JPH09317850A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JPH09317850A
JPH09317850A JP13543596A JP13543596A JPH09317850A JP H09317850 A JPH09317850 A JP H09317850A JP 13543596 A JP13543596 A JP 13543596A JP 13543596 A JP13543596 A JP 13543596A JP H09317850 A JPH09317850 A JP H09317850A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デフケースを軽量にし、差動回転部材との摺
動部に高い耐摩耗性を与え、各部の寸法精度を高くし、
加工性を向上させ、低コストにする。 【解決手段】 入力側のピニオンギヤ25と出力側のサ
イドギヤ27、29とを有するベベルギヤ式の差動ギヤ
機構33と、これを内包するデフケース3とを備え、デ
フケース3が、サイドギヤ27、29と摺動する摺動部
材7、7と、デフケース本体5とからなり、これらの摺
動部材7を鉄系の高耐摩耗性材料で製作すると共に、デ
フケース本体5を軽金属系の鋳物材料で鋳造加工し、こ
の鋳造加工に際して摺動部材7、7を所定位置に鋳込ん
だことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両に用いられ
るデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特公昭51−9214号公報に図6のよ
うなデファレンシャル装置201が記載されている。
【0003】このデファレンシャル装置201は、デフ
ケース203に固定されたピニオンシャフト205と、
ピニオンシャフト205上に回転自在に支承されたピニ
オンギヤと、ピニオンギヤと噛み合う出力側サイドギヤ
207、209とからなるベベルギヤ式の差動ギヤ機構
211を備えており、サイドギヤ207、209はそれ
ぞれの車軸にスプライン連結されている。又、デフケー
ス203は2個のケーシング部材213、215をボル
ト217で固定して構成されている。
【0004】各サイドギヤ207、209の車軸にはク
ラッチ部材219、219がスプライン連結され、各ク
ラッチ部材219とデフケース203との間には、それ
ぞれコーンクラッチ221、221が形成されている。
これらのコーンクラッチ221、221は各サイドギヤ
207、209のピニオンギヤに対する噛み合いスラス
ト力を受けて締結され、差動ギヤ機構211の差動を制
限すると共に、コイルばね223によって一定の差動制
限力を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、デフケース2
03にはコーンクラッチ221、221の摺動面22
5、225が形成されているから、強度と耐摩耗性の高
い鉄系材料で作られており、それだけ重くなっている。
又、鉄系材料は焼き入れや焼鈍などの熱処理が必要であ
るが、予め精密に加工してある各部にこの熱処理によっ
て変形が生じ易く、高い寸法精度を得ることが難しい。
又、加工性も良くない。
【0006】更に、デフケース203のように分割構成
のものは、部品点数が多くなり、高価である。
【0007】そこで、この発明は、デフケースが、軽量
であると共に、差動回転部材との摺動部に高い耐摩耗性
を有し、各部の寸法精度が高く、加工性に優れ、低コス
トであるデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のデファレ
ンシャル装置は、入力側の差動回転部材及びこれと連動
回転する一対の出力側差動回転部材を有する差動機構
と、この差動機構を内包するデフケースとを備え、この
デフケースが、差動回転部材を支承する摺動部材と、こ
の摺動部材を差動回転部材との間に配置したデフケース
本体とからなり、摺動部材を鉄系の高耐摩耗性材料で製
作すると共に、デフケース本体を軽金属系の鋳物材料で
鋳造加工し、この鋳造加工に際して前記摺動部材を所定
位置に鋳込んだことを特徴とする。
【0009】このように、請求項1のデファレンシャル
装置では、デフケース本体を軽金属系の鋳物材料で鋳造
加工すると共に、差動回転部材と摺動する摺動部材を鉄
系の高耐摩耗性材料で製造し、デフケース本体の鋳造加
工に際してこの摺動部材を鋳込むことによってデフケー
スを加工する。
【0010】こうして、デフケースは摺動部材以外の部
分(デフケース本体)が、例えば、アルミニウムのよう
