JPH09324897A - 石油精製用圧力容器およびその熱処理方法 - Google Patents
石油精製用圧力容器およびその熱処理方法Info
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- JPH09324897A JPH09324897A JP14202796A JP14202796A JPH09324897A JP H09324897 A JPH09324897 A JP H09324897A JP 14202796 A JP14202796 A JP 14202796A JP 14202796 A JP14202796 A JP 14202796A JP H09324897 A JPH09324897 A JP H09324897A
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- Japan
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- heat treatment
- pressure vessel
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- Filling Or Discharging Of Gas Storage Vessels (AREA)
- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 内面に腐食防止層を形成した石油精製用圧力
容器において、当該内面の剥離割れを抑制する。具体的
には、腐食防止層の剥離割れを抑制した石油精製用圧力
容器を提供する。またそのための具体的手法として溶接
継手部に対する後熱処理方法を改良する。 【解決手段】 内壁表面にステンレス鋼層を有する石油
精製用圧力容器において、母材とステンレス鋼層との界
面組織を非マルテンサイト組織とし、その結果として界
面硬さを400Hv以下とする。そのための具体的手法
として、溶接継手部に対する後熱処理を2段階に分け、
第1段の後熱処理を行った後、該熱処理温度から490
〜580℃の温度範囲まで冷却してその温度で保持する
第2段の後熱処理を行う。
容器において、当該内面の剥離割れを抑制する。具体的
には、腐食防止層の剥離割れを抑制した石油精製用圧力
容器を提供する。またそのための具体的手法として溶接
継手部に対する後熱処理方法を改良する。 【解決手段】 内壁表面にステンレス鋼層を有する石油
精製用圧力容器において、母材とステンレス鋼層との界
面組織を非マルテンサイト組織とし、その結果として界
面硬さを400Hv以下とする。そのための具体的手法
として、溶接継手部に対する後熱処理を2段階に分け、
第1段の後熱処理を行った後、該熱処理温度から490
〜580℃の温度範囲まで冷却してその温度で保持する
第2段の後熱処理を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腐食防止層の剥離
割れを抑制した石油精製用圧力容器、並びに該石油精製
用圧力容器の製造における溶接継手部の溶接後熱処理方
法に関し、詳細には圧力容器の母材(例えばCr−Mo
系合金鋼などの低合金耐熱鋼)と腐食防止層たるステン
レス鋼層(例えばオーステナイト系ステンレス鋼層)と
の間の耐剥離割れ性を向上させる技術に関するものであ
る。
割れを抑制した石油精製用圧力容器、並びに該石油精製
用圧力容器の製造における溶接継手部の溶接後熱処理方
法に関し、詳細には圧力容器の母材(例えばCr−Mo
系合金鋼などの低合金耐熱鋼)と腐食防止層たるステン
レス鋼層(例えばオーステナイト系ステンレス鋼層)と
の間の耐剥離割れ性を向上させる技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】石油精製プロセスにおいては、原油から
各種石油類を蒸留精製した後の残留重油を更に利用する
目的で、圧力容器中の残留重油に高温高圧の水素ガスを
反応させることにより、有用な軽質油類を取り出すとい
うことがなされている。この反応による副産物として腐
食性の高い硫化水素が生成するが、上記圧力容器の母材
として一般に使用されているCr−Mo系合金鋼あるい
はCr−Mo−V系合金鋼等は、この硫化水素に対する
腐食感受性が高いという欠点を有している。
