JPH09299773A - 含水ポリスルホン系膜 - Google Patents

含水ポリスルホン系膜

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JPH09299773A
JPH09299773A JP12307296A JP12307296A JPH09299773A JP H09299773 A JPH09299773 A JP H09299773A JP 12307296 A JP12307296 A JP 12307296A JP 12307296 A JP12307296 A JP 12307296A JP H09299773 A JPH09299773 A JP H09299773A
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JP
Japan
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membrane
polysulfone
tertiary amino
absorption peak
weight
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JP12307296A
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English (en)
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Shigemi Mukoyama
滋美 向山
Akira Kiguchi
昌 木口
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 親水性ポリマーまたは親水性セグメント
含有ポリマーを含むポリスルホン系樹脂からなる膜であ
り、膜の収着水量と、その構造、および3級アミノ基量
がコントロールされた含水ポリスルホン系膜。 【効果】 上記の膜は、タンパク吸着の抑制されたポリ
スルホン系膜であり、抗体、酵素などの分離、濃縮や血
液透析、血液フィルターなどの血液浄化用に有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗体、酵素などの分
離、濃縮や血液透析、血液フィルターなどの血液浄化用
膜として優れたポリスルホン系膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリスルホン系膜は、その耐熱性、耐薬
品性および耐γ線性などの点より、抗体、酵素などの有
用物質の分離精製や濃縮、また、人工透析膜等として用
いられている。ところが、ポリスルホン自体は疎水性で
ある為に疎水性物質による汚染が起きやすく、実質的に
精製過程における有用物質の回収率の低下を引き起こし
たり、また、人工透析膜として用いられた場合には残血
等の問題が起こるため、それらを改善するために様々な
方法が検討されている。
【0003】例えば、親水性ポリマーであるポリビニル
ピロリドンを適正量含有させることにより、ポリスルホ
ン系膜へ親水性を与え、それにより膜の汚れを抑制する
方法が特公平2ー18695号公報、特開昭61ー23
8834号公報、特開昭63ー99325号公報、特開
平6ー296686号公報に、親水性ポリマーセグメン
トと疎水性ポリマーセグメントからなるグラフトまたは
ブロックコポリマーをブレンドすることによりポリスル
ホン系膜の汚れを抑制する方法が特開昭62ー2016
03号公報、特開昭63ー77941号公報、特開昭6
3ー258603号公報、特開平2ー2862号公報、
特開平2ー160026号公報に、さらに、ポリスルホ
ンにスルホン化ポリスルホンをブレンドすることにより
ポリスルホン系膜の汚れを抑制する方法がそれぞれ開示
されている。
【0004】しかし、これら上記発明において言う膜の
汚れとは透過性能が著しく低下する程の汚れを指すいわ
ゆるファウリングを意味しており、抗体や酵素などの様
に極微量に存在する有用物質を精製する場合に起こる膜
吸着による収率の低下現象とは大きく異なるものであ
る。即ち、極微量に存在する有用物質を分離、濃縮する
