JPH09331084A - 酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子 - Google Patents

酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子

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JPH09331084A
JPH09331084A JP8145540A JP14554096A JPH09331084A JP H09331084 A JPH09331084 A JP H09331084A JP 8145540 A JP8145540 A JP 8145540A JP 14554096 A JP14554096 A JP 14554096A JP H09331084 A JPH09331084 A JP H09331084A
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thin film
axis
substrate
oxide superconductor
cuo
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JP8145540A
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Masashi Mukoda
昌志 向田
Shintaro Miyazawa
信太郎 宮澤
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】格子整合トンネルバリア絶縁体層を使用するこ
とにより、超伝導体薄膜/トンネルバリア絶縁体層/超
伝導体薄膜の界面に発生する格子不整合に起因する超伝
導体薄膜へのストレスの低減、さらには超伝導特性の劣
化を軽減できる酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子構
造を提供する。 【解決手段】a軸が基板主面に対して配向し、かつ、c
軸が膜面内で配向している第1のLnBa2Cu3
x(Ln:Yおよびランタニド元素のうちの少なくとも
1種の元素)で示される組成の酸化物超伝導体薄膜と、
Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示される
組成の絶縁体薄膜と、a軸が基板主面に対して配向し、
かつ、c軸が膜面内で配向している第2のLnBa2
3xで示される組成の酸化物超伝導体薄膜とを、基板
側より順次積層して酸化物超伝導体ジョセフソン接合素
子とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物超伝導体の接
合構造に係り、さらに詳しくは、a軸方向への超伝導電
流のトンネルを用いたLnB2Cu3x(Ln:Yおよ
びランタニド元素のうちの少なくとも1種の元素)で示
される組成の酸化物超伝導体薄膜(S)/バリア層
(I)/LnBa2Cu3x酸化物超伝導体薄膜(S)
のSIS接合を持つトンネル型ジョセフソン接合素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】1986年に発見されたLa2-xxCu
4(M:Sr、Ba、0<x<1)は、超伝導転移温
度が30〜40Kと従来の金属超伝導体のTCと比較し
て著しく高いことから、酸化物超伝導体の探索が進めら
れ、TC〜90Kを有するLnBa2Cu3x酸化物超伝
導体(Ln:Yおよびランタニド元素)、TC〜110
Kを有するBiSrCaCuOx系酸化物超伝導体、TC
〜120Kを有するTlBaCaCuOx系酸化物超伝
導体、TC〜160Kを有するHgBaCaCuOx系酸
化物超伝導体の発見が相次いでいる。酸化物高温超伝導
体の電子デバイスへの応用を目指した研究は、現在さま
ざまな研究機関で進められている。中でも、酸化物超伝
導体のSISトンネル接合は、電子デバイスへの応用に
向けた最重要項目であり、積層構造を持つSISトンネ
ル接合の研究が盛んに行われている。酸化物超伝導体の
SISトンネル接合の実現には、結晶性に優れ(格子欠
陥の無い)、表面平坦性に優れた酸化物超伝導体薄膜を
形成することが必須の条件となる。また、酸化物超伝導
体は強い異方性を持ち、中でもコヒーレンス長は、その
a軸方向が長く、c軸方向に極端に短いという特徴があ
る。このように、コヒーレンス長の異方性の大きい超伝
導体薄膜を用いて、SISトンネル接合を形成する際に
は、コヒーレンス長の長いa軸方位が接合面に対して垂
直方向に向いている下部電極の形成が望ましい。これ
は、積層型構造を持つ酸化物超伝導体SIS接合の電極
には、a軸配向のLnBa2Cu3x薄膜が適当である
ことを意味しており、結晶性、表面平坦性に優れたa軸
配向の酸化物超伝導体薄膜の形成が最重要課題であるこ
