JPH0942166A - 歯車ポンプまたはモータ - Google Patents

歯車ポンプまたはモータ

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JPH0942166A
JPH0942166A JP19291195A JP19291195A JPH0942166A JP H0942166 A JPH0942166 A JP H0942166A JP 19291195 A JP19291195 A JP 19291195A JP 19291195 A JP19291195 A JP 19291195A JP H0942166 A JPH0942166 A JP H0942166A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】適正な圧力バランス機能を担保しつつ、高低圧
が頻繁に反転しても弾性体に早期劣化や破損が生じない
ようにした歯車ポンプ又はモータを提供する。 【解決手段】可動側板5の反歯車側の面に高圧の圧液を
導入するための液溝55を形成するにあたり、この液溝
55を、弾性体側にではなく可動側板5側のシール溝5
3の溝底に設けたため、可動側板5に添接される弾性体
の面を面一に成形して、導入する圧液により弾性体の平
面方向に圧縮、引っ張り力が作用することを防止するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の油圧機器分
野等において好適に利用される歯車ポンプまたはモータ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯車モータは、ケース内に互いに噛合す
る一対の歯車を配設し、両歯車の噛合部に開口する一対
の出入口の一方に圧液を供給することで、その出入口よ
り流入した液が歯車の歯溝に閉じ込められた状態で強制
的に歯車を押圧しながら他方の出入口にまで移動し、そ
の際に歯車に回転動力を付与するものである。また、歯
車ポンプは、歯車を同期逆回転駆動することによって、
一方の出入口から吸い込んだ液を他方の出入口にまで導
いて吐出するものである。このような歯車ポンプまたは
モータにおいて、容積効率や機械効率を高めるために
は、歯車の側面が側板によって確実にシールされている
必要があり、しかも、側板が過度に歯車側面に押し付け
られて摺動抵抗が増大することがないようにその押付力
も適切なものでなければならない。
【0003】そこで、従来は、歯車の側面に添接する側
板を図13に示すような可動側板aとし、その可動側板
aの反歯車側の面であって歯車側の高圧領域に対応する
部位を囲繞する位置に同図及び図14に示すようなシー
ル溝bを凹設するとともに、このシール溝bに図15に
示す高低圧区画用の弾性体cを装着するようにしてい
る。そして、弾性体cと可動側板aの間に閉成される山
形の液溝d(図17参照)に高圧側から圧液を導入し、
これによる液圧付勢力を歯車側からの液圧付勢力に拮抗
させて、可動側板aを適度な圧力バランスの下に歯車側
面に添接するようにしている。
【0004】なお、図に示す弾性体cは両回転タイプの
ものである。すなわち、歯車側に現われる高圧領域は、
図13における歯車の噛合位置eと、この噛合位置から
円周方向に±180°以上回転した位置にある一対の高
低圧仕切位置fとを結ぶ3の字形状をなし、出入口の高
・低圧が反転すると、その3の字状の高圧領域が逆3の
字状に反転して現われる。このため、前記弾性体cに
は、図15に示すように8の字形のものであって高低圧
仕切位置fに対応する部位4箇所に角状の突出部gを有
したものを使用し、高圧領域が3の字状であっても逆3
の字状であっても液圧バランスをとれるようにしている
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
の液圧バランス構造をより詳細に検討すると、圧力バラ
ンス用の圧液を導入するための液溝dは、図15及び図
16に示すように弾性体c側に凹設してあり、その液溝
dの開口端側を図18に示すようにシール溝bの溝底に
対向させて該弾性体cを可動側板aに装着している。そ
して、シール溝bの溝底と弾性体cの液溝dとの隙間に
圧液を導入して、その液圧により可動側板aを歯車側面
に向かって付勢するようにしている。
【0006】しかして、圧液が導入されたとき、図18
の位置、すなわち、図17におけるH−H線断面では弾