な軽金属系材料で鋳造されているから、従来例と異なっ
て、軽量であると共に、加工性がよい。
【0011】又、差動回転部材と摺動する部分に摺動部
材を配置し、この摺動部材を鉄系の高耐摩耗性材料で製
造したことにより耐久性が大きく向上している。
【0012】又、熱処理は、鉄系の高耐摩耗性材料で作
られた摺動部材だけに施せばよいから、デフケースは全
体の寸法変化がなく、高い寸法精度が得られる。
【0013】更に、デフケース本体に摺動部材を鋳込む
ことによってデフケースを一体に成形できるから、分割
構成のデフケースと異なって、部品点数が少なく、低コ
ストである。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明であって、差動機構が、デフケースに自転可能に支承
された入力側のピニオンギヤ及びピニオンギヤと噛み合
った一対の出力側サイドギヤとからなるベベルギヤ式の
差動ギヤ機構であり、摺動部材とサイドギヤあるいはサ
イドギヤと一体に回転するように設けたクラッチ部材と
の間に、サイドギヤの噛み合い反力を受けて締結され差
動を制限する円錐摩擦クラッチが形成されていることを
特徴とし、請求項1の構成と同等の効果を得る。
【0015】これに加えて、このようにデフケースとサ
イドギヤあるいはサイドギヤと一体的に回転するように
設けたクラッチ部材との間に、円錐摩擦クラッチを設け
て差動を制限する構成では、デフケースの摩擦クラッチ
部に大きな摩擦力が働くが、この摩擦クラッチ部の摺動
部材を鉄系の高耐摩耗性材料にしたことによって、大き
な耐摩耗性と耐久性とが得られる。
【0016】又、このように中心側に高耐摩耗性(高強
度)材料の摺動部材を配置したから、デフケース本体が
軽金属材料製であっても、デフケースは充分な強度と剛
性とを得ている。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項2記載のデ
ファレンシャル装置であって、出力軸がデフケースの内
部で出力側サイドギヤに連結されており、摺動部材が、
摩擦クラッチ部とこの出力軸の支承部とを有することを
特徴とし、請求項2の構成と同等の効果を得る。
【0018】これに加えて、摺動部材が、サイドギヤあ
るいはクラッチ部材だけでなく、サイドギヤの出力軸も
支承するから、デフケースの耐摩耗性と耐久性とが更に
向上する。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項2記載の発
明であって、摺動部材が、摩擦クラッチを形成する部分
だけを有することを特徴とし、請求項2の構成と同等の
効果を得る。
【0020】これに加えて、摺動部材を摩擦クラッチを
形成する部分だけにしたことによって、デフケースがそ
れだけ軽量になる。
【0021】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求
項4のいずれか一項に記載のデファレンシャル装置であ
って、デフケース本体と摺動部材との間に廻り止め手段
を設けたことを特徴とし、請求項1乃至請求項4の構成
と同等の効果を得る。
【0022】これに加えて、回転方向の摩擦力を受ける
摺動部材を、廻り止め手段によってデフケース本体にし
っかりと固定することができる。
【0023】特に、請求項2乃至請求項4の構成のよう
に各ギヤがベベルギヤの場合、摺動部材の廻り止め手段
をサイドギヤの噛み合い反力に対して垂直方向に形成す
れば、特に高い廻り止め効果が得られる。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項5記載のデ
ファレンシャル装置であって、廻り止め手段が、デフケ
ース本体と摺動部材とに設けられ、互いに噛み合う凹部
と凸部とからなることを特徴とし、請求項5の構成と同
等の効果を得る。
【0025】これに加えて、互いに噛み合う凹部と凸部
とからなる廻り止め手段は構造が簡単で廻り止め効果が
高く、その上、摺動部材に凹部や凸部を加工しておけ
ば、これらと噛み合う凸部や凹部が鋳造時にデフケース
本体に形成され、摺動部材の廻り止めが行われる。
【0026】請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求
項6のいずれか一項に記載の発明であって、摺動部材
に、オイルを保持し差動回転部材との摺動部に供給する
オイル溝が設けられたことを特徴とし、請求項1乃至請
求項6の構成と同等の効果を得る。
【0027】これに加えて、摺動部材に設けたオイル溝
から差動回転部材との摺動部にオイルが直接供給される
から、温度上昇や焼き付きなどが防止され、耐久性が向
上する。
【0028】
【発明の実施の形態】図1と図2によって本発明の第1
