JPH09297000A - 防弾部材及び防弾衣 - Google Patents
防弾部材及び防弾衣Info
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- JPH09297000A JPH09297000A JP8131398A JP13139896A JPH09297000A JP H09297000 A JPH09297000 A JP H09297000A JP 8131398 A JP8131398 A JP 8131398A JP 13139896 A JP13139896 A JP 13139896A JP H09297000 A JPH09297000 A JP H09297000A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 着弾時の応力を厚さ方向にも効果的に伝播分
散させ、高い耐弾性能を得る。 【解決手段】 防弾パッド3は、全芳香族アラミド繊
維、あるいは超高分子量ポリエチレン繊維の三次元織物
で構成されている。防護面3aに対して平行な第1繊維
群は、相互に直交するX糸(経糸)4及びY糸(緯糸)
5で構成されている。Z糸6は、X糸4とY糸5に囲ま
れた間隙の全てを蛇行しながら防護面3aに対して垂直
に貫通している。従って、着弾時の応力は、X糸4及び
Y糸5だけでなく、Z糸6を通って厚み方向にも伝播さ
れ、応力分散に寄与する。
散させ、高い耐弾性能を得る。 【解決手段】 防弾パッド3は、全芳香族アラミド繊
維、あるいは超高分子量ポリエチレン繊維の三次元織物
で構成されている。防護面3aに対して平行な第1繊維
群は、相互に直交するX糸(経糸)4及びY糸(緯糸)
5で構成されている。Z糸6は、X糸4とY糸5に囲ま
れた間隙の全てを蛇行しながら防護面3aに対して垂直
に貫通している。従って、着弾時の応力は、X糸4及び
Y糸5だけでなく、Z糸6を通って厚み方向にも伝播さ
れ、応力分散に寄与する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾丸や砲弾破片な
どから身体を防護するための防弾部材及び防弾衣に関す
るものである。
どから身体を防護するための防弾部材及び防弾衣に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】高強度・高弾性率の繊維からなる織布を
積層したパッド状の耐弾部材を身体の所要部に当てるこ
とにより、高速で飛来する弾丸や砲弾破片等から身体を
保護する防弾衣が各種提案され、一部は実用化されてい
る。通常、防弾衣は、前記耐弾部材と、これを内包し着
衣機能を備えた外皮から構成される。
積層したパッド状の耐弾部材を身体の所要部に当てるこ
とにより、高速で飛来する弾丸や砲弾破片等から身体を
保護する防弾衣が各種提案され、一部は実用化されてい
る。通常、防弾衣は、前記耐弾部材と、これを内包し着
衣機能を備えた外皮から構成される。
【0003】高強度・高弾性率の繊維としては高強度ナ
イロン繊維、全芳香族アラミド繊維、超高分子量ポリエ
チレン繊維などが賞用され、また繊維構造としては平
織、綾織(特開昭63−80198号公報)、朱子織
(特開昭61−275440号)、あるいは特殊の4軸
織物(特開平1ー95297号)などが既に提案されて
いる。
イロン繊維、全芳香族アラミド繊維、超高分子量ポリエ
チレン繊維などが賞用され、また繊維構造としては平
織、綾織(特開昭63−80198号公報)、朱子織
(特開昭61−275440号)、あるいは特殊の4軸
織物(特開平1ー95297号)などが既に提案されて
いる。
【0004】防護部材において、弾丸または破片が着弾
した際の応力は主として織布を構成する繊維の方向に分
散され、その方向においてエネルギー吸収が行われるも
のと考えられている。
した際の応力は主として織布を構成する繊維の方向に分
散され、その方向においてエネルギー吸収が行われるも
のと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来知られた
織布積層構造の防弾部材においては、平織であれ、朱子
織であれ、これら織布を構成する繊維(縦糸、緯糸ある
いは斜め糸)の方向が、いずれも防護面に対してほぼ平
行であったため、着弾時の応力が積層厚さ方向に有効に
応力伝播分散するメカニズムは作用していなかった。そ
のため、各織布層が個々にエネルギー吸収を分担するこ
とになり、必要な耐弾性能を得るためには多数層の織布
を積層する必要があった。
織布積層構造の防弾部材においては、平織であれ、朱子
織であれ、これら織布を構成する繊維(縦糸、緯糸ある
いは斜め糸)の方向が、いずれも防護面に対してほぼ平
行であったため、着弾時の応力が積層厚さ方向に有効に
応力伝播分散するメカニズムは作用していなかった。そ
のため、各織布層が個々にエネルギー吸収を分担するこ
とになり、必要な耐弾性能を得るためには多数層の織布
を積層する必要があった。
【0006】防弾衣は通常数kgの重量があり軽量化が
望まれているが、多数層の織布が積層されると必然的に
防弾部材の厚みが増して着衣時に行動しづらくなるう
え、その重量も増して軽量化を図りづらくなるという問
題があった。
望まれているが、多数層の織布が積層されると必然的に
防弾部材の厚みが増して着衣時に行動しづらくなるう
え、その重量も増して軽量化を図りづらくなるという問
題があった。
【0007】また、織布積層構造の防弾部材は、所定枚
数の織布を低密度のステッチング縫製あるいは縁かがり
縫製により積層構造に一体化したものであるため、裁断
および縫製工程が必要であった。また、各層をなす織布
は相互に一体化されている訳ではないので、日常保守な
ど外皮からの着脱時に防弾部材が型崩れし易いなどの不
便さがあった。
数の織布を低密度のステッチング縫製あるいは縁かがり
縫製により積層構造に一体化したものであるため、裁断
および縫製工程が必要であった。また、各層をなす織布
は相互に一体化されている訳ではないので、日常保守な
