナル(例えば、核で発現さ せるまたは核に転位させるためのSV40核局在シグナル)を含むように、3'末端で 改変した細胞質で発現させた抗体を用いることである。例えば、F105一本鎖抗体 (これはERにおいて典型的に発現する) は、抗体のフレームワーク1領域にアニールする新規の5'プライマーを含有して 、再増幅された。従って、それはリーダーペプチドを含有しないが、開始コドン として5'末端で特別のメチオニンを有する強い始動開始シグナルを含有する。こ のプライマーは、5'末端にHindIII部位、次いでMet開始コドンを含有するNcoI部 位を有する。 (配列番号:57)およびMet Ala Gln Val Gln Leu Gln Glu Ser Gly(配列番号: 58)についてのコード。メチオニン(これはNcoI部位の中間の右側にある)に加 えて、さらなるアミノ酸Alaがある。細菌での発現のためのシグナルペプチドの カルボキシ末端には、Ala-Met-Ala開裂がある。ペリプラズム中の開裂は、2番 目のAlaの後の右側に、そしてこのフレームワークの1番目のアミノ酸の前に生 じる。すなわち、これは、多くの状況下で用いられ、または修飾されて用いられ 得る可変性のプライマーである。例えば、適切なエンドヌクレアーゼによってNc oI部位で開始し得、そして細菌性の発現ベクター中にそれをクローン化し得る。 同様のプライマーは、再使用されて、増幅し得るか、またはHindIII部位をさら に有しそしてHindIIIで切断する増幅された物質を取り込み得る。従って、5'末 端上に、さらなるメチオニンおよびAlaを有する一本鎖抗体を有する。これは、 ベクター(例えば、pRC/CMV発現ベクター)中でクローン化され、リポフェクシ ョン(lipofection)でトランスフェクトされ、S35メチオニンで放射標識され、そ し て抗κ抗体で免疫沈降され得る。この技術を用いて、細胞質中のエンベロープに 対する抗体の発現を得た。この基本的な方法を有し得、そして、抗体を修飾して 所望の標的に対する発現した抗体を移動させるための局在シグナルもまた有し得 る。例えば、一本鎖抗体(例えば、tat)を用いることにより、種々の領域のフ レームワーク1領域にアニールし、そしてクローニングのための開始コドンおよ びHindIII部位のメチオニン残基を有するプライマーで、5'末端においてそれを 再増幅する。この抗体遺伝子は、次いで、クローニングのために再増幅され、そ してpRC/CMVにおいて発現する。さらに、この抗体は、細胞質性の発現のための 新規の5'プライマーを用いることに加えて、C末端がSV40核局在シグナルを含有 するようにさらに改変される。このように、抗体は細胞質において、そしてまた 例えば、SV40核局在シグナルを用いる場所で発現し得、そして核中に移動し得る 。 抗体のこれらの2つの形態、および2つのネガティブコントロールを用いた。 ネガティブコントロールには、種々のκ鎖(これは同じミエローマから増幅され た)が包含される。細胞質において発現し得る種々の抗tat一本鎖抗体構築物を 製造した。ミエローマ細胞株から、抗tatモノクローナル抗体を産生して、種々 のκ鎖を含有する2つの異なる一本鎖抗体をまた、SV40核局在配列によって増幅 した。このようにして、一本鎖抗体を調製して、核局在シグナルを有するかまた は有さない細胞質において発現させた。抗体の特異性を示すため に、不正確なL鎖もまた用いられた。その抗体の4つの形態の全ては、真核細胞 において発現した。これらの実験において、この4つの異なるプラスミドは、CO S細胞中にトランスフェクトされ、そしてこれらの実験はtat発現プラスミドを共 に発現することによっておよび共に発現せずに行われた。KDELエンベロープ抗体 は、リガンドまたはgp120がそれに結合するまでは不安定であった。同様のこと が細胞質において生じることを確認した。4つの抗体全てはtatによっておよびt atなしで発現した。ウサギ抗マウス免疫グロブリンのプールによって、COS細胞 由来の放射標識された溶解物を免疫沈降し、そしてオートラジオグラフィーする ことによって、tatの非存在下に比べて、tatタンパク質の存在下において、より 強い抗体の免疫沈降が生じる。 tat抗体がtat活性を阻害し得ることを示した。例えば、tat発現プラスミド0.0 1μgと同程度少量のHIV-I LTR-CATリポーターを含有するプラスミドを発現するH eLa細胞において、25Xトランス活性化を生じ得る。10または5μgの抗tat SCA、 すなわち、SV40核局在シグナル(Vκ SV40)を有する抗tat SCA(Vκ)、および、E Rへの抗体を示す免疫グロブリンのリーダー配列を有する抗tat SCA抗体の添加に より、tat抗体の細胞内発現がtat活性を著しく低下させ得ることを示すHeLa細胞 中に、tat発現プラスミド0.1μgで共にトランスフェクトした(図21および2 2を参照のこと)。免疫グロブリンのリーダーを有するtat抗体はこれらの実験 においてネガティブコントロ ールとして用いる。抗tat Vκは10μgで、ERにおいて発現した抗tat SCAの活性 のわずか4%を示す。ここでtatは存在しない。 シグナルが抗体においてさらされ、そしてこの位置が抗体の結合能力を中断し ない限り、局在シグナルは抗体上のいかなる場所においても存在し得る。例えば 、局在シグナルは、カルボキシ末端またはアミノ末端に、あるいはsFv抗体のH 鎖とL鎖との間のリンカー上にさえも位置し得、それは上記条件を満たす。 細胞においてこれらの抗体を保持するために、発現した抗体が一定の完全な領 域ドメインを含有しないことが好ましい。特定の配列(これは細胞からの抗体の 分泌を助ける)が存在するこの領域にそれがあると考えられる。例えば、エンベ ロープ糖タンパク質に対する広範囲の中和抗体sFv抗体を構築した。このエンベ ロープ糖タンパク質は、このようなタンパク質に対する改変されていないFab抗 体が分泌されるのに対して、細胞によって全く分泌されない定常部の6個のアミ ノ酸のみを含有する。このような配列を除外するようなこのタイプの設計は、抗 体をコードするヌクレオチドの選択および省略において容易に達成され得る。広 範囲の中和抗体が本明細書の実施例において記載されていたが、用いられる抗体 は広範囲で中和されている必要はない。中和は必要とされず、むしろ抗体は標的 物に結合する必要がある。このように、保存されそして接近可能である分子上に エピトープが見い出されることは好ましい。 あるいは、分泌シグナルが維持されている位置では、小胞体に対する細胞内維 持配列(例えば、KDEL)は、細胞内で発現する抗体の多くを保持するべきである 。 発現したsFv抗体がBiPタンパク質とさらに結合することが見い出された。これ は細胞内で生じた抗体標的物複合体を維持することを補助し得る。 ある種の実施態様においては、細胞に保持されない抗体を用いる。例えば、エ ンベロープ糖タンパク質に対するFab(例 えば、F105 Fab)を用い得る。このFabは、それらが分泌されるような細胞中およ び細胞の外側の種々の位置でエンベロープ糖タンパク質に結合する。従って、標 的分子、この例においてはエンベロープ糖タンパク質が、1つの位置であまり結 合しない場合には、このような分泌可能な抗体を使用すると、複数の位置でタン パク質を標的とすることが可能となる。F105 Fab抗体遺伝子によって安定に形質 転換されるCOS細胞のような細胞を用いて、F105 Fabの構造的な発現が得られ得 ることが見い出された。これらの細胞株は約1〜3μg/mlのFabを分泌する。この 量は種々のエンハンサーおよびプロモーターを用いることによって、当業者によ り所望のように変化され得る。上記のように、分泌されたFabはそれが分泌され るような種々の細胞内の位置で分子を標的とし得る。さらに、Fabはまた、細胞 から逃れ得るいかなる分子をも細胞外で標的とし得る。例えば、プロセスされて いる状態のエンベロープ糖タンパク質を標的とすることにより、プロセスしたタ ンパク質の量を大いに減少することと同様に、遊離のビリオン上のgp120にもま た結合し得、そして他のCD4レセプターまたは非感染細胞を感染することによっ てそれを止め得る。例えば、HIVに感染されたCOS細胞でこれらのF105 Fabを使用 することにより、シンシチウム形成を阻害する。 用語が本明細書において用いられるように、抗体に対する遺伝子は、H鎖およ びL鎖領域に対する遺伝子を包含し得る。さらに、この遺伝子は、発現を生じる 1つのプロモーターま たは複数のプロモーターに作動可能に連結する。哺乳類細胞において発現し得る プロモーターは周知であり、そしてCMV、ウイルス性LTR(例えば、ラウス肉腫ウ イルスLTR,HIV-LTR、HTLV-1 LTR)、SV40初期プロモーター、E.coli lac UV5プ ロモーター、および単純ヘルペスtkウイルスプロモーターが包含される。このDN A配列は、抗体カセットとして記載されている。 この抗体カセットは任意の公知の手段によって細胞に送達される。例えは、Mi ller,A.D.,Nature 357:455-460(1992);Anderson,W.F.,Sience 256:808-81 3(1992);Wuら、J.of Biol.Chem.263:14621-14624(1988)を参照のこと。例え ば、これらの抗体遺伝子(例えば、sFv遺伝子)を含有するカセットは、多くの 技法によって特定の細胞に標的とされ得る。以下の記載において、HIV抗体をコ ードするsFv遺伝子が記載され、これは、好ましくは、CD4+T細胞に導入される。 しかし、記載されている技法は、抗体遺伝子を、他の細胞、好ましくはヒト細胞 に導入するために容易に用いられ得る。例えば、ヘルペスベクター、アデノウイ ルスベクターまたはポックスベクター、レトロウイルスベクター、抗体に結合し たプラスミドなどの哺乳類の発現ベクターを用いる。これらのベクターは、当業 者に周知の標準の技法によって細胞を形質導入するために用いられ得る。好まし くは、このカセットは、HIVウイルス性ベクター(これはHIV列をパッケージング するのに不完全であるが、HIV感受性の(susceptable)細胞を選択的に 標的とする)を用いることによって、細胞中に導入される。さらに、所望の標的 細胞において遺伝子を特異的に発現するプロモーターが用いられ得る。例えば、 標的がHIV感染細胞である場所にプロモーターとしてHIV-LTRが用いられる。この ような場合には、細胞中のHIVウイルス性タンパク質(例えば、tat)は、非感染 細胞と比較すると、抗体の増強された発現を生じ得る。他の実施態様においては 、ウイルス性の感染に対してより大きなリスクのある細胞(例えば、CD4細胞) を形質導入し得る。 抗体の細胞内の発現により、標的物が結合され得る。これは標的物(例えば、 タンパク質)の機能化(所望でない機能化も包含する)を中断する。例えば、エ ンベロープ糖タンパク質に対する広範囲の中和抗体のsFvを発現することにより 、HIV-1糖タンパク質のCD4分子による移動および相互作用、ならびにタンパク質 の切断が、細胞内で遮断され得る。いかなる標的化シグナルをも含まないsFvお よび小胞体保持シグナル(KDEL)を有するsFv抗体の両方をクローン化した。次い で、例えば、レトロウイルスベクターがこの抗体構築物と共に好ましいが、哺乳 類細胞の発現ベクターを用いて、これらを哺乳類細胞の細胞内に挿入した。他の 例として、胸部組織を標的とするneuに特異的な抗体を用いることにより、細胞 中のneuタンパク質を保持することを助け得る。 これらの抗体の発現によって細胞を傷つけるべきではない。実際、「リガンド 」標的抗体が存在しない場合には、抗体は 分解するように設計され得る。例えば、KDEL保持配列を有するエンベロープ糖タ ンパク質に対する抗体は、HIV-1エンベロープ糖タンパク質が存在して抗体−リ ガンド複合体を形成しない限りは、合成後ただちに分解した。対照的に、保持シ グナルなしに発現されるエンベロープ糖タンパク質に対する一本鎖抗体は、同様 な分解はしないが、トランスフェクトされた細胞中でヒト免疫グロブリンK鎖ま たはH鎖に対するポリクローナル抗体による免疫沈降を放射標識した後に検出さ れ得る。両方の例において、形質転換された細胞は通常の形態学(morphology)お よび成長速度を有していると考えられる。例えば、図4を参照のこと。これは、 形質転換されたCOS細胞を示す。これは、一本鎖抗体またはKDEL配列を有する一 本鎖(これは小胞体に保持されている)のいずれかを発現するネオマイシン選択 によって確立される。この抗体はHIV-1 gp160タンパク質に結合し、そして抗K または抗gp120のいずれかと共沈され得る。ベクターで形質転換された細胞にお いて、およびsFv KDELで形質転換された細胞におけるより少ない部分において、 gp120の画分を検出したが、sFvで形質転換された細胞からの4時間の追跡サンプ ルにおいてさえも、gp120をほとんど検出しなかった(図5を参照のこと)。こ のようにして、発現したsFv抗体がgp160タンパク質に結合し、そしてgp160タン パク質がさらにプロセシングされることを妨げる。好ましい実施態様においては 、gp41に対する抗体はまた、切断されたいかなるgp160タンパク質をも標的とす るこのような細胞に 送達される。 もう1つの方法は、誘導性プロモーターの制御下で抗体の発現を行うことであ る。好ましくは、プロモーターは、標的物の影響によって誘導性となる。例えば 、プロモーターとしてウイルス性LTR(例えば、HIV LTR)を用い得る。HIVウイ ルスは、そのプロモーターを「開始する」タンパク質(例えば、tat)を生成す る。 上記で説明されているように、sFv-KDEL生成物は、標的物の非存在下で速やか に分解されるが、HIV-1糖タンパク質が存在する場合には、速やかに分解すると は考えられなかった。従って、sFv-KDELバンドは、放射標識化および免疫沈降後 、ポリアクリルアミドゲルにおいて目に見えるようになった。このタンパク質は また、HIV-1糖タンパク質とともに共沈する。ただし、gp120の小さい部分は検出 される。これは、おそらくリガンドと結合する前に新規に合成された抗体の速や かな分解による、糖タンパク質の移動の不完全な遮断を示唆する。形質転換され た細胞におけるsFv-KDELについての免疫蛍光染色、HIV-1-糖タンパク質の共発現 は、小胞体の染色パターンを示し、これは、抗体がそのリガンドへの結合の前に 安定となり、そして小胞体にとどまることを示唆している。 