各種石油類を蒸留精製した後の残留重油を更に利用する
目的で、圧力容器中の残留重油に高温高圧の水素ガスを
反応させることにより、有用な軽質油類を取り出すとい
うことがなされている。この反応による副産物として腐
食性の高い硫化水素が生成するが、上記圧力容器の母材
として一般に使用されているCr−Mo系合金鋼あるい
はCr−Mo−V系合金鋼等は、この硫化水素に対する
腐食感受性が高いという欠点を有している。
【0003】そこでこの硫化水素から母材を守るという
主旨から、圧力容器の内壁面に肉盛溶接もしくはクラッ
ド等によりSUS309やSUS347等のステンレス
鋼層を単層または複層に形成することが行われている。
即ち石油精製用圧力容器は、上記母材鋼にステンレス鋼
を肉盛溶接もしくはクラッド法によって積層せしめた材
料を、リング状もしくは板状の部品に加工し、更にこの
部品を継手溶接によりつなぎ合わせて圧力容器形状に加
工して製造されるものであり、従って多くの溶接継手部
が存在する。
主旨から、圧力容器の内壁面に肉盛溶接もしくはクラッ
ド等によりSUS309やSUS347等のステンレス
鋼層を単層または複層に形成することが行われている。
即ち石油精製用圧力容器は、上記母材鋼にステンレス鋼
を肉盛溶接もしくはクラッド法によって積層せしめた材
料を、リング状もしくは板状の部品に加工し、更にこの
部品を継手溶接によりつなぎ合わせて圧力容器形状に加
工して製造されるものであり、従って多くの溶接継手部
が存在する。
【0004】溶接継手部に対しては、残留応力の除去や
溶接時に溶け込んだ水素の放出、更に母材の機械的特性
の調整などの目的で溶接後熱処理が行われる。この後熱
処理は、通常図1に示す様に650〜720℃の温度で
5〜30時間保持することによって行われる。ところが
定期点検等で圧力容器を停止させたときに、水素が母材
とステンレス鋼との界面に濃化することが直接的な原因
となって、母材とステンレス鋼層との間で一種の遅れ破
壊である剥離割れを生じるという問題のあることが分か
った[大西敬三:溶接学会誌,54,3(1985),
p.154、および石塚紀男:溶接学会誌,62,3
(1993),p.155など]。これは、肉盛溶接部
やクラッド部の界面組織も溶接後熱処理によっも熱的影
響を受けるためであると考えられる。
溶接時に溶け込んだ水素の放出、更に母材の機械的特性
の調整などの目的で溶接後熱処理が行われる。この後熱
処理は、通常図1に示す様に650〜720℃の温度で
5〜30時間保持することによって行われる。ところが
定期点検等で圧力容器を停止させたときに、水素が母材
とステンレス鋼との界面に濃化することが直接的な原因
となって、母材とステンレス鋼層との間で一種の遅れ破
壊である剥離割れを生じるという問題のあることが分か
った[大西敬三:溶接学会誌,54,3(1985),
p.154、および石塚紀男:溶接学会誌,62,3
(1993),p.155など]。これは、肉盛溶接部
やクラッド部の界面組織も溶接後熱処理によっも熱的影
響を受けるためであると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの問題点に
着目してなされたものであって、溶接後熱処理条件を工
夫することにより耐剥離割れ性に優れた石油精製用圧力
容器を提供しようとするものである。
着目してなされたものであって、溶接後熱処理条件を工
夫することにより耐剥離割れ性に優れた石油精製用圧力
容器を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
によって提供された本発明の石油精製用圧力容器は、母
材の内壁表面に腐食防止のためのステンレス鋼層を有す
る石油精製用圧力容器において、母材(特に好ましくは
Cr−Mo系合金鋼あるいはCr−Mo−V系合金鋼な
どの低合金耐熱鋼で構成されたもの)とステンレス鋼層
との界面の硬さが400Hv以下であること、より好ま
しくは350Hv以下であることを要旨とするものであ
り、またその様な石油精製用圧力容器を製造する手段と
しては、継手部を溶接した後に行われる溶接後熱処理方
法を、第1段及び第2段に分け、特に第2段の熱処理条
件を、第1段熱処理後、490〜580℃、より好まし
くは520〜560℃の温度まで冷却し、その温度で保
持(好ましくは1〜200時間保持)した後冷却するこ