用途においては、場合によっては、膜の濾過性能は全く
変化しないにもかかわらず、相対的に多くの有用物質が
膜表面へ吸着されその回収率が低下することもあり得
る。
【0005】一般に有用物質がタンパク質の場合には、
タンパク質の分子量が大きいほど、また、その疎水性が
強いほど膜への吸着は起こりやすい。例えば、抗体は分
子量が16万程度と比較的大きく、また、疎水性も強い
ため膜への吸着を起こしやすいタンパクの1つである。
このようなタンパク質のポリスルホン系膜への吸着抑制
を目的とした積極的な研究は今までに行われてはおら
ず、このような用途に適したポリスルホン系膜は開発さ
れてはいなかった。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、前記従
来技術に鑑みて、従来のポリスルホン系膜の特性を損な
うことなく、特にタンパク吸着の抑制されたポリスルホ
ン系膜の提供を目的とするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を行った結果、膜に収着された
水の構造及び膜の3級アミノ基が、膜とタンパク質との
相互作用をコントロールする重要な因子であり、収着水
構造がバルク水の構造と類似していて、且つ膜に3級ア
ミノ基を有する場合にタンパク質の吸着が大幅に抑制さ
れること見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は親水性ポリマーまたは親水
性セグメント含有ポリマーを含むポリスルホン系樹脂か
らなる膜であり、乾燥時においては、赤外吸収スペクト
ルにおける3400cmー1付近のOHまたはNH由来の
吸収ピークの全面積が3000cmー1付近のCH由来の
吸収ピークの全面積の1%以上25%未満であり、25
℃、相対湿度98%の条件下で調湿した後においては、
3400cmー1付近の吸収ピーク面積が3000cmー1
付近の吸収ピーク面積の100%以上1500%以下で
あり、調湿後における3400cmー1付近の吸収帯の重
心波数が3350cmー1以上3450cmー1以下であ
り、且つ、膜1kg当たり0.005当量以上0.45
当量以下の3級アミノ基を有することを特徴とする含水
ポリスルホン系膜である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。ポリマー
からなる成型物表面と高分子溶質の存在する水溶液が接
する面においては、通常様々な界面現象が観測される。
例えば、高分子溶質がタンパク質であり、ポリマーが疎
水性の強いものであれば、多量のタンパク質の吸着が観
測される。ポリマー表面を親水性に加工することによっ
てある程度の吸着の抑制は可能であるが、多くの例外が
認められ、親水性(濡れ性)即ちタンパク非吸着表面と
いえる程単純な現象ではないことが知られている。
【0010】本発明者らはポリスルホン系膜へのタンパ
ク質などの水溶性高分子の吸着を抑制するために、特に
ポリスルホン系膜近傍の水構造と膜表面の3級アミノ基
の量に着目した。過去にも膜の含水率に着目した特許や
3級アミノ基に着目した文献などは認められるが、実際
に膜とタンパク質が相互作用する上で重要な点は、どの
様な構造の水がポリスルホン系膜表面を覆っているか、
またどの程度の3級アミノ基が存在するか、といった点
にある。そこで、親水性ポリマーまたは親水性セグメン
ト含有ポリマーを含むポリスルホン系樹脂からなる様々
な含水膜について、3級アミノ基量を分析すると共に、
赤外吸収スペクトルを用い収着水構造の解析を行い、3
級アミノ基量及び収着水構造とタンパク質の吸着特性に
関する研究を行った。
【0011】その結果、乾燥時においては、赤外吸収ス
ペクトルにおける3400cmー1付近のOHまたはNH
由来の吸収ピークの全面積が3000cmー1付近のCH
由来の吸収ピークの全面積の1%以上25%未満であ
り、25℃、相対湿度98%の条件下で調湿した後にお
いては、3400cmー1付近の吸収ピーク面積が300
0cmー1付近の吸収ピーク面積の100%以上1500
%以下であり、かつ、調湿後における3400cmー1
近の吸収帯の重心波数が3350cmー1以上3450c
ー1以下であり、且つ膜1kg当たり0.005当量以