ど外皮からの着脱時に防弾部材が型崩れし易いなどの不
便さがあった。
【0008】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、着弾時の応力を厚さ方向にも
効果的に伝播分散でき、高い耐弾性能を得ることができ
る防弾部材及び防弾衣を提供することにある。
のであって、その目的は、着弾時の応力を厚さ方向にも
効果的に伝播分散でき、高い耐弾性能を得ることができ
る防弾部材及び防弾衣を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め請求項1に記載の発明では、高強度・高弾性率の繊維
からなり、防護面にほぼ平行な第1繊維群と、防護面に
対し直交する軸方向成分をもって配列された第2繊維群
とから構成された三次元織物を、主たる構成要素とす
る。
め請求項1に記載の発明では、高強度・高弾性率の繊維
からなり、防護面にほぼ平行な第1繊維群と、防護面に
対し直交する軸方向成分をもって配列された第2繊維群
とから構成された三次元織物を、主たる構成要素とす
る。
【0010】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の耐弾部材において、前記第2繊維群は、前記防護面
に対しほぼ垂直に配列された繊維束である。請求項3に
記載の発明では、請求項1に記載の防弾部材において、
前記三次元織物は、前記防護面にほぼ平行な第1繊維群
を構成する繊維束が、相互に直交する2軸方向の繊維束
であり、前記第2繊維群を構成する繊維束が、前記防護
面に対しほぼ垂直に配列された繊維束である直交三次元
織物である。
載の耐弾部材において、前記第2繊維群は、前記防護面
に対しほぼ垂直に配列された繊維束である。請求項3に
記載の発明では、請求項1に記載の防弾部材において、
前記三次元織物は、前記防護面にほぼ平行な第1繊維群
を構成する繊維束が、相互に直交する2軸方向の繊維束
であり、前記第2繊維群を構成する繊維束が、前記防護
面に対しほぼ垂直に配列された繊維束である直交三次元
織物である。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項1に記
載の防弾部材において、前記三次元織物は、前記防護面
にほぼ平行な第1繊維群を構成する繊維束が、相互に4
5度の角度で交差する4軸方向の繊維束であり、前記第
2繊維群を構成する繊維束が、前記防護面に対しほぼ垂
直に配列された繊維束である、いわゆる五軸三次元織物
である。
載の防弾部材において、前記三次元織物は、前記防護面
にほぼ平行な第1繊維群を構成する繊維束が、相互に4
5度の角度で交差する4軸方向の繊維束であり、前記第
2繊維群を構成する繊維束が、前記防護面に対しほぼ垂
直に配列された繊維束である、いわゆる五軸三次元織物
である。
【0012】請求項5に記載の発明では、防弾衣は、請
求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防弾部材が、
着衣機能を備えた外皮に内包されて構成されている。従
って、請求項1に記載の発明によれば、防弾部材は防弾
衣の外皮に内包されて使用される。防弾部材は、高強度
・高弾性率の繊維からなり、防護面にほぼ平行な第1繊
維群と、防護面に対し直交する軸方向成分をもって配列
された第2繊維群とから構成された三次元織物を、主た
る構成要素とする。そのため、着弾時の応力は防護面に
ほぼ平行な第1繊維群のみならず、防護面に対し直交す
る軸方向成分をもって配列された第2繊維群により、防
護部材の厚み方向にも応力伝播分散のメカニズムが作用
する。そのため、防弾部材の耐弾性能が向上する。例え
ば、従来の織布積層構造の防弾部材より少量の繊維使用
により同等の防護性が発揮される。
求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防弾部材が、
着衣機能を備えた外皮に内包されて構成されている。従
って、請求項1に記載の発明によれば、防弾部材は防弾
衣の外皮に内包されて使用される。防弾部材は、高強度
・高弾性率の繊維からなり、防護面にほぼ平行な第1繊
維群と、防護面に対し直交する軸方向成分をもって配列
された第2繊維群とから構成された三次元織物を、主た
る構成要素とする。そのため、着弾時の応力は防護面に
ほぼ平行な第1繊維群のみならず、防護面に対し直交す
る軸方向成分をもって配列された第2繊維群により、防
護部材の厚み方向にも応力伝播分散のメカニズムが作用
する。そのため、防弾部材の耐弾性能が向上する。例え
ば、従来の織布積層構造の防弾部材より少量の繊維使用
により同等の防護性が発揮される。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、第2繊維
群を構成する繊維束は、防護面に対しほぼ垂直に配列さ
れ、その配列方向が着弾時に受ける衝撃力の方向にほぼ
一致するため、着弾時の応力は防弾部材の厚み方向に効
率良く伝播分散される。従って、優れた耐弾性能が得ら
れ、従来と同等の防護性を得るのに一層少量の繊維で済
む。
群を構成する繊維束は、防護面に対しほぼ垂直に配列さ
れ、その配列方向が着弾時に受ける衝撃力の方向にほぼ
一致するため、着弾時の応力は防弾部材の厚み方向に効
率良く伝播分散される。従って、優れた耐弾性能が得ら
れ、従来と同等の防護性を得るのに一層少量の繊維で済
む。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、防護面に
垂直に配列された第2繊維群を構成する繊維束により、
着弾時の応力は防弾部材の厚み方向に効率良く伝播分散
される。しかも、防護面に平行な面内においては、第1
繊維群を構成する相互に直交する2軸の繊維束により着
弾時の応力は4方向に伝播分散されるため、防護面に平
行な方向への応力伝播分散が良好となり、耐弾性能の向
上に寄与する。
垂直に配列された第2繊維群を構成する繊維束により、
着弾時の応力は防弾部材の厚み方向に効率良く伝播分散
される。しかも、防護面に平行な面内においては、第1