標的タンパク質の存在はまた、抗体を正しい立体配座状態に折り返すことを助 ける。上記のようなこれらの抗体−リガンド複合体は、標的をその典型的な手法 で操作することを妨げる。例えば、HIV-1 gp120/41により媒介される細胞変性融 合は、細胞において阻害される。このことは、HIV-1糖タンパク質発現物質(expr esser)pSVIII envおよびsFvまたはsFv-KDELプラスミドDNAを1:5の割合で有するC D4+Hela細胞を共にトランスフェクトすること、または、pSVIIIを有する形質転 換をトランスフェクトすることによって示される。シンシチウム形成の著しい減 少が、抗体を発現しないベクターによって形質転換またはトランスフェエクトさ れた細胞において観察されないとき、細胞内の抗体を有する細胞はシンシチウム 形成の著しい減少を示した。このことは、たとえsFv-gp120複合体が細胞表面に 到達できたとしても、細胞内抗体が、HIV糖タンパク質のプラスミド膜への移動 、および/または、HIV-1糖タンパク質と、隣接細胞上のCD4分子との相互作用を 遮断することによって細胞変性融合を阻害し得ることを示す。 さらに、ほとんどの感染性HIV-1粒子はこれらの細胞内抗体含有細胞からは生 成されなかった。細胞内抗体を発現する細胞は感染性のHIV-1プロウイルスDNAで トランスフェエクトされ、そしてこのトランスフェエクトされた細胞由来の上清 はCD4ヒトリンパ球SupT1を感染するために用いられ得る。これらのすべての細胞 由来のp24活性の比較可能な量が観測され、これはHIV-1糖タンパク質の非存在下 において、非感染性HIV-1粒子が生成され得ることを示し得るが、ベクターで形 質転換された細胞由来のものと比較する場合には、非常に遅い感染のキネティク スがこのような細胞において観察される。 SupT sFv105細胞は親の表現型を維持し、外部の刺激に対し て適切に応答し得、HIV-1感染の細胞変性の影響に対して耐性であり、そして感 染した細胞は、それらの感染力が著しく低減しているHIV-1ウイルス粒子を生成 する。 このことは、細胞内で発現した抗体(例えば、工作した(engineered)一本鎖抗 体)を用いてウイルス感染(例えば、HIV-1感染)において介在する本発明の方 法が用いられ得ること、および機能不全または所望でない遺伝子産物に結合する ことによって、所望でない影響が軽減され得ることを示す。同様の基本的な方法 を用いて、DNAウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス)およびRNAウイルス( 例えば、HTLV-1および2)によって感染されるような他のウイルス性および代謝 性疾患において介在し得るべきである。好ましくは、この方法は、長期間かかり 、および/または他の形態の処理に容易に影響されないウイルスに対して用いら れる。 本発明の方法は広範囲のアプローチに(同様の疾病に対してさえも)用いられ 得る。例えば、逆転写酵素に対する抗体は、タンパク質の機能を結合しているテ ンプレートによって干渉し得る[DeVico,A.L.ら、J.of Biol.Chem.266:6774- 6779(1991)]。このタンパク質に対する抗体は公知であり、そしてp66成分のC末 端部分における配列に結合するC2003を包含する[前出]。この抗体はまた、HIV-2 に結合する[DeVlco,A.L.,AIDS Res & H.Retro.5:51-60(1989)]。このような 抗体は患者の血清および上記のようなクローン化された抗体からスクリーニング され得る。 他のアプローチには、TARエレメントのような、ウイルスにおいて臨界的な核 酸配列を標的とすることがある。このtarエレメント(これはtatに対して応答性 である)は、ウイルスのメッセンジャーRNAの5'末端に位置する。このtarエレメ ントに結合するtatは、インビトロでの翻訳のtar阻害の低下が生じることが認め られる。さらに、このtarエレメントは、転写、開始を増強し、そしてまた、転 写伸長の抗アテニュエーターとして作用する。tar配列に対する抗体を示すこと によって、tat結合の阻害が生じ、そして転写有効性が劇的に減少する。このこ とによって、結局、ウイルス産生の阻害または減少が生じる。同様のアプローチ がrev応答性エレメント(RRE)に対する抗体を産生するために用いられ得る。Rev は、ウイルスの構造タンパク質(これにはキャプシドタンパク質、複製酵素、お よびエンベロープ糖タンパク質が含まれる)の合成を制御する。revタンパク質 は、RNA種の細胞質蓄積を制御することによって、ビリオンのタンパク質の発現 を制御する。rev活性の非存在下では、小さく多様にスプライスされたウイルス のRNA種が蓄積し、revの存在下では、全長および部分的にスプライスされたエン ベロープ糖タンパク質のメッセンジャーRNA種が蓄積する。RREに対して示される 抗体は、RREに結合するrevを阻害し、それによって、revの主要な生物学的効果 を阻害するべきである。概して、revタンパク質は、メッセンジャーRNA種の蓄積 をそれらが産生するものから調節することによって、キャプシド、複製酵素、お よびエンベロープ糖タンパ ク質の生成の合成を調節する。構造タンパク質のメッセンジャーRNA種は、核か ら細胞質への転移のために、revタンパク質の、RREと呼ばれる折り返しRNA構造 との結合を必要とする。抗rev抗体によるrev結合の阻害は、感染細胞からのウイ ルス発現を防ぐ。このようなTARまたはRRE抗体は、上記開示に基づく公知の技法 を用いて合成され得る。例えば、ある抗体を用いてRNAライブラリーをスクリー ニングすることにより、所望の抗体が得られ得る。 腫瘍の形成および転移が脈管形成(すなわち、新しい毛細血管の形成)に依存 することが提案されている。[Folkmanら、Origins of Human Cancer:A Comprehe nsive Review ,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1991)]。例えば、ヒトメ ラノーマは、脈管形成の活性(これは線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォ ーミング成長因子α(TGFα)、およびトランスフォーミング成長因子βを含む) によって種々のタンパク質を生成することが見い出される。[Herlynら、Lab.In vest.56:461(1987)]。このようなタンパク質を細胞内の抗体のための標的として 用いることによって、腫瘍の形成および転移が制限され得る。 ras p21タンパク質の12位、13位、または61位の改変によって腫瘍の形成が生 じることが示唆されている。この変異タンパク質を細胞内の抗体(これは腫瘍発 生rasとプロトrasとを区別し得る)のための標的として用いると、腫瘍形成が制 限される。このような特異的な結合をし得る抗体は、当業者に 公知である。 望ましくないウイルスのタンパク質を取り扱う場合には、「カクテル」アプロ ーチ(すなわち、抗体の混合物)を用いることが好ましく、それによって、一度 に種々のウイルスのタンパク質を標的化し、そして、抗体を阻害し得る機能的な 標的タンパク質を製造する変異体に進化することをより困難にする。例えば、少 なくともエンベロープ糖タンパク質に対する抗体のカクテルおよびtatが好まし い。他のカクテルには、逆転写酵素に対する抗体、TAR、RREなどが含まれる。こ のような「カクテル」は、共に投与され得るか、または共にトランスフェクトす ることにより投与され得る。同じ細胞内領域では、約3個のタンパク質のみが標 的とされることが好ましく、好ましくは約2個のタンパク質のみが標的とされる 。例えば、小胞体のgp160およびgp41が標的とされる。他の細胞内標的が異なる 細胞領域(すなわち、核、小胞体)に存在する限りは、抗体の産生において有害 な影響を有することなく標的化され得る。抗体の好ましいカクテルは、少なくと も1種の構造ウイルスタンパク質に対する抗体(例えば、キャプシドまたはエン ベロープ)および調節タンパク質(例えば、HIV rev、tat、HTLV-1またはtax) または核酸配列(例えば、TARまたはRRE)である。 他の好ましいカクテルは、同じ標的に対する抗体のカクテルであるが、種々の 細胞内の位置にある。これは、種々の局在配列を用いて行われ得た。従って、あ る種の標的が1ヵ所 で抗体に結合しないなら、そして例えば、さらにプロセスされるなら、それは連 続した位置で標的化され得る。例えば、エンベロープ糖タンパク質と共に、プロ セシング経路の多くの位置でタンパク質を標的とするために局在配列を用い得る 。あるいは、分子の種々のエピトープを標的とするための多様な抗体を用い得る 。例えば、エンベロープ糖タンパク質のCD4結合領域を標的とする1つの抗体お よびgp41の融合誘導ドメインを標的とする第2の抗体を用いる。 HIVでコードされたタンパク質については、好ましいベクターは、キャプシド またはエンベロープ糖タンパク質に対する2つの抗体において、および調節タン パク質(例えば、gp160、gp41、tatおよびrev)に対する少なくとも1つの抗体に おいて、存在する。他のカクテルとしては、ウイルスのmRNAとそれがコードする タンパク質との両方に対する抗体が包含される。 他の好ましいHIVでコードされた標的タンパク質は、nef、vprおよびHIV-1に対 するvpu、およびHIV-2に対するvpxである。さらに好ましくは、nefおよびvpuで ある。例えば、nefタンパク質は、細胞質に存在し、そして原形質膜の内面に付 着する。タンパク質は、アミノ末端から2番目のグリシンにミリスチン酸を付加 することによって、共に翻訳されて改変される。vprタンパク質は、キャプシド ウイルス中に取り込まれて見い出される。vpuタンパク質は、細胞の細胞質内に 存在し、そして細胞下の小器官に関連する。これらのタンパク質に対する抗体は 、本明細書中に記載されている方法論によって製造さ れ得る。さらに、これらのタンパク質は、適切な局在配列の選択によって本明細 書の開示内容に基づいて、当業者によってさらに特異的に標的とされ得る。 従って、上記方法論を用いると、特定のタンパク質の発現または過剰発現によ って生じる病気にかかっている哺乳類(好ましくはヒト)を治療し得る。ウイル ス性の疾患および代謝性の疾患を治療するためにこの方法を用い得る。ウイルス 性の疾患(例えば、HIV、HTLV-1、HTLV-2、ヘルペス)によって感染した個体は 、治療され得る。同様に、悪性腫瘍を有する個体、または高レベルのタンパク質 またはタンパク質類、変性タンパク質または変性タンパク質類、またはそれらの 組合せによって引き起こされる悪性細胞の形質転換を受けやすい個体が治療され 得る。例えば、少なくとも1種の抗原が、このような抗原に特異的に結合する抗 体で標的とされ得る。望ましくない標的抗原の発現を受けやすい細胞に細胞内発 現を起こさせるような条件下で抗体を発現し得る有効量の遺伝子が送達される。 この方法は、予防措置として用いられ、このような細胞が望ましくない抗原によ って有害な影響を受けることを防ぎ得るか、または、より困難にし得る。例えば 、それは、タンパク質のプロセシング、望ましくないタンパク質と他のタンパク 質との相互作用、ウイルスによる宿主細胞への組込みなどを防ぐことによって行 われる。多くの標的が存在する場合には、好ましい標的は、小胞体によってプロ セスされるタンパク質である。いかなる抗体遺伝子の細胞内送 達も、上記のような遺伝子治療の技法を用いて達成され得る。抗体は、上記のよ うないずれの抗体でもあり得る。ウイルス感染した哺乳類(例えば、HIVウイル スに感染したヒト)に対する抗体遺伝子を送達するこのシステムの使用について 本明細書中に述べられているが、それは本明細書の開示内容に基づいて理解され るべきであり、他のシステム(例えば、悪性に形質転換された細胞を有する個体 )に対するこのようなアプローチに容易に適合し得る。 HIVは、CD4ポジティブのヒトリンパ球および他の免疫細胞を感染させる。少な くとも1つのHIVでコードされた標的分子(例えば、タンパク質)に結合する抗 体で細胞を標的とすることによって、ウイルスによって感染した個体を治療し得 、感染の拡大を遅くおよび/または妨害し得、またはこのような細胞が感染する ことをさらに困難にするように予防的に治療し得る。 CD4ポジティブのリンパ球に対する遺伝子を送達するための遺伝子治療のいか なる公知の形態も用いられ得る。例えば、細胞特異的遺伝子移動メカニズムを用 いることが挙げられる。これには、RNAまたはDNA分子を細胞に運ぶレセプター媒 介エンドサイトーシスが用いられる(例えば、Wu & Wu,J.Biol.Chem.262:4429 -4432(1987)を参照のこと)。リガンドとして作用するタンパク質は、ポリL-リ ジンに結合する。次いでこれはRNAまたはDNA(遺伝子)と組み合わされて、強い 静電相互作用によって可溶性の複合体が形成される。それによって、 目的の細胞(例えば、CD4細胞)に遺伝子(すなわち、RNAまたはDNA)を送達し 得る。例えば、gp120またはCD4に対する抗体をリガンドとして用いると、このよ うな細胞が特異的に標的とされ得る。実際に、HIV感染細胞またはHIV感染を受け やすい細胞に治療遺伝子を送達するベクターとして働くことに加えて、インビボ での遺伝子の移動のこのような方法もまた、その中和活性を維持する。細胞表面 で発現したgp10またはCD4を結合した後の抗体のインターナリゼーションが非常 に有効であるということが見い出された。 細胞を標的とするのに用いられる抗体は、ポリリジンと結合して、抗体−ポリ リジン結合体を形成し得る。これは、試薬(例えば、スクシンイミジル-3-(2-ピ リジルジチオ)プロピオネート(SPDP)で修飾した後、ジスルフィド結合による結 合によって形成される。この抗体−ポリリジン−遺伝子複合体は、抗体ポリリジ ン結合体と、抗体カセット(すなわち、プラスミドまたはベクターのようなプロ モーターに作動可能に連結した抗体を含むDNA配列)を有する部分とを、混合す ることによって製造される(図14)。好ましくは、平均鎖長が約60から500のリジ ンモノマーを有するポリリジンが用いられる。