実施形態を説明する。図1はこの実施形態のデファレン
シャル装置1を示しており、このデファレンシャル装置
1は請求項1、2、3、5、6の特徴を備えている。な
お、左右の方向は図1と図2での左右の方向であり、符
号を与えていない部材等は図示されていない。
【0029】図1のように、デファレンシャル装置1の
デフケース3はケーシング本体5と一対の摺動部材7と
からなり、後述のように、ケーシング本体5は鋳造加工
され、各摺動部材7は、このときケーシング本体5に鋳
込まれる。
【0030】デフケース3はオイル溜りが形成されたデ
フキャリヤの内部に配置され、左右のボス部9、11は
ベアリングを介してデフキャリヤに支承されている。ボ
ス部9、11にはデフケース3の回転に伴ってオイルを
内部に導く螺旋状のオイル溝13、15が設けられてい
る。
【0031】デフケース3のフランジ部17にはリング
ギヤがボルトで固定されており、このリングギヤは駆動
力伝達系の駆動ギヤと噛み合っている。こうして、デフ
ケース3はエンジンの駆動力によりこの駆動力伝達系を
介して回転駆動される。
【0032】デフケース3の内部では、ピニオンシャフ
ト19が両端を貫通孔21、21に嵌合し、スプリング
ピン23で廻り止めされている。ピニオンシャフト19
上にはピニオンギヤ25、25(入力側の差動回転部
材)が回転自在に支承されている。ピニオンギヤ25に
は左右からサイドギヤ27、29(出力側の差動回転部
材:クラッチ部材)が噛み合っており、各サイドギヤ2
7、29はそれぞれの車軸(出力軸)にスプライン連結
されている。
【0033】ピニオンギヤ25とデフケース3との間に
は、ピニオンギヤ25の遠心力と、サイドギヤ27、2
9との噛み合いによってピニオンギヤ25に生じる噛み
合い反力とを受ける球面ワッシャ31が配置されてい
る。又、各サイドギヤ27、29はピニオンギヤ25と
の噛み合いによって径方向外側から支持されている。
【0034】こうして、ベベルギヤ式の差動ギヤ機構3
3(差動機構)が構成されている。
【0035】デフケース3を回転させるエンジンの駆動
力は、ピニオンシャフト19からピニオンギヤ25を介
してサイドギヤ27、29に分配され、各車軸を介して
左右の車輪に伝達される。又、例えば悪路走行中に、各
車輪間に駆動抵抗差が生じると各ピニオンギヤ25の自
転によってエンジンの駆動力は左右各側に差動分配され
る。
【0036】デフケース3の摺動部材7、7と各サイド
ギヤ27、29との間にはそれぞれ円錐クラッチ35、
37(摩擦クラッチ)が形成されている。なお、サイド
ギヤ27、29の代りに、これと一体的に回転するクラ
ッチ部材を各サイドギヤ27、29と摺動部材7、7と
の間に設け、これらの間に円錐クラッチ35、37を形
成してもよい。
【0037】車輪の間に差動回転が発生すると、ピニオ
ンギヤ25との噛み合いによって各サイドギヤ27、2
9に生じる噛み合い反力を受けて円錐クラッチ35、3
7が締結され、これらの摩擦抵抗により差動ギヤ機構3
3の差動が制限される。
【0038】各摺動部材7はFCD600(球状黒鉛鋳
鉄:鉄系の高耐摩耗性材料)で鋳造した後、熱処理と各
部の切削加工とが施される。
【0039】各摺動部材7は円錐部39(摩擦クラッチ
部)と車軸の支承部41とピニオンギヤ25の組付け用
切り欠き43(図2)とを備えており、円錐部39の外
周には凹部45と凸部47の廻り止め手段が形成されて
いる。
【0040】デフケース3の鋳造は次のように行われ
る。
【0041】先ず、上記のように加工された摺動部材7
を、図2のように、内周側の砂型49で支持する。
【0042】この砂型49には、内周部材組付け用の鋳
抜き穴51と、ボス部9、11の内周を形成する円筒部
53、53と、貫通孔21、21を形成する円筒部5
5、55と、デフケース本体5に潤滑孔57(図1)を
設けるための凸部59とが設けられている。
【0043】次に、摺動部材7を支持した砂型49を外
型の内部に配置する。図1のように、この外型には潤滑
孔57と連通する潤滑孔61を形成するための凸部と、
斜線で示す加工代63、65、67を形成するための凹
部とが設けられている。加工代63、65はボス部9、
11の外周にベアリング装着部を加工するためのもので
あり、加工代67はデフケース3のフランジ17にリン
グギヤの装着部を加工するためのものである。
【0044】次いで、外型と内周側砂型49との間にア
ルミニウムの鋳物材を流し込む。このときデフケース本
体5には、摺動部材7の凹部45及び凸部47と噛み合
う凸部及び凹部が形成され、摺動部材7の廻り止め手段
を形成する。
【0045】更に、型から取り出して加工代63、6
