JPH0931246A - フィルム化剤およびフィルム - Google Patents

フィルム化剤およびフィルム

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JPH0931246A
JPH0931246A JP20384595A JP20384595A JPH0931246A JP H0931246 A JPH0931246 A JP H0931246A JP 20384595 A JP20384595 A JP 20384595A JP 20384595 A JP20384595 A JP 20384595A JP H0931246 A JPH0931246 A JP H0931246A
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JP
Japan
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film
polysaccharide
constituent
forming agent
glucose
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JP20384595A
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Yoichi Oiso
洋一 大磯
Takeshi Okumiya
毅 奥宮
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Tayca Corp
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Tayca Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水溶液の粘度が低く、フィルムとした際の破断
伸度が高く、さらに、抗菌性金属を対イオンとして含有
させることが出来るフィルム化剤を提供する。 【構成】構成糖が、D−グルクロン酸、L−ラムノー
ス、D−ガラクトースおよびD−グルコースの4種から
成り、その構成モル比が、D−グルクロン酸:L−ラム
ノース:D−ガラクトース:D−グルコース=0.8〜
1.2:2.4〜3.6:0.8〜1.2:0.8〜
1.2である多糖類を有効成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の多糖類を有
効成分とするフィルム化剤、および、該フィルム化剤を
使用して得られるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、デキストラン、プルラン、カ
ードラン、キサンタンガム、ゲランガム、ヒアルロン酸
などの種々の多糖類が、医薬、食品、化粧品等の分野で
利用されている。これら多糖類は天然物であるため、安
全性が高く、しかも、生分解性を有するので、生物や地
球環境に優しい物質として、利用の範囲が拡大してい
る。
【0003】天然多糖類には、大きく分けて、植物由
来、動物由来および微生物由来のものがある。これらの
内、微生物由来のもの、すなわち、所謂微生物産生多糖
類が、供給・生産性の面で有利なため、その他の由来の
ものよりも多用されるようになってきている。フィルム
化剤の用途では、微生物産生多糖類のプルランが種々の
産業分野で幅広く使用されている。また、キサンタンガ
ム、ヒアルロン酸などもフィルム形成能を有することが
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プルラ
ンを成分とするフィルムは破断伸度が低い。また、プル
ランは、中性多糖類であるので、酸性多糖類などのよう
に銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属を対イオンとして含有
することが出来ず、プルランのみからは抗菌性フィルム
を製造することは出来ない。
【0005】また、一般にフィルムを効率良く製造する
には、蒸発させる水分の量をできるだけ少なくするため
に、フィルム化剤を高濃度の溶液で用いる方が、コスト
的に有利であるが、抗菌性フィルムの製造が可能な酸性
多糖類であるキサンタンガムやヒアルロン酸などは、水
溶液とした場合の粘度が非常に高いので、高濃度の水溶
液の調製が非常に困難となり、フィルム化剤として好ま
しくない。
【0006】本発明者らは、鋭意検討した結果、クレブ
シエラ属細菌が生産する特定の多糖類が、水溶液の粘度
が低く、フィルムとした際の破断伸度が高く、さらに、
抗菌性金属を対イオンとして含有させることができる特
性を有する多糖類であることを見い出し、本発明を完成
した。すなわち、本発明の目的は、水溶液の粘度が低
く、フィルムとした際の破断伸度が高く、さらに、抗菌
