JPH09324259A - 薄膜人工格子の形成方法および薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜人工格子の形成方法および薄膜形成装置

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JPH09324259A
JPH09324259A JP14253396A JP14253396A JPH09324259A JP H09324259 A JPH09324259 A JP H09324259A JP 14253396 A JP14253396 A JP 14253396A JP 14253396 A JP14253396 A JP 14253396A JP H09324259 A JPH09324259 A JP H09324259A
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energy
thin film
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light
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Application number
JP14253396A
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English (en)
Inventor
Takeshi Karasawa
武 柄沢
Yoshinao Taketomi
義尚 武富
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡便な方法により形成されるミクロン
スケールの、特に基板に対して垂直又は平行ではないあ
る角度を有する人工格子構造を実現する。 【解決手段】 あるエネルギー線またはエネルギーの異
なる複数種類のエネルギー線を用い、複数種類のエネル
ギー線のうち1種類を除いて他は2分割し、2分割され
たエネルギー線は作成しようとする人工格子形成のため
の被処理物を構成する材料系に干渉を起こしうるように
照射し、(被処理物はエネルギー線の特定のエネルギー
を吸収しうる物質を含有する材料系からなる場合もあ
る)、2分割されたエネルギー線の照射により材料系の
一部分を改変しそれぞれ所望の物性を有する領域A1と
領域A2が交互に繰り返す構造を形成する人工格子を作
成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜人工格子構造と
その形成方法に関するものであり、特にレーザー光線に
よる光アシストプロセスを利用したミクロな構造作成お
よびその機能制御技術、ならびにその形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種のデバイスは材料の利用技術の高度
化に伴い、ますます微細化、複合化が進み、新たな機能
の創出が求められている。ある一つの材料系においても
それがバルクの混合物としてであるか、薄膜であるかに
より物性および利用のされ方が異なることは多々ある。
さらに微小な繰り返し周期を有する構造、例えば半導体
超格子などは特異な物性や機能の発現に大きな役割を果
たすようになってきている。多層積層構造、人工格子構
造、多重量子井戸など様々な周期構造があり、またそれ
らを構成する材料も無機材料から有機材料に至るまで、
さらに同一種類のものどうしのものから異種物質の組み
合わせにより構成されるものまでじつに多種多様であ
る。
【0003】化合物半導体の例では、例えば超高真空装
置を用いる分子線エピタキシー法(MBE)や、高純度
の各種原料ガス用いる化学的気相成長法(CVD)など
は極めて高い精度での多層積層構造の作成を可能にして
いる。これらの方法は主として基板面に対して格子面が
平行あるいはそれに近いものを形成するのに適してい
る。したがって基板に対しそれが垂直に近いものあるい
は完全に垂直なものを形成するには積層が完了した薄膜
を、例えば収束イオンビームなどを用いて加工する、あ
るいはフォトリソグラフィー技術を用いてパターン形成
を行うなどの方法を必要としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら人工的な
周期構造、格子構造により様々な機能を作り出せること