ととした点に要旨を有するものである。
によって提供された本発明の石油精製用圧力容器は、母
材の内壁表面に腐食防止のためのステンレス鋼層を有す
る石油精製用圧力容器において、母材(特に好ましくは
Cr−Mo系合金鋼あるいはCr−Mo−V系合金鋼な
どの低合金耐熱鋼で構成されたもの)とステンレス鋼層
との界面の硬さが400Hv以下であること、より好ま
しくは350Hv以下であることを要旨とするものであ
り、またその様な石油精製用圧力容器を製造する手段と
しては、継手部を溶接した後に行われる溶接後熱処理方
法を、第1段及び第2段に分け、特に第2段の熱処理条
件を、第1段熱処理後、490〜580℃、より好まし
くは520〜560℃の温度まで冷却し、その温度で保
持(好ましくは1〜200時間保持)した後冷却するこ
ととした点に要旨を有するものである。
【0007】なお第1段熱処理条件は特に限定されず、
一般的に採用されている後熱処理条件、例えば650〜
720℃の温度で5〜30時間の保持を行う通常の溶接
後熱処理条件が採用される。
一般的に採用されている後熱処理条件、例えば650〜
720℃の温度で5〜30時間の保持を行う通常の溶接
後熱処理条件が採用される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者らは石油精製用圧力容器
の耐剥離割れ性を向上させる熱処理方法を開発すること
を目的として、継手溶接後に行われる熱処理条件と母材
−ステンレス鋼層界面の微細組織、およびその剥離割れ
感受性について種々調査した。その結果、溶接後熱処理
をした後の母材とステンレス鋼層との界面に現れる鋼組
織、即ち界面硬さを左右する鋼組織、具体的には、界面
部に生成するマルテンサイト組織が剥離割れに重大な影
響を示すことを見出した。
の耐剥離割れ性を向上させる熱処理方法を開発すること
を目的として、継手溶接後に行われる熱処理条件と母材
−ステンレス鋼層界面の微細組織、およびその剥離割れ
感受性について種々調査した。その結果、溶接後熱処理
をした後の母材とステンレス鋼層との界面に現れる鋼組
織、即ち界面硬さを左右する鋼組織、具体的には、界面
部に生成するマルテンサイト組織が剥離割れに重大な影
響を示すことを見出した。
【0009】母材−ステンレス鋼層の界面は、母材とし
て例えば、Cr−Mo系合金鋼あるいはCr−Mo−V
系合金鋼などの低合金耐熱鋼で構成されたものを用いる
場合について考えると、CrやNi等の合金元素の濃度
が、母材の組成に近い濃度(低濃度)からステンレス鋼
の組成に近い濃度(高濃度)まで連続的に変化している
部分であるから、変態温度も大きく変化し、殊にオース
テナイト化温度が非常に低下している部分が存在する。
従って汎用されている溶接後熱処理温度では、母材−ス
テンレス鋼層の界面は部分的にオーステナイト化してお
り、そのまま室温まで冷却すると、冷却時にマルテンサ
イト変態が起こり、母材とステンレス鋼層との界面に非
常に硬くて脆いマルテンサイト組織が生成する(M.F. G
ITTOS, T.G. GOOCH : WELDING RESEARCH SUPPLEMENT ,
DEC., (1992), P461-Sなど)。
て例えば、Cr−Mo系合金鋼あるいはCr−Mo−V
系合金鋼などの低合金耐熱鋼で構成されたものを用いる
場合について考えると、CrやNi等の合金元素の濃度
が、母材の組成に近い濃度(低濃度)からステンレス鋼
の組成に近い濃度(高濃度)まで連続的に変化している
部分であるから、変態温度も大きく変化し、殊にオース
テナイト化温度が非常に低下している部分が存在する。
従って汎用されている溶接後熱処理温度では、母材−ス
テンレス鋼層の界面は部分的にオーステナイト化してお
り、そのまま室温まで冷却すると、冷却時にマルテンサ
イト変態が起こり、母材とステンレス鋼層との界面に非
常に硬くて脆いマルテンサイト組織が生成する(M.F. G
ITTOS, T.G. GOOCH : WELDING RESEARCH SUPPLEMENT ,
DEC., (1992), P461-Sなど)。
【0010】ところで剥離割れは一種の遅れ破壊である
と言われており(内藤:圧力技術,18,5(198
0)など)、遅れ破壊の感受性は材料強度、即ち材料の
硬さに依存していることから、界面に生成する硬いマル
テンサイト組織が剥離割れの感受性を高めている可能性