さらに好ましくは、このポリリジ ンは、平均鎖長が約90から450のリジンモノマーを有する。 上記のように、抗体との結合は、SPDPを用いて達成され得る。第1のジチオピ リジン基は、SPDPによって抗体またはポリリジンの両方に導入し、次いで、ポリ リジン中のこの基を 還元して遊離のスルフヒドリル化合物が得られ得る。これは、上記のようにして 改変した抗体と混合することによって、反応させて所望のジスルフィド結合を有 する結合体を得る。これらの結合体は、従来の技法(例えば、陽イオン交換クロ マトグラフィー(例えば、Pharmacia Mono Sカラム,HR 10/10)を用いること)に よって精製され得る。例えば、図15を参照のこと。次いで、これらの結合体は、 結合が可能な条件下で抗体カセットとともに混合される。例えば、25℃で1時間 インキュベートし、次いで所望の分子量限界を有する膜を介して、0.15Mの生理 食塩液に対して24時間透析する。このような膜は、例えば、カリフォルニア州、 ロサンゼルスのSpectrum Medical Industriesから得られ得る。 標的とされる細胞を治療するために、これらのベクターは、哺乳類宿主中に注 入された形質導入細胞を用いてインビトロで細胞に導入され得るか、またはこれ らのベクターは、結合する場合には、CD4細胞を用いて哺乳類宿主(例えば、ヒ ト)に注入され、次いで取り出される。インビボでの遺伝子発現の効果を増大す るために、抗体カセットは、エピソームの哺乳類発現ベクターの一部であり得る 。例えば、哺乳類細胞における染色体外複製のためのヒトパポバウイルス(BK)複 製起点およびBKラージT抗原を含むベクター、高度なコピーのエピソームの複製 を得るためのエプスタイン・バール(EB)ウイルス複製起点および核抗原(EBNA-1) を含有するベクターが挙げられる。他の哺乳類発現ベクター(例えば、ヘルペス ウイル ス発現ベクター、またはポックスウイルス発現ベクター)もまた用いられ得る。 このようなベクターは、広範囲の多くの供給源(Invitrogen Corp.を含む)から 入手可能である。抗体カセットは、標準的な技法、例えば、制限エンドヌクレア ーゼを用いること、およびそれをこのような哺乳類発現ベクターにおける特定の 部位に挿入することによって、発現ベクターに挿入される。これらの発現ベクタ ーは、抗体ポリリジン結合体と混合され得る。抗体カセット複合体を含有する、 得られた抗体−ポリリジン−発現ベクターは、本明細書中に含まれる開示内容に 基づいて容易に製造され得る。十分な量のこれらのベクターを注入して約0.05μ g/mlから20μg/mlの間の範囲の血清濃度の抗体結合体が得られる。さらに好まし くは約0.1μg/mlから10μg/mlの間、さらに好ましくは、約0.5μg/mlから10μg/ mlの間である。 これらのベクターは、任意の種々の手段(例えば、非経口注入(筋肉内(I.M.) 、腹腔内(I.P.)、静脈内(I.V.)、頭蓋内(I.C.)、または皮下(S.C.))、経口また は他の公知の投与経路によって投与され得る。非経口注入が典型的に好ましい。 この物質は、いかなる手段の状況においても投与され得る。例えば、不活性な キャリア(例えば、スクロース、ラクトース、またはデンプン)と混合され得る 。それは、錠剤、カプセル、および丸剤の形態であり得る。非経口投与について は、生理食塩水のような薬学的に受容可能な非経口キャリアと共に、滅菌水溶液 または非水の溶液、懸濁液または乳濁液で典 型的に注入される。 本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。これらの実施例は、本発 明を理解することを助けるために提供され、その範囲を限定することは意図して いない。 実施例 A.エンベロープ糖タンパク質に対する広範囲の中和抗体の 構築および発現 1.F105免疫グロブリン遺伝子のcDNA合成およびPCR増幅。 F105ハイブリドーマを、EBV形質転換体と非分泌のヒト-マウスミェローマ類似 体のHMMA2.11TG/O細胞株との融合により誘導した[Posnerら、J.Immunol.146:4 325-4332(1991)]。公表されたプロトコールに従って、オリゴ(dT)プライミング およびモロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素を用いて、全量5μgのRNAから 、25μlの反応液中で第1鎖のcDNAを合成した[Guslerら、Gene 25:263-269(198 3)]。第1鎖のcDNAの5〜10%を用いて、PCR反応を行った。PCRに用いた温度は :融解94℃、1分;プライマーアニーリング52℃、2分;プライマー伸長72℃、 2分である。アニーリングと伸長との間で2分間の傾斜時間を用いた以外は、1 分間の傾斜時間を用いた。25〜30回の熱サイクルを行った。エチジウムブロミド で染色した2%アガロースゲルを用いて、PCRフラグメントを分離した。適切な バンドを切り取り、遺伝子を洗浄し(Bio 101,La Jolla,CA)、クレノウ修復し、 制限酵素で切断し、そしてクローニングに用いた。それぞれのPCRフラグメント の少なくとも3つの別々の形質転換体を、正方向および逆方向の両方のシーケン スプライマーを用いて配列決定した。DNA配列をSangerの方法で分析した[Sanger ら、J.Mol.Biol.183:161-178(1980)]。 2.PCRプライマー設計。 H鎖プライマー対は、正方向のVHプライマーおよび逆方向のJHプライマーから なり、それぞれのプライマーはクローニングに便利な制限部位を含んでいる。免 疫グロブリンに関するKabatデータベースを利用して、6つの別々のヒトVHファ ミリー中に見られるアミノ酸およびコドン分布を分析した[Kabatら、前出]。こ の分析に基づいて、2つの位置で2つの異なるヌクレオチドが縮重し、そしてFR I配列の5'末端とアニールする、以下の35塩基対の普遍的5'VHプライマーを設計 した: (左の下線部)を導入して増幅したDNAをクローニングし、そしてこれはVH遺伝 子の1番目のコドンの5'に位置する。中間のXhoI部位も同様に導入した(右の下 線部)。 同様に、66塩基対JH領域オリゴヌクレオチドを設計し、H鎖可変部遺伝子の3' 末端で逆方向プライミングした: このプライマーは、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)3(配列番号:1)の鎖間リンカーをコ ードする45ヌクレオチドの配列をさらに含有する。6つのヒトJH領域のミニ遺伝 子のヌクレオチド配列に基づくと、このプライマーは、それぞれの位置で2つの ヌクレオチドを有する2つの縮重した位置を含有する。BspE I部位(左の下線部) を鎖間リンカーに挿入し、重複するVκプラ イマーと付着末端で結合した。中間のBstEII部位(右の下線部)も同様に、将来の リンカーに交換実験用に挿入した。 45ヌクレオチドの鎖間リンカーを用いる同様の方法を、69ヌクレオチドのヒト Vκプライマーの設計に援用した。4つのヒトVκ遺伝子のファミリーがある。5' Vκプライマーの は、FRI配列の5'にアニールし、3つの位置(それぞれ2つのヌクレオチド)で縮 重している。鎖間リンカー部分は、逆方向のJHプライマーでクローニングする付 着末端のBspE I部位を含んでいる。中間のSac I部位(右の下線部)も同様に、将 来のリンカー交換実験用に挿入した。 逆方向の47ヌクレオチドCκプライマー(Kabat位置109位〜113位) (配列番号:12)を、κ鎖(Kabat位置109位〜113位)(Kabat)の定常部と相補的であ るように設計した。このプライマーを、κ定常部の大部分の5'最末端とアニール する。プライマーは、2つの終止コドンの前に中間のMlu I部位(右の下線部)を 含む。さらに、多重制限部位(Bam HI/XhoI/XbaI)(左の下線部)を、縦列の終止コ ドンの後に挿入した。類似の逆方向の59ヌクレオチドのCκプライマーもまた設 計し、これはカルボキシ末端 を含む。類似の多重制限部位(Bam HI/XhoI/XbaI)(下線部)を、縦列の終止コドン の後に挿入した。 一次ヌクレオチド配列を決定した後、F105H鎖およびκ鎖の両方の遺伝子およ び生殖系列遺伝子を同定し、VH71-4(Leeら、J.Mol.Biol.195:761-768(1987)) 生殖系列遺伝子のリーダー配列に基づいて、PCRプライマーを設計した。VH71-4 リ 号:15)は、5'Nco I部位(下線部)を含む。このリーダープライマーを、PCR増幅 実験のために第2のJHプライマーとともに用いた。35塩基対のJH領域オリゴヌク レオチドを、H鎖可変 (配列番号:16)の3'末端での逆方向のプライミングのために、同じ配列を含むよ うに設計した。このプライマーは、それぞれの位置で2つのヌクレオチドを有す る2つの縮重位置を含む。J領域の最後のアミノ酸を決定するコドンの3'および すぐ隣接する部分のBssH II部位(左の下線部)は、VH遺伝子の3'末端でのクロー ニングに好都合である。中間のBstEII部位(右の下線部)も同様に挿入した。 3.F105一本鎖抗体の構築および細菌での発現 細菌で発現するための最初のF105 sFvを構築するために、VH/JH-ICLおよびICL Vκ/CκPCRフラグメントを、それぞれNotI/BspEIおよびBspEi/XbaIで切断し、そ してSURE細菌 (Stratagenem,La Jolla,Ca)を宿主として用いて、プラスミド pSL1180(Pharma cia LKB,Biotech.Inc.,Piscataway,N.J.)中にクローニングした。得られた F105 sFvを制限酵素で切断し、そしてNotI/Bg1IIフラグメントを、pET発現ベク ター中のpel Bシグナルペプチドの3'に位置するNotI/BamHI部位にクローニング した。得られたpETpelB F105sFvプラスミドを、BL21(DE3)宿主中に形質転換した 。sFv 105タンパク質は、ヒトH鎖およびLκ鎖の両方に対する抗血清により認 識される。このタンパク質は、gp120をプラスチック表面に固定したELISAアッセ イを用いて決定した精製gp120と結合する。0.2mMのIPTGを用いて24℃で2〜4時 間誘導した後にペリプラズム画分を得、そしてgp120(American Biotechnology, Inc.)でコートしたELISAプレート(Dynatech Labs,Inc.,Chantilly,VA)を用い るELISA、およびアフィニティーカラムで精製したヤギ抗ヒトκ鎖抗体(Fisher S cientific)に結合したアルカリホスファターゼでの検出によりgp120結合活性を 試験した。F105sFv結合gp120は可溶性CD4により遮断され、それによりCD4との競 合を示し、そしてgp120アフィニティーカラム(Affi-Gel,BioRad,Inc.)に吸着 し、そこから溶出された。 4.SEKDEL内部細胞質保持シグナルを有するおよび有さな いF105一本鎖抗体の構築および真核細胞での発現。 VH71-4リーダーおよびJH/BssHIIプライマーを用いて、リーダーペプチドおよ び転位したH鎖遺伝子を含むイントロンの ないフラグメントをPCR増幅した。フラグメントを、pSL1180のEcoRV部位中に正 方向で平滑末端にしてからクローニングした。その後、NcoI/BstEIIフラグメン トを得、そして、pSL1180由来のF105 sFvのBstEII/SphIフラグメントと、NcoI/S pHIで切断したpSL1180と3つの断片で結合して組み合わせて、VH71-4/SCAを作成 した。カルボキシ末端SEKDEL配列を含むVH71-4 SCAを構築するために、ICL-Vκ- SEKDEL PCR産物を、pSL1180中のEcoRV部位に正方向で平滑末端にしてからクロー ニングした。フラグメントをBspEI/XbaIでの切断により取り出し、そしてVH71-4 /SCAのNcoI/BspEIフラグメントと、Ncol/XbaIで切断したpSL1180と3つの断片で 結合して組み合わせて、VH71-4/KDELを作成した。pRC/CMV(Invitrogen)中にクロ ーニングする前に、EcoRIからHindIIIへの変換リンカーを、2つの一本鎖抗体を 含む、EcoRIで切断したpSL1180の中に挿入した。その後、両方の一本鎖抗体由来 のHindIII/XbaIフラグメントを得、そしてHindIII/XbaIで切断したpRC/CMV中に クローニングし、pRC/SCAおよびpRC/KDELを作成した。 Fv、sFv、およびsFv-KDELの構造の概略図である図2を参照のこと。それぞれ の鎖の3つの相補性決定領域(CDR)は、陰影をつけてある。 5.他のエンベロープ抗体の構築および発現 エンベロープ糖タンパク質に対する他の2つの広範囲の中和一本鎖抗体を作成 し、そして同じ基本的な手順を用いて発 現させた。これらのPCRプライマーは、VHについては正方向、そしてVκについて は逆方向に用い、そして内部鎖リンカーが、JHの24アミノ酸を有する結果、Vκ の24ヌクレオチドおよび24塩基対が増幅される。 このような1つの抗体は、gp120上のCD4増強エピトープに対する、1.7bのヒト モノクローナル抗体由来の一本鎖抗体であった。遺伝子分析により、1.7bモノク ローナル抗体の転位H鎖が、VH1263生殖系列遺伝子由来であることを決定した。 VH1263リーダーペプチドのリーダー配列に対するH鎖プライマーを使用した。こ のプライマー、 そのリーダー配列を含む転位H鎖を増幅した。κ鎖を同様に増幅した。上記の重 複伸長方法を用いて、gp120上のCD4増強部位に対する一本鎖抗体を作成した。 さらに、DP-35生殖系列遺伝子のリーダー配列に対するリーダープライマーを 用いた。この転位生殖系列遺伝子は、モノクローナル抗体21H(これもまた、gp1 20上のCD4結合部位に対する)により使用される。 21HリーダープライマーをJHプライマーとともに用いた。JH平滑末端プライマ ー (配列番号:61)を用いて、21Hモノクローナル抗体の転位H鎖 を増幅した。さらに、適切に設計されたλL鎖プライマーを用いて、21Hモノク ローナル抗体の転位L鎖を増幅した。2つの精製PCR産物を用いて、真核細胞中 で発現する21H一本鎖抗体を作成するために、λ配列を含むように改変された好 適な内部鎖リンカーと重複伸長した。 