性金属を対イオンとして含有させることが出来るフィル
ム化剤を提供することにある。また、本発明の別の目的
は、破断伸度が高く、さらに、抗菌性金属を安定に含有
し得るフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の要旨は、
構成糖が、D−グルクロン酸、L−ラムノース、D−ガ
ラクトースおよびD−グルコースの4種から成り、その
構成モル比が、D−グルクロン酸:L−ラムノース:D
−ガラクトース:D−グルコース=0.8〜1.2:
2.4〜3.6:0.8〜1.2:0.8〜1.2であ
る多糖類を有効成分とするフィルム化剤に存する。
【0008】本発明の第2の要旨は、上記フィルム化剤
の水溶液を乾燥することにより製造され得る、多糖類を
成分とするフィルムに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用される多糖類は、上
記の構成糖から明らかなように酸性ヘテロ多糖類であ
る。この多糖類は、通常、下記(1)〜(4)の物性を
有する。
【0010】(1)性状:白色繊維状(凍結乾燥物)。
【0011】(2)溶解性:水、希酸、希アルカリに対
して可溶であり、メタノール、エタノール、アセトンに
対して不溶である。
【0012】(3)赤外吸収スペクトル:3400cm-1
付近、1620cm-1付近、1100cm-1、1250cm-1
および2950cm-1付近のそれぞれに吸収が認められ
る。
【0013】(4)呈色反応:フェノール硫酸法、カル
バゾール硫酸法およびm−フェニルフェノール法の何れ
も陽性である。
【0014】本発明で使用される多糖類は、好ましく
は、各構成糖残基の結合様式とその構成モル比が下記の
通りである。
【0015】
【化2】
【0016】また、ゲルろ過クロマトグラフィーを用い
て測定した多糖類の分子量が、好ましくは、約1×10
3〜10×106、さらに好ましくは、約5×103〜1
0×106である。
【0017】本発明で使用される多糖類の分子量ならび
に構成糖の種類、構成比および結合様式は、通常のクロ
マトグラフィー分析、メチル化分析、スミス分解法、比
旋光度測定などにより特定が可能である。具体的には、
下記のような特定方法が例示される。
【0018】分子量の測定:例えば、旭化成社製「As
ahipak GFA−7MF」をカラムとし、0.1
M硝酸ナトリウム水溶液を移動相としたGPCモードの
高速液体クロマトグラフィーを使用し、分子量既知のプ
ルランを標準サンプルとして作成した分子量−保持時間
標準曲線を使用して、分子量を測定する。
【0019】構成糖およびその構成比:多糖類、およ
び、その多糖類中のウロン酸残基のカルボキシル基を還
元した多糖類に対し、2Mトリフルオロ酢酸(TFA)
を使用し、100℃で6時間酸加水分解を行い、次い
で、アルジトールアセテートに誘導する。得られた各誘
導体について、3%ECNSS−Mをコートした「Ga
schrom Q」(和光純薬社製)をカラムとするガ
スクロマトグラフィー分析を行う。多糖類と還元多糖類
について得られる分析結果から、多糖類の構成糖および
その構成比を決定する。
【0020】本発明で使用される多糖類は、例えば、多
糖類生産性クレブシエラ・オキシトカTNM3株(FE
RM BP−4669)又はその変異株を培養し、培養
物から多糖類を採取することによって得ることが出来
る。以下、この製造方法について説明する。
【0021】クレブシエラ・オキシトカTNM3株を使
用した製造方法で得られる多糖類は酸性ヘテロ多糖であ
り、下記式で表される構造の主要繰り返し単位を有す
る。
【0022】
【化3】
【0023】使用されるクレブシエラ・オキシトカTN
M3株の菌学的性質を表1〜3に示す。
【0024】
【表1】 菌学的性質 諸 性 質 形態 桿菌、コロニーはややムコイド状 グラム染色 − ブドウ糖OF F型 運動性 − カタラーゼ + オキシターゼ − グルコースからのガス産生 + KCN培地での生育 + クエン酸塩の利用 + メチルレッド − VP +
【0025】
【表2】炭水化物からの酸の生成 グルコース + アドニット + アラビノース + ズルシット + ラクトース + マルトース + マンニット + ラムノース + サリシン + ソルビット + スクロース + トレハロース + キシロース + グリセロール + イノシトール + ラフィノース +
【0026】
【表3】 ゼラチン加水分解 − マロン酸塩 + グルコン酸塩 + 硝酸塩還元 + 硝酸塩からのガス産生 − ウレアーゼ + リジン デカルボキシラーゼ + アルギニン ジヒドロラーゼ − オルニチン カルボキシラーゼ − PAA − ONPG + 硫化水素 + エスクリン加水分解 + インドール + 菌体外特定多糖生産能 + (上記の特定の繰り返し単位を有する多糖類の生成能)