が考えられる。これに対し、より低い温度で溶接後熱処
理をすることも考えられるが、この場合はオーステナイ
ト化が起こらないためマルテンサイトも生成しないが、
もともと溶接後熱処理には溶接継手部の残留応力の除
去、水素の放出、母材の機械的特性の調節等の目的があ
り、これらを達成するためには後熱処理温度を低くする
ことはできない。そこで溶接後熱処理方法を工夫するこ
とにより溶接後熱処理の上記諸目的を達成し、かつ界面
の硬さを低下させることのできる方法、即ちマルテンサ
イト組織の生成を抑制し得る後熱処理方法の検討が必要
であると考えられるに至った。
と言われており(内藤:圧力技術,18,5(198
0)など)、遅れ破壊の感受性は材料強度、即ち材料の
硬さに依存していることから、界面に生成する硬いマル
テンサイト組織が剥離割れの感受性を高めている可能性
が考えられる。これに対し、より低い温度で溶接後熱処
理をすることも考えられるが、この場合はオーステナイ
ト化が起こらないためマルテンサイトも生成しないが、
もともと溶接後熱処理には溶接継手部の残留応力の除
去、水素の放出、母材の機械的特性の調節等の目的があ
り、これらを達成するためには後熱処理温度を低くする
ことはできない。そこで溶接後熱処理方法を工夫するこ
とにより溶接後熱処理の上記諸目的を達成し、かつ界面
の硬さを低下させることのできる方法、即ちマルテンサ
イト組織の生成を抑制し得る後熱処理方法の検討が必要
であると考えられるに至った。
【0011】マルテンサイト組織が生成する理由は、高
温保持によって生成したオーステナイトがそのままある
程度の速さで冷却されるためである。従って冷却するま
でにオーステナイトを無くしてしまえばマルテンサイト
組織は生成しないと考えられる。そこで本発明では上記
した様に後熱処理を2段に分け、通常の第1段後熱処理
を終了した後、直ちに室温まで冷却することなく、いっ
たんやや低い温度まで冷却し、その温度で保持した後、
室温まで冷却するという方法を開発したのである。この
2段熱処理法によると、通常の溶接後熱処理温度でオー
ステナイト化した部分は2段目の高温保持の間にフェラ
イト+炭化物に変態するため、その後室温まで冷却して
もマルテンサイト組織は生成せず、したがって界面硬さ
の低下を招き、その結果、剥離割れの感受性が低下する
のである。
温保持によって生成したオーステナイトがそのままある
程度の速さで冷却されるためである。従って冷却するま
でにオーステナイトを無くしてしまえばマルテンサイト
組織は生成しないと考えられる。そこで本発明では上記
した様に後熱処理を2段に分け、通常の第1段後熱処理
を終了した後、直ちに室温まで冷却することなく、いっ
たんやや低い温度まで冷却し、その温度で保持した後、
室温まで冷却するという方法を開発したのである。この
2段熱処理法によると、通常の溶接後熱処理温度でオー
ステナイト化した部分は2段目の高温保持の間にフェラ
イト+炭化物に変態するため、その後室温まで冷却して
もマルテンサイト組織は生成せず、したがって界面硬さ
の低下を招き、その結果、剥離割れの感受性が低下する
のである。
【0012】本発明者等が検討した結果によると、剥離
割れ感受性は界面硬さが400Hv以下となると著しく
低くなり、350Hv以下となるとさらに低くなること
が明らかになった。ここで言う界面硬さとは、界面をは
さんで母材からステンレス鋼層までの硬さを連続的に測
定し、その最高硬さを求めるという試験を、できるだけ
多くの異なった部分で行い、その最高硬さの平均値を求
めたものである。以下界面硬さと剥離割れ感受性の関係
について説明する。
割れ感受性は界面硬さが400Hv以下となると著しく
低くなり、350Hv以下となるとさらに低くなること
が明らかになった。ここで言う界面硬さとは、界面をは
さんで母材からステンレス鋼層までの硬さを連続的に測
定し、その最高硬さを求めるという試験を、できるだけ
多くの異なった部分で行い、その最高硬さの平均値を求
めたものである。以下界面硬さと剥離割れ感受性の関係
について説明する。
【0013】母材およびステンレス鋼層の硬さは、夫々
の合金組成や熱履歴などによって異なるが、おおよそ1
70〜250Hvの範囲にあり、平均的には200Hv
程度である。これに対し、図2における2段目の熱処理
温度を変化させたときの界面硬度への影響は図3に示す