正方向のプライマーであり、これを21Hλ鎖の増幅に用いた。 最も基部に近い定常部λ領域に対する逆方向のプライマー、 ーであり、このプライマーを用いてF105の内部鎖リンカーを再増幅してκ可変部 の代わりにλ可変部を入れる。 換言すれば、前の実施例に示したように、リーダーペプチド、リーダープライ マー、および平滑末端JHプライマーを入れて、一方の末端にリーダーペプチドを 有し、もう一方の末端にJH平滑末端セグメントを有する転位H鎖を増幅した。リ ーダーペプチドは、HindIII部位を有した。 (配列番号:65)、および3'末端のプライマー を用いて、内部鎖リンカーと共に転位H鎖を作成した。この転位H鎖を1.7bの場 合にκ鎖と共に用いて、リーダー配列を有する一本鎖抗体を作成した。1.7bに用 いたプライマーは、 (配列番号:67)、およびκ鎖の定常部分の大部分とアニール 3つの断片を一緒に添加し、そして重複伸長により作成した後、一本鎖抗体は 、5'末端にHindIIIクローニング部位、および3'末端にXbaIクローニング部位を 有する。PCRて作成したフラグメントを、製造者の指示に従って、適切な制限酵 素を用いて切断し、次いで、pRC/CMVなどのプラスミド中に直接的にクローニン グした。 6.変異抗体の構築および発現 これらの広範囲の中和抗体のいずれかを用いて、変異抗体を作成し得る。標準 の変異誘発技法を用いて、CDR3領域などのH鎖の可変部中に異なるアミノ酸をコ ードするcDNAが得られ得る。 免疫グロブリンH鎖リーダーペプチドを含むF105一本鎖抗体を、上記のpSL118 0クローニングベクターにいれて初期クローニングした。CDR3置換に対するこの 抗体を調製するために、以下の方法論を行った。抗体がNcoI/SphI部位にクロー ン化されるので、いくつかのスタッファー(stuffer)DNAを除去することを必要と した。このように、ベクターを、SpeIおよびNheIで切断して、Not I部位を除去 した。自己結合の後、スクリーニングによって除去されるこのスタッファーDNA を有するコ ロニーを選択した。得られたプラスミドは、リーダーペプチドを有するF105一本 鎖抗体を、H鎖CDR3領域に隣接する2つの固有の制限部位と逆方向に、含んでい た。CDR3の5'末端に、固有のEagI部位が存在し:ACG-GCC-GTG-TAT-TAC TGT-GCG CGA(配列番号:69)、そしてH鎖CDR3の3'末端にBst EII部位が存在する:TGG GGC CAG GGA ACC-CYG-GTC ACS GTN WCC(配列番号:70)。このベクターをEag Iおよび Bst EIIで切断し、そしてCDR3領域のライブラリーをそこにクローン化した。得 られた形質転換体をPVU2で切断し、そして変異抗体をPVU2切断後のパターンの変 化によって、野生型と区別した。固有のPVU2部位は、H鎖CDR3に存在し、従って 、変異抗体においてその部位は破壊される。このように、このパターンは、PVU2 部位を有する野生型CDR3を含む野生型とは異なっている。 合成CDR3の構築のために、3'プライマーを用いた。5'プライマーは、Eag I部 位CGC-ACA-GTA-ATA-CAC(配列番号:71)を含む。3’プライマーは、Bst EII部位GT -GAC-CGT-GAC-CGG-GGT(配列番号:72)を含む。CDR3は、NNS×15の変性配列を含む (ここで、Nは任意のヌクレオチドであり、そしてSはCまたはGである)。こ れは、終止コドンの数を減少させ、そして20個全てのアミノ酸を、以下の15個の 位置それぞれにおいて発現させる: のペプチドのキナーゼ処理および上記方法論によるアニーリ ングの後、得られたペプチドは、CDR3に隣接するフレームワークヌクレオチド上 に二本鎖を有し、そしてオープン(open)制限部位を含んでいた。CDR3自体は一 本鎖のままであった。細菌性のポリメラーゼにより、間隙に満たした。Cwirla, S.E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378-6382(1990)を参照のこと。 これが達成され得ることによる代替法は、アニーリングポリマーとして2つの 短いポリマーを用いて、増幅後にCDR3をつなぐ長いオリゴヌクレオチドに製造し たこの同じオリゴをPCR増幅することである。この大きなオリゴヌクレオチドを 、EAGIおよびBstEIIで切断し、次いで標準的な分子生物学技法を用いて結合した 。 固有のCDR3変異体をPVU2切断によって確立した。次いで、完全な抗体カセット をHindIII-Xba I切断によって除去した(これは、クローニング部位とともに完 全な抗体カセットを除去する)。次いで、これらの変異抗体をゲル精製し、遺伝 子清浄し、そしてHindIIIおよびXbalで切断したpRC/CMV中にクローン化した。次 いで、これらの得られたプラスミドを上記のように、COS細胞にリポフェクショ ンによってトランスフェクトした。その後、エンベロープ糖タンパク質に対する 種々の結合親和性を有する変異体をスクリーニングした。 上記の技術を用いて、6つの変異体のsFv105抗体を作成し、そこでは、H鎖の CDR3領域におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸に置き換えられていた。 Rと呼ばれる6つの変異体の1つは、(配列番号:74) これらの6つの変異体は、HIV-1エンベロープタンパク質と結合しなかった。 7.エンベロープ糖タンパク質に対するFab中和抗体の構築。 COS-1細胞中で高い力価のヒトFabフラグメントを産生し得る真核細胞発現ベク ターもまた産生した。このベクターは、上記のpRC/CMVベクターに基づているが 、FdH鎖およびL鎖は縦列にクローン化されており、それぞれの鎖は、別々のCM Vプロモーターの制御下にある。このベクターもまた、安定なトランスフェクシ ョンのためのネオマイシン遺伝子を含む。図3は、F105H鎖およびL鎖のFabフ ラグメントを発現するプラスミドを用いてトランスフェクトされたCOS-1細胞の パルスチェイスを示す。図3における、最初の3つのレーンは、細胞溶解物であ り、2番目のセットの3つのレーンは、細胞培養液由来である。それぞれのセッ トのレーンは、2、3、および4時間インキュベーションしたものである。35S- Metで30分間標識した後、さらに記載したインキュベーション時間の後、細胞 溶解物(I)および培養液(M)を収集し、そして抗ヒトIgG1および抗ヒトκ鎖抗 体の混合物を用いて、放射免疫沈降物を得た。図3中に示されるパルスチェイス 実験は、高レベルのF105のFabフラグメントが細胞内および付加物中の両方に 存在することを示し、Fabフラグメントが培養液中に活発に分泌されていること を示している。F105FabトランスフェクトされたCOS-1細胞由来の細胞溶解物およ び培養上清は、ELISAアッセイにおいてgp120と結合し、H鎖およびL鎖の両方は 、抗IgG1H鎖(図3中のFab H)または抗κ鎖抗体(図3中のFab K)のいずれかと迅 速に免疫沈降し得る。 B.坑TAT一本鎖抗体の構築および発現 同様の一般的方法論が、他の抗原に対する一本鎖抗体の発現に用いられる。HI V-1 tatタンパク質に対する一本鎖抗体を、以下のようにして生成した。 1.H鎖プライマー 5'順方向のVHプライマーは、以下の配列を有する55塩基対のオリゴヌクレオチ ドからなる: 5'末端から始まる逆方向のネズミJHプライマーは、以下の配列を有する: 2.ネズミκ鎖プライマー ネズミκ鎖(一本鎖抗体の産生のための鎖内リンカーを含む)のPCR増幅のた めに、次のVκプライマーを生成した。 上記順方向Vκプライマーとともに用いるために、2つの異なる逆方向のCκプ ライマーを生成した。1つは、以下の配列を有する44ヌクレオチドプライマーで あった: このプライマーは、Kabatの110位から115位までがアニールされる。 第2の逆方向Cκプライマーは、SV40核位置シグナルを3'末端に含むCκ鎖の増幅 に用いた。このプライマーは以下の配列を有する。 このプライマーは、Kabatの110位から115位までがアニール され、次いで以下のアミノ酸配列を有するSV40核位置シグナルが続く。 PCR増幅 抗tatIIIハイブリドーマから単離した2〜3μgの総RNAを用いて、25μgの反 応でランダムプライマーをアニールすることにより産生されるcDNAを産生した。 一本鎖cDNAの5〜10%を、VHプライマーおよびVJプライマーと結合し、そしてPCR を実施例1に記載のように行った。PCR反応のためのアニーリング温度は、56℃ であった。 L鎖のPCR増幅のために、鎖間リンカーを含むVκプライマーを、Cκプライマ ー単独、またはSV40核局在シグナルを含むCκプライマーのいずれかと結合させ た。この反応のためのアニーリング温度は、56℃であった。 L鎖およびH鎖の両方の増幅のために、30回のPCRを用いた。これらのPCR産物 を、2%低融点のアガロースゲルでゲル精製した。κ鎖の先の配列分析により中 間のBstE-II部位が示されたので、マルチステップクローニング手順が必要であ った。まず、H鎖PCR産物を、末端を修復し、そして平滑末端を生成することを 確実にするように、クレノウキナーゼ処理した。H鎖フラグメントを、次いでXb aIを用いて切断した。同様に、 2つの異なるκ鎖構築物を、SV40核局在シグナルを用いておよび用いずに、クレ ノウキナーゼで処理し、次いでXholを用いて切断した。等モル量のこれらの2つ のフラグメントをPSK+ベクター(XbaIおよびXhoIを用いて切断されている)と 混合した。これにより、5'および3'最末端で付着末端クローニングされ、2つの PCR産物の間で平滑末端クローニングされた。 H鎖およびL鎖のクローニングに成功した後、プラスミドDNAをBstE-IIを用い て切断し、そして約120塩基対のBstE-IIフラグメントを回収し、そして同じベク ター内に再クローニングした。これは、平滑末端部位の余分のヌクレオチドを除 去するために必要であった。数個のクローンを得、そして上記のVH、Vκプライ マーまたはVκ、Cκプライマーのいずれかを用いるPCR増幅により、BstE-IIフラ グメントの配向を確認した。 真核細胞発現ベクターpRc/CMV(Invitrogen)へのクローニングのために、XbaII /ApaIフラグメントをPSK+ベクターから得、そして同じ制限酵素を用いて切断さ れているPRC-CMVベクター中にクローニングした。この構築物から得られた抗tat 一本鎖抗体の生物学的活性を確認するために、新規な3'プライマーを用いて、こ の一本鎖抗体を再増幅し、そしてP-10-1ファージミドベクター中にクローニング した。元のVHプライマーと共に、新規な逆方向のCκプライマーを用いた リポフェクションを用いて、PRC-CMV抗tat一本鎖抗体をCO S細胞中にトランスフェクトした。一本鎖抗体の発現がみられた。 ER局在リーダー配列を有すること以外は上記tat抗体と同様である、第2の抗t at sFvを、以下のように構築した: ネズミの抗HIV-1 tatハイブリドーマ細胞株のVHおよびVLドメインの遺伝子を 、記載のようにクローニングし、そしてDNA配列決定をした。他の制限酵素部位 を有するH鎖リーダー配列(P-L) およびH鎖可変部の3'末端に対応する逆方向のプライマー(P-J) を用いて、上記のようにポリメラーゼ連鎖反応によりリーダー配列および転位H 鎖配列を増幅した。VLの5'末端配列に対応するVLプライマー(P-K) および、停止コドンを有するκ鎖の定常部の開始部に対応す またはSV40核局在シグナルを有さない逆方向のCkプライマ を用いて、VL配列を増幅した。 (P-J)および(P-K)プライマーに完全に相補的であり、そして中間の鎖間リンカ ー配列(Gly-Gly-Gly-G1l-Ser)3(配列番号:1)を含むプライマーを用いて、93bp鎖 間リンカーを増幅した。これら3種のフラグメントをゲル精製し、そしてClacks on,T.ら [Nature 352:624 (1991)]の方法論による重複伸長により、抗tat sFv を生成した。作成した抗tat sFvシグナル配列をpRC/CMV内にクローニングし、そ してそのDNA配列を確認した[Sanger,F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 74:5463 (1977)]。次いで、5'HindIII部位を有する順方向のフレームワーク1プライマー を用いて、この一本鎖抗体を再増幅した。 C.細胞内抗体による機能の阻害 1.哺乳動物細胞で発現される抗体の能力 哺乳動物細胞で発現されるこれらのタンパク質の能力を、下記のように、CD4 タンパク質を構成的に発現する、COS-1細胞の一時的(transient)トランスフェク トによりおよびHeLa細胞株、HeLa-CD4[Madden,P.J.ら、Cell 47:333-348 (198 6);McDougal,J.S.ら、J.Immunol.137:2937-2944 (1986)]]により測定した 。抗ヒトH鎖抗体および抗ヒトL鎖抗体により大量のsFv 105タンパク質が沈澱 するが、sFv105-KDELタンパク質は、一時的発現アッセイではほとんど検出され ないことが見出された。 sFv105およびsFv105-KDELタンパク質(COS sFv105およびCOS sFv105-KDEL)を構 成的に発現する細胞を、2種のプラスミドを用いてCOS-1細胞をトランスフェク トした後、ネオマイシン耐性について選別することにより作製した。 35mm皿上のCOS-1細胞を、Chen,S.Y.ら、J.Virol.65:5902-5909 (1991)に 記載されるように、リポフェクチン(BRL Corp)を用いて、pCMV-sFvまたはpCMV-s Fv-KDELまたはネオマイシン耐性遺伝子を含むベクタープラスミドDNA 10μgでト ランスフェクトした。トランスフェクトから2時間後、10%のウシ胎児血清を添 加したダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)1.5mlを細胞に添加し、そして48時 間インキュベートした。形質転換細胞を500μg/mlのG418(BRL)を含有するウシ胎 児血清を10%添加したDMEMで選別した。