とを示している。従来、a軸配向のYBa2Cu3x
膜の形成を目的として、例えば、SrTiO3(10
0)バルク単結晶基板上へ、a軸配向のYBa2Cu3
x薄膜の形成が行われてきた。しかしながら、これらの
a軸配向膜は、そのc軸が基板面内で90°ランダムに
配向しており、かつ低い基板温度で形成されるために、
結晶性に劣り、SIS接合の電極としては不適当なもの
であった。このため、本発明者らはAB′BO4型〔A:
(+2価)、B′:(+3価)、B:(+3価)の元素よりなる
2NiF4型結晶構造〕基板であるSrLaGaO4
成で(100)配向の基板上に、セルフテンプレート法
を用いて、そのc軸が基板面内で一方向に配向してい
る、c軸面内配列、a軸配向のYBa2Cu3x超伝導
体薄膜の形成に成功した〔Mukaida等、APL63(1993)99
9.〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したc軸面内配
列、a軸配向のYBa2Cu3x超伝導体薄膜の作製に
は、テンプレート法が不可欠であった。セルフテンプレ
ート法においては、c軸面内配列、a軸配向のYBa2
Cu3x超伝導体薄膜を得るための作製条件として、例
えば、基板温度、酸素圧力、酸素流量、セルフテンプレ
ート層の膜厚、レーザエネルギ等の条件の範囲が非常に
狭いという問題があり、わずかな条件の違いにより、c
軸配向膜、90°ドメインを持つa軸配向膜が成長する
という問題があり、また、この薄膜を用いてSIS接合
を構成すると、上部電極と絶縁体層の間に、セルフテン
プレート層が必ず存在し、このセルフテンプレート層の
劣った結晶性によりSIS接合特性が劣化するという問
題がある。このため、バッファ層としてa軸配向のPr
Ba2Cu3x薄膜を用いる方法が提案されたが、c軸
面内配向、a軸配向のPrBa2Cu3x薄膜を成長さ
せる条件として、c軸面内配向、a軸配向のYBa2
3x薄膜の場合と同様に作製条件の範囲が非常に狭い
という問題がある。さらに、SIS接合の作製を考えた
場合に、トンネル絶縁体層と上部電極超伝導体層の間
に、a軸配向のPrBa2Cu3xバッファ層を用いる
と、超伝導電極間の距離が長くなり過ぎ、超伝導電流が
超伝導電極間をトンネルできないという致命的な問題が
ある。また、格子不整合の大きい下地基板上に超伝導体
薄膜を成長させると、界面で格子不整合を緩和するため
のミスフィット転位が発生し、超伝導特性を劣化させる
という問題がある。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解決するものであって、格子整合トンネルバリア
絶縁体層を使用することにより、超伝導体薄膜/トンネ
ルバリア絶縁体層/超伝導体薄膜の界面に発生する格子
不整合に起因する超伝導体薄膜へのストレスの低減、さ
らには超伝導特性の劣化を軽減できる酸化物超伝導体ジ
ョセフソン接合素子構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、AB′B
4構造を持つ、SrLaGaO4(100)基板上に、
Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示される
Gd2CuO4バッファ層を100Å成長させた上に、N
dBa2Cu3x薄膜を、通常、c軸配向となる条件で
成長させたところ、c軸面内配列、a軸配向NdBa2
Cu3x超伝導体薄膜が成長することを本発明者らは見
出し、さらに、上記薄膜界面でミスフィット転位が発生
していないことを透過電子顕微鏡で確認し本発明をなす
に至ったものである。本発明は上記目的を達成するため
に、基本的には、c軸面内配列、a軸配向のLnBa2
Cu3x(Ln:Yおよびランタニド元素のうちの少な
くとも1種の元素)超伝導体層と格子整合するLn′2
CuO4(Ln′:ランタニド元素)を絶縁体層とする
ものである。すなわち、代表例として、Gd2CuO4
縁体層上に、c軸面内配列、a軸配向のNdBa2Cu3
x超伝導体薄膜を設けたSIS接合を有する酸化物超
伝導体ジョセフソン接合素子とするものである。本発明
の酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子は、具体的に
は、特許請求の範囲に記載のような構成とするものであ
る。すなわち、本発明は請求項1に記載のように、a軸
が基板主面に対して配向し、かつ、c軸が膜面内で配向
している第1のLnBa2Cu3x(Ln:Yおよびラ
ンタニド元素のうちの少なくとも1種の元素)で示され
る組成の酸化物超伝導体薄膜と、Ln′2CuO4(L
n′:ランタニド元素)で示される組成の絶縁体薄膜
と、a軸が基板主面に対して配向し、かつ、c軸が膜面
内で配向している第2のLnBa2Cu3x(Ln:Y
およびランタニド元素のうちの少なくとも1種の元素)
で示される組成の酸化物超伝導体薄膜とを、基板側より
順次積層した構造の酸化物超伝導体ジョセフソン接合素
