JPH09310654A - 燃料噴射弁 - Google Patents

燃料噴射弁

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JPH09310654A
JPH09310654A JP12467696A JP12467696A JPH09310654A JP H09310654 A JPH09310654 A JP H09310654A JP 12467696 A JP12467696 A JP 12467696A JP 12467696 A JP12467696 A JP 12467696A JP H09310654 A JPH09310654 A JP H09310654A
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JP
Japan
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valve
magnetostrictive element
fuel injection
injection valve
slider
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JP12467696A
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English (en)
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Hisatoku Moriya
久徳 守谷
Teruo Yamauchi
照夫 山内
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、磁歪素子を用いる内開き方式
の燃料噴射弁において、計量精度の高い燃料噴射弁を提
供することにある。 【解決手段】燃料噴射弁のケース1内には、磁場を発生
する電磁コイル10と、この電磁コイル10により磁場
を印加されると伸びる磁歪素子3が固定されている。さ
らに、先端にボール弁6の固定された弁体5が、磁歪素
子3を貫通して配置されている。磁歪素子3の一端3B
は、ケース1のノズル2側に固定され、磁歪素子3の他
端3Aは、スライダ11及びスペーサ12を介して、弁
体5のツバ部5Aに係合している。従って、電磁コイル
10により、磁歪素子3に磁場を印加すると、磁歪素子
3が変位し、この変位により、弁体5が駆動され、燃料
が噴射される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料噴射弁に係
り、特に、内燃機関に用いるに好適な超磁歪素子を利用
した燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用内燃機関は、圧縮着火方式のデ
イーゼル機関と、火花点火方式のガソリン機関が主流を
占めている。デイーゼル機関に使用される燃料噴射弁
は、燃料自体の圧力によって開弁する自動弁方式が主と
して採用されており、ガソリン機関に使用される燃料噴
射弁は、電磁式(ソレノイド式)が主として採用されて
いる。
【0003】圧縮着火機関では、その燃焼形態から極め
て短期間に燃料を噴射し、微粒化する必要があるため、
燃料噴射弁は、高圧高速で動作可能な発生力の大きい油
圧式自動弁が使用されている。しかし、油圧式の燃料噴
射弁の欠点は、噴射量の制御性が悪い点にある。
【0004】一方、ガソリン機関の燃料噴射弁は、従
来、吸気管内噴射が主流のため、噴射圧が数気圧程度が
一般的である。従って、発生力の小さい電磁式で十分で
あり、弁を直接電気的に開閉するため、噴射量の制御性
が優れている。
【0005】しかし、最近の環境規制,省資源といった
社会的ニーズから、ガソリン機関も更に高効率化,排気
ガスのクリーン化が必要とされ、その解決策として、直
接筒内噴射(直噴)システムが実用化されようとしてい
る。内燃機関の筒内に直接燃料を噴射するためには、燃
料噴射弁は、デイーゼル機関の燃料噴射弁と同様に、高
圧高速噴射が必要となっている。
【0006】ガソリン機関用燃料噴射弁を高圧高速化す
る方式として、各種の方式が検討されている。その方式
としては、従来の電磁式を改良する方式,圧電素子を利
用する方式,磁歪素子を利用する方式が有力視されてい
る。
【0007】この中で磁歪素子を利用する燃料噴射弁と
して、従来から知られているものは、大部分が外開き方
式の燃料噴射弁である。外開き方式の燃料噴射弁は、弁
体が燃焼室方向に動く構造を有している。磁歪素子に磁
場を印加することにより、磁歪素子が伸び、これによっ
て、弁体を燃焼室方向に動かし、弁体とバルブシートの
間隙から燃料を噴射する。
【0008】しかしながら、外開き方式の燃料噴射弁
は、弁体が燃焼室内に位置するため、燃料噴射弁の先端
部の弁体周辺にデポジットが形成される。このデポジッ
トの形成によって、噴霧形状が燃料噴射弁の使用ととも
に経時変化するという問題がある。
【0009】外開き方式の燃料噴射弁のデポジットの問
題を解決する方式として、内開き方式の燃料噴射弁があ
る。内開き方式の燃料噴射弁としては、例えば、特開平
4−81565号公報に記載のように、永久磁石によっ
て予め磁歪素子に磁場を印加して、磁歪素子を伸ばして
おき、さらに、電磁コイルに通電して、磁場を減らすこ
とにより、磁歪素子を収縮させて、開弁するものが知ら
れている。
【0010】しかしながら、永久磁石によって発生する
磁場強度はそれほど大きくできないため、磁歪素子の伸
長量を大きくとれないという問題がある。その結果、弁
体のストロークを大きくできず、最大噴射量を大きくす
ることができないという問題がある。
【0011】それに対して、例えば、特開平6−915
9号公報に記載のように、磁歪素子に磁場を印加し、磁
歪素子を伸ばして、開弁するものが知られている。この
方式では、磁歪素子の伸長量が弁体のストロークとなる
ため、最大噴射量を大きくできるものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−9159号公報に記載の方式では、磁歪素子を伸ば
した際に、開弁する構造とするため、磁歪素子に弁体を
ネジによって固定する構造となっている。そのため、燃