次いで、形質転換細胞を6ウェルプレー トで増殖し、そしてシステインを含有しない、100μci35S-システイン0.5ml中で 30分間インキュベートすることにより代謝的に標識した。次いで、この細胞を洗 浄し、そして10mMの非標識システインを含有するDMEM中でインキュベートした。 タンパク質を細胞溶解物または培地から免疫沈降し、そして電気泳動により分析 した。図4を参照。これらの細胞を30分間パルス標識し、追跡し、そして抗ヒト 免疫グロブリンK鎖抗体を用いて、細胞溶解物または培地から免疫沈降した。こ のタンパク質を12.5%のSDS-ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動により分析し 、そしてオートラジオグラフィーにより可視化した(Laemmli,U.K.,Nature 22 7:680- 684 (1970))。タンパク質マーカーの位置を図に示す。レーン1、CMV-COS-1細胞 、60分間追跡。レーン2〜5の試料は、COS sFv 105の細胞溶解物から免疫沈降 した。レーン6〜9は、sFv105-C0Sの培地から沈澱された。レーン2および6は 、追跡30分間。レーン3および7は、追跡60分間。レーン4および8は、追跡12 0分間。レーン5および7は、追跡360分間である。 sFvまたはベクター形質転換細胞の免疫蛍光染色を、直径15mmのカバーグラス 上で行った。この細胞は、エタノール95%および酢酸5%を含有する溶液中で-2 0℃で5分間固定した。図5A〜Dを参照のこと。sFv105単独(A)またはベクター単 独(D)による形質転換細胞、あるいはHelseth,E.M.ら、J.Virol.64:2416-24 20 (1990)に記載の、HIV-1糖タンパク質発現プラスミドpSVIII env 10μgで同時 トランスフェクトしたsFv-KDEL形質転換細胞(B)を、抗ヒトκ鎖抗体で染色し、 次いでフルオレセイン(FITC)結合抗ウサギIgGとインキュベートした。ER染色に は、ベクター形質転換細胞を、抗BIP抗体と、次いで抗マウスIgG-FITC(C)とイン キュベートした。ベクター形質転換細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄 した後、抗Bip抗体と37℃で30分間、次いで抗ウサギIgG-FITCまたは抗マウスIgG -FITCとインキュベートした。最終洗浄の後、細胞をマウントし、そして蛍光光 学系を有するニコン顕微鏡で倍率1100倍で観察した。 このように、細胞内のsFv105タンパク質の位置を測定し得 た。この抗体は、ER固有のタンパク質の特性である細胞質全体の管状網(network )を染色する(図5A)。このパターンは、親細胞(図5c)中で、ER固有のタンパク質 免疫グロブリンH鎖結合性タンパク質BiP[Wu,G.E.ら、Cell 33:77-83(1983) ;Bole,D.G.ら、J.Cell Biol.102:1558-1566(1986);Dul,J.Lら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 87:8135-8139(1990);Knittler,M.R.ら、the EMBO J.11:1573-1581(1992)]に対する抗体を用いて得られたパターンと同じであ る。 2.エンベロープ糖タンパク質に対する抗体がエンベロープタンパク質の生合成 および活性を阻害する能力 構成的にsFv105またはsFv105-KDELタンパク質を発現する細胞株がHIV-1エンベ ロープタンパク質の生合成および活性を阻害する能力を、高レベルのエンベロー プタンパク質を発現するベクターを用いるCOS sFv105およびCOS sFv105-KDEL細 胞のトランスフェクションにより決定した。パルス追跡分析に続くエンベロープ タンパク質の免疫沈降は、4時間の追跡の間に親細胞株において、gp160のかな りの画分がgp120に開裂されることを示す(図6)。gp160の類似量が親およびCO S sFv105細胞において作られるが、4時間の追跡後は、gp120はほんの僅かであ る(図6)。COS sFv105細胞に存在するgp160タンパク質を、抗ヒトκ鎖抗体を 用いて共沈させ得る。この抗体は、親のCOS-1細胞株中で作られるgp160タンパク 質を沈降 させない。HIV-1エンベロープ糖タンパク質に対する抗体もまた、gp160を発現す る細胞中のsFv105タンパク質を共沈させる(図6)。 形質転換細胞を、10μgのpSVIIIenvプラズマDNAおよび2μgのPSVIII tat発現 性tat(Helseth,E.M.,J.Virol.,前出を参照のこと)を用いてトランスフェ クトし、そして35S-システインを用いて30分間パルスラベルし、そして4時間追 跡した。細胞溶解物を抗K抗体あるいはポリクローナルなヒツジまたはウサギ抗g p120血清(AIDS Research and Reference Program)を用いて免疫沈降させた。 上記のように、タンパク質を11%SDS−ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動に より分析し、そして上記のようにオートラジオグラフィーによって可視化した。 図6を参照のこと。図6Aは、ポリクローナルヒッジ、抗gp120血清を用いて免疫 沈降させた細胞溶解物を示し、そして図6Bは、ウサギ抗gp120血清を用いて免疫 沈降させた細胞溶解物を示す。図6A:レーン1、抗κおよび抗gp120を用いてHIV -1から免疫沈降した偽トランスフェクトsFv105-COS-1である。レーン2-4は、エ ンベロープトランスフェクトsFv105-COS-1からの沈降物。レーン2は、抗gp120 による沈降物。レーン3は、抗κ鎖抗体による沈降物。レーン4は、抗κおよび 抗gp120抗体(AIDS Research and Reference Program)による沈降物。図6B、レ ーン1は、抗κ2鎖および抗gp120タンパク質抗体を用いて偽トランスフェクトCO S-1からの免疫沈降物。レーン2-3は、エンベロープトランスフェクトsFv105-KDE Lから の沈降物。レーン2は、抗gp120による沈降物。レーン3は、抗κ鎖抗体による 沈降物。レーン4は、抗κ鎖および抗gp120抗体を用いたsFv105-KDELからの沈降 物。 COS sFv105-KDEL細胞において、gp160からgp120へのプロセシングは、部分的 に阻害される(図8)。図8は、ポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラム により、細胞中において、sFv105-KDELは、特異的にHIV-1糖タンパク質と結合し 、sFv105-KDELタンパク質がHIV-1糖タンパク質と共沈することを示す。レーン1 は、抗gp120および抗κ鎖抗血清の混合物を用いて沈降させた偽トランスフェク トCOS-1細胞の溶解物を示す。レーン2-3は、エンベロープ発現プラスミドpSVIII ENVを用いてトランスフェクトしたCOS sFv105-KDEL細胞の溶解物を示す。レーン 2は、抗gp120抗血清を用いて沈降させた。レーン3は、抗κ鎖抗血清を用いて 沈降させた。レーン4は、抗gp120および抗κ鎖抗血清の混合物を用いて沈降さ せたCOS sFv105-KDEL細胞の溶解物を示す。抗ヒトκ鎖抗体によって沈降するsFv 105-KDELタンパク質の量は、gp160の存在によって増加する。COS sFv105-KDEL細 胞中に存在するgp160タンパク質はまた、抗κ鎖抗体によって沈降する。gp160を 発現する抗血清は、COS sFv105細胞中のsFv105タンパク質の分布と類似している (図5B)。明らかに、sFv105-KDELタンパク質は、gp160と結合することによって 安定化する。 免疫共沈実験を、ERシャペロンタンパク質、BiPに対する抗血清を用いて行っ た。sFv105タンパク質はBiPに対する抗血清 を用いて沈降する。免疫グロブリンのH鎖およびL鎖は、BiPに結合することが 知られているが(Wu,G.E.ら、Cell 33:77-83(1983);Bole,D.G.ら、J.Ce ll Biol.102:1558-1566(1986);Dul,J.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8135-8139(1990);Knittler,M.R.ら、The EMBO J.11:1573-1581(1992) ]、いくらかのさらなる実験が行われ、gp160プロセシングの阻害がsFv105タンパ ク質の非特異的活性によるものである可能性が排除された。 sFv105に結合し得る一本鎖抗体を発現する細胞が、envタンパク質変異体のプ ロセシングを阻害する能力を評価した。この目的のために、COS sFv105細胞を、 370位のグルタミン酸がグルタミンに置換されたエンベロープタンパク質変異体 を発現するプラスミドを用いてトランスフェクトした。この変異によりsFv105親 抗体によるエンベロープタンパク質の検出し得る結合が除かれることが、以前に 示されている[Thali,M.C.ら、J.Virol.66:5635-5641 (1992)]。sFv105のHIV- 1エンベロープタンパク質への結合特異性はまた、ブンヤウイルス科のPunta Tor oウイルスのエンベロープタンパク質、あるいはオルソミクソウイルス科のイン フルエンザAウイルスのWSN株のヘマグルチニンを用いてCOS sFv105細胞をトラン スフェクトすることにより評価した。これら2つのウイルスタンパク質は、ERお よびゴルジ体においてプロセシングされることが、以前に示されている(Chen, S.Y.ら、J.Virol.65:5902-5909(1991);Hughey,P.G.ら、J.Virol.66:5 542-5 552 (1992)]。Punta Totoおよびインフルエンザウイルスタンパク質のいずれも 、sFv105 HIV-1 gp160複合体を共沈させることが示されている抗ヒトκ鎖抗体で 沈降しなかった。図9、レーン1および2は、COS sFv105細胞中の親エンベロープ タンパク質のプロセシングにおける遮断と対照的に、変異gp160エンベロープタ ンパク質は正常にgp120にプロセシングされることを示す。従って、図9は、sFv1 05は、関連のないタンパク質と共沈しないことを示している。COS sFv細胞を10 μgの変異HIV-1糖タンパク質発現370E/Dを用いてトランスフェクトし、(この糖 タンパク質は、F105に結合しない[Thali,M.C.ら、J.Virol.前出])、35S-シ ステインを用いて30分パルスラベルし、そして4時間追跡した。 抗HIV-1糖タ ンパク質(レーン1)または抗κ鎖抗体(レーン2)のいずれかを用いてタンパク 質を免疫沈降させた。T7ポリメラーゼをコードする痘疹ウイルス5 M.O.Iを、COS -sFv細胞に2時間感染させ、次いで、T7プロモーター(Chen,S.Y.ら、J.Virol .,前出]の制御下でPunta ToroウイルスのG1およびG2糖タンパク質の遺伝子を含 むプラスミドDNA PTV-G1-G2、あるいはT7プロモーター[Chen,前出]の制御下でイ ンフルエンザAウイルスのWSN株のHA遺伝子を含むプラスミドT7-HA 10μgでトラ ンスフェクトした。続いて、細胞を、35S-システインを用いて30分パルスラベル し、そして4時間追跡した。レーン3および4:抗PTV糖タンパク質(Chen,前出) (レーン3)または抗κ鎖(レーン4)で免疫沈降したPTV G1-G2トランスフェク ト細胞溶解物。図9 はまた、Punta totoエンベロープタンパク質のプロセシングが、sFv105抗体の発 現に影響されないことを示す(レーン3-6)。 他のgp160に結合しない単鎖抗体のエンベロープタンパク質のプロセシングを 妨害する能力を評価した。2つの異なる一本鎖抗体を用いた。1つは、HIV-1 ta tタンパク質を認識するネズミモノクローナル抗体由来の一本鎖抗体である。こ の抗tat単鎖抗体は、tat抗体の正常細胞内標的から、ERを標的にし得るリーダー 配列を有するように改変された。この抗体はまた、COS細胞内に安定に残存し、 一時的発現アッセイで培養液中に分泌されない。COS細胞内のgp160からgp120へ のプロセシングは、HIV-1糖タンパク質を発現するプラスミドの抗tat sFvを発現 するプラスミドとの同時トランスフェクションに影響されなかった。 さらに、抗tat sFvを沈降させる抗免疫グロブリン抗血清は、HIV-1エンベロー プタンパク質を共沈しない(図10を参照)。図10は、細胞内に保存された抗tat sFvがHIV-1糖タンパク質に結合しないことを示す。COS細胞を、10μgのpSVIIIen vおよび10μgのpRC/CMV-sFvtatプラスミドDNAで同時トランスフェクトし、35S- システインを用いて30分パルスラベルし、そして4時間追跡した。タンパク質を 抗マウス免疫グロブリン抗血清(レーン1)またはヒツジ抗gp120(レーン2)で 免疫沈降させ、そしてSDS-PAGEで分析した。H鎖のCDR3領域の全てのアミノ酸が 任意のアミノ酸で置換され、そしてタンパク質を 結合しない産生されたsFv105の6つの変異体もまた用いた。COS細胞内のgp160か らgp120へのプロセシングは、これらの変異体タンパク質を発現するプラスミド の同時トランスフェクションに影響されなかった。抗免疫グロブリン抗血清は、 HIV-1エンベロープタンパク質を共沈降させなかった。 sFv105およびsFv105-KDELタンパク質のエンベロープタンパク質の機能を阻害 する能力を、エンベロープ遺伝子でトランスフェクトされた細胞のCD4+細胞のシ ンシチウム形成を誘導する能力を測定することによって決定した。一連の実験に おいて、親COSベクター細胞ならびにCOS sFv105およびCOS sFv105-KDEL細胞を、 機能的なエンベロープ糖タンパク質を発現するプラスミドを用いてトランスフェ クトした。トランスフェクションの2日間後、細胞を、エンベロープ介在で融合 し易いヒトCD4+T細胞株、SupT1、と、約1から10の割合で混合した。エンベロ ープが介在するシンシチウム形成の程度は、sFv105またはsFv105-KDELタンパク 質のいずれかを発現する細胞で80-90%減少した(図7)。