JPH0948180A

JPH0948180A - 水性インク印字物保護剤及び保護方法

Info

Publication number: JPH0948180A
Application number: JP22121195A
Authority: JP
Inventors: Hidemasa Mori; 英正毛利; Tetsuya Ochiai; 哲也落合
Original assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Current assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Priority date: 1995-08-08
Filing date: 1995-08-08
Publication date: 1997-02-18

Abstract

(57)【要約】【課題】水性インク印字物が水分によって流出するの
を簡易に防止する水性インク印字物保護剤及び保護方法
を提供する。【解決手段】水性インク印字物保護剤は、防水性及び
透明性を有する材料を含有する。この材料には、樹脂、
ワックス及び撥水剤が含まれる。紫外線吸収剤を添加す
ることにより、印字物の紫外線劣化を防止することもで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクにより
印刷された文字や図形等の印字物を保護する薬剤及び方
法に係り、更に詳細には、かかる印字物が水分により流
出するのを防止する水性インク印字物保護剤及び保護方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、インクジェット方式等の水性
インクを用いたプリンターが製造・販売されているが、
特に近年、これらプリンターの小型化及び低コスト化に
伴い、オフィスは勿論のこと一般家庭にまでこれらプリ
ンターが急速に普及しつつある。そして、これらプリン
ターの一般家庭における用途としては、年賀状や暑中見
舞い等の郵便物を印刷することを挙げることができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
年賀状等の郵便物において、文字、図形等は水性インク
で印刷されているため、投函や配達時に雨などにより水
濡れして水性インクが流れ出し、文字等の印字物が非常
に見苦しくなる場合があり、最悪の場合には、印字物が
消失してしまうという課題があった。ことに、カラープ
リンターの普及も加速されているが、カラープリンター
で印刷した場合には、多色の水性インクが流れ出して混
合されるので、極めて見苦しい。本発明は、このような
従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、水性インク印字物が水分によっ
て流出するのを簡易に防止する水性インク印字物保護剤
及び保護方法を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、防水性等を有する材料を
用いることにより、上記目的が達成できることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の水性イ
ンク印字物保護剤は、水性インクにより印刷された印字
物の保護剤であって、防水性及び透明性を有する材料を
含有して成ることを特徴とする。また、本発明の水性イ
ンク印字物の保護方法は、水性インクにより印刷された
印字物を保護するに当たり、上述のような水性インク印
字物保護剤を、上記印字物上に被覆することを特徴とす
る。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の水性インク印字物
保護剤について詳細に説明する。まず、この保護剤の主
成分である防水性及び透明性を有する材料としては、種
々の樹脂、ワックス又は撥水剤及びこれらの任意の混合
物を挙げることができる。なお、水性インクによる印字
物を保護するものであるため、水性インクとの反応性が
小さく、水性インクを変色させないようなものが好まし
い

【０００６】上述の樹脂としては、防水性及び透明性を
有すれば特に限定されるものではないが、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、キ
シレン樹脂、スチレン樹脂、ロジン樹脂、塩化ビニル樹
脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、ニカワ及びゼラチン樹脂、並びにこれら
の任意の混合物などを例示でき、ある程度の造膜性を有
するものが好ましい。また、ワックスとしては、ポリエ
チレンワックスやポリプロピレンワックス等の合成樹脂
ワックス、カルナバワックスやパラフィンワックス等の
天然ワックス及びこれらの任意の混合物などを例示でき
るが、融点が４５℃以上のものを用いるのが好ましい。
更に、撥水剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、
エチルシリケート、シリコーンオイル及び撥水処理した
シリカ微粉末、並びにこれらの任意の混合物などを例示
できる。