繊維群を構成する相互に直交する2軸の繊維束により着
弾時の応力は4方向に伝播分散されるため、防護面に平
行な方向への応力伝播分散が良好となり、耐弾性能の向
上に寄与する。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、防護面に
垂直に配列された第2繊維群を構成する繊維束により、
着弾時の応力は防弾部材の厚み方向に効率良く伝播分散
される。しかも、防護面に平行な面内においては、第1
繊維群を構成する相互に45度の角度で交差する4軸の
繊維束により着弾時の応力は8方向に伝播分散されるた
め、三軸直交三次元織物に比べ、防護面に平行な方向へ
の応力伝播分散がさらに良好となり、耐弾性能の一層の
向上に寄与する。
垂直に配列された第2繊維群を構成する繊維束により、
着弾時の応力は防弾部材の厚み方向に効率良く伝播分散
される。しかも、防護面に平行な面内においては、第1
繊維群を構成する相互に45度の角度で交差する4軸の
繊維束により着弾時の応力は8方向に伝播分散されるた
め、三軸直交三次元織物に比べ、防護面に平行な方向へ
の応力伝播分散がさらに良好となり、耐弾性能の一層の
向上に寄与する。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、防弾衣
は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防弾部
材を外皮に内包するため、請求項1〜請求項4のいずれ
か一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防弾部
材を外皮に内包するため、請求項1〜請求項4のいずれ
か一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図1〜図3に従って説明する。図3に示すよう
に、防弾衣1は、着衣機能を備えた外皮2と、これに内
包される防弾部材としての防弾パッド3とから構成され
る。防弾パッド3は、外皮2の洗濯や補修などの日常保
守を容易にするため、通常ファスナやフック等を介して
外皮2に着脱可能となっている。
形態を図1〜図3に従って説明する。図3に示すよう
に、防弾衣1は、着衣機能を備えた外皮2と、これに内
包される防弾部材としての防弾パッド3とから構成され
る。防弾パッド3は、外皮2の洗濯や補修などの日常保
守を容易にするため、通常ファスナやフック等を介して
外皮2に着脱可能となっている。
【0018】防弾パッド3は、全芳香族アラミド繊維、
超高分子量ポリエチレン繊維などの高強度・高弾性率の
繊維からなる三次元織物で形成されている。三次元織物
とは、経糸や緯糸などの繊維群に厚み方向のZ糸(垂直
糸)を織り込んで三次元的な織物としたものであり、こ
の織物を構成する各方向の繊維束(糸)は三次元的に絡
み合っている。本実施形態では、三次元織物として、Z
糸が経糸と緯糸に直交する直交三次元織物を採用してい
る。図1、図2に直交三次元織物の例を示す。
超高分子量ポリエチレン繊維などの高強度・高弾性率の
繊維からなる三次元織物で形成されている。三次元織物
とは、経糸や緯糸などの繊維群に厚み方向のZ糸(垂直
糸)を織り込んで三次元的な織物としたものであり、こ
の織物を構成する各方向の繊維束(糸)は三次元的に絡
み合っている。本実施形態では、三次元織物として、Z
糸が経糸と緯糸に直交する直交三次元織物を採用してい
る。図1、図2に直交三次元織物の例を示す。
【0019】図1は、三軸直交三次元織物で構成された
防弾パッド3の部分断面図を示す。防護面3aに平行な
第1繊維群を構成するX糸(経糸)4及びY糸(緯糸)
5は、防護面3aに平行な面内で互いに直交し、X糸4
の糸層とY糸5の糸層が厚み方向に交互に配列されてい
る。Z糸6は、X糸4とY糸5とで構成される繊維群の
間隙を厚み方向に貫通しながら所定ピッチで蛇行し、防
護面3aに垂直に配列された第2繊維群を構成してい
る。Z糸6は、X糸4とY糸5の間にできる間隙を厚み
方向に貫通しており、X方向(経糸方向)及びY方向
(緯糸方向)に対しそれぞれ所定ピッチで、防護面3a
に対して垂直に配列されている。
防弾パッド3の部分断面図を示す。防護面3aに平行な
第1繊維群を構成するX糸(経糸)4及びY糸(緯糸)
5は、防護面3aに平行な面内で互いに直交し、X糸4
の糸層とY糸5の糸層が厚み方向に交互に配列されてい
る。Z糸6は、X糸4とY糸5とで構成される繊維群の
間隙を厚み方向に貫通しながら所定ピッチで蛇行し、防
護面3aに垂直に配列された第2繊維群を構成してい
る。Z糸6は、X糸4とY糸5の間にできる間隙を厚み
方向に貫通しており、X方向(経糸方向)及びY方向
(緯糸方向)に対しそれぞれ所定ピッチで、防護面3a
に対して垂直に配列されている。
【0020】また、図2は、五軸三次元織物で構成され
た防弾パッド3の部分断面図を示す。防護面3aに平行
な第1繊維群は、X糸(経糸)4と、Y糸(緯糸)5
と、X糸4に対してそれぞれ異なる側に45度の角度に
斜めに配列されたバイアス糸(斜め糸(±B糸))7,
8とから構成されている。X糸4とY糸5の組の糸層
と、バイアス糸(±B糸)7,8の組の糸層は厚み方向
に交互に配列されている。Z糸6は、X糸4、Y糸5及
びバイアス糸(±B糸)7,8で構成される繊維群の間
隙を厚み方向に貫通しながら所定ピッチで蛇行し、防護
面3aに垂直に配列された第2繊維群を構成している。
Z糸6は、各糸4,5,7,8間にできる間隙を厚み方
向に貫通しており、X方向(経糸方向)及びY方向(緯
糸方向)に対しそれぞれ所定ピッチで、防護面3aに対
して垂直に配列されている。
た防弾パッド3の部分断面図を示す。防護面3aに平行
な第1繊維群は、X糸(経糸)4と、Y糸(緯糸)5
と、X糸4に対してそれぞれ異なる側に45度の角度に
斜めに配列されたバイアス糸(斜め糸(±B糸))7,
8とから構成されている。X糸4とY糸5の組の糸層
と、バイアス糸(±B糸)7,8の組の糸層は厚み方向
に交互に配列されている。Z糸6は、X糸4、Y糸5及
びバイアス糸(±B糸)7,8で構成される繊維群の間
隙を厚み方向に貫通しながら所定ピッチで蛇行し、防護
面3aに垂直に配列された第2繊維群を構成している。
Z糸6は、各糸4,5,7,8間にできる間隙を厚み方
向に貫通しており、X方向(経糸方向)及びY方向(緯
糸方向)に対しそれぞれ所定ピッチで、防護面3aに対
して垂直に配列されている。
【0021】三軸及び五軸三次元織物は、例えば特開平
5−59636号公報に開示された方法で製造されてい
る。防弾パッド3は、所定パッド形状に三次元的に織り
上げられて製造されるか、三次元織物を所定パッド形状
に裁断して製造されている。
5−59636号公報に開示された方法で製造されてい
る。防弾パッド3は、所定パッド形状に三次元的に織り
上げられて製造されるか、三次元織物を所定パッド形状
に裁断して製造されている。
【0022】次に、上記のように構成された防弾衣1の
作用を説明する。着弾時の応力は、第1繊維群を構成す
るX糸4、Y糸5,±B糸7,8(但し、±B糸は五軸
のときのみ)を伝播して防護面3aと平行な面方向に分
散されるだけでなく、防護面3aに垂直なZ糸6を伝播
して厚み方向にも応力分散される。つまり、厚さ方向に
有効な応力伝播分散のメカニズムが作用する。
作用を説明する。着弾時の応力は、第1繊維群を構成す
るX糸4、Y糸5,±B糸7,8(但し、±B糸は五軸
のときのみ)を伝播して防護面3aと平行な面方向に分
散されるだけでなく、防護面3aに垂直なZ糸6を伝播
して厚み方向にも応力分散される。つまり、厚さ方向に
有効な応力伝播分散のメカニズムが作用する。
【0023】特に、防護面3aに垂直なZ糸6の配列方
向が、着弾時に受ける衝撃力の方向にほぼ一致するた
め、着弾時の衝撃エネルギーはZ糸6により効率良く吸
収される。そのため、従来の織布積層構造の防弾パッド
に比較して優れた耐弾性能が得られる。
向が、着弾時に受ける衝撃力の方向にほぼ一致するた
め、着弾時の衝撃エネルギーはZ糸6により効率良く吸
収される。そのため、従来の織布積層構造の防弾パッド
に比較して優れた耐弾性能が得られる。
【0024】ここで、応力分散は、各糸4,5,6(五
軸のときは±B糸7,8も)の交差部の摩擦で行われ
る。また、厚さ方向にも各糸が緊密に結束されているた
め、目ずれが起きず、より効果的に応力が分散される。
例えば平織のように経糸と緯糸が交差部で絡み合ってい
ると、着弾点から放射状に広がろうとする応力の伝播が
その交差部にて阻止されるため、応力の伝播エリアがそ
れだけ狭くなり応力集中を起こし、耐弾性能が低下す
る。しかし、この三次元織物によると、各糸4,5,6
(五軸のときは±B糸7,8も)は相互に絡み合ってい
ないので、各糸を三次元的に伝播する着弾時の応力が広
く分散されることになり、耐弾性能の向上をもたらす。
軸のときは±B糸7,8も)の交差部の摩擦で行われ
る。また、厚さ方向にも各糸が緊密に結束されているた
め、目ずれが起きず、より効果的に応力が分散される。
例えば平織のように経糸と緯糸が交差部で絡み合ってい
ると、着弾点から放射状に広がろうとする応力の伝播が
その交差部にて阻止されるため、応力の伝播エリアがそ
れだけ狭くなり応力集中を起こし、耐弾性能が低下す
る。しかし、この三次元織物によると、各糸4,5,6
(五軸のときは±B糸7,8も)は相互に絡み合ってい
ないので、各糸を三次元的に伝播する着弾時の応力が広
く分散されることになり、耐弾性能の向上をもたらす。
【0025】このように耐弾性能(エネルギー吸収能)
が向上するため、繊維重量を低減して防弾パッド3の軽
量化を図ることにより、より軽量な防弾衣1を提供する
ことが可能となる。また、同じ繊維重量の防弾パッド3
とすれば、防弾性能のより優れた防弾衣1を提供するこ
とが可能となる。
が向上するため、繊維重量を低減して防弾パッド3の軽
量化を図ることにより、より軽量な防弾衣1を提供する
ことが可能となる。また、同じ繊維重量の防弾パッド3
とすれば、防弾性能のより優れた防弾衣1を提供するこ
とが可能となる。
【0026】特に、五軸三次元織物で防弾パッド3を構
成した場合は、防護面3aと平行な面内における応力伝
播の方向が、X糸4とY糸5の2軸にバイアス糸7,8
の2軸を加えた4軸方向となり、防護面3aと平行な面
内では着弾時の応力が4軸方向(着弾点に対して放射状
に8方向)に分散されるので、一層エネルギー吸収能が
良好な防弾パッド3となる。
成した場合は、防護面3aと平行な面内における応力伝
播の方向が、X糸4とY糸5の2軸にバイアス糸7,8
の2軸を加えた4軸方向となり、防護面3aと平行な面
内では着弾時の応力が4軸方向(着弾点に対して放射状
に8方向)に分散されるので、一層エネルギー吸収能が
良好な防弾パッド3となる。
【0027】(実施例)次に、本発明の実施例を以下に
示す。本実施例では、市販の全芳香族アラミド繊維(商
品名:ケブラー T964)及び超高分子量ポリエチレ
ン繊維(商品名:ダイニーマ T410)を使用し、目
標目付W=6000g/m2 の三次元織物の試験体を作
製し、各試験体について耐弾試験を実施した。
示す。本実施例では、市販の全芳香族アラミド繊維(商
品名:ケブラー T964)及び超高分子量ポリエチレ
ン繊維(商品名:ダイニーマ T410)を使用し、目
標目付W=6000g/m2 の三次元織物の試験体を作
製し、各試験体について耐弾試験を実施した。
【0028】試験体の構成繊維及び織物構造などは、表
1に示す通りである。実施例1は全芳香族アラミド繊維
の三軸直交三次元織物、実施例2は全芳香族アラミド繊
維の五軸三次元織物、実施例3は超高分子量ポリエチレ
ン繊維の五軸三次元織物である。また、全芳香族アラミ
ド繊維の平織織布の多層積層物を比較例とした。
1に示す通りである。実施例1は全芳香族アラミド繊維
の三軸直交三次元織物、実施例2は全芳香族アラミド繊
維の五軸三次元織物、実施例3は超高分子量ポリエチレ
ン繊維の五軸三次元織物である。また、全芳香族アラミ
ド繊維の平織織布の多層積層物を比較例とした。
【0029】