5、67を加工し、デフケース3を得る。
【0046】デファレンシャル装置1が回転すると、ボ
ス部9、11のオイル溝13、15を介してオイル溜り
のオイルがデフケース3の内部に流入し、各ギヤの噛み
合い部や円錐クラッチ35、37などを潤滑する。又、
この円錐クラッチ35、37には、隣接して設けられた
潤滑孔61、57からオイルが直接供給されて温度上昇
や焼き付きなどが防止され、耐久性を高めている。
【0047】こうして、デファレンシャル装置1が構成
されている。
【0048】デファレンシャル装置1では、上記のよう
に、デフケース本体5をアルミニウム材で鋳造したか
ら、従来例と異なって、軽量であり加工性がよい。
【0049】又、サイドギヤ27、29との摺動部分
(円錐クラッチ35、37部)に摺動部材7を配置し、
この摺動部材7を強度と耐摩耗性の大きい球状黒鉛鋳鉄
で鋳造したことにより耐久性が大きく向上している。
【0050】又、このように中心側に強度の大きい摺動
部材7を配置したから、デフケース本体5がアルミニウ
ムの鋳物であっても、デフケース3は充分な強度と剛性
とを得ている。
【0051】又、デフケース本体5に摺動部材7を鋳込
むことによってデフケース3を一体に成形できるから、
分割構成のデフケースと異なって、部品点数が少なく、
低コストである。
【0052】又、熱処理は、この摺動部材7だけに施せ
ばよいから、デフケース3は全体の寸法変化がなく、高
い寸法精度が得られる。
【0053】又、摺動部材7が、円錐部39でサイドギ
ヤ27、29を支承するだけでなく、支承部41で各サ
イドギヤ27、29の車軸も支承するから、デフケース
3の耐摩耗性と耐久性とが更に向上する。
【0054】又、凹部45と凸部47などの廻り止め手
段を設けたことにより、円錐クラッチ35、37によっ
て回転方向の大きな摩擦力を受ける摺動部材7をデフケ
ース本体5にしっかりと固定することができる。
【0055】この廻り止め手段は、サイドギヤ27、2
9の噛み合い反力69(図1)に対して垂直方向に形成
したから、廻り止め効果は特に大きい。
【0056】又、互いに噛み合う凹部と凸部とからなる
廻り止め手段は構造が簡単で廻り止め効果が高く、その
上、上記のように摺動部材7に凹部45と凸部47とを
加工しておけば、これらと噛み合う凸部と凹部が鋳造時
にデフケース本体5に形成され、廻り止め手段が形成さ
れる。
【0057】次に、図3乃至図5によって本発明の第2
実施形態を説明する。この実施形態のデファレンシャル
装置は請求項1、2、4、5、6、7の特徴を備えてい
る。このデファレンシャル装置は第1実施形態のデファ
レンシャル装置1において摺動部材7の代わりに摺動部
材71を用いたものであり、各図はこの摺動部材71を
示している。
【0058】従って、デファレンシャル装置1と同機能
部材には同一の符号を与えて引用すると共に、これら同
機能部材の重複説明は省く。又、符号を与えていない部
材等は図示されていない。
【0059】摺動部材71は、摺動部材7と同様に、F
CD600(球状黒鉛鋳鉄:鉄系の高耐摩耗性材料)で
鋳造した後、熱処理と各部の切削加工とが施される。
【0060】摺動部材71は、円錐部73と、ピニオン
ギヤ25の組付け用切り欠き75、75と、大小のオイ
ル溝77、79と、外周に設けられた凹部81(廻り止
め手段)とを備えている。
【0061】摺動部材71は左右に一個ずつ用いられ、
各円錐部73とサイドギヤ27、29との間でそれぞれ
円錐クラッチ35、37を形成している。
【0062】デフケースの鋳造は、上記のデフケース3
と同様に、摺動部材71を内周側の砂型で支持し、更
に、この砂型を外型の内部に配置し、次いで、外型と内
周側砂型との間にアルミニウムの鋳物材を流し込み、型
から取り出して必要な箇所を切削加工し、デフケースを
得る。
【0063】又、デフケース本体には、鋳造時に摺動部
材71の凹部81と噛み合う凸部が形成され、摺動部材
71の廻り止め手段を形成する。
【0064】デファレンシャル装置が回転すると、オイ
ル溝13、15や潤滑孔65、61からオイル溜りのオ
イルがデフケースに流入し、各ギヤの噛み合い部や円錐
クラッチ35、37などを潤滑すると共に、摺動部材7
1のオイル溝77、79に保持されたオイルが直接円錐
クラッチ35、37に供給され、温度上昇や焼き付きな
どを防止し、耐久性を向上させる。
【0065】このように、第2実施形態のデファレンシ
ャル装置では、デフケース本体をアルミニウム材で鋳造
したから、従来例と異なって、軽量であり加工性がよ
い。
【0066】又、サイドギヤ27、29との摺動部分
(円錐クラッチ35、37部)に摺動部材71を配置