が期待されているが、用いる材料、作成方法などにおい
て多くの可能性が利用されずに残っている。
【0005】本発明は比較的簡便な方法により形成され
るミクロンスケールの人工格子構造とその作成方法およ
びそれに適した装置構成を提供することを目的とする。
特に基板に対して垂直あるいは平行ではないある角度を
有する格子構造の作成に適した方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の第一の方法は、被処理物にエネルギー線を照射
することを利用して異なる物性を有する領域1および領
域2の繰り返しからなる薄膜人工格子を形成するにあた
り、前記エネルギー線を2分割し前記2分割したエネル
ギー線を被処理物上にて干渉させ照射し、前記被処理物
を構成する材料系の一部分あるいは前記被処理物上に堆
積される物質の一部を改変することにより形成されるこ
とを特徴とする薄膜人工格子を作成するものである。
【0007】また、本発明の第二の方法は、エネルギー
の異なる複数種類のエネルギー線を用い、前記複数種類
のエネルギー線のうち1種類を除いて他は2分割し、前
記2分割されたエネルギー線は作成しようとする人工格
子形成のための被処理物を構成する材料系に干渉を起こ
しうるように照射され、前記被処理物は前記エネルギー
線の特定のエネルギーを吸収しうる物質を含有する材料
系からなり、前記2分割されたエネルギー線の照射によ
り前記材料系の一部分を改変し、引き続き、前記その他
のエネルギー線の均一照射により、それぞれ所望の物性
を有する領域1及び領域2が交互に繰り返す構造を形成
する人工格子を作成するものである。
【0008】また、本発明の被処理物上に所望の物質の
薄膜を形成する薄膜形成装置は、薄膜形成室外にエネル
ギー線源を有し、前記薄膜形成室はエネルギー線導入窓
を有し、前記エネルギー線源からのエネルギー線は2分
割され、前記2分割されたエネルギー線の各々は前記エ
ネルギー線導入窓から前記薄膜形成室内に導入され、前
記2分割されたエネルギー線は前記被処理物上にて干渉
するよう重ねられる機能を有する薄膜形成装置という構
成をとるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明はその適用範囲が広く、材
料に関しては金属、半導体、セラミックスなどの無機材
料から高分子化合物など有機材料まで、また、利用する
エネルギー線はその目的に応じて赤外光、可視光、紫外
光、X線など広範なエネルギー領域、すなわち波長領域
を包含し、さらに形成手法も通常の大気中での表面改
質、各種の光アシストプロセス、真空中での薄膜形成の
in−situあるいはex−situでの利用などが
ある。ここでは代表例を述べるのみであるが、例えば可
視光において可能なことはエネルギー吸収媒体の感度特
性の異なるものを利用すれば赤外光を用いれば可能なこ
とは容易に類推できるであろう。
【0010】各実施例の説明に先立ち、共通事項として
人工格子構造の一例を示し、また、2分割光干渉照射の
ための光学系について述べておく。図1は作成しようと
する人工格子の一例を示す断面概略図である。被処理物
は基体4の上に材料系3があり、後述の光照射により物
性の異なる領域1および領域2が形成される。図2は光
照射用の光学系の構成図である。光の干渉、特に位相を
利用するには光路長、光束の均一性が重要である。レー
ザー21から出射したレーザー光はコリメート用レンズ
系22によって均一な平行光束となり、ハーフミラー2
3によって2分される。2分されたレーザー光のそれぞ
れはミラー24により被処理物25上にて干渉を生ずる
ように照射される。
【0011】(実施の形態1)基板として各種のガラス
を用い、オリゴマーを主体とする材料系を用い、この材
料をガラス基板上に塗付し、レーザー光の2分割干渉照
射および紫外光照射を行うことによりフォトリソグラフ
ィーや電子線描画などの技術を用いずに人工格子構造の
形成が可能となった。レーザー光は干渉性が高く、光路
長を正確に調整することにより2分割した光を同一面上
に照射することにより干渉による強度分布を作り出せ
る。この強度分布に対応して異なる領域を作り、続く紫
外線照射によりこの構造を安定化させるために光重合反
応を利用する。これはあらゆる材料系において可能なわ
けではなく、ある種の材料の組み合わせを必要とする