【表1】 ここで、同表中の層数は、X糸とY糸の組からなる糸層
(2層)、あるいは±B糸の組からなる糸層(2層)の
層数Nが分かるように「2×N」で表記したものであ
る。この層数は目標目付Wが得られるように設定されて
いる。また、Z糸は図1,図2に示したようにX糸,Y
糸,±B糸(但し、±B糸は五軸の場合のみ)の間にで
きる間隙に厚み方向に所定ピッチで貫通されており、そ
のピッチはX糸,Y糸,±B糸の緻密度(本/25mm)
から自ずから決まる。Z糸の構成比(重量%)は、いず
れの実施例でも8〜10重量%の範囲にあった。
(2層)、あるいは±B糸の組からなる糸層(2層)の
層数Nが分かるように「2×N」で表記したものであ
る。この層数は目標目付Wが得られるように設定されて
いる。また、Z糸は図1,図2に示したようにX糸,Y
糸,±B糸(但し、±B糸は五軸の場合のみ)の間にで
きる間隙に厚み方向に所定ピッチで貫通されており、そ
のピッチはX糸,Y糸,±B糸の緻密度(本/25mm)
から自ずから決まる。Z糸の構成比(重量%)は、いず
れの実施例でも8〜10重量%の範囲にあった。
【0030】耐弾試験は、22口径の試験銃から1.2
グラムの球形の弾丸を、200×200m2 寸法の試験
体に対し、3mの距離から垂直方向に発射し、試料前後
の弾速を計測してその差から試験体のエネルギー吸収量
(kg・m)を算出することにより評価した。試験の計
測回数は各試料について5射とし、それぞれ最高値、最
低値を除いた3値の平均値により比較評価を行った。弾
丸の速度計測は、試験体の前後20cmの位置に置いた
光電計速装置によった。試験銃から発射される弾丸の初
速度は、605〜630m/sec の範囲であった。
グラムの球形の弾丸を、200×200m2 寸法の試験
体に対し、3mの距離から垂直方向に発射し、試料前後
の弾速を計測してその差から試験体のエネルギー吸収量
(kg・m)を算出することにより評価した。試験の計
測回数は各試料について5射とし、それぞれ最高値、最
低値を除いた3値の平均値により比較評価を行った。弾
丸の速度計測は、試験体の前後20cmの位置に置いた
光電計速装置によった。試験銃から発射される弾丸の初
速度は、605〜630m/sec の範囲であった。
【0031】試験結果は表1に示す通りである。得られ
たエネルギー吸収量(kg・m)を目付W(g/m2 )
で除してエネルギー吸収係数Mを算出した。三軸直交三
次元織物である実施例1は、比較例に対して約12%高
いエネルギー吸収係数Mが得られた。また、五軸三次元
織物である各実施例2,3は、それぞれ比較例に対して
約18と約24%高いエネルギー吸収係数Mが得られ
た。
たエネルギー吸収量(kg・m)を目付W(g/m2 )
で除してエネルギー吸収係数Mを算出した。三軸直交三
次元織物である実施例1は、比較例に対して約12%高
いエネルギー吸収係数Mが得られた。また、五軸三次元
織物である各実施例2,3は、それぞれ比較例に対して
約18と約24%高いエネルギー吸収係数Mが得られ
た。
【0032】この試験結果から分かるように、防護面に
直交する繊維成分(Z糸)を有する直交三次元織物構造
の実施例は、いずれも優れたエネルギー吸収能を示して
おり、これらを防弾パッド3として使用した場合には高
い耐弾性能が得られることを示唆している。
直交する繊維成分(Z糸)を有する直交三次元織物構造
の実施例は、いずれも優れたエネルギー吸収能を示して
おり、これらを防弾パッド3として使用した場合には高
い耐弾性能が得られることを示唆している。
【0033】以下に本実施形態から得られる効果を列記
する。 (a)防護面3aにほぼ平行な第1繊維群に加え、防護
面3aに垂直なZ糸6から構成される第2繊維群を備え
た三次元織物で防弾パッド3を構成したので、着弾時の
応力が防護面3aに平行な方向に伝播分散されるだけで
なく、防護面3aに垂直な方向への応力伝播分散メカニ
ズムが作用するようになり、従来の織布積層構造に比べ
て着弾時のエネルギー吸収能を一層高めることができ
る。
する。 (a)防護面3aにほぼ平行な第1繊維群に加え、防護
面3aに垂直なZ糸6から構成される第2繊維群を備え
た三次元織物で防弾パッド3を構成したので、着弾時の
応力が防護面3aに平行な方向に伝播分散されるだけで
なく、防護面3aに垂直な方向への応力伝播分散メカニ
ズムが作用するようになり、従来の織布積層構造に比べ
て着弾時のエネルギー吸収能を一層高めることができ
る。
【0034】(b)Z糸6が第1繊維群を構成する各糸
4,5等に対して直交する直交三次元織物を採用し、Z
糸6の配列方向が着弾時の衝撃力の方向にほぼ一致する
ようにしたので、着弾時の衝撃エネルギーをより効率良
く吸収することができる。そのため、より高いエネルギ
ー吸収能の防弾パッド3を提供できる。
4,5等に対して直交する直交三次元織物を採用し、Z
糸6の配列方向が着弾時の衝撃力の方向にほぼ一致する
ようにしたので、着弾時の衝撃エネルギーをより効率良
く吸収することができる。そのため、より高いエネルギ
ー吸収能の防弾パッド3を提供できる。
【0035】(c)着弾時の応力分散は、各糸4,5,
6(五軸のときは±B糸7,8も)の交差部の摩擦で行
われ、各糸4,5,6等が厚さ方向にも緊密に結束され
ていることから、目ずれが起きず、より効果的に応力を
分散させることができる。
6(五軸のときは±B糸7,8も)の交差部の摩擦で行
われ、各糸4,5,6等が厚さ方向にも緊密に結束され
ていることから、目ずれが起きず、より効果的に応力を
分散させることができる。
【0036】(d)三次元織物を構成する各糸4,5,
6,7,8が相互に絡み合っていないので、着弾時の応
力を広く分散させることができる。その結果、エネルギ
ー吸収能の高い防弾パッド3を提供できる。
6,7,8が相互に絡み合っていないので、着弾時の応
力を広く分散させることができる。その結果、エネルギ
ー吸収能の高い防弾パッド3を提供できる。
【0037】(e)三軸直交三次元織物を採用した場
合、防護面3aと平行な面方向には着弾時の応力を4方