通りであった。それによると、界面硬さは540℃付近
で極小となり、490〜580℃で界面硬さが400H
v以下となることが分かった。従って2段目の熱処理温
度は490℃以上580℃以下が必要であり、より好ま
しくは520℃以上であり、また560℃以下がより望
ましい。圧力容器の母材としては前記した様に各種低合
金耐熱鋼が用いられ、また内壁の表面層には各種のステ
ンレス鋼が用いられるが、その界面部分が完全にオース
テナイト化する温度は、いずれの場合も、ほぼ同程度
(具体的には600℃前後)であることを確認してお
り、本発明において推奨される適切な熱処理温度は上記
の温度範囲に含まれる。
の合金組成や熱履歴などによって異なるが、おおよそ1
70〜250Hvの範囲にあり、平均的には200Hv
程度である。これに対し、図2における2段目の熱処理
温度を変化させたときの界面硬度への影響は図3に示す
通りであった。それによると、界面硬さは540℃付近
で極小となり、490〜580℃で界面硬さが400H
v以下となることが分かった。従って2段目の熱処理温
度は490℃以上580℃以下が必要であり、より好ま
しくは520℃以上であり、また560℃以下がより望
ましい。圧力容器の母材としては前記した様に各種低合
金耐熱鋼が用いられ、また内壁の表面層には各種のステ
ンレス鋼が用いられるが、その界面部分が完全にオース
テナイト化する温度は、いずれの場合も、ほぼ同程度
(具体的には600℃前後)であることを確認してお
り、本発明において推奨される適切な熱処理温度は上記
の温度範囲に含まれる。
【0014】2段目の熱処理における保持時間は1時間
以上で200時間以下が望まれる。1時間未満では熱処
理の効果が十分でなく、一方200時間より長く保持し
ても効果の向上は期待できず、却って母材の強度が低下
するという悪影響を生じる可能性がある。
以上で200時間以下が望まれる。1時間未満では熱処
理の効果が十分でなく、一方200時間より長く保持し
ても効果の向上は期待できず、却って母材の強度が低下
するという悪影響を生じる可能性がある。
【0015】
【実施例】図2に示す後熱処理法の実施に際し、種々の
温度で2段目の後熱処理を行い、得られた材料につき剥
離割れ性の評価試験を行った。供試材としては、2.2
5Cr−1Mo鋼を母材とする石油精製用圧力容器の実
機材を用い、帯状電極によるサブマージアーク溶接によ
り母材の内表面にSUS309とSUS347の2層の
肉盛溶接がなされている。剥離割れ試験の条件は、試験
温度475℃、水素圧力200kg/cm2 、保持時間
48時間であり、保持終了後200℃/時間の冷却速度
で室温まで冷却した。室温到達後72時間放置してから
超音波による探傷試験を行い、剥離割れの面積率を求め
た。界面硬さの測定は、各試料につき20箇所以上の測
定を行い、夫々の最高硬さを求めそれらの平均を取った
ものである。
温度で2段目の後熱処理を行い、得られた材料につき剥
離割れ性の評価試験を行った。供試材としては、2.2
5Cr−1Mo鋼を母材とする石油精製用圧力容器の実
機材を用い、帯状電極によるサブマージアーク溶接によ
り母材の内表面にSUS309とSUS347の2層の
肉盛溶接がなされている。剥離割れ試験の条件は、試験
温度475℃、水素圧力200kg/cm2 、保持時間
48時間であり、保持終了後200℃/時間の冷却速度
で室温まで冷却した。室温到達後72時間放置してから
超音波による探傷試験を行い、剥離割れの面積率を求め
た。界面硬さの測定は、各試料につき20箇所以上の測
定を行い、夫々の最高硬さを求めそれらの平均を取った
ものである。
【0016】試験の結果を表1に示す。表から分かる様
に、2段目の後熱処理温度を490〜580℃としたも
のでは界面硬さが400Hv以下であり、剥離割れが抑
制されている。
に、2段目の後熱処理温度を490〜580℃としたも
のでは界面硬さが400Hv以下であり、剥離割れが抑
制されている。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、油精製用圧力容器における母材とステンレス鋼層と
の間の耐剥離割れ性に優れた安全な石油精製用圧力容器
が提供できることとなった。
で、油精製用圧力容器における母材とステンレス鋼層と
の間の耐剥離割れ性に優れた安全な石油精製用圧力容器