し、この摺動部材71を強度と耐摩耗性の大きい球状黒
鉛鋳鉄で鋳造したことにより耐久性が大きく向上してい
る。
【0067】又、このように中心側に強度の大きい摺動
部材71を配置したから、デフケース本体がアルミニウ
ムの鋳物であっても、このデフケースは充分な強度と剛
性とを得ている。
【0068】又、デフケース本体に摺動部材71を鋳込
むことによってデフケースを一体にできるから、分割構
成のデフケースと異なって、部品点数が少なく、低コス
トである。
【0069】又、熱処理は、この摺動部材71だけに施
せばよいから、デフケースは全体の寸法変化がなく、高
い寸法精度が得られる。
【0070】又、摺動部材71が円錐部73だけで構成
されているから、デフケースは高い耐摩耗性を得なが
ら、軽量である。
【0071】又、凹部81による廻り止め手段を設けた
ことにより、円錐クラッチ35、37によって回転方向
の大きな摩擦力を受ける摺動部材71をデフケース本体
にしっかりと固定することができる。
【0072】この廻り止め手段は、サイドギヤ27、2
9の噛み合い反力に対して垂直方向に形成したから、廻
り止め効果は特に大きい。
【0073】又、互いに噛み合う凹部と凸部とからなる
廻り止め手段は構造が簡単で廻り止め効果が高く、その
上、摺動部材71に凹部81を加工しておけば、これら
と噛み合う凸部が鋳造時にデフケース本体に形成され、
廻り止め手段が形成される。
【0074】更に、摺動部材71に設けたオイル溝7
7、79から円錐クラッチ35、37にオイルが直接供
給されるから、焼き付きの防止効果や耐久性の向上効果
が特に大きい。
【0075】なお、上記の実施形態はサイドギヤ27、
29が円錐クラッチ35、37のクラッチ部材を兼ねて
いる例であるが、サイドギヤとクラッチ部材とを別体に
してもよい。
【0076】又、デフケース本体を2分割構成にし、各
分割部分を別々に鋳造し、それぞれの鋳造時に摺動部材
を鋳込むようにすれば、鋳造が容易である。
【0077】この発明のデファレンシャル装置におい
て、差動機構はベベルギヤ式のものに限らず、例えば、
デフケースの回転中心軸に対して平行配置したピニオン
ギヤをデフケースの収納孔で摺動回転自在に収納した差
動ギヤ機構でもよい。この場合は、例えば、デフケース
の収納孔を高耐摩耗性材料の摺動部材にし、これをデフ
ケース本体に鋳込めばよい。
【0078】この発明のデファレンシャル装置は、フロ
ントデフ(前輪の車軸上に配置されたデファレンシャル
装置)と、リヤデフ(後輪の車軸上に配置されたデファ
レンシャル装置)と、センターデフ(エンジンの駆動力
を前輪と後輪とに分配するデファレンシャル装置)のい
ずれにも用いることができる。
【0079】
【発明の効果】請求項1記載のデファレンシャル装置
は、デフケース本体を軽金属系材料で鋳造する際に鉄系
高耐摩耗性材料の摺動部材を鋳込むことによってデフケ
ースを成形するから、従来例と異なって、デフケースが
軽量であり加工性がよい。
【0080】又、この摺動部材を差動回転部材と摺動す
る部分に配置したことによって耐久性が大きく向上して
いる。
【0081】又、熱処理は摺動部材だけに施せばよいか
ら、デフケースは全体の寸法変化がなく、高い寸法精度
が得られる。
【0082】更に、デフケース本体に摺動部材を鋳込む
ことによってデフケースを一体にできるから、分割構成
のデフケースと異なって、部品点数が少なく、低コスト
である。
【0083】請求項2記載の発明は、請求項1の構成と
同等の効果を得ると共に、このようにデフケースに摩擦
クラッチの大きな摩擦力が働く構成でも、デフケースの
摩擦クラッチ部に摺動部材を配置し、この摺動部材を鉄
系の高耐摩耗性材料にしたことによって、高い耐摩耗性
と耐久性とが得られる。
【0084】又、このように中心側に高耐摩耗性(高強
度)材料の摺動部材を配置したから、デフケース本体が
軽金属材料製であっても、デフケースは充分な強度と剛
性とを得る。
【0085】請求項3記載の発明は、請求項2の構成と
同等の効果を得ると共に、摺動部材がサイドギヤの出力
軸も支承するから、デフケースの耐摩耗性と耐久性とが
更に向上する。
【0086】請求項4記載の発明は、請求項2の構成と
同等の効果を得ると共に、摩擦クラッチ部だけを摺動部
材にしたことによって、デフケースがそれだけ軽量にな
る。
【0087】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求
項4の構成と同等の効果を得ると共に、廻り止め手段に
よって、回転方向の摩擦力を受ける摺動部材をデフケー
ス本体にしっかりと固定することができる。
【0088】特に、各ギヤがベベルギヤの場合、摺動部