が、重合開始剤系が効率の高いものであれば適用範囲は
広い。
【0012】(実施例1)被処理物としてオリゴマーを
用い、He−Cdレーザー光(波長325nm)を照射し
てポリマーからなる格子構造を形成する。オリゴマーと
しては各種のものが利用でき、代表的なものとしては、
エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエ
ステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリ
オールアクリレート、アルキッドアクリレートなどがあ
る。ここでは一例として、フェニルグリシジルエーテル
アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタン
オリゴマーを用いた場合を説明する。
【0013】ガラス基板(例えば通常のスライドグラス
やコーニング7059、旭硝子AN635など)を界面
活性剤と超音波および純水と超音波による洗浄の後、I
PA蒸気乾燥させる。乾燥ベーク炉にて110℃30分
乾燥させた後50℃に設定したホットプレート上におき
温度が安定したことを確認する。これより後の作業は赤
色光源の元にて行い、外光や通常の蛍光灯下では行わな
い。フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメ
チレンジイソシアネートウレタンオリゴマーに光重合を
効率良く進行させるための増感剤、例えばベンゾフェノ
ン、アゾビスイソブチロニトリルなど紫外光領域に励起
波長域を有する物質を添加したものをあらかじめ50℃
に昇温しておき、ガラス基板上に滴下し、十分に広がっ
たことを確認した後にレーザー光照射位置にセットす
る。
【0014】そして2分割され再び照射位置にて干渉さ
せたレーザー光を照射する。およそ1ミクロン周期の格
子を形成するために2分割した光は光路が正確に同じに
なるように調整し、基板への入射角度は10.5°に設
定する。レーザー出力80mW(レーザー電源に付随の
メーター値)で10〜30秒間照射する。これにより格
子が形成されたかどうかは肉眼やルーペ程度では確認で
きないので格子形成に用いるレーザーとは別途のレーザ
ー光(パワーは光が肉眼で見えれば十分であり、試料を
変成させないためにも弱いものがよい)を用い、被処理
物に対して適度な角度にて入射させておき、これの直射
光とはべつに回折光が観測されるようになったことで格
子の形成を確認する。すなわち、この方法であれば格子
の形成をその場にてモニターできるわけである。回折格
子形成の後、通常の白色光の元にさらしてかまわない
が、用いる材料によっては完全に安定な状態にはなって
おらず時間変化をともなうので、被処理物を低圧水銀ラ
ンプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプなど紫外領域に
スペクトル分布を有する光源を用いて全面照射し安定化
させる。
【0015】本実施例では単一種類のポリマーを形成し
ているが、光照射時のエネルギー分布(強度分布)に3
次元光干渉による格子としての規則性がある状態で紫外
線を照射しているために、物質として同一であってもポ
リマーのミクロな構造が異なることに起因して屈折率に
差異を生じ、このために回折格子としての機能を持たせ
うるものである。
【0016】(実施例2)被処理物としてオリゴマーを
用い、Arレーザー光(波長514.5nm)を照射して
ポリマーからなる格子構造を形成する。オリゴマーとし
ては他の実施例と同様に各種のものが利用でき、代表的
なものとしてはエポキシアクリレート、ウレタンアクリ
レート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアク
リレート、ポリオールアクリレート、アルキッドアクリ
レートなどがある。ここでは一例としてフェニルグリシ
ジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネ
ートウレタンオリゴマーを用いた場合を説明する。ガラ
ス基板(例えば通常のスライドグラスやコーニング70
59、旭硝子AN635など)を界面活性剤と超音波お
よび純水と超音波による洗浄の後、IPA蒸気乾燥させ
る。乾燥ベーク炉にて110℃30分乾燥させた後50
℃に設定したホットプレート上におき温度が安定したこ
とを確認する。これより後の作業は赤色光源の元にて行
