JPH09325089A - パワートレーンの性能試験装置 - Google Patents
パワートレーンの性能試験装置Info
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- JPH09325089A JPH09325089A JP8144406A JP14440696A JPH09325089A JP H09325089 A JPH09325089 A JP H09325089A JP 8144406 A JP8144406 A JP 8144406A JP 14440696 A JP14440696 A JP 14440696A JP H09325089 A JPH09325089 A JP H09325089A
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- rotation
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 サイドギヤやピニオンギヤの一部の歯の摩耗
や損傷を防止して、差動装置の耐久性を高い精度で評価
できるパワートレーンの性能試験装置を提供すること。 【解決手段】 差動装置4を有するパワートレーンの性
能を試験する性能試験装置であって、差動装置4の両出
力軸6,7にそれぞれ連結された第1の軸22及び第2
の軸23と、第1の軸22と第2の軸23との間に配設
され、第1の軸22と第2の軸23とを直結状態から切
断状態までの間でスリップ結合するクラッチ35と、ク
ラッチ35の第1の軸22と第2の軸23とのスリップ
状態を調整するスリップ状態調整手段36と、両出力軸
6,7の回転差を検出する回転差検出手段30,31,
32,33,34と、回転差検出手段30,31,3
2,33,34により検出される回転差が所望の回転差
となるようにスリップ状態調整手段36を制御する制御
手段37とを具備する。
や損傷を防止して、差動装置の耐久性を高い精度で評価
できるパワートレーンの性能試験装置を提供すること。 【解決手段】 差動装置4を有するパワートレーンの性
能を試験する性能試験装置であって、差動装置4の両出
力軸6,7にそれぞれ連結された第1の軸22及び第2
の軸23と、第1の軸22と第2の軸23との間に配設
され、第1の軸22と第2の軸23とを直結状態から切
断状態までの間でスリップ結合するクラッチ35と、ク
ラッチ35の第1の軸22と第2の軸23とのスリップ
状態を調整するスリップ状態調整手段36と、両出力軸
6,7の回転差を検出する回転差検出手段30,31,
32,33,34と、回転差検出手段30,31,3
2,33,34により検出される回転差が所望の回転差
となるようにスリップ状態調整手段36を制御する制御
手段37とを具備する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のパワート
レーンの性能試験装置に関し、詳しくは、差動装置を有
するパワートレーンの性能試験装置に関する。
レーンの性能試験装置に関し、詳しくは、差動装置を有
するパワートレーンの性能試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用パワートレーンの台上
試験には、動力計等からなる性能試験装置が用いられて
いる。例えば、FF(前輪駆動)車のパワートレーンを
試験する場合、変速機と差動装置とが一体となったトラ
ンスアクスルをエンジンやモータによって駆動するとと
もに、差動装置の一対の差動出力軸にそれぞれ動力計や
フライホイールからなる負荷装置を接続して負荷を印加
する。そして、発進加速や定常走行等を組み合わせた所
定の駆動モードでトランスアクスルを駆動し、パワート
レーンによる動力損失や変速時のトルク変動などを計測
するとともに、試験終了後に変速ギヤ類や差動ギヤ類の
摩耗などをチェックする。
試験には、動力計等からなる性能試験装置が用いられて
いる。例えば、FF(前輪駆動)車のパワートレーンを
試験する場合、変速機と差動装置とが一体となったトラ
ンスアクスルをエンジンやモータによって駆動するとと
もに、差動装置の一対の差動出力軸にそれぞれ動力計や
フライホイールからなる負荷装置を接続して負荷を印加
する。そして、発進加速や定常走行等を組み合わせた所
定の駆動モードでトランスアクスルを駆動し、パワート
レーンによる動力損失や変速時のトルク変動などを計測
するとともに、試験終了後に変速ギヤ類や差動ギヤ類の
摩耗などをチェックする。
【0003】しかし、このように差動装置の両差動出力
軸にそれぞれ負荷装置を接続した場合、装置構成が複雑
になるとともに、その装置の大きさや高額の設備費が必
要となるため、負荷装置を一台とした性能試験装置が一
部に採用されている。この装置では、差動装置の両差動
出力軸を連結軸を介して直結し、この連結軸に負荷装置
を連結することにより、両差動出力軸に負荷を均等に印
加する構成を採っている。
軸にそれぞれ負荷装置を接続した場合、装置構成が複雑
になるとともに、その装置の大きさや高額の設備費が必
要となるため、負荷装置を一台とした性能試験装置が一
部に採用されている。この装置では、差動装置の両差動
出力軸を連結軸を介して直結し、この連結軸に負荷装置
を連結することにより、両差動出力軸に負荷を均等に印
加する構成を採っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の負荷
装置を一台とした性能試験装置には、以下に述べる問題
点があった。差動装置は、ディファレンシャルキャリア
内に各一対のサイドギヤとピニオンギヤとを収納したも
のであり、差動出力軸間に差回転が生じると、この差回
転を吸収するべく、サイドギヤとピニオンギヤとが噛合
した状態で相対回転する。ところが、前述した性能試験
装置では、連結軸を介して直結されている両差動出力軸
は同一の回転数で回転するため、サイドギヤとピニオン
ギヤとが相対回転する原因である差回転が生じなくな
る。したがって、サイドギヤとピニオンギヤとは常に同
一の噛み合い状態でトルクを伝達し、両ギヤに形成され
た多数の歯のうち、噛み合いに関与する数枚の歯にのみ
継続的に負荷が作用することになる。その結果、比較的
短時間の性能試験によって一部の歯に摩耗や損傷が生
じ、サイドギヤやピニオンギヤの耐久性の評価が不可能
になるとともに、性能試験の続行を困難にしていた。
装置を一台とした性能試験装置には、以下に述べる問題
点があった。差動装置は、ディファレンシャルキャリア
内に各一対のサイドギヤとピニオンギヤとを収納したも
のであり、差動出力軸間に差回転が生じると、この差回
転を吸収するべく、サイドギヤとピニオンギヤとが噛合