【0027】上記に示す菌学的性質と、バージーズ・マ
ニュアル・オブ・システマチック・バクテリオロジー第
1巻(BERGEY’S MANUAL OF Sys
tematic Bacteriology Volu
me 1、1984年) 464頁に記載のデータとの対
比から、タイプカルチャーのクレブシエラ・オキシトカ
(Klebsiella oxytoca)について菌
体外特定多糖生成能に関する記載は認められないもの
の、他の性質は一致していることが判明し、また、クレ
ブシエラ・オキシトカ種において、特定多糖類を産生す
る菌株は知られていないことから、この菌株は、クレブ
シエラ・オキシトカの、特定多糖類生産能を有すること
を特徴とする新菌株であると考えられ、クレブシエラ・
オキシトカ(Klebsiella oxytoca)
TNM3株と命名されたものである。
【0028】上記の菌株は、通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所において、受託番号「FERM B
P−4669」として、平成6年5月18日から国際寄
託され保管されている。
【0029】クレブシエラ・オキシトカTNM3株(F
ERM BP−4669)の変異株は、紫外線、X線等
の放射線、または、エチルメタンスルホン酸(EM
S)、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニ
ジン(MNNG)等の化学的突然変異誘発物質の様な公
知の突然変異誘発手段により発生させることが出来る。
上記多糖類の生産性の有無は菌株の培養液を分析するこ
とにより容易に判別できる。
【0030】上記の製造方法において、上記微生物を培
養するための培地としては、クレブシエラ(Klebs
iella) 属に属する微生物が生育でき、多糖類を生
産する、炭素源、窒素源、無機塩類及び微量栄養源を適
量含有するものであれば特に制限されない。そして、炭
素源としては、グルコース、ラクトース、マルトース、
キシロース、マンニット、スクロース、ラムノース、ア
ラビノース、トレハロース、ラフィノースなどが使用さ
れる。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩、尿素
などの合成化合物、ポリペプトン、コーンスティープリ
カー、酵母エキス、肉エキス、脱脂大豆抽出物、ペプチ
ド、アミノ酸などの天然有機物が使用される。無機塩類
としては、リン酸塩、カリウム塩、硫酸塩、マグネシウ
ム塩などが使用される。培地には、必要に応じ、鉄塩、
カルシウム塩、マンガン塩などを添加することが出来
る。また、微量栄養源としては、酵母エキス、各種ビタ
ミン類などが使用される。
【0031】培地の状態は、固体でも液体でも構わな
い。液体培地を使用する場合には、静置培養でもよい
が、振盪培養、通気撹拌培養の方がより高収量に多糖類
を得ることが出来る。培養時のpHは、微生物が生育で
きて多糖類を生産し得るpHであれば特に制限されない
が、通常は4〜8のpHが適切である。培養温度につい
ても、特に制限されないが、通常は20〜35℃が適切
である。培養時間は、多糖類の生産量が最大に達する期
間が選ばれるが、通常は1〜7日が適切である。
【0032】上記の培養方法で得られた培養物から、多
糖類を採取する方法としては、通常の多糖類に適用され
る従来公知の方法を採用することが出来る。例えば、先
ず、遠心分離や濾過などにより、培養物から菌体を除去
した後、得られた培養液にメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、アセトン等の有機溶媒を加えて沈澱を
生じさせる。次いで、沈澱物を水に溶解させた後、水に
対して透析を行ない、通風乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、
ドラム乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの方法により、透
析内液を乾燥して多糖類を回収する。
【0033】上記の採取方法の他に、限外濾過により、
上記の培養液から多糖類以外の成分を除去し、得られた
濃縮液を上述の乾燥工程に供する方法を採用してもよ
い。更に、必要に応じ、通常の多糖類の精製法に従って
精製することにより、高純度精製品を得ることも出来
る。精製法としては、イオン交換、ゲル濾過、アフィニ
ティー等の各種のカラムクロマトグラフィー、四級アン
モニウム塩による沈澱や塩析、有機溶媒による沈澱など
が採用される。
【0034】上記の製造方法で得られる多糖類の重合度
は、製造時の培地組成、採取法などの条件を調節するこ
とによって変化させることが出来る。また、TFA、ギ
酸、塩酸などを使用し且つ条件を調節することにより、