い、外光や通常の蛍光灯下では行わない。
【0017】フェニルグリシジルエーテルアクリレート
ヘキサメチレンジイソシアネートウレタンオリゴマーに
は光重合を効率良く進行させるために、例えばラジカル
発生剤と増感剤の組み合わせからなる物質系を添加して
おく。このような組み合わせとしては様々な物質が可能
であり、弱い還元剤と色素の系の例としてアスコルビン
酸とキサンテン系色素やチアジン系色素との組み合わせ
や、Nーフェニルグリシンと電子受容物質(ケトクマリ
ン、アクリジン、キサンテン系色素、フェナジンなど)
とからなる系など多種多様である。ここでは用いるレー
ザー波長との適合性からNーフェニルグリシンとキサン
テン色素(エオシンY、ローダミンB、ローズベンガ
ル、フルオレッセイン、エリスロシンのいずれか)を用
いる。
【0018】フェニルグリシジルエーテルアクリレート
ヘキサメチレンジイソシアネートウレタンオリゴマーに
上記増感剤系を添加したものを予め50℃に昇温してお
き、ガラス基板上に滴下し、十分に広がったことを確認
した後にレーザー光照射位置にセットする。そして2分
割され再び照射位置にて干渉させたレーザー光を照射す
る。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにAr
レーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した光
は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入射
角度は15°に設定する。レーザー出力50mW(レーザ
ー電源に付随のメーター値)で5〜20秒間照射する。
【0019】これにより格子が形成されたかどうかは肉
眼やルーペ程度では確認できないので、格子形成に用い
るレーザーとは別途のレーザー光(パワーは光が肉眼で
見えれば十分であり、試料を変成させないためにも弱い
ものがよい)を用い、被処理物に対して適度な角度にて
入射させておき、これの直射光とは別に回折光が観測さ
れるようになったことで格子の形成を確認する。すなわ
ち、この方法であれば格子の形成をその場にてモニター
できるわけである。回折格子形成の後、通常の白色光の
元にさらしてかまわないが、用いる材料によっては完全
に安定な状態にはなっておらず時間変化をともなうの
で、被処理物を低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセ
ノンランプなど紫外領域にスペクトル分布を有する光源
を用いて全面照射し安定化させる。
【0020】本実施例では単一種類のポリマーが形成さ
れているが、光照射時のエネルギー分布(強度分布)に
3次元光干渉による格子としての規則性がある状態で紫
外線を照射しているために、物質として同一であっても
ポリマーのミクロな構造が異なることに起因して屈折率
に差異を生じ、このために回折格子としての機能を持た
せうるものである。
【0021】(実施の形態2)真空装置を用いた製膜方
法は多種多様なものがあり、すべてについて詳細を記述
することはできないが、本実施例は薄膜の形成に際し、
製膜の最中あるいは製膜後にエネルギー線を2分割し、
再度干渉を生ずるように照射する手法を適用するもので
ある。化学的気相成長法(CVD)にレーザーなどの光
照射を取り入れた方法は光CVDあるいはレーザーCV
Dとして利用されており、また分子線エピタキシー(M
BE)などその他の製膜方法においてもレーザー光など
の何らかの光の照射を組み合わせた方法は各種のバリエ
ーションが提案され、使用されているものもある。これ
らの方法の目的と効果はいくつかのカテゴリーに分類で
きる。
【0022】製膜を行う被処理物面に対し光を直接では
なく、例えば平行に照射するタイプの方法は主として製
膜のために飛来する原料ガスの気相中での活性化、分解
促進というような働きを利用して製膜の効率化、膜質の
向上などを意図するものである。これに対し、被処理物
面に光を直接照射する方法は前述の方法での効果に加え
被処理物表面上での様々な製膜メカニズムに作用する。
目的物質の生成反応促進、不用なガスや原子、分子の離
脱促進、吸着した原子分子の表面マイグレーションの促
進など様々な効果が得られ、これらにより薄膜成長の促
進、膜質の制御や向上、結晶化、結晶性向上、各種の物
性制御など様々な目的に利用される。しかしいずれも膜