した状態で相対回転する。ところが、前述した性能試験
装置では、連結軸を介して直結されている両差動出力軸
は同一の回転数で回転するため、サイドギヤとピニオン
ギヤとが相対回転する原因である差回転が生じなくな
る。したがって、サイドギヤとピニオンギヤとは常に同
一の噛み合い状態でトルクを伝達し、両ギヤに形成され
た多数の歯のうち、噛み合いに関与する数枚の歯にのみ
継続的に負荷が作用することになる。その結果、比較的
短時間の性能試験によって一部の歯に摩耗や損傷が生
じ、サイドギヤやピニオンギヤの耐久性の評価が不可能
になるとともに、性能試験の続行を困難にしていた。
【0005】このような問題点を解決するために、一定
時間ごとに差動出力軸と連結軸とを分離して一方を回転
させ、サイドギヤとピニオンギヤとの噛合状態を変化さ
せた後に、再び接続する組替え作業も行われていた。し
かし、この組替え作業に要する工数と時間は、試験作業
者にとって大きな負担となり、性能試験装置の稼働率が
低下する問題点がある。また、組替え作業を行った場合
にも、すべての歯に均等に負荷をかけることは実質的に
不可能であるため、サイドギヤやピニオンギヤの耐久性
を評価することはやはり困難である。
時間ごとに差動出力軸と連結軸とを分離して一方を回転
させ、サイドギヤとピニオンギヤとの噛合状態を変化さ
せた後に、再び接続する組替え作業も行われていた。し
かし、この組替え作業に要する工数と時間は、試験作業
者にとって大きな負担となり、性能試験装置の稼働率が
低下する問題点がある。また、組替え作業を行った場合
にも、すべての歯に均等に負荷をかけることは実質的に
不可能であるため、サイドギヤやピニオンギヤの耐久性
を評価することはやはり困難である。
【0006】よって、本発明の目的は、連続的に差回転
を生じさせることができる装置を設置して、前述の問題
点を解決し、サイドギヤやピニオンギヤの一部の歯の摩
耗や損傷を防止して、差動装置の耐久性を高精度で評価
できるパワートレーンの性能試験装置を提供することに
ある。
を生じさせることができる装置を設置して、前述の問題
点を解決し、サイドギヤやピニオンギヤの一部の歯の摩
耗や損傷を防止して、差動装置の耐久性を高精度で評価
できるパワートレーンの性能試験装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、差動
装置を有するパワートレーンの性能を試験する性能試験
装置であって、差動装置の両出力軸にギヤを介してそれ
ぞれ連結された第1の軸及び第2の軸と、第1の軸と第
2の軸との間に配設され、第1の軸と第2の軸とを直結
状態から切断状態までの間でスリップ結合するクラッチ
と、クラッチの第1の軸と第2の軸とのスリップ状態を
調整するスリップ状態調整手段と、両出力軸の回転差を
検出する回転差検出手段と、回転差検出手段により検出
される回転差が所望の回転差となるようにスリップ状態
調整手段を制御する制御手段とを具備する構成である。
装置を有するパワートレーンの性能を試験する性能試験
装置であって、差動装置の両出力軸にギヤを介してそれ
ぞれ連結された第1の軸及び第2の軸と、第1の軸と第
2の軸との間に配設され、第1の軸と第2の軸とを直結
状態から切断状態までの間でスリップ結合するクラッチ
と、クラッチの第1の軸と第2の軸とのスリップ状態を
調整するスリップ状態調整手段と、両出力軸の回転差を
検出する回転差検出手段と、回転差検出手段により検出
される回転差が所望の回転差となるようにスリップ状態
調整手段を制御する制御手段とを具備する構成である。
【0008】請求項2の発明は、請求項1記載のパワー
トレーンの性能試験装置において、各ギヤが、両出力軸
の回転を増速して第1の軸及び第2の軸にそれぞれ伝達
する構成である。
トレーンの性能試験装置において、各ギヤが、両出力軸
の回転を増速して第1の軸及び第2の軸にそれぞれ伝達
する構成である。
【0009】請求項3の発明は、請求項1または2記載
のパワートレーンの性能試験装置において、クラッチが
油圧クラッチであり、スリップ状態調整手段がオイルポ
ンプから供給される油圧を制御する油圧制御ユニットで
あり、制御装置が油圧制御ユニットから油圧クラッチへ
供給される油圧を制御する構成である。
のパワートレーンの性能試験装置において、クラッチが
油圧クラッチであり、スリップ状態調整手段がオイルポ
ンプから供給される油圧を制御する油圧制御ユニットで
あり、制御装置が油圧制御ユニットから油圧クラッチへ
供給される油圧を制御する構成である。
【0010】請求項4の発明は、請求項2または3記載
のパワートレーンの性能試験装置において、回転差検出
手段が、第1の軸及び第2の軸の回転をそれぞれ検出
し、これらの回転差を算出する構成である。
のパワートレーンの性能試験装置において、回転差検出
手段が、第1の軸及び第2の軸の回転をそれぞれ検出
し、これらの回転差を算出する構成である。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は、本発明のパワートレーンの性能試験装
置を示す概略構成図であり、図中、符号1は基台2上に
設置された自動車用のガソリンエンジン(以下、単にエ
ンジンと呼ぶ)を示す。エンジン1には、パワートレ−
ンとしての変速機3と差動装置4とが一体となったトラ
ンスアクスル5が接続されており、差動装置4の左右の
差動出力軸6,7には、エンジン1の回転が減速して伝
達される。差動装置4は、図2に示すように、変速機3
に駆動されるリングギヤ9と、リングギヤ9が固定され
たディファレンシャルキャリア10と、ピニオンシャフ
ト11により回転自在に保持された一対のピニオンギヤ
12,13と、これらピニオンギヤ12,13と噛合す
るとともに、差動出力軸6,7に接続する一対のサイド
ギヤ14,15とから主に構成されている。ピニオンシ
ャフト11は、ディファレンシャルキャリア10と一体
に回転し、差動出力軸6,7間の差回転を許しながら、
ピニオンギヤ12,13を介してサイドギヤ14,15
を駆動する。
明する。図1は、本発明のパワートレーンの性能試験装
置を示す概略構成図であり、図中、符号1は基台2上に
設置された自動車用のガソリンエンジン(以下、単にエ
ンジンと呼ぶ)を示す。エンジン1には、パワートレ−
ンとしての変速機3と差動装置4とが一体となったトラ
ンスアクスル5が接続されており、差動装置4の左右の
差動出力軸6,7には、エンジン1の回転が減速して伝
達される。差動装置4は、図2に示すように、変速機3
に駆動されるリングギヤ9と、リングギヤ9が固定され
たディファレンシャルキャリア10と、ピニオンシャフ