採取品や精製品を加水分解することが出来る。従って、
多糖類の分子量は、約1×103 〜10×106 の範囲
で自由に調節することが可能である。
【0035】本発明で使用される多糖類として特に好ま
しいものは、上記のクレブシエラ・オキシトカTNM3
を使用した製造方法で得られる多糖類である。
【0036】本発明で使用される多糖類は、水溶液とし
た場合、フィルム化剤として多用されるプルランと同程
度の粘度を有し、したがって、高濃度水溶液の調製が容
易であり、フィルムを効率良く製造できる。また、グル
クロン酸残基を有するため、この酸残基の対イオンを、
銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属で置換することにより、
抗菌性を付与することが可能である。さらに、このフィ
ルム化剤から製造されるフィルムは破断伸度に優れる。
このように、本発明で使用される多糖類は、フィルム化
剤として従来品にはない性質を有している。
【0037】上記の本発明のフィルム化剤は、水溶液に
し、目的により、型に入れ、または、被コート材料に塗
布もしくは吹き付けし、次いで、乾燥することによって
フィルムとすることが出来る。水溶液の濃度や乾燥温度
などの製造条件は適宜選択されるが、水溶液の濃度は、
通常、1〜35%(w/v)であり、乾燥温度は、通
常、20〜150℃である。
【0038】上記の様にして得られ得る本発明のフィル
ムは、通常、5%以上、好ましくは6%以上の破壊伸度
を有し、また、通常、400kg/cm2以上の引張強
度を有する。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0040】参考例1(多糖類の製造) 500ml容の坂口フラスコ4本のそれぞれに、表4に
示す組成の培地を100ml入れ、121℃で20分間
湿熱滅菌後、表5に示す組成の培地を用いて試験管で2
日間液体振盪培養していたクレブシエラ・オキシトカ
(Klebsiella oxytoca)TNM3株
(FERM BP−4669)を一白金耳分植菌し、振
盪数毎分110ストローク、28℃で1日間レシプロ振
盪培養を行った。
【0041】
【表4】 培地組成(重量%) グルコース 2.0 % ポリペプトン 0.1 % リン酸一水素カリウム 0.15 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05 % ビタミンB1 0.0005 % ビオチン 0.000006% パントテン酸カルシウム 0.001 % ニコチンアミド 0.0005 % pH 6.5
【0042】
【表5】 培地組成(重量%) グルコース 4 % ポリペプトン 0.2 % リン酸一水素カリウム 0.15 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05 % ビタミンB1 0.0005 % ビオチン 0.000006% パントテン酸カルシウム 0.001 % ニコチンアミド 0.0005 %
【0043】表5に示す組成の培地8リットルを入れて
前記と同様の滅菌を行った15リットル容のジャーファ
ーメンターに前記で得られた培養液400mlを接種
し、温度28℃、通気量5リットル/分の条件下で、5
M水酸化ナトリウム水溶液を用いて系中のpHを7に保
ちながら、95時間通気攪拌培養を行った。なお、回転
数は、培養24時間目までは200rpm、それ以降3
3時間目までは400rpm、それ以降95時間目まで
は700rpmとした。
【0044】得られた培養物のpHを10%硫酸で4.
5に調整し、121℃で60分間湿熱滅菌後、遠心分離
により菌体を除去した。得られた培養上清分について、
多糖類以外の成分(残留培地成分など)が除去される
迄、クロスフロー方式の限外濾過を繰り返した。限外濾
過には、東ソー社製、限外濾過システム「UF−LMS
II」(分画分子量:3×106 )を使用した。限外濾過
膜を透過しなかった濃縮液を凍結乾燥し、培地1リット
ル当たり約21gの単一な多糖類を得た。なお、多糖類
の単一性の確認は、GPCモードの高速液体クロマトグ
ラフィーを使用して行った。
【0045】旭化成社製「Asahipak GFA−
7MF」をカラムとし、0.1M硝酸ナトリウム水溶液
を移動相とした高速液体クロマトグラフィーを使用し、
上記の多糖類の分子量を測定した結果、多糖類のクロマ
トグラムのピークトップの保持時間は、分子量既知のプ
ルランを標準サンプルとして作成した分子量−保持時間
標準曲線において、分子量約1.5×106 に相当する
値を示した。
【0046】また、上記の多糖類、および、そのグルク
ロン酸残基のカルボキシル基を還元した多糖類につい
て、各構成糖まで加水分解を行い、アルジトールアセテ
ートに誘導した後、ガスクロマトグラフィー分析を行っ