向に伝播分散できることから、高い耐弾性能が得られ
る。 (f)五軸三次元織物を採用した場合、防護面3aと平
行な面方向には着弾時の応力を8方向に伝播分散できる
ことから、三軸直交三次元織物よりも一層高い耐弾性能
が得られる。
合、防護面3aと平行な面方向には着弾時の応力を4方
向に伝播分散できることから、高い耐弾性能が得られ
る。 (f)五軸三次元織物を採用した場合、防護面3aと平
行な面方向には着弾時の応力を8方向に伝播分散できる
ことから、三軸直交三次元織物よりも一層高い耐弾性能
が得られる。
【0038】(g)三次元織物によると高いエネルギー
吸収能が得られることから、必要な耐弾性能を得るのに
必要な繊維量を従来の織布積層構造より少なくできる。
よって、防弾パッド3の軽量化を図ることができ、防弾
衣1の軽量化を実現できる。また、防弾パッド3の繊維
重量を同じとすれば、従来の織布積層構造のものより、
優れた防弾性能の防弾衣1を提供できる。
吸収能が得られることから、必要な耐弾性能を得るのに
必要な繊維量を従来の織布積層構造より少なくできる。
よって、防弾パッド3の軽量化を図ることができ、防弾
衣1の軽量化を実現できる。また、防弾パッド3の繊維
重量を同じとすれば、従来の織布積層構造のものより、
優れた防弾性能の防弾衣1を提供できる。
【0039】(h)従来の織布積層構造の防弾パッド
は、所定枚数の織布を低密度のステッチング縫製あるい
は縁かがり縫製により一体的に積層化したものであった
ため、裁断および縫製工程が必要であった。しかし、本
実施形態の防弾パッド3は、予め必要なパッド形状に三
次元的に製織されたものであるため、裁断および縫製工
程が不要である。また、製織された三次元織物をパッド
形状に裁断して製造した場合には、縫製工程が不要とな
る。
は、所定枚数の織布を低密度のステッチング縫製あるい
は縁かがり縫製により一体的に積層化したものであった
ため、裁断および縫製工程が必要であった。しかし、本
実施形態の防弾パッド3は、予め必要なパッド形状に三
次元的に製織されたものであるため、裁断および縫製工
程が不要である。また、製織された三次元織物をパッド
形状に裁断して製造した場合には、縫製工程が不要とな
る。
【0040】(i)従来の織布積層構造の防護パッド
は、所定枚数の織布が所々縫製されて一体化されている
だけであったため、防弾パッドが着脱時に型崩れし易い
などの不便さがあった。しかし、本実施形態の防弾パッ
ド3は、三次元織物であるため、日常保守などでの着脱
時にも型崩れの心配がない。
は、所定枚数の織布が所々縫製されて一体化されている
だけであったため、防弾パッドが着脱時に型崩れし易い
などの不便さがあった。しかし、本実施形態の防弾パッ
ド3は、三次元織物であるため、日常保守などでの着脱
時にも型崩れの心配がない。
【0041】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のよ
うに変更することができる。 (1)Z糸は防護面3aに対して必ずしもほぼ垂直に通
っている必要はない。図4に示すように、例えば防護面
3aに対してZ糸9が45度傾斜した三次元織物として
もよい。防護面3aに対して45度傾斜してもZ糸9
は、防護面3aに垂直な軸方向成分をもつので、防弾パ
ッド3の厚み方向への応力伝播分散メカニズムは有効に
作用する。従って、従来の織布積層構造のものよりも優
れた耐弾性能が得られる。
ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のよ
うに変更することができる。 (1)Z糸は防護面3aに対して必ずしもほぼ垂直に通
っている必要はない。図4に示すように、例えば防護面
3aに対してZ糸9が45度傾斜した三次元織物として
もよい。防護面3aに対して45度傾斜してもZ糸9
は、防護面3aに垂直な軸方向成分をもつので、防弾パ
ッド3の厚み方向への応力伝播分散メカニズムは有効に
作用する。従って、従来の織布積層構造のものよりも優
れた耐弾性能が得られる。
【0042】(2)Z糸はなるべく高密度であるほうが
望ましいが、防護面3aに平行な第1繊維群の全ての間
隙を厚み方向に通す必要は必ずしもなく、X糸やY糸等
のピッチより広いピッチで所定間隔おきに厚み方向に通
した低密度としてもよい。低密度とした場合でも、防護
面3aに対してほぼ均一(例えば一定間隔で)にするこ
とが望ましい。Z糸が低密度であっても着弾時の応力は
Z糸を伝播して厚み方向に分散されるので、Z糸の密度
に応じたそれなりの効果は得られる。
望ましいが、防護面3aに平行な第1繊維群の全ての間
隙を厚み方向に通す必要は必ずしもなく、X糸やY糸等
のピッチより広いピッチで所定間隔おきに厚み方向に通
した低密度としてもよい。低密度とした場合でも、防護
面3aに対してほぼ均一(例えば一定間隔で)にするこ
とが望ましい。Z糸が低密度であっても着弾時の応力は
Z糸を伝播して厚み方向に分散されるので、Z糸の密度
に応じたそれなりの効果は得られる。
【0043】(3)Z糸の軸数は前記実施形態のような
1軸(直交成分)や図4のような2軸(斜め2成分)に
限定されない。また、図1のZ糸6の軸方向を防護面3
aに対して所定角度(例えば45度)をなすよう蛇行し
ながら斜め方向に挿通させた構成としてもよい。この場
合、Z糸の糸層毎に軸方向を変更させる(例えば90度
変更)とより効果的である。
1軸(直交成分)や図4のような2軸(斜め2成分)に
限定されない。また、図1のZ糸6の軸方向を防護面3
aに対して所定角度(例えば45度)をなすよう蛇行し
ながら斜め方向に挿通させた構成としてもよい。この場
合、Z糸の糸層毎に軸方向を変更させる(例えば90度
変更)とより効果的である。
【0044】(4)防護面3aに平行な第1繊維群を構
成する糸の軸成分は、前記実施形態のような2軸(x,
y)や4軸(x,y,±B)に限定されない。例えば1
軸(xまたはyのみ)であってもよい。この場合、
(3)で述べたようにZ糸を層毎に交互に向きを変えて
斜めに配列した構成において、第1繊維群を構成する繊