上0.45当量以下の3級アミノ基を有する含水ポリス
ルホン系膜が特にタンパク質などの吸着が少なく、抗
体、酵素などの分離、濃縮や血液透析、血液フィルター
などの血液浄化用に有用であることを見出した。
【0012】本発明における3級アミノ基は、置換基と
してアルキル基、アリール基、シクロアルキル基を有す
る3級アミノ基やヘテロサイクリックの3級アミノ基等
が挙げられ、例を挙げるならばジエチルアミノエチル
基、ジエチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル
基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノフェニル
基、NーフェニルNーメチルアミノエチル基、ピリジル
基等がある。また、3級アミノ基は実質的に膜に存在す
れは良く、ポリスルホン樹脂と結合してる構造や疎水性
ポリマー、親水性ポリマーまたは親水性セグメント含有
ポリマーと結合している等の構造で含有される3級アミ
ノ基が挙げられるが、好ましくは親水性ポリマーと共有
結合で結ばれる構造または親水性セグメントと共有結合
で結ばれる構造で含有される3級アミノ基が挙げられ
る。
【0013】本発明におけるポリスルホン樹脂として
は、下記化1で示される繰り返しユニットからなるポリ
マーと下記化2で示される繰り返しユニットからなるポ
リマー等が挙げられるが、好ましくはこれらのポリマー
であり、さらに好ましくは化1で示される繰り返しユニ
ットからなるポリマーである。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】本発明における親水性ポリマーとしてはビ
ニルピロリドン、3級アミノ基含有モノマー等の親水性
モノマーからなるホモポリマー又は共重合ポリマー、ポ
リアルキレンオキサイド等を挙げることができ、好まし
くはポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン、3級ア
ミノ基を含むモノマーの共重合ポリマーとポリエチレン
グリコールであり、特に好ましくはビニルピロリドンと
3級アミノ基を含むモノマーの共重合ポリマーである。
【0017】また、親水性セグメント含有ポリマーとし
てはポリビニルピロリドンまたはビニルピロリドンと3
級アミノ基を含むモノマーの共重合セグメントを親水性
セグメントAとし、疎水性セグメントまたは3級アミノ
基を含有する疎水性セグメントをBとした場合の、A−
B、A−B−A、B−A−B、(A−B)xーA、B−
(A−B)xといった形で示されるブロックコポリマ
ー、ポリビニルピロリドンセグメントを幹とし疎水性セ
グメントを枝としたグラフトコポリマーや、疎水性セグ
メントを幹としポリビニルピロリドンセグメントを枝と
したグラフトコポリマー等を挙げることができる。好ま
しくは上記のブロックまたはグラフトコポリマーであ
り、より好ましくはグラフトコポリマーであり、さらに
好ましくはポリビニルピロリドンセグメントまたはビニ
ルピロリドンと3級アミノ基を含むモノマーの共重合セ
グメントを幹とし疎水性セグメントを枝としたグラフト
コポリマー由来であり、特に好ましくは、ビニルピロリ
ドンと3級アミノ基を含むモノマーの共重合セグメント
を幹とし疎水性セグメントを枝としたグラフトコポリマ
ー由来である。疎水性セグメントとしては、好ましくは
ポリスチレンセグメントである。
【0018】さらに、別の親水性セグメント含有ポリマ
ーとしては、ポリエチレングリコールを親水性セグメン
トCとし、疎水性セグメントをBとした場合の、A−
B、A−B−A、B−A−B、(A−B)XーA、B−
(A−B)Xといった形で示されるブロックコポリマ
ー、ポリエチレングリコールセグメントを幹とし疎水性
セグメントを枝としたグラフトコポリマーや、疎水性セ
グメントを幹としポリエチレングリコールセグメントを
枝としたグラフトコポリマー等を挙げることができる。
好ましくは上記のブロックまたはグラフトコポリマーで
あり、より好ましくは、グラフトコポリマーであり、さ
らに好ましくはポリエチレングリコールセグメントを枝
とし疎水性セグメントを幹としたグラフトコポリマー由