が提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の後熱処理のヒートパターンを示す図であ
る。
る。
【図2】本発明に用いた後熱処理のヒートパターンを示
す図である。
す図である。
【図3】後熱処理温度と界面硬さとの関係を示した図で
ある。
ある。
Claims (6)
- 【請求項1】 内壁表面にステンレス鋼層を有する石油
精製用圧力容器において、母材とステンレス鋼層との界
面の硬さが400Hv以下であることを特徴とする石油
精製用圧力容器。 - 【請求項2】 母材が低合金耐熱鋼である請求項1に記
載の石油精製用圧力容器。 - 【請求項3】 低合金耐熱鋼がCr−Mo系合金鋼ある
いはCr−Mo−V系合金鋼である請求項2に記載の石
油精製用圧力容器。 - 【請求項4】 内壁表面にステンレス鋼層を有する石油
精製用圧力容器の製造における溶接継手部の後熱処理に
際し、第1段の熱処理を行った後、該熱処理温度から4
90〜580℃の温度範囲まで冷却してその温度で保持
する第2段の熱処理を行い、しかる後、冷却することを
特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の石油精製用
圧力容器の熱処理方法。 - 【請求項5】 第1段の熱処理が、650〜720℃の
温度範囲で5〜30時間の保持によって行うものである
請求項4に記載の石油精製用圧力容器の熱処理方法。 - 【請求項6】 第2段の熱処理が、1〜200時間の保
持によって行うものである請求項4に記載の石油精製用
圧力容器の熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14202796A JPH09324897A (ja) | 1996-06-04 | 1996-06-04 | 石油精製用圧力容器およびその熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14202796A JPH09324897A (ja) | 1996-06-04 | 1996-06-04 | 石油精製用圧力容器およびその熱処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09324897A true JPH09324897A (ja) | 1997-12-16 |
Family
ID=15305672
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14202796A Withdrawn JPH09324897A (ja) | 1996-06-04 | 1996-06-04 | 石油精製用圧力容器およびその熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09324897A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017221594A1 (ja) * | 2016-06-22 | 2017-12-28 | 昭和電工株式会社 | 硫化水素混合物及びその製造方法並びに充填容器 |
-
1996
- 1996-06-04 JP JP14202796A patent/JPH09324897A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017221594A1 (ja) * | 2016-06-22 | 2017-12-28 | 昭和電工株式会社 | 硫化水素混合物及びその製造方法並びに充填容器 |
JPWO2017221594A1 (ja) * | 2016-06-22 | 2019-04-11 | 昭和電工株式会社 | 硫化水素混合物及びその製造方法並びに充填容器 |
US11312625B2 (en) | 2016-06-22 | 2022-04-26 | Showa Denko K.K | Hydrogen sulfide mixture, method for producing same, and filling container |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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