類似量のgp160が、代 謝標識およびトランスフェクト培養物の沈降で決定されるように、3種の細胞株 全てにおいて作られた。シンシチウム形成の減少はまた、機能的なエンベロープ 糖タンパク質を発現するプラスミドを有するHeLa CD4+細胞株のsFv105またはsFv 105-KDELタンパク質のいずれかを発現する第二のプラスミドとの同時トランスフ ェクションにおいて観察された(図7)。対照的に、抗tat sFvを発現する第二 のプラスミドの場合、顕著なシンシ チウム形成の減少はなかった(図7)。 CD4+Hela細胞を、pSFIIIenv3μgおよびベクターまたはpCMV-sFvまたはpCMV-s Fv-KDEL 15μgを用いて同時トランスフェクトした。シンシチウムをトランスフ ェクションから30時間後計数した。形質転換細胞を、pSVIIIenv3μgを用いてト ランスフェクトし、48時間インキュベートし、次いでPBSで洗浄し、そして50mM のEDTAを用いて、37℃で40分間インキュベートした。細胞をプレートから取り出 し、PBSで洗浄し、そして10%のウシ胎児血清を追加したDMEM2ml中に再懸濁し た。次いで、細胞に約2×106個のSupT1リンパ球を添加し、37℃で12時間インキ ュベートし、そしてシンシチウムを計数した。形質転換細胞による感染性HIV-1 の産生を調べるために、COS、COS sFv105、およびCOS sFv105-KDEL細胞を感染性 pSVIIIB DNA5μgでトランスフェクトした。これら細胞からの上清液を、トラン スフェクションの4日後に回収し、次いで上清液のそれぞれ1mlを、約2×106 個のSupT1細胞と12時間インキュベートした。次いで、SupT1細胞をDMEMで2回洗 浄し、そして10%のウシ胎児血清を添加したRPMI培地中に12時間置いた。次いで 、SupT1細胞の上清液を回収し、そしてウイルス粒子の産生を、製造者の指示に 従って、HIV-1 p24キャプシド抗原タンパク質のための高感度のラジオイムノア ッセイ血清(DuPont-NEN Inc.)を用いることにより測定した。図7は、CD4+HeLa 細胞およびsFvまたはsFv-KDELを発現する形質転換COS細胞における、シンシチウ ム形成の顕著な減少を示す。CD4+HeLa細胞 またはpSVIIIenvでトランスフェクトされたベクター形質転換細胞で観察された シンシチウムのパーセント値を示す。 sFv105タンパク質が感染性ウイルスの産生を阻害する能力を調べるために、CO Sベクター、COS sFv105、およびCOS sFv105-KDEL細胞を、1コピーの完全なウイ ルスゲノムを含むプラスミドでトランスフェクトした[Fisher,A.G.ら、Nature 316:262-265(1985);Helseth,E.M.ら、J.Virol.64:2416-2420 (1990)]。ト ランスフェクションから4日後、培養物上清液中のウイルスを用いて、高感度の 指標細胞株SupT1の感染を開始した。3種のトランスフェクト細胞全ての上清液 は、ウイルス性キャプシドタンパク質p24を含むことが示された。プロセシング 欠損を含み、そしてそのためにERに保持されるエンベロープ糖タンパク質が存在 する場合、およびエンベロープ糖タンパク質の合成のない場合に、キャプシドタ ンパク質の細胞上清内への放出が起こることは、以前示されている[McCune,J. M.ら、Cell 53:55-67(1988);Ratner,L.N.ら、AIDS Research and Human Re troviruses 7:287-294 (1991)]。 図11は、トランスフェクトされたCOS sFv105またはCOS sFv105-KDEL細胞から の上清液により開始されたSupT1細胞でのウイルス複製は、トランスフェクトさ れたCOS sFv 105またはCOS sFv105-KDEL細胞からの上清液により開始されたウイ ルス複製に比較して約5日遅く、ベクターを含むがsFv105配列は含まないコント ロールCOS-1細胞株により産生されたウイルスにより開始されたSupT1細胞でのウ イルス複製に比較して、約5 日間遅い。図11は、感染SupT1細胞によるウイルス収率を示す感染性pSVIIIB DNA は、HXBc2株の感染性HIV-1プロウイルスDNAである[Fisher,A.G.ら、Nature 31 5:262-265 (1985)]。sFv105またはsFv105-KDELまたはベクター形質転換細胞を、 HXBc2株の感染性HIV-1プロウイルス性DNAを含む、pSVIIIBプラスミドDNA5μgで トランスフェクトした。トランスフェクションから4日後、トランスフェクト細 胞の上清液を、SupTi細胞と16時間インキュベートし、次いで洗浄し、新鮮な 培地に移し、培養培地中のgag p24活性によるウイルスキャプシドp24タンパク質 の濃度をモニターした。トランスフェクト細胞の上清液から検出された培地中の 量は、それぞれ1.2ng/ml(ベクター−COS)、1.0ng/ml(COS sFv105)、および1.4ng (COS sFv1O5-KDEL)であった。図11中の記号は、ベクターのみを含むCOSコントロ ール細胞株(○)、sFv105タンパク質を構成的に発現するCOS細胞株(□)、お よびsFv105-KDELタンパク質を発現するCOS細胞株(△)から回収した上清液を用 いて得た結果を表す。 上清液の連続希釈物を用いてSupT1細胞を感染したとき、シンシチウム形成が1 03分の1以下に減少した(図12)。図12は、SupT1細胞でのシンシチウム形成によ るウイルス力価を示す。形質転換COSベクターおよびCOS-sFv105細胞を、HXBc2株 [Ratner,前出]の感染性HIV-1プロウイルスDNAを含むpSVIIIBプラスミドDNA4μg でトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、トランスフェク トされた細胞からの上清 を回収し、そしてこれを連続希釈物として用いて、SupT1細胞を16時間感染し、 そして洗浄した。8日後、シンシチウムを計数した。データは、シンシチウムに ついてポジティブなウェルの数/計数されたウェルの数である。5つの高力価フ ィールド(HPF)を各ウェルで計測した。希釈物について、5つのHPFて1個または それ以上のシンシチウムを(+)と計数する。COS-sFv105細胞により産生される ウイルスの複製の遅れおよび感染力価の減少は、コントロール細胞株により産生 されるウイルスの感染性に比較して、ウイルス感染性が低いことが原因である。 これらの実験結果は、これらの細胞が、細胞内で機能する抗体を産生し得ること を示す。この抗体は安定に発現され、そして小胞体中に保持され、そして細胞に 対して毒性でない。この抗体は、細胞内のエンベロープタンパク質に結合し、そ してこの重要なウイルスタンパク質の成熟および機能を阻害する。一本鎖抗体を 発現する細胞により産生されるHIV-1粒子の感染性は、実質的に低下する。 トランス相補(trans-complementation)アッセイを用いた。このアッセイは、 2種のプラスミド、1つはHIV-1 LTRの制御下でrevおよびエンベロープタンパク 質(pSVIIIenv)をコードし、そして他はenv遺伝子(pHXBenvCAT)に欠失を有するHI V-1プロウイルスおよびnef遺伝子を置換するクロラムフェニコールアセチルトラ ンスフェラーゼ(CAT)遺伝子[Helseth,J.Virol.64:2416(1990)]を含む。両 プラスミドをCOS-1細胞内にトランスフェクトし、そしてこれらの細胞からの、 一回(sin gle round)感染性を有するウイルス粒子を含む上清を用いて、親SupT、SupTベク ターまたはSupT sFv105細胞を感染した。CAT活性を、感染細胞の溶解物から測定 した。CAT活性は、ウイルス粒子の一回感染性を反映している。これらの実験で は、相応量のCAT活性が、同時トランスフェクトCOS細胞から得た上清液で感染さ せた親SupT、 SupTベクターまたはSupT sFv105細胞から観測されたが、pSVIIIen vまたはpHXBenvCATプラスミドのいずれか単独でトランスフェクトしたCOS細胞か らの上清液で感染させた親SupT、SupTベクターまたはSupT sFv105細胞からは、 検出し得るCAT活性は観察されなかった。これらの実験結果により、SupT sFv105 細胞はHIV-1感染を受け易く、そして観測された、細胞変性効果および感染性ウ イルス産生の両方の遮断は、ウイルスのライフサイクル(感染性ビリオンのアセ ンブリ)中で後期の事象によることを示す。この実験により、SupT sFv105細胞 におけるHIV-1複製を支持する能力が損なわれたことは、CD4レセプター機能の損 失または細胞内抗体産生の結果として起こる他の観測されない変化によるもので はないことが確認される。 sFv105の発現は、数種の細胞表面分子の発現を妨害しない。sFv105産生SupT細 胞でのHIV-1感染後、表面CD4発現が正常化することが示された。CD3、CD5、CD7 、CD8、β2M、CD20、およびHLA-DRを包含する、他の表面マーカーについてFACS 分析を行った。CD3、CD5、CD7、CD8、およびβ2Mの表面レベルを比較すると、Su pTベクターとSupT sFv105細胞との間には、蛍 光強度差はなかった。いずれの細胞株においてもCD20またはHLA-DRの表面発現は なかった。これらのマーカーは公表されたSupT細胞の表現型と同じである。 形質導入細胞は、誘導性タンパク質のレベルが増加するにつれて、適切な刺激 に応答し得る。SupTベクターとSupT sFv105細胞との間で3H−チミジン取込みレ ベルを比較する、いくつかのPHA刺激実験を行った。8mMのPHAを用いてまたは用 いずに6時間インキュベーションし、そして3H−チミジン標識した後、両細胞 株のチミジン組み込みは10倍以上増加したが、非刺激レベルは同等であった(Sup Tベクター−刺激1485cpm/非刺激139cpm;SupT sFv105細胞−刺激3330cpm/非刺 激263cpm)。従って、これらの形質導入細胞は、同等レベルでマイトジェン反応 に応答するようである。 これらの追加データから、SupT sFv105細胞は、親の表現型を維持し、外部刺 激に適切に反応し、HIV-1感染の細胞変性作用効果に耐性であり、そして感染細 胞は、感染性が顕著に低下したHIV-1ウイルス粒子を産生する。これらの効果は 、sFv105分子がgp160と細胞内結合する活性の結果である。 4.トランス活性化を阻害するTatタンパク質への抗体の能力 HIV-1からのtatタンパク質は、HIV-1の長末端反復(LTR)から発現する遺伝子を トランス活性化する。細胞内のtatの存在に対する高感度のアッセイは、HIV-1 L TR-CATリポーターを含 むプラスミドを発現している細胞へtatを導入することにより開発された。 クロラムフェニコール−アセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイ 組込みLTR-CATプラスミドを含むHeLa細胞株H3TI(NIAID Aids Reagent Program )を、10%ウシ胎児血清(FCS)が補足されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中 で増殖させた。6ウェルのNunc組織培養プレート上で、細胞を50%の集密になる まで増殖させた。 リーダーを有する抗tatSCA、SV40(Vκ)を有さない抗tatSCA、およびSV40(VκS V40)を有する抗tatSCAを種々の濃度で、0.1マイクログラムのpSVIIIenv(tat発現 プラスミド)と共に、リポフェクション(lipofection)を用いて2時間、H3TIへ同 時感染させた。 トランスフェクションの72時間後、CAT活性を、[Gormanら、Mol.Cell.Biol .2:1044〜1051(1982)]に記載されるように測定した。 HIV-1 LTR-CATリポータープラスミドを含むHeLa細胞のトランスフェクション は、0.01マイクログラム程度の少量のtat発現性プラスミドのトランスフェクシ ョンで、著しいトランス活性化(25×)を示す(図20)。 Tat活性の阻害 トランス活性化に際し細胞内で発現する抗tat一本鎖抗体(SCA)の存在の効果を 以下のようにして測定した: 10マイクログラムの抗tatSCA(Vκ)、SV40核局在シグナル(VκSV40)を有する抗 tatSCA、およびSCAを小胞体へ指向させる免疫グロブリンリーダー配列を有する 抗tatSCAを、0.1マイクログラムのpSVIIIenv tat発現体プラスミドと共に、HIV- 1LTR-CATプラスミドを含むHeLa細胞へ同時感染させた。リーダー配列は、一本鎖 抗体をERへ指向させるので、細胞質および核にのみ存在するtatに対してなんら 効果を有さない。図21に要約した結果は、抗tatSCAVκおよび抗tatSCA VκSV40 が存在すると、細胞内の異なる区画へ指向する同じ抗体の活性と比較して、tat によるHIV-1 LTR-CATのトランス活性化が低下することを示している。抗tatVκ は、リーダーを有する抗tatSCAの活性の4%のみを示すのに対して、抗tatVκSV 40は18.4%を示す。 細胞に添加する抗体の量を半分に減らすと(図22)、抗tatVκでトランスフェク トした細胞内のtatの活性は、全活性の15%を示すのに対して、抗tatVκSV40は2 8%を示す。 5.細胞内抗体の誘導発現 発明者らは、HIV-1 5'LTRの制御下で、F105 sFvをクローン化し、そしてSupT 細胞における安定な細胞株を確立した。図13レーン1に見られ得るように、tat 発現性プラスミドpSVIIItatを有する安定なF105 sFv LTR SupT細胞のトランスフ ェク ションの後に、F105 sFvは発現する。図13は、SupT細胞がpLTR F105 sFv(レーン 1)またはpRC/CMV F105 sFv(レーン2)で安定に形質転換したことを示している 。SupT LTR F105 sFv細胞を、pSVIIItatでさらにトランスフェクトした。両方の 細胞を355-Cysで3時間標識し、そして細胞溶解液を調製した。