来である。好ましい疎水性セグメントとしてポリスチレ
ンセグメントやポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ
ブチル(メタ)アクリレート等の疎水性アクリレートや
メタアクリレート系ポリマーセグメントを挙げることが
でき、さらに好ましくはポリスチレンセグメントを挙げ
ることができる。
【0019】上記親水性ポリマー、または、親水性セグ
メント含有ポリマーの分子量としては、3万ダルトンか
ら200万ダルトンの範囲であり、好ましくは5万ダル
トンから150万ダルトン、さらに好ましくは7万ダル
トンから100万ダルトンである。分子量が小さすぎる
と膜からの溶出が認められることがあり、また、分子量
が高すぎた場合には、ポリスルホン樹脂との混合性が悪
くなり、実用上において均一な膜が得られないことがあ
る。ここで言う分子量とは、光散乱法により求められた
重量平均分子量であり、具体的には光散乱光度計を用い
て、0.01モル/リットルの臭化リチウムを含むN,
N−ジメチルホルムアミドを溶媒として求められた重量
平均分子量である。
【0020】上記親水性ポリマーまたは親水性セグメン
ト含有ポリマーが含水ポリスルホン系膜に含まれること
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)、IR、熱分解
ガスクロマトグラフィーなどを用いた複合分析や、GP
C等により分離したポリマーの各種溶剤への溶解性等に
より確認される。
【0021】膜の乾燥時における赤外吸収スペクトルの
3400cmー1付近のOHまたはNH由来の吸収ピーク
の全面積が3000cmー1付近のCH由来の吸収ピーク
の全面積の1%以上25%未満であることが必要であ
り、好ましくは1%以上20%未満、さらに好ましくは
1%以上15%未満である。ここで言う乾燥時とは、6
0℃において真空乾燥を行い、スペクトル上変化が認め
られなくなった時点である。膜の乾燥時における赤外吸
収スペクトルの3400cmー1付近のOHまたはNH由
来の吸収ピークの全面積が3000cmー1付近のCH由
来の吸収ピークの全面積の25%を越える場合には、タ
ンパク質の吸着や変性を引き起こすことがあり好ましく
ない。
【0022】本発明における重要な点は収着水構造にあ
る。まず本発明の膜は、含水ポリスルホン系膜であり、
25℃、相対湿度98%の条件下で調湿した後において
は、赤外吸収スペクトルの収着水由来である3400c
ー1付近の吸収ピーク面積が3000cmー1付近のCH
由来の吸収ピーク面積の100%以上1500%以下で
あることが必要であり、好ましくは200%以上100
0%以下である。3400cmー1付近の吸収ピーク面積
が、100%未満の場合においては、十分なタンパク吸
着抑制効果を示さなかったり、1500%を越える場合
にはポリスルホン膜本来の強度等の物性を大幅に損ねる
場合があり得る。
【0023】収着水構造を評価するために、本発明者ら
は赤外吸収スペクトルの収着水由来である3400cm
ー1付近の吸収ピークの重心波長を用いる。一般にアセト
ンやテトラヒドロフラン等の水と相溶性の高い有機溶媒
中においても、水の構造はバルク水構造とは異なり、赤
外吸収スペクトルにおける3400cmー1付近の吸収ピ
ークの重心波長はバルク水のそれと比較して高波数側に
でる。本発明における含水ポリスルホン系膜について
は、25℃、相対湿度98%の条件下調湿した後の収着
水構造が、赤外吸収スペクトルの収着水由来である34
00cmー1付近の吸収ピークの重心波長で評価した場合
に、その重心波数が3350cmー1以上3450cmー1
以下であることが必要であり、好ましくは3350cm
ー1以上3400cmー1以下である。収着水に由来する赤
外吸収スペクトルの重心波数が上記の範囲をはずれる場
合には、タンパク質の吸着を十分に抑制できないことが
あり得る。尚、本発明における赤外吸収スペクトルの重
心波数は、実施例中に記載の方法で求められる。
【0024】本発明におけるもう一つの重要な点は膜に
存在する3級アミノ基の量である。膜に存在する3級ア
ミノ基の量が、膜1kg当たり0.005当量以上0.
45当量以下で有ることが必要であり、好ましくは0.