子とするものである。このような構成とすることによ
り、超伝導体薄膜/トンネルバリア絶縁体層/超伝導体
薄膜の界面における結晶性が良くなり、超伝導特性の良
い接合を実現することができる。さらに、格子整合性が
良くなるため、接合界面にミスフィット転位の発生がな
く、超伝導特性の劣化を低減できる効果がある。また、
本発明は請求項2に記載のように、c軸が基板主面に対
して配向している第1のLnBa2Cu3x(Ln:Y
およびランタニド元素のうちの少なくとも1種の元素)
の組成で示される酸化物超伝導体薄膜を基板上の一部の
領域に形成し、該酸化物超伝導体薄膜の側面上に、L
n′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示される組
成の絶縁体薄膜と、c軸が基板主面に対して配向してい
る第2のLnBa2Cu3x(Ln:Yおよびランタニ
ド元素のうちの少なくとも1種の元素)で示される組成
の酸化物超伝導体薄膜とを順次積層した構造の酸化物超
伝導体ジョセフソン接合素子とするものである。このよ
うな構成とすることにより、上記請求項1と同様に、界
面における結晶性が良くなり、超伝導特性の良い接合を
実現することができ、さらに格子整合性が良くなるので
接合界面にミスフィット転位の発生がなく超伝導特性の
劣化を低減できる効果がある。また、本発明は請求項3
に記載のように、請求項1または請求項2において、L
nBa2Cu3x(Ln:Yおよびランタニド元素のう
ちの少なくとも1種の元素)で示される組成の酸化物超
伝導体薄膜およびLn′2CuO4(Ln′:ランタニド
元素)で示される組成の絶縁体薄膜は、上記酸化物超伝
導体薄膜のb軸およびc軸が、それぞれ上記絶縁体薄膜
のa軸およびc軸と1%以下の格子整合率で整合する構
成とした酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子とするも
のである。このような構成とすることにより、上記請求
項1および請求項2と同様に、界面における結晶性が良
くなるので超伝導特性の良い接合が実現でき、さらに格
子整合性が良くなるため接合界面にミスフィット転位の
発生がなく超伝導特性の劣化を抑制できる効果がある。
また、本発明は請求項4に記載のように、請求項1また
は請求項3において、基板は、Ln′2CuO4(L
n′:ランタニド元素)で示される組成で(100)配
向の絶縁体により構成される酸化物超伝導体ジョセフソ
ン接合素子とするものである。また、本発明は請求項5
に記載のように、請求項1または請求項3において、基
板は、Ln″2CuO4(Ln″:ランタニド元素)で示
される組成で(100)配向の絶縁体基板上に、Ln′
2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示される組成で
(100)配向の絶縁体薄膜をバッファ層として成長さ
せた基板により構成される酸化物超伝導体ジョセフソン
接合素子とするものである。また、本発明は請求項6に
記載のように、請求項1または請求項3において、基板
は、AB′BO4構造〔A:(+2価)、B′:(+3価)、
B:(+3価)の元素よりなるK2NiF4型結晶構造〕の
絶縁体基板上に、Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド
元素)で示される組成で(100)配向の絶縁体薄膜を
バッファ層として成長させた基板により構成される酸化
物超伝導体ジョセフソン接合素子とするものである。ま
た、本発明は請求項7に記載のように、請求項5におい
て、Ln″2CuO4(Ln″:ランタニド元素)で示さ
れる組成で(100)配向の絶縁体基板はNd2CuO4
により構成される酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子
とするものである。また、本発明は請求項8に記載のよ
うに、請求項6において、AB′BO4構造の絶縁体基
板は、SrLaGaO4の組成で(100)配向の基板
により構成される酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子
とするものである。また、本発明は請求項9に記載のよ
うに、請求項1ないし請求項8のいずれか1項におい
て、Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示さ
れる組成の絶縁体はGd2CuO4により構成される酸化
物超伝導体ジョセフソン接合素子とするものである。ま
た、上記の請求項4ないし請求項9に記載の構成とする
ことにより、上記請求項1ないし請求項3と同様に、超
伝導体薄膜/トンネルバリア絶縁体層/超伝導体薄膜の
界面に生じる大きな格子不整合に起因する超伝導体薄膜
のストレス、さらには超伝導特性の劣化を軽減すること
ができるので、高性能で信頼性の高い酸化物超伝導体ジ