抗ヒトκ鎖抗血 清を用いて、放射免疫沈殿は、続いて15%SDS-PAGEを行った。tatタンパク質の 発現がないとF105 sFvは見られない。この発現のプロモーターと細胞との相互依 存性を図13のレーン2に示し、ここではCMVプロモーターを用いている。多くの クローンをスクリーニングし、そして実際は検出可能な抗体を産生しなかった。 Jurkat細胞は同様の結果を与えた。 HIV-1 LTRの制御下にあるF105 sFvで安定に形質転換した、上記の安定な形質 転換SupT細胞を、種々の濃度のtatタンパク質で誘導した。図16は、F105 sFvが 、0.1μg程度の少ないtatタンパク質で誘導的に発現したことを示している。レ ーン1は、10μgのtatタンパク質の投与を示している;レーン2は、1μgのt atタンパク質である;レーン3は、0.5μgのタンパク質である;レーン4は0.1 μgのタンパク質であり、そしてレーン5は0μgのタンパク質である。sFv 10 5の局在を示すマーカーが存在する。形質転換SupT細胞は、通常の形態および複 製速度を維持し、そして高いレベルのF105 sFvを発現するために形質導入され得 る。 SupT細胞を上記のようにHIV-1に感染させた。次いで、上記のように、それら をpLTR F105 sFvで安定に形質導入した。図 17は、SupT細胞のFACS分析である。図17Aは、感染していないSupT 1細胞を示す 負のコントロールである。図17Bは、形質導入されていない、SupT HIV感染細胞 の正のコントロールである。図17Cは、SupT HIV-LTR-sFv 105形質導入HIV感染Su pT細胞のFACS分析であり、そして図17Dは、sFv 105抗体遺伝子以外のHIV-LTRを 含むベクターで偽感染した(mock infected)HIV感染SupT細胞である。 図17B〜Dは、HIV-1の20 M.O.I.のHXB2株を用いた感染の8日後の、FITC抗gp12 0(ABT Inc.)を用いたgp120の表面染色を示している。分析から理解され得るよう に、図17Dは、正のコントロールとしての、同じSupT細胞の染色の一般的パター ンを示している(図17B)。対照的に、本発明(図17C)の抗体で形質導入されたHIV 感染細胞は、負のコントロール(図17A)と類似したバックグラウンド染色を示し 、これによって、表面gp120の発現がSupT sFv 105細胞内で著しく低下すること が示される。 図18A〜Dは、このような細胞内での表面CD4の発現を示している。図18Aは、負 のコントロールにおけるバックグラウンド染色を示し、図18Bは、HIV-1の20 M.O .I.のHXB2株を用いた感染8日後の、FITC抗CD4(ABT,Inc.)を用いたCD4の表面染 色を示している(正のコントロール)。図18Dは、感染して8日後の、HIV-LTRベク ターで偽感染したSupT HIV感染細胞におけるCD4発現の著しい低下制御を示して いる。対照的に、図18Cは、sFv 105で形質導入されたSupT HIV感染細胞内での表 面CD4の発 現は、HIV-LTRの制御下において、感染して8日後では殆ど正常であったことを 示している。従って、これらの実験は、表面CD4発現が、細胞内で有意には低下 制御されなかったことを示している(ここで、HIVタンパク質は本発明に従って標 的化されている)。この実験によって、ER内で形成することが知られているCD4-g p160の細胞内複合体は、本発明の方法により分離し得ることがさらに示される。 図19は、F105 sFvを発現するCD4 SupT HIV感染細胞における、HIV-1ウイルス 阻害の細胞変性効果を示している。(Θ)線は、偽トランスフェクトしたSupT細胞 を示している。(△)は、上記の条件下でHIVに感染したSupT細胞を示す正のコン トロールである。(□)は、上記の条件下で感染し、そして上述のようにHIV-LTR の制御下でsFv 105抗体が形質導入された、SupT細胞を示している。この図は、 上記のように、SupTベクター細胞またはSupT sFv105細胞を、HIV-1のHXBC2株の2 0 M.O.I.で感染させた後の、シンシチウムの形成の結果を示している。感染して 11日後では、SupT sFv 105細胞において形成されるシンシチウムは実質的にない 。対照的に、SupT細胞では、シンシチウムのピークが4〜5日後に見られる。こ れらの実験は、上記のgp120の表面発現の欠如と一致しており、本発明の細胞内 抗体によって、gp120の細胞変性効果の耐性が導かれることを示唆している。 明細書中に引用した参考文献は、本明細書中に参考として援用されている。 本発明を、その好ましい実施態様に関して詳細に説明してきた。しかしながら 、当業者は、この開示を考慮することによって、請求の範囲に示されるような本 発明の意図および範囲から逸脱することなく、それに関する変更および改良をな し得ることが理解される。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.特異的な抗原(標的抗原)の細胞内結合のためのベクターシステムであっ て、 細胞内の送達および発現に適合したヌクレオチド配列であって、標的抗原に結 合し得る抗体をコードする抗体遺伝子に作動可能に連結されるプロモーターを含 む、ヌクレオチド配列を含む、ベクターシステム。 2.前記抗体遺伝子が、一本鎖可変部フラグメント、単一のドメインH鎖、ま たはFabをコードする、請求項1に記載のベクターシステム。 3.前記標的抗原が、中間代謝物、糖質、脂質、オータコイド、ホルモン、複 合糖類、リン脂質、核酸、およびタンパク質からなる抗原の群より選択される、 請求項1に記載のベクターシステム。 4.前記標的抗原が、ハプテン、RNA配列、DNA配列、またはタンパク質である 、請求項1に記載のベクターシステム。 5.前記標的抗原が、ウイルスでコードされたタンパク質、またはその発現が 悪性細胞の形質転換において生じるタンパク質である、請求項1に記載のベクタ ーシステム。 6.前記標的抗原が、タンパク質、HTLV-1タンパク質、またはHIVウイルスで コードされたタンパク質の過剰発現の結果として悪性の形質転換において生じる 、請求項5に記載のベクターシステム。 7.前記抗体が、エンベロープ糖タンパク質またはキャプ シドタンパク質に結合し得る抗体である、請求項6に記載のベクターシステム。 8.前記標的抗原が、エンベロープgp160、またはエンベロープgp41である、 請求項7に記載のベクターシステム。 9.前記標的抗原が、TARエレメントまたはRRE配列である、請求項4に記載の ベクターシステム。 10.前記ヌクレオチド配列が、1つより多い標的抗原に対する抗体をコード する遺伝子を含む、請求項1に記載のベクターシステム。 11.前記標的抗原が、ウイルスでコードされたタンパク質であり、そして前 記抗体が、少なくとも2種の異なるウイルスでコードされたタンパク質に対する 抗体である、請求項10に記載のベクターシステム。 12.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、HIVでコードされたタンパ ク質であり、そして前記抗体が、少なくとも1種の構造タンパク質および少なく とも1種の調節タンパク質に対する抗体である、請求項11に記載のベクターシ ステム。 13.前記構造タンパク質が、エンベロープ糖タンパク質であり、そして前記 調節タンパク質が、tatまたはrevタンパク質のいずれかである、請求項12に記 載のベクターシステム。 14.前記エンベロープ糖タンパク質が、gp160である、請求項13に記載の ベクターシステム。 15.HIV gp41に対する抗体をさらに含む、請求項14に記載のベクターシス テム。 16.前記抗体が、ミリスチル化に関連するキャプシドタンパク質の一部に対 する抗体である、請求項5に記載のベクターシステム。 17.前記抗体が、tatタンパク質に対する抗体である、請求項6に記載のベ クターシステム。 18.前記抗体遺伝子が、細胞内局在配列をさらにコードする、請求項1に記 載のベクターシステム。 19.前記ヌクレオチド配列が、同じ標的に対する1つより多い抗体をコード する遺伝子を含み、ここで該抗体が、異なる細胞内局在配列を有し、そして異な る細胞内の位置で抗原を標的とする、請求項18に記載のベクターシステム。 20.前記標的抗原が、ウイルスでコードされた抗原である、請求項19に記 載のベクターシステム。 21.前記ウイルスでコードされた抗原が、HIVでコードされた抗原である、 請求項20に記載のベクターシステム。 22.前記HIVでコードされた抗原が、エンベロープ糖タンパク質である、請 求項21に記載のベクターシステム。 23.前記抗体遺伝子が、細胞内局在配列をさらにコードする、請求項4に記 載のベクターシステム。 24.前記構造タンパク質に対する局在配列が、細胞質性である、請求項23 に記載のベクターシステム。 25.前記ウイルス性のタンパク質が、HIV tat、HIV rev、 HTLV-1 tax、HTLV-1 rex、HTLV-2 tax、およびHTLV-2 rexを含むウイルス性のタ ンパク質からなる群より選択され、そして前記局在配列が、核の局在配列である 、請求項23に記載のベクターシステム。 26.前記抗体が、ミリスチル化に関連するキャプシドタンパク質の一部に対 する抗体である、請求項6に記載のベクターシステム。 27.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、DNAウイルスでコードされ たタンパク質である、請求項6に記載のベクターシステム。 28.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、RNAウイルスでコードされ たタンパク質である、請求項6に記載のベクターシステム。 29.プロモーターに作動可能に連結される特異的な抗原に結合し得る抗体を コードする遺伝子を含むDNAベクターであって、ここで該抗体遺伝子が分泌のシ グナル配列をコードしない、DNAベクター。 30.前記遺伝子が、VHをコードするDNA配列、リンカーをコードするDNA配列 、およびVLをコードするDNA配列を含み、これらが一本鎖可変部フラグメントを コードする、請求項29に記載のDNAベクター。 31.前記抗体遺伝子が、局在配列をコードするDNA配列をさらに含む、請求 項30に記載のDNAベクター。 32.前記局在配列が、小胞体に特異的であり、該配列が、 配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:21および配列番号:22から なる群より選択される、請求項31に記載のDNAベクター。 33.前記局在配列が、核領域に特異的であり、該配列が、配列番号:24、配 列番号:25、配列番号:26、および配列番号:27からなる群より選択される、請求 項31に記載のDNAベクター。 34.前記局在配列が、原形質膜に特異的であり、該配列が、配列番号:30、 配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番 号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41配 列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:45、配列番号:46、配列番号: 47、および配列番号:48からなる群より選択される、請求項31に記載のDNAベク ター。 35.HIVエンベロープ糖タンパク質に対して広範囲の中和抗体のVHおよびVL をコードするDNA配列に作動可能に連結されるプロモーターを含むDNAベクターで あって、該配列が、配列番号:1をコードするオリゴヌクレオチドによって結合 され、翻訳に基づき一本鎖可変部フラグメントを形成する、DNAベクター。 36.VLをコードするDNA配列の3'末端に配列番号:13をコードするDNA配列を さらに含む、請求項35に記載のDNAベクター。 37.tatに結合し得る抗体のVHおよびVLをコードするDNA 配列に作動可能に連結されるプロモーターを含むDNAベクターであって、該配列 が、配列番号:1をコードするオリゴヌクレオチドによって結合され、翻訳に基づ いて一本鎖可変部フラグメントを形成する、DNAベクター。 38.VLをコードするDNA配列の3'末端に配列番号:54をコードするDNA配列を さらに含む、請求項37に記載のDNAベクター。 39.請求項29に記載のベクターによって構成的に形質転換された細胞株。 40.請求項38に記載のベクターによって構成的に形質転換された細胞株。 41.請求項1に記載のベクターシステムをその薬学的に受容可能なキャリア と共に含む、薬学的組成物。 42.特異的な抗原(標的抗原)の細胞内結合のための薬学的に受容可能なベ クターシステムを製造するための、請求項1に記載のベクターシステムの使用。 43.特異的な抗原の細胞内結合のための、請求項1に記載のベクターシステ ムの使用。 44.特異的な抗原(標的抗原)の細胞内結合のための方法であって、 (a)標的抗原に結合し得る抗体に作動可能に連結されるプロモーターを含むヌ クレオチド配列を細胞内送達する工程、および (b)該標的抗原に結合し得る該抗体を細胞内発現させる工程、 を包含する方法。 45.前記標的抗原に結合し得る抗体が、一本鎖可変部フラグメントである、 請求項44に記載の方法。 46.前記標的抗原に結合し得る抗体が、一本鎖ドメインH鎖である、請求項 44に記載の方法。 47.前記標的抗原に結合し得る抗体が、Fabである、請求項44に記載の方 法。 48.前記標的抗原が、中間の代謝物、糖質、脂質、オータコイド、ホルモン 、複合糖類、リン脂質、核酸、およびタンパク質からなる抗原の群より選択され る、請求項44に記載の方法。 49.前記標的抗原が、ハプテン、RNA配列、DNA配列、またはタンパク質であ る、請求項44に記載の方法。 50.前記標的抗原が、タンパク質である、請求項49に記載の方法。 51.前記標的抗原が、その発現が悪性細胞の形質転換の結果として生じるタ ンパク質である、請求項44に記載の方法。 52.前記標的抗原が、前記タンパク質の過剰発現の結果として悪性形質転換 において生じる、請求項51に記載の方法。 53.前記標的抗原が、HTLV-1タンパク質である、請求項51に記載の方法。 54.前記標的抗原が、ハプテンである、請求項49に記 載の方法。 