全体への作用あるいは膜の堆積方向への積層構造の形成
を成すものであり、その他の3次元的微細構造の作成や
制御を行うものではない。
【0023】これに対して本発明の方法の一つであるレ
ーザー光の2分波干渉照射法は、光の3次元位相分布を
利用した手法であり、成膜と同時にある種の3次元構造
制御を行うものである。全面均一な積層構造ではなく量
子細線や量子ドットなどに代表されるような3次元構
造、あるいは面内に物性の異なる領域を有する構造を通
常薄膜化されている材料を用いて形成するにはそのサイ
ズ、線幅、材料特性などに応じて電子線描画、フォトリ
ソグラフィー、イオン注入など薄膜形成後に再び複雑な
操作を必要とする。本発明ではそのような構造の形成を
in−situで行うものであり、スパッタリング、真
空蒸着、CVD、分子線エピタキシー(MBE)などあ
らゆる薄膜形成方法に利用できる。
【0024】以下の実施例ではスパッタリング法および
MBE法に取り入れ、格子構造の形成例を示す。スパッ
タリングにより成膜可能な物質は多々あるが、放電ガス
とともに酸素などを導入するいわゆる反応性スパッタリ
ング法による金属酸化物半導体の形成の詳細を例にと
る。また、分子線エピタキシー法については化合物半導
体薄膜結晶成長について述べる。
【0025】(実施例3)図3は透明導電性薄膜として
使われている金属酸化物半導体の堆積に用いるスパッタ
リング装置の構成を示す概略図である。装置の細部やス
パッタリングによる薄膜形成の一般論は当分野の標準的
な文献に記載されているのでそれらの詳細はここでは省
略する。ガラス基板32(コーニング7059や774
0など、あるいは旭硝子AN635など)は真空装置に
セットする前に界面活性剤、純水、超音波により洗浄し
IPA蒸気で乾燥させる。基板をセットした後、真空チ
ャンバー31は排気系(ロータリーポンプとディフュー
ジョンポンプにより構成)34により10-6Torr台まで
排気される。
【0026】ターゲット33はスズをドーピングした酸
化インジウム、いわゆるITOを製膜するためにスズと
インジウムの合金(およそ1:9)を用いる。次に基板
を加熱機構37によって昇温し(典型的には200℃程
度)、十分に残留水分や吸着ガスを脱離させた後、成膜
温度に設定する(ここでは120℃)。成膜温度は先の
脱ガス温度よりは低く設定する。放電ガスとしてAr
を、また、反応ガスとして酸素を導入する。おのおのの
ガス流量はチャンバーの大きさや排気速度に依存するた
め一般値は無いが、本発明者の装置での適正値はArを
20sccm、酸素を3〜4sccm導入し成膜中の真空度はお
よそ3〜5×10-3Torr,放電電流は50〜150
mAであった。これらの値がある幅を有するのは毎回の
製膜条件が必ずしも同一でないことのためのみではな
く、反応性スパッタリングの性質上、ターゲット表面の
状態が絶えず変化しているために電流、電圧、電力、ガ
ス流量のいずれかにフィードバック機構35を設け、常
に所望の状態を維持するよう制御するためである。
【0027】放電開始後に短くとも数分程度は待ち、放
電が安定した後に製膜を開始する。Arレーザー光を2
分割し、それぞれを光導入窓39から真空チャンバー内
に導き、基板表面に照射する。このときの角度は基板の
法線に対してそれぞれ同一に設定し、これにより所望の
周期を有する干渉波を形成する。この周期は用いるレー
ザー光の波長と照射角度により決まるものであるから、
必要に応じて最適な波長と角度を設定すればよい。ここ
ではおよそ1ミクロン周期の格子を形成するためにAr
レーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した光
は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入射
角度は15°に設定する。レーザー出力1.8W(レー
ザー電源に付随のメーター値)で製膜の期間照射する。
およそ1200Å(オングストローム)の膜厚になるま
で製膜後、基板加熱を停止しほぼ室温近くまで下げる。
【0028】作成した試料を真空チャンバーから取り出
し、単色のスポット光、例えばHe−Neレーザーの赤
色光を試料に入射させると直射光のほかに回折スポット
が見られ、回折格子が形成されていることが確認でき
る。また、膜抵抗を測定すると形成された格子に対し平
行な方向と直角な方向とでは値が異なり、異方性を有す