維束をX糸だけの1軸とした構造をとれば、1軸として
も三次元的な形態を保持できる。また、第1繊維群を構
成する各糸層の厚み方向の配列順序の規則性は適宜変更
できる。例えばバイアス糸±Bを、x、y糸の組の層に
対して所定層数おきに配列したり、同じ軸方向の糸層を
連続して複数層配列してもよい。
成する糸の軸成分は、前記実施形態のような2軸(x,
y)や4軸(x,y,±B)に限定されない。例えば1
軸(xまたはyのみ)であってもよい。この場合、
(3)で述べたようにZ糸を層毎に交互に向きを変えて
斜めに配列した構成において、第1繊維群を構成する繊
維束をX糸だけの1軸とした構造をとれば、1軸として
も三次元的な形態を保持できる。また、第1繊維群を構
成する各糸層の厚み方向の配列順序の規則性は適宜変更
できる。例えばバイアス糸±Bを、x、y糸の組の層に
対して所定層数おきに配列したり、同じ軸方向の糸層を
連続して複数層配列してもよい。
【0045】(5)Z糸は防弾パッド3の厚み方向に貫
通されていなくてもよい。例えば防護面3aの表面側と
裏面側から個々のZ糸が途中で折り返して2層構造を採
る構成であってもよい。
通されていなくてもよい。例えば防護面3aの表面側と
裏面側から個々のZ糸が途中で折り返して2層構造を採
る構成であってもよい。
【0046】(6)防弾パッドを構成する繊維種は前記
実施形態に限定されず、高強度・高弾性率を有するその
他の繊維を採用してもよい。例えば高強度ナイロン繊
維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィ
ン繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、炭
素繊維を使用してもよい。また、複数種の繊維を複合し
て三次元織物を構成してもよい。
実施形態に限定されず、高強度・高弾性率を有するその
他の繊維を採用してもよい。例えば高強度ナイロン繊
維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィ
ン繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、炭
素繊維を使用してもよい。また、複数種の繊維を複合し
て三次元織物を構成してもよい。
【0047】(7)防弾パッドは三次元織物だけで構成
される必要はなく、三次元織物を防弾パッドの一部に含
んだ構成としてもよい。例えば金属と三次元織物との複
合品とし、柔軟性が必要な部分に三次元織物を採用した
構成としてもよい。
される必要はなく、三次元織物を防弾パッドの一部に含
んだ構成としてもよい。例えば金属と三次元織物との複
合品とし、柔軟性が必要な部分に三次元織物を採用した
構成としてもよい。
【0048】(8)本発明を適用する防弾パッドは、防
弾衣の外皮に内包されるものである必要はない。例え
ば、衣服の内側など身体に直接取り付けるタイプの防弾
パッドに本発明を適用することもできる。また、防弾パ
ッドの形状は前記実施形態に限定されず、その用途に合
った形状に適宜変更できる。
弾衣の外皮に内包されるものである必要はない。例え
ば、衣服の内側など身体に直接取り付けるタイプの防弾
パッドに本発明を適用することもできる。また、防弾パ
ッドの形状は前記実施形態に限定されず、その用途に合
った形状に適宜変更できる。
【0049】(9)本発明を適用する防弾衣は、前記実
施形態のような上半身用のものに限定されず、下半身用
のズボン等であってもよい。 (10)本発明でいう三次元織物は、防護面3aに垂直
に糸が走るように製織可能な多重織りによる織物を含
む。また、高密度にステッチング縫製して織布の各層を
三次元的に一体化した織物を含むものとする。
施形態のような上半身用のものに限定されず、下半身用
のズボン等であってもよい。 (10)本発明でいう三次元織物は、防護面3aに垂直
に糸が走るように製織可能な多重織りによる織物を含
む。また、高密度にステッチング縫製して織布の各層を
三次元的に一体化した織物を含むものとする。
【0050】前記実施例から把握され、特許請求の範囲
に記載されていない発明を、その効果とともに以下に記
載する。 (イ)請求項1〜請求項5において、前記高強度・高弾
性率の繊維は、アラミド繊維あるいは超高分子量ポリエ
チレン繊維である。この構成によれば、これらの繊維は
いずれも高強度・高弾性率に優れているため、これらの
繊維で防弾部材を製造することにより、防弾パッドある
いは防弾衣の一層の軽量化を図ることができる。
に記載されていない発明を、その効果とともに以下に記
載する。 (イ)請求項1〜請求項5において、前記高強度・高弾
性率の繊維は、アラミド繊維あるいは超高分子量ポリエ
チレン繊維である。この構成によれば、これらの繊維は
いずれも高強度・高弾性率に優れているため、これらの
繊維で防弾部材を製造することにより、防弾パッドある
いは防弾衣の一層の軽量化を図ることができる。
【0051】
【発明の効果】従って、請求項1に記載の発明によれ
ば、高強度・高弾性率の繊維からなり、防護面にほぼ平
行な第1繊維群と、防護面に対し直交する軸方向成分を
もって配列された第2繊維群とから構成された三次元織
物を、防弾部材の主たる構成要素としたので、着弾時の
応力を防護面にほぼ平行な第1繊維群のみならず、第2
繊維群により防護部材の厚み方向にも伝播分散でき、優
れた耐弾性能を得ることができる。
ば、高強度・高弾性率の繊維からなり、防護面にほぼ平
行な第1繊維群と、防護面に対し直交する軸方向成分を
もって配列された第2繊維群とから構成された三次元織
物を、防弾部材の主たる構成要素としたので、着弾時の
応力を防護面にほぼ平行な第1繊維群のみならず、第2
繊維群により防護部材の厚み方向にも伝播分散でき、優
れた耐弾性能を得ることができる。
【0052】請求項2に記載の発明によれば、第2繊維
群を構成する繊維束は防護面に対しほぼ垂直に配列さ
れ、その配列方向が着弾時に受ける衝撃力の方向にほぼ
一致するため、防弾部材の厚み方向に着弾時の応力を効
率良く伝播分散できる。