ョセフソン接合素子を実現できる効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
〈実施の形態1〉図1に、本実施の形態で例示する酸化
物超伝導体ジョセフソン接合素子の構成を示す。1は、
例えばLn′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)組成
で(100)配向の基板を示し、ここでは組成がNd2
CuO4で(100)配向の基板、2はc軸面内配列、
a軸配向のLnBa2Cu3xで示される組成の下部電
極超伝導体薄膜、ここでは組成がNdBa2Cu3x
酸化物超伝導体、3はLn′2CuO4組成の極薄い薄膜
よりなるトンネルバリア層、ここでは組成がGd2Cu
4のトンネルバリア層、4はc軸面内配列、a軸配向
のLnBa2Cu3xで示される組成の上部電極超伝導
体薄膜、ここでは組成がNdBa2Cu3xの酸化物超
伝導体である。なお、ここで本実施の形態の説明の前
に、AB′BO4型材料、Ln′2CuO4型材料および
LnBa2Cu3xで示される組成の酸化物超伝導体の
薄膜成長温度における格子定数の整合性について、図2
を用いて説明する。図2は、横軸に材料のa(b)軸の
長さ(Å)、縦軸に材料のc軸の長さ(Å)を示し、上
記各材料の格子定数の整合性を示す。ここでは、図の煩
雑さを避けるために、LnBa2Cu3x超伝導酸化物
についてはYBa2Cu3xとNdBa2Cu3xのみと
し、Ln′2CuO4については、Gd2CuO4とNd2
CuO4のみとした。なお、図2中に示す○印はAB′
BO4型結晶材料、□印はLn′2CuO4型材料、●印
はLnBa2Cu3X型超伝導体、△印はABO3型立方
晶ペロブスカイトを示す。図2から明らかなように、S
rLaGaO4上にa軸配向YBa2Cu3x薄膜を成長
させようとすると、基板に対する成長する薄膜のa軸、
およびc軸の格子不整合率が非常に大きいことが分か
る。すなわち、a軸配向のYBa2Cu3薄膜の成長
が難しいことになる。一方、GdCuO4と、a軸配
向のNdBa2Cu3xの関係を見ると、Gd2CuO4
と、NdBa2Cu3xのa軸およびc軸はほぼ一致
(格子不整合率0.5%以下)しており、それぞれのc
軸長も近い。すなわち、格子整合性が良いためGd2
uO4(100)配向の薄膜上に、a軸配向のNdBa2
Cu3x酸化物超伝導体薄膜が成長しやすいことを示し
ている。本発明者らは、実際に、基板温度700℃、酸
素圧力400mTorr(mmHg/10)の条件で、NdBa2
3x薄膜上にGd2CuO4極薄膜を100Å成長さ
せ、さらに、その上にNdBa2Cu3x薄膜を、通常
のMgO基板等の上ではc軸配向となる条件で成長させ
たところ、下部超伝導体薄膜の軸関係を、Gd2CuO4
極薄膜、上部超伝導体薄膜がそのまま引継ぎ、下部超伝
導体薄膜のb軸方向には、それぞれの薄膜のb軸が、下
部超伝導体薄膜のc軸方向には、それぞれの薄膜のc軸
がエピタキシャル成長することを見出した。通常の場合
は、c軸配向膜となる成膜条件でありながら、a軸配向
のNdBa2Cu3x超伝導体薄膜が成長しており、本
発明の高温成膜によって、従来の低温成膜における結晶
性の劣化の問題を解決することができる。図1に示す、
本発明のb、c軸整合した酸化物超伝導体と絶縁体との
組み合わせを用いることにより、基板上での薄膜の成膜
温度を低下させることなく、高温で超伝導体/絶縁体/
超伝導体接合を実現できるため、界面における結晶性が
良くなり、超伝導特性の良い接合を実現することができ
る。さらに、格子整合性が良くなるため、接合界面にミ
スフィット転位の発生が無く、超伝導特性の劣化を低減
できる効果がある。本実施の形態では、Ln′2CuO4
として、ランタニド元素を1種類を挙げて説明したが、
Lnの固溶体系である、例えばNd2-xCexCuO4
ように、Lnとしてランタノイドを2種類以上用いた場
合も上記と同様の効果を得ることができた。
【0007】〈実施の形態2〉図3に、本実施の形態で
例示する酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子の構成を
示す。図において、1′は、例えばLn″2CuO4組成
の(100)配向の基板、ここではNd2CuO4組成で
(100)配向の基板、2はc軸面内配列、a軸配向の
LnBa2Cu3xで示される組成の下部電極超伝導体
薄膜、ここでは、NdBa2Cu3x組成の酸化物超伝
導体薄膜、3はLn′2CuO4極薄膜トンネルバリア
層、ここではGd2CuO4組成のトンネルバリア層、4
はc軸面内配列、a軸配向のLnBa2Cu3x組成の
上部電極超伝導体薄膜、ここではNdBa2Cu3x
成の酸化物超伝導体薄膜、5はLn′2CuO4組成の極
薄い膜厚のバッファ層、ここではGd2CuO4組成のバ
ッファ層である。本実施の形態は、上記実施の形態1の
下部超伝導電極の下地材料として格子整合性の良いGd