る特異な膜となっていることが見られる。薄膜形成時の
原子、分子レベルでの詳細なメカニズムについては必ず
しも明らかではないが、レーザー光が熱分布に局所性を
もたらしていることが推測され、そのために金属元素と
酸素の結合の化学量論比あるいは結晶状態がわずかに異
なる領域を有するものと見られる。
【0029】尚、本実施例においては、Arレーザーの
514.5nmの発振線を用いたが、その他にも488nm
などいくつかの波長がある。また、可視から赤外にかけ
て発振波長を有する各種のレーザー、例えばHe−N
e,Kr,Yag:Nd3+レーザーなどの利用も可能で
ある。
【0030】(実施例4)図3のスパッタリング装置を
用い、金属酸化物半導体薄膜を形成するが、装置および
スパッタリングによる薄膜形成の詳細主要部分は実施例
3とほぼ共通である。ガラス基板32(コーニング70
59や7740等、または旭硝子AN635等)は真空
装置にセットする前に界面活性剤、純水、超音波により
洗浄しIPA蒸気で乾燥させる。基板をセットした後、
真空チャンバー31は排気系(ロータリーポンプとディ
フュージョンポンプにより構成)34により10-6To
rr台まで排気される。ターゲット33はスズをドーピ
ングした酸化インジウム、いわゆるITOを製膜するた
めにスズとインジウムの合金(およそ1:9)を用い
る。
【0031】次に基板を加熱機構37によって昇温し
(典型的には200℃程度)、十分に残留水分や吸着ガ
スを脱離させた後、成膜温度に設定する(ここでは80
℃)。成膜温度は先の脱ガス温度よりは低く設定する。
放電ガスとしてArを、また、反応ガスとして酸素を導
入する。おのおののガス流量はチャンバーの大きさや排
気速度に依存するため一般値は無いが、本発明者の装置
での適正値はArを20sccm、酸素を3〜4sccm導入
し、成膜中の真空度はおよそ3〜5×10-3Torr,
放電電流は50〜150mAであった。これらの値があ
る幅を有するのは毎回の製膜条件が必ずしも同一でない
ことのためのみではなく、反応性スパッタリングの性質
上、ターゲット表面の状態が絶えず変化しているために
電流、電圧、電力、ガス流量のいずれかにフィードバッ
ク機構35を設け、常に所望の状態を維持するよう制御
するためである。
【0032】放電開始後に短くとも数分程度は待ち、放
電が安定した後に製膜を開始する。He−Cdレーザー
光(325nm)を2分割し、それぞれを光導入窓39か
ら真空チャンバー内に導き、基板表面に照射する。この
ときの角度は基板の法線に対してそれぞれ同一に設定
し、これにより所望の周期を有する干渉波を形成する。
この周期は用いるレーザー光の波長と照射角度により決
まるものであるから、必要に応じて最適な波長と角度を
設定すればよい。ここではおよそ1ミクロン周期の格子
を形成するために2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は9.4°に設定す
る。
【0033】レーザー出力1.2W(レーザー電源に付随
のメーター値)で製膜の期間照射する。およそ1200
Åの膜厚になるまで製膜後、基板加熱を停止しほぼ室温
近くまで下げる。作成した試料を真空チャンバーから取
り出し、単色のスポット光、例えばHe−Neレーザー
の赤色光を試料に入射させると直射光のほかに回折スポ
ットが見られ、回折格子が形成されていることが確認で
きる。また、膜抵抗を測定すると形成された格子に対し
平行な方向と直角な方向とでは値が異なり異方性を有す
る特異な膜となっていることが見られる。
【0034】肉眼では全面均一に見えるが、ミクロには
レーザー光照射の効果を反映してわずかに光学的および
電気的物性の異なる領域の繰り返し構造が形成されてお
り、これは紫外領域のフォトンのエネルギーにより化学
結合が影響を受けたためと推測される。なお、本実施例
ではHe−Cdレーザーを用いたが、紫外領域に発振波
長を有するその他のレーザー、例えばArF,KrF、
XeFレーザーなどが使用できることは言うまでもな
い。
【0035】(実施例5)分子線エピタキシー法(MB
E)による結晶成長中にレーザー光干渉照射を行い、積
層方向に対して垂直ないしはある角度を持った人工的な
周期構造を形成する。そこでまず本発明にかかわるレー
ザー干渉照射機能を有するMBE装置の概略を図4を用
いて述べる。なお、従来用いられている通常のMBE装