ト11により回転自在に保持された一対のピニオンギヤ
12,13と、これらピニオンギヤ12,13と噛合す
るとともに、差動出力軸6,7に接続する一対のサイド
ギヤ14,15とから主に構成されている。ピニオンシ
ャフト11は、ディファレンシャルキャリア10と一体
に回転し、差動出力軸6,7間の差回転を許しながら、
ピニオンギヤ12,13を介してサイドギヤ14,15
を駆動する。
【0012】差動出力軸6,7には、両出力軸6,7の
回転を増速する増速機20,21がそれぞれ接続されて
いる。増速機20,21は、共に同一構造なので、ここ
では増速機20について説明する。増速機20は、複数
のギヤ20a,20b,20cから構成されており、差
動出力軸6と一体のギヤ20aにこのギヤ20aよりも
小径のギヤ20bが噛合して、さらに、ギヤ20bにこ
のギヤ20bよりも小径のギヤ20cが噛合して増速を
行う。例えば、増速機20において、ギヤ20aからギ
ヤ20bへの増速比が3.5に設定され、ギヤ20aか
らギヤ20cへの増速比が5.0に設定されている。
回転を増速する増速機20,21がそれぞれ接続されて
いる。増速機20,21は、共に同一構造なので、ここ
では増速機20について説明する。増速機20は、複数
のギヤ20a,20b,20cから構成されており、差
動出力軸6と一体のギヤ20aにこのギヤ20aよりも
小径のギヤ20bが噛合して、さらに、ギヤ20bにこ
のギヤ20bよりも小径のギヤ20cが噛合して増速を
行う。例えば、増速機20において、ギヤ20aからギ
ヤ20bへの増速比が3.5に設定され、ギヤ20aか
らギヤ20cへの増速比が5.0に設定されている。
【0013】増速機21のギヤ21bには、このギヤ2
1bと一体結合している計測用出力軸24が突出してお
り、この計測用出力軸24には、負荷手段としての動力
計25及びフライホイール装置26が接続されている。
図中、符号27は計測用出力軸24の駆動トルクを検出
するトルクメータを示す。
1bと一体結合している計測用出力軸24が突出してお
り、この計測用出力軸24には、負荷手段としての動力
計25及びフライホイール装置26が接続されている。
図中、符号27は計測用出力軸24の駆動トルクを検出
するトルクメータを示す。
【0014】増速機20,21のギヤ20c,21cの
内方側には、差動出力軸6,7と平行に配設される第1
の軸22及び第2の軸23がそれぞれ接続されており、
これらのギヤ20c,21cの外方側には、第1の軸2
2及び第2の軸23と共に回転する回転パルスギヤ3
0,31がそれぞれ設けられている。回転パルスギヤ3
0,31の近傍には、回転パルスギヤ30,31の回転
数を検出する回転ピックアップセンサ32,33がそれ
ぞれ配設されている。回転ピックアップセンサ32,3
3は、第1の軸22と第2の軸23の回転差を検出する
回転差演算ユニット34に接続しており、第1の軸22
及び第2の軸23の回転信号を回転差演算ユニット34
に出力する。回転差演算ユニット34は、後述する制御
手段としての電子制御ユニット37の内部に設けられて
いる。回転パルスギヤ30,31、回転ピックアップセ
ンサ32,33及び回転差演算ユニット34から回転差
検出手段が構成されている。
内方側には、差動出力軸6,7と平行に配設される第1
の軸22及び第2の軸23がそれぞれ接続されており、
これらのギヤ20c,21cの外方側には、第1の軸2
2及び第2の軸23と共に回転する回転パルスギヤ3
0,31がそれぞれ設けられている。回転パルスギヤ3
0,31の近傍には、回転パルスギヤ30,31の回転
数を検出する回転ピックアップセンサ32,33がそれ
ぞれ配設されている。回転ピックアップセンサ32,3
3は、第1の軸22と第2の軸23の回転差を検出する
回転差演算ユニット34に接続しており、第1の軸22
及び第2の軸23の回転信号を回転差演算ユニット34
に出力する。回転差演算ユニット34は、後述する制御
手段としての電子制御ユニット37の内部に設けられて
いる。回転パルスギヤ30,31、回転ピックアップセ
ンサ32,33及び回転差演算ユニット34から回転差
検出手段が構成されている。
【0015】差動出力軸6,7の回転差を、第1の軸2
2と第2の軸23との回転差から検出することによっ
て、差動出力軸6,7の回転が増速機20,21により
増速されて、第1の軸22及び第2の軸23に伝達され
るので、その分だけ回転数が高くなり、回転数の正確な
測定が可能となるので、差動出力軸6,7の回転差を正
確に検出することができる。なお、本実施例では、差動
出力軸6,7の回転差を、第1の軸22と第2の軸23
との回転差から検出しているが、差動出力軸6,7から
直接検出しても良い。
2と第2の軸23との回転差から検出することによっ
て、差動出力軸6,7の回転が増速機20,21により
増速されて、第1の軸22及び第2の軸23に伝達され
るので、その分だけ回転数が高くなり、回転数の正確な
測定が可能となるので、差動出力軸6,7の回転差を正
確に検出することができる。なお、本実施例では、差動
出力軸6,7の回転差を、第1の軸22と第2の軸23
との回転差から検出しているが、差動出力軸6,7から
直接検出しても良い。
【0016】第1の軸22及び第2の軸23は、複数の
軸受28にそれぞれ支持されており、第1の軸22と第
2の軸23とを直結状態から切断状態までの間でスリッ
プ結合するクラッチとしてのスリップ制御クラッチ35
によって互いに連結されている。スリップ制御クラッチ
35は、A/T(オートマチックトランスミッション)
を採用した車両に用いられているダンパークラッチと略
同様の構成であり、図3に示すように、第1の軸22に
連結しているフランジ部40と、このフランジ部40に
スプライン結合しているケース41と、ケース41の内
部に設けられたポンプインペラ42と、ポンプインペラ
42と対向して配設されているタービンライナ43と、
タービンライナ43の背面に設けられており、ケース4
1と当接可能なクラッチ部44と、タービンライナ43
とクラッチ部44とが共に固定され、第2の軸23に連
結するインナシャフト46とから主に構成されている。
スリップ制御クラッチ35は、クラッチ部44とタービ
ンライナ43とに作用する油圧を調整することにより、
クラッチ部44のケース41への押圧力を変えてスリッ
プ量を調整する。
軸受28にそれぞれ支持されており、第1の軸22と第
2の軸23とを直結状態から切断状態までの間でスリッ
プ結合するクラッチとしてのスリップ制御クラッチ35
によって互いに連結されている。スリップ制御クラッチ
35は、A/T(オートマチックトランスミッション)
を採用した車両に用いられているダンパークラッチと略