性体cの両側が可動側板aのシール溝bの内側壁hによ
ってバックアップされており、弾性体cはその内側壁h
に当接して支持されるため、それ以上の過剰な変形を惹
起することはない。ところが、図17におけるI−I線
断面は、図19に示すように弾性体cが長手方向に連続
的に延出し、その方向に何らのバックアップ部材も存在
しないため、弾性体cの液溝dに高圧の圧液が導入され
ると、その圧液により弾性体cが長手方向に付勢され
て、その結果、高低圧仕切位置fを越えて図15に示す
高圧側の山形領域c1 から低圧側の「く」字形領域c2
に矢印Xで示すような圧縮力が作用する。つまり、弾性
体cがこれによってシール溝bの「く」字形領域に引き
摺り込まれる。また、高低圧が反転すると、反対側にあ
る高低圧仕切位置fの近傍が圧縮される結果、前記
「く」字形領域c2 には−X方向の引っ張り力が作用す
る。このように、高低圧が反転して繰り返し荷重が掛か
ったときに、弾性体の「く」字形領域c2 が図中矢印
X、−X方向に沿って頻繁に圧縮、引っ張り力を受け、
その力を軟質素材からなる弾性体c自身の強度で支持し
なければならないため、弾性体cの塑性変形が進行し易
く、早期破損の原因になるという問題がある。
【0007】本発明は、このような課題に着目してなさ
れたものであって、8の字形の弾性体を始めとして、3
の字形の弾性体にも適用できて、可動側板を適正な圧力
バランスの下に歯車側面に添接させておくことができ、
しかも、弾性体の耐久性を確実に向上させることができ
るようにした歯車ポンプ又はモータを提供することを目
的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような構成を採用したものであ
る。
【0009】すなわち、本発明の歯車ポンプまたはモー
タは、ケース内に互いに噛合状態で収容される一対の歯
車と、それらの歯車の側面を摺動シールする可動側板
と、その可動側板の反歯車側の面であって歯車側の高圧
領域に対応する部位を囲繞する高低圧区画用の弾性体と
を具備してなり、弾性体と可動側板の間に高圧側から圧
力バランス用の圧液を導入するようにしたものにおい
て、圧力バランス用の圧液を導入するための液溝を、可
動側板の反歯車側の面に形成したことを特徴とする。
【0010】このような構成のものであれば、可動側板
に添接する側の弾性体の面を面一にしておくことができ
る。このため、液溝に圧液が導入されたとき、弾性体の
厚み方向と直交する平面方向に圧縮や引っ張り力が生じ
ることを有効に防止することができ、高低圧仕切位置の
近傍における弾性体の早期疲労や破損を防いで、弾性体
の信頼性や耐久性を確実に向上させることが可能とな
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図
1〜図12を参照して説明する。
【0012】図1は歯車ポンプの縦断面図であり、図2
は図1におけるII-II 線断面図であり、図3は図1にお
けるIII-III 線断面図である。
【0013】この歯車ポンプは、フロントケース1と、
ボディ一体形のリヤケース2との間に一対の歯車3、4
を噛合状態で収容している。リヤケース2は接合端面2
aに隣接する部位に眼鏡状の穴21を開口させてなるも
ので、その穴21の内方端面21aに軸受孔22、23
を穿設し、それらの軸受孔22、23にブッシュ24、
25を嵌入させている。フロントケース1も、前記軸受
孔22、23に対応する部位に軸受孔12、13を穿設
し、それらの軸受孔12、13に同様にブッシュ14、
15を嵌入させている。そして、ブッシュ14、24
に、駆動歯車3を軸着した駆動軸31を軸承させ、ブッ
シュ15、25に、従動歯車4を軸着した従動軸41を
軸承させている。リヤカバー2は、図2に示すように、
両歯車3、4の噛合部Oに臨む位置に一対の出入口6、
7をそれぞれ開口させている。
【0014】また、前記歯車3、4の一方の側面3a、
4aとリヤケース2との間、および、他方の側面3b、
4bとフロントケース1との間に、それぞれ可動側板5
を配設している。この可動側板5は、歯車3、4の両側
面3a、3b、4a、4bに添接して容積空間をシール
するためのもので、図5に示すように、全体の輪郭は互
いに噛み合う歯車対3、4を軸方向から投影した形状を
なし、2つの軸孔51、52を打ち抜いている。
【0015】そして、図2において、一方の出入口6又
は7から流入した液を他方の出入口7又は6に流出させ
て、ポンプ又はモータとしての作用を営み得るようにな
っている。つまり、このポンプ/モータがモータ作用を
営むときは、出入口6、7のうち一方に供給した圧液を
歯溝に閉じ込めた状態で強制的に歯車3、4を押圧させ
つつ他方の出入口7、6にまで移動させ、その間に歯車
3、4に回転動力を付与する。また、ポンプ作用を営む
ときは、外部動力源で歯車3、4を同期逆回転駆動する
ことにより、出入口6、7の一方から吸入した液を他方
にまで導いて吐出する。
【0016】このような歯車ポンプまたはモータにおい
て、容積効率や機械効率を高めるためには、歯車3、4
の側面3a、3b、4a、4bを可動側板5によって確
実にシールしておく必要があり、しかも、可動側板5を
過度に歯車側面3a、3b、4a、4bに押し付けて摺
動抵抗が増大することがないように、その押付力も適切
なものにしておく必要がある。つまり、歯車ポンプまた
はモータが作動すると、例えば図4に示すように、歯車
3、4の噛合位置Oと、この噛合位置Oから円周方向に
±180°以上回転した位置にある一対の高低圧仕切位
置P、Qとの間の3の字形の領域が図中網掛けで示すよ
うに高圧になる。また、これが逆回転すると、その高圧
領域が、駆動軸31及び従動軸41の軸心を結ぶ直線に
対して線対称となるように、つまり逆3の字形となるよ
うに反転する。このときの高低圧仕切位置はR、Sとな
る。そして、いずれの場合にもこの高圧領域において可
動側板5が歯車側面3a、4a、3b、4bから離れよ
うとするため、それを押し返すための圧力バランスが必
要になる。
【0017】そこで、前記可動側板5の反歯車側の面
に、図5に示すようなシール溝53を設け、このシール
溝53に、図6に示す弾性体8を装着している。
【0018】詳述すると、前記シール溝53は、高低圧
が反転しても常に高圧である領域、すなわち、一対の高
低圧仕切位置P−R間、及び、Q−S間の山形領域に形
成される第1の溝部53aと、それ以外の領域、すなわ
ち、高低圧仕切位置P−Q間、及び、R−S間の「く」
字形の領域に形成され溝幅が前記第1の溝部53aの溝
幅に対して略1/2程度に設定され溝深さが前記第1の
溝部53aの溝深さに対して略同一に設定された第2の
溝部53bと、前記各高低圧仕切位置P、Q、R、Sに
おいて放射方向に凹欠されリヤケース穴21の位置にま
で延出する第3の溝部53cとを具備してなる。また、
可動側板5の長手方向端部に切欠き54を設け、この切
欠き54を介して可動側板5の歯車側の面に存在する圧
液を可動側板5の肉厚方向に沿って反歯車側の面に導入
するようにしており、第1の溝部53aの中央部には、
その切欠き54よりも幅広であって放射方向に伸びる圧
力導入溝部53a1 が設けてある。
【0019】このようなシール溝構造に加えて、本実施
形態は、そのシール溝53のうち常に高圧である山形領
域に対応した第1の溝部53aの溝底を該第1の溝部5
3aよりも若干狭小な幅で図7に示すように一層深く凹
設し、その溝底に、歯車側より圧液を導入するための液
溝55を形成している。
【0020】一方、図6に示す弾性体8は、ゴム等の軟
質素材からなるもので、前記シール溝53の第1の溝部
53aに嵌着される第1のシール部81と、第2の溝部
53bに嵌着される第2のシール部82と、第3の溝部
53cに嵌着される第3のシール部83と、圧力導入溝
部53a1 に装着される圧力導入用シール部84とを一
体成形した8の字形のものである。しかして、この弾性
体8の第1のシール部81における断面は、図8に示す
ように、一定の肉厚からなる平坦なものであり、この第
1のシール部81以外の各シール部82、83、84に
おける断面も全て一定の肉厚からなる平坦な板状のもの
に成形している。このため、この弾性体8を可動側板5
のシール溝53に装着したとき、第1の溝部53aの溝
底にある液溝55が図10に示すように弾性体8によっ
て蓋封され、この閉塞空間が、図9に示すように可動側
板5の長手方向端部に設けた切欠54を介して可動側板
5の歯車側空間に連通されることになる。
【0021】このような構成のものであれば、歯車ポン
プまたはモータの作動によって可動側板5の歯車側の面
に例えば図4に網掛けで示したような高圧領域が発生し
たとき、図9に矢印で示すように切欠54を介して可動
側板5の液溝55と弾性体8との隙間に圧液が流入し、
その圧液が山形をなす第1の溝部53aに沿って液溝5
5内に分布するとともに、出入口6、7のうち高圧側の
圧液がそのまま「く」字形をなす第2の溝部53bに回
り込む結果、反歯車側の面には図12に網掛けで示すよ
うな高圧域が発生する。そして、この高圧領域を、図4
に網掛けで示した可動側板5の歯車側の高圧領域に拮抗
させることにより、可動側板5を適度な力で歯車3、4
の側面3a、3b、4a、4bに添接させ、容積効率と
機械効率を有効に向上させ得るものとなる。
【0022】その際、図3におけるD−D線断面では、
圧液は図10に示すように弾性体8を装着している可動
側板5の第1の溝部53aよりも更に深い位置に凹設し
た液溝55内に導入されていて、弾性体8に厚み方向に
液圧を作用させるほかは、液溝55の内側面に液圧を作
用するだけである。つまり、弾性体8の厚み方向への液
圧付勢力はカバー1、2の内方端部によってバックアッ
プされるため、過度の弾性変形を惹起することが防止さ
れるし、液溝55の内側面に対する液圧付勢力は、この
液溝55が形成されている可動側板5が一般に焼結等の
硬化処理によって高い強度を付与されたものであるため
何ら強度的に問題となることはない。一方、図3におけ
るE−E線断面を見ても、圧液は図11に示すように弾
性体8を装着している第1の溝部53aよりも更に深い
位置に凹設した液溝55内に導入されて、弾性体8に厚
み方向への液圧付勢力を及ぼすほかは、該弾性体8に従
来のような長手方向に沿う付勢力を及ぼすことがない。
つまり、弾性体8の下面、すなわち可動側板5に添接す
る側の面が面一であり、弾性体8の長手方向に液圧を作
用させるような受圧端面が存在しないため、弾性体8が
それ自身の強度によって受圧力を支持する必要がなくな
る。このため、高低圧が頻繁に反転しても、弾性体8に
圧縮、引っ張り力が繰り返し作用することを有効に防止
することができ、弾性体8の早期劣化や破損を確実に解
消して、弾性体8の耐久性を確実に向上させることが可
能となる。
【0023】なお、液溝の断面形状を始めとして、各部
の具体的な構成は、上述した実施例のみに限定されるも
のではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形
が可能である。また、上記実施形態では本発明を両回転
形のポンプ/モータに適用した場合について説明した
が、片回転形のポンプ/モータに適用しても上記に準じ
た作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体縦断面図。
【図2】図1におけるII-II 線断面図。
【図3】図1におけるIII-III 線断面図。
【図4】同実施形態において可動側板の歯車側の面に高
圧領域が発生する様子を示す図2に対応した説明図。
【図5】同実施形態で用いた可動側板の正面図。
【図6】同実施形態で用いた弾性体の正面図。
【図7】図5におけるA−A線拡大断面図。
【図8】図6におけるB−B線拡大断面図。
【図9】図3におけるC−C線拡大断面図。
【図10】図3におけるD−D線拡大断面図。
【図11】図3におけるE−E線拡大断面図。
【図12】同実施形態において可動側板の反歯車側の面
に高圧領域が形成される様子を示す図3に対応した説明
図。
【図13】従来の可動側板を示す正面図。
【図14】図13におけるF−F線拡大断面図。
【図15】従来の弾性体を示す正面図。
【図16】図15におけるG−G線拡大断面図。
【図17】可動側板に弾性体を装着した状態を示す正面
図。
【図18】図17におけるH−H線拡大断面図。
【図19】図17におけるI−I線拡大断面図。
【符号の説明】
1、2…ケース 3、4…歯車 3a、3b、4a、4b…側面 5…可動側板 55…液溝 8…弾性体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケース内に互いに噛合状態で収容される一
    対の歯車と、それらの歯車の側面を摺動シールする可動
    側板と、その可動側板の反歯車側の面であって歯車側の
    高圧領域に対応する部位を囲繞する高低圧区画用の弾性
    体とを具備してなり、弾性体と可動側板の間に高圧側か
    ら圧力バランス用の圧液を導入するようにしたものにお
    いて、 圧力バランス用の圧液を導入するための液溝を、可動側
    板の反歯車側の面に形成したことを特徴とする歯車ポン
    プまたはモータ。
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