料噴射量の計量精度が悪いという問題がある。即ち、計
量精度の高めるためには、弁体とバルブシートの同心精
度を高める必要があるが、磁歪素子と弁体が一体的固定
されているため、バルブシートに対する弁体の位置調整
がしずらいため、計量精度を高めるのが容易でないとい
う問題があった。
【0013】本発明の目的は、磁歪素子を用いる内開き
方式の燃料噴射弁において、計量精度の高い燃料噴射弁
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ケースの先端に固定されたノズルのバル
ブシートに当接する弁をこのバルブシートから放すこと
により開弁して燃料を噴射する燃料噴射弁において、上
記ケース内に固定収納され、磁場を発生する電磁コイル
と、この電磁コイルにより磁場を印加されると伸びる磁
歪素子と、上記弁に固定されるとともに、上記磁歪素子
を貫通して配置された弁体とを備え、この磁歪素子の一
端を上記ケースの上記ノズル側に固定し、上記磁歪素子
の他端の上記ノズル側とは逆方向への変位によって、上
記弁体を駆動するようにしたものであり、かかる構成と
することにより、燃料噴射の計量精度を向上し得るもの
となる。
【0015】上記燃料噴射弁において、好ましくは、第
1及び第2のスプリングを備え、第1のスプリングは、
上記弁体を常時閉じる方向に附勢し、第2のスプリング
は、上記磁歪素子を常時圧縮する方向に附勢するように
したものである。
【0016】上記燃料噴射弁において、好ましくは、さ
らに、上記第2のスプリングと上記磁歪素子との間に配
置され、上記第2のスプリングの附勢力を上記磁歪素子
に掛けるとともに、上記ケースの内径面によってガイド
されるスライダを備えるようにしたものである。
【0017】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記弁体は、上記弁を直接駆動する弁体と、この弁体に当
接したロッドに分割し、上記第1のスプリングは、上記
ロッドを介して上記弁体を閉じる方向に附勢し、さら
に、上記弁体を開き方向に附勢するとともに、上記第1
のスプリングよりも弱い附勢力を有する第3のスプリン
グを備えるようにしたものであり、かかる構成により、
弁体の動きを円滑にし得るものとなる。
【0018】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記磁歪素子を貫通する部分の弁体を非磁性体により構成
するようにしたものであり、かかる構成により、高速な
開弁をし得るものとなる。
【0019】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記磁歪素子の変位が、スライダを介して、上記弁体に伝
達され、上記スライダの厚みによって、上記弁の有効ス
トロークが調整可能となる。
【0020】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記磁歪素子の変位が、スライダ及びスペーサを介して、
上記弁体に伝達され、上記スペーサの厚みによって、上
記弁の有効ストロークが調整可能となる。
【0021】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記燃料は、上記磁歪素子の周囲を通って、上記ノズル側
に流通するようにしたものであり、かかる構成により、
磁歪素子を冷却し、弁の有効ストロークの変化を小さく
し得るものとなる。
【0022】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記磁歪素子の変位を上記弁体に伝達するスライダを備
え、上記燃料は、上記スライダの上面に形成された溝を
介して、上記磁歪素子の内周側を通って、上記ノズル側
に流通するようにしたものである。
【0023】上記燃料噴射弁において、好ましくは、上
記磁歪素子の変位を上記弁体に伝達するスライダを備
え、上記燃料は、このスライダの外径部と上記ケースの
内径部の間、上記磁歪素子の外周側及び上記磁歪素子を
保持するホルダに形成された連通穴を通って、上記ノズ
ル側に流通するようにしたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図7を用いて、本発
明の一実施形態による燃料噴射弁について説明する。図
1は、本発明の一実施形態による燃料噴射弁の断面図で
ある。最初に、全体的な構造について説明する。
【0025】図1において、円筒形で、内径が数段の段
付き形状のケース1に、磁歪素子ホルダ4が固定されて
いる。磁歪素子3は、円筒形であり、その詳細構造につ
いては、図2を用いて後述する。磁歪素子3の下側の端
面3Bは、磁歪素子ホルダ4の内径部4Cに挿入され、
磁歪素子ホルダ4の受け面4Aに当接し、固定されてい
る。従って、磁歪素子3の端面3Bは、ケース1に固定
されており、磁歪素子3が伸びる時の固定端として作用
する。磁歪素子3の上側の端面3Aは、スライダ11の
凹部内径部11Dに挿入されており、スライダ11の受
け面11Cに当接している。スライダ11の外径部11
Aは、ケース1の内径部1Dに対して間隙を有して挿入
されており、スライダ11は、ケース1内を内径部1D
に沿って摺動可能である。従って、磁歪素子3の端面3
Aは、磁歪素子3が伸びる時の自由端として作用する。
また、磁歪素子3の軸芯は、磁歪素子3の外径と磁歪素
子ホルダー4の凹部内径4Cによって、及び磁歪素子3
の外径とスライダ11の凹部内径部11Dによって、ケ
ース1の軸芯とずれがないようにガイドされている。
【0026】ケース1の下端には、ノズル2が固定され
ている。ケース1とノズル2の間は、Oリング15によ
ってシールしている。ノズル2の先端には、燃料を噴射
するためのオリフィス7と、このオリフィス7に続く円
錐形のバルブシート8が形成されている。バルブシート
8には、弁体5の先端に固定された球形のボール弁6が
当接している。バルブシート8とボール弁6が接触した
状態では、弁は閉じられており、ボール弁6が上方に移
動し、バルブシート8とボール弁6が離れると、弁が開
く構造である。
【0027】弁体5は、長い円柱形であり、磁歪素子ホ
ルダ4の内径部4Bとスライダ11の内径部11Gの間
には間隙が設けられており、図中、上下方向に摺動可能
である。弁体5の上方には、ツバ部5Aが弁体5と一体
的に形成されている。ツバ部5Aの下面5Cとスライダ
11の上端面11Bとの間には、円環状のスペーサ12
が挿入されている。また、弁体5の上端部5Bは、ケー
ス1の小径部1Cによって、摺動自在にガイドされてい
る。弁体5は、2箇所でガイドされる構造となってお
り、1箇所は、上述した弁体5の上端部5Bであり、他
の1箇所は、弁体5のボール部6である。ボール部6に
おけるガイド構造については、図3を用いて後述する。
【0028】スライダ11の上面には、下方向に、スプ
リング13によって荷重が掛けられており、磁歪素子3
を磁歪素子ホルダ4に押しつけており、磁歪素子3に対
して圧縮力を掛けている。また、弁体5のツバ部5Aの
上面には、弁を閉じる方向に、スプリング14によって
荷重が掛けられており、弁体5のボール部6をノズル2
のバルブシート8に押しつけている。
【0029】磁歪素子3の外周には、ボビン9内に巻か
れたコイル10が配置されている。ボビン9は、その上
端面が、ケース1の内部の段付部に当接しており、下端
面は、磁歪素子ホルダ4によって固定されている。
【0030】ケース1の上部1Aには、Oリング16を
介して図示しない燃料パイプが取り付けられる。この燃
料パイプからノズル2の先端のオリフィス7に至る燃料
通路は、次のように構成されている。即ち、燃料パイプ
から流入した燃料は、ケース1の上部の入口通路1Bに
流入する。入口通路1Bを通った燃料は、ケース1の内
径部1Cと弁体5の上端部5Bの間の間隙を経て、スプ
リング室23に流入する。スプリング室23に流入した
燃料は、スライダ11の上部端面11Bから、スライダ
11の内径部11Gと弁体5の外周の間の間隙と、磁歪
素子3の内周と弁体5の外周の間の間隙とを経て、ノズ
ル室24に流入する。ここで、スライダ11の上部端面
11Bには、燃料が流れ易くするための溝が形成されて
いるが、その詳細については、図4を用いて後述する。
ノズル室24に流入した燃料は、バルブシート8とボー
ル弁6の間に形成される隙間を通って、オリフィスから
噴射される。
【0031】次に、図2を用いて、磁歪素子3の構成に
ついて説明する。図2(A)は、本発明の一実施形態に
よる燃料噴射弁に用いる磁歪素子の平面であり、図2
(B)は、本発明の一実施形態による燃料噴射弁に用い
る磁歪素子の断面図である。
【0032】磁歪素子3は、図2(A),(B)に示す
ように、円筒状のものを用いている。磁歪素子3に磁場
を印加しない時の全長をLとする。磁歪素子3の下端面
3Bを固定しておき、磁歪素子3の上端面3Aを自由端
とすると、この磁歪素子3に磁場を印加することによ
り、ΔLだけ伸長する。磁歪素子3の歪率ΔL/Lは、
磁界の強さHに比例する。ここで、磁歪素子3の材料と
しては、例えば、鉄(Fe)とテリビウム(Tb)の合
金,鉄(Fe)とジスプロジウム(Dy)の合金,ある
いは、鉄(Fe)とテリビウム(Tb)とジスプロジウ
ム(Dy)の合金を使用することにより、かかる磁歪素
子に磁場を印加した際、その全長が極めて大きく伸びる
性質を有する。
【0033】次に、図3を用いて、ノズル2のシート部
分の詳細構造について説明する。図3は、本発明の一実
施形態による燃料噴射弁のノズル先端の拡大断面図であ
る。
【0034】弁体5の先端には、ボール弁6が溶接され
ており、ノズル2に設けた円錐状のバルブシート8のシ
ート面にシートしている。また、ノズル2の内径部2A
の下部には、スワーラ20が固定されている。スワーラ
20の内径部20Aにより、ボール弁6の動きをガイド
すると共に、スワーラ20に設けた溝20Bにより、燃
料に旋回流を与えてオリフィス7から噴射される燃料の
微粒化を促進している。
【0035】次に、図4を用いて、スライダ11の詳細
構造について説明する。図4(A)は、本発明の一実施
形態による燃料噴射弁に用いるスライダの平面図であ
り、図4(B)は、図4(A)のA−A断面図である。
【0036】スライダ11の上部端面11Bには、溝1
1Fが形成されており、また、円形状凹み11Eが形成
されている。従って、図1において説明したように、ス
プリング室23に流入した燃料は、スライダ11の上部
端面11Bの溝11F及び円形状凹み11Eを経て、ス
ライダ11の内径部11Gと弁体5の外周の間の間隙を
流通する。
【0037】次に、再度、図1に戻って、燃料噴射弁の
動作について説明する。磁歪素子3に磁界を与える磁路
は、コイル10外周に設けたケース1の円筒部25,磁
歪素子ホルダ4,磁歪素子3,スライダ11より構成さ
れる。
【0038】図1において、コイル10に通電され、磁
歪素子3に磁場が印加されると、磁歪素子3は、上方の
燃料入口側に伸び、磁歪素子3の一方の端面3Aが、ス
ライダ11の凹部受け面11Cを押し、スライダ11を
上方に変位させる。そして、スライダ11の上部端面1
1Bが、スペーサ12を介して、弁体5に設けたツバ部
5Aの下面5Cを押し、弁体5を変位させ、開弁する。
【0039】弁体5のツバ部5Aには、弁を閉じる方向
にスプリング14の荷重がかけられており、十分な閉弁
スピードと閉弁力が得られるようにしている。また、ス
ライダ11の上面には、スプリング13の荷重がかけら
れており、常時、磁歪素子3に対して圧縮力をかけると
共に、閉弁の際、スライダ11と磁歪素子3が速やかに
初期状態に戻るようにしている。
【0040】ここで、磁歪素子3を貫通する弁体5のロ
ッド部(ボール弁6を除く円柱状部)は、非磁性体とし
ており、例えば、オーステナイト系SUSである18−
8SUSを使用している。即ち、燃料噴射弁を高速で開
閉弁するためには、コイル10を流れる電流は、開閉弁
の過度時に高速で変化し、応答する必要があるため、コ
イルのインダクタンスLをできるかぎり小さくすること
が望ましい。ここで、コイルのインダクタンスLは、磁
路のパーアンスをPとすると、L=N2P(Nはコイル
の巻数)となる。弁体5のロッド部に磁性体を用いる
と、パーアンスPの値は著しく大きくなるため、コイル
のインダクタンスLが大きくなり、高速な開閉弁が困難
となるため、弁体5のロッド部に非磁性体を用いるよう
にしている。
【0041】次に、図5を用いて、弁体の有効ストロー
クの調整方法について説明する。図5は、本発明の一実
施形態による燃料噴射弁の要部拡大断面図である。
【0042】図2に示した磁歪素子の長さLを、例え
ば,50mmとしたとき、種々の条件により異なるが、
1000エルステッドの磁界による歪量ΔLは、50〜
100μm程度の数値となる。これに対し、燃料噴射弁
に求められる弁体の有効ストロークはエンジン容量ほか
の条件により異なるが、例えば,40μm以上とすれ
ば、各部寸法の不均一性、各部品の熱膨張などを考慮す
ると、有効ストロークを調整する個所が必要となる。
【0043】そこで、図5において、コイル10に通電
され、磁歪素子3がΔL伸びると、スライダ11,スペ
ーサ12を介して、弁体5のツバ部5Aを押し、開弁さ
せるが、スライダ11の端面11Bとスペーサ11の間
に設けたギャップL1が調整代となり、ΔL−L1が有
効ストロークとなる。図5に示す構造では、スペーサ1
2の厚さL2を適当な値に選び、ギャップL1を調整する
ようにしている。
【0044】次に、図6を用いて、弁体の有効ストロー
クの第2の調整方法について説明する。図6は、本発明
の一実施形態による燃料噴射弁の一部を変更した要部拡
大断面図である。図5と同一符号は、同一部分を示して
いる。
【0045】図6においては、図5に示したスペーサ1
2は使用せず、スライダ11の端面11Bを直接、弁体
5のツバ部5Aの端面5Cに当てる構造としている。ギ
ャップL1を調整するためには、スライダ11の磁歪素
子3の端面が当接する受け面11Cから端面11Bまで
の寸法L3を適当な値に選ぶようにする。これによっ
て、ギャップL1を調整するようにしている。
【0046】次に、図7を用いて、弁体の有効ストロー
クの第3の調整方法について説明する。図7は、本発明
の一実施形態による燃料噴射弁の一部を変更した要部拡
大断面図である。図5と同一符号は、同一部分を示して
いる。
【0047】図7に示す例では、図6におけるスライダ
11の凹部受け面11Cを更に深くし、磁歪素子3の端
面3Aとスライダ11の受け面11Cの間にスペーサ1
7を挿入する構造としている。ギャップL1を調整する
ためには、スペーサ17の厚さL4を適当な値に選ぶよ
うにする。これによって、ギャップL1を調整するよう
にしている。
【0048】以上説明したように、燃料噴射弁の弁を開
閉するために、図1に示すような円筒状の磁歪素子を使
用することにより、比較的簡単な構造で内開きの燃料噴
射弁を構成することができる。
【0049】一般に、この種の燃料噴射弁には、外開き
弁と内開き弁があるが、燃焼室に直接燃料を噴射する直
噴システムでは、外開き弁の場合は弁の先端が燃焼室に
露出するため、その先端にデポジット(燃焼残渣などの
異物)が埋積し、燃料の噴射形状を変化させ、正当な燃
料の噴射を妨げる恐れがあるが、それに対して、内開き
弁とすることにより、かかる問題が生じなくなる。
【0050】上述したように、直噴システムに使用する
燃料噴射弁は、高圧高速でなければならないが、弁を開
閉するのに使用する超磁歪素子の極めて大きい発生力に
よって達成することができる。超磁歪素子の発生力に関
して重要なことは、素子に与えられる初期応力によって
歪量が左右される点で、噴射弁を設計する際に最適の初
期応力を付与できる構造でなければならない。また、弁
を閉じる力は高圧燃料を遮断し、しかも、高速で閉弁さ
せるためには、十分な力が必要であるが、耐久性の面か
らは自ずと制限があり、最適値に設計する必要がある。
【0051】それらの点において、本実施形態では、磁
歪素子3の初期応力の設定は、スプリング13により与
え、弁の閉弁力はスプリング14によって、それぞれ最
適値に設定することが可能である。
【0052】また、弁の開弁力については、磁歪素子3
の発生力を直接利用する構造となっているので十分に大
きい値とすることができる。
【0053】また、磁歪素子3と弁体5は別体構造と
し、磁歪素子3は、スプリング13によって圧縮力を与
え、弁体5は、スプリング14によりボール弁6をバル
ブシート8に押圧する構造としているため、バルブシー
ト8に対する弁体5のボール弁6の位置調整は、磁歪素
子3の位置調整とは独立して行えるため、弁の計量精度
を高めることができるものである。
【0054】更に、磁歪素子3の利用で重要な点は、効
率のよい磁路の設計と共に、磁歪素子3の伸び方向に対
し、磁歪素子3の内外径の直角度,両端面の平面度など
を精度良く仕上げる必要があり、伸び方向に摩擦力が働
かないよう、伸び方向を正確にガイドする構造とする必
要がある。かかる点においても、本実施形態では、磁歪
素子3の固定側(下部端面3B側)は、磁歪素子ホルダ
4により、ケース1の軸芯に保持すると共に、磁歪素子
3の伸びる側(上部端面3A側)は、初期応力設定用ス
プリング13の受け部を兼ねたスライダ11に連結し、
スライダ11の外周部11Aを、ケース1の内径面1A
で摺動自在にガイドすることにより、磁歪素子3の変位
方向を、ケース軸芯に一致させることができる。
【0055】近年、超磁歪素子と呼ばれる磁歪素子は、
それ以前から知られているフェライト,ニッケル,やコ
バルトと鉄との合金等に見られる磁歪量に対して、1〜
2桁歪率が大きくなっているとは言え、まだ十分でない
ため、燃料噴射弁に応用する場合の有効ストロークを大
きくするためには、ストロークの調整機構は不可欠であ
る。それに対して、図5,図6若しくは図7において説
明したように、スペーサ12を使用したり、スライダ1
1の寸法により、容易にストロークの調整が可能となっ
ている。
【0056】さらに、磁歪素子3の内周側を燃料が流通
するようにしているので、磁歪素子3を冷却して、磁歪
素子3の温度変化を小さく抑え、弁の有効ストロークの
変化を小さくすることができる。
【0057】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、磁歪素子を用いる内開き方式の燃料噴射弁における
計量精度を向上することができる。
【0058】また、円筒状の磁歪素子を使用することに
より、内開きの燃料噴射弁の構造を比較的簡単なものと
することができる。
【0059】また、超磁歪素子を使用することにより、
高圧高速の弁の開閉が可能となるため、直噴システムに
使用する燃料噴射弁を提供することができる。
【0060】また、その際、磁歪素子に与える初期応力
の設定と、閉弁力の設定をそれぞれ最適値に独立したス
プリングによって行うことが可能となる。
【0061】また、磁歪素子の発生力を直接利用する構
造となっているので、弁の開弁力を十分に大きい値とす
ることができる。
【0062】更に、磁歪素子を伸び方向に正確にガイド
することができる。
【0063】また、スペーサを使用することにより、容
易にストロークの調整が可能となっている。
【0064】さらに、磁歪素子の温度変化を小さく抑
え、弁の有効ストロークの変化を小さくすることができ
る。
【0065】次に、図8を用いて、本発明の第2の実施
形態による燃料噴射弁について説明する。図8は、本発
明の第2の実施形態による燃料噴射弁の断面図である。
【0066】その特徴は、図1に示した弁体5を、図8
の位置αにおいて、弁体18とロッド19に分割した点
にある。このような構成とすることにより、弁体の動作
を円滑にすることができる。弁体の分割によって、弁体
18にツバ部18Aを設け、弁を開く方向にスプリング
21の荷重をかけると共に、ロッド19のツバ部19A
には、弁を閉じる方向スプリング22の荷重をかけるよ
うにしている。ここで、スプリング22とスプリング2
1の荷重の差が、図1に示したスプリング14の荷重と
ほぼ等しくなるように設定してある。
【0067】最初に、全体的な構造について説明する。
図1において、円筒形で、内径が数段の段付き形状のケ
ース1に、磁歪素子ホルダ4が固定されている。磁歪素
子3は、図2に示したような円筒形である。磁歪素子3
の下側は、磁歪素子ホルダ4に固定されている。従っ
て、磁歪素子3の下側は、ケース1に固定されており、
磁歪素子3が伸びる時の固定端として作用する。磁歪素
子3の上側は、スライダ11に当接している。スライダ
11は、ケース1によってガイドされ、ケース1内を摺
動可能である。従って、磁歪素子3の上側は、磁歪素子
3が伸びる時の自由端として作用する。また、磁歪素子
3の軸芯は、磁歪素子3の外径と磁歪素子ホルダー4の
内径によって、及び磁歪素子3の外径とスライダ11の
内径によって、ケース1の軸芯とずれがないようにガイ
ドされている。
【0068】ケース1の下端には、ノズル2が固定され
ている。ケース1とノズル2の間は、Oリング15によ
ってシールしている。ノズル2の先端には、燃料を噴射
するためのオリフィス7と、このオリフィス7に続く円
錐形のバルブシート8が形成されている。バルブシート
8には、弁体18の先端に固定された球形のボール弁6
が当接している。
【0069】ノズル2の内径部の下部には、図3におい
て説明したようなスワーラが固定されており、燃料に旋
回流を与えてオリフィス7から噴射される燃料の微粒化
を促進している。
【0070】弁体18は、円柱形であり、磁歪素子ホル
ダ4の内径部によってケース1の軸心とズレがないよう
にガイドされ、図中、上下方向に摺動可能である。弁体
18の上方には、ツバ部18Aが弁体18と一体的に形
成されている。ツバ部18Aの下面とノズル2の間に
は、弁を開く方向に、スプリング21の荷重が掛けられ
ている。また、弁体18は、ツバ部18Aによって、ノ
ズル2内に摺動自在にガイドされている。
【0071】ロッド19は、その下端面が、磁歪素子ホ
ルダ4の内径部4Bに挿入され、さらに、弁体18の上
端面に当接している。ロッド19の上方には、ツバ部1
9Aがロッド19と一体的に形成されている。ツバ部1
9Aの下面とスライダ11の上端面Bとの間には、円環
状のスペーサ12が挿入されている。また、ロッド19
の上端部は、ケース1の小径部1Cによって、摺動自在
にガイドされている。
【0072】スライダ11の上面には、下方向に、スプ
リング13によって荷重が掛けられており、磁歪素子3
を磁歪素子ホルダ4に押しつけており、磁歪素子3に対
して圧縮力を掛けている。また、ロッド19のツバ部1
9Aの上面には、弁を閉じる方向に、スプリング22に
よって荷重が掛けられており、ロッド19及び弁体18
を介して、ボール部6をノズル2のバルブシート8に押
しつけている。ここで、スプリング22とスプリング2
1の荷重の差が、図1に示したスプリング14の荷重と
ほぼ等しくなるように設定してあるので、通常は、ボー
ル部6はノズル2のバルブシート8に押しつけられてい
る。
【0073】磁歪素子3の外周には、ボビン9内に巻か
れたコイル10が配置されている。ボビン9は、その上
端面が、ケース1の内部の段付部に当接しており、下端
面は、磁歪素子ホルダ4によって固定されている。
【0074】ケース1の上部には、Oリングを介して図
示しない燃料パイプが取り付けられる。この燃料パイプ
からノズル2の先端のオリフィス7に至る燃料通路は、
次のように構成されている。即ち、燃料パイプから流入
した燃料は、ケース1の上部の入口通路1Bに流入す
る。入口通路1Bを通った燃料は、ケース1の内径部1
Cと弁体18の上端部18Bの間の間隙を経て、スプリ
ング室23に流入する。スプリング室23に流入した燃
料は、スライダ11の上部端面11Bから、図4におい
て説明したような溝を経由して、スライダ11の内径部
11Gと弁体18の外周の間の間隙と、磁歪素子3の内
周と弁体18の外周の間の間隙とを経て、ノズル室24
に流入する。ノズル室24に流入した燃料は、バルブシ
ート8とボール弁6の間に形成される隙間を通って、オ
リフィス7から噴射される。
【0075】次に、燃料噴射弁の動作について説明す
る。磁歪素子3に磁界を与える磁路は、コイル10外周
に設けたケース1の円筒部,磁歪素子ホルダ4,磁歪素
子3,スライダ11より構成される。コイル10に通電
され、磁歪素子3に磁場が印加されると、磁歪素子3
は、上方の燃料入口側に伸び、磁歪素子3の一方の端面
3Aが、スライダ11の凹部受け面11Cを押し、スラ
イダ11を上方に変位させる。そして、スライダ11の
上部端面11Bが、スペーサ12を介して、ロッド19
に設けたツバ部19Aの下面を押し、ロッド19を上方
に変位させる。弁体18は、スプリング21によって上
方に附勢されているため、ロッド19の上方への変位に
伴って、弁体18が上方に変位し、開弁する。
【0076】ロッド19のツバ部19Aには、弁を閉じ
る方向にスプリング22の荷重がかけられており、一
方、弁体18のツバ部18Aには、弁を開く方向にスプ
リング21の荷重が掛けられており、十分な開弁スピー
ドと開弁力が得られるようにしている。また、スライダ
11の上面には、スプリング13の荷重がかけられてお
り、常時、磁歪素子3に対して圧縮力をかけると共に、
閉弁の際、スライダ11と磁歪素子3が速やかに初期状
態に戻るようにしている。
【0077】ここで、磁歪素子3を貫通するロッド19
は、非磁性体としており、例えば、オーステナイト系S
USである18−8SUSを使用している。即ち、燃料
噴射弁を高速で開閉弁するためには、コイル10を流れ
る電流は、開閉弁の過度時に高速で変化し、応答する必
要があるため、コイルのインダクタンスLをできるかぎ
り小さくすることが望ましい。ここで、コイルのインダ
クタンスLは、磁路のパーアンスをPとすると、L=N
2P(Nはコイルの巻数)となる。ロッド19に磁性体
を用いると、パーアンスPの値は著しく大きくなるた
め、コイルのインダクタンスLが大きくなり、高速な開
閉弁が困難となるため、ロッド19に非磁性体を用いる
ようにしている。
【0078】なお、弁の有効ストロークの調整方法は、
図5,図6若しくは図7において説明したような方法を
とることができる。ここで、図5,図6若しくは図7に
おける弁体5を、ロッド19に置き換えてみることによ
り、同様にして、ギャップL1の調整が可能となる。
【0079】以上説明したように、燃料噴射弁の弁を開
閉するために、円筒状の磁歪素子を使用することによ
り、比較的簡単な構造で内開きの燃料噴射弁を構成する
ことができる。内開きの燃料噴射弁を採用することによ
って、外開きの燃料噴射弁におけるデポジットの問題も
発生せず、燃料噴射の形状の経時変化を少なくすること
ができる。
【0080】また、弁を開閉するのに使用する超磁歪素
子の極めて大きい発生力によって達成することができる
ので、高圧高速の動作が可能となり、直噴システムに使
用することができる。
【0081】また、本実施形態では、磁歪素子3の初期
応力の設定は、スプリング13により与え、弁の閉弁力
はスプリング22とスプリング21の差によって、それ
ぞれ最適値に設定することが可能である。
【0082】また、弁の開弁力については、磁歪素子3
の発生力を直接利用する構造となっているので十分に大
きい値とすることができる。
【0083】また、磁歪素子3と弁体18は別体構造と
し、磁歪素子3は、スプリング13によって圧縮力を与
え、弁体18は、スプリング14によりボール弁6をバ
ルブシート8に押圧する構造としているため、バルブシ
ート8に対する弁体18のボール弁6の位置調整は、磁
歪素子3の位置調整とは独立して行えるため、弁の計量
精度を高めることができるものである。
【0084】また、本実施形態では、弁体の動きを円滑
にする効果がある。即ち、図1の構造では、弁体5は非
常に長いために弁体及び弁体に隣接する各部品の精度、
同軸度が悪いと動作部分と固定部が接触し、摩擦力が大
きくなりやすいが、図示するように位置αにおいて、弁
体18とロッド19に分割することにより、精度の影響
が小さくなり、円滑な動作が可能となる。
【0085】更に、磁歪素子3の固定側は、磁歪素子ホ
ルダ4により、ケース1の軸芯に保持すると共に、磁歪
素子3の伸びる側は、初期応力設定用スプリング13の
受け部を兼ねたスライダ11に連結し、スライダ11の
外周部、ケース1の内径面で摺動自在にガイドすること
により、磁歪素子3の変位方向を、ケース軸芯に一致さ
せることができる。したがって、磁歪素子3を伸び方向
に正確にガイドすることができる。
【0086】また、超磁歪素子は、通常の磁歪素子に比
べて磁歪量が大きいが、図5,図6,図7において説明
したように、スペーサ12を使用したり、スライダ11
の寸法により、容易にストロークの調整が可能となって
いる。
【0087】さらに、磁歪素子3の内周側を燃料が流通
するようにしているので、磁歪素子3を冷却して、磁歪
素子3の温度変化を小さく抑え、弁の有効ストロークの
変化を小さくすることができる。
【0088】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、磁歪素子を用いる内開き方式の燃料噴射弁における
計量精度を向上することができる。
【0089】また、円筒状の磁歪素子を使用することに
より、内開きの燃料噴射弁の構造を比較的簡単なものと
することができる。
【0090】また、超磁歪素子を使用することにより、
高圧高速の弁の開閉が可能となるため、直噴システムに
使用する燃料噴射弁を提供することができる。
【0091】また、その際、磁歪素子に与える初期応力
の設定と、閉弁力の設定をそれぞれ最適値に独立したス
プリングによって行うことが可能となる。
【0092】また、弁体の動きを円滑にすることができ
る。
【0093】また、磁歪素子の発生力を直接利用する構
造となっているので、弁の開弁力を十分に大きい値とす
ることができる。
【0094】更に、磁歪素子を伸び方向に正確にガイド
することができる。
【0095】また、スペーサを使用することにより、容
易にストロークの調整が可能となっている。
【0096】さらに、磁歪素子の温度変化を小さく抑
え、弁の有効ストロークの変化を小さくすることができ
る。
【0097】次に、図9を用いて、本発明の第3の実施
形態による燃料噴射弁について説明する。図9は、本発
明の第3の実施形態による燃料噴射弁の断面図である。
【0098】その特徴は、燃料通路を磁歪素子の外周に
形成するようにした点にある、最初に、全体的な構造に
ついて説明する。図1において、円筒形で、内径が数段
の段付き形状のケース1に、磁歪素子ホルダ4が固定さ
れている。磁歪素子3は、図2に示したような円筒形で
ある。磁歪素子3の下側は、磁歪素子ホルダ4に固定さ
れている。従って、磁歪素子3の下側は、ケース1に固
定されており、磁歪素子3が伸びる時の固定端として作
用する。磁歪素子3の上側は、スライダ11に当接して
いる。スライダ11は、ケース1によってガイドされ、
ケース1内を摺動可能である。従って、磁歪素子3の上
側は、磁歪素子3が伸びる時の自由端として作用する。
また、磁歪素子3の軸芯は、磁歪素子3の外径と磁歪素
子ホルダー4の内径によって、及び磁歪素子3の外径と
スライダ11の内径によって、ケース1の軸芯とずれが
ないようにガイドされている。
【0099】ケース1の下端には、ノズル2が固定され
ている。ケース1とノズル2の間は、Oリング15によ
ってシールしている。ノズル2の先端には、燃料を噴射
するためのオリフィス7と、このオリフィス7に続く円
錐形のバルブシート8が形成されている。バルブシート
8には、弁体5の先端に固定された球形のボール弁6が
当接している。
【0100】ノズル2の内径部の下部には、図3におい
て説明したようなスワーラが固定されており、燃料に旋
回流を与えてオリフィス7から噴射される燃料の微粒化
を促進している。
【0101】弁体5は、長い円柱形であり、磁歪素子ホ
ルダ4の内径部4Bとスライダ11の内径部11Gによ
ってケース1の軸心とズレがないようにガイドされ、図
中、上下方向に摺動可能である。弁体5の上方には、ツ
バ部5Aが弁体5と一体的に形成されている。ツバ部5
Aの下面5Cとスライダ11の上端面11Bとの間に
は、円環状のスペーサ12が挿入されている。また、弁
体5の上端部5Bは、ケース1の小径部1Cによって、
摺動自在にガイドされている。
【0102】スライダ11の上面には、下方向に、スプ
リング13によって荷重が掛けられており、磁歪素子3
を磁歪素子ホルダ4に押しつけており、磁歪素子3に対
して圧縮力を掛けている。また、弁体5のツバ部5Aの
上面には、弁を閉じる方向に、スプリング14によって
荷重が掛けられており、弁体5のボール部6をノズル2
のバルブシート8に押しつけている。
【0103】スライダ11の上面には、下方向に、スプ
リング13によって荷重が掛けられており、磁歪素子3
を磁歪素子ホルダ4に押しつけており、磁歪素子3に対
して圧縮力を掛けている。また、弁体5のツバ部5Aの
上面には、弁を閉じる方向に、スプリング14によって
荷重が掛けられており、弁体5のボール部6をノズル2
のバルブシート8に押しつけている。
【0104】磁歪素子3の外周には、ボビン9内に巻か
れたコイル10が配置されている。ボビン9は、その上
端面が、ケース1の内部の段付部に当接しており、下端
面は、磁歪素子ホルダ4によって固定されている。
【0105】ケース1の上部には、Oリング16を介し
て図示しない燃料パイプが取り付けられる。この燃料パ
イプからノズル2の先端のオリフィス7に至る燃料通路
は、次のように構成されている。即ち、燃料パイプから
流入した燃料は、ケース1の上部の入口通路1Bに流入
する。入口通路1Bを通った燃料は、ケース1の内径部
1Cと弁体5の上端部5Bの間の間隙を経て、スプリン
グ室23に流入する。スプリング室23に流入した燃料
は、スライダ11の外径部11Aとケース1の内径部1
Dの間の間隙と、磁歪素子3の外周と磁歪素子ホルダ4
の内周の間の環状間隙と、ボビン9の凹部9Aと磁歪素
子ホルダー4のボス部4Dの外周の間と、磁歪素子ホル
ダ4に形成された連通穴26を経て、ノズル室24に流
入する。ノズル室24に流入した燃料は、バルブシート
8とボール弁6の間に形成される隙間を通って、オリフ
ィス7から噴射される。
【0106】次に、燃料噴射弁の動作について説明す
る。磁歪素子3に磁界を与える磁路は、コイル10外周
に設けたケース1の円筒部,磁歪素子ホルダ4,磁歪素
子3,スライダ11より構成される。コイル10に通電
され、磁歪素子3に磁場が印加されると、磁歪素子3
は、上方の燃料入口側に伸び、磁歪素子3の一方の端面
3Aが、スライダ11の凹部受け面11Cを押し、スラ
イダ11を上方に変位させる。そして、スライダ11の
上部端面11Bが、スペーサ12を介して、弁体5に設
けたツバ部5Aの下面を押し、弁体5を上方に変位さ
せ、開弁する。
【0107】弁体5のツバ部5Aには、弁を閉じる方向
にスプリング14の荷重がかけられており、十分な開弁
スピードと開弁力が得られるようにしている。また、ス
ライダ11の上面には、スプリング13の荷重がかけら
れており、常時、磁歪素子3に対して圧縮力をかけると
共に、閉弁の際、スライダ11と磁歪素子3が速やかに
初期状態に戻るようにしている。
【0108】ここで、磁歪素子3を貫通する弁体5のロ
ッド部は、非磁性体としており、例えば、オーステナイ
ト系SUSである5−8SUSを使用している。即ち、
燃料噴射弁を高速で開閉弁するためには、コイル10を
流れる電流は、開閉弁の過度時に高速で変化し、応答す
る必要があるため、コイルのインダクタンスLをできる
かぎり小さくすることが望ましい。ここで、コイルのイ
ンダクタンスLは、磁路のパーアンスをPとすると、L
=N2P(Nはコイルの巻数)となる。弁体5のロッド
部に磁性体を用いると、パーアンスPの値は著しく大き
くなるため、コイルのインダクタンスLが大きくなり、
高速な開閉弁が困難となるため、弁体5のロッド部に非
磁性体を用いるようにしている。
【0109】なお、弁の有効ストロークの調整方法は、
図5,図6若しくは図7において説明したような方法を
とることができる。
【0110】以上説明したように、磁歪素子3の外周側
を燃料が流通するようにしているので、磁歪素子3を冷
却して、磁歪素子3の温度変化を小さく抑え、弁の有効
ストロークの変化を小さくすることができる。
【0111】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、磁歪素子を用いる内開き方式の燃料噴射弁における
計量精度を向上することができる。
【0112】また、円筒状の磁歪素子を使用することに
より、内開きの燃料噴射弁の構造を比較的簡単なものと
することができる。
【0113】また、超磁歪素子を使用することにより、
高圧高速の弁の開閉が可能となるため、直噴システムに
使用する燃料噴射弁を提供することができる。
【0114】また、その際、磁歪素子に与える初期応力
の設定と、閉弁力の設定をそれぞれ最適値に独立したス
プリングによって行うことが可能となる。
【0115】また、弁体の動きを円滑にすることができ
る。
【0116】また、磁歪素子の発生力を直接利用する構
造となっているので、弁の開弁力を十分に大きい値とす
ることができる。
【0117】更に、磁歪素子を伸び方向に正確にガイド
することができる。
【0118】また、スペーサを使用することにより、容
易にストロークの調整が可能となっている。