01当量以上0.3以下である。膜に存在する3級アミ
ノ基の量が、0.005当量より少ない場合において
は、十分なタンパク吸着抑制効果を示さなかったり、
0.45等量を越える場合には負荷電のタンパク吸着量
が非常に多い場合があり得る。尚、膜に存在する3級ア
ミノ基の量を定量するために、本発明者らは、湿潤状態
の膜の3級アミノ基を一旦塩酸塩の状態にし、塩を形成
した塩酸量をイオン交換クロマトで定量し、間接的に3
級アミノ基の量を定量することによって膜の微量3級ア
ミノ基の定量を可能にした。尚、本発明における3級ア
ミノ基の量は、実施例記載の方法で、不純物の混入の無
いように求めた。
【0025】上記の条件を満たす膜は、乾湿式法によっ
て得ることができる。好ましい収着水構造、3級アミノ
基量を持ったポリスルホン系含水膜は、親水性ポリマー
または親水性セグメント含有ポリマーの組成や製膜ドー
プ組成、製膜条件、後処理条件等の何れか、または、複
数のファクターを調整することによって得られる。
【0026】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。初めに本実施例で用いられる評価法につい
て記載する。 (1)3400cmー1付近の吸収ピークの重心波数(C
wn) 25℃、相対湿度98%下で調湿した各膜サンプルの赤
外吸収スペクトルにおける3400cmー1付近の吸収ピ
ークを3650cmー1付近、3550cmー1付近、34
50cmー1付近、3250cmー1付近の4種のコンポー
ネントにカーブフィッティングプログラムを用いて分離
する。得られた各コンポーネントのピーク波数および相
対面積比より、相対面積比を重みとして重みつき平均に
より重心波数(Cwn)を求める。
【0027】(2)乾燥時における3400cmー1付近
の吸収ピーク面積/3000cmー1付近の吸収ピーク面
積比(SdOH/SdCH) 60℃、真空乾燥を行った膜サンプルを直ちに測定し、
得られた赤外吸収スペクトルからカーブフィッティング
プログラムを用いて、3400cmー1付近の吸収ピーク
および3000cmー1付近の吸収ピークを適当な数のコ
ンポーネントに分解する。各コンポーネントの面積の和
を求め、その比率からSdOH/SdCHを求める。
【0028】(3)調湿サンプルの3400cmー1付近
の吸収ピーク面積/3000cmー1付近の吸収ピーク面
積比(SwOH/SwCH) 25℃、相対湿度98%下で調湿したサンプルを直ちに
測定し、得られた赤外吸収スペクトルからカーブフィッ
ティングプログラムを用いて、3400cmー1付近の吸
収ピークおよび3000cmー1付近の吸収ピークを適当
な数のコンポーネントに分解する。各コンポーネントの
面積の和を求め、その比率からSwOH/SwCHを求める。
【0029】(4)膜に存在する3級アミノ基の量の定
量 十分精製水で洗浄した湿潤状態の膜を希塩酸に浸漬し、
膜に存在する3級アミノ基を塩酸塩とした後、十分精製
水で洗浄し塩を形成していない過剰の塩酸を除去する。
この膜を希苛性ソーダで洗浄し、洗浄液中の塩素イオン
をイオンクロマトで定量する。この定量値と分析に用い
た膜の乾燥状態での重量から膜1kg当たりの膜に存在
する3級アミノ基の量を算出する。
【0030】(5)タンパク質吸着性評価 牛アルブミン(BSA)、牛γーグロブリン(γ−
G)、牛ビトロネクチン(VN)を、それぞれ40mg
/ml、10mg/ml、3mg/ml、0.2mg/
ml含むリン酸緩衝生理食塩水溶液を調整する。この溶
液に、予め水中に保管しておいた膜サンプルを37℃に
て1時間浸漬し、水洗後、パラホルムアルデヒド/ショ
糖を用いて吸着タンパクの固定化を行い、さらに、豚血
漿アルブミン/TRITON<登録商標>Xー100を
用いてブロッキングを行う。得られたサンプルに対し、
抗ー牛アルブミン、抗ー牛γーグロブリン、抗ー牛フィ
ブリノーゲン、抗ー牛ビトロネクチン抗体のうち、分析
の対象となるタンパク質に対する抗体1つを作用させ、
ついで対応する金コロイドラベルされた2次抗体を作用
させる。得られるサンプルを乾燥した後に、X線光電子
分光法(XPS)により膜表面の金、炭素、窒素、酸
素、硫黄を定量分析する。比較例1で得られるポリスル
ホン膜上における金のコンテントを100として、各サ
ンプル膜における金のコンテントを持ってタンパク吸着
性を相対的に評価する。
【0031】(6)分子量測定 大塚電子製光散乱光度計DLS−100を用いて、0.
01モル/リットルの臭化リチウムを含むN,N−ジメ
チルホルムアミドを溶媒として25℃で重量平均分子量
を測定する。
【0032】
【実施例1】N−ビニルピロリドン(A)とジエチルア
ミノエチルメタクリレート(B)よりラジカル重合によ
りモノマーユニット比(A/B)が2.0である共重合
ポリマー(GPCピークトップ分子量:30万ダルト
ン、モノマーユニット比は核磁気共鳴スペクトルより求
めた値)を合成する。ついで、この共重合ポリマー4重
量部に対し、化1で示される繰り返しユニットからなる
ポリスルホン(テイジンアコモエンジニアリングプラス
チックス株式会社製UDEL<登録商標>)18重量
部、N−メチルピロリドン78重量部からなるドープを
調整する。ドクターブレードを用いて、得られるドープ
をガラス板状にキャストした後40℃に温調された水浴
中へ浸漬、相分離させた後、70℃の熱水による洗浄1
時間を熱水を交換して3回繰り返し、平膜Aを得る。平
膜Aについて、赤外吸収スペクトルを用いてCwn、S
dOH/SdCH、SwOH/SwCHを求め、ついで膜の3級アミ
ノ基を求め、さらにタンパク吸着性を評価する。タンパ
ク吸着性は比較例1で得られる膜Bに吸着したタンパク
量を100として相対的に評価する。
【0033】赤外吸収スペクトルによる解析結果を表1
に、3級アミノ基量の分析結果を表2に、タンパク吸着
の評価結果を表3に示す。
【0034】
【比較例1】実施例1において、共重合ポリマーを用い
ずに、ドープ組成を化式1で示される繰り返しユニット
からなるポリスルホン18重量部、N,N−ジメチルア
セトアミド82重量部とした以外は同様にして平膜Bを
作成する。平膜Bについて実施例1と同様に評価する。
タンパク質吸着性に関しては、この膜へ吸着したタンパ
ク質に対する金コロイドラベル2次抗体由来の金のコン
テントをXPSにて評価し、その値を100とする。
【0035】結果を表1、2、3に示す。
【0036】
【実施例2】実施例1において、共重合ポリマー0.7
重量部、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリド
ン81.3重量部としたドープを用いる以外は同様にし
て平膜Cを作成する。平膜Cについて実施例1と同様
に、Cwn、SdOH/SdCH、SwO H/SwCH、膜の3級アミ
ノ基量およびタンパク吸着性を評価する。
【0037】結果を表1、2、3に示す。
【0038】
【実施例3】実施例1において、共重合ポリマー15重
量部、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリドン
67重量部としたドープを用いる以外は同様にして平膜
Dを作成する。平膜Dについて実施例1と同様に、
wn、SdOH/SdCH、SwOH/Sw CH、膜の3級アミノ基
量およびタンパク吸着性を評価する。
【0039】結果を表1、2、3に示す。
【0040】
【実施例4】N−ビニルピロリドン(A)とジエチルア
ミノエチルメタクリレート(B)よりラジカル重合によ
りモノマーユニット比(A/B)が10.0である共重
合ポリマー(GPCピークトップ分子量:40万ダルト
ン、モノマーユニット比は核磁気共鳴スペクトルより求
めた値)を合成する。ついで、この共重合ポリマー10
重量部、ポリスルホン18重量部、N,N−ジメチルア
セトアミド72重量部としたドープを用いる以外は実施
例1と同様にして平膜Eを作成する。平膜Eについて実
施例1と同様に、Cwn、SdOH/SdCH、SwOH/SwCH
膜の3級アミノ基量およびタンパク吸着性を評価する。
【0041】結果を表1、2、3に示す。
【0042】
【比較例2】実施例4において、共重合ポリマー0.3
重量部、ポリスルホン18重量部、N,N−ジメチルア
セトアミド81.7重量部としたドープを用いる以外は
同様にして平膜Fを作成する。平膜Fについて実施例1
と同様に、Cwn、SdOH/Sd CH、SwOH/SwCH、膜の3
級アミノ基量およびタンパク吸着性を評価する。
【0043】結果を表1、2、3に示す。
【0044】
【実施例5】スチレンマクロモノマー(東亞合成株式会
社ASー6/GPCピークトップ分子量14,000ダ
ルトン)、N−ビニルピロリドンと、4ービニルピリジ
ンよりラジカル重合によりスチレンユニット:N−ビニ
ルピロリドンユニット:4ービニルピリジンユニットの
比が1:2:0.5であるグラフトコポリマー(GPC
ピークトップ分子量:45万ダルトン、モノマーユニッ
ト比は核磁気共鳴スペクトルより求めた値)を合成す
る。ついで、このグラフトコポリマー0.5重量部に対
し、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリドン8
1.5重量部としたドープを用いる以外は実施例1と同
様にして平膜Gを作成する。平膜Gについて実施例1と
同様に、Cwn、SdOH/SdCH、SwOH/SwCH、膜の3級
アミノ基量およびタンパク吸着性を評価する。
【0045】結果を表1、2、3に示す。
【0046】
【実施例6】実施例5において、グラフトコポリマー5
重量部、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリド
ン77重量部としたドープを用いる以外は同様にして平
膜Hを作成する。平膜Hについて実施例1と同様に、C
wn、SdOH/SdCH、SwOH/SwCH、膜の3級アミノ基量
およびタンパク吸着性を評価する。
【0047】結果を表1、2、3に示す。
【0048】
【実施例7】実施例5において、グラフトコポリマー1
3重量部、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリ
ドン69重量部としたドープを用いる以外は同様にして
平膜Iを作成する。平膜Iについて実施例1と同様に、
wn、SdOH/SdCH、SwOH/SwCH、膜の3級アミノ基
量およびタンパク吸着性を評価する。
【0049】結果を表1、2、3に示す。
【0050】
【実施例8】スチレンマクロモノマー(東亞合成株式会
社ASー6/GPCピークトップ分子量14,000ダ
ルトン)、N−ビニルピロリドンと、4ービニルピリジ
ンよりラジカル重合によりスチレンユニット:N−ビニ
ルピロリドンユニット:4ービニルピリジンユニットの
比が1:1.5:1.5であるグラフトコポリマー(G
PCピークトップ分子量:50万ダルトン、モノマーユ
ニット比は核磁気共鳴スペクトルより求めた値)を合成
する。ついで、このグラフトコポリマー2.5重量部に
対し、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリドン
79.5重量部としたドープを用いる以外は実施例1と
同様にして平膜Jを作成する。平膜Jについて実施例1
と同様に、Cwn、SdOH/SdCH、SwOH/SwCH、膜の3
級アミノ基量およびタンパク吸着性を評価する。
【0051】結果を表1、2、3に示す。
【0052】
【比較例3】実施例8において、共重合ポリマー10重
量部、ポリスルホン18重量部、N,N−ジメチルアセ
トアミド72重量部としたドープを用いる以外は同様に
して平膜Kを作成する。平膜Kについて実施例1と同様
に、Cwn、SdOH/SdCH、S wOH/SwCH、膜の3級アミ
ノ基量およびタンパク吸着性を評価する。
【0053】結果を表1、2、3に示す。
【0054】
【実施例9】メチルメタアクリレート(A)とジエチル
アミノエチルメタクリレート(B)よりラジカル重合に
よりモノマーユニット比(A/B)が1である共重合ポ
リマー(GPCピークトップ分子量:32万ダルトン、
モノマーユニット比は核磁気共鳴スペクトルより求めた
値)を合成する。ついで、この共重合ポリマー4重量
部、ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン株
式会社Kー90)2重量部、ポリスルホン18重量部、
N,N−ジメチルアセトアミド75重量部としたドープ
を用いる以外は実施例1と同様にして平膜Lを作成す
る。平膜Lについて実施例1と同様に、Cwn、SdOH
dCH、SwOH/SwCH、膜の3級アミノ基量およびタン
パク吸着性を評価する。
【0055】結果を表1、2、3に示す。
【0056】
【比較例4】実施例9において、共重合ポリマー13重
量部、ポリビニルピロリドン2重量部、ポリスルホン1
8重量部、N,N−ジメチルアセトアミド69重量部と
したドープを用いる以外は同様にして平膜Mを作成す
る。平膜Mについて実施例1と同様に、Cwn、SdOH
dCH、SwOH/SwCH、膜の3級アミノ基量およびタン
パク吸着性を評価する。
【0057】結果を表1、2、3に示す。
【0058】
【実施例10】実施例1の共重合ポリマー2重量部、ポ
リスルホン18重量部、N−メチルピロリドン80重量
部としたドープを調製し、内部凝固液として40%N−
メチルピロリドン水溶液、外部凝固液として水を用い
て、内径200μ、外径290μの中空糸を紡糸する。
これを90℃の熱水で20分間8回洗浄して中空糸Aを
得る。中空糸Aについて長さ方向に切り開き内面を露出
させてKRS5結晶板を用いたATR測定で内面の赤外
吸収スペクトルを測定しCwn、SdOH/SdCH、SwO H
wCHを求めると共に切り開いた中空糸で膜の3級アミ
ノ基量を求める。また切り開いた中空糸でタンパク吸着
量を評価する。タンパク吸着性は比較例5で得られる中
空糸Cに吸着したタンパク量を100として相対的に評
価する。
【0059】赤外吸収スペクトルによる解析結果を表4
に、膜の3級アミノ基量分析結果を表5に、タンパク吸
着の評価結果を表6に示す。
【0060】
【実施例11】実施例5のグラフトコポリマー2重量
部、ポリスルホン18重量部、N−メチルピロリドン8
0重量部としたドープを用いて実施例10と同様にして
中空糸Bを得る。中空糸Bについて実施例10と同様に
評価する。結果を表4、5、6に示す。
【0061】
【比較例5】実施例10において、共重合ポリマーを用
いずに、ドープ組成をポリスルホン18重量部、N,N
−ジメチルアセトアミド82重量部とした以外は同様に
して中空糸Cを作成する。中空糸Cについて実施例10
と同様に評価する。タンパク質吸着性に関しては、この
膜へ吸着したタンパク質に対する金コロイドラベル2次
抗体由来の金のコンテントをXPSにて評価し、その値
を100とする。
【0062】結果を表4、5、6に示す。表1、2、
3、4、5、6より、膜への収着水の重心波数(Cwn
が低波数側へシフトすると共に膜の3級アミノ基量増え
るに伴いタンパク吸着が抑制されていくこと、また膜の
3級アミノ基量が0.5等量/kgを越え増えるに伴い
タンパク吸着量が増えることが分かる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【発明の効果】本発明における含水ポリスルホン系膜
は、従来のポリスルホン系膜の特性を損なうことなく、
特にタンパク吸着の抑制されたポリスルホン系膜であ
り、抗体、酵素などの分離、濃縮や血液透析、血液フィ
ルターなどの血液浄化用膜として有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性ポリマーまたは親水性セグメント
    含有ポリマーを含むポリスルホン系樹脂からなる膜であ
    り、乾燥時においては、赤外吸収スペクトルにおける3
    400cmー1付近のOHまたはNH由来の吸収ピークの
    全面積が3000cmー1付近のCH由来の吸収ピークの
    全面積の1%以上25%未満であり、25℃、相対湿度
    98%の条件下で調湿した後においては、3400cm
    ー1付近の吸収ピーク面積が3000cmー1付近の吸収ピ
    ーク面積の100%以上1500%以下であり、調湿後
    における3400cmー1付近の吸収帯の重心波数が33
    50cmー1以上3450cmー1以下であり、且つ膜1k
    g当たり0.005当量以上0.45当量以下の3級ア
    ミノ基を有することを特徴とする含水ポリスルホン系
    膜。
  2. 【請求項2】 親水性ポリマーがビニルピロリドンと3
    級アミノ基を含むモノマーの共重合ポリマーであること
    を特徴とする請求項1記載の含水ポリスルホン系膜。
  3. 【請求項3】 親水性セグメントがビニルピロリドンと
    3級アミノ基を含むモノマーの共重合体であることを特
    徴とする請求項1記載の含水ポリスルホン系膜。
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