55.前記標的抗原が、ウイルスでコードされたタンパク質である、請求項4 4に記載の方法。 56.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、HIVウイルスでコードされ たタンパク質である、請求項55に記載の方法。 57.前記抗体が、エンベロープ糖タンパク質またはキャプシドタンパク質に 結合し得る抗体である、請求項55に記載の方法。 58.前記抗体が、前記エンベロープ糖タンパク質に結合し得る、請求項56 に記載の方法。 59.前記標的抗原が、エンベロープgp160である、請求項58に記載の方法 。 60.前記標的抗原が、HIVプロウイルスである、請求項44に記載の方法。 61.前記標的抗原が、エンベロープgp41である、請求項58に記載の方法。 62.前記標的抗原が、TARエレメントまたはRRE配列である、請求項49に記 載の方法。 63.1つより多い標的抗原に対する抗体を使用する、請求項44に記載の方 法。 64.前記標的抗原が、ウイルスでコードされたタンパク質であり、そして前 記抗体が、少なくとも2種の異なるウイルスでコードされたタンパク質に対する 抗体である、請求項 63に記載の方法。 65.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、HIVでコードされたタンパ ク質であり、そして前記抗体が、少なくとも1種の構造タンパク質および少なく とも1種の調節タンパク質に対する抗体である、請求項64に記載の方法。 66.前記構造タンパク質が、エンベロープ糖タンパク質であり、そして前記 調節タンパク質が、tatまたはrevタンパク質のいずれかである、請求項65に記 載の方法。 67.前記エンベロープ糖タンパク質が、gp160である、請求項66に記載の 方法。 68.HIV gp41に対する抗体をさらに含む、請求項67に記載の方法。 69.前記抗体が、ミリスチル化に関連するキャプシドタンパク質の一部に対 する抗体である、請求項55に記載の方法。 70.前記抗体が、tatタンパク質に対する抗体である、請求項56に記載の 方法。 71.前記抗体遺伝子が、細胞内局在配列をさらにコードする、請求項44に 記載の方法。 72.同じ標的に対する1つより多い抗体を使用し、ここで該抗体が、異なる 細胞内局在配列を有し、そして異なる細胞内位置で抗原を標的とする、請求項7 1に記載の方法。 73.前記標的抗原が、ウイルスでコードされた抗原である、請求項72に記 載の方法。 74.前記ウイルスでコードされた抗原が、HIVでコードされた抗原である、 請求項73に記載の方法。 75.前記HIVでコードされた抗原が、エンベロープ糖タンパク質である、請 求項74に記載の方法。 76.前記抗体遺伝子が、細胞内局在配列をさらにコードする、請求項55に 記載の方法。 77.前記構造タンパク質に対する局在配列が、細胞質性である、請求項76 に記載の方法。 78.前記ウイルス性のタンパク質が、HIV tat、HIV rev、HTLV-1 tax、HTLV -1 rex、HTLV-2 tax、およびHTLV-2 rexを含むウイルス性のタンパク質の群より 選択され、そして前記局在配列が、核の局在配列である、請求項76に記載の方 法。 79.前記抗体が、ミリスチル化に関連するキャプシドタンパク質の一部に対 する抗体である、請求項56に記載の方法。 80.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、DNAウイルスでコードされ たタンパク質である、請求項55に記載の方法。 81.前記ウイルスでコードされたタンパク質が、RNAウイルスでコードされ たタンパク質である、請求項55に記載の方法。
JP50460994A 1992-07-17 1993-07-16 標的分子の細胞内結合方法 Expired - Fee Related JP3832847B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US91693992A 1992-07-17 1992-07-17
US07/916,939 1992-07-17
PCT/US1993/006735 WO1994002610A1 (en) 1992-07-17 1993-07-16 Method of intracellular binding of target molecules

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006121368A Division JP2006254919A (ja) 1992-07-17 2006-04-25 標的分子の細胞内結合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09501821A true JPH09501821A (ja) 1997-02-25
JP3832847B2 JP3832847B2 (ja) 2006-10-11

Family

ID=25438113

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50460994A Expired - Fee Related JP3832847B2 (ja) 1992-07-17 1993-07-16 標的分子の細胞内結合方法
JP2006121368A Withdrawn JP2006254919A (ja) 1992-07-17 2006-04-25 標的分子の細胞内結合方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006121368A Withdrawn JP2006254919A (ja) 1992-07-17 2006-04-25 標的分子の細胞内結合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP3832847B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007520218A (ja) * 2004-01-20 2007-07-26 メルス ビー.ヴィー. 結合タンパク質の混合物

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9487773B2 (en) * 2013-03-01 2016-11-08 Technophage, Investigacao E Desenvolvimento Em Biotecnologia, Sa Cell-based methods for coupling protein interactions and binding molecule selection
KR102281858B1 (ko) * 2019-09-11 2021-07-26 주식회사 쎌바이오텍 유산균 유래 p8 단백질의 발현 컨스트럭트를 포함하는 대장 질환의 치료 또는 예방용 조성물

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007520218A (ja) * 2004-01-20 2007-07-26 メルス ビー.ヴィー. 結合タンパク質の混合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP3832847B2 (ja) 2006-10-11
JP2006254919A (ja) 2006-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6329173B1 (en) Method of intracellular binding target molecules
US5851829A (en) Method of intracellular binding of target molecules
AU668374B2 (en) Reactive neutralizing human anti-GP120 recombinant antibody, DNA coding the same and use thereof
US7223844B2 (en) Broadly cross-reactive neutralizing antibodies against human immunodeficiency virus selected by Env-CD4-co-receptor complexes
JP2520464B2 (ja) Hiv―1を中和するモノクロ―ナル抗体
KR100667121B1 (ko) 바이러스 감염증 치료를 위한 조성물 및 방법
AU685397B2 (en) Recombinant humanized anti-human immunodeficiency virus antibody
Zolla-Pazner et al. Passive immunization for the prevention and treatment of HIV infection
CA2304208A1 (en) Intrabody-mediated control of immune reactions
Zhou et al. Cells transfected with a non-neutralizing antibody gene are resistant to HIV infection: targeting the endoplasmic reticulum and trans-Golgi network
AU613699B2 (en) Gene fragments coding for anti-hiv antibody variable region, anti-hiv chimeric antibody expressed using the same, and process for preparation thereof
EP0577243A2 (en) Recombinant human HIV-neutralizing monoclonal antibodies for prevention and treatment of HIV infection
JP2006254919A (ja) 標的分子の細胞内結合方法
Lanza et al. Active immunity against the CD4 receptor by using an antibody antigenized with residues 41-55 of the first extracellular domain.
Bitton et al. Characterization of T cell‐expressed chimeric receptors with antibody‐type specificity for the CD4 binding site of HIV‐1 gp120
WO1993004693A1 (en) Synergistic inhibition of hiv-1
EP1504034A1 (en) Identification of novel broadly cross-reactive hiv-1 neutralizing human monoclonal antibodies
Xiao et al. Purified complexes of HIV-1 envelope glycoproteins with CD4 and CCR5 (CXCR4): production, characterization and immunogenicity
TAKEDA et al. Two-phase approach for the expression of high-affinity human anti-human immunodeficiency virus immunoglobulin Fab domains in Escherichia coli
WO2000042185A1 (en) Methods for regulating the stability of recombinant proteins and products useful therein
WO2022261406A1 (en) Antibody-cd4 conjugates and methods of using the same
AU623924B2 (en) Cytotoxic agent against specific virus infection
Network et al. Cells Transfected with a Non-Neutralizing Antibody
Sojane Novel CD4-immunoglobulin fusion proteins as HIV-1 immunotherapeutics
Roben The antibody response as it relates to human immunodeficiency virus type 1

Legal Events

Date Code Title Description
A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20031106

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20031222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050308

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20050530

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20050715

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051025

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20060123

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20060313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees