JPH0939788A - 孔内移動装置 - Google Patents

孔内移動装置

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JPH0939788A
JPH0939788A JP7198499A JP19849995A JPH0939788A JP H0939788 A JPH0939788 A JP H0939788A JP 7198499 A JP7198499 A JP 7198499A JP 19849995 A JP19849995 A JP 19849995A JP H0939788 A JPH0939788 A JP H0939788A
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JP
Japan
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hole
actuators
moving device
actuator
hole moving
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Application number
JP7198499A
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English (en)
Inventor
Kouji Senda
厚慈 千田
Takayuki Tominaga
隆行 冨永
Koji Idogaki
孝治 井戸垣
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、所定の範囲内で希望の方向へ姿勢
を変更し、孔の分岐点で進路を選択できるばかりではな
く、信頼性の高いシンプルな構成で小型な孔内移動装置
を安価に提供することを解決すべき課題とする。 【解決手段】 略並列に配設されている複数個の圧電ア
クチュエータ3と、その一端と当接している第1連結部
材1と、各アクチュエータ3の他端と当接している第2
連結部材2と、各アクチュエータ3に制御された波形の
印加電圧を供給する制御手段4とを有し、両連結部材
1,2のうち、一方は他方より重いウエイトとして機能
し、他方は周囲の孔を形成する内壁面Wに当接する脚部
21をもつことを特徴とする孔内移動装置である。複数
のアクチュエータ3を同期してまたは別個に伸縮させる
ことにより、両連結部材1,2の間に変位や傾きが生じ
る。その際に生じる第1連結部材1の慣性力と第2連結
部材2の摩擦力とを交互に利用して移動および姿勢変更
ができる。簡素なので安価・小型・高信頼性になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の孔内移動装置は、圧
電素子をアクチュエータとし、慣性力と摩擦力を交互に
利用して孔内を漸進移動する孔内移動装置に関し、マイ
クロマシンの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来技術としては、「配管内移動ロボッ
ト」の名称で特開平4−93188号公報に開示された
孔内移動装置がある。同装置は、軸長方向に複数個配設
されている突っ張り機構と、同機構を軸長方向に伸縮可
能および屈曲可能に接続している複数の伸縮ユニットと
を有する。
【0003】突っ張り機構は、エアで作動するロータリ
ーアクチュエータによって遠心方向へ突出したり求心方
向へ収容されたりする複数の脚を備えている。同機構
は、周囲の壁面に複数の脚を自在に当接したり離脱した
りすることができ、当接している場合には運動の支点と
しての作用をもち、離脱している場合には移動の抵抗に
ならないよう配慮されている。
【0004】一方、伸縮ユニットは、各々三本のエアア
クチュエータから構成されている。同アクチュエータが
同じ長さで伸縮する場合には、同アクチュエータを挟ん
で配設された上記突っ張り機構の間隔が軸長方向に真っ
直ぐに伸縮する。同アクチュエータが異なる長さで伸縮
する場合には、伸縮ユニットは屈曲する。この孔内移動
装置の特徴的な機能は、ミミズと似た動作原理で漸進す
ることだけではなく、配管等の形成する孔の十字路また
はT字路などの分岐点において、伸縮ユニットを屈曲さ
せることにより選択的に進路を決定できることである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術による
孔内移動装置は、孔外から供給される圧縮空気で作動す
るロータリーアクチュエータやエアアクチュエータなど
を構成要素としており、メカニカルに構成された精密機
械の一種として捕らえることができる。その構成は複雑
で、機械的に動く部分での故障の頻発が予想される。
【0006】また、メカニカルな複雑さ故に小型化は非
常に難しいので、径の小さな孔内での運用ができないと
いう欠点がある。同様の理由で、価格もかなり高くなる
ことが予想され、大幅なコストダウンは困難である。さ
らに、圧縮空気を導入するエアチューブを引きずって孔
内を移動することから、孔内の移動距離が自ずと限定さ
れてしまい、孔内を長距離移動することは、まず難し
い。この難点を解消すべく小型のエアポンプを本体(孔
内移動体)に装備させると、本体はいっそう大きく重く
なってしまい、俊敏な孔内移動能力は望むべくもないと
いう短所を抱えている。
【0007】そこで、本発明は、所定の範囲内で希望の
方向へ姿勢を変更し、孔の分岐点で進路を選択できるば
かりではなく、信頼性の高いシンプルな構成で小型な孔
内移動装置を安価に提供することを解決すべき課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1構成は、略
並列に配設されている複数個の圧電アクチュエータと、
各該アクチュエータの一端と当接している第1連結部材
と、各該アクチュエータの他端と当接している第2連結
部材と、各該圧電アクチュエータに制御された波形の印
加電圧を供給する制御手段とを有し、該両連結部材のう
ち一方は、他方より重いウエイトとして機能し、該両連
結部材のうち他方は、周囲の孔を形成する内壁面に当接
する脚部をもつことを特徴とする孔内移動装置である。
【0009】本発明の第2構成は、前述の第1構成にお
いて、前記アクチュエータは、圧電板が柱状に積層され
ている圧電積層アクチュエータ、バイモルフ、ユニモル
フ、およびバイモルフまたはユニモルフの積層体のう
ち、いずれかであることを特徴とする。ここで、平面変
形素子であるバイモルフまたはユニモルフの積層体に
は、直列型積層体と並列型積層体がある。直列型積層体
とは、同軸に積層された複数の平面変形素子が、外周部
同士の連結と中央部同士の連結とを交互に繰り返して接
合されたものであり、各平面変形素子に生じる変位の総
和として積層体の変位が得られる。並列型積層体とは、
同軸に積層された複数の平面変形素子が全ての外周分を
連結されて固定されており、全ての中央部を連結してい
るロッドに力または変位を生じるものであって、全ての
平面変形素子に生じる力の総和として積層体の発生する
力が得られる。
【0010】本発明の第3構成は、前述の第1構成また
は第2構成において、各前記アクチュエータの前記一端
および前記第1連結部材と、各該アクチュエータの前記
他端および前記第2連結部材とのうち、少なくともいず
れかは互いに接合固定されていることを特徴とする。本
発明の第4構成は、前述の第1〜3構成のうちいずれか
において、前記アクチュエータは3個であり、同一円周
上に等間隔で配設されていることを特徴とする。
【0011】本発明の第5構成は、前述の第1〜4構成
のうちいずれかにおいて、前記両連結部材に両端を接続
されているスプリングおよびゴム弾性体のうちいずれか
のテンション部材を有し、前記両連結部材は、該テンシ
ョン部材の張力により、前記各アクチュエータの両端に
それぞれ押圧付勢されていることを特徴とする。本発明
の第6構成は、前述の第1〜5構成のうちいずれかにお
いて、前記両連結部材のうち重いほうの前記一方は、C
CDカメラ、各種光学センサ、磁気センサ、渦電流セン
サ、その他の各種センサ、アイソトープ、マーカ、各種
薬剤、タンク、電池、受信手段、送信手段、および前記
制御手段のうち、いずれかをもつことを特徴とする。
【0012】本発明の第7構成は、前述の第1〜6構成
のうちいずれかにおいて、前記脚部は、バネ弾性材料か
らなる複数のクランプ脚で形成されていることを特徴と
する。本発明の第8構成は、前述の第1〜7構成のうち
いずれかにおいて、前記制御手段は、電圧変化に緩急を
つけた前記印加電圧を同位相で各前記アクチュエータに
加えることにより、全該アクチュエータを同期駆動して
前進移動および後進移動のうちいずれかを行う直進モー
ドと、電圧変化に緩急をつけた該印加電圧を位相差をも
って各該アクチュエータに加え、各該アクチュエータ相
互の変位差を利用してウエイトとして機能する前記連結
部材を半径方向に振動させることによって、姿勢変更を
行う姿勢変更モードとの少なくとも二つの制御モードを
有することを特徴とする。
【0013】
【作用および発明の効果】本発明の第1構成では、制御
手段をのぞく主要な機能部品は複数個の圧電アクチュエ
ータであり、極めてシンプルで故障する要素が少なく、
小型化が容易である。すなわち、本構成に孔内移動装置
では、複数個の圧電アクチュエータに当接している二種
類に連結部材のうち、一方が大きな慣性質量をもつウエ
イトとして機能し、他方が脚部で孔の内壁面に当接して
いる。
【0014】そこで、制御手段から供給される印加電圧
により、全ての圧電アクチュエータが同位相で緩急をつ
けて伸縮すれば、両連結部材の間隔は緩慢にあるいは急
速に変化する。すると、慣性質量の大きいウエイトとし
て機能する一方の連結部材に生じる慣性力と、他方の連
結部材の脚部が内壁面との間に生じる摩擦力との大小関
係が交番に変化する。その結果、慣性力が摩擦力よりも
小さい場合には、脚部は内壁面に対して滑らず、一方の
連結部材が孔内の空間を移動する(摩擦力フェーズ)。
逆に、慣性力が摩擦力よりも大きい場合には、脚部は内
壁面上を滑り、脚部をもつ連結部材は孔内を移動する
(慣性力フェーズ)。慣性力フェーズと摩擦力フェーズ
とを交互に繰り返すことにより、孔内移動装置は孔内を
漸進することができる。
【0015】また、制御手段から供給される印加電圧に
より、圧電アクチュエータが位相差をもって伸縮すれ
ば、両連結部材の間には相対姿勢の変化が生じる。この
姿勢変化を緩急をつけて生じさせれば、慣性質量および
慣性モーメントの大きい一方の連結部材に生じる慣性力
モーメントは、大きくなったり小さくなったりする。す
ると、この慣性力モーメントと、他方の連結部材の脚部
が内壁面との間に生じる摩擦力モーメントとの大小関係
が交番に変化する。その結果、慣性力モーメントが摩擦
力モーメントよりも小さい場合には、脚部は内壁面に対
して滑らず、一方のウエイトとして機能する連結部材が
姿勢を変更する。(摩擦力モーメントフェーズ)。逆
に、慣性力モーメントが摩擦力モーメントよりも大きい
場合には、脚部は内壁面上を滑り、脚部をもつ連結部材
が姿勢を変更する(慣性力モーメントフェーズ)。制御
手段による印加電圧の制御により、慣性力モーメントフ
ェーズと摩擦力モーメントフェーズとが交互に繰り返さ
れれば、本構成の孔内移動装置は孔内で姿勢を変更する
ことができる。その結果、孔の分岐点で姿勢を変えて進
路を選択することが可能になっている。
【0016】したがって、本発明の第1構成によれば、
所定の範囲内で希望の方向へ姿勢を変更し、孔の分岐点
で進路を選択できるばかりではなく、信頼性の高いシン
プルな構成で小型な孔内移動装置を安価に提供すること
ができるという効果がある。本発明の第2構成は、アク
チュエータに、圧電積層アクチュエータ、バイモルフ、
ユニモルフ、およびバイモルフまたはユニモルフの積層
体のうちいずれかが採用されており、印加電圧によって
伸縮する。いずれも小型化が可能であると同時に、構成
がシンプルで信頼性が高い。また、バイモルフ、ユニモ
ルフ、およびバイモルフまたはユニモルフの積層体は、
比較的低い印加電圧(10Vオーダ)で作動し、ストロ
ーク(変位)も比較的大きいという特性がある。
【0017】したがって、本発明の第2構成によれば、
孔内移動装置の小型化、高信頼性化および低廉化が可能
になるという効果がある。また、バイモルフ、ユニモル
フ、およびバイモルフまたはユニモルフの積層体のうち
いずれかで圧電アクチュエータが構成されていれば、印
加電圧が低くて済むので運用時に安全性の高い孔内移動
装置の実現が可能になる。
【0018】本発明の第3構成では、両連結部材の間で
両者のいずれかに接合固定されたアクチュエータがカン
チレバー(片持ち梁)としての作用をもつので、両連結
部材の間を接合するために他の部材を必要としない。ま
た、全アクチュエータがウエイトとして作用する方の連
結部材に接合固定されていれば、その連結部材のウエイ
トとしての作用(慣性質量および慣性モーメント)が強
化される。
【0019】したがって、本発明の第3構成によれば、
いっそうシンプルかつ軽量安価に孔内移動装置を提供で
きるようになるという効果がある。また、ウエイトとし
ての作用が強化されていれば、孔内移動装置の移動能力
(移動速度および搭載重量)が大きく向上するという効
果もある。本発明の第4構成では、アクチュエータは3
個であり同一直線上にはないから、両連結部材が剛体で
構成されている場合でも、各アクチュエータが任意に伸
縮することができる。これは、3次元空間内で直線上に
ない任意の位置にある3点には、これらを収める一つの
平面が必ず存在するからである。
【0020】逆に、4個以上、例えば4個のアクチュエ
ータを有する孔内移動装置においては、対向する一対の
アクチュエータが伸長しており、他の対向する一対のア
クチュエータが収縮していれば、不具合を生じる。つま
り、収縮している一対のアクチュエータのうちどちらか
の一端は連結部材から離脱して機能を失うか、アクチュ
エータが破断するか、さもなければ過大な応力が生じて
各アクチュエータおよび両連結部材のうちいずれかを損
傷することになる。したがって、4個以上のアクチュエ
ータを有する孔内移動装置では、高い振動数でアクチュ
エータが作動している動的状態においても上記不具合を
生じないよう、制御手段により印加電圧が精密に制御さ
れている必要があり設計上の制約になる。
【0021】したがって、本発明の第4構成によれば、
前述のような制約なしに3個のアクチュエータに独立し
て印加電圧をかけることが可能になり、簡便なロジック
で自在に操作することができるという効果がある。ま
た、同一円周上で等間隔に配設されていれば、全周囲に
対してほぼ同等の姿勢変更能力が発揮されるという効果
もある。
【0022】本発明の第5構成では、テンション部材に
より両連結部材が互いに引き合っているので、各アクチ
ュエータには常に押圧力が作用する。一般に、圧電積層
アクチュエータは圧縮応力にはかなり強いが、引張応力
には脆く破断しやすいという性質がある。また、各アク
チュエータと両連結部材との当接部または接合部にも同
様の性質があり、圧縮応力には耐えても引張応力には弱
い。
【0023】したがって、本発明の第5構成によれば、
各アクチュエータおよびその両端の連結部材との当接部
にかかる引張応力が緩和されるか、若しくは消失して圧
縮応力のみになるので、当該部分の破断による故障は防
止されるという効果がある。本発明の第6構成では、ウ
エイトとして機能する方の連結部材の一部として、セン
サ等の各種装備が搭載されているので、その搭載品の質
量も上記連結部材の質量および慣性モーメントを増加さ
せる作用がある。
【0024】したがって、本発明の第6構成によれば、
上記搭載品の質量が有効に作用して、孔内移動装置の移
動性能および姿勢変更能力がさらに向上するという効果
がある。本発明の第7構成では、最低限の構成では曲げ
たピアノ線でクランプ脚が構成でき、極めてシンプル、
軽量かつ安価である。そればかりではなく、複数のクラ
ンプ脚が、バネ弾性力をもって周囲の内壁面に当接する
ので、内壁面の断面形や直径がいくらか変化していても
ほぼ一定の押圧力で内壁面に当接する。これは、内壁面
の摩擦係数がほぼ一定であると仮定すると、内壁面と脚
部との間に作用する摩擦力がほぼ一定になることを意味
する。
【0025】したがって、本発明の第7構成によれば、
孔を形成している内壁面の断面形や直径がいくらか変化
していても、ほぼ一定の移動能力および姿勢変更能力を
有する孔内移動装置を提供することができるという効果
がある。本発明の第8構成では、制御手段の制御モード
に、少なくとも直進モードと姿勢変更モードとの二つが
ある。直進モードによれば、孔内移動装置の前進移動お
よび後退移動が可能であり、姿勢変更モードによれば、
孔内移動装置の軸心の方向を、孔の軸心に対して所定の
範囲内で任意に変更することが可能である。その原理に
ついては、前述の第1構成の作用効果に詳しい。
【0026】したがって、本発明の第8構成によれば、
孔内移動装置を孔内で前進後退させるだけではなく、姿
勢を自由に変更することができ、孔の分岐点において進
路を任意に選択することが可能になるという効果があ
る。
【0027】
〔実施例1〕
(実施例1の構成)本発明の実施例1としての孔内移動
装置は、図1および図2に示すように、大きく分けて孔
内を移動する孔内移動体Vと、孔外から孔内移動体Vを
制御する制御手段4(図1では省略)とから構成されて
いる。孔内移動体Vは、大きく分けてさらに、孔内移動
体Vの先頭部分を形成している第1連結部材1と、後尾
部分を形成している第2連結部材2と、両連結部材1,
2に当接して中間部分を形成している三本の圧電積層ア
クチュエータ3とから構成されている。
【0028】第1連結部材1は、一体に形成された剛性
の高い部材であって、先端に位置し大きな質量をもつペ
イロード部10と、ペイロード部10を三本の圧電積層
アクチュエータ3の前端面31前方に支持している支持
部100とからなる。ペイロード部10は、本実施例で
は理解を容易にするため背の低い中実円筒体とし、主と
してウエイト(慣性質量)としての作用を担っている。
ペイロード部10には、その一部として各種センサなど
のミッション・ペイロードを搭載することが可能であ
る。
【0029】支持部100は、さらに支柱11と三本の
支脚12とから構成されている。支柱11は、ペイロー
ド部10の後端面の中央部から後方に突出している棒状
の強度部材で、ペイロード部10と三本の支脚12とを
剛に連結している。支脚12は、支柱11の後端と連結
する中心部から等間隔で三方に別れている棒状の強度部
材であり、各支脚12の遠心方向の先端部には後方へ突
出している突起13が形成されている。突起13は、そ
れぞれ圧電積層アクチュエータ3の前端面31にほぼ点
接触で当接している。
【0030】なお、支持部100は、各アクチュエータ
3の前方にペイロード部10を支持し、各アクチュエー
タ3の前端面に当接する突起を有する剛性の高い部材で
あれば、他の形状をとっていてもかまわない。第2連結
部材2は、剛性の高い円盤であるベース部材20と、脚
部としての六本のクランプ脚21とから構成されてい
る。
【0031】ベース部材20の前端面には、三本のアク
チュエータ3の後端面32が当接して接合固定されてお
り、各アクチュエータ3はベース部材20の前端面を基
準面として伸縮する。クランプ脚21は、ベース部材2
0の外周部に等間隔(角度にして60°)を空けて六本
が配設されており、クランプ脚21の根元はベース部材
20に固定保持されている。各クランプ脚21は、ベー
ス部材20の外周部から遠心方向のやや後方へ突出し、
途中から屈曲して後方やや遠心方向へ伸びている。各ク
ランプ脚21は、バネ弾性材料からなる線材から形成さ
れており、その先端には耐磨耗性に優れた球状の当接部
を有する。
【0032】孔内移動体Vが孔内にある時には、各クラ
ンプ脚21の先端部が孔を形成している内壁面Wに押圧
されて、全クランプ脚21は、ほぼ等量だけ求心方向へ
弾性変形して屈曲する。その結果、クランプ脚21の先
端はバネ弾性力によって付勢され、内壁面Wの直径や断
面形に多少の変化があっても、ほぼ一定の押圧力をもっ
て内壁面Wに当接する。したがって、クランプ脚21の
先端部と内壁面Wとの間の摩擦係数に大きな変化がない
かぎり、クランプ脚21の生じる摩擦力は所定の範囲に
留まるので、孔内移動体Vは所期の運動特性を発揮する
ことができる。
【0033】圧電積層アクチュエータ3は、第1連結部
材1と第2連結部材2との間に三本が並列(図2参
照)、かつ、孔内移動体Vの軸心と同心の同一円周上に
等間隔(図1参照)に配設されている。アクチュエータ
3は、後端面32でベース部材20の正面に当接して接
合固定されており、その前端面31で支持部100を支
持している。各アクチュエータ3の前端面31と支持部
100の各突起13とは、シリコンゴム系の接着剤から
形成されたシリコンゴム5で互いに接合されており、設
計された運用条件の範囲内では引張応力がかかってもシ
リコンゴム5が剥がれることはない。
【0034】圧電積層アクチュエータ3は、第1内部電
極と第2内部電極とが交互に挿置された圧電板が柱状に
積層(図2参照)されている四角柱状の圧電アクチュエ
ータであり、印加電圧により積層方向の長さが変化する
性質がある。本実施例の維持装置は、図2に示すよう
に、孔外に制御手段4を有し、制御手段4は、孔内の孔
内移動体Vの各圧電積層アクチュエータ3にそれぞれ制
御された波形の印加電圧を供給する。
【0035】制御手段4からは、各圧電積層アクチュエ
ータ3にそれぞれ一本の細いリード線41〜43が孔内
を這って接続されているとともに、孔を形成する内壁面
Wの導電性の高い材料(鋼や銅など)に共通アース線4
0が接続されている。各リード線41〜43は、各アク
チュエータ3の上記第1内部電極にそれぞれ接続されて
いる。一方、共通アース線40は、内壁面Wと接触する
クランプ脚21およびベース部材20を介して各アクチ
ュエータ3の上記第2内部電極に接続されている。な
お、リード線の数が増えるので孔内移動体Vの移動能力
が若干落ちるが、共通アース線40もリード線で孔内移
動体Vに接続されていてもよい。
【0036】制御手段4は、前述のリード線などからな
る導電路40〜43を介して、各アクチュエータ3に個
別に印加電圧を加えることができる。制御手段4が発生
する印加電圧の制御された波形には、少なくとも直進モ
ードと姿勢変更モードとの二のモード(またはパター
ン)がある。直進モードでは、制御手段4は、電圧変化
に緩急をつけた印加電圧を同位相で各アクチュエータ3
に加えることにより、全アクチュエータ3を同期駆動し
て、孔内移動体Vに前進移動または後進移動をさせる。
【0037】一方、姿勢変更モードでは、制御手段4
は、電圧変化に緩急をつけた印加電圧を位相差をもって
各アクチュエータ3に加える。すると、各アクチュエー
タ3の相互に変位差が生じ、ウエイトとして機能する第
1連結部材1が半径方向に振動するので、その慣性力を
利用して孔内移動体Vは姿勢変更を行う。 (実施例1の作用)ここでは、本実施例の孔内移動装置
のもつ孔内移動体Vの移動作用および姿勢変更作用につ
いて、制御手段4の発生する印加電圧から説明する。こ
こで、同印加電圧は、アース線40を電位の基準に各リ
ード線41〜43について発生し、必ずしも同位相同振
幅ではないものとする。
【0038】(実施例1の移動作用)まず、本実施例の
維持装置がもつ移動作用について説明する。孔内移動体
Vを孔内で前進移動または後退移動させる際には、制御
手段4は直進モードで印加電圧を発生させる。直進モー
ドで発生する印加電圧(駆動信号)は、図3に示すよう
に、緩急のある電圧変化の波形をしており、同駆動信号
は三つのアクチュエータ3にリード線41〜43を介し
て同振幅かつ同位相で加えられる。直進モードでは、電
圧が急速に立ち上がっている区間iと、電圧が緩やかに
降下している区間fとが、交互に現れている。
【0039】区間iでは、全アクチュエータ3にかかる
印加電圧が同時に(同位相で)急激に変動しているた
め、全アクチュエータ3は同時に急激に収縮する。する
と、慣性質量の高い第1連結部材1に大きな加速度がか
かって大きな慣性力が発生し、全アクチュエータ3ごと
第2連結部材2を引きつける。この際、クランプ脚21
に内壁面Wから作用する摩擦力は、第1連結部材1が発
生する慣性力に及ばず、クランプ脚21は内壁面Wを滑
って前方へ引きつけられる。
【0040】逆に、区間fでは、全アクチュエータ3に
かかる印加電圧が同時に緩やかに変動しているため、全
アクチュエータ3は同時に緩慢に伸長する。すると、慣
性質量の高い第1連結部材1に大きな加速度がかからな
いので、そこに生じる慣性力は小さい。一方、クランプ
脚21は前述のように常時ほぼ一定の摩擦力を生じ得る
ので、クランプ脚21に作用する摩擦力の方が慣性力を
凌駕して、クランプ脚21は内壁面W上を滑ることなく
その場に留まる。そこで、緩やかに伸長する全アクチュ
エータ3によって、第1連結部材1は孔内の前方の空間
へと前進する。
【0041】ここで、クランプ脚21のある第2連結部
材2が急速に前方へ引きつけられる区間iを慣性力フェ
ーズと呼び、ウエイトとしての機能をもつ第1連結部材
1が緩やかに前方に突き出される区間fを摩擦力フェー
ズと呼ぶことにする。慣性力フェーズiと摩擦力フェー
ズfとを交互に繰り返すことにより、孔内移動体Vは孔
内を前方へ漸進して移動することができる。
【0042】同様に、制御手段4により同期した同振幅
の印加電圧が、前述の前進移動時とは逆時間の波形で全
アクチュエータ3に加えられれば、孔内移動体Vは、同
様の作用で後方へ漸進して移動することができる。すな
わち、後方に向かって第1連結部材1が緩やかに引きつ
けられる摩擦力フェーズと、内壁面W上を滑りながら第
2連結部材2が後方に向かって急激に突き出される慣性
力フェーズとが、交互に繰り返されて、孔内移動体Vは
後退移動する。
【0043】(実施例1の姿勢変更作用)次に、本実施
例の維持装置がもつ姿勢変更作用について説明する。孔
内移動体Vの姿勢を孔内で変更させる際には、制御手段
4は姿勢変更モードで印加電圧を発生させる。姿勢変更
モードでは、例えば、一本のアクチュエータ3には、再
び図3に示すように、緩急のある電圧変化の波形をして
いる印加電圧が加えられる。(ただし説明を容易にする
ために、印加電圧の正負は前述の移動作用の際とは反転
しており、印加電圧が高い時にアクチュエータ3は伸長
するものとする。)その際、仮に、残りの二つのアクチ
ュエータ3にかかる印加電圧は、電圧ゼロを保って変化
しないものとしよう。
【0044】すると、図4に示すように、高い印加電圧
が加えられた一本のアクチュエータ3(図中左側)は、
伸長して支持部100の支脚12の先端の突起13を押
し上げる。その結果、ウエイトとして機能する慣性質量
および慣性モーメントの大きい第1連結部材1は、図中
右側へ角度ιだけ傾き(図中時計方向へ回転し)、その
重心(より正確には質量中心)CGは、図中右側へ変位
する。
【0045】第1連結部材1のこの傾斜と変位とは、印
加電圧が急激に立ち上がる区間iで起こるので、第1連
結部材1が生じる反動によって第2連結部材2および全
アクチュエータ3に加わる回転モーメントは大きい。同
モーメントは、第2連結部材2および全アクチュエータ
3を図中反時計回りに回す方向に働き、クランプ脚21
が内壁面Wとの間に生じる摩擦力によるモーメントを凌
駕して、第2連結部材2および全アクチュエータ3の姿
勢を変更する。
【0046】逆に、図3の印加電圧波形の区間fでは、
前述の一本のアクチュエータ3にかかる印加電圧が緩や
かに降下しているため、同アクチュエータ3は緩慢に収
縮する。すると、第1連結部材1に大きな加速度および
角加速度がかからないので、そこに反動として生じる慣
性力は小さい。一方、クランプ脚21は常にほぼ一定の
摩擦力および摩擦力のモーメントを生じ得るので、区間
fでは、クランプ脚21に作用する摩擦力およびそのモ
ーメントの方が、第1連結部材1に生じる慣性力および
そのモーメントを凌駕する。その結果、クランプ脚21
は内壁面W上を滑ることなくその場に留まる。そこで、
緩やかに収縮する上記一本のアクチュエータ3によっ
て、第1連結部材1は孔内移動体Vの軸線へと緩やかに
傾きをもどし、孔に対し図4中で反時計回りに姿勢を変
更する。
【0047】ここで、第2連結部材2および全アクチュ
エータ3が急速に反時計回りに姿勢を変更する区間iを
慣性力モーメントフェーズと呼び、第1連結部材1が緩
やかに反時計回りに姿勢を変更する区間fを摩擦力モー
メントフェーズと呼ぶことにする。慣性力モーメントフ
ェーズiと摩擦力モーメントフェーズfとを交互に繰り
返すことにより、孔内移動体Vは孔内でその姿勢を徐々
に変更することができる。
【0048】さて、以上の記述では、理解を容易にする
ために残りの二つのアクチュエータ3に加えられる印加
電圧はゼロとしてきた。しかし、上記一つのアクチュエ
ータ3と同位相で正負が逆転している(すなわち逆位相
で)印加電圧が、残りの二つのアクチュエータ3に加え
られるものとすれば、いっそう大きな角度ιで第1連結
部材1を傾けることが可能になる。そうすれば、孔内移
動体Vの姿勢変更能力(最大角速度)は、倍増あるいは
それ以上に増加する。また、印加電圧が各アクチュエー
タ3の許容範囲内で正負の最大範囲までかけられれば、
孔内移動体Vのもつ姿勢変更能力は最大限に発揮され
る。
【0049】ところで、本実施例の孔内移動装置では、
孔内移動体Vの三本のアクチュエータ3のうち、どれを
選んで伸縮させるか、あるいは伸長を急激にするか収縮
を急激にするかを選択することにより、六方向に対して
姿勢を変更することができる。そればかりではなく、制
御手段4には適正な計算処理プログラムが内蔵されてお
り、適正な位相差をもった印加電圧を加えて、三つのア
クチュエータ3を適正に制御することができる。その要
諦は、各アクチュエータ3の前端面31に当接している
各突起13が形成している平面の法線を、希望の方向へ
傾けるにはどの割合で各アクチュエータ3を伸縮すべき
かを求めるにある。その答えは三本の連立方程式を解く
ことで容易に得られるので、CPUまたはMPUが内蔵
された制御手段4により瞬時に自動的に与えられ、オペ
レータは意識する必要がない。
【0050】その結果、本実施例の孔内移動装置は、孔
内移動体Vの軸線回りの全方位に対して同軸線を振り向
ける姿勢変更能力を有するに至っている。なお、移動モ
ードの印加電圧と姿勢変更モードの印加電圧を重畳する
ことにより、孔内での移動と姿勢変更とを同時に行うこ
とも可能である。 (実施例1の能力)前述のように、本実施例の孔内移動
装置においては、孔内移動体Vの姿勢を変更することが
でき、図5に示すように、孔内で希望の方向へ孔内移動
体Vを傾けることが可能である。あるいは、傾いた孔内
移動体Vの姿勢を復元させることが可能である。また、
わずかではあるが、孔内移動体Vの軸線に対して第1連
結部材1ごとペイロード部10を希望の方向に傾けるこ
とができる。
【0051】さらに、本実施例の孔内移動装置の孔内移
動体Vには、図6に示すように、孔が直角の折れ曲がっ
ている部分でも、姿勢変更能力を発揮することにより曲
がりきって、さらに奥の孔へと進出していく能力があ
る。同様に、孔がT字路、Y字路または十字路などの分
岐を形成している部分でも、前述の姿勢変更能力により
希望の進路を選択して移動を続けることができる。
【0052】(実施例1の効果)以上詳述したように、
本実施例の孔内移動装置には、孔内を移動していく移動
能力だけではなく、姿勢変更能力が備わっていて孔の分
岐点でも希望の進路を選択する能力を有する。本孔内移
動装置は、このような能力を備えた上で、同様の能力を
有する従来技術による孔内移動装置と比較して、次のよ
うな優れた効果を有している。
【0053】第1に、本実施例の孔内移動装置の孔内移
動体Vは、機械的に動く部分がほとんどなく、部品点数
も限られていて構成が極めてシンプルである。したがっ
て、安価でありながら極めて信頼性の高い孔内移動装置
を提供することができるという効果を有する。第2に、
圧電積層アクチュエータ3を中心とする構成要素が全て
ミリメートルオーダの寸法で製作でき、孔内移動体Vを
極めて小型にすることが可能になる。その結果、より細
い孔内へ孔内移動体Vを挿入して移動させることが可能
になるという効果がある。
【0054】第3に、エアチューブのように重く太いケ
ーブルを引きずって孔内を移動する必要がなく、ごく細
いリード線41〜43を引きずるだけですむ。その結
果、より遠くまで孔内を進出することができ、孔内移動
装置の行動範囲が拡大されるという効果がある。 (実施例1の変形態様)本変形態様の孔内移動装置にお
いては、図7に示すように、孔内移動体V’の構成が第
1連結部材1’を中心に幾らか実施例1と異なっている
他は、第2連結部材2、各アクチュエータ3および制御
手段4(図略)は実施例1と同様である。
【0055】第1連結部材1’は、先端部にペイロード
部10’の一部としてCCDカメラ10Cが搭載されて
いる。支持部100’は、実施例1と同様の支柱11
と、実施例1よりも幾分短い三本の支脚12’からな
る。各支脚12の先端部には、各アクチュエータ3の前
端面32の中心に向かって突出した突起13’が形成さ
れている。
【0056】一方、各アクチュエータ3の前端面32の
中心には、前方に開口しているすり鉢状の凹部が中心に
形成された受容器30が接合されていて、突起13’の
先端部と緩く嵌合している。各突起13’の先端部は、
シリコンゴム5によって各受容器30の上記凹部に接合
されており、シリコンゴム5の接着力により振動や衝撃
で突起13’が受容器30から外れることが防止されて
いる。また、シリコンゴム5はゴム弾性をもって変形す
ることができるので、姿勢変更モードにおいて突起1
3’が受容器30に対して傾いても、無理な応力が生じ
て破壊することはない。
【0057】そして、第1連結部材1’および第2連結
部材2の間には、テンション部材としてのスプリング6
が新たに設けられており、両連結部材1’,2はスプリ
ング6の張力によって互いに引き合っている。本変形態
様の孔内移動装置の孔内移動体V’は、以上のように構
成されているので、実施例1と同様の作用効果が発揮さ
れるとともに、次のような新たな効果を生じる。
【0058】第1に、支脚12’が実施例1の支脚12
よりも短くなっており、突起13’の先端は、アクチュ
エータ3の前端面31の中心に当接している。それゆ
え、各アクチュエータ3の伸縮による長さの差によって
起こる第1連結部材1’の傾きは、実施例1よりも大き
くなり、姿勢変更能力が向上しているという効果があ
る。また、アクチュエータ3の軸力が偏心せずに第1連
結部材1’に伝達されるので、アクチュエータ3の内部
での応力分布がより一様になり、アクチュエータ3の寿
命が若干伸びるという効果もある。
【0059】第2に、テンション部材としてのスプリン
グ6が、第1連結部材1’の全ての突起13’をアクチ
ュエータ3の前端面31の中心に押圧付勢している。そ
れゆえ、アクチュエータ3が激しく伸縮しても、第1連
結部材1’とアクチュエータ3との間には圧縮応力しか
働かない。(もしくは、引張応力の発生が抑制されてい
る。)したがって、第1連結部材1’とアクチュエータ
3との接合部およびアクチュエータ3の内部の積層構造
に大きな引張応力がかかることがないので、同接合部お
よび同積層構造が破壊されることが防止される。その結
果、信頼性がいっそう向上するばかりでなく、運用中の
故障による回収不能という事故を回避することができる
という効果がある。
【0060】第3に、姿勢変更能力をもつ孔内移動体
V’に、ミッション・ペイロードとしてCCDカメラ1
0Cが搭載されているので、同カメラの視野FOVを希
望の方向へ指向させることができるという効果がある。
すなわち、図8に示すように、孔の内壁面Wに観測対象
(見たいもの)OBJがある場合にも、その方向へ孔内
移動体V’の姿勢を変更するとともに、第1連結部材
1’を孔内移動体V’の軸線に対して傾けることによ
り、CCDカメラ10Cの視野FOVに観測対象OBJ
を収めることが可能である。
【0061】なお、CCDカメラ10Cの装備により、
第1連結部材1の質量および慣性モーメントが増加して
いるので、CCDカメラ10Cの装備は、孔内移動体V
の移動能力および姿勢変更能力のさらなる向上に貢献し
ている。 〔実施例2〕 (実施例2の構成)本実施例の孔内移動装置は、図9に
示す孔内移動体V2と、図示しない制御手段4とからな
る。制御手段4は、実施例1と同様のものである。
【0062】孔内移動体V2は、図9に示すように、ウ
エイトとして機能する第1連結部材1”、複数のクラン
プ脚21’をもつ第2連結部材2’、両連結部材1”,
2’の間に並列に挿置された三本の圧電積層アクチュエ
ータ3を有する。両連結部材1”,2’の間には、実施
例1同様にスプリング6が挿置されており、スプリング
6の引張力で両連結部材1”,2は互いに引き合ってい
る。
【0063】第1連結部材1”は、その後端部に剛性の
高い円盤状の底板14を有し、底板14の後端面には、
全アクチュエータ3の前端面31が接合固定されてい
る。各アクチュエータ3は、実施例1と同様に、孔内移
動体Vの軸心に中心をもつ同一円周上に等間隔で配設さ
れている。第1連結部材1”は、底板14の外周面から
円錐台形(中空円筒状でも良い)に前方へ伸びる外筒1
5を有し、外筒15の先端の内側面には、ペイロード部
10’がその全周囲で接合されている。したがって、底
板14、外筒15およびペイロード部10’は、その内
側に密閉された収容空間16を形成しており、収容空間
16には必要に応じて各種の装置を格納することができ
る。収容空間16に格納された装置は、底板14に固定
されており、動力学上、第1連結部材1”の一部と見な
されるのでウエイトとしても機能する。
【0064】ペイロード部10’には、その一部として
必要に応じてミッション・ペイロード10Pが搭載され
る。ミッション・ペイロード10Pは、図9ではCCD
カメラの形状で図示されているが、必ずしもCCDカメ
ラに限られるものではなく、孔内移動装置の果たすべき
使命(ミッション)に適合した有償荷重(ペイロード)
が搭載される。ミッション・ペイロード10Pとして
は、例えば、各種カメラ、渦電流センサ、その他の各種
センサ、サンプル収集装置、アイソトープ、レーザメ
ス、火薬を含む各種薬剤および薬液などが挙げられる。
【0065】以上の構成の第1連結部材1”は、ウエイ
トとしての機能が十全に果たされるよう、十分な剛性を
もって形成されている。第2連結部材2”は、軽量で剛
性の高い円盤または六角板であるベース部材20’と、
その周囲の角部に等間隔で接合された六本のクランプ脚
21’と、ベース部材20’の前面に接合固定された三
つの受容器22とから構成されている。
【0066】クランプ脚21’は、バネ弾性材料からな
る線材で形成されており、ベース部材20”の外周部か
ら遠心方向の後方へ突出している。クランプ脚21’の
先端付近の孔の内壁面Wに当接する部分では、クランプ
脚21’は内側に曲げられていて、内壁面Wの凹凸にも
引っ掛かることが無いように配慮されている。一方、各
圧電積層アクチュエータ3の後端面32の中央部には、
後方へ突出している円錐状の突起33が接合されてお
り、突起33をもってアクチュエータ3は第2連結部材
2’のベース部材20’に当接している。前述のよう
に、ベース部材20’にはアクチュエータ3の突起33
に嵌合する三つの受容器22が接合されており、各突起
33は、それぞれシリコンゴム5で受容器22に接着さ
れている。したがって、振動や衝撃がかかっても、アク
チュエータ3とベース部材20’との当接部が外れるこ
とはない。
【0067】(実施例2の作用効果)以上のように構成
された本変形態様の孔内移動装置では、実施例1の変形
態様と同様の効果をもつほか、次の点でさらに優れた効
果を発揮する。すなわち、移動モードで前進または後退
する際の作用効果は、実施例1の変形態様とほぼ同様
で、クランプ脚21’が軽量になっているだけ幾分の移
動能力の向上が見られる。
【0068】姿勢変更モードにおいては、回転の中心が
ベース部材20’の中心付近にくるため、第1連結部材
1’までのモーメントアームが長くなる。あわせて、全
アクチュエータ3が第1連結部材1”に接合固定されて
いるので、回転運動に関しては全アクチュエータ3の慣
性モーメントも、第1連結部材1’の慣性モーメントに
加わる。それゆえ、第1連結部材1”および全アクチュ
エータ3の慣性モーメントは、軽量な第2連結部材2’
の慣性モーメントよりも桁違いに大きくなり、姿勢変更
能力は劇的に向上するという効果が生じる。
【0069】また、同様の理由で、ミッション・ペイロ
ード10Pにかかる振動(加速度)は大幅に軽減される
ので、装置の故障が減り信頼性がいっそう向上するとい
う効果もある。 (実施例2の変形態様)本変形態様(図略)は、実施例
2の孔内移動装置において、孔内移動体V2の収容空間
16に電池、制御手段4、およびミッション・コントロ
ーラを搭載し、コードレスとしたものである。ミッショ
ン・コントローラは、予め与えられたプログラムに従っ
て制御手段4を操作する小型コンピュータである。同コ
ントローラには、所定の条件に達するまで孔内を移動し
たのち、ミッション・ペイロード10Pを作用させて、
帰還するプログラムなどが与えられている。
【0070】本変形態様の孔内移動装置によれば、有索
運動(ケーブル等を引きずった運動)に伴う移動距離の
制限や、孔の屈曲部における断線の恐れなどが無くな
り、孔内移動装置の運用上の制限が少なくなるという効
果がある。ここで、さらに音波受信器などの受信手段を
ベース部材20’の背面等に備えていれば、孔の外から
の無線による遠隔操作も可能になる。
【0071】〔実施例3〕 (実施例3の構成)本実施例の孔内移動装置の孔内移動
体V3は、図10に示すように、先頭部分を形成してい
る第1連結部材1”と、中間部分を形成している三本の
圧電積層アクチュエータ3と、後尾部分を形成している
第2連結部材2”とから構成されている。第1連結部材
1”および三本の圧電積層アクチュエータ3は、実施例
2のものと同様である。一方、第2連結部材2”とその
アクチュエータ3との接合部とは、実施例2のそれと大
きく異なっている。
【0072】すなわち、第2連結部材2”は、各アクチ
ュエータ3の後端面32に接合固定されているベース部
材20”と、ベース部材20の中心に固定された固定ピ
ン24およびウェブ23を有するクランプ脚21”とか
らなる。ベース部材20”は、ベリリウム銅などのバネ
合金からなる比較的薄い板であって、その平面形は、各
アクチュエータ3の外側面の縁に沿って先端がない三角
形(すなわち正六角形でない六角形)をしている。ベー
ス部材20”が各アクチュエータ3の後端面32に当接
する当接面では、強力な接着剤または鑞付けなどの接合
手段で両者は強固に接合されている。この接合部で剥離
の不安がある場合には、実施例2と同様にテンション部
材としてのスプリング6(図9参照)を装備して、常に
ベース部材20”が付勢されて押圧力をもってアクチュ
エータ3の後端面32に当接している構成を取るとよ
い。
【0073】ベース部材20”の中心には、固定ピン2
4が軸長方向に貫通して溶接されている。ベース部材2
0”から後方へ突出した固定ピン24の後半部分から
は、複数のクランプ脚21”が遠心方向のやや後方へ突
出しており、実施例2同様の形状の先端部で孔を形成す
る内壁面Wに当接している。クランプ脚21”の本体部
分は、バネ弾性材の線材から形成されているが、その根
元から中間部分にかけてはウェブ23が接合されて補強
されている。ウェブ23は、クランプ脚21”の先端を
除く部分の縦方向の曲げ剛性を増す目的で接合されてお
り、クランプ脚21”が根元付近で弾性変形して曲がっ
てしまってアクチュエータ3による曲げ変位が吸収され
てしまうことを防いでいる。
【0074】(実施例3の作用効果)本実施例の孔内移
動装置の孔内移動体V3も、実施例1および実施例2と
同様に、移動モードで孔内を移動し、姿勢変更モードで
孔内の姿勢を希望の方向に変更することができ、実施例
2と同様の効果を上げられる。移動能力については、実
施例1および実施例2よりも第2連結部材2”が軽いの
で若干の向上が見られるが、大差はない。しかし、姿勢
変更能力については、実施例2に比較してもさらに劇的
な向上が得られる。
【0075】すなわち、図11に示すように、アクチュ
エータ3に長さの差が生じた場合には、アクチュエータ
3の後端面32との接合縁付近でバネ合金からなるベー
ス部材20”は弾性変形して曲がり、その中央部が傾斜
する。その結果、固定ピン24が傾斜して、クランプ脚
21”も角度ιだけ傾斜するので、実施例2と同様の姿
勢変更作用が得られる。
【0076】その際、ベース部材20”の中心部からア
クチュエータ3の後端面の内側の縁までが、傾斜運動の
モーメントアームになっており、このモーメントアーム
は、実施例2のそれと比較して半分ないしそれ以下に短
縮している。それゆえ、アクチュエータ3が実施例2と
同じストロークで伸縮しても、実施例2に倍するクラン
プ脚21”の傾きが得られ、姿勢変更能力は倍増すると
いう劇的な効果を生じる。
【0077】なお、本実施例の孔内移動装置でも、実施
例2と同様に、制御手段4を孔の外において有索で孔内
移動体V3を孔内に挿入する構成が可能である。同時
に、制御手段4を収容空間16に内蔵して、コードレス
で孔内移動装置である孔内移動体Vを孔内に挿入する構
成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の孔内移動装置の孔内移動体の構成
を示す平面図
【図2】 実施例1の孔内移動装置の構成を示す縦断面
【図3】 実施例1の印加電圧の波形の一例を示すグラ
【図4】 実施例1の孔内移動装置の孔内移動体の作用
を示す縦断面図
【図5】 実施例1の孔内移動体の姿勢変更作用を示す
模式図
【図6】 実施例1の孔内移動体の経路変更作用を示す
模式図
【図7】 実施例1の変形態様1の孔内移動装置の構成
を示す縦断面図
【図8】 実施例1の変形態様1の孔内移動装置の作用
を示す模式図
【図9】 実施例2の孔内移動装置の孔内移動体の構成
を示す縦断面図
【図10】実施例3の孔内移動装置の孔内移動体の構成
を示す縦断面図
【図11】実施例3の孔内移動装置の孔内移動体の作用
を示す縦断面図
【符号の説明】
1,1’,1”:第1連結部材 10,10’:ペイロード部 10C:CCDカメラ 11:支柱 12:支脚 13,13’:突起
100:支持部 14:底板(剛体) 15:外筒 16:収容空間 2,2’,2”:第2連結部材 20,20’:ベース部材(剛体) 20”:ベース
部材(バネ弾性板) 21,21’,21”:クランプ脚 22:受容器 23:ウェブ 24:固定ピン 3:圧電積層アクチュエータ 30:受容器 31:前端面 32:後端面 33:突起 4:制御手段 40〜43:リード線(導電路) 5:シリコンゴム(接着剤) 6:スプリング CG:重心位置 W:内壁面 FOV:視野

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略並列に配設されている複数個の圧電ア
    クチュエータと、 各該アクチュエータの一端と当接している第1連結部材
    と、 各該アクチュエータの他端と当接している第2連結部材
    と、 各該圧電アクチュエータに制御された波形の印加電圧を
    供給する制御手段とを有し、 該両連結部材のうち一方は、他方より重いウエイトとし
    て機能し、 該両連結部材のうち他方は、周囲の孔を形成する内壁面
    に当接する脚部をもつことを特徴とする孔内移動装置。
  2. 【請求項2】 前記アクチュエータは、圧電板が柱状に
    積層されている圧電積層アクチュエータ、バイモルフ、
    ユニモルフ、およびバイモルフまたはユニモルフの積層
    体のうち、いずれかである請求項1記載の孔内移動装
    置。
  3. 【請求項3】 各前記アクチュエータの前記一端および
    前記第1連結部材と、各該アクチュエータの前記他端お
    よび前記第2連結部材とのうち、少なくともいずれかは
    互いに接合固定されている請求項1〜2のうちいずれか
    に記載の孔内移動装置。
  4. 【請求項4】 前記アクチュエータは3個であり、同一
    円周上に等間隔で配設されている請求項1〜3のうちい
    ずれかに記載の孔内移動装置。
  5. 【請求項5】 前記両連結部材に両端を接続されている
    スプリングおよびゴム弾性体のうちいずれかのテンショ
    ン部材を有し、 前記両連結部材は、該テンション部材の張力により、前
    記各アクチュエータの両端にそれぞれ押圧付勢されてい
    る請求項1〜4のうちいずれかに記載の孔内移動装置。
  6. 【請求項6】 前記両連結部材のうち重いほうの前記一
    方は、CCDカメラ、各種光学センサ、磁気センサ、渦
    電流センサ、その他の各種センサ、アイソトープ、マー
    カ、各種薬剤、タンク、電池、受信手段、送信手段、お
    よび前記制御手段のうち、いずれかをもつ請求項1〜5
    のうちいずれかに記載の孔内移動装置。
  7. 【請求項7】 前記脚部は、バネ弾性材料からなる複数
    のクランプ脚で形成されている請求項1〜6のうちいず
    れかに記載の孔内移動装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、 電圧変化に緩急をつけた前記印加電圧を同位相で各前記
    アクチュエータに加えることにより、全該アクチュエー
    タを同期駆動して前進移動および後進移動のうちいずれ
    かを行う直進モードと、 電圧変化に緩急をつけた該印加電圧を位相差をもって各
    該アクチュエータに加え、各該アクチュエータ相互の変
    位差を利用してウエイトとして機能する前記連結部材を
    半径方向に振動させることによって、姿勢変更を行う姿
    勢変更モードと、 の少なくとも二つの制御モードを有する請求項1〜7の
    うちいずれかに記載の孔内移動装置。
JP7198499A 1995-08-03 1995-08-03 孔内移動装置 Pending JPH0939788A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100811530B1 (ko) * 2006-12-04 2008-03-10 건국대학교 산학협력단 압전작동기를 사용한 6족 이동 로봇
CN101961870A (zh) * 2010-08-12 2011-02-02 燕山大学 危难救援与管道并联机器人
JP2014176959A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Boeing Co ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法
CN112518726A (zh) * 2020-12-10 2021-03-19 中国科学院沈阳自动化研究所 一种多模块柔性水蛇机器人

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