群を構成する繊維束は防護面に対しほぼ垂直に配列さ
れ、その配列方向が着弾時に受ける衝撃力の方向にほぼ
一致するため、防弾部材の厚み方向に着弾時の応力を効
率良く伝播分散できる。
【0053】請求項3に記載の発明によれば、防護面に
ほぼ平行な第1繊維群を、相互に直交する2軸方向の繊
維束で構成し、第2繊維群を、防護面に対しほぼ垂直に
配列された繊維束で構成した三軸直交三次元織物とした
ので、着弾時の応力を防弾部材の厚み方向に効率良く伝
播分散でき、しかも防護面と平行な方向には相互に直交
する2軸の繊維束により4方向に伝播分散させることが
できるため、耐弾性能の向上に寄与する。
ほぼ平行な第1繊維群を、相互に直交する2軸方向の繊
維束で構成し、第2繊維群を、防護面に対しほぼ垂直に
配列された繊維束で構成した三軸直交三次元織物とした
ので、着弾時の応力を防弾部材の厚み方向に効率良く伝
播分散でき、しかも防護面と平行な方向には相互に直交
する2軸の繊維束により4方向に伝播分散させることが
できるため、耐弾性能の向上に寄与する。
【0054】請求項4に記載の発明によれば、防護面に
ほぼ平行な第1繊維群を、相互に45度の角度で交差す
る4軸方向の繊維束で構成し、第2繊維群を、防護面に
対しほぼ垂直に配列された繊維束で構成した五軸三次元
織物としたので、着弾時の応力を防弾部材の厚み方向に
効率良く伝播分散でき、しかも防護面に平行な方向には
相互に45度の角度で交差する4軸の繊維束により8方
向に伝播分散させることができるため、耐弾性能の向上
に一層寄与する。
ほぼ平行な第1繊維群を、相互に45度の角度で交差す
る4軸方向の繊維束で構成し、第2繊維群を、防護面に
対しほぼ垂直に配列された繊維束で構成した五軸三次元
織物としたので、着弾時の応力を防弾部材の厚み方向に
効率良く伝播分散でき、しかも防護面に平行な方向には
相互に45度の角度で交差する4軸の繊維束により8方
向に伝播分散させることができるため、耐弾性能の向上
に一層寄与する。
【0055】請求項5に記載の発明によれば、防弾衣
は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防弾部
材を外皮に内包するため、請求項1〜請求項4のいずれ
か一項に記載の発明と同様の効果が得られる。
は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の防弾部
材を外皮に内包するため、請求項1〜請求項4のいずれ
か一項に記載の発明と同様の効果が得られる。
【図1】三軸三次元織物で構成された防弾パッドの部分
側面断面図。
側面断面図。
【図2】五軸三次元織物で構成された防弾パッドの部分
側面断面図。
側面断面図。
【図3】防弾衣の一部破断正面図。
【図4】別例の防弾パッドの部分側断面図。
1…防弾衣、2…外皮、3…防弾部材としての防弾パッ
ド、3a…防護面、4…第1繊維群を構成するX糸、5
…第1繊維群を構成するY糸、6…第2繊維群を構成す
るZ糸、7,8…第1繊維群を構成するバイアス糸、9
…第2繊維群を構成するZ糸。
ド、3a…防護面、4…第1繊維群を構成するX糸、5
…第1繊維群を構成するY糸、6…第2繊維群を構成す
るZ糸、7,8…第1繊維群を構成するバイアス糸、9
…第2繊維群を構成するZ糸。
Claims (5)
- 【請求項1】 高強度・高弾性率の繊維からなり、防護
面にほぼ平行な第1繊維群と、防護面に対し直交する軸
方向成分をもって配列された第2繊維群とから構成され
た三次元織物を、主たる構成要素とする防弾部材。 - 【請求項2】 前記第2繊維群は、前記防護面に対しほ
ぼ垂直に配列された繊維束である請求項1に記載の耐弾
部材。 - 【請求項3】 前記三次元織物は、前記防護面にほぼ平
行な第1繊維群を構成する繊維束が、相互に直交する2
軸方向の繊維束であり、前記第2繊維群を構成する繊維
束が、前記防護面に対しほぼ垂直に配列された繊維束で
ある直交三次元織物である請求項1に記載の防弾部材。 - 【請求項4】 前記三次元織物は、前記防護面にほぼ平
行な第1繊維群を構成する繊維束が、相互に45度の角
度で交差する4軸方向の繊維束であり、前記第2繊維群
を構成する繊維束が、前記防護面に対しほぼ垂直に配列
された繊維束である、いわゆる五軸三次元織物である請
求項1に記載の防弾部材。 - 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記
載の前記防弾部材が、着衣機能を備えた外皮に内包され
た防弾衣。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8131398A JPH09297000A (ja) | 1996-04-27 | 1996-04-27 | 防弾部材及び防弾衣 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8131398A JPH09297000A (ja) | 1996-04-27 | 1996-04-27 | 防弾部材及び防弾衣 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09297000A true JPH09297000A (ja) | 1997-11-18 |
Family
ID=15057050
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8131398A Pending JPH09297000A (ja) | 1996-04-27 | 1996-04-27 | 防弾部材及び防弾衣 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09297000A (ja) |
-
1996
- 1996-04-27 JP JP8131398A patent/JPH09297000A/ja active Pending
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