材の廻り止め手段をサイドギヤの噛み合い反力に垂直に
形成すれば、特に高い廻り止め効果が得られる。
【0089】請求項6記載の発明は、請求項5の構成と
同等の効果を得ると共に、凹部と凸部とからなる廻り止
め手段は構造が簡単で廻り止め効果が高く、その上、摺
動部材に凹部や凸部を加工しておけば、鋳造時にこれら
と噛み合う凸部や凹部がデフケース本体に形成され、摺
動部材が廻り止めされる。
【0090】請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求
項6の構成と同等の効果を得ると共に、摺動部材に設け
たオイル溝から差動回転部材との摺動部にオイルが直接
供給されるから、温度上昇や焼き付きなどが防止され、
耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の実施形態において、摺動部材を内周側の
砂型に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に用いられる摺動部材を
示す図面である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 デファレンシャル装置 3 デフケース 5 デフケース本体 7 摺動部材(摩擦クラッチ部と出力軸の支承部とを有
する) 25 ピニオンギヤ(入力側の差動回転部材) 27、29 サイドギヤ(出力側の差動回転部材) 33 ベベルギヤ式の差動ギヤ機構(差動機構) 35、37 円錐クラッチ(摩擦クラッチ) 39 円錐部(摩擦クラッチ部) 41 出力軸の支承部 45、81 凹部(廻り止め手段) 47 凸部(廻り止め手段) 71 摺動部材(摩擦クラッチ部だけを有する) 77、79 オイル溝

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力側の差動回転部材及びこれと連動回
    転する一対の出力側差動回転部材を有する差動機構と、
    この差動機構を内包するデフケースとを備え、このデフ
    ケースが、差動回転部材を支承する摺動部材と、この摺
    動部材を差動回転部材との間に配置したデフケース本体
    とからなり、摺動部材を鉄系の高耐摩耗性材料で製作す
    ると共に、デフケース本体を軽金属系の鋳物材料で鋳造
    加工し、この鋳造加工に際して前記摺動部材を所定位置
    に鋳込んだことを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、差動機構
    が、デフケースに自転可能に支承された入力側のピニオ
    ンギヤ及びピニオンギヤと噛み合った一対の出力側サイ
    ドギヤとからなるベベルギヤ式の差動ギヤ機構であり、
    摺動部材とサイドギヤあるいはサイドギヤと一体に回転
    するように設けたクラッチ部材との間に、サイドギヤの
    噛み合い反力を受けて締結され差動を制限する円錐摩擦
    クラッチが形成されていることを特徴とするデファレン
    シャル装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の発明であって、出力軸が
    デフケースの内部で出力側サイドギヤに連結されてお
    り、摺動部材が、摩擦クラッチ部とこの出力軸の支承部
    とを有することを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の発明であって、摺動部材
    が、摩擦クラッチを形成する部分だけを有することを特
    徴とするデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に
    記載の発明であって、デフケース本体と摺動部材との間
    に廻り止め手段を設けたことを特徴とするデファレンシ
    ャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の発明であって、廻り止め
    手段が、デフケース本体と摺動部材とに設けられ、互い
    に噛み合う凹部と凸部とからなることを特徴とするデフ
    ァレンシャル装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に
    記載の発明であって、摺動部材に、オイルを保持し差動
    回転部材との摺動部に供給するオイル溝が設けられたこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
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