JPH09310605A - ガスタービンの動翼故障診断方法および装置 - Google Patents

ガスタービンの動翼故障診断方法および装置

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JPH09310605A
JPH09310605A JP12671596A JP12671596A JPH09310605A JP H09310605 A JPH09310605 A JP H09310605A JP 12671596 A JP12671596 A JP 12671596A JP 12671596 A JP12671596 A JP 12671596A JP H09310605 A JPH09310605 A JP H09310605A
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秀靖 飯沼
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健一 中洲
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスタービン運転中における動翼のクリープ
の発生および現象を確実に監視することができ、その取
り付けが容易で、しかも寿命が長いガスタービンの動翼
故障診断方法および装置を提供する。 【解決手段】 本発明のガスタービンの動翼故障診断方
法および装置は、ガスタービンの動翼の端部とガスター
ビンのケーシングとの隙間の距離を計測することによ
り、ガスタービン運転中におけるガスタービンの動翼の
クリープの発生および現象を監視し、ガスタービンの動
翼の破損を防止する、ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業用および航空
用のガスタービンの動翼故障診断方法および装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ガスタービン動翼の破損は、エ
ンジン本体に大きな損傷を引き起こす。この動翼の破損
は、まずクリープが発生し、そのクリープが進行すると
クラックが発生し、そして、そのクラックが進行するこ
とにより発生する。そこで、この動翼のクリープを発見
するために、従来は、動翼の破損しやすい部分にひずみ
ゲージを貼付し、そのひずみゲージの抵抗値をテレメー
タなどで伝達して監視していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
のガスタービンの動翼故障診断方法および装置では、ク
リープの発生および現象は、各動翼によって異なるた
め、全動翼にひずみゲージを貼付する必要があるが、現
実には困難である。しかも、クリープの発生しやすいと
思われる部分にしかひずみゲージを貼付することができ
ない。したがって、動翼の破損を検出することができる
範囲が非常に狭かった。また、クリープが発生した部分
のひずみゲージは、再び使用することができないため、
新しいものに交換する必要があった。さらに、ひずみゲ
ージの抵抗値を伝達するテレメータを既存のガスタービ
ンに設置することが困難である、などの問題点があっ
た。
【0004】本発明は、かかる問題点を解決するために
創案されたものである。すなわち、ガスタービン運転中
における動翼のクリープの発生および現象を確実に監視
することができ、その取り付けが容易で、しかも寿命が
長いガスタービンの動翼故障診断方法および装置を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ガスタ
ービンの動翼の端部とガスタービンのケーシングとの隙
間の距離を計測することにより、ガスタービン運転中に
おけるガスタービンの動翼のクリープの発生および現象
を監視し、ガスタービンの動翼の破損を防止する、こと
を特徴とするガスタービンの動翼故障診断方法が提供さ
れる。
【0006】ガスタービン運転中において、ガスタービ
ンの動翼にクリープが発生すると、動翼は半径方向(ケ
ーシング側)に伸び、ガスタービンの動翼の端部とガス
タービンのケーシングとの隙間の距離が縮む。したがっ
て、この隙間の距離を計測すれば、動翼のクリープの発
生および現象を監視することができ、ガスタービンの動
翼の破損を防止することができる。
【0007】さらに、本発明によれば、ガスタービンの
ケーシングに設けられ、ガスタービン運転中における、
ガスタービンの動翼の端部とケーシングとの隙間の距離
を計測するクリアランスセンサと、ガスタービンのケー
シング,動翼およびディスクの温度をそれぞれ計測する
温度センサと、計測されたケーシング,動翼およびディ
スクの温度と、上記計測時の動翼の回転数と、過去のガ
スタービンの正常運転時におけるデータとから、上記計
測時の動翼の端部とケーシングとの隙間の距離の予測値
を算出する演算処理装置と、上記クリアランスセンサに
より計測された動翼の端部とケーシングとの隙間の距離
の計測値と、上記演算処理装置から算出された動翼の端
部とケーシングとの隙間の距離の予測値とを比較し、そ
の差がしきい値を越えた場合に異常検出信号を発信する
データ処理装置と、からなることを特徴とするガスター
ビンの動翼故障診断装置が提供される。
【0008】上述の本発明の構成によれば、上記クリア
ランスセンサによりガスタービン運転中の動翼の端部と
ケーシングとの隙間の距離を計測することができ、ケー
シング,動翼およびディスクの温度と、その計測時の動
翼の回転数と、過去のガスタービンの正常運転時におけ
るデータとから、上記計測時における動翼の端部とケー
シングとの隙間の距離を予測することができる。そし
て、上記動翼の端部とケーシングとの隙間の距離の計測
値と予測値とを比較すれば、クリープの発生および現象
を監視することができる。その差がしきい値を越えたと
きには、異常検出信号が発信され、ガスタービンの運転
を停止し、動翼の交換などの手段を施して、ガスタービ
ンの動翼の破損を防止する。また、ガスタービンのケー
シングにクリアランスセンサを接続するだけでよいた
め、その取り付けが容易であり、既存のガスタービンに
も取り付けることができる。さらに、クリアランスセン
サは、ひずみゲージのように短命の消耗品ではないの
で、装置の延命化を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図1から図3を参照して説明する。
【0010】図1は本発明のガスタービンの動翼故障診
断装置を示す全体構成図である。図1に示すように、本
発明のガスタービンの動翼故障診断装置は、ガスタービ
ン運転中における、ガスタービンの動翼の端部とケーシ
ングとの隙間の距離を計測するクリアランスセンサと、
ガスタービンのケーシングの温度(TK ),動翼の温度
(TB )およびディスクの温度(TD )をそれぞれ計測
する温度センサ(図示せず)と、その計測されたケーシ
ング,動翼およびディスクの温度(TK ,TB,TD
と、計測時の動翼の回転数(N)と、過去のガスタービ
ンの正常運転時におけるデータ(D)とから、計測時の
動翼の端部とケーシングとの隙間の距離の予測値
(de )を算出する演算処理装置と、クリアランスセン
サにより計測された動翼の端部とケーシングとの隙間の
距離の計測値(dm )と、演算処理装置から算出された
動翼の端部とケーシングとの隙間の距離の予測値
(de )とを比較し、その差(dm −de )がしきい値
(L)を越えた場合に異常検出信号を発信するデータ処
理装置と、からなるものである。なお、この演算処理装
置およびデータ処理装置は制御装置として一体に構成し
てもよい。
【0011】上記クリアランスセンサとしては、ガスタ
ービンの動翼の端部とセンサとの静電容量を利用したも
の、渦電流を利用したもの、細針をケーシングから動翼
の端部に向けて挿入し、その細針の先端に高電圧をかけ
たときに発生する放電電流を利用したもの、などが使用
される。また、温度センサ(図示せず)により、直接的
にガスタービンのケーシングの温度(TK ),動翼の温
度(TB )およびディスクの温度(TD )を計測するこ
とが好ましいが、動翼の温度(TB )およびディスクの
温度(TD )の計測が困難な場合には、ガスタービンの
ガス温度や運転時間などから予測するようにしてもよ
い。
【0012】上記クリアランスセンサにより、ガスター
ビン運転中における、ガスタービンの動翼の端部とケー
シングとの隙間の距離を計測することができるが、この
とき、動翼は高速回転しているため半径方向に遠心力が
働いており、さらに高温雰囲気に晒されているため熱膨
張もしている。したがって、クリアランスセンサによる
計測値(dm )だけでは、クリープの発生によるもので
あるか否かが不明である。そこで、ガスタービン運転中
における動翼の端部とケーシングとの隙間の距離を計測
するとともに、ケーシングの温度(TK ),動翼の温度
(TB ),ディスクの温度(TD )および動翼の回転数
(N)を計測し、過去のガスタービンの正常運転時にお
けるデータ(D)から、計測時の環境における実際の動
翼の端部とケーシングとの隙間の距離を予測値(de
として算出している。この作業を行うのが上記演算処理
装置である。すなわち、演算処理装置は、過去のデータ
(D)から、関数f(TK ,TB ,TD ,N)=de
導出(または初期データとして記憶)し、リアルタイム
で送信されてくる各データ(TK ,TB ,TD ,N)を
演算処理している。なお、過去のデータ(D)として
は、ガスタービンの正常運転時における、動翼の端部と
ケーシングとの隙間の距離、ケーシング,動翼,ディス
クの温度および動翼の回転数が使用される。
【0013】この演算処理装置で算出された予測値(d
e )と、クリアランスセンサにより計測された動翼の端
部とケーシングとの隙間の距離の計測値(dm )とを比
較し、動翼にクリープが発生しているか否かを検出する
のがデータ処理装置である。このデータ処理装置では、
クリアランスセンサによる計測値(dm )から、演算処
理装置による予測値(de )を引いた値が、しきい値
(L)を越えているか否かを判断している。そして、そ
の差がしきい値(L)を越えている場合(すなわち、d
m −de >Lの場合)には、異常検出信号をガスタービ
ン制御盤に発信するようになっている。ガスタービン制
御盤に異常検出信号が発信されると、自動または手動操
作でガスタービンの運転を中止して動翼の交換をした
り、ガスタービンを低速運転に切り換えて動翼への負担
を軽減させる、などの措置を採ることができる。なお、
しきい値(L)は、動翼の材質,寸法およびクリープ許
容値などの諸条件から予め定めておく。
【0014】図2は本発明のガスタービンの動翼故障診
断方法をジェットエンジンに適用した場合の模式図であ
る。この図に示すように、ジェットエンジンは、一般
に、空気取入口1、圧縮機2、燃焼器3、ガスタービン
