JPH09322994A - ミシン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 下糸交換が不必要で、面倒なルーパー糸の糸
掛けや糸通しが要らず、しかも、縫製後の単環縫い目の
ほつれを確実に防止することができるミシンを提供する
ことである。 【解決手段】 ミシン本体１には、糸駒１８から繰り出
される糸１６を保持し、かつ縫い目を形成するための針
１４と、その針１４と協働して布テープ３２に単環の縫
い目を形成するためのルーパーとを備え、前記針１４と
ルーパーとによって単環の縫い目を形成した後、接着テ
ープ３４を熱風吹き付けパイプ５２から吐出する熱風に
より加熱して接着機能を発揮させた状態で、その接着テ
ープ３４を布テープ３２の裏面に重合させて圧着ローラ
４２により押圧し、そのことによって、その接着テープ
３４を布テープ３２の裏面に貼付する。これによって、
布テープ３２に形成されている単環の縫い目のほつれが
防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、針とルーパーとに
よって加工布に単環の縫い目を形成するためのミシンに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、本縫いミシンにおいては、糸供給
源である糸駒から供給される上糸と、釜の中にセットさ
れているボビンから供給される下糸とで縫い目が形成さ
れていた。そして、ミシンには、下糸巻き機構が設けら
れ、その下糸巻き機構を使用して、ボビンに糸を巻回す
るように構成されていた。

【０００３】さらに、環縫いミシンにおいては、２重環
縫いでは、２つの糸駒がセットされている。１つは、上
糸を供給し、他方は、ルーパー糸を供給していた。そし
て、これ等の２本の糸により、縫い目が形成されてい
た。

【０００４】また、単環縫いでは、糸駒から供給される
上糸のみで縫い目が形成される。

【０００５】上述したようなミシンが家庭用の刺繍ミシ
ンとして、使用される場合、刺繍のためにデザインされ
た図柄の色糸を順にセットして刺繍が行われる。即ち、
デザインされた図柄の内、ある色糸の縫製が終わると、
一旦、ミシンは停止され、上糸が次に縫製される色糸に
取り替えられて、再びミシンが起動され、縫製が行われ
る。この操作が繰り返されて、最終的にデザインされた
図柄の刺繍を得ることができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本縫い
ミシンにおいては、上糸は十分に供給されるが、下糸
は、釜の中のボビンに巻回された糸量が使い果たされる
と、釜から一旦、ボビンが取り外され、下糸巻き機構を
使用して、ボビンに糸が巻回され、再び釜の中にボビン
をセットしなければならなかった。そのため、縫製中に
下糸が無くなり、縫製ミスや下糸補給という面倒な作業
が問題となっていた。特に、刺繍ミシンにおいては、縫
い目形成回数が圧倒的に多いため、下糸の消費量が多
く、縫製途中で、下糸が無くなると、下糸補給のため、
ボビンが釜から取り外される際に布位置がずれ、刺繍ミ
スが発生することがあった。即ち、上糸及び下糸と、刺
繍にかけた時間と、刺繍ミスをした布とを無駄にしてし
まう問題点があった。

【０００７】さらに、環縫いミシンにおいては、前記の
ように、糸が縫製途中で無くなるという問題点は無かっ
た。しかし、２重環縫いでは、ルーパー糸の糸掛け、糸
通しは、ピンセットを使用する等、非常に面倒な作業で
あった。

【０００８】また、単環縫いでは、使用される糸が上糸
１本なので、前記のような問題点は無かったが、縫製後
の糸が簡単にほつれてしまうという問題点があった。

【０００９】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、下糸交換が不必要で、面倒なル
ーパー糸の糸掛け、糸通しが要らず、又、縫製後の糸が
ほつれにくいミシンを提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の請求項１に記載のミシンは、糸供給源から
繰り出された糸を保持し、かつ加工布に縫い目を形成す
るための針と、その針と協働して前記加工布に単環の縫
い目を形成するためのルーパーとを備えたものを対象と
して、特に、前記針と前記ルーパーとによって前記加工
布に単環の縫い目を形成した後、前記加工布の裏面から
少なくとも前記単環の縫い目形成部分に接着テープを貼
付するためのテープ貼付手段を備えている。従って、前
記糸供給源から繰り出された糸を保持する針と、前記ル
ーパーとを関連運動させて、前記加工布に単環の縫い目
を形成する。そして、その単環の縫い目の形成後に、前
記テープ貼付手段によって、前記加工布の裏面から少な
くとも前記単環の縫い目形成部分に接着テープを貼付す
る。これによって、前記単環の縫い目は加工布の裏面で
接着テープにより固定され、そのほつれが確実に防止さ
れる。