【０００７】本発明の水性インク印字物保護剤は、上述
の樹脂、ワックス及び撥水剤自体でも構成されるが、こ
れらを溶媒や安定化剤等の助剤と混合することによって
も得ることができる。例えば、樹脂の場合には、樹脂と
揮発性の溶媒や界面活性剤を混合してもよく、ワックス
の場合には、シリコーンオイル等の安定化剤と混練して
もよく、撥水剤の場合には、溶媒や種々の粉末等と混合
してもよい。

【０００８】このように、助剤としては、種々の界面活
性剤や増粘剤を挙げることができ、カチオン系の界面活
性剤が好ましく、増粘剤は保護剤が油系の場合には、有
機ベントナイト、即ち親油処理したベントナイト（例え
ば、オルベン（商品名：白石カルシウム製））、水系の
場合にはベントナイト及びカルボキシメチルセルロース
（ＣＭＣ）等を好ましく用いることができる。また、こ
れら樹脂、ワックス及び撥水剤に、ベンゾフェノン系、
ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系及びサル
チレート系等の紫外線吸収剤を添加してもよく、これに
より、水性インク印字物が紫外線により退色劣化するこ
とをも防止することができる。

【０００９】次に、本発明の水性インク印字物の保護方
法について説明する。この保護方法は、上述の保護剤を
水性インク印字物（文字・図形等）上に被覆するもので
ある。被覆方法としては、特に限定されるものではない
が、塗布及び噴霧を例示できる。これら被覆方法は、保
護剤の成分によって適宜変更できるのであり、例えば、
樹脂を揮発性溶媒に溶解した場合には、得られた溶解液
を刷毛、ロール及びアプリケータ等により塗布すること
ができる。また、溶解液を適当なアトマイザーに充填し
て噴霧してもよい。更に、樹脂やワックスをエアゾルに
し、これを噴霧してもよいのは勿論である。また、ワッ
クス、固形化した樹脂及び撥水剤をスティック状（口紅
型など）に成形し、印字物上に塗り付けることも可能で
ある。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を、実施例及び比較例により更
に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。なお、以下、特記しない限り、「部」
は「重量部」を示すものとする。（実施例１）２部のウレタン樹脂（商品名オレスターＮ
Ｌ２５３２：三井東圧製）と、３部のエタノールと、
０．０５部の紫外線吸収剤（商品名スミソーブ１００：
住友化学製）とを混合し、水性インク印字物保護剤を得
た。得られた印字物保護剤に噴射剤としてのジメチルエ
ーテル（ＤＭＥ）７．５部を添加してエアゾルを作成し
た。

【００１１】（性能評価）ピクセルジェット（キャノン
製）を用い、ＰＰＣ用紙及び官製はがきにＹ（イエロ
ー）、Ｍ（マゼンダ）、Ｃ（シアン）及びＢｋ（ブラッ
ク）の帯印刷（１ｃｍ×１７ｃｍ）を行い、試験片を作
成した。得られた試験片に上述の印字物保護剤を噴霧
し、乾燥させた。次いで、この試験片の各色上にスポイ
トで水を滴下し、３０秒経過後にティッシュペーパで拭
き取った。脱色の状態を目視にて判定し、得られた結果
を表１に示した。なお、表中、ほとんど脱色していない
ものを「○」、若干脱色したものを「△」、脱色したも
のを「×」とした。

【００１２】また、印字物保護剤で処理した試験片をフ
ェードメータ（スガ試験機製）で２４時間暴露し、次式ＯＤ（％）＝（暴露後のＯＤ値／暴露前のＯＤ値）×１
００で表される暴露前後のＯＤ（オプティカルデンシティ）
の変化（％）を測定した。得られた結果を表１に併記す
る。

【００１３】（実施例２）３部のパラフィンワックス
（商品名パラフィンワックスＮｏ．１１５：日本精蝋
製）と、１部のハイミック１０４５（日本精蝋製）と、
０．１部のシリコーンオイル（東芝シリコーン製）と、
０．１部のエロジールＲ９７２Ｄ（日本アエロジール
製）を加熱・混合し、印字物保護剤を得た。得られた印
字物保護剤を口紅の容器に充填し、冷却してスティック
状に成形した。このスティック状の印字物保護剤を試験
片の各色上に塗布し、実施例１と同様の性能評価を行っ
た。得られた結果を表１に示す。