4、アフターバーナ5、ジェットノズル6、ケーシング
7などを備えており、空気を空気取入口1から導入し、
圧縮機2でこの空気を圧縮し、燃焼器3内で燃料を燃焼
させて高温の燃焼ガスを発生させ、発生した燃焼ガスで
ガスタービン4を駆動し、このガスタービン4で圧縮機
2を駆動し、必要なときはアフターバーナ5でガスター
ビン4を出た排ガスにより燃料を再度燃焼させ、高温の
燃焼排ガスをジェットノズル6で膨張させて後方に噴出
し、推力を発生するようになっている。そして、ガスタ
ービン4は動翼4Bおよびディスク4Dなどから構成さ
れている。本発明のガスタービンの動翼故障診断方法
は、この動翼4Bの端部とケーシング7の隙間8の距離
を計測することにより、ガスタービン4の運転中におけ
るガスタービン4の動翼4Bのクリープの発生および現
象を監視し、ガスタービン4の動翼4Bの破損を防止し
ようとするものである。また、本発明のガスタービンの
動翼故障診断装置としては、上述した通りであるが、ク
リアランスセンサは、図2に示すように、動翼4Bの端
部近傍のケーシング7に固着されている。
【0015】図3は本発明のガスタービンの動翼故障診
断装置を使用して動翼の端部とケーシングとの隙間の距
離を監視したときの図である。この図において、横軸は
時間の変化を示し、縦軸は動翼の端部とケーシングとの
隙間の距離および回転数を示している。図に示すよう
に、ガスタービンは一定の高速回転および低速回転を繰
り返している。その回転数およびケーシング,動翼,デ
ィスクの温度から、常時、動翼の端部とケーシングとの
隙間の距離の予測値が算出されている。動翼にクリープ
が発生していない場合には、予測値と計測値が一致して
いる。動翼にクリープが発生した場合には、図3におい
て破線で示すように、計測値が予測値よりも低い値を示
す。この予測値と計測値の差が、しきい値に達しない場
合にはそのままガスタービンの運転を続け、しきい値を
越えた場合には異常検出信号が発信されることになる。
【0016】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる
ことは勿論である。
【0017】
【発明の効果】上述した本発明のガスタービンの動翼故
障診断方法および装置によれば、ガスタービン運転中に
おける動翼の端部とガスタービンのケーシングとの隙間
の距離を計測することができるため、動翼のクリープの
発生および現象を監視することができ、ガスタービンの
動翼の破損を防止することができる。また、ガスタービ
ンのケーシングにクリアランスセンサを接続するだけで
よいため、その取り付けが容易であり、既存のガスター
ビンにも取り付けることができる。さらに、クリアラン
スセンサは、ひずみゲージのような短命の消耗品ではな
いので、装置の延命化を図ることができる、などの優れ
た効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスタービンの動翼故障診断装置を示
す全体構成図である。
【図2】本発明のガスタービンの動翼故障診断方法をジ
ェットエンジンに適用した場合の模式図である。
【図3】本発明のガスタービンの動翼故障診断装置を使
用して動翼の端部とケーシングとの隙間の距離を監視し
たときの図である。
【符号の説明】
1 空気取入口 2 圧縮機 3 燃焼機 4 ガスタービン 4B 動翼 4D ディスク 5 アフターバーナ 6 ジェットノズル 7 ケーシング 8 動翼の端部とケーシングとの隙間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスタービンの動翼の端部とガスタービ
    ンのケーシングとの隙間の距離を計測することにより、
    ガスタービン運転中におけるガスタービンの動翼のクリ
    ープの発生および現象を監視し、ガスタービンの動翼の
    破損を防止する、ことを特徴とするガスタービンの動翼
    故障診断方法。
  2. 【請求項2】 ガスタービンのケーシングに設けられ、
    ガスタービン運転中における、ガスタービンの動翼の端
    部とケーシングとの隙間の距離を計測するクリアランス
    センサと、 ガスタービンのケーシング,動翼およびディスクの温度
    をそれぞれ計測する温度センサと、 計測されたケーシング,動翼およびディスクの温度と、
    上記計測時の動翼の回転数と、過去のガスタービンの正
    常運転時におけるデータとから、上記計測時の動翼の端
    部とケーシングとの隙間の距離の予測値を算出する演算
    処理装置と、 上記クリアランスセンサにより計測された動翼の端部と
    ケーシングとの隙間の距離の計測値と、上記演算処理装
    置から算出された動翼の端部とケーシングとの隙間の距
    離の予測値とを比較し、その差がしきい値を越えた場合
    に異常検出信号を発信するデータ処理装置と、 からなることを特徴とするガスタービンの動翼故障診断
    装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011226476A (ja) * 2010-04-15 2011-11-10 General Electric Co <Ge> ガスタービンハードウェアの故障を検出するためのシステム、方法、及び装置
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