2CuO4バッファ層5を挿入した点以外は、すべて実施
の形態1と同樣である。この格子整合性の良いGd2
uO4バッファ層により、下部電極超伝導体薄膜の作製
において、セルフテンプレート等の結晶性の悪い薄膜を
用いることなく、成長初期より高品質の酸化物超伝導体
薄膜を作製することができる。
【0008】〈実施の形態3〉図4に、本実施の形態で
例示する酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子の構成を
示す。6は、例えばSrTiO3組成の(100)配向
の基板、7はc軸配向LnBa2Cu3x組成の下部電
極超伝導体薄膜、ここではNdBa2Cu3xを示し、
8はLn′2CuO4組成の極薄膜トンネルバリア層、こ
こではGd2CuO4組成のトンネルバリア層、9はc軸
配向LnBa2Cu3xで示される組成の上部電極超伝
導体薄膜、ここではNdBa2Cu3x組成の酸化物超
伝導体薄膜、10は層間絶縁体層である。次に、本実施
の形態の接合素子の作製方法について説明する。例え
ば、下部電極超伝導体薄膜7および層間絶縁体層10の
一部をエッチングにより除去するか、もしくは一部のみ
マスクして、基板面内の一部のみに下部電極超伝導体薄
膜7および層間絶縁体層10を有する積層体を作製す
る。次に、上記積層体上に、トンネルバリア層8、上部
電極超伝導体薄膜9を成長させる。その後、下部電極超
伝導体薄膜7上の上部電極超伝導体薄膜9、層間絶縁体
層10を除去し、下部電極超伝導体薄膜7からの電流端
子11を取り出す。本接合構造において、エッジ接合の
接合面となるところのトンネルバリア層が超伝導体薄膜
のb軸とc軸に格子整合したバリア材料であるため、上
部電極と下部電極との間のトンネルバリア部分で、格子
不整合に付随したミスフィット転位が発生することがな
い。そのため、実施の形態1および実施の形態2と同様
に超伝導特性の劣化を抑制することができる。本発明で
は、超伝導薄膜としてNdBa2Cu3x薄膜、極薄膜
トンネルバリア層としてGd2CuO4薄膜を用いたが、
LnBa2Cu3x薄膜とLn′2CuO4薄膜が、薄膜
成長中のLnBa2Cu3x超伝導体のb軸およびc軸
がLn′2CuO4のa軸およびc軸との格子不整合率
が、多くとも1%以下である組み合わせであれば、上記
実施の形態と同様の効果が得られることを確認してい
る。
【0009】
【発明の効果】本発明の格子整合トンネルバリア絶縁体
層を使用することにより、超伝導体薄膜/トンネルバリ
ア絶縁体層/超伝導体薄膜の界面に発生する大きな格子
不整合に起因する超伝導体薄膜へのストレス、さらには
超伝導特性の劣化を軽減することができるので、高性能
で信頼性の高い酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子を
実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1で例示した酸化物超伝導
体ジョセフソン接合素子の構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態1で例示した各種の基板、
酸化物超伝導体薄膜および絶縁体薄膜の格子定数の整合
性〔a(b)軸の長さとc軸の長さの関係〕を示す説明
図。
【図3】本発明の実施の形態2で例示した酸化物超伝導
体ジョセフソン接合素子の構成を示す模式図。
【図4】本発明の実施の形態3で例示した酸化物超伝導
体ジョセフソン接合素子の構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…Ln′2CuO4(例えば、Nd2CuO4)組成で
(100)配向の基板 1′…Ln″2CuO4(例えば、Nd2CuO4)組成で
(100)配向の基板 2…c軸面内配列、a軸配向のLnBa2Cu3x(例
えば、NdBa2Cu3x)で示される組成の下部電極
超伝導体薄膜 3…トンネル絶縁体となるa軸配向のLn′2CuO
4(例えばGd2CuO4)で示される組成のトンネルバ
リア層 4…c軸面内配向、a軸配向のLnBa2Cu3x(例
えば、NdBa2Cu3x)で示される組成の上部電極
超伝導体薄膜 5…Ln′2CuO4(例えば、Gd2CuO4)で示され
る組成の極薄いバッファ層 6…SrTiO3組成で(100)配向の基板 7…c軸配向のLnBa2Cu3x(例えば、NdBa2
Cu3x)で示される組成の下部電極超伝導体薄膜 8…トンネル絶縁体となるc軸配向のLn′2CuO
4(例えば、Gd2CuO4)で示される組成のトンネル
バリア層 9…c軸配向のLnBa2Cu3x(例えば、NdBa2
Cu3x)で示される組成の上部電極超伝導体薄膜 10…層間絶縁体層 11…電流端子

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a軸が基板主面に対して配向し、かつ、c
    軸が膜面内で配向している第1のLnBa2Cu3