た。予め作成した検量線と各構成糖のピーク面積とから
各構成糖のモル比を求めたところ、D−グルクロン酸:
L−ラムノース:D−ガラクトース:D−グルコース=
1:3:1:1であった。
【0047】参考例2(多糖類の製造) 参考例1と同様にして得られた培養物のpHを10%硫
酸で4.5に調整し、121℃で100分間湿熱滅菌
後、遠心分離により菌体を除去した。以下、参考例1と
同様な処理を行って、培地1リットル当たり約19gの
単一な多糖類を得た。但し、限外濾過には、東ソー社
製、限外濾過システム「UF−LMSII」(分画分子
量:1×105 )を使用した。得られた多糖類につい
て、参考例1と同様にして構成糖のモル比を求めた結
果、D−グルクロン酸:L−ラムノース:D−ガラクト
ース:D−グルコース=1:2.8:1:1であった。
また、分子量は2×105であった。
【0048】実施例1(多糖類水溶液の粘度測定) 参考例1および2で得られた多糖類ならびに市販多糖類
であるプルラン(林原社製)、キサンタンガム(ケルコ
社製)およびヒアルロン酸(紀文フードケミファ社製)
の1%(w/v)水溶液を調製し、各水溶液の粘度をB
型粘度計(60rpm、温度25℃)にて測定した。結
果を表6に示す。
【0049】
【表6】 ─────────────────────────────────── 物質 1%(w/v)水溶液の粘度(cps) 参考例1で得られた多糖類 20 参考例2で得られた多糖類 10 プルラン 10 キサンタンガム 1470 ヒアルロン酸 5800 ───────────────────────────────────
【0050】上記の結果から、本発明で使用される多糖
類の水溶液の粘度は、プルランと同程度であり、キサン
タンガムやヒアルロン酸よりも非常に低いことがわか
る。したがって、本発明のフィルム化剤は、高濃度溶液
の調製が容易であり、フィルムを効率良く調製できる。
【0051】実施例2(フィルムの調製および評価) 参考例1および2で得られた多糖類ならびにプルラン
(林原社製)の2%(w/v)水溶液をそれぞれ調製
し、各水溶液をPETシート上に置いた型板(50×5
0×1mm)内に各々流し込んで、50℃で乾燥してフ
ィルムを調製した。得られた各フィルムの引張強度およ
び破断伸度を、精密万能試験機(島津製作所製、AGS
−500B)を使用して測定した(測定条件:JIS
Z 1707に準拠)。結果を表7に示す。
【0052】
【表7】 ───────────────────────────── 引張強度 破断伸度 物質 (kg/cm2) (%) 参考例1で得られた多糖類 700 9 参考例2で得られた多糖類 500 6 プルラン 500 3 ─────────────────────────────
【0053】上記の結果から明らかな通り、本発明のフ
ィルム化剤から調製されるフィルムは、引張強度におい
て、プルランのフィルムと同等以上の性能を有し、破断
伸度においてはプルランのフィルムより優れていること
が分かる。
【0054】実施例3(洗剤の包装) 参考例1で得られた多糖類を用いて、実施例2と同様に
して調製したフィルム(10×20cm)に、市販の衣
料用粉末洗剤30gを乗せ、その上に同サイズのフィル
ムを被せ、周辺部をヒートシールして洗剤包装物を調製
した。
【0055】上記の洗剤包装物を、洗濯物が入った容量
40lの自動洗濯機の水槽に入れて、洗濯機を作動させ
て水を送り込んだところ、フィルムは溶解し、包装物中
に入っていた洗剤が水槽中に広がっていった。
【0056】上記の様に、本発明のフィルムを用いて洗
剤を洗剤包装物とすれば、計量の手間が省け、また、洗
剤を粉末のまま扱う際に生じる計量時や投入時の洗剤の
飛散がなくなる。
【0057】実施例4(農薬の包装) 参考例1で得られた多糖類を用いて、実施例2と同様に
して調製したフィルム(10cm×20cm)に、殺虫
剤である1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NA
C)10gを乗せ、その上に同サイズのフィルムを被
せ、周辺部をヒートシールして農薬包装物を調製した。
【0058】上記の農薬包装物を水田に投げ入れたとこ
ろ、フィルムは溶解し、包装物中に入っていたNACが
水田中に放出された。
【0059】上記の様に、本発明のフィルムを用いて農
薬を農薬包装物とすれば、直接手で農薬に触れることが
ないので、衛生的である。
【0060】実施例5(化粧用パックの調製) 表8に示す処方により化粧用パックを調製した。すなわ
ち、(7)に、(1)、(2)、(3)および(4)を
加え、撹拌溶解し、これに、(5)を溶解した(6)を
加え、溶解して化粧用パックを得た。
【0061】