【0119】さらに、磁歪素子の温度変化を小さく抑
え、弁の有効ストロークの変化を小さくすることができ
る。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、磁歪素子を用いる内開
き方式の燃料噴射弁における計量精度を向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による燃料噴射弁の断面図
である。
【図2】(A)は、本発明の一実施形態による燃料噴射
弁に用いる磁歪素子の平面であり、(B)は、本発明の
一実施形態による燃料噴射弁に用いる磁歪素子の断面図
である。
【図3】本発明の一実施形態による燃料噴射弁のノズル
先端の拡大断面図である。
【図4】(A)は、本発明の一実施形態による燃料噴射
弁に用いるスライダの平面図であり、(B)は、図4
(A)のA−A断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による燃料噴射弁の要部拡
大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による燃料噴射弁の一部を
変更した要部拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による燃料噴射弁の一部を
変更した要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁の断
面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態による燃料噴射弁の断
面図である。
【符号の説明】
1…ケース 2…ノズル 3…磁歪素子 4…磁歪素子ホルダ 5,18…弁体 6…ボール弁 7…オリフィス 8…バルブシート 9…ボビン 10…コイル 11…スライダ 12,17…スペーサ 13,14,21,22…スプリング 15,16…Oリング 19…ロッド 20…スワーラ 23…スプリング室 24…ノズル室 25…円筒部 26…連通穴

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケースの先端に固定されたノズルのバル
    ブシートに当接する弁をこのバルブシートから放すこと
    により開弁して燃料を噴射する燃料噴射弁において、 上記ケース内に固定収納され、磁場を発生する電磁コイ
    ルと、 この電磁コイルにより磁場を印加されると伸びる磁歪素
    子と、 上記弁に固定されるとともに、上記磁歪素子を貫通して
    配置された弁体とを備え、 この磁歪素子の一端を上記ケースの上記ノズル側に固定
    し、上記磁歪素子の他端の上記ノズル側とは逆方向への
    変位によって、上記弁体を駆動することを特徴とする燃
    料噴射弁。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料噴射弁において、 第1及び第2のスプリングを備え、 第1のスプリングは、上記弁体を常時閉じる方向に附勢
    し、 第2のスプリングは、上記磁歪素子を常時圧縮する方向
    に附勢することを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の燃料噴射弁において、さ
    らに、 上記第2のスプリングと上記磁歪素子との間に配置さ
    れ、上記第2のスプリングの附勢力を上記磁歪素子に掛
    けるとともに、上記ケースの内径面によってガイドされ
    るスライダを備えたことを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の燃料噴射弁において、 上記弁体は、上記弁を直接駆動する弁体と、この弁体に
    当接したロッドに分割し、 上記第1のスプリングは、上記ロッドを介して上記弁体
    を閉じる方向に附勢し、 さらに、 上記弁体を開き方向に附勢するとともに、上記第1のス
    プリングよりも弱い附勢力を有する第3のスプリングを
    備えたことを特徴とする燃料噴射弁。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の燃料噴射弁において、 上記磁歪素子を貫通する部分の弁体を非磁性体により構
    成したことを特徴とする燃料噴射弁。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の燃料噴射弁において、 上記磁歪素子の変位が、スライダを介して、上記弁体に
    伝達され、 上記スライダの厚みによって、上記弁の有効ストローク
    が調整可能であることを特徴とする燃料噴射弁。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の燃料噴射弁において、 上記磁歪素子の変位が、スライダ及びスペーサを介し
    て、上記弁体に伝達され、 上記スペーサの厚みによって、上記弁の有効ストローク
    が調整可能であることを特徴とする燃料噴射弁。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の燃料噴射弁において、 上記燃料は、上記磁歪素子の周囲を通って、上記ノズル
    側に流通することを特徴とする燃料噴射弁。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の燃料噴射弁において、 上記磁歪素子の変位を上記弁体に伝達するスライダを備
    え、 上記燃料は、上記スライダの上面に形成された溝を介し
    て、上記磁歪素子の内周側を通って、上記ノズル側に流
    通することを特徴とする燃料噴射弁。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の燃料噴射弁において、 上記磁歪素子の変位を上記弁体に伝達するスライダを備
    え、 上記燃料は、このスライダの外径部と上記ケースの内径
    部の間、上記磁歪素子の外周側及び上記磁歪素子を保持
    するホルダに形成された連通穴を通って、上記ノズル側
    に流通することを特徴とする燃料噴射弁。
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