    x(Ln:Yおよびランタニド元素のうちの少なくとも
    1種の元素)で示される組成の酸化物超伝導体薄膜と、
    Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示される
    組成の絶縁体薄膜と、a軸が基板主面に対して配向し、
    かつ、c軸が膜面内で配向している第2のLnBa2
    3x(Ln:Yおよびランタニド元素のうちの少なく
    とも1種の元素)で示される組成の酸化物超伝導体薄膜
    とを、基板側より順次積層してなることを特徴とする酸
    化物超伝導体ジョセフソン接合素子。
  2. 【請求項2】c軸が基板主面に対して配向している第1
    のLnBa2Cu3x(Ln:Yおよびランタニド元素
    のうちの少なくとも1種の元素)の組成で示される酸化
    物超伝導体薄膜を基板上の一部の領域に形成し、該酸化
    物超伝導体薄膜の側面上に、Ln′2CuO4(Ln′:
    ランタニド元素)で示される組成の絶縁体薄膜と、c軸
    が基板主面に対して配向している第2のLnBa2Cu3
    x(Ln:Yおよびランタニド元素のうちの少なくと
    も1種の元素)で示される組成の酸化物超伝導体薄膜と
    を順次積層してなることを特徴とする酸化物超伝導体ジ
    ョセフソン接合素子。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、LnB
    2Cu3x(Ln:Yおよびランタニド元素のうちの
    少なくとも1種の元素)で示される組成の酸化物超伝導
    体薄膜およびLn′2CuO4(Ln′:ランタニド元
    素)で示される組成の絶縁体薄膜は、上記酸化物超伝導
    体薄膜のb軸およびc軸が、それぞれ上記絶縁体薄膜の
    a軸およびc軸と1%以下の格子整合率で整合する構成
    としてなることを特徴とする酸化物超伝導体ジョセフソ
    ン接合素子。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項3において、基板
    は、Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示さ
    れる組成で(100)配向の絶縁体よりなることを特徴
    とする酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子。
  5. 【請求項5】請求項1または請求項3において、基板
    は、Ln″2CuO4(Ln″:ランタニド元素)で示さ
    れる組成で(100)配向の絶縁体基板上に、Ln′2
    CuO4(Ln′:ランタニド元素)で示される組成で
    (100)配向の絶縁体薄膜をバッファ層として成長さ
    せた基板よりなることを特徴とする酸化物超伝導体ジョ
    セフソン接合素子。
  6. 【請求項6】請求項1または請求項3において、基板
    は、K2NiF4型結晶構造を有するAB′BO4構造の
    絶縁体基板上に、Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド
    元素)で示される組成で(100)配向の絶縁体薄膜を
    バッファ層として成長させた基板よりなることを特徴と
    する酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子。
  7. 【請求項7】請求項5において、Ln″2CuO4(L
    n″:ランタニド元素)で示される組成で(100)配
    向の絶縁体基板は、Nd2CuO4よりなることを特徴と
    する酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子。
  8. 【請求項8】請求項6において、AB′BO4構造の絶
    縁体基板は、SrLaGaO4の組成で(100)配向
    した基板よりなることを特徴とする酸化物超伝導体ジョ
    セフソン接合素子。
  9. 【請求項9】請求項1ないし請求項8のいずれか1項に
    おいて、Ln′2CuO4(Ln′:ランタニド元素)で
    示される組成の絶縁体はGd2CuO4よりなることを特
    徴とする酸化物超伝導体ジョセフソン接合素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003086851A (ja) * 2001-09-11 2003-03-20 Fujitsu Ltd 低インダクタンス超伝導接合及びその製造方法
JP2012031468A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 超伝導体薄膜の製造方法

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