同様の構成であり、図3に示すように、第1の軸22に
連結しているフランジ部40と、このフランジ部40に
スプライン結合しているケース41と、ケース41の内
部に設けられたポンプインペラ42と、ポンプインペラ
42と対向して配設されているタービンライナ43と、
タービンライナ43の背面に設けられており、ケース4
1と当接可能なクラッチ部44と、タービンライナ43
とクラッチ部44とが共に固定され、第2の軸23に連
結するインナシャフト46とから主に構成されている。
スリップ制御クラッチ35は、クラッチ部44とタービ
ンライナ43とに作用する油圧を調整することにより、
クラッチ部44のケース41への押圧力を変えてスリッ
プ量を調整する。
【0017】スリップ制御クラッチ35には、このクラ
ッチ35への油圧を調整して第1の軸と第2の軸とのス
リップ状態を調整するスリップ状態調整手段としての油
圧制御ユニット36が接続されている。油圧制御ユニッ
ト36は、図示しないデューティ電磁弁と複数の電磁弁
とから構成されている。油圧制御ユニット36は、電子
制御ユニット37に接続されており、電子制御ユニット
37からの信号によって、デューティ電磁弁のデューテ
ィ比を変化させて、クラッチ部44とタービンライナ4
3とに作用する油圧を変化させる。油圧制御ユニット3
6には、スリップ制御クラッチ35を動作する油圧を発
生するオイルポンプ39が接続されている。このオイル
ポンプ39から油圧制御ユニット36を介してスリップ
制御クラッチ35に油圧が供給される。
ッチ35への油圧を調整して第1の軸と第2の軸とのス
リップ状態を調整するスリップ状態調整手段としての油
圧制御ユニット36が接続されている。油圧制御ユニッ
ト36は、図示しないデューティ電磁弁と複数の電磁弁
とから構成されている。油圧制御ユニット36は、電子
制御ユニット37に接続されており、電子制御ユニット
37からの信号によって、デューティ電磁弁のデューテ
ィ比を変化させて、クラッチ部44とタービンライナ4
3とに作用する油圧を変化させる。油圧制御ユニット3
6には、スリップ制御クラッチ35を動作する油圧を発
生するオイルポンプ39が接続されている。このオイル
ポンプ39から油圧制御ユニット36を介してスリップ
制御クラッチ35に油圧が供給される。
【0018】電子制御ユニット37には、第1の軸22
と第2の軸23との回転差を設定する回転差設定スイッ
チ38が接続されている。回転差設定スイッチ38によ
り設定された回転差の信号は、電子制御ユニット37に
入力される。電子制御ユニット37は、第1の軸22と
第2の軸23との回転差が回転差設定スイッチ38から
の入力信号による回転差となるように油圧制御ユニット
36のデューティ電磁弁やその他の電磁弁を制御する。
と第2の軸23との回転差を設定する回転差設定スイッ
チ38が接続されている。回転差設定スイッチ38によ
り設定された回転差の信号は、電子制御ユニット37に
入力される。電子制御ユニット37は、第1の軸22と
第2の軸23との回転差が回転差設定スイッチ38から
の入力信号による回転差となるように油圧制御ユニット
36のデューティ電磁弁やその他の電磁弁を制御する。
【0019】次に、パワートレーンの性能試験装置の動
作について説明する。まず、性能試験を行う前に、差動
装置4のギヤ12〜15をなじませるためのなじみ運転
を行う。エンジン1を始動するとともに、回転差設定ス
イッチ38によって第1の軸22と第2の軸23との間
に回転差が生じるように回転差を設定する。例えば、回
転差を10とするために、差動出力軸6側の回転数が5
5、差動出力軸7側の回転数が45となるように、第1
の軸22と第2の軸23との連結をスリップ状態とす
る。回転差設定スイッチ38による回転差の信号は、電
子制御ユニット37に入力される。電子制御ユニット3
7は、この信号に基づいて、油圧制御ユニット36から
スリップ制御クラッチ35への油圧が低くなるように、
油圧制御ユニット36のデューティ電磁弁やその他の電
磁弁を制御する。この制御によって、スリップ制御クラ
ッチ35において、クラッチ部44とタービンライナ4
3への油圧が低下し、クラッチ部44とケース41との
接触状態が緩められて、第1の軸22と第2の軸23と
の連結がスリップ状態となる。
作について説明する。まず、性能試験を行う前に、差動
装置4のギヤ12〜15をなじませるためのなじみ運転
を行う。エンジン1を始動するとともに、回転差設定ス
イッチ38によって第1の軸22と第2の軸23との間
に回転差が生じるように回転差を設定する。例えば、回
転差を10とするために、差動出力軸6側の回転数が5
5、差動出力軸7側の回転数が45となるように、第1
の軸22と第2の軸23との連結をスリップ状態とす
る。回転差設定スイッチ38による回転差の信号は、電
子制御ユニット37に入力される。電子制御ユニット3
7は、この信号に基づいて、油圧制御ユニット36から
スリップ制御クラッチ35への油圧が低くなるように、
油圧制御ユニット36のデューティ電磁弁やその他の電
磁弁を制御する。この制御によって、スリップ制御クラ
ッチ35において、クラッチ部44とタービンライナ4
3への油圧が低下し、クラッチ部44とケース41との
接触状態が緩められて、第1の軸22と第2の軸23と
の連結がスリップ状態となる。
【0020】この後、回転ピックアップセンサ32,3
3が、回転パルスギヤ30,31の回転数をそれぞれ検
出する。これらの回転数の信号が回転差演算ユニット3
4に入力され、回転差演算ユニット34において、第1
の軸22と第2の軸23との回転差が算出される。この
回転差の信号が、電子制御ユニット37に入力され、回
転差設定スイッチ38からの回転差(この場合10)と
比較される。電子制御ユニット37によって、回転差演
算ユニット34からの回転差と回転差設定スイッチ38
からの回転差とが同一となったことが確認されると、こ
の状態で所定時間、差動装置4が駆動される。回転差演
算ユニット34からの回転差と回転差設定スイッチ38
からの回転差とが同一にならない場合には、電子制御ユ
ニット37が、スリップ制御クラッチ35を制御して第
1の軸22と第2の軸23とのスリップ状態を再調整す
る。
3が、回転パルスギヤ30,31の回転数をそれぞれ検
出する。これらの回転数の信号が回転差演算ユニット3
4に入力され、回転差演算ユニット34において、第1
の軸22と第2の軸23との回転差が算出される。この
回転差の信号が、電子制御ユニット37に入力され、回
転差設定スイッチ38からの回転差(この場合10)と
比較される。電子制御ユニット37によって、回転差演
算ユニット34からの回転差と回転差設定スイッチ38