【００１１】また、請求項２に記載のミシンは、前記接
着テープが、常温では接着機能を持たず、加熱すること
によって接着機能を発揮する加熱接着テープによって構
成され、前記テープ貼付手段の手前のミシン本体には、
前記加熱接着テープを加熱するための加熱手段を備えて
いる。従って、前記加熱接着テープは、前記テープ貼付
手段の手前までは常温下に置かれるので、接着機能を持
たず、ミシン本体やその他の部分に接着するようなこと
がない。そして、前記テープ貼付手段の手前において、
前記加熱接着テープは、加熱手段により加熱されて接着
機能を発揮する状態となり、この状態で、単環の縫い目
が形成された加工布の裏面に前記テープ貼付手段によっ
て貼付される。これによって、前記単環の縫い目は加工
布の裏面で接着テープにより固定され、そのほつれが確
実に防止される。

【００１２】また、請求項３に記載のミシンは、前記テ
ープ貼付手段が、前記加工布及び接着テープをミシン本
体上に押圧する押圧ローラによって構成されている。従
って、前記加工布及び接着テープをミシン本体上に効率
的に押圧して、その接着テープの貼付を確実にすること
ができる。

【００１３】また、請求項４に記載のミシンは、接着テ
ープが、ミシン本体にロール状に巻回された供給源から
繰り出されるように構成されている。従って、その接着
テープを順次前記供給源から繰り出して加工布の裏面に
連続的に貼付することができ、長い範囲に亙って連続す
る縫製に容易に対処することができる。

【００１４】さらに、請求項５に記載のミシンは、前記
単環の縫い目が、刺繍データに基づいて形成されるよう
に構成されている。この場合、刺繍データは一般的に縫
い目数が膨大であるので、単環の縫い目が極端に多くな
るが、これ等の単環の縫い目は全て加工布の裏面で接着
テープによって固定されるため、その単環の縫い目のほ
つれを確実に防止することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明のミシンを具体化
した実施の形態について図面を参照して説明する。

【００１６】図１は、本実施の形態を示す刺繍ミシンの
外観図である。この刺繍ミシンの構成について、図面を
参照しながら、以下に説明する。

【００１７】ミシン本体１の一側部には、針棒・糸駒カ
セット２が装着されている。図２は、針棒・糸駒カセッ
ト２の右側面図、図３は、同針棒・糸駒カセット２の内
部を示す図である。前記針棒・糸駒カセット２の右側面
には、壁部４が設けられ、その壁部４には、天秤挿入溝
６と針棒溝８とが形成されている。前記針棒溝８には、
針棒体１０が前後に移動可能に配置され、その針棒体１
０の中心部には、その移動方向と直交する方向の孔部１
２が形成され、前側部には、針１４が固定的に取付けら
れている。前記針棒体１０の孔部１２には、ミシン本体
１から延出された駆動ピン（図示せず）が挿入される。
その駆動ピンは、図示しないリンク機構に結合されてお
り、そのリンク機構の動作によって、針棒１０を前後に
往復駆動する。

【００１８】また、前記天秤挿入溝６には、ミシン本体
１から延出された天秤（図示せず）が前後動可能に挿入
され、その天秤の前後動により、糸１６のたるみが取り
上げられる。前記針棒・糸駒カセット２の内部には、糸
供給源としての糸駒１８と、糸調子皿２０とが配置され
ている。前記糸駒１８から繰り出された糸１６は、糸１
６に適宜の抵抗を付与する糸調子皿２０を経て、所定の
糸道経路を通り、針１４の針孔２２に挿入される。