置についてはすでに多くの文献に記述されているところ
なのでここでは本発明にかかわる成長室とレーザー照射
機構についてのみ詳細を述べ、その他に関しては省略す
る。
【0036】成長室41は排気系42により超高真空に
排気される。排気系を構成する真空ポンプはターボモレ
キュラーポンプ、ディフュージョンポンプ、イオンポン
プなどの様々なものがあるが、本発明者の装置にはロー
タリーポンプを補助にターボモレキュラーポンプおよび
ディフュージョンポンプを備えている。基板ホルダー4
5にセットされた基板44は加熱機構43によって必要
な温度に加熱される。成長室41内の真空度は電離真空
計47で、また残留ガスは四重極型質量分析装置46に
よってモニターされる。薄膜結晶成長中の様子は反射高
速電子線回折装置(RHEED)49によって観察し、
そのパターンはスクリーン48に映し出される。成長さ
せようとする薄膜の原料はセル51に入れられており、
それぞれ所望の分子線強度が得られる温度に設定され
る。
【0037】成長室41にはレーザー光導入用窓52が
複数設けられている。ここではレーザー照射機構53の
内部構成は基本的には図2に示した光学系、すなわちビ
ームを2分割し再度被処理物上にて干渉させる点では同
じであるが、本装置では2分割したビームの各々が別々
の窓より成長室に導入される。用いるレーザーはArレ
ーザーであり発振波長は青から緑の可視域であるため、
窓材は通常のガラスである。窓材の選択は用いるレーザ
ーの波長によるものであり、例えばHe−Cdレーザー
などのような紫外領域の光の場合には通常のガラスでは
透過率が低いため、石英などの紫外線を十分に透過する
材質の窓が必要である。
【0038】II−VI族化合物半導体であるZnSe
の薄膜結晶をZnSeバルク結晶基板上に以下の手順で
成長させつつレーザー照射を行う。まず清浄な基板表面
を準備するために、機械研磨のなされた基板をアセト
ン、メタノール中にて洗浄し、次に、BCl3ガスを用
いたドライエッチングを圧力がおよそ10〜90mTo
rr、RFパワーが約1W/cm2の条件にて行う。すぐさ
ま基板をロードロック室(図には記載されていない)に
装着し、排気する。一方、排気系42で成長室41内を
10-10 Torr台まで排気し、また原料であるZnと
Seの入ったセル51aおよび51bを昇温し、所定の
分子線強度が得られる温度にしておく。
【0039】ロードロック室が10-6Torr台まで排
気されたことを確認し、成長室41との仕切ゲートバル
ブを開け、基板搬送機構により基板を成長室41内に移
動する。成長室内を十分に排気した後、ZnSe基板4
4の表面酸化膜を離脱させるためにおよそ600℃付近
まで温度をあげる(サーマルエッチング)。このときR
HEEDパターンを観察しながら短いぼやけたストリー
クが長くシャープなストリークに変わりサーマルエッチ
ングが完了したことを確認するようにしながら温度の微
調整を行う。引き続きすぐに基板温度を目的に応じてお
よそ300℃付近を目安にさげる。
【0040】ZnSeの結晶成長のためにZnおよびS
eそれぞれ単体の原料の入ったセル51aおよび51b
のシヤッター50aと50bを同時に開け、所定の時間
の後に閉じる。基板温度は330℃、ZnおよびSeの
分子線強度がそれぞれ2×10-7、8×10-7Torr
(電離真空計47によるフラックスモニター値)におい
て堆積させた。セルの温度は原料の残留量などにも依存
するため必ずしも常に一定ではないが典型的にはそれぞ
れおよそ400℃および230℃である。この条件にて
結晶成長の開始と同時に2分割したArレーザーの光
(4880nm)の干渉照射も開始する。レーザー光照射
システム53から出た光は成長室41の光導入窓52を
通して導入される。
【0041】形成する格子構造の周期はレーザー光の波
長および照射角度の関数であり、ここではおよそ0.8
ミクロン周期の格子を形成するために2分割した光は光
路が正確に同じになるように調整し、基板への入射角度
は18°に設定する。こうすることにより、レーザー光
干渉波に応じて同じZnSeでありながら、光学的特
性、電気的特性の異なる領域の繰り返し構造を形成でき
る。キャリアーの移動度に格子構造に依存した異方性が
あり、また、光の屈折性も単一層膜とは異なる。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明は、ミクロな3次