からの回転差とが同一となったことが確認されると、こ
の状態で所定時間、差動装置4が駆動される。回転差演
算ユニット34からの回転差と回転差設定スイッチ38
からの回転差とが同一にならない場合には、電子制御ユ
ニット37が、スリップ制御クラッチ35を制御して第
1の軸22と第2の軸23とのスリップ状態を再調整す
る。
【0021】試験作業者が回転差設定スイッチ38によ
って第1の軸22と第2の軸23の回転差を電子制御ユ
ニット37に入力することにより、差動装置4内のギヤ
の噛み合いが変化される。したがって、差動出力軸と差
動出力軸を互いに連結する連結軸とを分離して、サイド
ギヤとピニオンギヤとの噛合状態を変化させる組替え作
業が不要となり、作業効率を向上することができる。ま
た、組替え作業に要する時間が短縮されるので、性能試
験装置の稼働率を向上することができる。
って第1の軸22と第2の軸23の回転差を電子制御ユ
ニット37に入力することにより、差動装置4内のギヤ
の噛み合いが変化される。したがって、差動出力軸と差
動出力軸を互いに連結する連結軸とを分離して、サイド
ギヤとピニオンギヤとの噛合状態を変化させる組替え作
業が不要となり、作業効率を向上することができる。ま
た、組替え作業に要する時間が短縮されるので、性能試
験装置の稼働率を向上することができる。
【0022】回転差演算ユニット34からの回転差と回
転差設定スイッチ38からの回転差とが同一であると、
第1の軸22と第2の軸23との間には、差回転が生じ
ているので、差動出力軸6,7も差回転を持って回転す
る。したがって、差動装置4内では、差動出力軸6,7
に接続したサイドギヤ14,15とサイドギヤ14,1
5と噛合するピニオンギヤ12,13とが徐々に相対回
転し、これらギヤ12〜15の全ての歯に均等に負荷が
かかることになる。その結果、従来装置の課題であった
一部の歯にのみに生じる摩耗や損傷が防止される。
転差設定スイッチ38からの回転差とが同一であると、
第1の軸22と第2の軸23との間には、差回転が生じ
ているので、差動出力軸6,7も差回転を持って回転す
る。したがって、差動装置4内では、差動出力軸6,7
に接続したサイドギヤ14,15とサイドギヤ14,1
5と噛合するピニオンギヤ12,13とが徐々に相対回
転し、これらギヤ12〜15の全ての歯に均等に負荷が
かかることになる。その結果、従来装置の課題であった
一部の歯にのみに生じる摩耗や損傷が防止される。
【0023】所定時間、差動装置4を駆動し、ギヤ12
〜15を十分になじませた後、回転差設定スイッチ38
によって第1の軸22と第2の軸23との回転差を0に
設定する、すなわち、第1の軸22と第2の軸23とを
直結状態とする。回転差設定スイッチ38による回転差
の信号は、電子制御ユニット37に入力される。電子制
御ユニット37は、この信号に基づいて、油圧制御ユニ
ット36からスリップ制御クラッチ35への油圧が高ま
るように、油圧制御ユニット36のデューティ電磁弁や
その他の電磁弁を制御する。この制御によって、スリッ
プ制御クラッチ35において、クラッチ部44とタービ
ンライナ43との間に油圧が作用し、クラッチ部44が
ケース41に押圧されて、第1の軸22と第2の軸23
とが直結状態となる。
〜15を十分になじませた後、回転差設定スイッチ38
によって第1の軸22と第2の軸23との回転差を0に
設定する、すなわち、第1の軸22と第2の軸23とを
直結状態とする。回転差設定スイッチ38による回転差
の信号は、電子制御ユニット37に入力される。電子制
御ユニット37は、この信号に基づいて、油圧制御ユニ
ット36からスリップ制御クラッチ35への油圧が高ま
るように、油圧制御ユニット36のデューティ電磁弁や
その他の電磁弁を制御する。この制御によって、スリッ
プ制御クラッチ35において、クラッチ部44とタービ
ンライナ43との間に油圧が作用し、クラッチ部44が
ケース41に押圧されて、第1の軸22と第2の軸23
とが直結状態となる。
【0024】この後、前述のなじみ運転と同様に、回転
ピックアップセンサ32,33が、回転パルスギヤ3
0,31の回転数をそれぞれ検出する。これらの回転数
の信号が回転差演算ユニット34に入力され、回転差演
算ユニット34において、第1の軸22と第2の軸23
との回転差が算出される。この回転差の信号が、電子制
御ユニット37に入力され、回転差設定スイッチ38か
らの回転差(この場合0)と比較される。電子制御ユニ
ット37によって、回転差演算ユニット34からの回転
差と回転差設定スイッチ38からの回転差とが同一とな
ったことが確認されると、パワートレーンの性能試験が
開始される。
ピックアップセンサ32,33が、回転パルスギヤ3
0,31の回転数をそれぞれ検出する。これらの回転数
の信号が回転差演算ユニット34に入力され、回転差演
算ユニット34において、第1の軸22と第2の軸23
との回転差が算出される。この回転差の信号が、電子制
御ユニット37に入力され、回転差設定スイッチ38か
らの回転差(この場合0)と比較される。電子制御ユニ
ット37によって、回転差演算ユニット34からの回転
差と回転差設定スイッチ38からの回転差とが同一とな
ったことが確認されると、パワートレーンの性能試験が
開始される。
【0025】性能試験が開始されると、所定の運転モー
ドやシフトスケジュールに基づきエンジン1の運転や変
速機3のシフトを行う一方、動力計25やフライホイー
ル装置26により所定の負荷を計測用出力軸24を介し
て差動出力軸6,7、第1の軸22及び第2の軸23に
印加する。これにより、エンジン1と変速機3とのマッ
チングの評価やトランクアクスル5による動力損失等の
計測が行われるとともに、トルクメータ27により変速
ショック等も計測される。このとき、差動出力軸6,7
のトルクが増速機20,21により低減されるため、動
力計25やフライホイール装置26に小型のものを採用
することが可能となり、装置の小型化や設備コストの低
減を図ることができる。
ドやシフトスケジュールに基づきエンジン1の運転や変
速機3のシフトを行う一方、動力計25やフライホイー
ル装置26により所定の負荷を計測用出力軸24を介し
て差動出力軸6,7、第1の軸22及び第2の軸23に
印加する。これにより、エンジン1と変速機3とのマッ
チングの評価やトランクアクスル5による動力損失等の
計測が行われるとともに、トルクメータ27により変速
ショック等も計測される。このとき、差動出力軸6,7
のトルクが増速機20,21により低減されるため、動
力計25やフライホイール装置26に小型のものを採用
することが可能となり、装置の小型化や設備コストの低
減を図ることができる。