【表8】 (1)ポリエチレングリコール 2.0 重量% (2)1,3−ブチレングリコール 5.0 重量% (3)参考例1で得られた多糖類 18.5 重量% (4)パラオキシ安息香酸ナトリウム 0.1 重量% (5)香料 0.05重量% (6)エタノール 8.0 重量% (7)精製水 66.35重量%
【0062】実施例6(微生物感染予防・治療剤の調
製) 参考例1で得られた多糖類の1%(w/v)水溶液50
0mlに、硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)3gをかき
まぜながら添加した。次いで、限外ろ過により脱塩し、
凍結乾燥することによって、ウロン酸残基の対イオンが
亜鉛イオンである多糖類を得た。これから、実施例2と
同じ方法を用いてフィルムを調製した。
【0063】上記の様にして調製したフィルムを創傷部
位に被せることにより、細菌などの感染を予防・治療す
ることが出来る。
【0064】実施例6(インスタントジュース剤の調
製) 市販の粉末ジュース10gを溶解させた水180ml
に、参考例2で得られた多糖類を、濃度が30%(w/
v)になるように、加熱しながら溶解した。この溶液か
ら、実施例2と同様の方法を用いてフィルムを調製し
た。このフィルムを水180ml中に入れて棒でかき混
ぜると、フィルムは溶けてジュースが調製できた。
【0065】上記の様に、粉末ジュースをフィルム状に
することによって、溶解時の計量の手間を省くことが出
来る。
【0066】
【発明の効果】以上に説明した本発明によれば、水溶液
の粘度が低く、フィルムとした際の破断伸度が高く、さ
らに、抗菌性金属を対イオンとして含有することが出来
るフィルム化剤が提供される。本発明のフィルム化剤
は、食品、化粧品、医薬品、農業、染料などの分野での
包装用フィルム原料や、洗剤、農薬、殺菌剤、染剤など
の錠剤や粒剤のコーティング剤としての利用が可能であ
る。また、フィルム電池の電解質部の原料としての利用
も期待できる。本発明のフィルム化剤から製造されたフ
ィルムは、特に、破断伸度に優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成糖が、D−グルクロン酸、L−ラム
    ノース、D−ガラクトースおよびD−グルコースの4種
    から成り、その構成モル比が、D−グルクロン酸:L−
    ラムノース:D−ガラクトース:D−グルコース=0.
    8〜1.2:2.4〜3.6:0.8〜1.2:0.8
    〜1.2である多糖類を有効成分とするフィルム化剤。
  2. 【請求項2】 多糖類の各構成糖残基の結合様式とその
    構成モル比が下記の通りである請求項1に記載のフィル
    ム化剤。 【化1】 (但し、Rha、Gal、GlcおよびGlcUAは、
    それぞれ、ラムノース残基、ガラクトース残基、グルコ
    ース残基およびグルクロン酸残基を示し、数字はグリコ
    シド結合の位置を示す。)
  3. 【請求項3】 ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて測
    定した多糖類の分子量が、約1×103〜10×106
    ある請求項1または2に記載のフィルム化剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフ
    ィルム化剤の水溶液を乾燥することにより製造され得
    る、多糖類を成分とするフィルム。
JP20384595A 1995-03-27 1995-07-18 フィルム化剤およびフィルム Withdrawn JPH0931246A (ja)

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DE69616852T DE69616852D1 (de) 1995-03-27 1996-03-26 Feuchthaltemittel, antistatisches Mittel, Dispergiermittel und filmbildendes Mittel mit Polysaccharid als wirksames Prinzip; Verfahren zur Herstellung von Polysacchariden und Klebsiella Stamm
EP96104795A EP0735049B1 (en) 1995-03-27 1996-03-26 Humectant, antistatic agent, dispersant and film-forming agent having polysaccharide as active principle, preparation process of polysaccharides, and Klebsiella strain

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