【００１４】（実施例３）１部のニトロセルロース（旭
化成製）と、３部のエタノールと、０．０５部の紫外線
吸収剤（商品名バイオソーブ−９３０：共同薬品製）と
を混合し、印字物保護剤を作成した。得られた保護剤
は、刷毛付きの密栓ビンに保管した。この保護剤を試験
片の各色上に刷毛塗りし、実施例１と同様の性能評価を
行い、得られた結果を表１に示す。

【００１５】（実施例４）１部のウッドロジン（ハリマ
化学製）と、３部の石油系溶剤（ヘプタン：和光純薬
製）とを混合し、印字物保護剤を作成した。得られた保
護剤は、実施例３と同様の密栓ビンに保管した。この保
護剤を試験片の各色上に刷毛塗りし、実施例１と同様の
性能評価を行い、得られた結果を表１に示す。

【００１６】（比較例１）上述の試験片に処理をせずそ
のまま用い、実施例１と同様の性能評価を行い、得られ
た結果を表１に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】表１から明らかなように、実施例１〜４の
印字物保護剤を用いたものについては、脱色は生じず、
良好な印字物保護効果が得られた。これに対して、比較
例１の場合には、脱色が著しかった。また、紫外線吸収
剤を添加した実施例１及び３においては、ＯＤ値の変化
が極めて小さく、印字物が紫外線劣化から保護されるこ
とが分かる。更に、実施例１〜４においては、印字物保
護剤をそれぞれ、エアゾル、口紅型、マニキュア型、マ
ニキュア型としたため、取扱いが便利であり、且つ保管
性も良好であった。なお、実施例１〜４の印字物保護剤
が、各色を変色させることもなかった。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
防水性等を有する材料を用いることとしたため、水性イ
ンク印字物が水分によって流出するのを簡易に防止する
水性インク印字物保護剤及び保護方法を提供することが
できる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水性インクにより印刷された印字物の保
護剤であって、防水性及び透明性を有する材料を含有し
て成ることを特徴とする水性インク印字物保護剤。
【請求項２】上記材料が、樹脂、ワックス及び撥水剤
より成る群から選ばれた１又は２種以上のものを含有す
ることを特徴とする請求項１記載の水性インク印字物保
護剤。
【請求項３】紫外線吸収剤を添加して成ることを特徴
とする請求項１又は２記載の水性インク印字物保護剤。
【請求項４】上記樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、キシレン樹脂、ス
チレン樹脂、ロジン樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース
樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
ニカワ及びゼラチン樹脂より成る群から選ばれた１又は
２種以上のものであることを特徴とする請求項１〜３の
いずれか１つの項に記載の水性インク印字物保護剤。
【請求項５】上記ワックスが、合成樹脂ワックス及び
／又は天然ワックスであることを特徴とする請求項１〜
３のいずれか１つの項に記載の水性インク印字物保護
剤。
【請求項６】上記撥水剤が、シリコーン樹脂、フッ素
樹脂、エチルシリケート、シリコーンオイル及び撥水性
シリカより成る群から選ばれた１又は２種以上のもので
あることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つの項
に記載の水性インク印字物保護剤。
【請求項７】請求項１〜６のいずれか１つに記載の水
性インク印字物保護剤を、エアゾル若しくは口紅型に作
成し、又はアトマイザー若しくは刷毛付きビンに充填し
て成ることを特徴とする水性インク印字物保護剤。
【請求項８】水性インクにより印刷された印字物を保
護するに当たり、請求項１〜７のいずれか１つの項に記載の水性インク印
字物保護剤を、上記印字物上に被覆することを特徴とす
る水性インク印字物の保護方法。