【0026】性能試験が長時間になるときには、所定時
間経過後、性能試験を一時的に中断し、差動装置4のギ
ヤ12〜15の噛み合いを変更するために、回転差設定
スイッチ38によって第1の軸22と第2の軸23との
間に回転差が生じるように回転差を設定する。例えば、
性能試験が開始される前には、回転差を10としたが、
今回は回転差15を設定し、差動出力軸6側の回転数が
57.5、差動出力軸7側の回転数が47.5となるよ
うに、前述の差動装置4のなじみ運転と同様に、電子制
御ユニット37及びスリップ制御クラッチ35を制御し
て、第1の軸22と第2の軸23との連結をスリップ状
態とする。このスリップ状態で差動装置4を所定時間駆
動する。所定時間、差動装置4を駆動し、ギヤ12〜1
5を十分になじませた後、第1の軸22と第2の軸23
とを直結状態として、パワートレーンの性能試験を再開
する。
間経過後、性能試験を一時的に中断し、差動装置4のギ
ヤ12〜15の噛み合いを変更するために、回転差設定
スイッチ38によって第1の軸22と第2の軸23との
間に回転差が生じるように回転差を設定する。例えば、
性能試験が開始される前には、回転差を10としたが、
今回は回転差15を設定し、差動出力軸6側の回転数が
57.5、差動出力軸7側の回転数が47.5となるよ
うに、前述の差動装置4のなじみ運転と同様に、電子制
御ユニット37及びスリップ制御クラッチ35を制御し
て、第1の軸22と第2の軸23との連結をスリップ状
態とする。このスリップ状態で差動装置4を所定時間駆
動する。所定時間、差動装置4を駆動し、ギヤ12〜1
5を十分になじませた後、第1の軸22と第2の軸23
とを直結状態として、パワートレーンの性能試験を再開
する。
【0027】性能試験を途中で中断できないときには、
性能試験中に差動装置4のギヤ12〜15の噛み合いを
変更するために、回転差設定スイッチ38によって第1
の軸22と第2の軸23との間に回転差が生じるように
回転差を設定する。この設定に基づいて、電子制御ユニ
ット37及びスリップ制御クラッチ35が、第1の軸2
2と第2の軸23との連結をスリップ状態とする。この
とき、スリップによってエンジン1の出力が失われる
が、失われる出力を性能試験の測定値に対して補正する
ことで試験結果を得ることができる。
性能試験中に差動装置4のギヤ12〜15の噛み合いを
変更するために、回転差設定スイッチ38によって第1
の軸22と第2の軸23との間に回転差が生じるように
回転差を設定する。この設定に基づいて、電子制御ユニ
ット37及びスリップ制御クラッチ35が、第1の軸2
2と第2の軸23との連結をスリップ状態とする。この
とき、スリップによってエンジン1の出力が失われる
が、失われる出力を性能試験の測定値に対して補正する
ことで試験結果を得ることができる。
【0028】失われるエンジン1の出力の比率は、(第
1の軸22と第2の軸23との差回転)/(第1の軸2
2と第2の軸23の平均回転数×2)で求められる。こ
こで、第1の軸22の回転数をN1、第2の軸23の回
転数をN2とすると、失われるエンジン1の出力の比率
は次式で求められる。 (N1−N2)/(N1+N2)‥‥(1) したがって、性能試験中に第1の軸22と第2の軸23
との連結をスリップ状態としたときには、性能試験の測
定値にエンジン1の出力と式(1)とで求められる出力
損失分を補正して、パワートレーンの性能試験の結果を
得る。
1の軸22と第2の軸23との差回転)/(第1の軸2
2と第2の軸23の平均回転数×2)で求められる。こ
こで、第1の軸22の回転数をN1、第2の軸23の回
転数をN2とすると、失われるエンジン1の出力の比率
は次式で求められる。 (N1−N2)/(N1+N2)‥‥(1) したがって、性能試験中に第1の軸22と第2の軸23
との連結をスリップ状態としたときには、性能試験の測
定値にエンジン1の出力と式(1)とで求められる出力
損失分を補正して、パワートレーンの性能試験の結果を
得る。
【0029】次に、差動装置4の耐久信頼性の試験につ
いて説明する。エンジン1を始動するとともに、回転差
設定スイッチ38によって第1の軸22と第2の軸23
との間に回転差が生じるように回転差を設定する。差動
装置4の耐久信頼性の試験においては、所定時間経過す
る度に第1の軸22と第2の軸23との回転差を変化さ
せる。すなわち、所定時間毎に回転差設定スイッチ38
による設定回転差の数値を変化させる。例えば、試験開
始から1時間経過するまでは回転差を5として、その後
1時間の間は回転差を10とするというように、設定回
転差の数値を経過時間に応じて変化させる。
いて説明する。エンジン1を始動するとともに、回転差
設定スイッチ38によって第1の軸22と第2の軸23
との間に回転差が生じるように回転差を設定する。差動
装置4の耐久信頼性の試験においては、所定時間経過す
る度に第1の軸22と第2の軸23との回転差を変化さ
せる。すなわち、所定時間毎に回転差設定スイッチ38
による設定回転差の数値を変化させる。例えば、試験開
始から1時間経過するまでは回転差を5として、その後
1時間の間は回転差を10とするというように、設定回
転差の数値を経過時間に応じて変化させる。
【0030】一方、エンジン1は所定の運転モードに基
づき運転を行い、変速機3は所定のシフトスケジュール
に基づきのシフトを行う。動力計25やフライホイール
装置26は、所定の負荷を計測用出力軸24を介して差
動出力軸6,7、第1の軸22及び第2の軸23に印加
する。
づき運転を行い、変速機3は所定のシフトスケジュール
に基づきのシフトを行う。動力計25やフライホイール
装置26は、所定の負荷を計測用出力軸24を介して差
動出力軸6,7、第1の軸22及び第2の軸23に印加
する。
【0031】回転差を時間に応じて変化させる状態にお
いて、差動装置4を所定時間駆動すると、第1の軸22
と第2の軸23との間には、時間に応じて異なる差回転
が生じる。第1の軸22は、第2の軸23に対して差回
転の分だけ若干高速で回転するので、試験中には、これ
らに接続された差動出力軸6,7も若干量の差回転を持
ってそれぞれ回転する。したがって、差動装置4内で
は、差動出力軸6,7に接続したサイドギヤ14,15
とサイドギヤ14,15と噛み合うピニオンギヤ12,
13とが、時間に応じて変化する差回転に応じて徐々に
相対回転し、所定時間の耐久信頼性の試験を行うと、こ
れらギヤ12〜15の全ての歯に差回転に応じた負荷が
かかることになる。
いて、差動装置4を所定時間駆動すると、第1の軸22
と第2の軸23との間には、時間に応じて異なる差回転
が生じる。第1の軸22は、第2の軸23に対して差回