【００１９】さらに、ミシン本体１には、円形凹状の布
テープ挿入部２４と、接着テープ挿入部２６とが設けら
れている。布テープ挿入部２４と、接着テープ挿入部２
６との中心部には、それぞれ布テープ軸２８と、接着テ
ープ軸３０とが設けられている。そして、前記布テープ
軸２８には加工布としての布テープ３２が、接着テープ
軸３０には接着テープ３４がそれぞれロール状に巻回さ
れた状態で挿通支持されている。布テープ挿入部２４に
は、布テープ案内溝３６がつながっており、布テープ３
２は、送り出しローラ３８によって、布テープ案内溝３
６中に送り出されるようになっている。そして、布テー
プ３２は、送りローラ４０と圧着ローラ４２とによって
ミシン本体上に押圧される。さらに、布テープ３２は、
図４及び図５に示されるように、送りローラ４０と圧着
ローラ４２との間に配置されたコの字状の刺繍枠４４に
よって、前後方向から挟持されている。前記圧着ローラ
４２は、本発明のテープ貼付手段を構成するものであ
る。

【００２０】同様にして、前記接着テープ挿入部２６に
は、接着テープ案内溝４６がつながっており、接着テー
プ３４は、送り出しローラ４８により、接着テープ案内
溝４６中に送り出される。そして、接着テープ３４は、
前記圧着ローラ４２によって、布テープ３２の裏面に貼
付されるようになっている。

【００２１】なお、前記接着テープ３４は、前記布テー
プ３２の裏面に貼付される側の面に、常温では接着機能
を持たず、加熱することによって接着機能を発揮する接
着剤が塗布された加熱接着テープが用いられる。従っ
て、その接着テープ３４は、常温では、前記接着テープ
挿入部２６から縫製部分に案内される過程で、前記接着
テープ案内溝４６や送り出しローラ４８に接着するよう
なことがなく、円滑に案内される。前記圧着ローラ４２
のすぐ手前には、ミシン本体のスリット状の開口１ａを
通じて、前記接着テープ３４の接着剤が塗布された面に
熱風を吹き付けて接着機能を発揮するようにさせる熱風
吹き付けパイプ５２が設けられている。その熱風吹き付
けパイプ５２は、図示しない熱風供給装置に接続されて
おり、その熱風供給装置と協働して本発明の加熱手段を
構成する。

【００２２】一方、前記針１４の先端手前方向のミシン
本体１の外側面には、針板５４が固定されており、ま
た、ミシン本体１の内部には、周知のルーパー機構（図
示せず）が配置されており、針１４の前後運動と協働し
て、布テープ３２上に単環の縫い目を形成するように構
成されている。また、ミシン本体１は、キーボードを備
えた制御装置５０に接続されている。その制御装置５０
は、そのキーボードから入力された刺繍データを縫製デ
ータに変換して記憶し、かつ縫製に伴って、前記ミシン
本体１のリンク機構等の駆動を制御するようになってい
る。

【００２３】以上のように構成された刺繍ミシンの動作
について、以下に説明する。

【００２４】オペレータによって、前記制御装置５０の
キーボードから刺繍データが入力される。すると、布テ
ープ３２は、送り出しローラ３８により、布テープ案内
溝３６中に送り出される。そして、布テープ３２は、送
りローラ４０と圧着ローラ４２とによってミシン本体１
上に押圧され、さらに、刺繍枠４４によって、前後方向
から挟持される。同様に、接着テープ３４は、送り出し
ローラ４８により、接着テープ案内溝４６中に送り出さ
れる。さらに、接着テープ３４は、圧着ローラ４２の手
前で、熱風吹き付けパイプ５２から熱風が吹き付けられ
て接着機能を発揮できる状態で、布テープ３２の裏面に
圧着ローラ４２の圧着作用によって貼付される。

【００２５】そして、刺繍枠４４によって、前後方向か
ら挟持された布テープ３２上には、針１４と本体内部の
ルーパー機構とによって、単環の縫い目が形成される。
この単環の縫い目が形成に続いて、布テープ３２の裏面
に、接着テープ３４が、圧着ローラ４２の押圧作用によ
って貼付され、その貼付された状態の布テープ３２はミ
シン本体１の外に送り出される。このようにして、刺繍
がなされた布テープ３２の裏面に接着テープ３４が貼付
されるのである。従って、布テープ３２に形成された単
環の縫い目は確実に固定され、ほつれるようなことがな
い。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の請求項１に記載のミシンによれば、特に、針とル
ーパーとによって加工布に単環の縫い目を形成した後、
前記加工布の裏面から少なくとも前記単環の縫い目形成
部分に接着テープを貼付するためのテープ貼付手段を備
えたので、前記単環の縫い目の形成後に、前記テープ貼
付手段によって、前記加工布の裏面から少なくとも前記
単環の縫い目形成部分に接着テープを貼付することがで
き、これによって、前記単環の縫い目は加工布の裏面で
接着テープにより確実に固定され、そのほつれを確実に
防止することができ、加工布に縫製された縫い目の耐久
性を高めて、その加工布を長期間保存したり使用するこ
とが可能になる。