元人工格子構造の作成を異なる薄膜の繰り返し積層では
なく、ある材料系に対するエネルギー線の作用により可
能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により作成する人工格子の断面を示す概
略図
【図2】光照射に用いる光学系の構成図
【図3】本実施の形態におけるスパッタリング装置の構
成図
【図4】本実施の形態における分子線エピタキシー装置
の構成図
【符号の説明】
1 領域1 2 領域2 3 材料系 4 基体 21 レーザー 22 コリメート用レンズ系 23 ハーフミラー 24 ミラー 25 被処理物 31 真空チャンバー 32 基板 33 ターゲット 34 排気系 35 フィードバック機構 36 ハーフミラー 37 基板加熱機構 38 レーザー 39 光導入窓 40 ミラー 41 成長室 42 排気系 43 加熱機構 44 基板 45 基板ホルダー 46 四重極型質量分析装置 47 電離真空計 48 スクリーン 49 反射高速電子線回折装置 50 シヤッター 51 セル 52 光導入窓 53 2分割レーザー光照射システム

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理物にエネルギー線を照射することを
    利用して異なる物性を有する領域1及び領域2の繰り返
    しからなる薄膜人工格子を形成するにあたり、前記エネ
    ルギー線を2分割し前記2分割したエネルギー線を被処
    理物上にて干渉させ照射し、前記被処理物を構成する材
    料系の一部分あるいは前記被処理物上に堆積される物質
    の一部を改変することにより形成されることを特徴とす
    る薄膜人工格子の作成方法。
  2. 【請求項2】エネルギーの異なる複数種類のエネルギー
    線を用い、前記複数種類のエネルギー線のうち1種類を
    除いて他は2分割し、前記2分割されたエネルギー線は
    作成しようとする人工格子形成のための被処理物を構成
    する材料系に干渉を起こしうるように照射され、前記被
    処理物は前記エネルギー線の特定のエネルギーを吸収し
    うる物質を含有する材料系からなり、前記2分割された
    エネルギー線の照射により前記材料系の一部分を改変
    し、引き続き、前記その他のエネルギー線の均一照射に
    より、それぞれ所望の物性を有する領域1および領域2
    が交互に繰り返す構造を形成する人工格子の作成方法。
  3. 【請求項3】被処理物上に所望の物質による薄膜を形成
    する薄膜形成装置であって、薄膜形成室外にエネルギー
    線源を有し、前記薄膜形成室はエネルギー線導入窓を有
    し、前記エネルギー線源からのエネルギー線は2分割さ
    れ、前記2分割されたエネルギー線の各々は前記エネル
    ギー線導入窓から前記薄膜形成室内に導入され、前記2
    分割されたエネルギー線は前記被処理物上にて干渉する
    よう重ねられる機能を有する薄膜形成装置。
JP14253396A 1996-06-05 1996-06-05 薄膜人工格子の形成方法および薄膜形成装置 Pending JPH09324259A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999024852A1 (fr) * 1997-10-16 1999-05-20 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif de separation de la polarisation d'elements d'hologramme, dispositif d'eclairage par polarisation et affichage d'image
JP2006133603A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Ricoh Co Ltd 偏光分離素子及びその製造方法、並びに光ヘッド装置及び光ディスクドライブ装置
JP2014529877A (ja) * 2011-08-05 2014-11-13 蘇州大学 量子ドット半導体材料の製造装置及び製造方法

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