転の分だけ若干高速で回転するので、試験中には、これ
らに接続された差動出力軸6,7も若干量の差回転を持
ってそれぞれ回転する。したがって、差動装置4内で
は、差動出力軸6,7に接続したサイドギヤ14,15
とサイドギヤ14,15と噛み合うピニオンギヤ12,
13とが、時間に応じて変化する差回転に応じて徐々に
相対回転し、所定時間の耐久信頼性の試験を行うと、こ
れらギヤ12〜15の全ての歯に差回転に応じた負荷が
かかることになる。
【0032】試験の終了後、試験作業者は、差動装置4
を分解して各部の摩耗や損傷をチェックして、差動装置
4の耐久性を確認する。差動装置4の耐久信頼性では、
差動装置4に任意の差回転を与えることができ、実際の
走行時と略同様の状態で、差動装置4の摺動部、すなわ
ち、サイドギヤ14,15やピニオンギヤ12,13の
耐久信頼性を評価することができる。
を分解して各部の摩耗や損傷をチェックして、差動装置
4の耐久性を確認する。差動装置4の耐久信頼性では、
差動装置4に任意の差回転を与えることができ、実際の
走行時と略同様の状態で、差動装置4の摺動部、すなわ
ち、サイドギヤ14,15やピニオンギヤ12,13の
耐久信頼性を評価することができる。
【0033】前述の差動装置4の耐久信頼性の試験にお
いて、スリップ制御クラッチ35、動力計25及びフラ
イホイール装置26を、差動出力軸6側に配設すること
によって、第2の軸23を第1の軸22よりも差回転の
分だけ若干高速で回転させることが可能となり、前述の
差動装置4の耐久信頼性の試験とは逆の場合、すなわ
ち、第2の軸23が第1の軸22よりも若干高速で回転
する場合の試験も行うことができる。
いて、スリップ制御クラッチ35、動力計25及びフラ
イホイール装置26を、差動出力軸6側に配設すること
によって、第2の軸23を第1の軸22よりも差回転の
分だけ若干高速で回転させることが可能となり、前述の
差動装置4の耐久信頼性の試験とは逆の場合、すなわ
ち、第2の軸23が第1の軸22よりも若干高速で回転
する場合の試験も行うことができる。
【0034】前述の実施例では、パワートレーンの駆動
源としてエンジンを用いたが、電気モータ等を用いても
良い。また、前述の実施例では、トランクアクスルの性
能試験装置に本発明を適用したものであるが、変速機と
差動装置とが別体となったパワートレーンの性能試験装
置に本発明を適用しても良い。
源としてエンジンを用いたが、電気モータ等を用いても
良い。また、前述の実施例では、トランクアクスルの性
能試験装置に本発明を適用したものであるが、変速機と
差動装置とが別体となったパワートレーンの性能試験装
置に本発明を適用しても良い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、第1の軸と第2の軸とを直結状態から切断状態
までの間でスリップ結合するクラッチと、クラッチのス
リップ状態を調整するスリップ状態調整手段と、両出力
軸の回転差を検出する回転差検出手段と、回転差検出手
段により検出される回転差が所望の回転差となるように
スリップ状態調整手段を制御する制御手段とを具備する
ので、試験作業者が、制御手段に対して、第1の軸と第
2の軸との回転差を任意の回転差に設定することで、差
動装置内のサイドギヤとピニオンギヤとの噛み合いが変
わり、差動装置内のギヤの全ての歯に均等に負荷がかか
り、差動装置内のサイドギヤやピニオンギヤの偏摩耗や
損傷が防止される。したがって、差動出力軸と差動出力
軸を互いに連結する連結軸とを分離して、サイドギヤと
ピニオンギヤとの噛み合い状態を変化させる組替え作業
が不要となり、作業効率を向上することができる。ま
た、組替え作業に要する時間が短縮されるので、性能試
験装置の稼働率を向上することができる。さらに、差動
装置の耐久信頼性の試験を行うときには、差動装置に任
意の差回転を連続的に与えることができ、実際の走行時
と略同様の状態で、差動装置の摺動部、すなわち、サイ
ドギヤやピニオンギヤの耐久信頼性を評価することがで
きる。
よれば、第1の軸と第2の軸とを直結状態から切断状態
までの間でスリップ結合するクラッチと、クラッチのス
リップ状態を調整するスリップ状態調整手段と、両出力
軸の回転差を検出する回転差検出手段と、回転差検出手
段により検出される回転差が所望の回転差となるように
スリップ状態調整手段を制御する制御手段とを具備する
ので、試験作業者が、制御手段に対して、第1の軸と第
2の軸との回転差を任意の回転差に設定することで、差
動装置内のサイドギヤとピニオンギヤとの噛み合いが変
わり、差動装置内のギヤの全ての歯に均等に負荷がかか
り、差動装置内のサイドギヤやピニオンギヤの偏摩耗や
損傷が防止される。したがって、差動出力軸と差動出力
軸を互いに連結する連結軸とを分離して、サイドギヤと
ピニオンギヤとの噛み合い状態を変化させる組替え作業
が不要となり、作業効率を向上することができる。ま
た、組替え作業に要する時間が短縮されるので、性能試
験装置の稼働率を向上することができる。さらに、差動
装置の耐久信頼性の試験を行うときには、差動装置に任
意の差回転を連続的に与えることができ、実際の走行時
と略同様の状態で、差動装置の摺動部、すなわち、サイ
ドギヤやピニオンギヤの耐久信頼性を評価することがで
きる。
【0036】請求項2の発明によれば、両出力軸と第1
の軸及び第2の軸との間にそれぞれ介在されているギヤ
が、両出力軸の回転を増速して第1の軸及び第2の軸に
それぞれ伝達するので、出力軸のトルクが低減されて第
1の軸及び第2の軸に伝達される。したがって、負荷手
段を小型化することができ、装置の小型化や設備コスト
の低減を図ることができる。また、負荷手段への影響が
少なくて済み、負荷手段の耐久性を向上することもでき
る。
の軸及び第2の軸との間にそれぞれ介在されているギヤ
が、両出力軸の回転を増速して第1の軸及び第2の軸に
それぞれ伝達するので、出力軸のトルクが低減されて第
1の軸及び第2の軸に伝達される。したがって、負荷手
段を小型化することができ、装置の小型化や設備コスト
の低減を図ることができる。また、負荷手段への影響が
少なくて済み、負荷手段の耐久性を向上することもでき
る。
【0037】請求項3の発明によれば、クラッチを油圧
クラッチとし、スリップ状態調整手段を油圧制御ユニッ
トとしたので、差動装置の両出力軸に差回転を生じさせ
る装置を油圧により作動する簡易な手段で構成すること
ができる。
クラッチとし、スリップ状態調整手段を油圧制御ユニッ
トとしたので、差動装置の両出力軸に差回転を生じさせ
る装置を油圧により作動する簡易な手段で構成すること
ができる。
【0038】請求項4の発明によれば、回転差検出手段