【００２７】また、請求項２に記載のミシンによれば、
前記接着テープが、常温では接着機能を持たず、加熱す
ることによって接着機能を発揮する加熱接着テープによ
って構成され、前記テープ貼付手段の手前のミシン本体
には、前記加熱接着テープを加熱するための加熱手段を
備えたものである。従って、前記加熱接着テープは、前
記テープ貼付手段の手前までは常温下に置かれるので、
接着機能を持たず、ミシン本体やその他の部分に接着す
るようなことがない。そして、前記テープ貼付手段の手
前において、前記加熱接着テープは、加熱手段により加
熱されて接着機能を発揮する状態となり、この状態で、
単環の縫い目が形成された加工布の裏面に前記テープ貼
付手段によって容易、かつ確実に貼付することができ
る。この貼付後は、前記単環の縫い目は加工布の裏面に
接着テープによって確実に固定され、そのほつれを確実
に防止することができる。

【００２８】また、請求項３に記載のミシンによれば、
前記テープ貼付手段が、前記加工布及び接着テープをミ
シン本体上に押圧する押圧ローラによって構成されてい
るので、前記加工布及び接着テープをミシン本体上に効
率的に押圧して、その接着テープの貼付を確実にするこ
とができる。

【００２９】また、請求項４に記載のミシンによれば、
接着テープが、ミシン本体にロール状に巻回された供給
源から繰り出されるように構成されているので、その接
着テープを順次前記供給源から繰り出して加工布の裏面
に連続的に貼付することができ、長い範囲に亙って連続
する縫製に容易に対処することができる。

【００３０】さらに、請求項５に記載のミシンによれ
ば、前記単環の縫い目が、刺繍データに基づいて形成さ
れるように構成したので、刺繍データは一般的に縫い目
数が膨大であって、単環の縫い目が極端に多くなるが、
これ等の単環の縫い目は全て加工布の裏面に接着テープ
によって確実に固定することができ、その単環の縫い目
のほつれを確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の刺繍ミシンの外観図であ
る。

【図２】針棒・糸駒カセットの右側面図である。

【図３】針棒・糸駒カセットの内部を示す図である。

【図４】刺繍枠部を示す図である。

【図５】刺繍枠部近傍の要部断面図である。

【符号の説明】

１ ミシン本体 ２ 針棒・糸駒カセット １４ 針 １６ 糸 １８ 糸駒 ３２ 布テープ ３４ 接着テープ ４２ 圧着ローラ ５２ 熱風吹き付けパイプ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 糸供給源から繰り出された糸を保持し、
   かつ加工布に縫い目を形成するための針と、その針と協
   働して前記加工布に単環の縫い目を形成するためのルー
   パーとを備えたミシンにおいて、 前記針と前記ルーパーとによって前記加工布に単環の縫
   い目を形成した後、前記加工布の裏面から少なくとも前
   記単環の縫い目形成部分に接着テープを貼付するための
   テープ貼付手段を備えたことを特徴とするミシン。
2. 【請求項２】 前記接着テープは、常温では接着機能を
   持たず、加熱することによって接着機能を発揮する加熱
   接着テープによって構成し、 前記テープ貼付手段の手前のミシン本体には、前記加熱
   接着テープを加熱するための加熱手段を備えたことを特
   徴とする請求項１に記載のミシン。
3. 【請求項３】 前記テープ貼付手段は、前記加工布及び
   接着テープをミシン本体上に押圧する押圧ローラによっ
   て構成したことを特徴とする請求項１もしくは２に記載
   のミシン。
4. 【請求項４】 接着テープは、ミシン本体にロール状に
   巻回された供給源から繰り出されるように構成したこと
   を特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載のミシ
   ン。
5. 【請求項５】 前記単環の縫い目は、刺繍データに基づ
   いて形成されることを特徴とする請求項１乃至４のいず
   れかに記載のミシン。