が、両出力軸と第1の軸及び第2の軸との間にそれぞれ
介在されているギヤによって増速された第1の軸及び第
2の軸の回転をそれぞれ検出し、これらの回転差を算出
するので、回転数の正確な測定が可能となり、出力軸の
回転差を正確に検出することができる。
が、両出力軸と第1の軸及び第2の軸との間にそれぞれ
介在されているギヤによって増速された第1の軸及び第
2の軸の回転をそれぞれ検出し、これらの回転差を算出
するので、回転数の正確な測定が可能となり、出力軸の
回転差を正確に検出することができる。
【図1】本発明のパワートレーンの性能試験装置の概略
構成図である。
構成図である。
【図2】図1に示す差動装置の拡大断面図である。
【図3】図1に示すスリップ制御クラッチの拡大断面図
である。
である。
1 エンジン 3 変速機 4 差動装置 5 トランスアクスル 6,7 差動出力軸 20,21 増速機 20a,20b,20c,21a,21b,21c ギ
ヤ 22 第1の軸 23 第2の軸 25 動力計 26 フライホイール装置 30,31 回転パルスギヤ 32,33 回転ピックアップセンサ 34 回転差演算ユニット 35 スリップ制御クラッチ 36 油圧制御ユニット 37 電子制御ユニット 38 回転差設定スイッチ 39 オイルポンプ
ヤ 22 第1の軸 23 第2の軸 25 動力計 26 フライホイール装置 30,31 回転パルスギヤ 32,33 回転ピックアップセンサ 34 回転差演算ユニット 35 スリップ制御クラッチ 36 油圧制御ユニット 37 電子制御ユニット 38 回転差設定スイッチ 39 オイルポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小嶌 伸一 東京都大田区下丸子四丁目21番1号・三菱 自動車エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 加藤 義夫 東京都港区芝五丁目33番8号・三菱自動車 工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】差動装置を有するパワートレーンの性能を
試験する性能試験装置であって、 上記差動装置の両出力軸にギヤを介してそれぞれ連結さ
れた第1の軸及び第2の軸と、 上記第1の軸と上記第2の軸との間に配設され、上記第
1の軸と上記第2の軸とを直結状態から切断状態までの
間でスリップ結合するクラッチと、 上記クラッチの上記第1の軸と上記第2の軸とのスリッ
プ状態を調整するスリップ状態調整手段と、 上記両出力軸の回転差を検出する回転差検出手段と、 上記回転差検出手段により検出される回転差が所望の回
転差となるように上記スリップ状態調整手段を制御する
制御手段と、 を具備することを特徴とするパワートレーンの性能試験
装置。 - 【請求項2】上記各ギヤが、上記両出力軸の回転を増速
して上記第1の軸及び上記第2の軸にそれぞれ伝達する
ことを特徴とする請求項1記載のパワートレーンの性能
試験装置。 - 【請求項3】上記クラッチが油圧クラッチであり、上記
スリップ状態調整手段がオイルポンプから供給される油
圧を制御する油圧制御ユニットであり、上記制御装置が
上記油圧制御ユニットから上記油圧クラッチへ供給され
る油圧を制御することを特徴とする請求項1または2記
載のパワートレーンの性能試験装置。 - 【請求項4】上記回転差検出手段が、上記第1の軸及び
上記第2の軸の回転をそれぞれ検出し、これらの回転差
を算出することを特徴とする請求項2または3記載のパ
ワートレーンの性能試験装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8144406A JPH09325089A (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | パワートレーンの性能試験装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8144406A JPH09325089A (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | パワートレーンの性能試験装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09325089A true JPH09325089A (ja) | 1997-12-16 |
Family
ID=15361439
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8144406A Withdrawn JPH09325089A (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | パワートレーンの性能試験装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09325089A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100891727B1 (ko) * | 2007-11-02 | 2009-04-03 | (주)선영시스텍 | 레벨센더의 내구성 시험장치 |
CN102879197A (zh) * | 2012-09-27 | 2013-01-16 | 重庆大学 | 一种转动传动副机构在线检测实验机 |
CN115077895A (zh) * | 2022-08-18 | 2022-09-20 | 山东优安新能源汽车零部件有限公司 | 一种车辆传动机构的测试装置 |
-
1996
- 1996-06-06 JP JP8144406A patent/JPH09325089A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100891727B1 (ko) * | 2007-11-02 | 2009-04-03 | (주)선영시스텍 | 레벨센더의 내구성 시험장치 |
CN102879197A (zh) * | 2012-09-27 | 2013-01-16 | 重庆大学 | 一种转动传动副机构在线检测实验机 |
CN115077895A (zh) * | 2022-08-18 | 2022-09-20 | 山东优安新能源汽车零部件有限公司 | 一种车辆传动机构的测试装置 |
CN115077895B (zh) * | 2022-08-18 | 2022-11-08 | 山东优安新能源汽车零部件有限公司 | 一种车辆传动机构的测试装置 |
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